JP4262490B2 - ブロー成形装置およびプリフォーム搬送機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、口部外周にねじ部を備えたペットボトルなどのボトル状の容器や、カップ状の容器をブロー成形するブロー成形装置に関するものである。更に詳しくは、本発明は、プリフォームを搬送するための機構、およびプリフォームを加熱するための加熱部の機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ペットボトルなどのブロー成形品を製造する二軸延伸ブロー成形装置としては各種の構造のものが知られているが、基本的には、プリフォームを供給する供給部と、プリフォームを加熱する加熱部と、加熱したプリフォームを二軸延伸ブローしてブロー成形品とするブロー成形型を備えたブロー成形部と、ブロー成形型からブロー成形品を回収する回収部を有している。この構成の二軸延伸ブロー成形装置は、例えば、本願人によって提案されている(下記の特許文献1)。
【0003】
ここで、加熱部を経由してブロー成形部にプリフォームを搬送する方法としては、プリフォームの口部に差し込み可能なマンドレルを用いる方法が知られている。マンドレルは、プリフォームが装着された状態で回転できるように、スプロケットや回転軸受などを備えた構成となっている。
【0004】
マンドレルを用いてプリフォームを搬送する場合には、供給部においてマンドレルの先端部がプリフォーム口部に差し込まれた状態となるように、プリフォームをマンドレルに担持させる。プリフォームが担持されたマンドレルを加熱部を経由して搬送することにより、プリフォームを成形に適した温度に加熱する。加熱部を経由して搬送されるプリフォームは、マンドレルと共に回転して、全体が均一に加熱される。加熱後のプリフォームが担持されたマンドレルはそのままブロー成形型にセットされ、マンドレルの中心に開けた貫通穴を通して延伸ロッドを昇降させると共にブローエアーを吹き込むことによりブロー成形が施される。ブロー成形後にブロー成形型から取り出されたブロー成形品は、マンドレルの先端部から抜かれて回収部に回収される。マンドレルは再び供給部に戻りプリフォームが供給される。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−117821号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プリフォームをマンドレルに担持させて搬送する方法は次のような問題点がある。
【0007】
第1に、マンドレルには、プリフォームを回転させるためのスプロケットや回転軸受などの部品が取り付けられている。従って、プラスチック一次成形品である軽量なプリフォームを搬送する割にはマンドレルの重量が大きい。
【0008】
第2に、ブロー成形品の口径、すなわちプリフォームの口径が変更になった場合には、口径に関与しないマンドレルに取り付けられているスプロケットや回転軸受などの部品を含めマンドレル一式を交換する必要がある。プリフォームの口部に差し込まれるマンドレルの先端部分のみを交換する場合には、マンドレルの分解、組立が必要になる。よって、ブロー成形品の口径が変わると、マンドレルの交換コストが高く、また、労力が必要である。このため、マンドレルを用いたプリフォームの搬送方法は、多品種少量生産には不向きである。
【0009】
第3に、マンドレルを回転させるためにスプロケットが取り付けられている場合、スプロケットを加熱部の搬送経路に沿って架け渡されたチェーンに噛み合わせながら回転させる機構が採用されている。この場合、スプロケットにはチェーンの油が付着するので、ブロー成形時に、ブロー成形型の内面やブロー成形品の内外面に油が付着あるいは混入する惧れがある。
【0010】
本発明の課題は、このような従来の問題点に鑑みて、マンドレルを用いることなくプリフォームを搬送してブロー成形を行うブロー成形装置を提案することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、プリフォームを加熱してブロー成形を行うことにより、ボトル状あるいはカップ状の容器を形成するブロー成形装置において、
プリフォームを搬送するためのパレットと、
前記パレットが循環するパレット水平循環路と、
前記パレット水平循環路に沿って配置された、前記プリフォームを倒立状態で前記パレットに乗せるプリフォーム供給部、前記パレットに担持された状態の前記プリフォームを加熱する加熱部、前記パレットに担持された状態の前記プリフォームをブロー成形するブロー成形部、および成形後の容器を前記パレットから回収する容器回収部とを有しており、
前記パレットは、前記プリフォームの口部を挿入可能な凹部あるいは凸部と、前記ブロー成形部において延伸ロッドおよびブローエアーを通すために、前記凹部の底面に形成した貫通穴あるいは前記凸部を貫通している貫通穴とを備えていることを特徴としている。
【0012】
本発明では、プリフォーム搬送具として、プリフォームの口部を挿入した状態で搬送可能なパレットを用いている。従って、スプロケットや回転軸受などの部品が取り付けられた従来のプリフォーム搬送具であるマンドレルに比べて、極めて軽量なプリフォーム搬送具を実現できる。この結果、ブロー成形装置の軽量化を図ることができ、また、軽量なパレットはプリフォームの高速搬送にも適している。
【0013】
ここで、前記加熱部は、
前記パレットを搬送するための少なくとも一つのパレットキャリアと、
前記パレットキャリアを循環させるキャリア水平循環路と、
前記キャリア水平循環路を循環する前記パレットキャリアに、前記プリフォームが担持された前記パレットを乗せるパレット供給位置と、
前記キャリア水平循環路を循環する前記パレットキャリアによって搬送されている前記パレット上の前記プリフォームを加熱する複数の加熱ステーションと、
前記加熱ステーションを通過した後の前記パレットキャリアから、前記プリフォームが担持された前記パレットを前記ブロー成形部に引き渡すパレット引渡位置とを備えている。
【0014】
また、前記パレットキャリアは、
前記パレットを水平方向から乗せる回転テーブルと、
前記回転テーブルをその中心軸線回りに回転させるテーブル回転機構と、
前記回転テーブルに前記パレットが同軸状態に乗るように、前記パレットの位置決めを行う芯出し機構とを備えている。
【0015】
さらに、前記芯出し機構は、
前記パレット供給位置において水平方向から前記パレットキャリアの前記回転テーブル上に供給された前記パレットの外周面に当接可能な芯出しプレートと、
前記パレットの前記貫通穴に下側から差し込み可能な昇降式コアとを備えている。
【0016】
また、前記パレットキャリアには、前記回転テーブル上の前記パレットに担持されている前記プリフォームの口部が前記加熱ステーションにおいて加熱されないように保護するカバープレートを配置しておくことが望ましい。
【0017】
ここで、前記キャリア水平循環路の前記パレット引渡位置で受け取った前記パレットを前記ブロー成形部の前記ブロー成形型に引き渡すパレット移送部を有している場合には、前記パレット移送部において前記パレットを円形移動軌跡に沿って移送し、前記ブロー成形部において前記ブロー成形型を円形移動軌跡に沿って循環させ、前記加熱部の前記キャリア水平循環路に、円弧状移動軌跡に沿って前記パレットを搬送する部分を形成しておき、前記パレット移送部の前記円形移動軌跡を前記ブロー成形部の前記円形移動軌跡および前記キャリア水平循環路の前記円弧状移動軌跡に外接させ、各外接位置においてプリフォームを担持したパレットの引渡を行わせることができる。
【0018】
次に、前記プリフォーム供給部は、
前記水平循環路に沿って前記容器が取り除かれた後の前記パレットが搬送される空パレット搬送路部分と、
前記空パレット搬送路部分に戻った前記パレットの前記凹部あるいは凸部に、真上から倒立状態の前記プリフォームの口部を装着するプリフォーム挿入機構と、
を備えた構成とすることができる。
【0019】
前記プリフォーム挿入機構は、倒立状態の前記プリフォームを空気力により吸着および離脱可能な吸着部材と、前記吸着部材を昇降する昇降機構とを備えた構成とすることができる。
【0020】
一方、前記加熱部の前記加熱ステーションを、前記水平循環路に沿って移動可能にすることが望ましい。
【0021】
次に、本発明は、水平循環路に沿ってプリフォームをブロー成形型に向けて搬送するために用いるブロー成形装置のプリフォーム搬送機構であって、
プリフォームを搬送するためのパレットと、
前記パレットを搬送するためのパレットキャリアとを有し、
前記パレットは、前記プリフォームの口部を挿入可能な凹部または凸部と、前記ブロー成形部において延伸ロッドおよびブローエアーを通すために、前記凹部の底面に形成した貫通穴または前記凸部を貫通している貫通穴とを備えており、
前記パレットキャリアは、
前記パレットを水平方向から乗せる回転テーブルと、
前記回転テーブルをその中心軸線回りに回転させるテーブル回転機構と、
前記回転テーブルに前記パレットが同軸状態に乗るように、前記パレットの位置決めを行う芯出し機構とを備えており、
前記芯出し機構は、
水平方向から前記パレットキャリアの前記回転テーブル上に供給された前記パレットの外周面に当接可能な芯出しプレートと、
前記パレットの前記貫通穴に下側から差し込み可能な昇降式コアとを備えていることを特徴としている。
【0022】
ここで、前記パレットキャリアは、前記回転テーブル上の前記パレットに担持されている前記プリフォームの口部が加熱されないように保護するカバープレートを備えていることが望ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した二軸延伸ブロー成形装置の実施の形態を説明する。
【0024】
(全体構成)
図1は、プリフォームを二軸延伸ブロー成形してボトル状容器を製造するブロー成形装置の全体構成を示す概略平面構成図である。本実施の形態に係るブロー成形装置1は、一次成形品であるプリフォーム2を搬送するための円盤状のパレット3を備えており、各パレット3を、図において太い一点鎖線で示すパレット水平循環路4に沿って循環させるようになっている。パレット水平循環路4には、プリフォーム2を倒立状態で各パレット3に乗せるプリフォーム供給部5と、パレット3に担持された状態のプリフォーム2を加熱する加熱部6と、パレット3に担持された状態のプリフォーム2をブロー成形するブロー成形部7と、成形後の容器8をパレット2から回収する容器回収部9が配列されている。また、加熱部6とブロー成形部7の間には、加熱部6からプリフォーム2を担持したパレット3を受け取り、これをブロー成形部7に引き渡すためのパレット移送部10が配置されている。
【0025】
(プリフォームおよび容器)
図2は、プリフォーム2および、これを二軸延伸ブロー成形することにより得られた容器8を倒立状態で示す断面図である。プリフォーム2はポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチック製の一次成形品である。プリフォーム2は、カップ状本体21と口部22を備えており、これらの境界部分の外周には大径のサポートリング23が形成され、口部22の外周部分にはねじ部24が形成されている。
【0026】
容器8は、有底筒状の容器本体81と、口部82と、サポートリング83と、口部82の外周部分に形成されたねじ部84を備えている。容器本体81は、プリフォーム2のカップ状本体21を二軸延伸ブロー成形することにより得られた部分であり、口部82、サポートリング83およびねじ部84は、プリフォーム2の口部22、サポートリング23およびねじ部24がそのまま残ったものである。
【0027】
(パレット)
図3は、本例のパレット3を示す斜視図および断面図である。パレット3は、一定厚さの円盤状本体31から形成されている。円盤状本体31の円形上面31aには同心状に一定深さの円形凹部32が形成され、この円形凹部32の円形底面32aには同心状に円形貫通穴33が形成されている。円形凹部32の内径寸法は、プリフォーム2の口部22を挿入可能な大きさに設定されている。従って、図において想像線で示すように、プリフォーム2の口部22を挿入可能である。円形貫通穴33は、後述のように、ブロー成形時に延伸ロッドおよびブローエアを通すためのものである。円盤状本体31の外周面31bの下端部分は大径の円環状フランジ部分31cとなっている。円形凹部32の開口縁部分には、プリフォーム2のサポートリング23を着座させるための円形段面32bが形成されている。
【0028】
(プリフォーム供給部)
プリフォーム供給部5は、容器8が回収された後にパレット水平循環路4に沿って戻ってくる空のパレット3に、倒立状態でプリフォーム2を担持させ、プリフォーム2を担持させたパレット3を加熱部6に供給する。プリフォーム供給部5は、倒立状態でプリフォーム2をパレット3に担持させるためのプリフォーム挿入機構51と、このプリフォーム挿入機構51に空のパレット3を供給するパレット供給コンベヤ52と、プリフォーム挿入機構51にプリフォーム2を供給するプリフォーム供給コンベヤ53を有している。パレット供給コンベヤ52とプリフォーム供給コンベヤ53は、同一高さ位置において平行に配列されている。パレット供給コンベヤ52はパレット水平循環路4の一部の経路を形成している。
【0029】
図4(a)および(b)は、それぞれ、図1のIV−IV線で切断した部分を示す概略断面図、および図4(a)のb−b線で切断した部分を示す概略断面図である。図1および図4を参照して説明すると、プリフォーム挿入機構51では、パレット供給コンベヤ52およびプリフォーム供給コンベヤ53によって、4個ずつのパレット3およびプリフォーム2が、一定の間隔を開けて平行に配列された状態で供給される。
【0030】
本例のプリフォーム挿入機構51は、倒立状態のプリフォーム2を上側から空気力によって吸着可能な吸着部材54と、吸着部材54を昇降させる昇降機構56と、吸着部材54をプリフォーム挿入機構51の中心軸線51aの回りに旋回させる旋回機構57を備えている。
【0031】
詳細に説明すると、プリフォーム挿入機構51は門形の架台58を備え、架台58にはエアー駆動式の旋回機構57が取り付けられている。この旋回機構57によって旋回する旋回プレート57aには、中心軸線51aを中心として回転対称の状態で、両側に2本ずつの昇降ガイド56aが垂直に取り付けられている。これら昇降ガイド56aには、昇降プレート56bが昇降自在に取り付けられており、各昇降プレート56bは、垂直に配置されているエアーシリンダ56cによって昇降される。エアーシリンダ56cは、4本の昇降ガイド56aの下端に水平に取り付けた支持プレート56dによって支持されている。これら昇降ガイド56a、昇降プレート56bおよびエアーシリンダ56cによって昇降機構56が構成されている。
【0032】
昇降プレート56bは矩形であり、両側に、それぞれ4本ずつの軸55aが回転自在の状態で垂直に支持されている。各軸55aの下端には吸着部材54が同軸状態に固定されている。
【0033】
吸着部材54は、その下面にプリフォーム2のカップ状本体21の輪郭と相補的な形状をした吸着用凹部54aを備えており、この吸着用凹部54aの中心にはエアー吸引口54bが開いている。エアー吸引口54bは軸55aの軸孔55dを介してエアー吸引源(図示せず)に連通している。
【0034】
この構成のプリフォーム挿入機構51によりプリフォーム2をパレット3に挿入する動作を説明する。プリフォーム2およびパレット3は4つずつ、中心軸線51aを中心として回転対称の状態で供給される。この状態において、これらの直上には、4個ずつの吸着部材54が位置決めされる。次に、昇降機構56によって吸着部材54を下降させて、図4(b)における右側に示すように、プリフォーム2が吸着用凹部54aに嵌り込んた状態を形成する。この状態でエアー吸引口54bから空気を吸引することにより、プリフォーム2が吸着部材54に吸着された状態になる。
【0035】
この後は、4個の吸着部材54を上昇させ、旋回機構57によって中心軸線51aを中心として180度旋回させて、待機している4枚のパレット3の真上に位置決めする。次に、昇降機構56によって4個の吸着部材54を下降させ、各吸着部材54に吸着保持されているプリフォーム2の口部22が、各パレット3の挿入用凹部32に挿入された状態を形成する。この後にエアー吸引を解除して4個の吸着部材54を昇降機構56によって上昇させると、各パレット3に、倒立状態でプリフォーム2が担持された状態になる。
【0036】
ここで、本例のプリフォーム挿入機構51では、回転対称の状態に配列した4個ずつの吸着部材54を備えている。従って、一方の側の4個の吸着部材54によってプリフォーム2の吸着動作を行うと同時に、他方の側の4個の吸着部材54によってプリフォーム2をパレット3に挿入する動作を行うことができる。
【0037】
上記のようにプリフォーム2を担持したパレット3は、パレット供給コンベヤ52によって加熱部6に向けて搬送される。
【0038】
(加熱部)
加熱部6は、パレット3を搬送するためのパレットキャリア61と、このパレットキャリア61をキャリア水平循環路62に沿って循環させるための搬送機構63と、キャリア水平循環路62に沿って配列されている複数のヒータボックス(加熱ステーション)64(1)〜64(4)を有している。
【0039】
図5は加熱部6の一部分を示す部分平面図であり、図6(a)および(b)は、図5のVI−VI線で切断した部分を示す部分断面図および拡大部分断面図である。図1、図5、図6を参照して説明すると、加熱部6の搬送機構63は、駆動スプロケット63aと、3枚の従動スプロケット63bと、これら4枚のスプロケット63a、63bに架け渡した無端チェーン63cを備えている。駆動スプロケット63aを不図示のモータ等によって回転させることにより、無端チェーン63cが無限軌道を移動する。
【0040】
無端チェーン63cには一定の間隔で複数のパレットキャリア61の内側端部が連結されている。パレットキャリア61は長方形をした一定厚さの支持プレート611を備え、支持プレート611の内側端部611aの裏面が無端チェーン63cに連結固定されている。支持プレート611の外側端部611bは、ブロー成形機架台11に取り付けたガイド12にスライド自在に乗っており、無端チェーン63cが移動すると、支持プレート611は水平姿勢を保持した状態で移動する。
【0041】
支持プレート611には回転テーブル612が乗っており、回転テーブル612は、支持プレート611を貫通して垂直に延びている中空回転軸613の上端に同軸状態で連結固定されている。中空回転軸613は、支持プレート611に取り付けた軸受614によって回転自在の状態で支持されている。中空回転軸613の下端には同軸状態でスプロケット615が固定されている。スプロケット615は、ブロー成形機架台11の支持部材13によって水平に配列されているチェーン14に噛み合っている。チェーン14はキャリア水平循環路62に沿って配列されている。
【0042】
回転テーブル612の上面はパレット3とほぼ同一の大きさであり、ここにパレット3が乗せられる。パレットキャリア61が移動すると、回転テーブル612がその中心軸線の回りに回転するので、パレット3および、そこに担持されているプリフォーム2も回転しながら搬送される。
【0043】
パレットキャリア61は、回転テーブル612に同軸状態でパレット3を乗せるための芯出し機構が備わっている。まず、パレット3は、水平パレット循環路62におけるパレット供給位置62aにおいて、プリフォーム供給部5の側からパレットキャリア61の回転テーブル612に引き渡される。回転テーブル612の上面に引き渡されたパレット3を回転テーブル612の上面に同軸状態となるように位置決めするために、パレットキャリア61は芯出しプレート616を備えている。芯出しプレート616は円弧状端面616aを備えており、この円弧状端面616aは、回転テーブル612の上面612aの輪郭に一致すると共に、回転テーブル612に乗ったパレット3の円環状フランジ31cの外周面が当接する高さに位置している。
【0044】
パレット3はパレットキャリア61に対して、その外側端部の側から水平に供給される。回転テーブル612に乗ったパレット3は、芯出しプレート616の円弧状端面616aに当たることにより、回転テーブル612の上面612aにほぼ同軸状態に乗った状態が形成される。
【0045】
次に、パレットキャリア61は、回転テーブル612に同軸状態で乗ったパレット3をその状態に保持するための機構も備わっている。この機構は、回転テーブル612および中空回転軸613を、回転不可で、昇降可能な状態で貫通して延びるコアピン617と、コアピン617の上端に同軸状態に形成されている大径のコア618と、コアピン617を昇降させるためのカム式の昇降機構619を備えている。コア618は、パレット3の貫通穴33にはめ込み可能な大きさに設定されており、コアピン617は常にコイルばね619によって上方に付勢されている。
【0046】
パレット供給位置62aでパレット3を受け取ると、パレットキャリア61のコアピン617は、その下端部分とブロー成形機架台11の側との間に形成されているカム式昇降機構619によって押し上げられる。この結果、芯出しプレート616によって回転テーブル612上に位置決めされたパレット3に、下側からコア618が嵌り込む。よって、パレット3は回転テーブル612上に同心状態に位置決めされた状態に保持される。
【0047】
なお、本例のパレットキャリア61はカバープレート631を備えている。パレットキャリア61の回転テーブル612上に乗ったパレット3のプリフォーム2のサポートリング23の円周方向のほぼ半分が、カバープレート631によって覆われた状態になる。プリフォーム2は回転しながら加熱されるので、カバープレート631によって半分が覆われているサポートリング23および口部22の部分は加熱量が半分になるので、これらの部分が高温になるまで加熱されてしまうことを防止できる。
【0048】
最終のヒーターボックス64(4)を通過した後のパレットキャリア61は、水平キャリア循環路62における円弧状搬送路部分62cに形成されている引渡位置62dで、加熱後のプリフォーム2を担持しているパレット3をパレット移送部10に引き渡す。
【0049】
(パレット移送部およびブロー成形部)
パレット移送部10はトランスファーターレットから構成されており、円盤状のターレット板101の外周部分には、90度の角度間隔で、4個のパレット搬送具102が取り付けられている。これらパレット移送具102は外側に開いた円弧状のパレット当接用端面103を備えたパレット載置面104を備えている。円弧状のパレット当接用端面103の円弧中心の円形移動軌跡105は、水平キャリア循環路62の円弧状搬送路部分62cに外接しており、この外接位置が引き渡し位置62dとされている。
【0050】
次に、ブロー成形部7は、複数、本例では90度間隔で配置した4つのブロー成形型71が循環するロータリ式のものである。ブロー成形型71は、内側の開閉軸73を中心として左右に開閉可能な開閉型74、75から構成されている。これら開閉型74、75によって規定される成形用キャビティの中心が描く円形移動軌跡76が、パレット移送部10の円形移動軌跡105に外接するようになっており、この外接位置76aにおいて、パレット移送部10の側からプリフォーム2が担持されたパレット3がブロー成形型71に引き渡される。
【0051】
ここで、開閉型74、75の下端には、パレット3の円環状フランジ31cの部分を両側から把持するための半円形内周面77を備えた把持板78a、78bが取り付けられている。また、引き渡されたパレット3を受け取るベース79が配置されている。このベース79にはほぼ半円形のパレット当接用内周面79aが形成されている。
【0052】
(プリフォーム搬送動作)
本例のブロー成形装置1におけるプリフォーム搬送動作を以下に纏めて説明する。
【0053】
プリフォーム2は、倒立状態(下向き状態)で、プリフォーム供給コンベヤ53によってプリフォーム供給部5のプリフォーム挿入機構51に供給される。容器回収部9を経由して容器8が回収された後の空のパレット3はパレット供給コンベヤ52によってプリフォーム挿入機構51に供給される。プリフォーム挿入機構51において、倒立状態のプリフォーム2の口部22がパレット3の凹部32に挿入される。プリフォーム2が挿入された後のパレット3、即ち、プリフォーム2を担持したパレット3は、加熱部6のキャリア水平循環路62におけるパレット供給位置62aにおいて、パレットキャリア61に乗せられる。
【0054】
パレットキャリア61はキャリア水平循環路62に沿って最初のヒーターボックス64(1)に到る間に、そのコアピン613が上昇してパレット3の位置決めが行われる。パレットキャリア61はヒーターボックス64(1)〜64(4)を経由して搬送され、ブロー成形に適した温度に加熱される。パレット3はパレットキャリア61の回転テーブル612に乗っているので、パレットキャリア61の移動に伴って回転する。各ヒーターボックス64(1)〜64(4)ではパレットキャリア61の通過経路の両側にヒーターが配置されているので、パレット3に担持されているプリフォーム2を回転させることにより、プリフォーム2の外周面を均一に加熱できる。また、パレットキャリア61にはカバープレート631が取り付けられており、パレット3に担持されているプリフォーム2のサポートリング23が覆われた状態になる。従って、サポートリング23およびその近傍の口部22の部位が加熱されることを防止できる。
【0055】
プリフォーム2を担持したパレット3は、最後のヒーターボックス64(4)を通過した後、位置62bに到るまでに、コアピン617が下降する。しかる後に、位置62dにおいてパレット移送部10に引き渡される。プリフォーム2を担持したパレット3は、パレット移送部10を経由して、ロータリー式のブロー成形部7における型開き状態にあるブロー成形型71に引き渡される。ブロー成形型71は円形移動軌跡76に沿って移動しながら型締め動作を行い、次にブロー成形動作を行う。ブロー成形後は型開き動作が行われ、ブロー成形によって得られた容器8がスターホイールなどのパレット搬送機構によってブロー成形型71から取り出される。この後は、パレット3から容器8が取り外されて容器回収部9に回収される。空となったパレット3は再びプリフォーム供給部5に戻る。
【0056】
(加熱部の別の例)
本例のブロー成形装置1の加熱部6は4つのヒーターボックス64(1)〜64(4)を備えている。これらのヒーターボックスは、パレット水平循環路4と一部分が重複しているキャリア水平循環路62における定まった位置に固定配置されている。
【0057】
ヒーターボックスを固定した位置に配置する代わりに、設置位置をキャリア水平循環路62(パレット水平循環路4)に沿って前後に移動可能とすることもできる。例えば、装置レイアウトなどの関係で、最終段のヒーターボックス64(4)から出たプリフォーム2がブロー成形型71でブロー成形されるまでの時間が長くなる場合には、最終段のヒーターボックス64(4)をプリフォーム搬送方向の下流側に移動した位置とすればよい。逆に、加熱後のプリフォーム2をブロー成形するための時間が短すぎる場合には、最終段のヒーターボックス64(4)をプリフォーム搬送方向の上流側に移動した位置とすればよい。なお、最終段のヒーターボックス64の移動に合わせて、前段側のヒーターボックス64(1)〜64(3)の設置位置を変更すればよい。
【0058】
次に、上記のパレット3は、プリフォーム挿入用の凹部32を備えているが、凹部の代わりに、凸部を形成してもよい。この場合には、プリフォームの口部に凸部が挿入された状態となるように、パレットにプリフォームが担持される。また、凸部を貫通した状態となるように貫通穴33が形成される。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のブロー成形装置では、プリフォームの口部を挿入可能な凹部を備えた単純で軽量なパレットを用いてプリフォームを搬送するようにしている。従って、従来構成のマンドレルによりプリフォームを搬送する場合に比べて、軽量かつ廉価なブロー成形装置を実現できる。特に、口部外径寸法の大きなボトルやカップなどをブロー成形する場合に、その軽量化を図るのに有利である。また、プリフォームの搬送部品の軽量化を図ることは、プリフォームの高速搬送に有利である。
【0060】
次に、成形対象の容器寸法(容器の口径)が変更になった場合に、パレットを搬送するためのパレットキャリアを変更する必要がなく、パレットのみを交換するだけでよい。
【0061】
さらに、パレットはパレットキャリアの回転テーブルに乗っているだけなので、パレットの交換時には、単に、パレットを手で持ち上げるだけでよい。よって、パレット交換作業が極めて簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したブロー成形装置の実施例を示す概略平面図である。
【図2】図1のブロー成形装置に用いるプリフォームおよび成形後の容器を示す説明図である。
【図3】図1のブロー成形装置に用いるプリフォームを搬送するためのパレットを示す斜視図および断面図である。
【図4】図1のブロー成形装置のプリフォーム挿入機構を示す図であり、(a)はそのIV−IV線で切断した部分を示す概略構成図であり、(b)は(a)のb−b線で切断した部分を示す概略構成図である。
【図5】図1のブロー成形装置の一部を拡大して示す部分拡大平面図である。
【図6】図5のVI−VI線で切断した部分を示す概略断面図、およびその部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ブロー成形装置
2 プリフォーム
21 カップ状本体
22 口部
23 サポートリング
24 ねじ部
3 パレット
31 円盤状本体
31b 外周面
32 円形凹部
32b 円形段面
33 円形貫通穴
4 パレット水平循環路
5 プリフォーム供給部
51 プリフォーム挿入機構
52 パレット供給コンベヤ
53 プリフォーム供給コンベヤ
54 吸着部材
56 昇降機構
57 旋回機構
6 加熱部
61 パレットキャリア
612 回転テーブル
616 芯出しプレート
617 コアピン
62 キャリア水平循環路
631 カバープレート
62a パレット供給位置
62b 位置
62c 円弧状搬送路部分
62d パレット引渡位置
63 搬送機構
64 ヒーターボックス
7 ブロー成形部
71 ブロー成形型
74、75 開閉型
76 円形移動軌跡
79 ベース
79a パレット当接用内周面
8 容器
81 容器本体
82 口部
83 サポートリング
84 ねじ部
9 容器回収部
10 パレット移送部
102 パレット搬送具
103 パレット当接用端面
104 パレット載置面
105 円形移動軌跡
Claims (8)
- プリフォームを加熱してブロー成形を行うことにより、ボトル状あるいはカップ状の容器を形成するブロー成形装置において、
プリフォームを搬送するためのパレットと、
前記パレットが循環するパレット水平循環路と、
前記パレット水平循環路に沿って配置された、前記プリフォームを倒立状態で前記パレットに乗せるプリフォーム供給部、前記パレットに担持された状態の前記プリフォームを加熱する加熱部、前記パレットに担持された状態の前記プリフォームをブロー成形するブロー成形部、および成形後の容器を前記パレットから回収する容器回収部と、
を有しており、
前記パレットは、前記プリフォームの口部を挿入可能な凹部または凸部と、前記ブロー成形部において延伸ロッドおよびブローエアーを通すために、前記凹部の底面に形成した貫通穴または前記凸部を貫通している貫通穴とを備えており、
前記加熱部は、前記パレットを搬送するための少なくとも一つのパレットキャリアと、前記パレットキャリアを循環させるキャリア水平循環路と、前記キャリア水平循環路を循環する前記パレットキャリアに、前記プリフォームが担持された前記パレットを乗せるパレット供給位置と、前記キャリア水平循環路を循環する前記パレットキャリアによって搬送されている前記パレット上の前記プリフォームを加熱する複数の加熱ステーションと、前記加熱ステーションを通過した後の前記パレットキャリアから、前記プリフォームが担持された前記パレットを前記ブロー成形部に引き渡すパレット引渡位置とを備えており、
前記パレットキャリアは、前記パレットを水平方向から乗せる回転テーブルと、前記回転テーブルをその中心軸線回りに回転させるテーブル回転機構と、前記回転テーブルに前記パレットが同軸状態に乗るように、前記パレットの位置決めを行う芯出し機構とを備えており、
前記芯出し機構は、前記パレット供給位置において水平方向から前記パレットキャリアの前記回転テーブル上に供給された前記パレットの外周面に当接可能な芯出しプレートと、
前記パレットの前記貫通穴に下側から差し込み可能な昇降式コアとを備えていることを特徴とするブロー成形装置。 - 請求項1に記載のブロー成形装置において、
前記パレットキャリアは、
前記回転テーブル上の前記パレットに担持されている前記プリフォームの口部が前記加熱ステーションにおいて加熱されないように保護するカバープレートを備えていることを特徴とするブロー成形装置。 - 請求項1または2に記載のブロー成形装置において、
前記キャリア水平循環路の前記パレット引渡位置で受け取った前記パレットを前記ブロー成形部の前記ブロー成形型に引き渡すパレット移送部を有しており、
前記パレット移送部は、前記パレットを円形移動軌跡に沿って移送するものであり、
前記ブロー成形部は前記ブロー成形型を円形移動軌跡に沿って循環させるものであり、
前記加熱部の前記キャリア水平循環路は、円弧状移動軌跡に沿って前記パレットを搬送する部分を備えており、
前記パレット移送部の前記円形移動軌跡は前記ブロー成形部の前記円形移動軌跡および前記キャリア水平循環路の前記円弧状移動軌跡に外接しており、各外接位置においてプリフォームを担持したパレットの引渡が行われることを特徴とするブロー成形装置。 - 請求項1ないし3のうちのいずれかの項に記載のブロー成形装置において、
前記プリフォーム供給部は、
前記水平循環路に沿って前記容器が取り除かれた後の前記パレットが搬送される空パレット搬送路部分と、
前記空パレット搬送路部分に戻った前記パレットの前記凹部または前記凸部に、真上か ら倒立状態の前記プリフォームの口部を挿入するプリフォーム挿入機構と、
を備えていることを特徴とするブロー成形装置。 - 請求項4に記載のブロー成形装置において、
前記プリフォーム挿入機構は、倒立状態の前記プリフォームを空気力により吸着および離脱可能な吸着部材と、前記吸着部材を昇降する昇降機構とを備えていることを特徴とするブロー成形装置。 - 請求項1ないし5のうちのいずれかの項に記載のブロー成形装置において、
前記加熱部の前記加熱ステーションは、前記水平循環路に沿って移動可能であることを特徴とするブロー成形装置。 - 水平循環路に沿ってプリフォームをブロー成形型に向けて搬送するために用いるブロー成形装置のプリフォーム搬送機構であって、
プリフォームを搬送するためのパレットと、
前記パレットを搬送するためのパレットキャリアとを有し、
前記パレットは、前記プリフォームの口部を挿入可能な凹部または凸部と、前記ブロー成形部において延伸ロッドおよびブローエアーを通すために、前記凹部の底面に形成した貫通穴または前記凸部を貫通している貫通穴とを備えており、
前記パレットキャリアは、前記パレットを水平方向から乗せる回転テーブルと、前記回転テーブルをその中心軸線回りに回転させるテーブル回転機構と、前記回転テーブルに前記パレットが同軸状態に乗るように、前記パレットの位置決めを行う芯出し機構とを備えており、
前記芯出し機構は、水平方向から前記パレットキャリアの前記回転テーブル上に供給された前記パレットの外周面に当接可能な芯出しプレートと、前記パレットの前記貫通穴に下側から差し込み可能な昇降式コアとを備えていることを特徴とするブロー成形装置のプリフォーム搬送機構。 - 請求項7に記載のブロー成形装置のプリフォーム搬送機構において、
前記パレットキャリアは、前記回転テーブル上の前記パレットに担持されている前記プリフォームの口部が加熱されないように保護するカバープレートを備えていることを特徴とするブロー成形装置のプリフォーム搬送機構。
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