JP4264094B2 - 短絡接地工具 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば、高圧回路工事区間に設けられた開閉器において行われる短絡接地に使用される短絡接地工具に関するものである。
従来、高圧回路工事区間に設けられた開閉器における短絡接地は、工事の作業者の安全を確保するために不可欠のものである。また、短絡接地工具着脱時と工事期間中に工事区間が充電されないように、開閉器にインターロック機能を設けることが重要である。
この様なことから、開閉器本体が密閉されているガス開閉器等で本体側に保守端子を設けたものは、確実なインターロック機能を開閉器側に設けるようになっていた。
一方、近年、これらの開閉器のコストの削減のために、これらの開閉器に接続したケーブル端末にケーブルの接地や試験が行える保守端子を設けた開閉器が使い勝手が良いこともあり、採用され始めている。これらの開閉器の構造は、確実にインターロックが行われるようにすると複雑な機構と煩雑な作業を伴い、それ故の故障が発生すること、コストアップになること等から確実なインターロック機能を設けた開閉器はなかった。
株式会社三英社製作所作成「多回路開閉器製作仕様書」一部抜粋
しかしながら、現場においては、短絡接地作業において、インターロック機能付、又は機能無し等の新旧の開閉器が混在することになり、上記確実なインターロック機能を設けた開閉器に慣れた作業者が機器のリニューアル時に、確実なインターロック機能が設けられていない開閉器に遭遇すると、作業内容が異なることから、ヒューマンエラー(人為的ミス)が生じる機会が増え、安全性に問題があることが懸念された。
そこで、この発明は、開閉器側にインターロック機能を設けず、短絡接地工具側にインターロック機能を持たせ、手動又は自動を問わず、簡単に、一相ずつ安全確実に接地がとれる短絡接地工具を提供するものである。
請求項1の発明は、略扁平で直線状の下端縁を有する板体を設け、当該板体の裏面に、開閉器の前面に設けた略平面から成る操作部の当該開閉器の駆動軸の周囲に設けられた穴に差し込み、当該駆動軸の外周に被冠又は当該駆動軸の孔内に嵌め入れて当該駆動軸に嵌合する駆動軸差込部を突設させて成る接地工具取り付け板を設け、別途上記接地工具取り付け板の下端縁に沿って着脱自在に取り付ける接地工具本体を設け、当該接地工具本体は、一定長を有する接地母線、当該接地母線から延ばされた接地線及び当該接地母線に接続された回動自在な3個の接続端子板から成る。
上記開閉器に接続されているケーブルの短絡接地に際して、当該開閉器の開閉接点が切り状態の時、上記接地工具取り付け板を当該開閉器の操作部に被せて、当該接地工具取り付け板の駆動軸差込部を当該開閉器の駆動軸の周囲に設けられた穴に差し込んで当該開閉器の駆動軸と嵌合した際、当該接地工具取り付け板の下端縁は水平な状態にあるよう構成し、上記接地工具本体を上記接地工具取り付け板の下端縁に取り付け、当該接地工具本体の接地線を当該開閉器又は近接の接地端子に接続し、当該接地工具本体の回動自在な各接続端子板を回動させて各接続端子板を当該開閉器に接続した三相各相のケーブル端末保守端子に接続する構成とした短絡接地工具とした。
請求項2の発明は、前面の操作部の下端縁が略水平で、さらに、水平な下面を有する開閉器に使用する短絡接地工具であって、上記略扁平な接地工具取り付け板の直線状の下端縁を裏側に略直角に屈曲させ、当該屈曲させた直線状の下端縁には当該下端縁に沿って工具取り付け嵌合部を設け、当該工具取り付け嵌合部に上記接地工具本体に設けた取り付け片を嵌めて当該接地工具取り付け板に当該接地工具本体を着脱自在に取り付け、その際、当該接地工具取り付け板の屈曲させた下端縁は、上記開閉器の操作部の略水平な下面に沿って近接している上記請求項1に記載の短絡接地工具とした。
請求項3の発明は、上記接地工具本体は、一定長のアングル材の一側面を上記取り付け片とし、当該アングル材の他側面の裏面に接地母線を設け、当該アングル材の他側面の表面に上記接地母線と接続した接続端子板を回動自在で通常は上方に位置するように付勢して間隔を開けて3個設け、当該各接続端子板の先端部付近に貫通孔を穿ち、上記接地母線には接地線の一端を接続して設け、上記開閉器に接続されているケーブルの短絡接地に際して、当該開閉器に取り付けられた接地工具取り付け板の下端縁の工具取り付け嵌合部に上記接地工具本体の取り付け片を嵌め入れて当該接地工具本体を取り付け、当該接地工具本体の接地線の他端を当該開閉器又は近接の接地端子に接続し、上記接地工具本体の回動自在な各接続端子板を下方に回動させて当該各接続端子板の貫通孔を当該開閉器と接続した三相各相のケーブル端末保守端子のねじ孔に合わせて1相ずつ螺着接続する構成とした上記請求項2に記載の短絡接地工具とした。
請求項4の発明は、上記接地工具本体の各接続端子板に、把手部に絶縁処理を施した一本の操作棒を着脱自在とし、上記開閉器に接続されているケーブルの短絡接地において、上記操作棒を上記各接続端子板に装着して当該接続端子板を回動させ、一相ずつ接地するように構成した上記請求項1、2又は3の何れかに記載の短絡接地工具とした。
請求項5の発明は、上記接地工具取り付け板の表面に貫通孔を設け、当該接地工具取り付け板を上記開閉器の開閉接点が切り状態で上記操作部に被せた際、当該接地工具取り付け板の貫通孔にボルトを差し入れて、当該操作部の表面の、上記貫通孔に相応する位置に予め設けたねじ孔に螺着して、当該接地工具取り付け板を当該操作部に固着する上記請求項1、2、3又は4の何れかに記載の短絡接地工具とした。
請求項1の発明によれば、開閉器に接続されているケーブルの短絡接地に際して、上記接地工具取り付け板を当該開閉器の操作部に被せて、当該接地工具取り付け板の駆動軸差込部を当該開閉器の開閉接点の駆動軸と嵌合させ、接地工具本体を上記接地工具取り付け板の下端縁に沿って取り付け、上記接地工具本体の接続端子板の3個の接続端子を当該開閉器の各相のケーブル端末保守端子に接続することとしたので、構成が簡単な接地工具取り付け板を使用して、作業者の安全が図れる。また、短絡接地作業を施した工事期間中は、接地工具取り付け板の駆動軸差込部が開閉器の駆動軸を把持し、接地工具取り付け板に固定された接地工具本体の3個の接続端子板は当該開閉器の3相のケーブル端末保守端子に夫々固定されているので、これらの部材は相互に動けず、当該開閉器を手動又は自動を問わず「入り」状態にすることが出来ないので作業者の安全が図れる。さらに、開閉器本体側個々にインターロック機構を設ける必要が無いので、コスト削減が図れ、また、複雑な構造、煩雑な操作に起因する故障を削減することが出来る。
さらに、当該開閉器の開閉接点が「切り」状態の時、上記接地工具取り付け板を当該開閉器の操作部に被せた際、接地工具取り付け板の下端縁は水平な状態となるようにしたので、もし、万一当該開閉器の開閉接点が「入り」状態の時に接地工具取り付け板を被せた場合、接地工具取り付け板の下端縁は水平な状態でなく、左右どちらかに斜行した状態となり、直ぐに、開閉器の開閉接点が「切り」状態にないことが分かり、接地作業を中止して、作業者の安全を図ることが出来る。しかも、接地工具取り付け板が斜行した状態では、接地工具本体の各接続端子板は、開閉器が接続した三相のケーブル端末保守端子と接続出来ない。従って、短絡接地作業が行えない。また、接地工具本体と接地工具取り付け板とを分割することにより、当該開閉器の操作部の構造が異なる他機種との共用化において、短絡接地工具取り付け板を一部変えることにより、使用する工具の種類を最小限にすることが出来る。
請求項2の発明によれば、当該接地工具取り付け板の屈曲させた下端縁は、上記開閉器の操作部の略水平な下面に沿って近接した下方に位置しているので、当該開閉器が「切り」状態でなければ駆動軸差込部が差し込めず、接地工具取り付け板が取り付けられないので、当該開閉器の切り状態を容易に確認することが出来、安全である。また、この接地工具本体を上記開閉器に取り付けた後は、当該開閉器を「入り」状態にしようとして当該接地工具本体を回動させようとしても、上記接地工具本体の各接続端子板の各相のケーブル端末保守端子への固定と共に、上記操作部の水平な下面が邪魔になり、接地工具取り付け板の屈曲させた下端縁が回動出来ず、当該開閉器を「入り」状態にすることが出来ない。
さらに、当該開閉器に取り付けられた接地工具取り付け板の下端縁の工具取り付け嵌合部に接地工具本体の取り付け片を嵌め入れて当該接地工具本体を設けたので、接地工具本体を確実かつ容易に接地工具取り付け板に取り付けることが出来、一旦取り付けられた後は、容易に外れ難い。よって、安全に短絡接地作業を行うことが出来る。
また、請求項3の発明によれば、アングル材の接続端子板は常時ばねで上方に上げられているので、1相ずつの接地作業時、他の接続端子板が邪魔にならない。また、接地工具本体を装着したままケーブル試験が出来るので、ケーブル試験前後の残留電荷の放電作業も容易となる。さらに、ケーブル端末保守端子の接続面と接地工具本体の接続端子板の接続面が多少ずれていても、取り付けボルトを締め付けていく過程で修正されて適切な位置となり、確実に取り付けられる。
また、請求項4の発明によれば、上記接地工具本体の各接続端子板に、把手部に絶縁処理を施した操作棒を夫々着脱自在とし、上記開閉器の短絡接地において、上記操作棒を上記各接続端子板に装着して当該接続端子板を回動させ、一相ずつ接地するようにしたので、一本の操作棒を差し替えて一相ずつの時間をおいての接地となるので、検電後、万一充電されても最初の一相の接地で充分な地絡電流が流れ、変電所の送り出し遮断機がトリップするので、複数相同時接地による短絡事故を防止出来る。また、操作棒の把手部は絶縁されているので、ケーブルの残留電荷放電時安全に作業が出来る。さらに、ケーブル端末保守端子に接続端子板を締め付ける取り付けボルトを取り付け又は取り外しする過程において、万一負荷側から充電されても操作棒で接続端子板を確実に押さえているので作業者の安全が図れる。
さらに、請求項5の発明によれば、上記接地工具取り付け板の表面に貫通孔を設け、当該接地工具取り付け板を上記開閉器の操作部に被せた際、当該接地工具取り付け板の貫通孔にボルトを差し入れて、当該操作部の表面の、上記貫通孔に相応する位置に予め設けたねじ孔に螺着して、当該接地工具取り付け板を当該操作部に固着するようにしたので、上記開閉器の操作部に接地工具取り付け板を取り付けた状態を安定して維持することが出来、また、接地工具取り付け板を当該開閉器の操作部のねじ孔に螺着した時点で当該開閉器を確実に入り操作出来なくなるので、その後の短絡接地作業をより安全かつ確実に行うことが出来る。
略扁平で直線状の下端縁を有する板体を設け、当該板体の裏面に、開閉器の前面に設けた略平面から成る操作部の当該開閉器の駆動軸の周囲に設けられた穴に差し込み、当該駆動軸の外周に被冠又は当該駆動軸の孔内に嵌め入れて当該駆動軸に嵌合する駆動軸差込部を突設させて成る接地工具取り付け板を設け、別途上記接地工具取り付け板の下端縁に沿って着脱自在に取り付ける接地工具本体を設け、当該接地工具本体は、一定長を有する接地母線、当該接地母線から延ばされた接地線及び当該接地母線に接続された回動自在な3個の接続端子板から成る。
上記開閉器に接続されているケーブルの短絡接地に際して、当該開閉器の開閉接点が切り状態の時、上記接地工具取り付け板を当該開閉器の操作部に被せて、当該接地工具取り付け板の駆動軸差込部を当該開閉器の駆動軸の周囲に設けられた穴に差し込んで当該開閉器の駆動軸と嵌合した際、当該接地工具取り付け板の下端縁は水平な状態にあるよう構成し、上記接地工具本体を上記接地工具取り付け板の下端縁に取り付け、当該接地工具本体の接地線を当該開閉器又は近接の接地端子に接続し、当該接地工具本体の回動自在な各接続端子板を回動させて各接続端子板を当該開閉器に接続した三相各相のケーブル端末保守端子に接続する構成とした。
これらにより、短絡接地工具側にインターロック機能を持たせ、手動又は自動を問わず、簡単に、一相ずつ安全確実に接地がとれる。
以下、この発明の実施例を図に基づいて説明する。
この発明の実施例の短絡接地工具は、接地工具本体1と接地工具取り付け板2から成る。このうち接地工具取り付け板2は、図2に示すように、扁平で、正面から見ると凸型であって、図3に示すように、下部全体を裏側に直角にアールを持たせて屈曲させて屈曲部2aを形成しており、下端縁は直線状となっている。この下端縁に続く上記屈曲部2aにはその下面に沿って、左端から右端に至る、後述する接地工具本体1の取り付け片を嵌め入れる、扁平な中空状の工具取り付け溝3を設けている。
また、この接地工具取り付け板2の上部の裏面には、多回路開閉器A(以下、「開閉器A」と言う)の開閉用の駆動軸31(図6参照)が設けられた穴32に差し込んで当該駆動軸31を嵌合する駆動軸差込部4を突設させている。この駆動軸差込部4の突設する長さ及び形態は、駆動軸31の長さ及び当該駆動軸31の形態に合わせて設けられ、ここでは、例えば、開閉器Aの駆動軸31が六角柱状の場合は、駆動軸差込部4を断面六角筒体とし、これを上記駆動軸31に被冠する形に形成している。また、開閉器Aの上記駆動軸31を有する操作部33は縦方向に略扁平な面で形成され、その下端縁は水平な下面を有している。
そして、開閉器Aの開閉接点が「切り」状態の時に接地工具取り付け板2の駆動軸差込部4を差し込んだ際、接地工具取り付け板2の直線状の下端縁は水平な状態にあり、開閉器Aの操作部33の下端縁とはほぼ一致した位置にある(図7参照)。また、下部の屈曲部2aは開閉器Aの突出した操作部33の下面に沿って近接した位置で支障なく収まっている(同)。この様に、接地工具取り付け板2は、当該開閉器Aの開閉接点が「切り」状態の時にのみ、一定の形で安定して取り付けられる様になっている。
また、この接地工具取り付け板2の上記屈曲部2aには側面L型の細長で楕円形状の切り欠き部5を等間隔で3個設けており、さらに、この接地工具取り付け板2の左肩部分には、この接地工具取り付け板2を開閉器Aの操作部33に被せた際、操作部33上のねじ穴34に対向する位置に貫通孔を設けている(図2参照)。そして、この貫通孔に取り付け蝶ボルト6を通して上記ねじ穴34に螺着することにより、この接地工具取り付け板2を操作部33に固定している。
接地工具本体1は、図4及び図5に示すように、横長の一定長のアングル材の一側面を水平面とし、この水平面を上記接地工具取り付け板2の工具取り付け溝3に嵌め入れる、取り付け片7とし、このアングル材の他側面である垂直面の裏面には銅角棒から成る接地母線8を設けている。この接地母線8の裏面の3個所からはボルト9で一端を螺着されたフレキシブル導体10が夫々延びており(図5では1個所のみ示す)、また、底面からは導線が延びて接地線11を形成し、この接地線11の他端は、外箱内の接地端子(図示省略)に接続する、先端に端子であるワニ口クリップ11aを設けている。
さらに、このアングル材の他側面の垂直面側の左右の両端縁には、舌片状で中央に貫通孔を穿った軸受け部12を夫々設けて、これらの左右の軸受け部12の貫通孔に軸丸棒13を嵌め入れている。この軸丸棒13には、長方形状であって一端を丸めて筒状に形成した板体14aを、当該筒状部を被せて軸支して等間隔で3つ設け、これらの各板体14aの先端には、貫通孔を二つ並設し、これらの各貫通孔にボルト14bとナット14cによって、同様に後端に二つの貫通孔を並設した銅製の板体14dを接続して各接続端子板14を3個形成している。
これらの各接続端子板14は軸丸棒13に対して回動自在であるが(図5において矢印で示す)、軸丸棒13に巻き付けた弦巻ばね15によって、通常は上方に付勢されて上位に位置している。さらに、これらの各接続端子板14の上記ボルト14bとナット14cによって、図5に示すように、上記接地母線8の裏面から延ばされた上記各フレキシブル導体10の他端を板体14dに接続固定している。また、これらの各接続端子板14の板体14dには貫通孔16を夫々設けており、さらに、これらの各接続端子板14の筒状部の近くには、短円柱状の操作棒差込部17を夫々設けている。
次に、この接地工具本体1及び接地工具取り付け板2を使って開閉器Aの短絡接地を行う。
まず、開閉器Aが「切り」の状態であることを確認する。また、図6に示すように、手動機構装置(図示省略)又は自動機構装置の連結ピン35などが取り付けられていれば、これらのものを取り外し、この開閉器Aの三相各相のT型ケーブル端末部36の検電部を検電し、このT型ケーブル端末部36が充電されていないことを確認する。
続いて、図7に示すように、接地工具取り付け板2を、当該接地工具取り付け板2の駆動軸差込部4を開閉器Aの前面の略扁平な操作部33の駆動軸31の向きを確認後当該向きに合わせてこの駆動軸31が設けられた穴32に差し込んで、当該開閉器Aの操作部33に被せる。これにより、六角筒体の駆動軸差込部4が六角柱状の駆動軸31の外周に被冠し、当該駆動軸31に嵌合する。この時、接地工具取り付け板2下部の屈曲部2aは、前面に突出した操作部33の下面に沿って近接した位置に支障なく入り込んで収まっており、直線状の下端縁は水平な状態にある。そして、取り付け蝶ボルト6を操作部33上のねじ穴34に当て締め付けて当該接地工具取り付け板2を開閉器Aの操作部33に固定する。
この様に、接地工具取り付け板2は、上記の通り、開閉器Aが「切り」の状態で取り付けると、当該接地工具取り付け板2の下端縁は水平な位置にあり、屈曲部2aは、操作部33の下面に沿って近接した位置に支障なく入り込んで安定した状態にある。
さらに、接地工具本体1を水平に持ち、図7の(ロ)に示すように、当該接地工具本体1の取り付け片7を接地工具取り付け板2の工具取り付け溝3の中に嵌め入れて接地工具取り付け板2に取り付ける。そして、図8に示すように、この接地工具本体1の接地線11のワニ口クリップ11aを開閉器Aが納まっている外箱内の接地端子に取り付ける(図示省略)。また、三相のT型ケーブル端末部36の左端のT型ケーブル端末部36の正面の絶縁栓36aを外し、図9に示す課電アダプタ37を、図10に示すように取り付け、図11に示す把手部38aが絶縁された操作棒38の先端を、図12に示すように、左端の接続端子板14の短円柱状の操作棒差込部17に被せて、この接続端子板14の板体14dを下方に回動させて課電アダプタ37の後背面に当該板体14dの貫通孔16の位置を合わせて重ね、残留電荷を放電させる。この時、上述の通り、操作棒38の把手部38aは絶縁されているので、作業者は安全である。
操作棒38の先端を操作棒差込部17に被せた際、当該操作棒38は図12の(ロ)に示すように、斜行して突設しているが、接地工具取り付け板2においては、各相のT型ケーブル端末部36の上方に位置する個所に上述の通り、細長で楕円形状の切り欠き部5を夫々設けているので、当該操作棒38の操作の邪魔になることはない。
その後、図13に示すように、この操作棒38で接続端子板14の板体14dを押し付けながら、図14に示すように、取り付けボルト39を課電アダプタ37の後背面のねじ穴に締め付けて螺着する。そして、取り付けボルト39を完全に締め付けると当該接続端子板14の板体14dは課電アダプタ37に固定され、ケーブル一相の接地が完了となる。この時、最初の相の接地が完了するまで隣接する他の相の接地作業は行わない。
この様にして、隣接する他の相も接地作業を行う。この接地工具本体1及び接地工具取り付け板2を使用して三相とも接地作業を行った状態を図1に示す。これにより、開閉器Aに接続された三相各相のT型ケーブル端末部36を夫々接地し、高圧回路工事を行う。
これらの接地工具本体1及び接地工具取り付け板2から成る短絡接地工具を使用した場合、以下の効果が得られた。
上記開閉器Aの短絡接地に際して、この開閉器Aの開閉接点が「切り」状態の時、上記接地工具取り付け板2をこの開閉器Aの操作部33に被せて、当該接地工具取り付け板2の駆動軸差込部4をこの開閉器Aの駆動軸31が設けられた穴32に差し込んで当該駆動軸31に嵌合した場合、当該接地工具取り付け板2の下端縁が水平な状態にあり、また、屈曲部2aが操作部33の下面に沿って近接した位置に収まるように設けたので、もし、万一当該開閉器Aの開閉接点が「入り」状態の時に接地工具取り付け板2を被せようとしても、接地工具取り付け板2の下端縁は水平な状態にはなく、左右どちらかに斜行した状態となり、接地工具取り付け板2の下部の屈曲部2aが邪魔になって取り付けが出来ない。それ故、直ぐに、開閉器Aの開閉接点が「入り」状態の時にあることが分かり、短絡接地作業を行うことなく、作業者の安全を図ることが出来る。
また、短絡接地作業を施した工事期間中は、接地工具取り付け板の駆動軸差込部4が開閉器Aの駆動軸31を把持し、接地工具取り付け板2に固定された接地工具本体1の3個の接続端子板14は当該開閉器Aの3相のT型ケーブル端末部36に夫々固定されているので、これらの部材は相互に動けず、当該開閉器を手動又は自動を問わず「入り」状態にすることが出来ないので作業者の安全が図れる。さらに、開閉器A本体側個々にインターロック機構を設ける必要が無いので、コスト削減が図れ、また、複雑な構造、煩雑な操作に起因する故障を削減することが出来る。
この接地工具本体1において、各接続端子板14は、弦巻ばね15で常時上方に上げられているので、一相ずつの接地作業の際、他の接続端子板14が支障とならない。また、接地工具本体1を装着したままケーブル試験が出来るので、ケーブル試験前後の残留電荷の放電作業も容易となる。さらに、接地工具本体1の取り付け片7は、差し込み式なので着脱が容易で一旦取り付けられた後は容易に外れ難い。また、各相のT型ケーブル端末部36の保守端子に取り付けられた課電アダプタ37の接続面と接地工具本体1の接続端子板14の接続面とが多少ずれていても、取り付けボルト39を締め付けていく過程で修正されて適切な位置となり、確実に取り付けられる。
また、一本の操作棒38により各接続端子板14を回動させて一相ずつ接地した場合、以下の効果が得られた。
この一本の操作棒38を差し替えて一相ずつ、時間をおいての接地となるので、検電後、万一充電されても最初の一相の接地で充分な地絡電流が流れ、変電所の送り出し遮断機がトリップするので、充電中の複数相同時接地による短絡事故を防止出来る。また、操作棒38の把手部38aは絶縁されているので、ケーブルの残留電荷放電時安全に作業が出来る。さらに、各相のT型ケーブル端末部36の保守端子に取り付けられた課電アダプタ37に接続端子板14を螺着する取り付けボルト39を取り付け又は取り外しする過程において、万一負荷側から充電されても操作棒38で接続端子板14を課電アダプタ37に確実に押え付けているので作業者の安全が図れる。
なお、上記実施例において、この接地工具本体1及び接地工具取り付け板2を開閉器Aの短絡接地に使用しているが、開閉器Aの他にしゃ断器、断路器にも使用出来る。例えば、操作部に対してT型ケーブル端末部が右側や左側に位置した場合、接地工具取り付け板2の取り付けは右側や左側方向の横向きの取り付けとなることも考えられ、また、その際、接地工具取り付け板2の水平な下端縁は垂直となる。この様に、開閉器の操作部の横からT型ケーブル端末部が導出している場合でも、この発明のものは使用出来、効果は同じである。
また、接地工具取り付け板2の駆動軸差込部4の形状として断面が六角形状の角筒体とし、六角柱状の駆動軸31の外周に被冠する形に形成しているが、駆動軸差込部4の形状としては、これに限るものではなく、開閉器A等の操作部33の駆動軸31の形状に合わせ、例えば、開閉器Aの駆動軸の外側が丸棒状で内側に断面角形孔を有していれば、駆動軸差込部4は断面角形の柱体という様に、当該駆動軸31に嵌合出来るものであれば、被冠する形でも嵌め入れる形のものでもどちらでもよい。また、ケーブル端末保守端子として、T型ケーブル端末部36を使用しているが、ケーブル端末保守端子としては、これに限るものではなく、例えば、直線型ケーブル端末に保守端子部を備えたものを上記T型ケーブル端末部36に代えて使用しても良い。また、T型ケーブル端末部36の保守端子に課電アダプタ37を取り付け、その後に接続端子板14の端子を螺着しているが、課電アダプタ37は必ずしも必要ではなく、必要であれば他のものに代えてもよい。
また、接地工具取り付け板2を正面凸型に設けているが、接地工具取り付け板2の形状としては、これに限るものではなく、接地工具取り付け板2の役目を果たせるものであればその形状は問わない。また、操作棒38により各接続端子板14を回動させて接地する際、当該操作棒38の先端を操作棒差込部17に被せる構成としたが、これは操作棒差込部17に予め設けられた孔内に嵌め込む形にしても良い。
さらに、上記実施例においては、開閉器Aの開閉接点が「切り」状態の時、屈曲部2aを設けた接地工具取り付け板2を当該開閉器Aの操作部33に取り付け、この状態の開閉器Aを、仮に、「入り」状態にしようとしても(上記取り付け蝶ボルト6を外した状態で)、当該操作部33の下面に近接して収まっている接地工具取り付け板2の屈曲部2aが当該操作部33の下面に邪魔されて当該接地工具取り付け板2は回動出来ず、当該開閉器Aを「入り」状態に出来ない構成としたが、当該接地工具取り付け板2に屈曲部2aを設けていない場合であっても、当該接地工具取り付け板2の下端縁に沿って上記扁平な中空状の工具取り付け溝3を設け、この工具取り付け溝3に接地工具本体1を取り付け、接地工具本体1の各接続端子板14の板体14dが三相各相のT型ケーブル端末部36に課電アダプタ37を介して固定される構成を採ることが出来るので、この接地工具本体1と一体に設けられている接地工具取り付け板2は回動できず、当該開閉器Aの開閉接点を「入り」状態にすることは出来ない。また、「入り」状態では、接地工具取り付け板2の下端が斜めになり、この下端縁に取り付けられる接地工具本体も斜めになって、短絡接地することも出来ない。
さらに、接地工具取り付け板2の下部全体を裏側に屈曲させて屈曲部2aを形成しているが、この屈曲部2aを設けるのは、裏側に限るものではなく、例えば、T型ケーブル端末部36を二つ重ねて連結して使用した場合などは、接地工具本体1の各接続端子板14の板体14dを螺着する位置は、開閉器Aの前面の操作部33より前方の位置になり、この場合、屈曲部2aは表側に屈曲した形となる(図示省略)。この様に表側に屈曲させた屈曲部は、接地工具取り付け板2の回動を防ぐものではないが、上述の様に、接地工具本体1を取り付け、さらに、接続端子板14をT型ケーブル端末部36に固定すれば回動不能となり、また、開閉器Aの操作部33上で取り付け蝶ボルト6を強固に締め付けることにより、接地工具取り付け板2は固定され、回動を防ぐことが出来る。
また、上記実施例では、接地工具本体1を接地工具取り付け板2に着脱自在に取り付けるのに、接地工具本体1に取り付け片7を設け、接地工具取り付け板2に工具取り付け溝3を設け、この取り付け片7を工具取り付け溝3に嵌め入れて行っているが、接地工具本体1を接地工具取り付け板2に着脱自在に取り付ける手段としては、これに限るものではなく、例えば、接地工具取り付け板2の屈曲部2aの水平な下面に間隔を空けて2本のボルトを各頭部を下方に向けて突出させて設け、接地工具本体1の取り付け片7の一側縁に上記2本のボルトと同間隔で切り欠きを設け、これらの切り欠きに上記ボルトの頭部を係止させるなどとしてもよい。要は、接地工具取り付け板2の下端縁に工具取り付け嵌合部を設け、この工具取り付け嵌合部に接地工具本体1の取り付け片を嵌めて係止固定出来る構成であれば適宜のものでよい。
この発明の実施例の接地工具本体及び接地工具取り付け板を取り付け、接地工具本体の三つの各接続端子板を三相各相のケーブル端末のT型ケーブル端末部に固定した状態の開閉器の一部正面図である。 この発明の実施例の接地工具取り付け板の正面図である。 この発明の実施例の接地工具取り付け板の側面図である。 この発明の実施例の接地工具本体の正面図である。 この発明の実施例の接地工具本体の側面図である。 この発明の実施例の接地工具本体及び接地工具取り付け板を取り付ける開閉器であって、「切り」の状態で、かつ自動機構装置の連結ピンを取り外した状態の一部正面図である。 この発明の実施例の接地工具取り付け板を開閉器の操作部に被せた状態の図であって(イ)図は一部正面図及び(ロ)図は同側面図である。 この発明の実施例の接地工具取り付け板を開閉器に被せ、さらに、この接地工具取り付け板に接地工具本体を取り付け、接地線を上記開閉器のキャビネットの接地端子に接続する状態の図であって(イ)図は一部正面図及び(ロ)図は同側面図である。 この発明の実施例の開閉器のT型ケーブル端末部に装着する課電アダプタ一の側面図である。 この発明の実施例の接地工具取り付け板及び接地工具本体を開閉器に取り付け、左端のT型ケーブル端末部の絶縁栓を外して課電アダプタを取り付けた状態の図であって(イ)図は一部正面図及び(ロ)図は同側面図である。 この発明の実施例の接地工具本体に使用する操作棒の側面図である。 この発明の実施例の接地工具取り付け板及び接地工具本体を開閉器に取り付け、当該接地工具本体の左端の接続端子板の短円柱状の操作棒差込部に操作棒の先端を被せ、当該接続端子板を下方に回動させる様子を示す図であって(イ)図は一部正面図及び(ロ)図は同側面図である。 この発明の実施例接地工具取り付け板及び接地工具本体を開閉器に取り付け、接地工具本体の左端の接続端子板の短円柱状の操作棒差込部に操作棒の先端を被せて接続端子板を下方に回動させて接続端子板の板体を課電アダプタ一に螺着する様子を示す図であって(イ)図は一部正面図及び(ロ)図は同側面図である。 この発明の実施例の接地工具取り付け板及び接地工具本体を開閉器に取り付け、接地工具本体及び接地工具取り付け板によって一相ごとに接地作業を行っている様子を示す図であって(イ)図は一部正面図及び(ロ)図は同側面図である。
符号の説明
A 開閉器
1 接地工具本体 2 接地工具取り付け板
3 工具取り付け溝 4 駆動軸差込部
6 取り付け蝶ボルト 7 取り付け片
8 接地母線 14 接続端子板
31 駆動軸 32 穴
33 開閉器の操作部 34 ねじ孔
36 T型ケーブル端末部 38 操作棒

Claims (5)

  1. 略扁平で直線状の下端縁を有する板体を設け、当該板体の裏面に、開閉器の前面に設けた略平面から成る操作部の当該開閉器の駆動軸の周囲に設けられた穴に差し込み、当該駆動軸の外周に被冠又は当該駆動軸の孔内に嵌め入れて当該駆動軸に嵌合する駆動軸差込部を突設させて成る接地工具取り付け板を設け、
    別途上記接地工具取り付け板の下端縁に沿って着脱自在に取り付ける接地工具本体を設け、当該接地工具本体は、一定長を有する接地母線、当該接地母線から延ばされた接地線及び当該接地母線に接続された回動自在な3個の接続端子板から成り、
    上記開閉器に接続されているケーブルの短絡接地に際して、当該開閉器の開閉接点が切り状態の時、上記接地工具取り付け板を当該開閉器の操作部に被せて、当該接地工具取り付け板の駆動軸差込部を当該開閉器の駆動軸の周囲に設けられた穴に差し込んで当該開閉器の駆動軸と嵌合した際、当該接地工具取り付け板の下端縁は水平な状態にあるよう構成し、
    上記接地工具本体を上記接地工具取り付け板の下端縁に取り付け、当該接地工具本体の接地線を当該開閉器又は近接の接地端子に接続し、当該接地工具本体の回動自在な各接続端子板を回動させて各接続端子板を当該開閉器に接続した三相各相のケーブル端末保守端子に接続する構成としたことを特徴とする、短絡接地工具。
  2. 前面の操作部の下端縁が略水平で、さらに、水平な下面を有する開閉器に使用する短絡接地工具であって、
    上記略扁平な接地工具取り付け板の直線状の下端縁を裏側に略直角に屈曲させ、当該屈曲させた直線状の下端縁には当該下端縁に沿って工具取り付け嵌合部を設け、当該工具取り付け嵌合部に上記接地工具本体に設けた取り付け片を嵌めて当該接地工具取り付け板に当該接地工具本体を着脱自在に取り付け、
    その際、当該接地工具取り付け板の屈曲させた下端縁は、上記開閉器の操作部の略水平な下面に沿って近接していることを特徴とする、上記請求項1に記載の短絡接地工具。
  3. 上記接地工具本体は、一定長のアングル材の一側面を上記取り付け片とし、当該アングル材の他側面の裏面に接地母線を設け、当該アングル材の他側面の表面に上記接地母線と接続した接続端子板を回動自在で通常は上方に位置するように付勢して間隔を開けて3個設け、当該各接続端子板の先端部付近に貫通孔を穿ち、上記接地母線には接地線の一端を接続して設け、
    上記開閉器に接続されているケーブルの短絡接地に際して、当該開閉器に取り付けられた接地工具取り付け板の下端縁の工具取り付け嵌合部に上記接地工具本体の取り付け片を嵌め入れて当該接地工具本体を取り付け、当該接地工具本体の接地線の他端を当該開閉器又は近接の接地端子に接続し、上記接地工具本体の回動自在な各接続端子板を下方に回動させて当該各接続端子板の貫通孔を当該開閉器と接続した三相各相のケーブル端末保守端子のねじ孔に合わせて1相ずつ螺着接続する構成としたことを特徴とする、上記請求項2に記載の短絡接地工具。
  4. 上記接地工具本体の各接続端子板に、把手部に絶縁処理を施した一本の操作棒を着脱自在とし、
    上記開閉器に接続されているケーブルの短絡接地において、上記操作棒を上記各接続端子板に装着して当該接続端子板を回動させ、一相ずつ接地するように構成したことを特徴とする、上記請求項1、2又は3の何れかに記載の短絡接地工具。
  5. 上記接地工具取り付け板の表面に貫通孔を設け、当該接地工具取り付け板を上記開閉器の開閉接点が切り状態で上記操作部に被せた際、当該接地工具取り付け板の貫通孔にボルトを差し入れて、当該操作部の表面の、上記貫通孔に相応する位置に予め設けたねじ孔に螺着して、当該接地工具取り付け板を当該操作部に固着することを特徴とする、上記請求項1、2、3又は4の何れかに記載の短絡接地工具。
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