JP4262550B2 - ループスアンチコアグラント検出試薬キット - Google Patents

ループスアンチコアグラント検出試薬キット Download PDF

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本発明は、臨床化学や医薬研究などの分野において抗リン脂質抗体症候群の診断に用いられる血液凝固試薬キットに関し、さらに詳しくはin vitroでの血液検査でループスアンチコアグラント陽性疾患を特異的に検出できる試薬キットに関する。
ループスアンチコアグラント(以下、LAと略称する)はSLE(Systemic Lupus Erythematosus)患者について初めて報告された抗凝血素である。SLE患者においてLAが検出される頻度は5%乃至10%である一方、他の自己免疫性疾患、腫瘍性疾患においても検出されることがある。LAは血栓症、流早産、血小板減少などの抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome;APS)において検出される頻度が高く、リン脂質依存性の凝固反応で凝固するまでの時間が延長されることから、リン脂質に対する自己抗体であると考えられている。
また、LAは不均一な抗体であり、陰性荷電リン脂質とβ2−グリコプロテインI(β2−GPI)またはプロトロンビンとの複合体に対する抗体であることが、近年明らかになった。LAの抗凝固作用は、LAがこの複合体と結合することによりプロトロンビンがトロンビンに変化することを阻害するために起こると考えられる。
このような特徴を有するLAの検出用試薬としては、従来より一定量のリン脂質を含有する凝固試薬、例えば、ウサギ脳由来セファリン、ウシ脳由来セファリン、大豆レシチン、蛇毒などが用いられている。検体血液中にLAが存在すると、LAが試薬中のリン脂質を中和してしまうため、検体を凝固するカスケード反応の開始に必要なリン脂質が不足することになることから、LAにより中和されたリン脂質の量に比例して、各検査の凝固時間が延長し、これをもってLA陽性と診断することができる。
また、凝固試薬中のリン脂質が少ないほど、LAの検出感度が高まるので、試薬を希釈したり、正確性を期するために異なった方法を2法以上組合わせることが行われている。
例えば、リン脂質の濃度が異なる2つの試薬を組合わせた活性化部分トロンボプラスチン時間測定(以下、APTTと略称する)試薬を使用し、各試薬の凝固時間から、ロスナー インデックス(Rosner Index)やループス比(Lupus Ratio)(LR)を算出し、LA陽性率を判定する手法が知られている。
市販の凝固測定試薬としては、グラディポアLA(Gradipore社;オーストラリア)というラッセル蛇毒法による検査試薬がある。これは、蛇毒含有の第1試薬と蛇毒及び過剰のダイズリン脂質含有の第2試薬を組合わせた試薬キットで、第1試薬を添加したときの凝固時間/第2試薬を添加したときの凝固時間で求められる比が1.3以上の場合に、LA陽性と判定している。
さらに、既存の研究報告によれば(非特許文献1)、ウサギ脳由来リン脂質などによるリン脂質濃度の差を利用して、算術的にLAの検出が行なわれている。
またさらに、正常血漿と患者血漿を1:1の割合で混合した試料を用いて、リン脂質濃度が異なる2種類の試薬を組合わせたAPTT試薬または希釈ラッセル蛇毒測定(dRVVT)試薬を用いたときの凝固時間を測定し、患者血漿の凝固時間が正常血漿により補正される度合いを指標にしてLAを検出する方法も利用されている。
V.Chantarangkul,et al.,Thromb.Res.1992,67:355−365;E.Rosner,et al.,Thromb.Haemost.1987,57:144−149
従来行なわれていたリン脂質依存性凝固測定においては、いずれも天然由来リン脂質が用いられ、且つそのリン脂質組成が無調整であった。このため、天然由来リン脂質の不均一性またはリン脂質抽出時の条件のばらつきが凝固時間に影響を及ぼし、LAの検出感度がかなり異なるという問題があった。また、当該凝固試験は、LA以外の検体を正常血漿と混和することにより、欠損している凝固因子を補充して、凝固時間を正常化させることは可能であるが、ワーファリンやヘパリンなどの血液凝固阻害剤を含有した検体と、LA陽性患者血漿とを判別することが困難であり、これら凝固阻害剤を含有した検体についてもLA陽性と判定され得るという問題がある。
従って、LA疾患を正確に判別するためには、LA以外の凝固活性阻止因子や凝固因子欠損症による凝固時間の延長と、LAによる凝固時間の延長とを区別する必要がある。
本発明の課題は、LAの検出感度を高め、凝固因子欠損症やヘパリン等の血液凝固阻害剤を含有する検体とを区別して、LAを特異的に高精度で検出できる試薬キットを提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明者は、試薬に含まれるリン脂質に対するホスファチジルセリンの含有率だけが異なる2種類の試薬に対する凝固時間が、LA含有血液では、顕著に異なることを見出し、本発明を完成した。
つまり本発明は以下からなる。
1.合成ホスファチジルセリンを含む合成リン脂質を含有する第1の凝固時間測定試薬と合成ホスファチジルセリンを含む合成リン脂質を含有する第2の凝固時間測定試薬を備え、第1凝固時間測定試薬に含まれる合成ホスファチジルセリンの全合成リン脂質に対する割合が、第2凝固時間測定試薬に含まれる合成ホスファチジルセリンの全合成リン脂質に対する割合と異なることを特徴とするループスアンチコアグラント検出用試薬キット。
2.前記第1凝固時間測定試薬に含有される合成ホスファチジルセリンの濃度が、前記第2凝固時間測定試薬に含有される合成ホスファチジルセリンの濃度比の10〜20倍である前項に記載の試薬キット。
3.前記第1凝固時間測定試薬及び前記第2凝固時間測定試薬が活性化剤及びカルシウムイオンを更に含んでなる前項1又は2に記載の試薬キット。
4.第1凝固時間測定試薬が第1部分試薬及び第2部分試薬からなり、
第2凝固時間測定試薬が第3部分試薬及び第4部分試薬からなり、
第1部分試薬が合成ホスファチジルセリンを含む合成リン脂質を含有し、第1部分試薬中の合成ホスファチジルセリン濃度が3〜1000μg/mlであり、第3部分試薬が合成ホスファチジルセリンを含む合成リン脂質を含有し、第3部分試薬中の合成ホスファチジルセリン濃度が0.2〜200μg/mlであり、第1部分試薬の合成ホスファチジルセリン濃度が第3部分試薬の合成ホスファチジルセリン濃度より高濃度であり、第2部分試薬及び第4部分試薬がカルシウムイオンを含有する前項1に記載の検出用試薬キット。
5.前記第1部分試薬の合成ホスファチジルセリンの濃度が30〜100μg/mlである前項に記載の試薬キット。
6.前記第3部分試薬の合成ホスファチジルセリンの濃度が2〜20μg/mlである前項4又は5に記載の試薬キット。
7.前記第1部分試薬及び前記第3部分試薬が合成ホスファチジルエタノールアミン及び合成ホスファチジルコリンを含有する前項4〜6のいずれか1項に記載の試薬キット。
8.前記合成ホスファチジルエタノールアミンの濃度が0.1〜300μg/mlであり、合成ホスファチジルコリンの濃度が2〜1000μg/mlである前項記載の試薬キット。
9.合成ホスファチジルエタノールアミンの濃度が1〜30μg/mlであり、ホスファチジルコリンの濃度20〜100μg/mlである前項7又は8記載の試薬キット。
10.前記第1部分試薬及び前記第3部分試薬が活性化剤を含有する前項4〜9のいずれか1項に記載の試薬キット。
11.前記活性化剤がエラグ酸、カオリン、セライト及びエラジン酸から選択される1以上の活性化剤である前項10に記載の試薬キット。
12.前記第1凝固時間測定試薬及び前記第2凝固時間測定試薬が蛇毒及びカルシウムイオンを更に含んでなる前項1に記載の試薬キット。
13.前記蛇毒がラッセル蛇毒、テキスタリン蛇毒及びエカリン蛇毒から選択される1以上の蛇毒である前項12に記載の試薬キット。
14.前記第1凝固時間測定試薬及び前記第2凝固時間測定試薬が組織因子及びカルシウムイオンを更に含んでなる前項1に記載の試薬キット。
15.第1凝固時間測定試薬及び第2凝固時間測定試薬が合成ホスファチジルエタノールアミン、合成ホスファチジルコリンを含有する前項に記載の検出用試薬キット。
16.前項1〜15のいずれか1項に記載の試薬キットを使用するループスアンチコアグラントの検出方法。
本発明の試薬キットでは、LAに対して特異的に凝固時間の差異を認めることができ、またヘパリンなどの抗凝固剤を含有した検体がLA陽性患者血漿と同様に陽性と判定されることがなく、LA陽性患者だけを高感度に検出することができる。
本発明のLA検出用試薬キットは、ホスファチジルセリンを含むリン脂質を含有する第1の凝固時間測定試薬と、ホスファチジルセリンを含むリン脂質を含有する第2の凝固時間測定試薬とを含み、第1凝固時間測定試薬に含まれるホスファチジルセリンの全リン脂質に対する含有割合が、第2凝固時間測定試薬に含まれるホスファチジルセリンの全リン脂質に対する含有割合が異なっている。
本発明のLA検出用試薬キットは、ホスファチジルセリンを含むリン脂質を含有する第1の凝固時間測定試薬と、ホスファチジルセリンを含むリン脂質を含有する第2の凝固時間測定試薬とを含み、第1凝固時間測定試薬に含まれるホスファチジルセリンの全リン脂質に対する含有割合が、第2凝固時間測定試薬に含まれるホスファチジルセリンの全リン脂質に対する含有割合が異なっているものである。
上記第1凝固時間測定試薬及び第2凝固時間測定試薬に含有されるホスファチジルセリン(以下、PSと略記することがある)は、ホスファチジルセリンであってもよいし、天然由来ホスファチジルセリンであってもよい。ホスファチジルセリンは合成ホスファチジルセリンであることが好ましい。天然由来のホスファチジルセリンを用いる場合には、純度99%以上に精製されたものを用いることが好ましい。
上記第1凝固時間測定試薬及び第2凝固時間測定試薬に含有されるPS以外のリン脂質としては、各凝固時間即手試薬がin vitroで血液凝固を起こすことができるように、血液凝固に必要な他のリン脂質であって、ホスファチジルエタノールアミン(以下、PEと略称する)、ホスファチジルコリン(以下、PCと略記することがある)などが挙げられる。
第1凝固時間測定試薬及び第2凝固時間測定試薬には、さらに、in vitroで血液凝固を起こすのに必要な他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、活性化剤、蛇毒、カルシウム、組織因子などが挙げられる。活性化剤としては、エラグ酸、カオリン、セライト及びエラジン酸からなる群より選択される1種以上を用いることが好ましい。蛇毒としては、ラッセル蛇毒、テキスタリン蛇毒及びエカリン蛇毒からなる群より選択される1種以上を用いることが好ましい。組織因子としては、ウサギ脳、ヒト胎盤由来のもの、組換え体を用いることが好ましい。
これらの他の成分は、凝固時間測定試薬の種類に応じて適宜選択される。例えば、第1凝固時間測定試薬及び第2凝固時間測定試薬がカルシウム及び活性化剤を含む場合には活性化部分トロンボプラスチン時間測定の測定原理に基づいて凝固時間を測定する。第1凝固時間測定試薬及び第2凝固時間測定試薬がカルシウム及び蛇毒を含む場合には、ラッセル蛇毒測定時間の原理に基づいて凝固時間を測定する。また、第1凝固時間測定試薬及び第2凝固時間測定試薬がカルシウム及び組織因子を含む場合には、プロトロンビン時間測定の原理に基づいて凝固時間を測定する。
尚、第1凝固時間測定試薬及び第2凝固時間測定試薬には、さらに必要に応じて、HEPESおよびtris緩衝液などの緩衝液を含んでもよい。緩衝液の濃度は、一般的に臨床化学の分野で用いられている濃度であればよく、簡単な繰り返し実験により決定することができる。
PSの添加濃度は、第1凝固時間測定試薬のPS濃度が第2凝固時間測定試薬のPS濃度の10〜20倍であることが好ましい。具体的には、ホスファチジルセリンを含むリン脂質を含有する第1凝固時間測定試薬と検体を混合したときのホスファチジルセリンの濃度が10〜30μg/mlであり、好ましくは15〜20μg/mlであるのが好ましい。また、ホスファチジルセリンを含むリン脂質を含有する第2凝固時間測定試薬と検体を混合したときのホスファチジルセリンの濃度が1〜7μg/mlであり、好ましくは2〜4μg/mlであるのが好ましい。
また、第1凝固時間測定試薬及び第2凝固時間測定試薬は、それぞれリン脂質及び上記他の成分の混合物であってもよいし、第1凝固時間測定試薬が別々の容器に収容された第1部分試薬と第2部分試薬から構成され、第2凝固時間測定試薬が別々の容器に収容された第3部分試薬と第4部分試薬から構成されたものであってもよい。第1凝固時間測定試薬が第1部分試薬と第2部分試薬の組合せ及び第2凝固時間測定試薬が第3部分試薬と第4部分試薬の組合せでなる場合、ホスファチジルセリンを含むリン脂質を含有する第1部分試薬、第3部分試薬のホスファチジルセリン濃度は、第1部分試薬では3〜1000μg/ml、好ましくは30〜100μg/ml、より好ましくは40〜60μg/ml、第3部分試薬試薬では0.2〜200μg/ml、好ましくは2〜20μg/ml、より好ましくは6〜10μg/mlとなるような量が含まれていることが好ましい。ただし、第1部分試薬の濃度が第3部分試薬の濃度より高濃度である。
また、第1部分試薬または第3部分試薬がホスファチジルエタノールアミンを含有する場合、ホスファチジルエタノールアミンの濃度が0.1〜300μg/ml、好ましくは1〜30μg/ml、より好ましくは3〜15μg/mlである。第1部分試薬または第3部分試薬がホスファチジルコリンを含有する場合、ホスファチジルコリンの濃度が2〜1000μg/ml、好ましくは20〜100μg/ml、より好ましくは35〜85μg/mlである。
より具体的には、活性化部分トロンボプラスチン時間測定の原理に基づく凝固時間測定試薬では、第1凝固時間測定試薬が第1部分試薬と第2部分試薬からなり、第2凝固時間測定試薬が第3部分試薬と第4部分試薬からなるとともに、第1部分試薬及び第3部分試薬が活性化剤及びリン脂質(ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン)を含有し、第2部分試薬及び第4部分試薬にカルシウムが含有するものが挙げられる。
ラッセル蛇毒測定時間の原理に基づく凝固時間測定試薬では、第1凝固時間測定試薬及び第2時間凝固時間測定試薬にリン脂質(ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン)、蛇毒及びカルシウムを含有するものが挙げられる。
プロトロンビン時間測定の原理に基づく凝固時間測定試薬では、第1凝固時間測定試薬及び第2時間凝固時間測定試薬にリン脂質(ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン)、組織因子及びカルシウムを含有するものが挙げられる。
本発明の試薬キットは、以上のような組成を有する第1凝固時間測定試薬及び第2凝固時間測定試薬におけるリン脂質総量に対するホスファチジルセリンの含有割合が異なることにより、凝固時間が異なる2種類の試薬の組合わせである。換言すると、PSがLAで中和されることにより凝固時間に差異が表れるようにPS含有量に差がある組合わせとすればよい。
次に、上記構成を有する本発明の試薬キットを用いて、LAを検出する方法について説明する。
まず検体試料を2つに分け、一方には高濃度のPSを含む第1凝固時間測定試薬を添加し、もう一方の検体試料には、低濃度のPSを含む第2凝固時間測定試薬を添加する。凝固時間測定試薬がそれぞれ第1部分試薬と第2部分試薬とに分かれている場合には、第1部分試薬と第2部分試薬とを混合してから、検体に添加してもよいし、まず第1部分試薬(又は第2部分試薬)を検体に添加した後、第2部分試薬(又は第1部分試薬)を添加してもよい。第1部分試薬又は第2部分試薬を別々に添加する場合、第1部分試薬(又は第2部分試薬)添加後、第2部分試薬(又は第1部分試薬)添加前に、必要に応じて検体と部分試薬の混合物を加熱してもよい。
検体に各試薬を添加した後、試料の凝固時間を測定する。凝固時間の測定は、当業者に公知の方法で行えばよく、公知の自動測定装置を用いて測定してもよい。
ここで、検体に用いる試料としては、血液をそのまま用いるよりも血漿を用いることが好ましく、より好ましくは血小板除去血漿である。さらに好ましくは、患者の血漿に、正常血漿または血小板除去正常血漿を混合したものを試料とする。正常血漿を混合しておくことにより、凝固因子欠損に基づく凝固時間の延長を防止することができ、リン脂質依存性血液凝固検査の感度が高まるからである。患者血漿と正常血漿の混合比は、一般的に4:1乃至1:4であり、好ましくは1:1である。
本発明の試薬キットを用いた凝固検査では、LA陽性患者、血液凝固因子欠損患者、ワーファリン投与患者、ヘパリン投与患者などの抗凝血疾患由来の試料の凝固時間は、正常血漿の凝固時間よりも長くなる。さらに、LA陽性患者検体については、第1凝固時間測定試薬と第2凝固時間測定試薬による凝固時間の差異も認められる。すなわち、LA陽性患者由来の試料では、高濃度のPSを含む第1凝固時間測定試薬を用いたときの凝固時間よりも、低濃度のPSを含む第2凝固時間測定試薬を用いたときの凝固時間の方が長くなる。一方、血液凝固因子欠損患者、ワーファリン投与患者、ヘパリン投与患者由来の試料では、第1凝固時間測定試薬と第2凝固時間測定試薬との間で、凝固時間の顕著な差異は認められなかった。従って、第1凝固時間測定試薬と第2凝固時間測定試薬との凝固時間の差異に基づいて、LAを特異的に検出することができる。
LAの検出は、第1凝固時間測定試薬と第2凝固時間測定試薬の差異によって判定することができるが、より高精度に判定するためには、正常血漿の凝固時間に対する患者由来の試料の凝固時間の比、例えばRosner Index(E.Rosner,et al.,Thromb.Haemast.1987,57:144−149)またはLupus Ratio(LR)(R.Schjetlein,et al.,Thromb.Res.1993,69:239−250)により、判定を行うことが好ましい。
正常血漿の場合、PS含有率は凝固時間に影響を及ぼさないので、第1凝固時間試薬と第2凝固時間試薬の比に該当するLR値は1程度である。また、血液凝固因子欠損患者、ワーファリン投与患者、またはヘパリン投与患者由来の場合であっても、正常血漿と比べて凝固時間は延長されるものの、PS濃度差による凝固時間の差はほとんど認められないため、LR値は1程度となる。これに対して、LA陽性の場合には、第1凝固時間測定試薬、第2凝固時間測定試薬の各濃度、組合わせにもよるが、第2凝固時間測定試薬の方が第1凝固時間測定試薬よりも凝固時間が延びるために、LR値を比較することによりLA陽性患者由来の検体を自動的に検出することができる。
実施例1
ヘペス、エラグ酸、トリス、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)及びホスファチジルコリン(PC)を混合し、第1部分試薬及び第3部分試薬を調製した。第1部分試薬の各成分の濃度はヘペスが50mM、エラグ酸が0.1mM、トリスが25mM、PSが50μg/ml、PEが50μg/ml、PCが70μg/mlであり、各成分添加後のpHは7.35である。また、第3部分試薬の各成分の濃度はヘペスが50mM、エラグ酸が0.1mM、トリスが25mM、PSが10μg/ml、PEが50μg/ml、PCが70μg/mlであり、各成分添加後のpHは7.35である。
また、塩化カルシウム濃度が25mMになるように精製水で調製したものを、第2部分試薬、第4部分試薬とした。
正常血漿としてコアグトロールNを用いた。1種類のヘパリン投与患者血漿、1種類の第VIII因子欠乏患者血漿、4種類のワーファリン投与患者血漿、5種類のLA陽性患者血漿を入手した。各患者血漿は、正常血漿と1:1で混合したものを測定試料とした。
正常血漿及び上記で調製した測定試料をそれぞれ50μlづつ2セット準備し、一方のセットの各試料に、第1部分試薬(又は第3部分試薬)50μlを添加し、37℃に3分間加温した後、各試料に第2部分試薬(又は第4部分試薬)を50μlづつ添加した。
全自動血液凝固分析装置コアグレックス800(島津製作所株式会社)を用いて、凝固時間を測定した。測定は2回行い、平均値を求めた。
各試料について測定した凝固時間から、下式1で示すLupus Ratio(LR)を算出した。LRの計算は、文献(R.Schjetlein,et al.,Thromb.Res.1993,69:239−250)に基づく。
〔式1〕
Lupus Ratio(LR)=(b/a)/(d/c)=bc/ad

ここで、式1中のa、b、c、およびdは、表1に示す組み合わせで得られた測定値を表す。




Figure 0004262550
各試料について測定した凝固時間及びLR値を表2に示す。表2から、PS濃度が低い第2凝固時間測定試薬(L−APTT試薬)を用いたときに得られたLA陽性患者由来の試料の凝固時間は、PS濃度が高い第1凝固測定時間試薬(H−APTT試薬)を用いたときと比較して、延長度合いが増加した。一方、ヘパリン投与患者、ワーファリン投与患者の試料の凝固時間は、L−APTT試薬およびH−APTT試薬のいずれを用いたときも同程度の延長度合いを示した。
Figure 0004262550
また、表2から分かるように、LRのカットオフ値を1.1としたとき、5例のLA陽性患者検体は全て陽性と判定され、ヘパリン投与患者、ワーファリン投与患者、および第VIII因子欠損患者は全て陰性と判定された。このように、低濃度のPSを含む凝固測定試薬と高濃度のPSを含むものとの2種類の試薬を用いることにより、簡便かつ精度高く、特異的にLAを検出することが可能になった。
比較例1:
LAテスト「グラデイポア」(医学生物研究所)を用法用量に従い、各検体試料について凝固時間を測定し、LR値を同様にして算出した。結果を表3に示す。













Figure 0004262550
表3から、PS濃度が低い第1凝固時間測定試薬を用いたときに得られたLA陽性患者由来の試料、ヘパリン投与患者、ワーファリン投与患者いずれの試料も凝固時間は、PS濃度が高い第2凝固測定時間試薬を用いたときと比較して、延長度合いが増加し、LA陽性患者特異的な凝固時間延長は認められなかった。
従って、実施例のPSの濃度のみを変えた第1凝固時間測定試薬と第2凝固時間測定試薬を組合わせた試薬キットによれば、LA陽性患者を、他の抗リン脂質依存性疾患から高感度で、容易に判別することができる。

Claims (16)

  1. 合成ホスファチジルセリンを含む合成リン脂質を含有する第1の凝固時間測定試薬と合成ホスファチジルセリンを含む合成リン脂質を含有する第2の凝固時間測定試薬を備え、第1凝固時間測定試薬に含まれる合成ホスファチジルセリンの全合成リン脂質に対する割合が、第2凝固時間測定試薬に含まれる合成ホスファチジルセリンの全合成リン脂質に対する割合と異なることを特徴とするループスアンチコアグラント検出用試薬キット。
  2. 前記第1凝固時間測定試薬に含有される合成ホスファチジルセリンの濃度が、前記第2凝固時間測定試薬に含有される合成ホスファチジルセリンの濃度比の10〜20倍である請求項に記載の試薬キット。
  3. 前記第1凝固時間測定試薬及び前記第2凝固時間測定試薬が活性化剤及びカルシウムイオンを更に含んでなる請求項1又は2に記載の試薬キット。
  4. 第1凝固時間測定試薬が第1部分試薬及び第2部分試薬からなり、
    第2凝固時間測定試薬が第3部分試薬及び第4部分試薬からなり、
    第1部分試薬が合成ホスファチジルセリンを含む合成リン脂質を含有し、第1部分試薬中の合成ホスファチジルセリン濃度が3〜1000μg/mlであり、第3部分試薬が合成ホスファチジルセリンを含む合成リン脂質を含有し、第3部分試薬中の合成ホスファチジルセリン濃度が0.2〜200μg/mlであり、第1部分試薬の合成ホスファチジルセリン濃度が第3部分試薬の合成ホスファチジルセリン濃度より高濃度であり、第2部分試薬及び第4部分試薬がカルシウムイオンを含有する請求項1に記載の検出用試薬キット。
  5. 前記第1部分試薬の合成ホスファチジルセリンの濃度が30〜100μg/mlである請求項に記載の試薬キット。
  6. 前記第3部分試薬の合成ホスファチジルセリンの濃度が2〜20μg/mlである請求項4又は5に記載の試薬キット。
  7. 前記第1部分試薬及び前記第3部分試薬が合成ホスファチジルエタノールアミン及び合成ホスファチジルコリンを含有する請求項4〜6のいずれか1項に記載の試薬キット。
  8. 前記合成ホスファチジルエタノールアミンの濃度が0.1〜300μg/mlであり、合成ホスファチジルコリンの濃度が2〜1000μg/mlである請求項記載の試薬キット。
  9. 合成ホスファチジルエタノールアミンの濃度が1〜30μg/mlであり、ホスファチジルコリンの濃度20〜100μg/mlである請求項7又は8記載の試薬キット。
  10. 前記第1部分試薬及び前記第3部分試薬が活性化剤を含有する請求項4〜9のいずれか1項に記載の試薬キット。
  11. 前記活性化剤がエラグ酸、カオリン、セライト及びエラジン酸から選択される1以上の活性化剤である請求項10に記載の試薬キット。
  12. 前記第1凝固時間測定試薬及び前記第2凝固時間測定試薬が蛇毒及びカルシウムイオンを更に含んでなる請求項1に記載の試薬キット。
  13. 前記蛇毒がラッセル蛇毒、テキスタリン蛇毒及びエカリン蛇毒から選択される1以上の蛇毒である請求項12に記載の試薬キット。
  14. 前記第1凝固時間測定試薬及び前記第2凝固時間測定試薬が組織因子及びカルシウムイオンを更に含んでなる請求項1に記載の試薬キット。
  15. 第1凝固時間測定試薬及び第2凝固時間測定試薬が合成ホスファチジルエタノールアミン、合成ホスファチジルコリンを含有する請求項に記載の検出用試薬キット。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の試薬キットを使用するループスアンチコアグラントの検出方法。
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