JP4264208B2 - 空気調和装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和装置に関し、特に電子膨張弁の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4に、空気調和装置の概略構成を示した。図において、符号10は室内ユニット、20は室外ユニットである。室内ユニット10は室内熱交換器11を備えている。また、室外ユニット20には、室外熱交換器21、圧縮機23、制御部24,四方弁25,電子膨張弁26が備えられている。室外熱交換器21は冷媒と室外気との熱交換を実現するためのものである。圧縮機23は、低温低圧の気体冷媒を、高温高圧の気体冷媒に変換して吐出するものである。制御部24は、圧縮機23,電子膨張弁26等の制御を行うもので、各種電気回路素子から構成されている。
【0003】
さらに、冷房時における室外熱交換器21の冷媒出口側にあたる液管30には、液冷媒の温度(TOPL)を検出する液管センサ40が設けられている。この液管センサ40は、暖房運転時、デフロスト運転(室外熱交換器21の霜取り)を行う際に冷媒の温度を監視するために設けられている。
室内熱交換器11には気液二相状態の冷媒温度(TIP)を検出する温度センサとして、室内熱交センサ41が設けられている。
また、圧縮機の吐出側には冷媒の吐出温度(Td)を測定する吐出温度センサ42が設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように構成された空気調和装置では、冷房時には図の破線、暖房時には実線方向に冷媒が循環するようになっている。
さて、図5に、冷媒サイクルのp−h線図を示した。図の冷凍サイクルにおいて示された過熱度SHについて、過熱度SHが過剰であると室内に水が噴き出されてしまう場合があり、過熱度不足であると液冷媒が圧縮機に流れ込み、圧縮機の寿命を低下させるといった問題が発生する場合がある。
具体的には、図6(a)で示したように、室内熱交換器11内には液冷媒31とガス冷媒32とが存在し、ガス冷媒32が下流側となっている。熱交換器11を通過する室内気35は、液冷媒31を蒸発させることによって自らは冷却され、その際に熱交換器11に結露することで乾燥されその後に室内に吹き出される。
しかし、過熱度SHが過大であると同図(b)のようにガス冷媒32部分が大きくなり、その結果液冷媒31を通過しない室内気35’が生ずる。この室内気35’は十分に冷却・結露されないままに室内熱交換器11を通過するため、空気流の下流側に位置するファンに結露してしまい、結露がファンの送風によって室内に吹き出されてしまうのである。
また、過熱度SHが不足していると、ガス冷媒32が形成されず、液冷媒31のまま室内熱交換器11から流出し、下流の圧縮機23に液冷媒31が吸引されてしまう。
【0005】
そこで、過熱度SHが適切な状態となるように電子膨張弁26の開度を制御することが重要である。
過熱度SHを測定するには、圧縮機23の吸入冷媒温度を検出することで直接得ることができる。しかしながら、低温低圧の冷媒吸入温度の変動を正確に測定するには、非常に高精度の温度センサを装備する必要がある。このため、従来では吐出側の冷媒温度Tdから過熱度SHを推定していたが、十分に正確とはいえなかった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、過熱度を正確に制御することができる空気調和装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、室外熱交換器に接続された液管内の液冷媒温度TOPLを検出する液管センサと、圧縮機の冷媒吐出温度Tdを検出する吐出温度センサと、室外熱交換器と室内熱交換器との間を循環する冷媒を絞る電子膨張弁とを備えた空気調和装置において、前記液管センサと吐出温度センサの検出出力が入力されるとともに、これらの入力信号に基づいて前記電子膨張弁の開度を制御する制御部を備え、該制御部は、Td−TOPLが所定の上限閾値より大きい場合には前記電子膨張弁の開度を上げ、所定の下限閾値より小さい場合には前記電子膨張弁の開度を下げる制御を行い、さらに、前記Td−TOPLが所定時間以上、前記上限閾値よりも大きい場合には、前記圧縮機に指示するインバータ周波数fを低減し、かつ、前記下限閾値よりも小さい場合には、前記圧縮機に指示するインバータ周波数fを増加させるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、冷房時にTd−TOPLを過熱度の指標として電子膨張弁の開度制御を実施する。Td−TOPLはすでに備えられているセンサによって検出することができる。また、測定対象の冷媒は高圧であるため、低圧の冷媒に比べて温度変動が大きく、さほどの高精度は要求されない。
そして、電子膨張弁の開度制御だけでは、冷房の立ち上がり運転時や大能力機において電子膨張弁の追従が遅れて過熱度が迅速に制御されない場合がある。このため、本発明ではインバータ周波数fの増減により圧縮機の出力を変更することで、速やかに過熱度を制御する。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、従来と同一の構成については同一の符号を用いその説明を省略する。
図1は本空気調和装置の制御回路を示すブロック図である。
図において、符号44は、吐出温度センサ42により検出された冷媒温度Tdと、液管センサ40により検出された冷媒温度TOPLとが入力されるとともに、圧縮機23にインバータ周波数fを指示し、また、電子膨張弁26を制御する制御部である。
【0012】
さて、図5を参照して説明すると、一般的に、Td−DSTを過熱度SHの指標とすることができる(DSTは、冷房時には室外熱交換器の気液二相冷媒の温度)。例えば、Td−DSTがある値(上限閾値)Aより大きい場合には膨張弁の開度を上げることで過熱度SHを下げ、またある値(下限閾値)B(B<A)より小さい場合には電子膨張弁を絞って過熱度SHを上げる。このようにして、Td−DSTを監視しておけば、過熱度SHを適切な値に保つことができる。
しかしながら、冷房の場合にはDSTを検出するセンサが設けられていないため、直接DSTを求めることはできない。そこで、制御部44は、DSTの代わりに液管センサ40により検出された冷媒温度TOPLを用いて過熱度SHを制御するようになっている。
但し、TOPLは空調装置の運転状態によって変動するため、補正係数aを用いて
DST≒TOPL+a
とみなす。
TOPLは過冷却領域にあるため、補正係数aは、空調装置の出力が上がるほど大きくなるという関係があり、図2のようにインバータの周波数との相関を表すことができる。
そこで、制御部44は、図3のように、Td−TOPLをインバータ周波数fに対応させて上限閾値A、下限閾値Bの値を変えた変換を行うようになっている。
【0013】
さて、制御部44は逐次吐出温度センサ42の検出出力(Td)、液管センサ40の検出出力(TOPL)が入力され、インバータ周波数fが記憶されている。制御部44はこれらの信号から、現在の空気調和装置の状態が図3のテーブル中のどの状態にあるかを算出する。
図において、空気調和装置が領域アの状態にあるときには、電子膨張弁26の開度を上げる。
ただし、立ち上がり運転時や大能力機においては、この制御だけでは電子膨張弁26の開度には限界があるために制御が遅く、過熱度SHが長時間不適切な値をとってしまう場合がある。このため、さらに、空気調和装置の状態が所定時間以上領域アにある場合には、電子膨張弁26の制御に加えてインバータ周波数fを低減させることで圧縮機23の出力を抑える。空気調和装置が領域イの状態になった後はインバータ周波数fを元に戻す。
このように制御することで、より迅速に空気調和装置の状態を制御して過熱度SHを適切な状態にすることができる。
同様に、領域ウの状態にあるときには電子膨張弁26の開度を下げる。さらに、空気調和装置の状態が所定時間以上領域ウにある場合には、電子膨張弁26の制御に加えてインバータ周波数fを増加させる。空気調和装置が領域イの状態になった後はインバータ周波数fを元に戻す。
これにより上記と同様に迅速に空気調和装置の状態を制御して過熱度SHを適切な状態にすることができる。
なお、制御部44は上限閾値A、下限閾値Bを段階的に変化させているが、リニアに設定してもよいのはもちろんである。
【0014】
このように制御することで、熱交換器に新たに温度センサを装備することなく、また、圧縮機の吸入管に高精度の温度センサをも設けることなく、過熱度SHを迅速に制御することができる。このため、過熱度SHが不適切な状態となることによって生じる次のような問題を防止することができる。すなわち、過熱度が過剰となった場合に室内に水が吹き出されることや、過熱度不足によって液冷媒が圧縮機に流れ込み、圧縮機の寿命を低下させるといった問題の発生を防止することができる。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の空気調和装置によれば、過熱度を迅速に制御することができるため、過熱度が過剰となった場合に室内に水が吹き出されることや、過熱度不足によって液冷媒が圧縮機に流れ込み、圧縮機の寿命を低下させるといった問題の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態として示した空気調和装置における制御回路を示した概略ブロック図である。
【図2】 インバータ周波数と補正係数との関係を示した図である。
【図3】 インバータ周波数およびTd−TOPLと、電子膨張弁の開度制御との関係を示した図である。
【図4】 空気調和装置の冷媒サイクルを示した概略構成図である。
【図5】 冷媒サイクルを冷媒のモリエル線図に照らして示した図である。
【図6】 空気調和装置の室内熱交換器における冷媒の状態を模式的に示した図である。
【符号の説明】
11 室内熱交換器
21 室外熱交換器
23 圧縮機
26 電子膨張弁
40 液管センサ
41 室内熱交センサ
42 吐出温度センサ
44 制御部

Claims (1)

  1. 室外熱交換器に接続された液管内の液冷媒温度TOPLを検出する液管センサと、圧縮機の冷媒吐出温度Tdを検出する吐出温度センサと、室外熱交換器と室内熱交換器との間を循環する冷媒を絞る電子膨張弁とを備えた空気調和装置において、
    前記液管センサと吐出温度センサの検出出力が入力されるとともに、これらの入力信号に基づいて前記電子膨張弁の開度を制御する制御部を備え、
    該制御部は、Td−TOPLが所定の上限閾値より大きい場合には前記電子膨張弁の開度を上げ、所定の下限閾値より小さい場合には前記電子膨張弁の開度を下げる制御を行い、さらに、前記Td−TOPLが所定時間以上、前記上限閾値よりも大きい場合には、前記圧縮機に指示するインバータ周波数fを低減し、かつ、前記下限閾値よりも小さい場合には、前記圧縮機に指示するインバータ周波数fを増加させるように構成されていることを特徴とする空気調和装置。
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