JP4264144B2 - インデン誘導体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗炎症作用などを有する、医薬として有用な新規インデン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、抗炎症剤として広く用いられている薬剤の多くは、プロスタグランジンE2(PGE2)の生合成に関与するシクロオキシゲナーゼ(COX)の阻害を作用機序とする非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)である。しかしながら、PGE2の合成活性は、生体のあらゆる組織に存在して、生体の恒常性を司っており、そこにNSAIDが投与されると、様々な副作用が惹起される。例えば、胃や腎臓においては、PGE2は、それらの臓器内の血流量を維持する作用を示すが、NSAIDの投与により、局所血流量の維持が困難となり、胃障害や腎障害が引き起こされる。
【0003】
このような状況下において、COXのアイソザイムの存在が確認された。従来認識されていたCOXと区別するために、従来型をCOX−1、新たに発見されたアイソザイムをCOX−2と呼称することとなった。また、このCOX−2は、炎症時に誘導され、通常はほとんど発現しないことが明らかにされ、従来のNSAIDは、COX−1及びCOX−2の両酵素を非特異的に阻害することも併せて明らかになった。このことから、COX−2の阻害作用を有する化合物が、抗炎症剤として有用である可能性が生じた。
【0004】
現在、COX−1を阻害せず、COX−2のみを選択的に阻害するいくつかの化合物が知られている(炎症と免疫、3(1), 29-36, 1995; Bioorganic & Med. Chem. Lett. 5(8), 867-872, 1995など)。しかし、その作用はいずれも満足できるものではなく、より優れたCOX−2阻害作用を示す薬剤が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、COX−2に対する阻害活性を有し、抗炎症剤などの医薬として有用な、インデン誘導体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、COX−2を阻害し、インドメタシンをはじめとする既存のNSAIDと同等以上の抗炎症作用を有する化合物の開発を目的として鋭意研究を重ねた結果、一般式(I)で表されるインデン誘導体が、優れた抗炎症作用を有し、医薬として有用であることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、一般式(I):
【0008】
【化3】
Figure 0004264144
【0009】
〔式中、R1は、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルケニル基、−(CH2)m−R5(ここで、mは、0〜3の整数を表し、R5は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す)、又はアリール基を表し;R2は、水素原子、−(CH2)n−COORx、−(CH2)n −ORy、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基を表し、ここでn及びn′は、それぞれ0〜3の整数を表し、Rxは、水素原子、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し、Ryは、水素原子、又は水酸基の保護基を表し;R3は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し;そしてR4は、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよい複素環基、又は置換されていてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す〕で示される化合物若しくはその薬学的に許容しうる塩、又はそれらの水和物に関する。
【0010】
一般式(I)で示される化合物の定義において、R1 における、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基の炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、及びn−ヘプチル基などが、挙げられる。なかでも、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、更にエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、及びt−ブチル基などの、炭素数2〜4の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基が、特に好ましい。エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、及びn−ブチル基が更に特に好ましい。また、R1における、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、なかでも、フッ素原子が好ましい。R1における、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基の特に好ましい具体例としては、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び4,4,4−トリフルオロブチル基などが挙げられる。
【0011】
1における、炭素数2〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、i−プロペニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、及び6−ヘプテニル基などが挙げられ、なかでも炭素数3〜4のアリル基、及びi−プロペニル基が好ましい。
【0012】
1は、また−(CH2)m−R5(ここで、mは、0〜3の整数を表し、R5は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す)を表すが、置換基である炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びi−プロピル基が、挙げられる。置換されていてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、メチルシクロプロピル基、エチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基などが、挙げられる。
【0013】
1における−(CH2)m−R5で表される基としては、例えばシクロプロピル基、メチルシクロプロピル基、エチルシクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロプロピルエチル基、メチルシクロプロピルメチル基、2−メチルシクロプロピルエチル基、エチルシクロプロピルメチル基、2−エチルシクロプロピルエチル基、シクロブチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘキシルメチル基などが、挙げられ、なかでもシクロプロピルメチル基が好ましい。
【0014】
1における、アリール基としては、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を挙げることができ、例としてフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基などを挙げることができる。なかでも、フェニル基、トリル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。
【0015】
代表的には、R1としては、水素原子;炭素数1〜7、好ましくは炭素数1〜6の、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基;炭素数2〜7、好ましくは炭素数3〜4の直鎖若しくは分岐鎖状のアルケニル基(アリル基、及びi−プロペニル基など);シクロプロピルメチル基;並びにアリール基が好ましい。なかでもR1は、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はアリール基であり、更に炭素数1〜6、特に炭素数2〜4の、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基(なかでもエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び4,4,4−トリフルオロブチル基);及びアリール基(なかでもフェニル基)が、特に好ましい。
【0016】
式(I)の化合物において、R2は、水素原子、−(CH2)n−COORx、−(CH2)n −ORy、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基を表す。ここでRxは、水素原子、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し、具体的には水素原子、並びにメチル基、エチル基、n−プロピル基、及びi−プロピル基であり、好ましくは水素原子である。また、Ryは、水素原子、又は水酸基の保護基を表し、好ましくは水素原子である。水酸基の保護基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ジメチルテキシルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、及びt−ブチルメトキシフェニルシリル基等の置換シリル基;メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、メチルチオメチル基、t−ブチルチオメチル基、β−トリクロロエチルオキシメチル基、トリメチルシリルエトキシメチル基、p−メトキシベンジルオキシメチル基、及びp−クロロベンジルオキシメチル基等の置換メチル基;並びにテトラヒドロフリル、及びテトラヒドロピラニル基等の2−オキサシクロアルキル基が挙げられる。中でもトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ジメチルテキシルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、及びt−ブチルメトキシフェニルシリル基等の置換シリル基;メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、メチルチオメチル基、t−ブチルチオメチル基、β−トリクロロエチルオキシメチル基、トリメチルシリルエトキシメチル基、p−メトキシベンジルオキシメチル基、及びp−クロロベンジルオキシメチル基等の置換メチル基;並びにテトラヒドロフリル、及びテトラヒドロピラニル基等の2−オキサシクロアルキル基が、好ましい水酸基の保護基である。また、n及びn′は、それぞれ0〜3の整数を表し、好ましくはそれぞれ0である。
【0017】
2における−(CH2)n−COORx(ここで、nは、0〜3の整数を表し、Rxは、水素原子、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す)としては、例えばカルボキシル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニルプロピル基、及び3−エトキシカルボニルプロピル基などが、挙げられる。なかでも、カルボキシル基、カルボキシメチル基が好ましい。
【0018】
2における−(CH2)n −ORy(ここで、n′は、0〜3の整数を表し、Ryは、水素原子、又は水酸基の保護基を表す)としては、水酸基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、テトラヒドロピラン−2−イルオキシ基、エトキシカルボニルオキシメチル基、t−ブチルジメチルシリルオキシメチル基、テトラヒドロピラン−2−イルオキシメチル基、2−(エトキシカルボニルオキシ)エチル基、2−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル基、2−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)エチル基、3−(エトキシカルボニルオキシ)プロピル基、3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)プロピル基、及び3−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)プロピル基が、挙げられる。なかでも、水酸基、ヒドロキシメチル基が好ましい。
【0019】
2における炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、i−プロピルオキシ基、及びn−プロピルオキシ基が、挙げられる。なかでも、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
【0020】
2は、上述のような定義を有するが、特に水素原子、水酸基、又はメトキシ基であるのが好ましい。
【0021】
3における炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びi−プロピル基が、挙げられ、なかでもメチル基及びエチル基が好ましく、メチル基が、特に好ましい。
【0022】
4における、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよい複素環基、又は置換されていてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基の置換基としては、例えばハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基若しくはアルコキシ基(これらのアルキル基若しくはアルコキシ基は、ハロゲン原子、水酸基、若しくはCOOR7(ここで、R7は、水素原子、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す)で更に置換されていてもよい)、−S(O)q−R6(ここで、qは、0〜2の整数を表し、R6は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す)、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、水酸基、COOR8(ここで、R8は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す)、及びカルバモイル基などが挙げられ、なかでもハロゲン原子、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基若しくはアルコキシ基(これらの基は、水酸基、カルボキシル基、又はハロゲン原子で更に置換されていてもよい)、カルボキシル基、水酸基、COOR8(ここで、R8は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す)、及びカルバモイル基などが好ましく、特にフッ素原子、塩素原子、水酸基、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、カルボキシメチル基、メトキシ基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、及びカルバモイル基が好ましい。
【0023】
4における置換されていてもよいアリール基とは、同一又は異なって、前記の置換基で、モノ、ジ若しくはトリ−置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基であり、例えばフェニル基、及びナフチル基が挙げられる。なかでも、同一又は異なって、前記の置換基で、モノ、ジ若しくはトリ−置換されていてもよいフェニル基が好ましく、なかでも4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、3−メトキシカルボニルフェニル基、3−カルボキシフェニル基、3−カルボキシメチルフェニル基、4−エチル−3−カルボキシフェニル基、4−ヒドロキシ−3−カルボキシフェニル基、3−ヒドロキシメチルフェニル基、2−(2−ヒドロキシエチル)フェニル基、2−カルボキシメチルフェニル基、3−カルボキシ−4−トリフルオロメチルフェニル基及び3−メトキシカルボニル−4−トリフルオロメチルフェニル基が特に好ましい。
【0024】
4における置換されていてもよい複素環基における複素環基とは、同一又は異なって、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子などのヘテロ原子を1、2又は3個含む5〜10員の、単環又は二環の複素環基であり、例えばピリジル基、ピペラジニル基、ピペリジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、ピラニル基、フリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、チオキサゾリル基、チエニル基、インドリル基、キノリル基、ベンゾピラニル基、ベンゾフラニル基、及びベンゾチエニル基などが挙げられる。なかでも、同一又は異なって、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子などのヘテロ原子を1又は2個含む、5又は6員の単環式複素芳香環基が好ましい。R4における置換されていてもよい複素環基としては、カルボキシル基、COOR8(ここで、R8は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す)、又はハロゲン原子で置換されていてもよいピリジル基;カルボキシル基、COOR8(ここで、R8は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す)、又はハロゲン原子で置換されていてもよいチエニル基;及びカルボキシル基、COOR8(ここで、R8は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す)、又はハロゲン原子で置換されていてもよいフリル基が特に好ましく、2−カルボキシピリジン−5−イル基、2−クロロチオフェン−5−イル基、6−カルボキシピリジン−2−イル基、6−メトキシカルボニルピリジン−2−イル基、5−エトキシカルボニルフラン−2−イル基、及び5−カルボキシフラン−2−イル基が、更に特に好ましい。
【0025】
4における置換されていてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基における炭素数3〜6のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が挙げられる。なかでもシクロヘキシル基が、好ましい。
【0026】
代表的には、R4としては、置換されていてもよいアリール基、特にモノ若しくはジ−置換されていてもよいフェニル基、並びに置換されていてもよい複素環基、特に置換されていてもよい、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子を1個含む、5若しくは6員の単環式複素芳香環基が好ましく、なかでも炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基若しくはアルコキシ基(これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、若しくはカルボキシル基で更に置換されていてもよい)、カルボキシル基、水酸基、COOR8(ここで、R8は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す)、ハロゲン原子、又はカルバモイル基でモノ若しくはジ−置換されていてもよいフェニル基、並びにハロゲン原子、カルボキシル基、又はCOOR8(ここで、R8は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す)でモノ置換されていてもよいピリジル基;ハロゲン原子、カルボキシル基、又はCOOR8(ここで、R8は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す)でモノ置換されていてもよいチエニル基;及びハロゲン原子、カルボキシル基、又はCOOR8(ここで、R8は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す)でモノ置換されていてもよいフリル基が好ましく、特に4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基、3−メトキシカルボニルフェニル基、3−カルボキシフェニル基、3−カルボキシメチルフェニル基、4−エチル−3−カルボキシフェニル基、4−ヒドロキシ−3−カルボキシフェニル基、3−ヒドロキシメチルフェニル基、2−(2−ヒドロキシエチル)フェニル基、2−カルボキシメチルフェニル基、4−エチル−3−メトキシカルボニルフェニル基、4−エチル−3−カルボキシルフェニル基、3−カルバモイルフェニル基、4−トリフルオロメチル−3−メトキシカルボニルフェニル基、4−トリフルオロメチル−3−カルボキシルフェニル基、2−クロロチオフェン−5−イル基、6−カルボキシピリジン−2−イル基、6−メトキシカルボニルピリジン−2−イル基、5−エトキシカルボニルフラン−2−イル基、及び5−カルボキシルフラン−2−イル基が好ましい。
【0027】
一般式(I)の化合物中、R1が、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はアリール基であり、R3が、メチル基である化合物、特にR1が、置換基としてフッ素原子を有していてもよい、炭素数1〜6、特に炭素数2〜4の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はフェニル基であり、R2が、水素原子、水酸基、又はメトキシ基であり、R3が、メチル基であり、更にR4が、置換されていてもよいアリール基若しくは置換されていてもよい複素環基である化合物が、特に好ましい。
【0028】
また一般式(I)の化合物には、E体とZ体の化合物があるが、いずれも本発明に包含される。
【0029】
一般式(I)で示される化合物としては、(Z)−1−(4−メトキシベンジリデン)−2−n−プロピル−5−メタンスルホニル−1H−インデン;(E)−1−(4−メトキシベンジリデン)−2−n−プロピル−5−メタンスルホニル−1H−インデン;(Z)−1−(4−フルオロベンジリデン)−2−n−プロピル−5−メタンスルホニル−1H−インデン;(E)−1−(4−フルオロベンジリデン)−2−n−プロピル−5−メタンスルホニル−1H−インデン;1−(2−クロロチオフェン−5−イル)メチレン−2−n−プロピル−5−メタンスルホニル−1H−インデン;(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン;(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン;1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1H−インデン;1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1H−インデン;(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1H−インデン;(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1H−インデン;(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(2−メチルプロピル)−1H−インデン;(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(2−メチルプロピル)−1H−インデン;(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−ブチル−1H−インデン;(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−ブチル−1H−インデン;(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−エチル−1H−インデン;(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−エチル−1H−インデン;(Z)−1−(3−(カルボキシルメチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン;(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−フェニル−1H−インデン;(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−フェニル−1H−インデン;(Z)−1−((6−(メトキシカルボニル)ピリジン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン;(Z)−1−((6−カルボキシルピリジン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン;(Z)−1−(4−フルオロベンジリデン)−5−メタンスルホニル−4−メトキシ−2−n−プロピル−1H−インデン;(Z)−1−(4−フルオロベンジリデン)−4−ヒドロキシ−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:(Z)−1−(3−ヒドロキシメチルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:(Z)−1−(4−エチル−3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:(Z)−1−(4−エチル−3−カルボキシベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:(Z)−1−(3−カルボキシル−4−ヒドロキシベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:(Z)−3−((5−メタンスルホニル−2−n−プロピルインデン−1−イリデン)メチル)フェニルカルボキサミド:(Z)−1−(2−(2−ヒドロキシエチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:(Z)−1−(2−(カルボキシルメチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:(Z)−1−((5−(エトキシカルボニル)フラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:(E)−1−((5−(エトキシカルボニル)フラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:(Z)−1−((5−カルボキシルフラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:(E)−1−((5−カルボキシルフラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:(Z)−1−(3−メトキシカルボニル−4−トリフルオロメチルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:(Z)−1−(3−カルボキシル−4−トリフルオロメチルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:(Z)−1−(4−エチル−3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−ブチル−1H−インデン:及び(Z)−1−(3−カルボキシル−4−エチルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−ブチル−1H−インデン並びにその薬学的に許容しうる塩、並びにそれらの水和物が、好ましい。
【0030】
本発明の化合物は、上記の式(I)の化合物の薬学的に許容しうる塩、又はそれらの水和物としても得ることができる。薬学的に許容しうる塩としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属との塩、並びに無機酸及び有機酸との塩を挙げることができる。アルカリ金属及びアルカリ土類金属との塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩を特に挙げることができる。無機酸との塩としては、塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸などとの塩、そして有機酸との塩としては、酢酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、マロン酸、トリフルオロ酢酸などとの塩を挙げることができる。
【0031】
本発明はまた、式(I)の化合物を製造するために有用な中間体である、一般式(II):
【0032】
【化4】
Figure 0004264144
【0033】
〔式中、R1は、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルケニル基、−(CH2)m−R5(ここで、mは、0〜3の整数を表し、R5は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す)、又はアリール基を表し;R2は、水素原子、−(CH2)n−COORx、−(CH2)n −ORy、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基を表し、ここでn及びn′は、それぞれ0〜3の整数を表し、Rxは、水素原子、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し、Ryは水素原子、又は水酸基の保護基を表し;そしてR3は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す〕
で示される化合物若しくはその薬学的に許容しうる塩、又はそれらの水和物にも関する。
【0034】
式(II)の化合物において、R1及びR3は、式(I)と同一の定義を有する。
【0035】
式(II)の化合物において、R2は、水素原子、−(CH2)n−COORx、−(CH2)n −ORy、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基を表す。ここでRxは、水素原子、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、及びi−プロピル基であり、好ましくはメチル基、及びエチル基である。また、Ryは、水素原子、又は水酸基の保護基を表し、好ましくは水酸基の保護基である。水酸基の保護基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ジメチルテキシルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、及びt−ブチルメトキシフェニルシリル基等の置換シリル基;メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、メチルチオメチル基、t−ブチルチオメチル基、β−トリクロロエチルオキシメチル基、トリメチルシリルエトキシメチル基、p−メトキシベンジルオキシメチル基、及びp−クロロベンジルオキシメチル基等の置換メチル基;並びにテトラヒドロフリル、及びテトラヒドロピラニル基等の2−オキサシクロアルキル基が挙げられる。中でもトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ジメチルテキシルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、及びt−ブチルメトキシフェニルシリル基等の置換シリル基;メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、メチルチオメチル基、t−ブチルチオメチル基、β−トリクロロエチルオキシメチル基、トリメチルシリルエトキシメチル基、p−メトキシベンジルオキシメチル基、及びp−クロロベンジルオキシメチル基等の置換メチル基;並びにテトラヒドロフリル、及びテトラヒドロピラニル基等の2−オキサシクロアルキル基が、好ましい水酸基の保護基である。また、n及びn′は、それぞれ0〜3の整数を表し、好ましくはそれぞれ0である。
【0036】
さらに式(II)の化合物のR2の定義における炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、i−プロピルオキシ基、及びn−プロピルオキシ基などが、挙げられる。なかでも、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。このアルコキシ基中のアルキル基は、水酸基の保護基としても機能することができる。
【0037】
代表的には、R2としては、水素原子、及び炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、及びi−プロピルオキシ基など)が好ましく、水素原子、及びメトキシ基が特に好ましい。
【0038】
本発明の式(II)の化合物は、上記の式(II)の化合物の薬学的に許容しうる塩、又はそれらの水和物としても得ることができる。薬学的に許容しうる塩としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を挙げることができ、なかでもナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩を特に挙げることができる。
【0039】
本発明の化合物は、以下の反応式1−1に基づき、所望の基を有する試薬を用いることによって調製することができる。
【0040】
【化5】
Figure 0004264144
【0041】
〔式中、R1は、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルケニル基、−(CH2)m−R5(ここで、mは、0〜3の整数を表し、R5は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す)、又はアリール基を表し;R2は、水素原子、−(CH2)n−COORx、−(CH2)n −ORy、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基を表し、ここでn及びn′は、それぞれ0〜3の整数を表し、Rxは、水素原子、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し、Ryは、水素原子、又は水酸基の保護基を表し;R3は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し;R4は、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよい複素環基、又は置換されていてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基を表し;Xは、ハロゲン原子を表す〕
【0042】
化合物1から化合物2への変換は、所望の基R2を4位に有する化合物1(ここで、Xは、ハロゲン原子を表す)を塩基処理した後に、導入する基R3に応じて、ジ(C1-3アルキル)ジスルフィドを加え、更に求核性塩基を加えることにより行う。例えば、基R3としてメチル基を導入する場合は、ジ(C1-3アルキル)ジスルフィドとして、ジメチルジスルフィドを用いる。塩基としては、水素化カリウム、水素化ナトリウム、カリウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、リチウムジイソプロピルアミドなどを用いるが、好ましくは水素化カリウムを用いる。求核性塩基としては、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、金属ナトリウムなどを用いるが、好ましくはt−ブチルリチウムを用いる。反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、エーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなどを用いるが、好ましくはテトラヒドロフランを用いる。反応は、−100〜30℃で行うが、好ましくは、塩基処理のときは−10〜10℃で、求核性塩基処理のときは−78〜−40℃でそれぞれ行う。
【0043】
次に、R1が水素原子以外である化合物を目的とする場合は、化合物2を化合物3へ変換する。化合物2から化合物3への変換は、化合物2を塩基処理した後に化合物R1X(ここで、R1は、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルケニル基、−(CH2)m−R5(ここで、mは、0〜3の整数を表し、R5は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す)、又はアリール基を表し;Xは、ハロゲン原子を表す)と反応させて基R1を導入することによって行う。例えば、n−プロピル基を導入する場合には、ハロゲン化n−プロピルを用いる。ハロゲン化n−プロピルとしては、塩化n−プロピル、臭化n−プロピル、ヨウ化n−プロピルなどを用いることができるが、好ましくはヨウ化n−プロピルを用いる。塩基としては、水素化カリウム、水素化ナトリウム、カリウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、リチウムジイソプロピルアミドなどを用いるが、好ましくは水素化カリウムを用いる。溶媒としては、テトラヒドロフラン、エーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどを用いるが、好ましくはテトラヒドロフランを用いる。反応は、−100〜30℃で行うが、好ましくは−10〜10℃で行う。
【0044】
化合物2又は3から化合物4への変換は、化合物3にハロゲン化剤とラジカル開始剤を加えて行うハロゲン化反応、そしてその後の塩基処理による脱離反応により行う。ハロゲン化剤としては、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、N−クロロスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド、N−ブロモアセトアミドなどを用いることができるが、好ましくはN−ブロモスクシンイミドを用いる。ラジカル開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイルを用いる。ハロゲン化反応における溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタンなどを用いることができるが、好ましくはテトラクロロエタンを用いる。ハロゲン化反応は、20〜100℃で行うが、好ましくは30〜80℃で行う。塩基としては、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)、ヨウ化ナトリウム、トリエチルアミンなどを用いることができるが、好ましくは、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセンを用いる。脱離反応の溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラクロロメタンなどを用いることができるが、好ましくはトルエンを用いる。脱離反応は、50〜150℃で行うが、好ましくは80〜95℃で行う。
【0045】
化合物4から化合物5への変換は、所望の基R4を有する化合物:R4CH2PPh3Clを塩基処理した後に、それを上記で得た化合物4と反応させて、基R4CH=を導入することにより行う。
【0046】
塩基としては、水素化カリウム、水素化ナトリウム、カリウムビストリメチルシリルアミド(KHMDS)、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、n−ブチルリチウムなどを用いることができるが、好ましくはカリウムビストリメチルシリルアミド(KHMDS)、n−ブチルリチウムなどを用いる。反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、エーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどを用い、好ましくは、テトラヒドロフラン又はトルエンを用いる。反応は、−10〜30℃で行うが、好ましくは−10〜10℃で行う。
【0047】
化合物5から化合物6への変換は、化合物5を酸化することにより行う。酸化剤としては、好ましくは3−クロロ過安息香酸(mCPBA)、OXONE(登録商標)などを用いる。反応溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、水、又はこれらの混合溶媒などを用いるが、好ましくは、酸化剤として3−クロロ過安息香酸を用いる場合には、クロロホルムを、酸化剤としてOXONEを用いる場合には、テトラヒドロフランと水の混合溶媒を用いる。反応は、−10〜30℃で行うが、好ましくは0〜30℃で行う。
【0048】
また、上記の反応式1−1における中間化合物である化合物4は、以下の反応式1−2に基づき、化合物2から出発して、所望の基を有する試薬を用いることによっても調製することができる。
【0049】
【化6】
Figure 0004264144
【0050】
〔式中、R1は、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルケニル基、−(CH2)m−R5(ここで、mは、0〜3の整数を表し、R5は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す)、又はアリール基を表し;R2は、水素原子、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基を表し;R3は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し;Xは、ハロゲン原子を表す〕
【0051】
化合物2から化合物7への変換は、化合物2とヒドラジンを反応させることにより行う。この反応では酸及び(又は)脱水剤が共存していてもよい。ヒドラジンは1,1−ジアルキルヒドラジンを用い、好ましくは1,1−ジメチルヒドラジンを用いる。酸は硫酸などの無機酸や、p−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸などの有機酸を用い、好ましくはp−トルエンスルホン酸を用いる。脱水剤は無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム、モレキュラーシーブスなどを用い、好ましくは無水硫酸ナトリウムを用いる。反応溶媒はエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラクロロメタン、クロロホルム、ジクロロメタンを用い、好ましくはトルエンを用いる。反応は20〜150℃で行い、好ましくは80〜120℃で行う。
【0052】
化合物7から化合物3への変換は、化合物7を塩基処理した後に化合物R1X(ここで、R1は、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルケニル基、−(CH2)m−R5(ここで、mは、0〜3の整数を表し、R5は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す)、又はアリール基を表し;Xは、ハロゲン原子を表す)と反応させて基R1を導入した後、酸加水分解することによって行う。塩基としてはn−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、カリウム(ビストリメチルシリル)アミド、ナトリウム(ビストリメチルシリル)アミド、リチウム(ビストリメチルシリル)アミド、水素化カリウム、水素化ナトリウムなどを用い、好ましくは、n−ブチルリチウム、又はリチウムジイソプロピルアミドを用いる。塩基処理における反応溶媒としては、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、トルエンなどを用い、好ましくは、テトラヒドロフランを用いる。反応は−100〜0℃で行い、好ましくは−78〜−40℃で行う。酸加水分解に用いる酸は、塩酸、硫酸、硝酸などを用い、好ましくは、硫酸を用いる。酸加水分解反応における溶媒としてはメタノール、エタノール、水、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどを用いるが、好ましくは水を用いる。反応は20〜150℃で行い、好ましくは60〜100℃で行う。なお、化合物7から化合物3への変換において、基R1を導入する工程を省略することによって、R1が水素原子である、化合物3を得ることができる。
【0053】
化合物3から化合物4への変換は、化合物3をハロゲンと反応させた後、塩基処理することにより行う。ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素などを用い、好ましくは臭素を用いる。ハロゲン化反応における反応溶媒はエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラクロロメタン、クロロホルム、ジクロロメタンを用い、好ましくはテトラヒドロフランを用いる。反応は−40〜20℃で行い、好ましくは−10〜10℃で行う。塩基としては、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどを用い、好ましくは1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)を用いる。塩基処理における反応溶媒はエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラクロロメタン、クロロホルム、ジクロロメタンを用い、好ましくはテトラヒドロフランを用いる。反応は0〜60℃で行い、好ましくは0〜30℃で行う。
【0054】
また、上記の反応式1−1における中間化合物である化合物4は、以下の反応式1−3に基づき、化合物2から出発して、所望の基を有する試薬を用いることによっても調製することができる。
【0055】
【化7】
Figure 0004264144
【0056】
〔式中、R1は、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数2〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、−(CH2)m−R5(ここで、mは、0〜3の整数を表し、R5は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す)、又はアリール基を表し;R2は、水素原子、−(CH2)n−COOH、−(CH2)n −ORy、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基を表し、ここでn及びn′は、それぞれ0〜3の整数を表し、Ryは、水素原子、又は水酸基の保護基を表し;R3は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し;そしてRは、Rとインダノン環との間にメチレン基を付加することによりR1となる基を表す〕
【0057】
化合物2から化合物8への変換は、化合物2とアルデヒドを塩基処理することにより行う。アルデヒドとしてはアルデヒド:RCHO(ここで、Rは、前記と同一の定義を有する)を用い、好ましくはn−ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドを用いる。RCHOとしてn−ブチルアルデヒド(すなわちRがn−ブチル基である)を用いた場合、R1は、n−ペンチル基となる。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウムなどを用い、好ましくは水酸化ナトリウムを用いる。反応溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド若しくはこれらの混合溶媒などを用いるが、好ましくは水を用いる。反応は0〜100℃で行い、好ましくは、20〜80℃で行う。
【0058】
化合物8から化合物3への変換は、化合物8を水素雰囲気下、接触還元することにより行う。接触還元に用いる触媒としては、パラジウム炭素、白金炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム、酸化白金、ヘキサクロロ白金(IV)酸、ラネーニッケル、トリス(トリフェニルホスフィン)クロロロジウムなどを用い、好ましくはパラジウム炭素を用いる。反応溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、酢酸エチル若しくはこれらの混合溶媒などを用いるが、好ましくは酢酸エチルを用いる。反応は0〜100℃で行い、好ましくは、20〜80℃で行う。反応は1気圧から5気圧で行い、好ましくは、1気圧で行う。
【0059】
化合物3から化合物4への変換は、化合物3をハロゲンと反応させた後、塩基処理することにより行う。ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素などを用い、好ましくは臭素を用いる。ハロゲンと反応させる際の反応溶媒はエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラクロロメタン、クロロホルム、ジクロロメタンを用い、好ましくはテトラヒドロフランを用いる。反応は−40〜20℃で行い、好ましく−10〜10℃で行う。塩基としては、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどを用い、好ましくは1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)を用いる。塩基処理の際の反応溶媒はエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラクロロメタン、クロロホルム、ジクロロメタンを用い、好ましくはテトラヒドロフランを用いる。反応は0〜60℃で行い、好ましくは0〜30℃で行う。
【0060】
上記の反応式1−1における中間化合物である化合物3であって、R1がフェニル基であり、R2が水素原子である化合物は、以下の反応式1−4に基づき、所望の基を有する試薬を用いることによっても調製することができる。
【0061】
【化8】
Figure 0004264144
【0062】
〔式中、R1は、フェニル基を表し;R3は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し;Raは、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し;X及びYは、それぞれ独立して、ハロゲン原子を表す〕
【0063】
化合物9から化合物10への変換は、化合物9を塩基処理した後、ハロゲン化アルキルを反応させることにより行う。塩基としてはリチウムジイソプロピルアミド、カリウム(ビストリメチルシリル)アミド、ナトリウム(ビストリメチルシリル)アミド、リチウム(ビストリメチルシリル)アミド(LHMDS)、水素化カリウム、水素化ナトリウムなどを用い、好ましくは、リチウム(ビストリメチルシリル)アミド(LHMDS)を用いる。ハロゲン化アルキルとしてはハロゲンで置換されたアリールアルキルハライドを用い、好ましくは、3−ブロモベンジルブロミドなどのハロゲン置換ベンジルブロミドを用いる。反応溶媒としては、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、トルエンなどを用い、好ましくは、テトラヒドロフランを用いる。反応は−100〜0℃で行い、好ましくは−78〜−40℃で行う。
【0064】
化合物10から化合物11への変換は、化合物10を塩基処理により加水分解することにより行う。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウムなどを用い、好ましくは水酸化ナトリウムを用いる。反応溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン若しくはこれらの混合溶媒などを用いるが、好ましくは水及びエタノールの混合溶媒を用いる。反応は0〜100℃で行い、好ましくは、20〜80℃で行う。
【0065】
化合物11から化合物12への変換は、化合物をハロゲン化剤で酸ハロゲン化物とした後、ルイス酸で環化させることにより行う。ハロゲン化剤としては塩化チオニル、五塩化リン、オキシ塩化リンなどを用い、好ましくは、塩化チオニルを用いる。酸ハロゲン化物とする際の反応溶媒としては、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、テトラクロロメタン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミドなどを用いるが、好ましくはクロロホルムを用いる。反応は30〜120℃で行い、好ましくは、50〜100℃で行う。環化に用いるルイス酸は塩化アルミニウム、四塩化スズ、四塩化チタンなどを用い、好ましくは塩化アルミニウムを用いる。環化の際の反応溶媒としては、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、テトラクロロメタン、クロロホルム、ジクロロメタンなどを用いるが、好ましくはクロロホルムを用いる。反応は−30〜40℃で行い、好ましくは、−10〜20℃で行う。
【0066】
化合物12から化合物3への変換は、化合物12に、所望の基R3を有する金属チオアルコキシドを反応させることにより行う。金属チオアルコキシドとしてはナトリウムチオアルコキシドを用い、基R3としてメチル基を導入する場合には、ナトリウムチオメトキシドを用いる。反応溶媒としては、水、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、テトラクロロメタン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド若しくはこれらの混合溶媒などを用いるが、好ましくはジメチルホルムアミドを用いる。反応は−10〜100℃で行い、好ましくは0〜50℃で行う。
【0067】
また、上記の反応式1−1における中間化合物である化合物3は、以下の反応式1−5に基づき、所望の基を有する試薬を用いることによっても調製することができる。
【0068】
【化9】
Figure 0004264144
【0069】
〔式中、R1は、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルケニル基、−(CH2)m−R5(ここで、mは、0〜3の整数を表し、R5は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す)、又はアリール基を表し;R2は、水素原子、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基を表し;R3は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し;Rbは、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し、Xは、ハロゲン原子を表す〕
【0070】
化合物13から化合物14への変換は、塩基存在下、所望の基R1(ここでR1は、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルケニル基、−(CH2)m−R5(ここで、mは、0〜3の整数を表し、R5は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す)、又はアリール基を表す)を有する化合物R1Xを作用させたアルキルリン酸エステルを、所望の基R2及びR3を有する置換ベンズアルデヒドと反応させた後、還元することにより行う。塩基としてはリチウムジイソプロピルアミド、カリウム(ビストリメチルシリル)アミド、ナトリウム(ビストリメチルシリル)アミド、リチウム(ビストリメチルシリル)アミド、水素化カリウム、水素化ナトリウムなどを用い、好ましくは、水素化ナトリウムを用いる。化合物R1XにおけるXとしては、ヨウ素原子が好ましく、基R1としてプロピル基を導入する場合には、好ましくは、ヨウ化プロピルを用いる。基R1を有するアルキルリン酸エステルの調製及び置換ベンズアルデヒドとの反応の際の反応溶媒としては、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどを用いるが、好ましくはテトラヒドロフランを用いる。反応は0〜80℃で行い、好ましくは10〜50℃で行う。置換ベンズアルデヒドとしては、所望の基R1及びR2を有する、1及び2置換ベンズアルデヒドを用い、好ましくは2−メトキシ−3−メチルチオベンズアルデヒド等の2置換ベンズアルデヒドを用いる。このときの反応は−10〜50℃で行い、好ましくは0〜40℃で行う。還元はアルコール中金属を作用させることにより行う。還元における反応溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどを用い、好ましくはメタノールを用いる。金属は好ましくは、マグネシウムを用いる。反応は0〜80℃で行い、好ましくは10〜50℃で行う。なお、化合物13から化合物14への変換において、反応系中に基R1を有する化合物R1Xを共存させないことによって、R1が水素原子である化合物14を得ることができる。
【0071】
化合物14から化合物15への変換は、化合物14を塩基処理により加水分解することにより行う。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウムなどを用い、好ましくは水酸化ナトリウムを用いる。反応溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン若しくはこれらの混合溶媒などを用いるが、好ましくは水及びエタノールの混合溶媒を用いる。反応は0〜100℃で行い、好ましくは、20〜80℃で行う。
【0072】
化合物15から化合物3への変換は、化合物15をハロゲン化剤で酸ハロゲン化物とした後、ルイス酸で環化させることにより行う。ハロゲン化剤としては塩化チオニル、五塩化リン、オキシ塩化リンなどを用い、好ましくは、塩化チオニルを用いる。酸ハロゲン化物とする際の反応溶媒としては、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、テトラクロロメタン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミドなどを用いるが、好ましくはクロロホルムを用いる。反応は30〜120℃で行い、好ましくは、50〜100℃で行う。環化に用いるルイス酸は塩化アルミニウム、四塩化スズ、四塩化チタンなどを用い、好ましくは塩化アルミニウムを用いる。環化における反応溶媒としては、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、テトラクロロメタン、クロロホルム、ジクロロメタンなどを用いるが、好ましくはクロロホルムを用いる。反応は−30〜40℃で行い、好ましくは、−10〜20℃で行う。
【0073】
本発明の式(I)の化合物のうち、R4が、カルボキシル基で置換されているアリール基、又はカルボキシル基で置換されている複素環基である化合物は、以下に示す反応式2に基づき、所望の試薬を用いることによって調製することができる。
【0074】
【化10】
Figure 0004264144
【0075】
〔式中、R1は、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルケニル基、−(CH2)m−R5(ここで、mは、0〜3の整数を表し、R5は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す)、又はアリール基を表し;R2は、水素原子、−(CH2)n−COORx、−(CH2)n −ORy、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基を表し、ここでn及びn′は、それぞれ0〜3の整数を表し、Rxは、水素原子、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し、Ryは、水素原子、又は水酸基の保護基を表し;R3は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し;R8は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を示し;Zは、置換されていてもよい、フェニル基及びナフチル基などのアリール基、又は置換されていてもよいピリジル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フリル基、オキサゾリル基、チオキサゾリル基、及びチエニル基などの複素環基を表し;X1は、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子などのハロゲン原子;水酸基;−OCORf(ここで、Rfは、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基などの、炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す);又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を表す〕
【0076】
化合物2−1から化合物2−2への変換は、化合物2−1を塩基処理し、加水分解することにより行う。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウムなどを用い、好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化リチウムを用いる。反応溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン若しくはこれらの混合溶媒などを用いるが、好ましくは水及びテトラヒドロフランの混合溶媒又は水及びジオキサンの混合溶媒を用いる。反応は0〜40℃で行い、好ましくは0〜10℃で行う。
【0077】
なお、R2におけるRyが、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基、又はベンジルオキシカルボニル基などのアラルキルオキシカルボニル基である場合、あるいはR2におけるRxが、メチル基、エチル基などの炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基である場合、化合物2−1から化合物2−2への変換反応と同時に、これらの基の脱離(脱保護)が起きることもあり得る。
【0078】
本発明の式(I)の化合物であって、R4が、末端にカルボキシル基を有する炭素数1〜4の直鎖アルキル基で置換されており、ハロゲン原子、あるいは炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基で更に置換されていてもよいアリール基である化合物は、以下に示す反応式3に基づき、所望の試薬を用いることによって調製することができる。
【0079】
【化11】
Figure 0004264144
【0080】
〔式中、R1は、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルケニル基、−(CH2)m−R5(ここで、mは、0〜3の整数を表し、R5は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す)、又はアリール基を表し;R2は、水素原子、−(CH2)n−COORx、−(CH2)n −ORy、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基を表し、ここでn及びn′は、それぞれ0〜3の整数を表し、Rxは、水素原子、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し、Ryは、水素原子、又は水酸基の保護基を表し;R3は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し;Rc、Rd、及びReは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、i−プロピル基、tert−ブチル基、フェニル基、若しくはベンジル基を表し;Arは、フェニル基及びナフチル基などのアリール基を表し;Xは、ハロゲン原子を表し;X3は、水素原子、ハロゲン原子、あるいは炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基を表す〕
【0081】
化合物3−1から化合物3−2への変換は、化合物3−1を塩基存在下、シリルハライドを作用させることにより行う。塩基はイミダゾール、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどを用い、好ましくは、イミダゾールを用いる。シリルハライドとしては、tert−ブチルジメチルシリルクロリド、トリメチルシリルクロリド、トリエチルシリルクロリド、tert−ブチルジフェニルシリルクロリドなどを用い、好ましくは、tert−ブチルジメチルシリルクロリドを用いる。反応溶媒としては、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、テトラクロロメタン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどを用いるが、好ましくはジメチルホルムアミドを用いる。反応は0〜100℃で行い、好ましくは、0〜20℃で行う。
【0082】
化合物3−2から化合物3−3への変換は、化合物3−2をトリフェニルホスフィンと反応させることにより行う。反応溶媒としては、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、テトラクロロメタン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどを用いるが、好ましくはトルエンを用いる。反応は20〜120℃で行い、好ましくは、80〜120℃で行う。
【0083】
化合物3−3から化合物3−4への変換は、化合物3−3を、塩基処理した後に、所望の基R1、R2、及びR3を有する置換インデノンと反応させて、基R4CH=(ここで、R4における置換基は、tert−ブチルジメチルシリル基等の置換シリル基で保護されていてもよい、炭素数2〜5のω−ヒドロキシアルキル基であり、好ましくはt−ブチルジメチルシリル基で保護された2−ヒドロキシエチル基を含む)を置換インデノンに導入し、得られた化合物のスルフィドを酸化すると同時に置換シリル基を脱離させ、更に水酸基を酸化することにより行う。塩基としてはリチウムジイソプロピルアミド、カリウム(ビストリメチルシリル)アミド(KHMDS)、ナトリウム(ビストリメチルシリル)アミド、リチウム(ビストリメチルシリル)アミド、水素化カリウム、水素化ナトリウムなどを用い、好ましくは、カリウム(ビストリメチルシリル)アミド(KHMDS)を用いる。塩基処理及び置換インデノンとの反応における反応溶媒としては、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ベンゼン、トルエンなどを用い、好ましくは、トルエンを用いる。反応は0〜20℃で塩基処理を行い、置換インデノンとの反応は0〜120℃で行い、好ましくは、80〜120℃で行う。スルフィドの酸化は、酸化剤として3−クロロ過安息香酸、OXONE、モノ過酸化フタル酸マグネシウム(MMPP)などを用い、好ましくは、OXONEを用いる。スルフィドの酸化における反応溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム若しくはこれらの混合溶媒などを用いるが、好ましくは水及びテトラヒドロフランの混合溶媒を用いる。反応は−10〜50℃で行い、好ましくは、0〜30℃で行う。水酸基の酸化は、酸化剤として、1,1,1−トリス(アセチルオキシ)−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン(Dess-Martin試薬)、ピリジニウムジクロメート、ピリジニウムクロロクロメートなどを用い、好ましくは、1,1,1−トリス(アセチルオキシ)−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン(Dess-Martin試薬)を用いる。水酸基の酸化における反応溶媒としては、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルムなどを用いるが、好ましくはジクロロメタンを用いる。反応は−10〜50℃で行い、好ましくは、0〜30℃で行う。
【0084】
化合物3−4から化合物3−5への変換は、化合物3−4を酸化することにより行う。酸化剤は亜塩素酸ナトリウム、2−メチル−2−ブテン及びリン酸二水素ナトリウムの組み合わせ、ピリジニウムジクロメート、クロム酸及び硫酸の組み合わせなどを用い、好ましくは、亜塩素酸ナトリウム、2−メチル−2−ブテン及びリン酸二水素ナトリウムの組み合わせを用いる。反応溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、アセトン若しくはこれらの混合溶媒などを用いるが、好ましくは水及びtert−ブタノールの混合溶媒を用いる。反応は0〜50℃で行い、好ましくは、0〜30℃で行う。
【0085】
本発明の式(I)の化合物のうち、R4がカルバモイル基で置換されているアリール基である化合物は、以下に示す反応式4に基づき、所望の試薬を用いることによって調製することができる。
【0086】
【化12】
Figure 0004264144
【0087】
〔式中、R1は、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数3〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルケニル基、−(CH2)m−R5(ここで、mは、0〜3の整数を表し、R5は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す)、又はアリール基を表し;R2は、水素原子、−(CH2)n −ORy、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基を表し、ここでn′は、0〜3の整数を表し、Ryは、水素原子、又は水酸基の保護基を表し;R3は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し;X2は、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子などのハロゲン原子;水酸基;又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を表し;Arは、フェニル基及びナフチル基などのアリール基を表し;Rgは、メチル基、エチル基、イソプロピル基などの炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す〕
【0088】
化合物5−1から化合物5−2への変換は、化合物5−1をクロロ炭酸エステル(ここでRgは、メチル基、エチル基、イソプロピル基などの炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す)および塩基で処理した後に、アンモニアガスまたはアンモニア水を加えることにより行う。クロロ炭酸エステルとしては、好ましくはクロロ炭酸エチルを用いる。塩基としてはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンなどを用いるが、好ましくはトリエチルアミンを用いる。反応溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、エーテル、シオキサンなどを用いるが、好ましくはジクロロメタンを用いる。反応は、−10〜50℃で行うが、好ましくは−10〜30℃で行う。
【0089】
本発明の式(I)の化合物において、R1がビニル基である(すなわち炭素数2のアルケニル基である)化合物は、R1が2−ブロモエチル基若しくは2−ヨードエチル基などの2−ハロエチル基である化合物4を、又はR1が2−ブロモエチル基若しくは2−ヨードエチル基などの2−ハロエチル基である化合物5を、塩基処理することによって得られるR1がビニル基となる化合物を経由して得ることができる。あるいはR1が2−ブロモエチル基若しくは2−ヨードエチル基などの2−ハロエチル基である化合物6を塩基処理することによっても得ることができる。塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、カリウムビストリメチルシリルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン、トリエチルアミンなどを用いることができる。
【0090】
反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、エーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、ベンゼン、キシレン、テトラクロロメタン及びこれらの混合物などを用いることができる。反応は、塩基としてn−ブチルリチウムなどのアルキルリチウムを用いるときは、−100〜5℃で、塩基として水素化ナトリウムなどの金属水素化物を用いるときは、−10〜100℃で、塩基として1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン、トリエチルアミンなどを用いるときは、50〜150℃で行うことができる。
【0091】
また、上記の反応式1−1〜反応式4においては、必要に応じて、分子の他の部分に実質的に悪影響を及ぼさない工程(例えば化合物4、化合物6及び化合物3−5の合成直後が挙げられる)で、基:R2中に含まれる、保護基として機能する基を脱離(脱保護)させることができる。脱保護の方法としては、当業者に周知であり、分子の他の部分に実質的に悪影響を及ぼさない方法のすべてを用いることができるが、例えば、R2中のRxが、炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基である保護基である場合、化合物2−1から化合物2−2への変換反応、化合物10から化合物11への変換反応、化合物14から化合物15への変換反応、及びこれらと同等の効果を有する反応を挙げることができる。また、化合物2−1から化合物2−2への変換反応等を行うことにより、同時にRxの脱離(脱保護)を行うこともできる。
【0092】
基:R2中のRyが、メトキシメチル基もしくはメトキシエトキシメチル基等の置換メチル基、又はテトラヒドロフリル基もしくはテトラヒドロピラニル基等の2−オキサシクロアルキル基である水酸基の保護基である場合、酢酸、塩酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸、ピリジニウムパラトルエンスルホネート(PPTS)若しくは酸性樹脂(例えばアンバリストH−15等が挙げられる)等を用い、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、水、若しくはこれらの2種以上の混合物を溶媒として、10〜100℃、好ましくは15〜60℃の温度で反応させることによる方法を、脱保護の方法として挙げることができる。また、R2中のRyが、トリエチルシリル基もしくはt−ブチルジメチルシリル基等の置換シリル基である水酸基の保護基である場合、フッ素化合物(例えばテトラブチルアンモニウムフロリド等が挙げられる)等を用い、テトラヒドロフラン、アセトニトリル(好ましくはテトラヒドロフランが挙げられる)等を溶媒として、0〜80℃、好ましくは20〜70℃の温度で反応させることによる方法を、脱保護の方法として挙げることができる。
【0093】
2が、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基、すなわちアルキル基で保護されている水酸基である場合、脱保護は脱アルキル化剤で処理することにより行うことができる。脱アルキル化剤としては、三臭化ホウ素又はヨウ化トリメチルシランなどを用いることができるが、好ましくは三臭化ホウ素を用いる。反応溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ベンゼン、トルエンなどを用いることができるが、好ましくはジクロロメタンを用いる。反応は−10〜60℃で行うが、好ましくは−10〜30℃で行う。
【0094】
また、前記で述べた化合物以外の本発明の化合物も、前記の製法と同様或いは製造する目的化合物に応じて適宜一部変更した製法により、製造することができる。
【0095】
また、本発明の化合物は、実施例に記載する具体的な製造法を応用して製造することもできる。
【0096】
本発明の化合物は、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害作用を有し、抗炎症剤として有用である。本発明化合物は、経口、静脈内注射、粘膜適用、経皮適用など経口又は非経口で投与することができる。その場合の投与量は、1日当たり、経口では3〜150mg/kg、非経口では、1〜50mg/kgである。
【0097】
これらの化合物を医薬として投与する場合には、通常の製剤化技術を用いて製剤化することができ、錠剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、座剤、クリーム剤、軟膏剤、水溶液、乳剤、油性剤若しくは懸濁剤などの固体又は液体の剤型として使用することができる。
【0098】
更に、この場合、製剤化において通常使用される添加成分である、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、保存剤、安定剤、浸透圧調整剤、又は基剤などを使用することができる。
【0099】
これらの添加成分の例としては、グルコース、乳糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、流動パラフィン、ポリビニルアルコール、植物油、ポリアルキレングリコールなどを挙げることができる。また、これ以外に医薬成分を含有することもできる。
【0100】
【実施例】
以下に、本発明化合物について、実施例に基づき詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0101】
また、本発明化合物の有用性を示すために、本発明化合物の代表的化合物のCOX−2阻害作用に関する薬理試験の結果を試験例に示す。
【0102】
表1に実施例化合物の化学構造式を示す。
【0103】
【表1】
Figure 0004264144
【0104】
【表2】
Figure 0004264144
【0105】
実施例1:1−(4−メトキシベンジリデン)−2−n−プロピル−5−メタンスルホニル−1H−インデン
工程1−I:5−メチルチオ−1−インダノンの調製
窒素雰囲気下、5−ブロモ−1−インダノン(1.0g)と水素化カリウム(0.54g)のテトラヒドロフラン溶液(22ml)を0℃にて1時間撹拌した後に−78℃に冷却し、ジメチルジスルフィド(0.5ml)を加え、更にt−ブチルリチウム(1.57M、ペンタン溶液6.03ml)を滴下した。反応液を同温で1時間撹拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)を用いて分離して、黄色粉末の目的物(440mg、52%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:2.54(3H, s), 2.70(2H, m), 3.11(2H, m), 7.20(1H, d, J=8.3Hz), 7.26(1H, s), 7.64(1H, d, J=8.3Hz)
【0106】
工程1−II:2−n−プロピル−5−メチルチオ−1−インダノンの調製
窒素雰囲気下、前の工程で得た化合物(250mg)と水素化カリウム(0.18g)のテトラヒドロフラン溶液(5ml)を0℃にて1時間撹拌した後に、ヨウ化n−プロピル(238mg)を加え、更に90分撹拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)を用いて分離して、更にシリカゲル薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)を用いた精製により、黄色油状の目的物(110mg、36%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:0.96(3H, t, J=6.9Hz), 1.48(3H, m), 1.93(1H, m), 2.53(3H, s), 2.73(2H, m), 3.28(1H, m), 7.18(1H, d, J=8.3Hz), 7.23(1H, s), 7.62(1H, d, J=8.3Hz)
【0107】
工程1−III:2−n−プロピル−5−メチルチオ−1−インデノンの調製
前の工程で得た化合物(313mg)、N−ブロモスクシンイミド(252mg)及びアゾビスイソブチロニトリル(2.3mg)のテトラクロロメタン溶液(18ml)を3時間還流し、冷却後濾過し、瀘液を濃縮した。得られた残渣をトルエン(5ml)に溶解し、その溶液に1、8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(204mg)を加え、90℃にて1時間撹拌した後に、水にあけ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)を用いて分離して、黄色粉末の目的物(180mg、58%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:0.96(3H, t, J=7.3Hz), 1.5-1.7(2H, m), 2.24(2H, t, J=7.4Hz), 2.50(3H, s), 6.83(1H, s), 6.89(1H, d, J=7.6Hz), 7.04(1H, s), 7.29(1H, d, J=7.6Hz)
【0108】
工程1−IV:1−(4−メトキシベンジリデン)−2−n−プロピル−5−メチルチオ−1H−インデンの調製
窒素雰囲気下、4−メトキシベンジルトリフェニルホスフィンクロリド(54mg)のエーテル懸濁液(1ml)に0℃にて、n−ブチルリチウム(1.56M、ヘキサン溶液、0.07ml)を滴下し、10分撹拌後に、前の工程で得た化合物(26mg)のテトラヒドロフラン溶液(2ml)を滴下し、室温にて終夜撹拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)を用いて分離して、黄色油状の目的物(17mg、44%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.03(3H, t, J=7.3Hz), 1.6-1.8(2H, m), 2.46(3H, s), 2.56(2H, t, J=7.4Hz), 3.87(3H, s), 6.49(1H, s), 6.77(1H, d, J=7.9Hz), 6.95(2H, d, J=8.6Hz), 7.06(1H, s), 7.14(1H, s), 7.39(1H, d, J=7.9Hz), 7.48(2H, d, J=8.6Hz)
EI-MS m/z: 322(M+)
【0109】
工程1−V:1−(4−メトキシベンジリデン)−2−n−プロピル−5−メタンスルホニル−1H−インデンの調製
前の工程で得た化合物(17mg)のクロロホルム溶液(1ml)に0℃にて、3−クロロ過安息香酸(29mg)を加え、同温にて30分撹拌し、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)を用いて分離して、黄色油状の目的物〔Z体(実施例化合物1A):7mg、40%、E体(実施例化合物1B):1.6mg、9%〕をそれぞれ得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:
(Z体)1.05(3H, t, J=7.3Hz), 1.74(2H, m), 2.61(2H, t, J=7.4Hz), 3.03(3H, s), 3.90(3H, s), 6.61(1H, s), 6.98(2H, t, J=8.6Hz), 7.39(1H, s), 7.50(3H, m), 7.6-7.8(2H, m)
(E体)0.74(3H, t, J=7.3Hz), 1.38(2H, m), 2.38(2H, t, J=7.4Hz), 3.07(3H, s), 3.87(3H, s), 6.76(1H, s), 6.95(2H, d, J=8.6Hz), 7.38(2H, d, J=8.6Hz), 7.7-7.8(4H, m)
【0110】
実施例2:1−(4−フルオロベンジリデン)−2−n−プロピル−5−メタンスルホニル−1H−インデン
工程2−I:1−(4−フルオロベンジリデン)−2−n−プロピル−5−メチルチオ−1H−インデンの調製
窒素雰囲気下、4−フルオロベンジルトリフェニルホスフィンクロリド(930mg)のエーテル懸濁液(10ml)に0℃にて、カリウムビストリメチルシリルアミド(0.5M、トルエン溶液、3.7ml)を滴下し、10分撹拌後に、実施例1の工程1−IIIで得た2−n−プロピル−5−メチルチオ−1−インデノン(225mg)のエーテル溶液(10ml)を滴下し、3時間撹拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)を用いて分離して、黄色油状の目的物(240mg、75%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.03(3H, t, J=7.3Hz), 1.72(2H, m), 2.46(3H, s), 2.55(2H, t, J=7.6Hz), 6.50(1H, m), 6.74(1H, d, J=7.9Hz), 7.0-7.3(5H, m), 7.51(2H, m)
【0111】
工程2−II:1−(4−フルオロベンジリデン)−2−n−プロピル−5−メタンスルホニル−1H−インデンの調製
前の工程で得た化合物(230mg)のテトラヒドロフラン−メタノール混合溶液(1:1、10ml)に、0℃にて、OXONE(1.14g)の懸濁水(5ml)を加え、同温にて1時間撹拌し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)を用いて分離して、黄色油状の目的物〔Z体(実施例化合物2A):190mg、78%、E体(実施例化合物2B):15mg、6%〕をそれぞれ得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:
(Z体)1.06(3H, t, J=7.3Hz), 1.7-1.8(2H, m), 2.60(2H, t, J=7.6Hz), 3.02(3H, s), 6.63(1H, s), 7.1-7.2(2H, m), 7.37(1H, s), 7.48(4H, m), 7.68(1H, s)
(E体)0.71(3H, t, J=7.3Hz), 1.2-1.5(2H, m), 2.26(2H, t, J=7.6Hz), 3.07(3H, s), 6.76(1H, s), 7.0-7.2(2H, m), 7.3-7.5(2H, m), 7.6-7.8(4H, m)
【0112】
実施例3:1−(2−クロロチオフェン−5−イル)メチレン−2−n−プロピル−5−メタンスルホニル−1H−インデン
工程3−I:1−(2−クロロチオフェン−5−イル)メチレン−2−n−プロピル−5−メチルチオ−1H−インデンの調製
2−n−プロピル−5−メチルチオ−1−インデノン(60mg)と(2−クロロチオフェン−5−イル)メチルトリフェニルホスフィンクロリド(236mg)を用い、工程2−Iと同様の方法にて、橙色油状の目的物(15mg、17%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.02(3H, t, J=7.3Hz), 1.6-1.8(2H, m), 2.4-2.6(5H, m), 6.48(1H, s), 6.8-7.0(3H, m), 7.05(1H, d, J=1.7Hz), 7.13(1H, d, J=4.0Hz), 7.81(1H, d, J=7.9Hz)
【0113】
工程3−II:1−(2−クロロチオフェン−5−イル)メチレン−2−n−プロピル−5−メタンスルホニル−1H−インデンの調製
前の工程で得た化合物(15mg)を用い、工程2−IIと同様の方法にて、橙色油状の目的物(11mg、67%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:0.97(3H, t, J=7.3Hz), 1.6-1.8(2H, m), 2.49(2H, t, J=7.6Hz), 2.98(3H, s), 6.53(1H, s), 6.91(1H, d, J=4.0Hz), 7.08(1H, s), 7.12(1H, d, J=4.0Hz), 7.5-7.6(1H, m), 7.61(1H, s), 8.02(1H, d, J= 7.9Hz)
EI-MS m/z: 364(M+), 221(BP)
【0114】
実施例4
(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
窒素雰囲気下、3−メトキシカルボニルベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド(1g)のトルエン懸濁液(15ml)に0℃にて、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5Mトルエン溶液、4.1ml)を滴下し、30分間撹拌後に実施例1の工程1−IIIで得た2−n−プロピル−5−メチルチオ−1−インデノン(218mg)のトルエン溶液(5ml)を滴下し、30分間加熱還流した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で分離し黄色油状の1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1H−インデン(324mg、93%)をE−Z体の混合物(1:6)として得た。得られた1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1H−インデン(319mg)のテトラヒドロフラン(THF)−メタノ−ル混合溶液(1:1、20ml)に0℃にて、OXONE(3.37g)、水(10ml)を加え室温で15分間撹拌した。水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で分離し黄色アモルファス状の(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン(266mg、77%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.06(3H, t, J=7.6Hz), 1.75(2H, m), 2.61(2H, t, J=7.6Hz), 3.02(3H, s), 3.95(3H, s), 6.64(1H, s), 7.31(1H, d, J=8.3Hz), 7.4-7.5(2H, m), 7.55(1H, t, J=7.6Hz), 7.7-7.8(2H, m), 8.11(1H, d, J=7.6Hz), 8.19(1H, s)
【0115】
実施例5
(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン(163mg)のジオキサン溶液(5ml)に5℃にて、10%水酸化リチウム水溶液(5ml)を加え、同温度で10時間撹拌した。10%塩酸水溶液で酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム−メタノ−ル=20:1)で分離して、黄色結晶の(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン(156mg、99%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.07(3H, t, J=7.6Hz), 1.75(2H, m), 2.61(2H, t, J=7.6Hz), 3.02(1H, s), 6.65(1H, s), 7.32(1H, d, J=8.3Hz), 7.4-7.5(2H, m), 7.58(1H, t, J=7.6Hz), 7.67(1H, s), 7.75(1H, d, J=7.6Hz), 8.1-8.2(1H, m), 8.25(1H, s)
【0116】
実施例6
1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1H−インデン
工程6−I:5−メチルチオ−1−インダノンの調製
5−フルオロ−1−インダノン(10g)のジメチルホルムアミド溶液(100ml)にナトリウムチオメトキシド(5.6g)を加え、室温にて30分間撹拌した。反応液を水にあけ、トルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)を用いて分離して、黄色粉末の目的物11g(93%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:2.54(3H, s), 2.68(2H, m), 3.10(2H, m), 7.20(1H, d, J=8.3Hz), 7.26(1H, s), 7.64(1H, d, J=8.3Hz)
【0117】
工程6−II:5−メチルチオ−1−インダノン−N,N−ジメチルヒドラゾンの調製
窒素雰囲気下、実施例1の工程1−Iで得た化合物(10g)のトルエン溶液(80ml)に、ジメチルヒドラジン(12.8ml)、p−トルエンスルホン酸1水和物(1.07g)、無水硫酸ナトリウム(23.9g)を加え、95℃にて1時間撹拌した。次いで反応液を濾過し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)を用いて分離して、褐色粉末の目的物10.5g(85%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:2.50(3H, s), 2.63(6H, s), 2.89-2.95(2H, m), 3.00-3.05(2H, m), 7.13(1H, d, J=9.2Hz), 7.16(1H, s), 7.67(1H, d, J=7.9Hz)
【0118】
工程6−III:5−メチルチオ−2−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1−インダノンの調製
窒素雰囲気下、ジイソプロピルアミン(591μl)のテトラヒドロフラン溶液(5ml)に、−78℃でn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.59mol/l、2.64ml)を加え30分間撹拌した。次いで5−メチルチオ−1−インダノン−N,N−ジメチルヒドラゾン(617mg)をテトラヒドロフラン(15ml)に溶かして加え、さらに1時間撹拌した。次に4,4,4−トリフルオロ−1−ヨードブタン(1.0g)を加え、1時間撹拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、濃縮した。得られた残渣に10%硫酸水溶液(10ml)を加え、80℃で30分間撹拌した。反応液を水にあけ、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲル分取TLC(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:2)を用いて分離して、黄色粉末の目的物0.54g(67%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.51-1.65(1H, m), 1.65-1.76(2H, m), 1.94-2.05(1H, m), 2.05-2.25(2H, m), 2.54(1H, s), 2.62-2.70(1H, m), 2.72-2.80(1H, m), 3.27-3.36(1H, m), 7.21(1H, d, J=8.3Hz), 7.24(1H, s), 7.64(1H, d, J=7.9Hz)
【0119】
工程6−IV:5−メチルチオ−2−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1−インデノンの調製
窒素雰囲気下、5−メチルチオ−2−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1−インダノン(0.54g)のテトラヒドロフラン溶液(20ml)に、0℃で臭素(106μl)を加え30分間撹拌した。反応液を水にあけ、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、濃縮した。得られた残渣をテトラヒドロフラン(10ml)に溶かし、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(307μl)を加えて、室温下で1時間撹拌した。次いで反応液を水にあけ、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲル分取TLC(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:2)を用いて分離して、黄色粉末の目的物0.44g(82%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.78-1.87(2H, m), 2.04-2.22(2H, m), 2.36(2H, t, J=7.6Hz), 2.51(3H, s), 6.86(1H, d, J=1.3Hz), 6.92(1H, dd, J=7.6, 1.3Hz), 7.10(1H, s), 7.31(1H, d, J=7.6Hz)
【0120】
工程6−V:1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1H−インデンの調製
実施例4と同様な方法で、2−n−プロピル−5−メチルチオ−1−インデノンを5−メチルチオ−2−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1−インデノンに代えて、黄色油状の目的物を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.93-2.05(2H, m), 2.15-2.38(2H, m), 2.74(2H, t, J=7.3Hz), 3.03(3H, s), 3.95(3H, s), 6.69(1H, s), 7.33(1H, d, J=7.9Hz), 7.40(1H, s), 7.47(1H, dd, J=8.3, 1.7Hz), 7.52-7.59(1H, m), 7.69-7.71(2H, m), 8.12(1H, d, J=8.9Hz), 8.19(1H, s)
【0121】
実施例7
1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1H−インデン
実施例5と同様な方法で、出発物質を1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1H−インデンに代えて、黄色粉末の目的物を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.96-2.08(2H, m), 2.15-2.33(2H, m), 2.74(2H, t, J=7.3Hz), 3.03(3H, s), 6.69(1H, s), 7.34(1H, d, J=8.3Hz), 7.40(1H, s), 7.47(1H, d, J=7.9Hz), 7.56-7.65(1H, m), 7.70-7.80(2H, m), 8.18(1H, d, J=7.9Hz), 8.26(1H, s)
【0122】
実施例8
(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1H−インデン
工程8−I:5−メチルチオ−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1−インダノンの調製
窒素雰囲気下、ジイソプロピルアミン(478μl)のテトラヒドロフラン溶液(20ml)に、−78℃でn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.59mol/l、2.14ml)を加え、30分間撹拌した。次いで5−メチルチオ−1−インダノン−N,N−ジメチルヒドラゾン(500mg)をテトラヒドロフラン(15ml)に溶かして加え、さらに1時間撹拌した。次に3,3,3−トリフルオロ−1−ヨードプロパン(762mg)を加え、1時間撹拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、濃縮した。得られた残渣に10%硫酸水溶液(10ml)を加え、80℃で30分間撹拌した。反応液を水にあけ、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲル分取TLC(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:2)を用いて分離して、黄色粉末の目的物295mg(47%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.70-1.90(1H, m), 2.06-2.45(3H, m), 2.54(3H, s), 2.66-2.78(2H, m), 3.30-3.39(1H, m), 7.20-7.26(2H, m), 7.64(1H, d, J=7.9Hz)
【0123】
工程8−II:5−メチルチオ−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1−インデノンの調製
窒素雰囲気下、前の工程で得た化合物(295mg)のテトラヒドロフラン溶液(5ml)に、0℃で臭素(61μl)を加え30分間撹拌した。反応液を水にあけ、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、濃縮した。得られた残渣をテトラヒドロフラン(5ml)に溶かし、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(176μl)を加えて、室温下で1時間撹拌した。次いで反応液を水にあけ、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲル分取TLC(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:2)を用いて分離して、黄色粉末の目的物204mgを得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:2.28-2.56(7H, m), 6.87(1H, s), 6.93(1H, d, J=7.6Hz), 7.12(1H, s), 7.32(1H, d, J=7.6Hz)
【0124】
工程8−III:(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1H−インデンの調製
実施例4と同様な方法で2−n−プロピル−5−メチルチオ−1−インデノンを5−メチルチオ−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1−インデノンに代えて、黄色結晶の(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1H−インデンを得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:2.4-2.7(2H, m), 2.9-3.0(2H, m), 3.03(3H, s), 3.95(3H, s), 6.70(1H, s), 7.34(1H, d, J=8.3Hz), 7.41(1H, s), 7.49(1H, dd, J=1.3, 8.3Hz), 7.57(1H, t, J=7.9Hz), 7.6-7.8(2H, m), 8.13(1H, d, J=7.9Hz), 8.20(1H, s)
【0125】
実施例9
(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1H−インデン
実施例5と同様な方法で出発物質を(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1H−インデンに代えて、黄色結晶の(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1H−インデンを得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:2.4-2.7(2H, m), 2.8-3.0(2H, m), 3.03(3H, s), 6.70(1H, s), 7.36(1H, d, J=8.3Hz), 7.42(1H, s), 7.50(1H, d, J=8.3Hz), 7.6-7.7(1H, m), 7.7-7.9(2H, m), 8.20(1H, d, J=7.9Hz), 8.28(1H, s)
【0126】
実施例10
(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(2−メチルプロピル)−1H−インデン
工程10−I:(E)−2−イソブチリデン−5−メチルチオ−1−インダノンの調製
実施例6の工程6−Iで得た5−メチルチオ−1−インダノン(357mg)、イソブチルアルデヒド(288mg)、及び1N水酸化ナトリウム水溶液(2.5ml)の混合物を60℃で1時間撹拌した。混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗、乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で分離し黄色油状の目的物(236mg、51%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.12(6H, d, J=6.6Hz), 2.55(3H, s), 2.6-2.7(1H, m), 3.63(2H, s), 6.65-6.75(1H, m), 7.22(1H, brd, J=8.0Hz), 7.28(1H, s), 7.74(1H, d, J=8.0Hz)
【0127】
工程10−II:2−(2−メチルプロピル)−5−メチルチオ−1−インダノンの調製
(E)−2−イソブチリデン−5−メチルチオ−1−インダノン(360mg)、10%パラジウム炭素(180mg)及び酢酸エチル(35ml)の混合物を室温で30時間撹拌し、さらに60℃で24時間撹拌した。混合物に10%パラジウム炭素(90mg)を加え、60℃で6時間撹拌した。触媒を濾過後、濃縮して、無色油状の目的物(363mg、100%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:0.97(6H, d, J=6.3Hz), 1.1-1.3(1H, m), 1.7-1.9(2H, m), 2.54(3H, s), 2.6-2.8(2H, m), 3.28(1H, m), 7.19(1H, d, J=8.1Hz), 7.23(1H, s), 7.63(1H, d, J=8.1Hz)
【0128】
工程10−III:2−(2−メチルプロピル)−5−メチルチオ−1−インデノンの調製
実施例8の工程8−IIと同様な方法で、出発原料を2−(2−メチルプロピル)−5−メチルチオ−1−インダノンに代えて目的物を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:0.93(6H, d, J=6.6Hz), 1.87(1H, m), 2.15(2H, dd, J=1.6, 7.2Hz), 2.50(3H, s), 6.83(1H, d, J=1.6Hz), 6.89(1H, dd, J=1.6, 7.7Hz), 7.05(1H, d, 1.6Hz), 7.29(1H, d, J=7.7Hz)
【0129】
工程10−IV:(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(2−メチルプロピル)−1H−インデンの調製
実施例4と同様な方法で、2−n−プロピル−5−メチルチオ−1−インデノンを2−(2−メチルプロピル)−5−メチルチオ−1−インデノンに代えて目的物を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.03(6H, d, J=6.6Hz), 2.00(1H, m), 2.51(2H, d, J=6.9Hz), 3.02(3H, s), 3.95(3H, s), 6.64(1H, s), 7.31(1H, d, J=8.0Hz), 7.35-7.45(2H, m), 7.55(1H, t, J=7.7Hz), 7.65-7.75(2H, m), 8.11(1H, d, J=7.7Hz), 8.18(1H, s)
【0130】
実施例11
(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(2−メチルプロピル)−1H−インデン
(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(2−メチルプロピル)−1H−インデン(150mg)のテトラヒドロフラン溶液(5ml)に0℃にて、1N水酸化ナトリウム水溶液(5ml)を加え、同温度で30時間撹拌した。50%塩酸水溶液で酸性にした後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水洗、乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ジクロロメタン:メタノ−ル=10:1)で分離して、黄色アモルファスの(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(2−メチルプロピル)−1H−インデン(127mg、87%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.03(6H, d, J=6.6Hz), 2.00(1H, m), 2.51(2H, d, J=6.9Hz), 3.03(3H, s), 6.64(1H, s), 7.32(1H, d, J=8.0Hz), 7.41(1H, s), 7.45(1H, dd, J=1.6, 8.0Hz), 7.60(1H, t, J= 7.7Hz), 7.69(1H, d, J=1.6Hz), 7.76(1H, d, J=7.7Hz), 8.18(1H, d, J=7.7Hz), 8.26(1H, s)
【0131】
実施例12
(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−ブチル−1H−インデン
工程12−I:(E)−2−ブチリデン−5−メチルチオ−1−インダノンの調製
実施例10の工程10−Iと同様な方法で、イソブチルアルデヒドをn−ブチルアルデヒドに代えて目的物を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:0.98(3H, t, J=7.3Hz), 1.57(2H, m), 2.28(2H, m), 2.54(3H, s), 3.60(2H, s), 6.85(1H, m), 7.21(1H, brd, J=8.0Hz), 7.27(1H, s), 7.74(1H, d, J=8.0Hz)
【0132】
工程12−II:2−n−ブチル−5−メチルチオ−1−インダノンの調製
実施例10の工程10−IIと同様な方法で、出発原料を(E)−2−ブチリデン−5−メチルチオ−1−インダノンに代えて目的物を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:0.91(3H, t, J=7.2Hz), 1.3-1.5(5H, m), 1.92(1H, m), 2.53(3H, s), 2.6-2.8(2H, m), 3.2-3.3(1H, m), 7.19(1H, d, J=8.4Hz), 7.23(1H, s), 7.62(1H, d, J=8.4Hz)
【0133】
工程12−III:2−n−ブチル−5−メチルチオ−1−インデノンの調製
実施例8の工程8−IIと同様な方法で、出発原料を2−n−ブチル−5−メチルチオ−1−インダノンに代えて目的物を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:0.93(3H, t, J=7.1Hz), 1.39(2H, m), 1.52(2H, m), 2.27(2H, m), 2.50(3H, s), 6.82(1H, d, J=1.2Hz), 6.88(1H, dd, J=1.2, 7.8Hz), 7.03(1H, d, J=1.2Hz), 7.28(1H, d, J=7.8Hz)
【0134】
工程12−IV:(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−ブチル−1H−インデンの調製
実施例4と同様な方法で、2−n−プロピル−5−メチルチオ−1−インデノンを2−n−ブチル−5−メチルチオ−1−インデノンに代えて目的物を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.00(3H, t, J=7.2Hz), 1.47(2H, m), 1.70(2H, m), 2.63(2H, t, J=7.6Hz), 3.02(3H, s), 3.94(3H, s), 6.64(1H, s), 7.31(1H, d, J=8.2Hz), 7.40-7.45(2H, m), 7.55(1H, t, J=7.6Hz), 7.67(1H, d, J=1.3Hz), 7.70(1H, d, J=7.6Hz), 8.10(1H, d, J=7.6Hz), 8.19(1H, s)
【0135】
実施例13
(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−ブチル−1H−インデン
実施例11と同様な方法で、出発物質を(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−ブチル−1H−インデンに代えて、黄色結晶の(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−ブチル−1H−インデンを得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.00(3H, t, J=7.3Hz), 1.48(2H, m), 1.70(2H, m), 2.64(2H, t, J=7.6Hz), 3.03(3H, s), 6.64(1H, s), 7.33(1H, d, J=7.9Hz), 7.4-7.5(2H, m), 7.59(1H, t, J=7.6Hz), 7.68(1H, d, J=1.6Hz), 7.76(1H, d, J=7.6Hz), 8.17(1H, d, J= 7.6Hz), 8.27(1H, s)
【0136】
実施例14
(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−エチル−1H−インデン
工程14−I:(E)−2−エチル−5−メチルチオ−1−インダノンの調製
実施例6の工程6−IIIと同様な方法で、4,4,4−トリフルオロ−1−ヨードブタンをヨードエタンに代えて目的物を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.00(3H, t, J=7.5Hz), 1.53(1H, m), 1.95(1H, m), 2.54(3H, s), 2.61(1H, m), 2.77(1H, m), 3.26(1H, m), 7.19(1H, d, J=8.0Hz), 7.24(1H, s), 7.63(1H, d, J=8.0Hz)
【0137】
工程14−II:2−エチル−5−メチルチオ−1−インデノンの調製
実施例6の工程6−IVと同様な方法で、出発原料を2−エチル−5−メチルチオ−1−インダノンに代えて目的物を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.15(3H, t, J=7.5Hz), 2.29(2H, dq, J=7.5, 1.8Hz), 2.50(3H, s), 6.83(1H, d, J=1.2Hz), 6.85(1H, dd, J=1.2, 7.8Hz), 7.03(1H, s), 7.29(1H, d, J=7.8Hz)
【0138】
工程14−III:(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−エチル−1H−インデンの調製
実施例4と同様な方法で、2−n−プロピル−5−メチルチオ−1−インデノンを2−エチル−5−メチルチオ−1−インデノンに代えて目的物を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.34(3H, t, J=7.4Hz), 2.67(2H, dq, J=1.5, 7.5Hz), 3.02(3H, s), 3.94(3H, s), 6.65(1H, s), 7.31(1H, d, J=8.1Hz), 7.35-7.45(2H, m), 7.55(1H, t, J=7.6Hz), 7.6-7.7(2H, m), 8.10(1H, d, J=7.6Hz), 8.19(1H, s)
【0139】
実施例15
(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−エチル−1H−インデン
実施例11と同様な方法で、出発原料を(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−エチル−1H−インデンに代えて、黄色結晶の(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−エチル−1H−インデンを得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.34(3H, t, J=7.5Hz), 2.68(2H, dq, J=1.2, 7.5Hz), 3.03(3H, s), 6.66(1H, s), 7.33(1H, d, J=8.0Hz), 7.42(1H, s), 7.44(1H, dd, J=1.9, 8.0Hz), 7.60(1H, t, J=7.7Hz), 7.69(1H, d, J=1.9Hz), 7.77(1H, d, J=7.7Hz), 8.18(1H, d, 7.7Hz), 8.27(1H, s)
【0140】
実施例16
(Z)−1−(3−(カルボキシルメチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
工程16−I:3−(2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル)ベンジルブロミドの調製
3−ブロモメチルフェネチルアルコール(0.5g)、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(TBSCl、0.38g)、イミダゾ−ル(0.19g)及びジメチルホルムアミド(DMF、2.5ml)の混合物を0℃で2時間撹拌した。水を加え、エ−テルで抽出した。有機層を乾燥後、濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:ジクロロメタン)で分離して、無色油状の目的物(385mg)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:0.01(6H, s), 0.89(9H, s), 2.85(2H, t, J=6.6Hz), 3.83(2H, t, J=6.6Hz), 4.59(2H, s), 7.1-7.4(4H, m)
【0141】
工程16−II:(3−(2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル)−ベンジル)トリフェニルホスホニウムブロミドの調製
3−(2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル)ベンジルブロミド(385mg)、トリフェニルホスフィン(310mg)及びトルエン(5ml)の混合物を24時間加熱還流した。溶媒を留去したのち、エ−テルを加え生じた析出物を濾取して、目的物(0.67g)を得た。得られた(3−(2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル)ベンジル)トリフェニル−ホスホニウムブロミドは精製することなく次の工程に用いた。
【0142】
工程16−III:(Z)−1−(3−(ホルミルメチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンの調製
窒素雰囲気下、(3−(2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル)−ベンジル)トリフェニルホスホニウムブロミド(0.67g)のトルエン懸濁液(10ml)に0℃にて、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5Mトルエン溶液、2.2ml)を滴下し、15分間撹拌後に、実施例1の工程1−IIIで得た2−n−プロピル−5−メチルチオ−1−インデノン(220mg)を加え、1.5時間加熱還流した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:ジクロロメタン=1:1)で分離して、黄色油状の1−(3−(2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル)ベンジリデン)−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1H−インデン(300mg、63%)をE−Z体の混合物として得た。
得られた1−(3−(2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル)ベンジリデン)−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1H−インデン(300mg)のテトラヒドロフラン(THF)−水混合溶液(2:1、10.5ml)に0℃にて、OXONE(0.9g)を加え、室温で3時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で分離して、黄色油状の1−(3−(2−ヒドロキシエチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン(210mg、86%)をE−Z体の混合物として得た。
得られた1−(3−(2−ヒドロキシエチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン(210mg)及びジクロロメタン(6ml)の混合物に0℃にて1,1,1−トリス(アセチルオキシ)−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン(Dess-Martin試薬、290mg)を加え、室温で15分間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ジクロロメタン)で分離して、黄色油状の(Z)−1−(3−(ホルミルメチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン(80mg、38%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.06(3H, t, J=7.6Hz), 1.74(2H, m), 2.61(2H, t, J=7.6Hz), 3.02(3H, s), 3.78(2H, d, J=1.7Hz), 6.63(1H, s), 7.2-7.6(7H, m), 7.68(1H, s), 9.82(1H, t, J=1.7Hz)
【0143】
工程16−IV:(Z)−1−(3−(カルボキシルメチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンの調製
得られた(Z)−1−(3−(ホルミルメチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン(80mg)、2−メチル−2−ブテン(1ml)、tert−ブタノ−ル(3ml)及び水(1ml)の混合物に、室温でリン酸2水素ナトリウム2水和物(41mg)及び亜塩素酸ナトリウム(123mg)を加え、室温で10分間撹拌した。30%リン酸2水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ジクロロメタン:メタノ−ル=95:5)で分離して、黄色油状の目的物(64mg、77%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.05(3H, t, J=7.3Hz), 1.74(2H, m), 2.60(2H, t, J=7.6Hz), 3.00(3H, s), 3.72(2H, s), 6.62(1H, s), 7.3-7.6(7H, m), 7.66(1H, s)
【0144】
実施例17
(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−フェニル−1H−インデン
工程17−I:3−(3−ブロモフェニル)−2−フェニルプロピオン酸エチルエステルの調製
フェニル酢酸エチル(1g)及びテトラヒドロフラン(50ml)の混合物に窒素気流下、−78℃でリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(6.7ml、1.0モルテトラヒドロフラン溶液)を滴下し、同温度で30分間撹拌した。この混合物に同温度で3−ブロモベンジルブロミド(1.6g)及びテトラヒドロフラン(10ml)の混合物を滴下し、1.5時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:ジクロロメタン=5:1)で分離して、無色油状の目的物(1.79g、89%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.14(3H, t, J=7.3Hz), 2.98(1H, dd, J=6.4, 13.5Hz), 3.37(1H, dd, J=8.9, 13.5Hz), 3.80(1H, dd, J=6.4, 8.9Hz), 3.9-4.2(2H, m), 7.0-7.2(2H, m), 7.2-7.4(7H, m)
【0145】
工程17−II:3−(3−ブロモフェニル)−2−フェニルプロピオン酸の調製3−(3−ブロモフェニル)−2−フェニルプロピオン酸エチルエステル(1.79g)、1N水酸化ナトリウム水溶液(10ml)及びエタノ−ル(40ml)の混合物を室温で15時間撹拌した。塩酸で酸性にした後、溶媒を留去後クロロホルムで抽出した。有機層を乾燥後、濃縮し、白色結晶の目的物(1.62g)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:2.99(1H, dd, J=6.9, 13.9Hz), 3.36(1H, dd, J=8.3, 13.9Hz), 3.82(1H, dd, J=6.9, 8.3Hz), 6.9-7.1(2H, m), 7.2-7.4(8H, m)
【0146】
工程17−III:5−ブロモ−2−フェニル−1−インダノンの調製
3−(3−ブロモフェニル)−2−フェニルプロピオン酸(1.61g)、塩化チオニル(0.46ml)及びクロロホルム(10ml)の混合物を1.5時間加熱還流した。混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣をクロロホルム(5ml)に溶解し、これを塩化アルミニウム(0.84g)及びクロロホルム(5ml)の混合物に−5℃で滴下し、同温度で15分間撹拌後、15℃で15分間撹拌した。混合物を氷水中に注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で分離して、白色結晶の目的物(1g、66%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:3.26(1H, dd, J=4.0, 17.5Hz), 3.67(1H, dd, J=8.6, 17.5Hz), 3.90(1H, dd, J=4.0, 8.6Hz), 7.1-7.4(5H, m), 7.57(1H, d, J=8.3Hz), 7.67(1H, d, J=8.3Hz), 7.72(1H, s)
【0147】
工程17−IV:5−メチルチオ−2−フェニル−1−インダノンの調製
5−ブロモ−2−フェニル−1−インダノン(1g)及びジメチルホルムアミド(6ml)の混合物に0℃にて、ナトリウムチオメトキシド(0.27g)を加え、室温で12時間、40℃で2時間撹拌した。同温度でさらにナトリウムチオメトキシド(0.27g)を加え、40℃で3時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で分離して、白色結晶の目的物(0.41g、46%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:2.57(3H, s), 3.22(1H, dd, J=3.6, 17.2Hz), 3.64(1H, dd, J=8.6, 17.2Hz), 3.89(1H, dd, J=3.6, 8.6Hz), 7.1-7.4(7H, m), 7.70(1H, d, J=7.9Hz)
【0148】
工程17−V:5−メチルチオ−2−フェニル−1−インデノンの調製
実施例6の工程6−IVと同様な方法で、出発物質を5−メチルチオ−2−フェニル−1−インダノンに代えて、橙色結晶の目的物を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:2.53(3H, s), 6.9-7.0(2H, m), 7.3-7.5(5H, m), 7.58(1H, s), 7.80(1H, d, J=6.9Hz)
【0149】
工程17−VI:(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−フェニル−1H−インデンの調製
実施例4と同様な方法で2−n−プロピル−5−メチルチオ−1−インデノンを5−メチルチオ−2−フェニル−1−インデノンに代えて、黄色油状の目的物を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:3.05(3H, s), 3.94(3H, s), 6.96(1H, s), 7.3-7.6(9H, m), 7.71(1H, d, J=7.6Hz), 7.84(1H, s), 8.11(1H, d, J=7.9Hz), 8.20(1H, s)
【0150】
実施例18
(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−フェニル−1H−インデン
実施例5と同様な方法で出発物質を(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−フェニル−1H−インデンに代えて、黄色結晶の(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−フェニル−1H−インデンを得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:3.06(3H, s), 6.96(1H, s), 7.4-7.7(9H, m), 7.76(1H, d, J=7.3Hz), 7.85(1H, s), 8.18(1H, d, J=7.9Hz), 8.27(1H, s)
【0151】
実施例19
(Z)−1−((6−(メトキシカルボニル)ピリジン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
工程19−I:(6−(メトキシカルボニル)ピリジン−2−イル)メチル−トリフェニル−ホスホニウムブロミドの調製
6−ブロモメチルピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(0.8g)、トリフェニルホスフィン(0.92g)及びトルエン(10ml)の混合物を15時間加熱還流した。析出した結晶を濾取して、目的物(1.1g)を得た。得られた(6−(メトキシカルボニル)ピリジン−2−イル)メチルトリフェニルホスホニウムブロミドは精製することなく次の工程に用いた。
【0152】
工程19−II:(Z)−1−((6−(メトキシカルボニル)ピリジン−2−イル)メチレン)−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1H−インデン及び(E)−1−((6−(メトキシカルボニル)ピリジン−2−イル)メチレン)−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1H−インデンの調製
窒素雰囲気下、(6−(メトキシカルボニル)ピリジン−2−イル)メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(0.68g)のトルエン懸濁液(10ml)に0℃にて、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5Mトルエン溶液2.75ml)を滴下し、15分間撹拌後に、同温度で実施例1で得た2−n−プロピル−5−メチルチオ−1−インデノン(200mg)を加え、室温で15分間撹拌し、1時間加熱還流した。水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で分離して、黄色結晶の(Z)−1−((6−(メトキシカルボニル)ピリジン−2−イル)メチレン)−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1H−インデン(170mg、53%)と、黄色結晶の(E)−1−((6−(メトキシカルボニル)ピリジン−2−イル)メチレン)−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1H−インデン(60mg、9%)を得た。
Z体 1H NMR(CDCl3)δ値:1.03(3H, t, J=7.3Hz), 1.70(2H, m), 2.49(3H, s), 2.56(2H, t, J=7.9Hz), 4.05(3H, s), 6.53(1H, s), 6.86(1H, dd, J=1.3, 7.9Hz), 7.03(1H, d, J=1.3Hz), 7.09(1H, s), 7.77(1H, d, J=7.6Hz), 7.88(1H, t, J=7.6Hz), 8.09(1H, d, J=7.6Hz), 8.19(1H, d, J=7.9Hz)
E体 1H NMR(CDCl3)δ値:0.69(3H, t, J=7.3Hz), 1.28(2H, m), 2.35(2H, t, J=7.6Hz), 2.51(3H, s), 4.02(3H, s), 6.66(1H, s), 7.01(1H, d, J=7.9Hz), 7.06(1H, s), 7.45(1H, d, J=7.9Hz), 7.53(1H, s), 7.62(1H, d, J=7.6Hz), 7.86(1H, t, J=7.6Hz), 8.09(1H, d, J=7.6Hz)
【0153】
工程19−III:(Z)−1−((6−(メトキシカルボニル)ピリジン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンの調製
(Z)−1−((6−(メトキシカルボニル)ピリジン−2−イル)メチレン)−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1H−インデン(154mg)のテトラヒドロフラン−水混合溶液(2:1、15ml)に0℃にて、OXONE(0.6g)を加え、室温で1時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、乾燥後、濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で分離して、黄色結晶の目的物(130mg、77%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.05(3H, t, J=7.3Hz), 1.74(2H, m), 2.61(2H, t, J=7.6Hz), 3.05(3H, s), 4.08(3H, s), 6.65(1H, s), 7.27(1H, s), 7.6-7.7(2H, m), 7.75(1H, d, J=7.9Hz), 7.95(1H, dd, J=7.6, 7.9Hz), 8.15(1H, d, J=7.6Hz), 8.83(1H, d, J=8.3Hz)
【0154】
実施例20
(Z)−1−((6−カルボキシルピリジン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
実施例5と同様な方法で出発物質を(Z)−1−((6−(メトキシカルボニル)ピリジン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンに代えて、黄色結晶の(Z)−1−((6−カルボキシルピリジン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンを得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.08(3H, t, J=7.6Hz), 1.77(2H, m), 2.62(2H, t, J=7.6Hz), 3.05(3H, s), 6.69(1H, s), 7.28(1H, s), 7.53(1H, d, J=7.9Hz), 7.6-7.8(2H, m), 7.85(1H, d, J=7.6Hz), 8.07(1H, t, J=7.6Hz), 8.28(1H, d, J=7.6Hz)
【0155】
実施例21
(Z)−1−(4−フルオロベンジリデン)−5−メタンスルホニル−4−メトキシ−2−n−プロピル−1H−インデン
工程21−I:2−(2−メトキシ−3−メチルチオフェニル)メチル−n−吉草酸エチルの調製
60%水素化ナトリウム(880mg)のテトラヒドロフラン懸濁液(5.5ml)中に室温にてジエチルホスホノ酢酸エチル(3.70g)を加えた。同温度で1時間撹拌した後に、ヨウ化プロピル(3.74g)を加え、50℃にて1時間撹拌した。次に、反応液を0℃に冷却後、2−メトキシ−3−メチルチオベンズアルデヒド(1.00g)のテトラヒドロフラン溶液(5.5ml)を加え、室温で1時間撹拌した。反応終了後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中にあけ、酢酸エチルにて抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製して、1.24gの無色油状物質を得た。得られた油状物質のうち、800mgとマグネシウム(661mg)の混合物をメタノ−ル(27ml)中、1時間撹拌した。反応終了後、反応液を3N塩酸中にあけ、ジクロロメタンにて抽出、飽和食塩水洗浄、硫酸マグネシウムにて乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製し、無色油状の目的物725mg(45%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:0.89(3H, t, J = 7.2Hz), 1.14(3H, t, J = 7.2Hz), 1.2-1.8(4H, m), 2.43(3H, s), 2.6-3.0(3H, m), 3.83(3H, s), 4.05(2H, q, J = 7.2Hz), 6.9-7.1(3H, m)
【0156】
工程21−II:2−(2−メトキシ−3−メチルチオフェニル)メチル−n−吉草酸の調製
前の工程で得た化合物(700mg)のメタノ−ル溶液(23.6ml)に1N水酸化ナトリウム水溶液(4.72ml)を加え、終夜加熱還流した。反応終了後、反応液を3N塩酸にてpH2とし、ジクロロメタンにて抽出、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム:メタノ−ル=10:1)にて精製して、無色油状の目的物562mg(88%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:0.89(3H, t, J = 7.1Hz), 1.2-1.8(4H, m), 2.43(3H, s), 2.6-3.1(3H, m), 3.82(3H, s), 6.9-7.1(3H, m)
【0157】
工程21−III:4−メトキシ−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1−インダノンの調製
前の工程で得た化合物(500mg)の塩化チオニル溶液(10ml)中に、触媒量のジメチルホルムアミドを加え、室温にて2時間撹拌後、減圧下にて濃縮した。得られた残渣をトルエンに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、濃縮した。次に、得られた残渣のジクロロメタン(90ml)溶液に塩化アルミニウム(496mg)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を氷水中にあけ、ジクロロメタン層を分離、飽和食塩水洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製し、黄色粉末の目的物378mg(81%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:0.97(3H, t, J = 7.0Hz), 1.3-1.7(4H, m), 1.8-2.1(1H, m), 2.48(3H, s), 2.6-3.0(2H, m), 3.2-3.8(1H, m), 3.94(3H, s), 7.13(1H, d, J = 8.1Hz), 7.51(1H, d, J = 8.4Hz)
【0158】
工程21−IV:4−メトキシ−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1−インデノンの調製
前の工程で得た化合物(350mg)とN−ブロモスクシンイミド(299mg)の四塩化炭素混合液(14ml)中にα,α′−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、23mg)を加え、2時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却後、濾過、濃縮した。次に、得られた残渣をトルエン(14ml)に溶かし、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセンを加え、90℃で30分間撹拌した。反応終了後、反応液を水にあけ、酢酸エチルにて抽出、飽和食塩水洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮した。得られたを残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて分離し、目的物247mg(74%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:0.97(3H, t, J=7.4Hz), 1.60(2H, m), 2.25(2H, t, J = 7.4Hz), 2.43(3H, s), 3.96(3H, s), 6.77(1H, d, J =7.3Hz), 7.13(1H, d, J =7.3Hz), 7.32(1H, s)
【0159】
工程21−V:1−(4−フルオロベンジリデン)−4−メトキシ−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1H−インデンの調製
窒素雰囲気下、4−フルオロベンジルトリフェニルホスフィンブロミド(835mg)のエ−テル懸濁液(5ml)中にカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5M、トルエン溶液、3.34ml)を0℃にて滴下した。同温度で15分間撹拌した後、実施例4の化合物(230mg)のエ−テル溶液(5ml)を滴下し、室温で2時間撹拌した。反応終了後、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液中にあけ、酢酸エチルにて抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲル分取TLC(n−ヘキサン)を用いて分離して、黄色油状の目的物280mg(89%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.04(3H, t, J = 7.4Hz), 1.73(2H, m), 2.39(3H, s), 2.56(2H, t, J =7.6Hz), 3.92(3H, s), 6.64(1H, d, J =8.0Hz), 6.70(1H, s), 7.0-7.2(4H, m), 7.4-7.6(2H, m)
【0160】
工程21−VI:(Z)−1−(4−フルオロベンジリデン)−5−メタンスルホニル−4−メトキシ−2−n−プロピル−1H−インデンの調製
前の工程で得た化合物(260mg)のテトラヒドロフラン−メタノ−ル混合溶液(1:1、3.8ml)に、0℃にてOXONE(1.17g)の懸濁水(3.8ml)を加え、室温で1時間撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、残渣を水にあけ、酢酸エチルにて抽出し、飽和食塩水洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲル分取TLC(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:4)を用いて分離して、黄色粉末の目的物67.8mg(24%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.05(3H, t, J =7.3Hz), 1.67(2H, m), 2.68(2H, t, J =7.6Hz), 3.25(3H, s), 4.10(3H, s), 7.1-7.4(4H, m), 7.35(1H, s), 7.4-7.6(2H, m), 7.59(1H, d, J =7.8Hz)
【0161】
実施例22
(Z)−1−(4−フルオロベンジリデン)−4−ヒドロキシ−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
(Z)−1−(4−フルオロベンジリデン)−5−メタンスルホニル−4−メトキシ−2−n−プロピル−1H−インデン(5.0mg)のジクロロメタン溶液(140ml)に、0℃にて三臭化ホウ素(1M、ジクロロメタン溶液、16μl)を加え、同温度にて30分間撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、メタノ−ル(8ml)を加え、しばらく撹拌した後に、溶媒を減圧留去し、得られた残渣を水にあけ、ジクロロメタンに溶解後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、濃縮した。酢酸エチルにて抽出し、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲル分取TLC(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:4)を用いて分離して、黄色油状の目的物2.7mg(56.1%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.05(3H, t, J =7.4Hz), 1.76(2H, m), 2.58(2H, t, J =7.4Hz), 3.09(3H, s), 6.79(1H, s), 6.99(1H, d, J =8.1Hz), 7.14(2H, t, J =8.6Hz), 7.22(1H, d, J =8.1Hz), 7.37(1H, s), 7.4-7.6(2H, m), 8.81(1H, s)
【0162】
実施例23
(Z)−1−(3−ヒドロキシメチルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
窒素雰囲気下、(Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン(63mg)のトルエン溶液(3ml)に−5℃で水素化ジイソブチルアルミニウム(1.0Mトルエン溶液、0.36ml)を滴下し、同温度で50分間撹拌した。反応混合物にメタノール、10%塩酸を順次加え、生じた不溶物を濾取し、有機層を分取した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層とあわせ、乾燥、濾過、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)を用いて分離して、黄色アモルファス状の目的物53mg(90%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.06(3H, t, J=7.6Hz), 1.74(2H, m), 2.61(2H, t, J=7.6Hz), 3.02(3H, s), 4.77(2H, d, J=5.9Hz), 6.63(1H, s), 7.4-7.5(6H, m), 7.53(1H, s), 7.68(1H, s)
【0163】
実施例24
(Z)−1−(4−エチル−3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
工程24−I:3−クロロメチル−6−エチル安息香酸メチルの調製
窒素雰囲気下、2−エチル安息香酸メチル(106mg)のメトキシメチルクロリド(1ml)溶液に室温で塩化亜鉛(89mg)を加え、同温度で20時間撹拌した。反応混合物をエーテルで希釈し、水、2N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:エーテル=10:1)を用いて分離して、無色油状の目的物110mg(80%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.23(3H, t, J=7.5Hz), 2.98(2H, q, J=7.5Hz), 3.90(3H, s), 4.58(2H, s), 7.28(1H, d, J=7.8Hz), 7.46(1H, dd, J=2.1, 7.8Hz), 7.88(1H, d, J=2.1Hz)
【0164】
工程24−II:(Z)−1−(4−エチル−3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンの調製
3−クロロメチル−6−エチル安息香酸メチル(0.67g)、トリフェニルホスフィン(1.0g)及びトルエン(5ml)の混合物を6時間加熱還流した。生じた結晶を濾取し、4−エチル−3−メトキシカルボニルベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド(0.65g)を得た。得られた4−エチル−3−メトキシカルボニルベンジルトリフェニルホスホニウムクロリドは精製せずに次の工程に用いた。窒素雰囲気下、4−エチル−3−メトキシカルボニルベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド(0.65g)のトルエン懸濁液(15ml)に、0℃にて、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5Mトルエン溶液、3.4ml)を滴下し、30分間撹拌後に、実施例1の工程1−IIIで得た2−n−プロピル−5−メチルチオ−1−インデノン(240mg)のトルエン溶液(5ml)を滴下し、30分間加熱還流した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で分離し黄色油状の1−(4−エチル−3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1H−インデン(174mg、42%)をE−Z体の混合物として得た。得られた1−(4−エチル−3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1H−インデン(174mg)のメタノ−ル溶液(10ml)に0℃にて、OXONE(424mg)、水(3ml)を加え室温で15分間撹拌した。水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で分離して、黄色アモルファス状の(Z)−1−(4−エチル−3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン(160mg)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値: 1.06(3H, t, J=7.2Hz), 1.31(3H, t, J=7.2Hz), 1.74(2H, m), 2.60(2H, m), 3.03(3H, s), 3.06(2H, q, J=7.2Hz), 3.90(3H, s), 6.63(1H, s), 7.3-7.4(2H, m), 7.47(1H, d, J=1.2Hz), 7.60(1H, dd, J=1.8, 8.1Hz), 7.68(1H, d, J=1.2Hz), 8.03(1H, d, J=1.8Hz)
【0165】
実施例25
(Z)−1−(4−エチル−3−カルボキシベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
実施例11と同様な方法で出発物質を(Z)−1−(4−エチル−3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンに代えて、目的物を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.06(3H, t, J=7.2Hz), 1.34(3H, t, J=7.2Hz), 1.74(2H, m), 2.61(2H, m), 3.03(3H, s), 3.14(2H, q, J=7.2Hz), 6.64(1H, s), 7.38(1H, s), 7.42(1H, d, J=8.1Hz), 7.48(2H, d, J=1.2Hz), 7.65(1H, dd, J=1.2, 8.1Hz), 7.68(1H, d, J=1.2Hz), 8.20(1H, d, J=1.2Hz)
【0166】
実施例26
(Z)−1−(3−カルボキシル−4−ヒドロキシベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
工程26−I:5−メチル−2−ピバロイルオキシ安息香酸エチルの調製
5−メチルサリチル酸エチル(1.8g)、ピバロイルクロリド(1.33g)及びジクロロメタン(20ml)の混合物に、氷冷下、トリエチルアミン(1.21g)を加え、室温で終夜撹拌した。反応混合物を2N塩酸、2N水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥、濃縮して、目的物(2.72g)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.35(3H, t, J=7.1Hz), 1.38(9H, s), 2.37(3H, s), 4.31(2H, q, J=7.1Hz), 6.91(1H, d, J=8.2Hz), 7.31(1H, dd, J=2.2, 8.2Hz), 7.76(1H, d, J=2.2Hz)
【0167】
工程26−II:(Z)−1−(3−エトキシカルボニル−4−ピバロイルオキシベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン及び(E)−1−(3−エトキシカルボニル−4−ピバロイルオキシベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンの調製
5−メチル−2−ピバロイルオキシ安息香酸エチル(1.32g)、N−ブロモスクシンイミド(0.98g)及び四塩化炭素(15ml)の混合物を光照射しながら、1時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、不溶物を濾別し、濃縮して5−ブロモメチル−2−ピバロイルオキシ安息香酸エチル(2.12g)を得た。得られた5−ブロモメチル−2−ピバロイルオキシ安息香酸エチルは精製せずに次の工程に用いた。5−ブロモメチル−2−ピバロイルオキシ安息香酸エチル(2.12g)、トリフェニルホスフィン(2.6g)及びベンゼン(15ml)の混合物を2時間加熱還流した。生じた結晶を濾取し、3−エトキシカルボニル−4−ピバロイルオキシベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド(2.1g)を得た。得られた3−エトキシカルボニル−4−ピバロイルオキシベンジルトリフェニルホスホニウムブロミドは精製せずに次の工程に用いた。窒素雰囲気下、3−エトキシカルボニル−4−ピバロイルオキシベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド(1.0g)のトルエン懸濁液(20ml)に、0℃にて、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.6Mトルエン溶液、2.7ml)を滴下し、30分間撹拌後に、実施例1の工程1−IIIで得た2−n−プロピル−5−メチルチオ−1−インデノン(218mg)のトルエン溶液(4ml)を滴下し、3時間加熱還流した。反応液をエーテルで希釈し、有機層を水洗、乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=8:1)で分離して、1−(3−エトキシカルボニル−4−ピバロイルオキシベンジリデン)−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1H−インデン(404mg)をE−Z体の混合物として得た。得られた1−(3−エトキシカルボニル−4−ピバロイルオキシベンジリデン)−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1H−インデン(123mg)のメタノ−ル溶液(5ml)に室温にて、OXONE(246mg)、水(2ml)を加え3時間撹拌した。反応混合物を濃縮後、酢酸エチルで希釈し、有機層を水洗、乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で分離して、(Z)−1−(3−エトキシカルボニル−4−ピバロイルオキシベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン(37mg)及び(E)−1−(3−エトキシカルボニル−4−ピバロイルオキシベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン(40mg)を得た。
【0168】
(Z)−1−(3−エトキシカルボニル−4−ピバロイルオキシベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
1H NMR(CDCl3)δ値:1.06(3H, t, J=7.5Hz), 1.35(3H, t, J=7.2Hz), 1.43(9H, s), 1.74(2H, m), 2.60(2H, m), 3.03(3H, s), 4.34(2H, q, J=7.2Hz), 6.64(1H, s), 7.16(1H, d, J=8.1Hz), 7.36(1H, s), 7.4-7.5(2H, m), 7.65-7.75(2H, m), 8.13(1H, dd, J=0.6, 2.1Hz)
【0169】
(E)−1−(3−エトキシカルボニル−4−ピバロイルオキシベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
1H NMR(CDCl3)δ値:0.74(3H, t, J=7.5Hz), 1.37(3H, t, J=7.2Hz), 1.42(9H, s), 1.3-1.5(2H, m), 2.29(2H, m), 3.08(3H, s), 4.35(2H, q, J=7.2Hz), 6.78(1H, d, J=1.2Hz), 7.12(1H, d, J=8.4Hz), 7.58(1H, m), 7.7-7.8(4H, m), 8.05(1H, d, J=1.5Hz)
【0170】
工程26−III:(Z)−1−(3−カルボキシル−4−ヒドロキシベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンの調製
(Z)−1−(3−エトキシカルボニル−4−ピバロイルオキシベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン(37mg)のエタノール溶液(2ml)に室温にて、2N水酸化リチウム水溶液(1ml)を加え、50℃で1時間撹拌した。10%塩酸水溶液で酸性にした後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水洗、乾燥後、濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ジクロロメタン−メタノ−ル=4:1)で分離して、目的物(23mg)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.06(3H, t, J=7.5Hz), 1.74(2H, m), 2.61(2H, m), 3.05(3H, s), 6.63(1H, s), 7.11(1H, d, J=8.1Hz), 7.33(1H, s), 7.49(1H, dd, J=1.8, 8.1Hz), 7.55(1H, d, J=8.1Hz), 7.65-7.75(2H, m), 8.14(1H, d, J=1.8Hz), 10.66(1H, brs)
【0171】
実施例27
(Z)−3−((5−メタンスルホニル−2−n−プロピルインデン−1−イリデン)メチル)フェニルカルボキサミド
実施例5で得た(Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン(10mg)のテトラヒドロフラン溶液(1ml)に、氷冷下、トリエチルアミン(0.01ml)及びクロロギ酸エチル(0.005ml)を加え、同温度で15分間撹拌した後、アンモニアガスを1分間吹き込み、同温度で10分間撹拌した。ジクロロメタンで希釈した後、水洗、乾燥後、濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ジクロロメタン−メタノ−ル=95:5)で分離して、黄色粉状の目的物(9mg)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.06(3H, t, J=7.4Hz), 1.74(2H, m), 2.61(2H, m), 3.02(3H, s), 5.7-5.9(1H, m), 6.0-6.2(1H, m), 6.64(1H, s), 7.31(1H, d, J=8.3Hz), 7.4-7.5(2H, m), 7.56(1H, t, J=7.7Hz), 7.65-7.70(2H, m), 7.87(1H, d, J=7.7Hz), 7.97(1H, s)
【0172】
実施例28
(Z)−1−(2−(2−ヒドロキシエチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
工程28−I:2−(2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル)ベンジルブロミドの調製
実施例16の工程16−Iと同様な方法で出発物質を2−ブロモメチルベンゼンエタノ−ルに代えて、無色油状の目的物を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:0.01(6H, s), 0.90(9H, s), 3.01(2H, t, J=6.9Hz), 3.90(2H, t, J=6.9Hz), 4.73(2H, s), 7.2-7.5(4H, m)
【0173】
工程28−II:(Z)−1−(2−(2−ヒドロキシエチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンの調製
実施例16の工程16−IIと同様な方法で出発物質を2−(2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル)ベンジルブロミドに代えて、(2−(2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル)ベンジル)トリフェニルホスホニウムブロミドを得た。得られた(2−(2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル)ベンジル)トリフェニルホスホニウムブロミドは精製することなく次の工程に用いた。
窒素雰囲気下、(2−(2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル)−ベンジル)トリフェニルホスホニウムブロミド(0.34g)のトルエン懸濁液(5ml)に0℃にて、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5Mトルエン溶液、1.1ml)を滴下し、15分間撹拌後に、実施例1で得た2−n−プロピル−5−メチルチオ−1−インデノン(100mg)を加え、2時間加熱還流した。反応液を酢酸エチルで希釈し、有機層を水洗、乾燥後、濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:ジクロロメタン=4:1)で分離して、黄色油状の1−(2−(2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル)ベンジリデン)−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1H−インデン(110mg、53%)をE−Z体の混合物として得た。
得られた1−(2−(2−(tert−ブチルジメチルシロキシ)エチル)ベンジリデン)−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1H−インデン(50mg)のテトラヒドロフラン(THF)−水混合溶液(2:1、1.5ml)に、0℃にて、OXONE(0.17g)を加え、室温で1時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で分離して、黄色油状の(Z)−1−(2−(2−ヒドロキシエチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン(30mg、73%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.07(3H, t, J=7.3Hz), 1.35(1H, m), 1.75(2H, m), 2.64(2H, t, J=7.3Hz), 2.92(2H, t, J=6.9Hz), 3.00(3H, s), 3.77(2H, m), 6.64(1H, s), 6.96(1H, d, J=8.3Hz), 7.25-7.45(5H, m), 7.53(1H, s), 7.67(1H, d, J=1.3Hz)
【0174】
実施例29
(Z)−1−(2−(カルボキシルメチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
工程29−I:(Z)−1−(2−(ホルミルメチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンの調製
1−(2−(2−ヒドロキシエチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン(5mg)及びジクロロメタン(0.2ml)の混合物に、0℃にて、1,1,1−トリス(アセチルオキシ)−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン(Dess−Martin試薬、14mg)を加え、室温で15分間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を乾燥後、濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で分離して、黄色油状の目的物(4.8mg、97%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.06(3H, t, J=7.3Hz), 1.73(2H, m), 2.60(2H, t, J=7.3Hz), 3.00(3H, s), 3.74(2H, d, J=1.7Hz), 6.64(1H, s), 6.90(1H, d, J=7.9Hz), 7.3-7.6(6H, m), 7.66(1H, d, J=1.3Hz), 9.63(1H, t, J=1.7Hz)
【0175】
工程29−II:(Z)−1−(2−(カルボキシルメチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンの調製
実施例16の工程16−IVと同様な方法で出発物質を(Z)−1−(2−(ホルミルメチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンに代えて黄色粉状の目的物を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.04(3H, t, J=7.6Hz), 1.75(2H, m), 2.60(2H, t, J=7.3Hz), 2.99(3H, s), 3.65(2H, s), 6.62(1H, s), 6.89(1H, d, J=7.9Hz), 7.3-7.6(6H, m), 7.64(1H, d, J=2.3Hz)
【0176】
実施例30
(Z)−1−((5−(エトキシカルボニル)フラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン及び(E)−1−((5−(エトキシカルボニル)フラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
工程30−I:(5−(エトキシカルボニル)フラン−2−イル)メチルトリフェニルホスホニウムクロリドの調製
5−クロロメチルフラン−2−カルボン酸エチルエステル(1.8g)、トリフェニルホスフィン(2.5g)及びトルエン(15ml)の混合物を一晩加熱還流した。析出した結晶を濾取した後、エーテル洗浄し、目的物(3.0g、68.8%)を得た。得られた(5−(エトキシカルボニル)フラン−2−イル)メチルトリフェニルホスホニウムクロリドは精製することなく次の工程に用いた。1H NMR(CDCl3)δ値:1.29(3H, t, J=7.3Hz), 4.23(2H, q, J=7.3Hz), 5.96(2H, d, J=14.2Hz), 6.92-7.02(2H, m), 7.63-7.89(15H, m)
【0177】
工程30−II:(Z)−1−((5−(エトキシカルボニル)フラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン及び(E)−1−((5−(エトキシカルボニル)フラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンの調製
窒素雰囲気下、(5−(エトキシカルボニル)フラン−2−イル)メチルトリフェニルホスホニウムクロリド(0.42g)のトルエン懸濁液(7.0ml)に、0℃にて、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5Mトルエン溶液,1.86ml)を滴下し、30分間撹拌後に同温度で実施例1の工程1−IIIで得た2−n−プロピル−5−メチルチオ−1−インデノン(100mg)のトルエン溶液(3.5ml)を加え、室温で15分間撹拌し、1時間加熱還流した。室温に戻した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を水洗、乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲル分取TLC(n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)を用いて、(Z)−1−((5−(エトキシカルボニル)フラン−2−イル)メチレン)−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1H−インデンと(E)−1−((5−(エトキシカルボニル)フラン−2−イル)メチレン)−5−メチルチオ−2−n−プロピル−1H−インデンの混合物(160mg、98.1%)を得た。
次にこの混合物のテトラヒドロフラン−メタノール混合溶液(1:1、5.0ml)に、0℃にてOXONE(0.83g)の水懸濁液(3.0ml)を加え室温で1時間撹拌した。反応溶液を濃縮した後に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を水洗、乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲル分取TLC(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で分離し、黄色油状物の(Z)−1−((5−(エトキシカルボニル)フラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン(実施例化合物30A、110mg、63.3%)と黄色油状物の(E)−1−((5−(エトキシカルボニル)フラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン(実施例化合物30B、38mg、21.9%)を得た。
Z体 1H NMR(CDCl3)δ値:1.05(3H, t, J=7.3Hz), 1.47(3H, t, J=7.3Hz), 1.63-1.79(2H, m), 2.56(2H, t, J=7.3Hz), 3.07(3H, s), 4.43(2H, q, J=7.3Hz), 6.62(1H, s), 6.85(1H, d, J=3.6Hz), 6.90(1H, s), 7.31(1H, d, J=3.6Hz), 7.67(1H, d, J=1.3Hz), 7.76(1H, d, J=8.3Hz), 8.98(1H, d, J=8.3Hz)
E体 1H NMR(CDCl3)δ値:1.00(3H, t, J=7.3Hz), 1.41(3H, t, J=7.3Hz), 1.54-1.67(2H, m), 3.00(2H, t, J=7.3Hz), 3.07(3H, s), 4.41(2H, q, J=7.3Hz), 6.80(1H, s), 6.85(1H, d, J=3.6Hz), 7.25-7.29(2H, m), 7.62-7.73(3H, m)
【0178】
実施例31
(Z)−1−((5−カルボキシルフラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
実施例5と同様な方法で出発物質を(Z)−1−((5−(エトキシカルボニル)フラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンに代えて、橙色結晶の(Z)−1−((5−カルボキシルフラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンを得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.05(3H, t, J=7.3Hz), 1.68-1.79(2H, m), 2.62(2H, t, J=7.3Hz), 3.12(3H, s), 6.67(1H, s), 7.00(1H, d, J=3.6Hz), 7.08(1H, s), 7.15(1H, d, J=3.6Hz), 7.67(1H, s), 7.76(1H, d, J=7.9Hz), 9.18(1H, d, J=7.9Hz)
【0179】
実施例32
(E)−1−((5−カルボキシルフラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
実施例5と同様な方法で出発物質を(E)−1−((5−(エトキシカルボニル)フラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンに代えて、黄色結晶の(E)−1−((5−カルボキシルフラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンを得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:0.97(3H, t, J=7.3Hz), 1.48-1.61(2H, m), 3.07(2H, t, J=7.3Hz), 3.12(3H, s), 6.83(1H, s), 6.96(1H, d, J=3.6Hz), 7.07(1H, d, J=3.6Hz), 7.53(1H, s), 7.65-7.72(2H, m), 7.83(1H, d, J=7.9Hz)
【0180】
実施例33
(Z)−1−(3−メトキシカルボニル−4−トリフルオロメチルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
工程33−I:5−メチル−2−トリフルオロメチル安息香酸メチルの調製
窒素気流下、2−ヨード−5−メチル安息香酸メチル(460mg)、トリフルオロ酢酸カリウム(510mg)、ヨウ化銅(670mg)を、ジメチルホルムアミド(11ml)及びトルエン(5.5ml)の混合溶媒を用いて、一晩加熱還流した。反応溶液を水にあけ、セライト濾過した後トルエンで抽出した。有機層を水洗、乾燥後、濃縮し得られた残渣をシリカゲル分取TLC(n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で分離して、5−メチル−2−トリフルオロメチル安息香酸メチル(286mg、78.5%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:2.43(3H, s), 3.93(3H, s), 7.38(1H, d, J=8.2Hz), 7.58(1H, s), 7.61(1H, d, J=8.2Hz)
【0181】
工程33−II:5−(ブロモメチル)−2−トリフルオルメチル安息香酸メチルの調製
5−メチル−2−トリフルオロメチル安息香酸メチル(286mg)、N−ブロモスクシンイミド(233mg)及び四塩化炭素(5ml)の混合物を光照射しながら、30分間加熱還流した。不溶物を濾別し、濃縮して得た残渣をシリカゲル分取TLC(n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で分離して、黄色油状物の5−(ブロモメチル)−2−トリフルオルメチル安息香酸メチル(200mg、51.4%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:3.94(3H, s), 4.48(2H, s), 7.60(1H, d, J=8.3Hz), 7.71(1H, d, J=8.3Hz), 7.81(1H, s)
【0182】
工程33−III:(3−(メトキシカルボニル)−4−トリフルオロメチルベンジル)−トリフェニルホスホニウムブロミドの調製
実施例19の工程19−Iと同様な方法で出発物質を5−(ブロモメチル)−2−トリフルオルメチル安息香酸メチルに代えて、目的物(320mg、85.3%)を得た。得られた(3−(メトキシカルボニル)−4−トリフルオロメチルベンジル)−トリフェニルホスホニウムブロミドは精製することなく次の工程に用いた。
1H NMR(CDCl3)δ値:3.81(3H, s), 5.82(2H, d, J=15.2Hz), 7.13-7.89(18H, m)
【0183】
工程33−IV:(Z)−1−(3−メトキシカルボニル−4−トリフルオロメチルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン実施例4と同様な方法で、3−メトキシカルボニルベンジルトリフェニルホスホニウムブロミドを(3−(メトキシカルボニル)−4−トリフルオロメチルベンジル)−トリフェニルホスホニウムブロミドに代えて、目的物を黄色油状物として得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:1.06(3H, t, J=7.3Hz), 1.67-1.82(2H, m), 2.59(2H, t, J=7.3Hz), 3.03(3H, s), 3.96(3H, s), 6.66(1H, s), 7.24-7.33(2H, m), 7.47(1H, d, J=7.9Hz), 7.65-7.78(2H, m), 7.85(1H, d, J=7.9Hz), 7.93(1H, s)
【0184】
実施例34
(Z)−1−(3−カルボキシル−4−トリフルオロメチルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン
実施例5と同様な方法で、出発物質を(Z)−1−(3−メトキシカルボニル−4−トリフルオロメチルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンに代えて、黄色結晶の(Z)−1−(3−カルボキシル−4−トリフルオロメチルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデンを得た。
1H NMR(CD3OD)δ値:1.07(3H, t, J=7.3Hz), 1.70-1.82(2H, m), 2.65(2H, t, J=7.3Hz), 3.08(3H, s), 6.73(1H, s), 7.46-7.88(7H, m)
【0185】
実施例35
(Z)−1−(4−エチル−3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−ブチル−1H−インデン
実施例24の工程24−IIと同様な方法で2−n−プロピル−5−メチルチオ−1−インデノンを2−n−ブチル−5−メチルチオ−1−インデノンに代えて、目的物を黄色結晶として得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:0.99(3H, t, J=7.4Hz), 1.31(3H, t, J=7.4Hz), 1.43-1.51(2H, m), 1.64-1.75(2H, m), 2.62(2H, t, J=7.7Hz), 3.05(3H, s), 3.06(2H, q, J=7.7Hz), 3.91(3H, s), 6.03(1H, s), 7.38(1H, d, J=8.0Hz), 7.37(1H, s), 7.47(2H, d, J=1.4Hz), 7.60(1H, dd, J=2.2, 8.0Hz), 7.68(1H, s), 8.02(1H, d, J=1.6Hz)
【0186】
実施例36
(Z)−1−(3−カルボキシル−4−エチルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−ブチル−1H−インデン
実施例5と同様な方法で、出発物質を(Z)−1−(4−エチル−3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−ブチル−1H−インデンに代えて、黄色結晶の(Z)−1−(3−カルボキシル−4−エチルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−ブチル−1H−インデン(44mg、38.3%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ値:0.97(3H, t, J=7.4Hz), 1.28(3H, t, J=6.3Hz), 1.38-1.52(2H, m), 1.62-1.73(2H, m), 2.60(2H, t, J=7.4Hz), 3.00(3H, s), 3.04-3.12(2H, m), 6.60(1H, s), 7.30-7.50(4H, m), 7.59(1H, d, J=7.4Hz), 7.65(1H, s), 8.11(1H, s)
【0187】
試験例1
末梢血を用いたヒトCOX−1及びCOX−2に対する阻害活性測定法
健常人より採取した末梢血500μlに対して、本発明化合物のDMSO溶液を1μl添加した。
COX−1活性を測定する場合は、37℃で4.5時間インキュベーションした後に、カルシウムイオノフォアA23187を、最終濃度が500μMとなるように加え、37℃で30分間インキュベーションし、氷上に移して、反応を停止させた。
COX−2活性を測定する場合は、化合物を添加した血液にリポポリサッカライド(LPS)(E. coli 026:B6由来、シグマ社製)を10μg/mlとなるように加え、37℃で5時間インキュベーションした後に、氷上に移して、反応を停止させた。
遠心操作(150G×10分間)後、上清に含まれるトロンボキサンB2量を、トロンボキサンB2 EIAキット(Cayman社製)にて測定し、溶媒コントロール(上記と同様の操作にて、化合物を加えずに調製したもの)の値を100%として、50%阻害活性を示す濃度をIC50値として表示した。
この結果得られた本発明化合物のCOX−1及びCOX−2に対する阻害活性(IC50値)を、表3に示す。
【0188】
【表3】
Figure 0004264144
【0189】
【発明の効果】
本発明の化合物は、COX−2に対する阻害作用を有し、抗炎症薬などの医薬として有用である。

Claims (12)

  1. 一般式(I):
    Figure 0004264144
    〔式中、R1は、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルケニル基、−(CH2)m−R5(ここで、mは、0〜3の整数を表し、R5は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す)、又はアリール基を表し;R2は、水素原子、−(CH2)n−COORx、−(CH2)n −ORy、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基を表し、ここでn及びn′は、それぞれ0〜3の整数を表し、Rxは、水素原子、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し、Ryは、水素原子、又は水酸基の保護基を表し;R3は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し;そしてR4は、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよい複素環基、又は置換されていてもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す〕で示される化合物若しくはその薬学的に許容しうる塩、又はそれらの水和物。
  2. 2が、水素原子、水酸基、又はメトキシ基である、請求項1記載の化合物。
  3. 1が、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はアリール基である、請求項1又は2記載の化合物。
  4. 1が、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はアリール基であり、R3が、メチル基である、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
  5. 4が、置換されていてもよいアリール基である、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
  6. 4が、置換されていてもよい複素環基である、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
  7. (Z)−1−(4−メトキシベンジリデン)−2−n−プロピル−5−メタンスルホニル−1H−インデン;
    (E)−1−(4−メトキシベンジリデン)−2−n−プロピル−5−メタンスルホニル−1H−インデン;
    (Z)−1−(4−フルオロベンジリデン)−2−n−プロピル−5−メタンスルホニル−1H−インデン;
    (E)−1−(4−フルオロベンジリデン)−2−n−プロピル−5−メタンスルホニル−1H−インデン;
    1−(2−クロロチオフェン−5−イル)メチレン−2−n−プロピル−5−メタンスルホニル−1H−インデン;
    (Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン;
    (Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン;
    1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1H−インデン;
    1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(4,4,4−トリフルオロブチル)−1H−インデン;
    (Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1H−インデン;
    (Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1H−インデン;
    (Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(2−メチルプロピル)−1H−インデン;
    (Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−(2−メチルプロピル)−1H−インデン;
    (Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−ブチル−1H−インデン;
    (Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−ブチル−1H−インデン;
    (Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−エチル−1H−インデン;
    (Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−エチル−1H−インデン;
    (Z)−1−(3−(カルボキシルメチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン;
    (Z)−1−(3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−フェニル−1H−インデン;
    (Z)−1−(3−カルボキシルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−フェニル−1H−インデン;
    (Z)−1−((6−(メトキシカルボニル)ピリジン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン;
    (Z)−1−((6−カルボキシルピリジン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン;
    (Z)−1−(4−フルオロベンジリデン)−5−メタンスルホニル−4−メトキシ−2−n−プロピル−1H−インデン;
    (Z)−1−(4−フルオロベンジリデン)−4−ヒドロキシ−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:
    (Z)−1−(3−ヒドロキシメチルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:
    (Z)−1−(4−エチル−3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:
    (Z)−1−(4−エチル−3−カルボキシベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:
    (Z)−1−(3−カルボキシル−4−ヒドロキシベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:
    (Z)−3−((5−メタンスルホニル−2−n−プロピルインデン−1−イリデン)メチル)フェニルカルボキサミド:
    (Z)−1−(2−(2−ヒドロキシエチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:
    (Z)−1−(2−(カルボキシルメチル)ベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:
    (Z)−1−((5−(エトキシカルボニル)フラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:
    (E)−1−((5−(エトキシカルボニル)フラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:
    (Z)−1−((5−カルボキシルフラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:
    (E)−1−((5−カルボキシルフラン−2−イル)メチレン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:
    (Z)−1−(3−メトキシカルボニル−4−トリフルオロメチルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:
    (Z)−1−(3−カルボキシル−4−トリフルオロメチルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−プロピル−1H−インデン:
    (Z)−1−(4−エチル−3−メトキシカルボニルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−ブチル−1H−インデン:及び
    (Z)−1−(3−カルボキシル−4−エチルベンジリデン)−5−メタンスルホニル−2−n−ブチル−1H−インデン
    から選択される化合物若しくはその薬学的に許容しうる塩、又はそれらの水和物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物を主成分として、添加成分と共に含有する医薬組成物。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物を含有するシクロオキシゲナーゼ阻害剤。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物を含有する抗炎症剤。
  11. 一般式(II):
    Figure 0004264144
    〔式中、R1は、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜7の直鎖若しくは分岐鎖状のアルケニル基、−(CH2)m−R5(ここで、mは、0〜3の整数を表し、R5は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜6のシクロアルキル基を表す)、又はアリール基を表し;R2は、水素原子、−(CH2)n−COORx、−(CH2)n −ORy、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルコキシ基を表し、ここでn及びn′は、それぞれ0〜3の整数を表し、Rxは、水素原子、又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し、Ryは水素原子、又は水酸基の保護基を表し;そしてR3は、炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す〕で示される化合物若しくはその薬学的に許容しうる塩、又はそれらの水和物。
  12. 2が、水素原子、又はメトキシ基である、請求項11記載の化合物。
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