JP4263882B2 - 光反射体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は紫外光による劣化が少なく、かつ光源光を反射して高輝度を実現させる光反射体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内蔵式光源を配置したバックライト型の液晶ディスプレイが広く普及している。バックライト型のうちサイドライト方式の典型的な構成は、図1に示すとおりであり、透明なアクリル板13に網点印刷12を行った導光板、その片面に設置した光反射体11、拡散板14そして、導光板サイドに接近した冷陰極ランプ15からなる。導光板サイドより導入された光は網点印刷部分で発光され、光反射体11で光の反射、洩れを防ぎ、拡散板14で均一面状な光を形成する。
【0003】
このようなバックライトユニットにおいて、光反射体は、内蔵式光源の光を表示のために効率的に利用できるようにするとともに、それぞれの目的にあった表示を実現するために機能する。一般に、ギラギラとした鏡面反射は嫌われるため、散乱反射による面方向に比較的均一な輝度を実現し、見る人に自然な感じを与えることが必要とされる。とくに液晶ディスプレイのサイドライト方式に用いられる反射板は、導光板から裏抜けする光を面方向に輝度ムラなく、均一に反射させることが要求される。
【0004】
従来から、本用途には特開平4−239540号公報に記載されるような白色ポリエステルフィルムが使用されることが多かった。
ところが、光源光近傍では光源光から発生する熱により80℃以上に加熱される部分があり、また、光源光から発生する、主に紫外光付近の光により、反射体が黄変をきたし色調の変化や輝度の経時的な低下を来すことがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来技術に鑑みて、本発明は、従来から反射体として用いられている白色ポリエステルフィルムのような黄変を発生せず、長期にわたり色調の変化を来さない反射体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、不透明度、白色度、反射率、面積延伸倍率、光照射試験後の色差△EHなどの条件を特定の範囲内に設定することによって、所期の効果を奏する光反射体が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち本発明は、不透明度が97%以上、白色度が95%以上、反射率R0が95%以上、面積延伸倍率が28〜60倍のオレフィン系熱可塑性樹脂とフィラーを含有する二軸延伸フィルムよりなる光反射体であって、
前記二軸延伸フィルムが、基材層(A)と該基材層(A)の少なくとも片面に形成された表面層(B)を有しており、
前記ニ軸延伸フィルムの肉厚が40〜400μmであって、前記表面層(B)の肉厚が前記ニ軸延伸フィルムの肉厚の0.2〜10%であり、
基材層(A)が3.5〜50重量%、表面層(B)が0.1〜0.9重量%の紫外光吸収フィラーを含有し、
前記紫外光吸収フィラーが、二酸化チタンおよび酸化亜鉛からなる群より選択される紫外光吸収フィラーであり、
前記基材層(A)と表面層(B)が、それぞれ、前記紫外光吸収フィラーを除く無機フィラーと酸化防止剤を含有し、
83℃、相対湿度50%の環境条件で10cm離れた位置に設置したメタルハライドランプから照射強度90mW/cm2で10時間照射した後の色差△EHが10以下であることを特徴とする光反射体を提供する。
【0008】
本発明の光反射体は、前記10時間照射後に表面にひび割れが認められないものであることが好ましい。
本発明の光反射体を構成する二軸延伸フィルムは、式(2)で計算される空孔率が15〜55%であることが好ましい。
【数4】
(上式において、ρ0は真密度であり、ρは延伸フィルムの密度である。)
【0009】
また、前記基材層(A)に含まれる無機フィラーの平均粒径は0.1μm以上1.5μm未満の範囲内であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の光反射体について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を意味する。
本発明の光反射体に用いられる熱可塑性樹脂の種類は、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂、あるいはプロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等のオレフィン系樹脂が挙げられる。これらは2種以上混合して用いることもできる。更にオレフィン系樹脂の中でも、コスト面、耐水性、耐薬品性の面からプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレンを用いることが好ましく、プロピレン系樹脂を用いることが特に好ましい。
【0011】
かかるプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体でありアイソタクティックないしはシンジオタクティックおよび種々の立体規則性を示すポリプロピレン、プロピレンを主成分とし、これと、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1,4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンとの共重合体が使用される。この共重合体は、2元系でも3元系でも4元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。またプロピレン系樹脂を用いる場合は、延伸性を良好とするためポリエチレン、ポリスチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のプロピレン系樹脂よりも融点が低い熱可塑性樹脂を3〜25重量%配合するのがよい。
【0012】
このような熱可塑性樹脂は、二軸延伸フィルム中に38〜91.5重量%で使用することが好ましく、44〜89重量%で使用することがより好ましく、50〜86重量%で使用することがさらに好ましい。
【0013】
本発明に熱可塑性樹脂とともに用いられるフィラーとしては、各種無機フィラーまたは有機フィラーを使用することができる。無機フィラーまたは有機フィラーは、二軸延伸フィルム中に8.5〜62重量%で使用することが好ましく、11〜56重量%で使用することがより好ましく、14〜50重量%で使用することがさらに好ましい。無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、硫酸バリウム、アルミナ、紫外光吸収フィラー等が挙げられる。紫外光吸収フィラーとしては、二酸化チタン、酸化亜鉛が挙げられる。有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン−6、ナイロン−6,6、環状オレフィン重合体、環状オレフィンとエチレンとの共重合体等のポリオレフィン樹脂の融点よりは高い融点(例えば、120〜300℃)ないしはガラス転移温度(例えば、120〜280℃)を有するものが使用される。
【0014】
二軸延伸フィルムには、上記の無機フィラーまたは有機フィラーの中から1種を選択してこれを単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、有機フィラーと無機フィラーを混合して使用してもよい。
【0015】
本発明の反射体に所望の光反射特性を持たせるためには、二軸延伸フィルム中に均一で真円に近い微細な空孔を多量に発生させることが好ましい。
後述する延伸成形により発生させる空孔サイズの調整のため、基材層(A)に含まれる無機フィラーの平均粒径、または有機フィラーの平均分散粒径は好ましくはそれぞれが0.1μm以上1.5μm未満の範囲、より好ましくはそれぞれが0.15〜1.4μmの範囲、特に好ましくはそれぞれが0.2〜1.3μmの範囲のものを使用する。平均粒径または平均分散粒径が1.5μm以上の場合、空孔が不均一になる傾向がある。また、平均粒径、または平均分散粒径が0.1μmより小さい場合、所定の空孔が得られなくなる傾向がある。
【0016】
後述する延伸成形により発生させる空孔量の調整のため、二軸延伸フィルム中への上記フィラーの配合量は体積換算で好ましくは3.0〜35体積%、より好ましくは4.0〜30体積%の範囲で使用できる。フィラーの配合量が3.0体積%より少ない場合、充分な空孔数が得られなくなる傾向がある。また、フィラーの配合量が35体積%より多い場合、剛度不足による折れシワが生じやすくなる傾向がある。
【0017】
本発明で用いる二軸延伸フィルムは、単層からなるものであっても2層以上が積層されたものであってもよい。2層以上が積層されたものとして、例えば基材層(A)と該基材層(A)の少なくとも片面に表面層(B)を形成したものを例示することができる。積層方法に関しては特に限定されず、公知の積層方法、例えば複数の押出機により溶融した樹脂をフィードブロックまたはマルチマニホールドにより一台のダイ内で積層する方法(共押し出し)、溶融押し出しラミネートにより積層する方法、接着剤を用いたドライラミネートにより積層する方法などを用いることができる。多層構造が、例えば、表面層(B)/基材層(A)/裏面層(C)の3層構造の場合、基材層(A)には紫外光吸収フィラーを3.5〜50重量%させ、好ましくは4〜35重量%含有させることができる。少なくとも表面層(B)には紫外光吸収フィラーを0.1〜0.9重量%含有させる。基材層(A)の紫外光吸収フィラーの配合量が62重量%を超えると、光反射体の白色度に影響をきたし輝度低下を招くと共に、二軸延伸フィルムの製造時に延伸切れを起こしやすくなる傾向がある。
【0018】
また、好ましい空孔を形成するためには、少なくとも基材層(A)に、例えば比表面積が20,000cm2/g以上で、かつ粒径10μm以上の粒子を含まない無機フィラーを使用するのが効果的である。特に、このような条件を満たす粒度分布がシャープな炭酸カルシウムを使用するのが好ましい。
【0019】
表裏面層の肉厚は0.1μm以上、好ましくは0.1μm以上1.5μm未満であり、かつ光反射体の全厚の0.2〜10%であり、好ましくは0.5〜5%である。
【0020】
本発明の反射体の二軸延伸フィルムには、必要により、蛍光増白剤、安定剤、光安定剤、分散剤、滑剤等を配合してもよい。安定剤としては、立体障害フェノール系やリン系、アミン系等の安定剤を0.001〜1重量%、光安定剤としては、立体障害アミンやベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系などの光安定剤を0.001〜1重量%、無機フィラーの分散剤としては、シランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸ないしはそれらの塩等を0.01〜4重量%配合してもよい。
【0021】
熱可塑性樹脂およびフィラーを含む配合物の成形方法としては、一般的な2軸延伸方法が使用できる。具体例としてはスクリュー型押出機に接続された単層または多層のTダイやIダイを使用して溶融樹脂をシート状に押し出した後、ロール群の周速差を利用した縦延伸とテンターオーブンを使用した横延伸を組み合わせた2軸延伸方法や、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時2軸延伸などが挙げられる。
【0022】
延伸温度は使用する熱可塑性樹脂の融点より2〜60℃低い温度であり、樹脂がプロピレン単独重合体(融点155〜167℃)のときは152〜164℃、高密度ポリエチレン(融点121〜134℃)のときは110〜120℃が好ましい。また、延伸速度は20〜350m/分が好ましい。
【0023】
二軸延伸フィルム中に発生させる空孔の大きさを調整するために、面積延伸倍率=(縦方向延伸倍率LMD)×(横方向延伸倍率LCD)は28〜60倍の範囲にする。
使用する熱可塑性樹脂がプロピレン系樹脂の場合、面積延伸倍率が22倍未満では、延伸ムラが発生し均一な二軸延伸フィルムが得られず、本発明の光反射体に所望の光反射特性が得られなくなる傾向がある。
【0024】
二軸延伸フィルム中に発生させる空孔のアスペクト比を調整するために、縦方向延伸倍率LMD及び横方向延伸倍率LCDの比LMD/LCDは好ましくは0.25〜2.7の範囲とし、より好ましくは0.35〜2.3の範囲とする。
面積延伸倍率が22〜80倍を逸脱するか、LMD/LCDが0.25〜2.7の範囲を逸脱すると、真円に近い微細な空孔が得られにくくなる傾向がある。
【0025】
本発明の光反射体中に発生させる空孔の単位体積あたりの量を調整するために、空孔率は15〜55%の範囲とする。
本明細書において「空孔率」とは、上記式(2)にしたがって計算される値を意味する。式(2)のρ0は真密度を表し、ρは延伸フィルムの密度(JIS P−8118)を表す。
延伸前の材料が多量の空気を含有するものでない限り、真密度は延伸前の密度にほぼ等しい。
本発明で用いる二軸延伸フィルムの密度は一般に0.55〜1.20g/cm3の範囲であり、空孔が多いほど密度は小さくなり空孔率は大きくなる。空孔率が大きい方が表面の反射特性も向上させることができる。
【0026】
延伸後の二軸延伸フィルムの肉厚は、40〜400μmであり、好ましくは80〜300μmである。肉厚が40μmより薄いと光の裏抜けが生じる傾向がある。また、肉厚が400μmより厚いとバックライトユニットが厚くなり過ぎるきらいがある。
【0027】
本発明の光反射体の不透明度(JIS P−8138に準拠)は97%以上である。95%未満では、光の裏抜けが生じる傾向がある。
【0028】
本発明の光反射体の白色度(JIS L−1015に準拠)は95%以上である。90%未満では、光の吸収が生じる傾向がある。
【0029】
本発明の光反射体は、83℃、相対湿度50%の環境条件で10cm離れた位置に設置したメタルハライドランプから照射強度90mW/cm2で10時間照射した後の色差△EHが10以下であることを特徴の1つとする。色差△EHが10を超えては光反射体の使用環境下で黄変をきたす傾向がある。本発明の光反射体の色差△EHは、5以下であることが好ましい。
【0030】
本明細書でいう「色差△EH 」は、JIS Z−8730のハンターの色差式による色差であり、下記式にしたがって計算される値を意味する。
【数5】
△EH =〔(△L)2 +(△a)2 +(△b)2 〕1/2
上式において、△EHはハンターの色差式による色差であり、△L、△a、△bはそれぞれハンターの色差式における二つの表面色の明度指数Lおよびクロマティクネス指数a、bの差である。
【0031】
本明細書における色差△EHの測定には、岩崎電気(株)製:アイ・スーパーUVテスターSUV−W13を用いた。また、光源であるメタルハライドランプとして、岩崎電気(株)製、商品名:M04L21WB/SUVを用いた。なお、試験温度を83℃に設定したのは、(株)ユポ・コーポレーション製の合成紙であるYUPO FPG150(商品名)の同じ測定装置を用いたときの天曝相当条件に準拠したものである。
【0032】
光反射体の色差△EHを10以下にするためには、酸化防止剤を配合する。酸化防止剤としては、アミン系、フェノール系酸化防止剤が効果的であるが、紫外線による光劣化防止にはリン系酸化防止剤を併用することが好ましい。これらの酸化防止剤は、延伸フィルムの主成分である熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常0.01〜10重量部配合する。
【0033】
また、本発明の光反射体は、反射率R0 が95%以上である。反射率R0が92%未満では、光の裏抜けが生じる傾向がある。また前記10時間照射前と照射後の反射率の差ΔRが10%以下であることが好ましい。10%を超えると長期間のバックライトの使用で、明るさが低下する傾向がある。また、上記の10時間照射後においても表面にひび割れが認められないものであることが好ましい。このような本発明の優れた表面光劣化に対する耐性は、二軸延伸フィルム中に存在する微細な空孔により入射光を散乱させることや、紫外光吸収を行う上記紫外光吸収フィラーを配合することにより達せられる。紫外光吸収フィラーの屈折率は、例えば本願実施例で使用した二酸化チタンおよび酸化亜鉛の屈折率がそれぞれ2.76と2.0であるように、一般的な無機フィラーである炭酸カルシウムの屈折率(1.59)に比べて高い。このため、紫外光吸収フィラーを用いることによって、光反射体特性の改善を図ることができる。本発明の光反射体に所望の光反射特性を持たせるためには、基材層(A)に、紫外光吸収フィラーを無機フィラー(紫外光吸収フィラーを除く)および/または有機フィラーと混合して使用することが好ましい。また紫外光によるフィルムのマトリックス樹脂の劣化を抑えるため、ラジカル補足剤を添加することが好ましい。ラジカル補足剤としては、ヒンダートアミン系安定剤(HALS)などが挙げられ、添加量としては、延伸フィルムの主成分である熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常0.01〜10重量部とする。
【0034】
本発明の光反射体の表裏面には、本発明に所望の光反射特性を阻害しない限り、コート層を設けてもよい。特に裏面には、光反射特性を向上させるために白色塗料の網点印刷が施される場合があり、印刷性改良のためにコート層を設けることが好ましい。
コート層は肉厚が0.5〜20μmになるように、公知の方法により塗工することができる。
【0035】
本発明の光反射体の形状は特に制限されず、使用目的や使用態様に応じて適宜決定することができる。通常は、板状やフィルム状にして使用するが、その他の形状で使用した場合であっても光反射体として使用するものである限り、本発明の範囲内に包含される。
【0036】
本発明の光反射体は、バックライト型、中でもサイドライト方式の表示装置を構成する光反射体として極めて有用である。本発明の光反射体を用いたサイドライト方式の液晶表示装置は、導光板から裏抜けする光を光反射体が面方向に輝度ムラなく均一に反射させるため、見る人に自然な感じを与えることができる。
本発明の光反射体は、このようなバックライト型液晶表示装置のみならず、内蔵式光源を使用せずに室内光を反射させることを意図した低消費電力型の表示装置にも利用することが可能である。また、室内外照明用、電飾看板用光源の背面にも幅広く利用することができる。
【0037】
【実施例】
以下に実施例、比較例及び試験例を記載して、本発明をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、使用量、割合、操作等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。以下の実施例及び比較例で使用する材料を表1にまとめて示す。
【0038】
(実施例1〜5および比較例1〜3)
プロピレン単独重合体、高密度ポリエチレン、重質炭酸カルシウム、二酸化チタンおよび酸化亜鉛を表2に記載の量で混合した組成物(A)と、プロピレン単独重合体、重質炭酸カルシウム、二酸化チタンおよび酸化亜鉛を表2に記載の量で混合した組成物(B)及び(C)とを、それぞれ別々の3台の押出機を用いて250℃で溶融混練した。その後、一台の共押ダイに供給してダイ内で(A)の両面に(B)、(C)を積層後、シート状に押し出し、冷却ロールで約60℃まで冷却することによって積層物を得た。
なお上記組成物(A)、(B)及び(C)には、配合した熱可塑性樹脂100重量部に対して、酸化防止剤としてフェノール系安定剤(チバガイギー社製、商品名:イルガノックス1010)0.05重量部、リン系安定剤(ジー・イー・プラスチック(株)製、商品名:ウエストン618)0.05重量部、ラジカル補足剤として、ヒンダードアミン系安定剤(三共(株)製、商品名:HA−70G)を0.05重量部配合した。
【0039】
この積層物を145℃に再加熱した後、多数のロール群の周速差を利用して縦方向に表2に記載の倍率で延伸し、再び約150℃まで再加熱してテンターで横方向に表2に記載の倍率で延伸した。その後、160℃でアニーリング処理した後、60℃まで冷却し、耳部をスリットして表2に記載の厚みを有する三層構造(B/A/C)の光反射体を得た。尚表面層(B)は、液晶ディスプレイを組み立る場合に導光板と接する面となる。
【0040】
比較例1は、二軸延伸フィルムの表裏面に二酸化チタンを配合した特開2001−39042号公報の実施例1に記載された方法で製造したものである。
比較例2は、実施例2において、二酸化チタンを使用せず、組成物(A)の重質炭酸カルシウムの種類を表2に記載のとおりに変更し、プロピレン単独重合体の配合量を表2に記載のとおりに変更した以外は実施例2と同様にして光反射体を得た。
比較例3は、市販の白色ポリエステルフィルム(東レ(株)製、商品名:E60L)を光反射体として用いた。
【0041】
(試験例)
製造した実施例1〜5および比較例1〜3の光反射体について、白色度、不透明度、空孔率、反射率、色差△EHおよび表面劣化状態を測定した。
白色度は、測定装置(スガ試験機(株)製:SM−5)を用いて、JIS L−1015に準拠して測定した。
不透明度は、測定装置(スガ試験機(株)製:SM−5)を用いて、JIS P−8138に準拠して測定した。
【0042】
空孔率は、JIS P−8118に準拠して延伸フィルムの密度および真密度を測定し、上記式(2)により計算して求めた。
反射率は、測定装置((株)日立製作所製:U−3310)を用いて、JISZ−8701に準拠して測定し、波長400〜700nm の光の平均反射率を用いた。
また反射率の差ΔRは、下記条件で光照射する前と下記条件で10時間光照射した後の反射率を測定し、上記式(1)により計算して求めた。
【0043】
色差△EHは、83℃、相対湿度50%の環境条件で10cm離れた位置に設置したメタルハライドランプから照射強度90mW/cm2で10時間照射した後の色差を上記の測定装置を用いて測定することにより求めた。
光反射体の表面劣化状態については、上記の10時間照射後の表面状態を以下のように評価した。
○:光反射体の表面全体が試験前と変わらず、表面ひび割れはない。
×:光反射体の表面全体に表面ひび割れが発生した。
これらの各測定結果を表3にまとめて示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】
以上のように、本発明の光反射体によれば、使用環境において黄変しにくく、長期にわたって色調の変化のない、明るいバックライトが実現できる。また、本発明によれば、光学的特徴を有する成分に頼らずに、安価に輝度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 サイドライト方式の液晶ディスプレイの断面図である。
【図2】 実施例1の光反射体の断面図である。
【符号の説明】
11 光反射体
12 反射用白色網点印刷
13 アクリル板(導光板)
14 拡散シート
15 冷陰極ランプ
21 表面層(B)
22 基材層(A)
23 裏面層(C)
Claims (3)
- 不透明度が97%以上、白色度が95%以上、反射率R0が95%以上、面積延伸倍率が28〜60倍のオレフィン系熱可塑性樹脂とフィラーを含有する二軸延伸フィルムよりなる光反射体であって、
前記二軸延伸フィルムが、基材層(A)と該基材層(A)の少なくとも片面に形成された表面層(B)を有しており、
前記ニ軸延伸フィルムの肉厚が40〜400μmであって、前記表面層(B)の肉厚が前記ニ軸延伸フィルムの肉厚の0.2〜10%であり、
基材層(A)が3.5〜50重量%、表面層(B)が0.1〜0.9重量%の紫外光吸収フィラーを含有し、
前記紫外光吸収フィラーが、二酸化チタンおよび酸化亜鉛からなる群より選択される紫外光吸収フィラーであり、
前記基材層(A)と表面層(B)が、それぞれ、前記紫外光吸収フィラーを除く無機フィラーと酸化防止剤を含有し、
83℃、相対湿度50%の環境条件で10cm離れた位置に設置したメタルハライドランプから照射強度90mW/cm2で10時間照射した後の色差△EHが10以下であることを特徴とする光反射体。 - 前記基材層(A)が、平均粒径が0.1μm以上1.5μm未満の無機フィラーを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の光反射体。
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