JP4261218B2 - パレット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、フォークリフトのフォークを挿入するためのフォーク挿入孔を備え、瓦等の積載物を運搬するために使用されるパレットに関するものである。より詳しくは、フォーク挿入孔の内部にフォークの挿入を案内するためのガイド部を設け、前記フォーク挿入孔の内部に挿入されたフォークの先端がフォーク挿入孔内に存在する段差と干渉し難くなるように工夫されたパレットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のパレットとしては、次に示すような構成の合成樹脂製パレットが知られている(例えば、特許文献1参照。)。すなわち、この合成樹脂製パレットは、上面部と下面部とが複数の筒状桁で連結されることにより、各筒状桁の間に各一対の第1のフォーク挿入孔及び第2のフォーク挿入孔が井の字状に形成された4方差しの構成となっている。第1のフォーク挿入孔の上下方向の寸法は、第2のフォーク挿入孔の上下方向の寸法よりも短くされており、第1のフォーク挿入孔には一般のフォークリフトのフォークが、第2のフォーク挿入孔にはハンドフォークリフトのフォークが挿入される。また、上面部及び下面部には、隣接する筒状桁間に一体に架設された桟と、第1又は第2のフォーク挿入孔に平行で且つ前記桟と一体に交差する桟とが設けられている。これら桟のうち、第1のフォーク挿入孔の上面部乃至下面部を構成するものは、第2のフォーク挿入孔の上面部乃至下面部を構成するものに比べ、上下方向の寸法が長くなっている。このように一部の桟で上下方向の寸法を長くすることにより、パレット全体としての強度を確保することができ、パレット全体の薄型化を可能としている。
【0003】
一方、他の合成樹脂製パレットとして、次に示すような構成のものも知られている(例えば、特許文献2参照。)。すなわち、この合成樹脂製パレットは、上部デッキボードと下部デッキボードとが中間桁及び該中間桁を挟んで配設された一対の端部桁により連結されることにより、中間桁と一対の端部桁との間に一対のフォーク差し込み孔が形成された2方差しの構成となっている。前記下部デッキボードは、中間桁と端部桁の両端部及び中間部をそれぞれ連結する端部連結梁及び中間連結梁を有しており、上部デッキボードは、その裏面に縦横に走るリブが垂設されている。そして、このリブのうち、ハンドフォークリフトがフォーク差し込み孔に差し込まれて連結梁に載置されたときにフォークの先端が当接するものは、他のリブよりも高さが低く、フォークの先端が干渉し難くなるように構成されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−120834号公報
【特許文献2】
特開2001−88835号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来の合成樹脂製パレットにおいて、4方差しの構成のものは、第1及び第2のフォーク挿入孔で上下方向の寸法が異なることから、第1のフォーク挿入孔と第2のフォーク挿入孔とが交差する箇所で上面部又は下面部の内面に段差が形成されてしまう。そして、この段差にフォークの先端が干渉してしまい、フォークを挿入しにくくなるという問題があった。ここで、問題を解決すべく、前記2方差しのパレットがリブを低くしたように、フォークの先端が干渉する桟の上下方向の寸法を短くすることが考えられた。しかし、このように桟の上下方向の寸法を短くすれば、パレット全体としての十分な強度を確保することができず、パレット全体の厚みを増さざるを得なかった。
【0006】
この発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、パレット全体で十分な強度を確保しつつ、フォーク挿入孔内へのフォークの挿入を円滑に行うことができるパレットを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載のパレットの発明は、複数の桟により隣接する筒状桁間を連結し、一対の第1フォーク挿入孔と、これら第1フォーク挿入孔に対して交差する方向へ延びる一対の第2フォーク挿入孔とを形成させるように構成したパレットであって、前記第1フォーク挿入孔の上下方向の寸法を第2フォーク挿入孔の上下方向の寸法よりも短くするとともに、第1フォーク挿入孔と第2フォーク挿入孔とが交差する箇所に配置される桟の内面には、第1フォーク挿入孔内に挿入されたフォークの先端をフォークの挿入方向で奥側へと案内するためのガイド部を設けたことを要旨とする。
【0008】
また、請求項1に記載のパレットの発明は、前記ガイド部は、フォークの挿入方向で奥側へと向かうに従い桟の内面からの高さが高くなるように、その先端部が傾斜されたガイドリブであることを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載のパレットの発明は、同大同形状の上部デッキ部材と下部デッキ部材とが溶着されて一体化されてなり、前記上部デッキ部材及び下部デッキ部材は、複数の桟により隣接する筒状桁間を連結し、一対の第1フォーク挿入孔と、これら第1フォーク挿入孔に対して交差する方向へ延びる一対の第2フォーク挿入孔とを形成させるように構成されている両面使用可能なパレットであって、前記第1フォーク挿入孔の上下方向の寸法を第2フォーク挿入孔の上下方向の寸法よりも短くするとともに、第1フォーク挿入孔と第2フォーク挿入孔とが交差する箇所の上面部及び下面部に配置される桟の内面には、第1フォーク挿入孔内に挿入されたフォークの先端をフォークの挿入方向で奥側へと案内するためのガイド部を設け、前記ガイド部は、フォークの挿入方向で奥側へと向かうに従い前記上面部に配置される桟の内面からの高さが高くなるように傾斜されたガイド面であることを要旨とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図2に示すように、実施形態のパレット11は、合成樹脂により平面正方形の直方体状に一体形成されているうえ、両面使用4方差しの構成となっている。すなわち、このパレット11には、フォークリフト及び自動倉庫のフォークを挿入するためのフォーク挿入孔が合計4個(二対)設けられている。これら二対のフォーク挿入孔のうち、パレット11の対向する一対の第1側面11aで両端が開口された左右一対が第1フォーク挿入孔12aである。また、二対のフォーク挿入孔のうち、パレット11の対向する一対の第2側面11bで両端が開口された左右一対が第2フォーク挿入孔12bである。
【0011】
このパレット11は、上部デッキ部材13と下部デッキ部材14とを別々に射出成形した後、上部デッキ部材13の下端面と下部デッキ部材14の上端面とを溶着させることにより一体化される。パレット11の上端面及び下端面は、水平面に沿って延びる上面デッキ15a及び下面デッキ15bとされており、この上面デッキ15a上に図示しない載置物が載置される。そして、当該パレットは、パレット11の一側部に開口された左右一対の第1フォーク挿入孔12a又は第2フォーク挿入孔12b内に自動倉庫又はフォークリフトのフォークを挿入することにより、載置物が載置された状態で運搬されるように構成されている。
【0012】
図1から図4に示すように、パレット11の4つのコーナ部には、四角筒状に形成された筒状桁としての隅部桁21がそれぞれ立設されている。隣接する隅部桁21の間で中央位置、すなわちパレット11の各側部中央には、四角筒状に形成された筒状桁としての中間桁22が立設されている。対向する各一対の中間桁22の間で中央位置、すなわちパレット11の中央(中心部)には、四角筒状に形成された筒状桁としての中央桁23が立設されている。これら隅部桁21、中間桁22及び中央桁23は、パレット11において第1フォーク挿入孔12a及び第2フォーク挿入孔12bを開口させつつ、下面デッキ15bに対して上面デッキ15aを所定高さに支持している。
【0013】
隅部桁21と中間桁22との間には、桟としての長四角板状をなす第1上部側桟31a及び第2上部側桟31bが両桁21,22の上端部間を連結するように架設されている。なお、この第1上部側桟31aは、パレット11の第1側面11aに沿って架設されたものであり、第2上部側桟31bは、パレット11の第2側面11bに沿って架設されたものである。これら第1上部側桟31a及び第2上部側桟31bにより、前記上面デッキ15aの側部(周縁部)が構成されている。
【0014】
第1上部側桟31aの下方位置には、桟としての長四角板状をなす第1下部側桟32aが隅部桁21と中間桁22の下端部間を連結するように架設されている。第2上部側桟31bの下方位置には、桟としての長四角板状をなす第2下部側桟32bが隅部桁21と中間桁22の下端部間を連結するように架設されている。これら第1下部側桟32a及び第2下部側桟32bにより、前記下面デッキ15bの側部(周縁部)が構成されている。
【0015】
上記の隅部桁21、中間桁22、第1上部側桟31a及び第1下部側桟32aにより、第1フォーク挿入孔12aの開口部を構成する第1フォーク挿入口16aがパレット11の第1側面11aに形成されている。また、隅部桁21、中間桁22、第2上部側桟31b及び第2下部側桟32bにより、第2フォーク挿入孔12bの開口部を構成する第2フォーク挿入口16bがパレット11の第2側面11bに形成されている。
【0016】
中間桁22と中央桁23との間には、両桁22,23の上端部間を連結するように、水平面に沿って延びる桟としての長四角板状をなす第1上部中桟33a及び第2上部中桟33bが架設されている。なお、この第1上部中桟33aは、一対の第1上部側桟31aの間に配設されたものであり、第2上部中桟33bは、一対の第2上部側桟31bの間に配設されたものである。第1上部中桟33a又は第2上部中桟33bと、これらに隣接する第1上部側桟31a又は第2上部側桟31bとの間には、これらを連結するように桟としての長四角板状をなす上部間桟35が架設されている。これら第1上部中桟33a、第2上部中桟33b及び上部間桟35によって上面デッキ15aの中央部が構成されている。
【0017】
また、第1上部中桟33aの下方位置には、中間桁22と中央桁23の下端部間を連結するように、水平面に沿って延びる桟としての長四角板状をなす第1下部中桟34aが架設されている。第2上部中桟33bの下方位置には、中間桁22と中央桁23の下端部間を連結するように、水平面に沿って延びる桟としての長四角板状をなす第2下部中桟(図示しない)が架設されている。第1下部中桟34a又は第2下部中桟と、これらに隣接する第1下部側桟32a又は第2下部側桟32bとの間には、これらを連結するように、水平面に沿って延びる桟としての長四角板状をなす下部間桟36が架設されている。これら第1下部中桟34a、第2下部中桟及び下部間桟36によって下面デッキ15bの中央部が構成されている。
【0018】
前記第1上部側桟31a、第1下部側桟32a、上部間桟35、下部間桟36、第1上部中桟33a、第1下部中桟34a、隅部桁21、中間桁22及び中央桁23により、パレット11の内部には、第1フォーク挿入口16aから水平方向に延びる第1フォーク挿入孔12aが形成されている。また、第2上部側桟31b、第2下部側桟32b、上部間桟35、下部間桟36、第2上部中桟33b、第2下部中桟、隅部桁21、中間桁22及び中央桁23により、パレット11の内部には、第2フォーク挿入口16bから水平方向に延びる第2フォーク挿入孔12bが形成されている。そして、この第2フォーク挿入孔12bは、第1フォーク挿入孔12aに対して交差する方向へ延びるように配設されている。
【0019】
図1(a),(b)に示すように、第1上部側桟31a、第2上部側桟31b、第1上部中桟33a、第2上部中桟33b及び上部間桟35の内面には、上面デッキ15aを補強するための補強リブ41が格子状に複数設けられている。これら補強リブ41は、パレット11の全体で十分な強度を確保するため、次に示すような様々な工夫がなされている。すなわち、第2上部側桟31b、第2上部中桟33b及び上部間桟35において、一部の補強リブ41は、各桟31b,33b,35の間において、一直線上で第2フォーク挿入孔12bと同方向へ延びるように配置されている。これにより、各桟31b,33b,35の間における撓み、捻れ等が抑制され、パレット11全体の強度確保が図られる。
【0020】
第1上部側桟31a及び第1上部中桟33aの内面に設けられた第1リブ41aは、他の補強リブ41に比べ、第1上部側桟31a及び第1上部中桟33aの内面からの高さが高くなっている。図1(a),(b)及び図3(a),(b)に示すように、第1リブ41aの高さが他の補強リブ41の高さよりも高い分だけ、第1リブ41aを含む第1上部側桟31a及び第1上部中桟33aの厚みは、他の補強リブ41を含む他の桟の厚みよりも増している。そして、第1上部側桟31a及び第1上部中桟33aは、前述のように他の桟に比べて厚みを増し、それぞれの強度が高まるように構成されることにより、パレット11全体の強度確保に寄与する。
【0021】
第1上部側桟31aと上部間桟35との境界、第1上部中桟33aと上部間桟35との境界に設けられた第2リブ41bは、他の補強リブ41に比べ、その厚みが厚くなるように形成されている。加えて、この第2リブ41bは、隅部桁21の側壁と中間桁22の側壁、中間桁22の側壁と中央桁23の側壁を繋ぐように、これら側壁の延長線上に配置されている。第1フォーク挿入孔12aにフォークを挿入した状態でパレット11を持ち上げる場合、第1上部側桟31a及び第1上部中桟33aの厚みと、上部間桟35の厚みとが異なることから、これら桟31a,33a,35の撓みの度合いも異なる。特に、これら桟31a,33a,35の境界部分では、この撓みの差が大きくなり、パレット11全体の強度低下の一因となる。このため、当該第2リブ41bは、他の補強リブ41に比べて肉厚で、かつ各桁の側壁を繋ぐように構成されることにより、これら桟31a,33a,35の境界部分の強度を高め、パレット11全体の強度確保に寄与する。
【0022】
上部間桟35の内面で一対の第2リブ41bの間には、第3リブ41cが第2リブ41bと直交する方向へ延びるように複数設けられている。加えて、当該第3リブ41cの一部は、第1上部側桟31a及び第1上部中桟33aの内面に設けられた第1リブ41aのうち、第1フォーク挿入孔12aと同方向へ延びるように配設された第4リブ41dと一直線状に延びるように配置されている。つまり、第3リブ41cと第4リブ41dは、第1上部側桟31a又は第1上部中桟33aと上部間桟35との間で一直線上で第1フォーク挿入孔12aと同方向に延びるように配置されている。第1フォーク挿入孔12aにフォークを挿入した状態でパレット11を持ち上げる場合、各桟31a,33a,35の厚みが異なることから、それぞれの捻れの度合いも異なる。特に、厚みの薄い上部間桟35は、第1上部側桟31a及び第1上部中桟33aに比べて捻れやすく、パレット11全体の強度低下の一因となる。このため、当該第3リブ41cは、第2リブ41bに直交し、かつ第4リブ41dと一直線状に延びるように構成されることにより、上部間桟35の捻れに対する強度を高め、パレット11全体の強度確保に寄与する。
【0023】
前に挙げたように、第1上部側桟31a及び第1上部中桟33aの厚みが他の桟に比べて増していることから、第1フォーク挿入孔12aは、その上下方向の寸法(高さ)が第2フォーク挿入孔12bの上下方向の寸法に比べて短くなる。前記上部間桟35は、第1フォーク挿入孔12aと第2フォーク挿入孔12bとが交差する箇所に配置される桟となる。この上部間桟35の内面で、第1上部側桟31a及び第1上部中桟33aにそれぞれ隣接する両側縁部には、ガイド部としての複数のガイドリブ45が設けられている。
【0024】
これらガイドリブ45は、第1上部側桟31a又は第1上部中桟33aと上部間桟35との境界に配置された第2リブ41bの側面から、第1フォーク挿入孔12aと同じ方向に延びるように突設されている。複数のうち、一部のガイドリブ45は上部間桟35の内面から垂下されるとともに、他のガイドリブ45は第3リブ41cの下面から垂下されている。いずれのガイドリブ45においても、それぞれの先端部は、フォークの挿入方向で奥側へと向かうに従い、上部間桟35の内面からの高さが高くなるように傾斜されている。
【0025】
この傾斜されたガイドリブ45の先端部には、第1フォーク挿入口16aから第1フォーク挿入孔12a内へと挿入されたフォークの先端が摺接されるように構成されている。すなわち、図1(b)の状態ならば、第1フォーク挿入口16aから挿入されたフォークの先端は、第1フォーク挿入孔12a内で第1上部中桟33a側のガイドリブ45の先端部に摺接される。そして、ガイドリブ45の先端部に摺接されることにより、フォークは、その先端が同フォークの挿入方向で奥側へと案内される。加えて、第3リブ41cの下面から垂下されるガイドリブ45は、その先端部が傾斜されることにより、第2リブ41bを境界とする第3リブ41cと第4リブ41dとの間に直角状の段差を形成せず、これを埋めるように構成されている。このため、当該ガイドリブ45は、第3リブ41cと第4リブ41dの高さの差による補強リブ41間での強度低下を防止し、これらが略一体的なものとなるように構成することにより、補強リブ41の強度を高め、パレット11全体の強度確保に寄与する。
【0026】
この実施形態において、前記上部デッキ部材13と下部デッキ部材14とは同大同形状に形成されており、両デッキ部材13,14間の境界面となる溶着面を中心に上下対称とされている。すなわち、第1上部側桟31a及び第1下部側桟32a、第1上部中桟33a及び第1下部中桟34aが同大同形状である他、上部間桟35及び下部間桟36、第2上部側桟31b及び第2下部側桟32b、第2上部中桟33b及び第2下部中桟34bもまた同大同形状である。また、第1上部側桟31a及び第1下部側桟32a、第1上部中桟33a及び第1下部中桟34aにそれぞれ設けられるガイドリブ45も同大同形状である。そして、上面デッキ15aと下面デッキ15bとが同大同形状となることから、パレット11を図2に示す状態から裏返し、下面デッキ15b上に載置物を載置した状態で、パレット11を運搬することも可能である。
【0027】
次に、上記パレット11の作用について説明する。
このパレット11は、上部デッキ部材13と下部デッキ部材14とを別々に射出成形した後、上部デッキ部材13の下端面と下部デッキ部材14の上端面とを溶着することによって製造される。
【0028】
さて、このパレット11は、第1側面11a又は第2側面11bに開口された左右一対の第1フォーク挿入口16a又は第2フォーク挿入口16bから第1フォーク挿入孔12a又は第2フォーク挿入孔12b内へとフォークリフト又は自動倉庫の2本のフォークが挿入される。この後、それらフォークを所定高さに持ち上げながら運搬される。
【0029】
このようにフォークが挿入されるとき、同フォークの先端が第1フォーク挿入孔12a又は第2フォーク挿入孔12bの上面に摺接されながら奥部まで挿入されるケースがある。このようなケースの場合、従来のパレットであれば、第1フォーク挿入孔及び第2フォーク挿入孔の上下方向の寸法が異なり、これらの交差部に段差が形成されてしまうことから、同段差にフォークの先端が引っ掛かり、挿入不能となってしまう。これに対し、当該パレット11においては、第1フォーク挿入孔12a及び第2フォーク挿入孔12bの交差部分にはガイドリブ45が設けられており、同ガイドリブ45によってフォークの先端が奥部へと案内される。
【0030】
すなわち、第1フォーク挿入口16aから第1フォーク挿入孔12a内へ、図1(b)中で右方向へ向かってフォークが挿入された場合に当該ケースが生じたとき、まずフォークの先端は、第1上部中桟33a側に配設されたガイドリブ45の先端部に当接される。このとき、ガイドリブ45の先端部は、フォークの挿入方向で奥側、つまり右方向へと向かうに従い、上部間桟35の内面からの高さが高くなるように傾斜されている。このため、このままフォークを挿入すれば、同フォークは、その先端部をガイドリブ45の先端部に摺接させることにより、右斜め下方へと移動され、第1フォーク挿入孔12aの奥部へと案内される。また、図1(b)中で左方向へ向かってフォークが挿入された際にも、フォークの先端が第1上部側桟31a側に配設されたガイドリブ45の先端部に当接される以外は全く同様である。
【0031】
前記の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 実施形態のパレット11によれば、第1上部側桟31a及び第1上部中桟33aは、その厚みが他の桟に比べて厚く、これにより、パレット11の全体で十分な強度を確保することができる。しかし、第1上部側桟31a及び第1上部中桟33aの厚みを厚くすることにより、第1フォーク挿入孔12aは、その上下方向の寸法(高さ)が第2フォーク挿入孔12bの上下方向の寸法に比べて短くなってしまう。そして、このままでは、第1フォーク挿入孔12aと第2フォーク挿入孔12bが交差する箇所となる上部間桟35の内面に段差が形成されてしまい、同段差によってフォークの挿入が干渉されてしまう。このため、上部間桟35の内面にはガイドリブ45が設けられている。このガイドリブ45は、第1フォーク挿入孔12aと同じ方向に延びるように突設されているうえ、上部間桟35の内面から上下方向に延びるように垂下されている。さらに、ガイドリブ45の先端部は、フォークの挿入方向で奥側へと向かうに従い、上部間桟35の内面からの高さが高くなるように傾斜されている。従って、フォークの挿入時に、その先端が同ガイドリブ45の先端部に摺接させることにより、同フォークを挿入方向で奥側へと案内することができ、第1フォーク挿入孔12a内へのフォークの挿入を円滑に行うことができる。
【0032】
・ また、ガイドリブ45は、上部間桟35の内面で、第1上部側桟31a及び第1上部中桟33aにそれぞれ隣接する両側縁部に設けられている。このため、第1フォーク挿入孔12aと第2フォーク挿入孔12bが交差する箇所で、第2フォーク挿入孔12bを大きく狭めることなく、ガイドリブ45を設けることができる。
【0033】
・ また、一部のガイドリブ45は、第1上部側桟31a及び第1上部中桟33aに設けられた補強リブ41のうち、第1フォーク挿入孔12aと同じ方向に延びる補強リブと一直線上に配置されている。これにより、同ガイドリブ45を補強リブ41として機能させることが可能であり、パレット11の強度を飛躍的に向上させることができる。
【0034】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 実施形態ではガイド部をガイドリブ45で構成したが、図5(a),(b)に示すように、このガイドリブ45に代えてガイド面45aでガイド部を構成してもよい。このガイド面45aは、上部間桟35の内面で、第1上部側桟31a及び第1上部中桟33aにそれぞれ隣接する両側縁部において、一対の補強リブ41の間に架設されている。同ガイド面45aは、フォークの挿入方向で奥側へと向かうに従い、上部間桟35の内面からの高さが高くなるように傾斜されている。そして、このガイド面45aによれば、フォークの挿入時にその先端が同ガイド面45aに摺接されることにより、フォークを挿入方向で奥側へと案内することができ、第1フォーク挿入孔12a内へのフォークの挿入を円滑に行うことができる。また、同ガイド面45aは、ガイドリブ45に比べ、フォーク先端が摺接可能な面積を拡げることができることから、フォーク挿入の案内をより確実なものとすることも可能である。
【0035】
・ 実施形態では、一部のガイドリブ45を第3リブ41cの下面から垂下して形成したが、これに限らず、全てのガイドリブ45を上部間桟35の内面から垂下して形成してもよい。また、全てのガイドリブ45を第3リブ41cの下面から垂下して形成してもよい。
【0036】
・ 第3リブ41cは、ガイドリブ45の形成の有無に係わらず、必ずしも第4リブ41dと一直線上に配置せずともよい。
・ パレット11を片面使用の4方差しの構成としてもよい。ここで、片面使用のパレットとは、上部デッキ部材と下部デッキ部材とが同形状に形成されておらず、裏返しても下面デッキ上に積載物を載置不可能なパレットをいうものである。
【0037】
・ ガイド部は、前に挙げたガイドリブ45又はガイド面45a以外に、上部デッキ部材13又は下部デッキ部材14と別パーツで構成されたガイド部材としてもよい。このガイド部材は、フォークをその挿入方向で奥側へと案内可能な構成のものであれば、例えば補強リブ41の間に嵌め込むゴム製又はエラストマー製のもの、接着剤、超音波接着等の方法により、上部デッキ部材13又は下部デッキ部材14に接合する合成樹脂製のもの等が挙げられる。
【0038】
・ ガイドリブ45の先端部又はガイド面45aは、第1フォーク挿入孔12aの内側へ膨らむ四半円弧状、略台形の円弧状、弓状等に形成してもよい。すなわち、ガイドリブ45の先端部は、フォークの挿入方向で奥側へと向かうに従い、上部間桟35の内面からの高さが高くなるように傾斜されたものであれば、直線状に傾斜されたものに限らず、曲面状に傾斜されたものでもよく、この曲面状に傾斜されたものも傾斜の概念に含むものとする。
【0039】
・ 第2リブ41bは、必ずしも他の補強リブ41に比べて肉厚に形成する必要はなく、他の補強リブ41と同じ厚みで形成してもよい。
・ 図2中で第1上部側桟31a及び第2上部側桟31bは、その上面が凹んだ形状となっているが、これに限らず、同上面を平坦面としてもよい。なお、この場合にも、その内面には補強リブが格子状に設けられる。
【0040】
・ 図2中で第1上部側桟31a及び第2上部側桟31bは、各フォーク挿入口16a,16bの近傍位置で、フォークを挿入しやすくするため、補強リブ41がその外面に設けられ、それ以外の箇所は補強リブ41が内面に設けられた構成とされている。すなわち、当該第1上部側桟31a及び第2上部側桟31bは、上面デッキ15aの周縁部で各補強リブ41の間に穴を有し、それ以外の箇所は略平面状をなす構成とされている。第1上部側桟31a及び第2上部側桟31bの構成は、この形態に限らず、その全体で補強リブ41が外面に設けられた構成、つまりその外面全体に補強リブ41による穴が設けられた構成としてもよい。他に、図中の形態とは逆に、上面デッキ15aの周縁部では補強リブ41が内面に、それ以外の箇所では補強リブ41が外面に設けられた構成、つまり上面デッキ15aの周縁部が略平面状をなし、それ以外の箇所には補強リブ41による穴が設けられた構成としてもよい。
【0041】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 上部デッキ部材と下部デッキ部材とを別々に射出成形し、上部デッキ部材の下端面と下部デッキ部材の上端面とを溶着させることにより一体化され、前記ガイド部が上部デッキ部材又は下部デッキ部材と一体的に射出成形されたものであることを特徴とするパレット。
【0042】
・ 前記桟の内面には、補強リブを少なくとも第1フォーク挿入孔と同方向に延びるように設けるとともに、同補強リブと前記ガイドリブとを一直線上に配置したことを特徴とするパレット。
【0043】
・ 前記桟の内面には補強リブを設けるとともに、各桟の間で補強リブを一直線上で第1フォーク挿入孔又は第2フォーク挿入孔と同方向に延びるように配置したことを特徴とするパレット。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。
本発明のパレットによれば、パレット全体で十分な強度を確保しつつ、フォーク挿入孔内へのフォークの挿入を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は実施形態のパレットの上部デッキ部材を示す底面図、(b)は図1(a)の1b−1b線から見たパレットを示す側断面図。
【図2】 実施形態のパレットを示す斜視図。
【図3】 (a)は第1フォーク挿入孔側から見たパレットを示す側面図、(b)は第2フォーク挿入孔側から見たパレットを示す側面図。
【図4】 実施形態のパレットの一部を示す平面図。
【図5】 (a)は別形態のパレットの上部デッキ部材を示す底面図、(b)は図5(a)の5b−5b線から見たパレットを示す側断面図。
【符号の説明】
11…パレット、12a…第1フォーク挿入孔、12b…第2フォーク挿入孔、21…筒状桁としての隅部桁、22…筒状桁としての中間桁、23…筒状桁としての中央桁、31a…桟としての第1上部側桟、31b…桟としての第2上部側桟、32a…桟としての第1下部側桟、32b…桟としての第2下部側桟、33a…桟としての第1上部中桟、33b…桟としての第2上部中桟、34a…桟としての第1下部中桟、34b…桟としての第2下部中桟、35…桟としての上部間桟、36…桟としての下部間桟、45…ガイドリブ、45a…ガイド面。
Claims (2)
- 複数の桟により隣接する筒状桁間を連結し、一対の第1フォーク挿入孔と、これら第1フォーク挿入孔に対して交差する方向へ延びる一対の第2フォーク挿入孔とを形成させるように構成したパレットであって、
前記第1フォーク挿入孔の上下方向の寸法を第2フォーク挿入孔の上下方向の寸法よりも短くするとともに、第1フォーク挿入孔と第2フォーク挿入孔とが交差する箇所に配置される桟の内面には、第1フォーク挿入孔内に挿入されたフォークの先端をフォークの挿入方向で奥側へと案内するためのガイド部を設け、
前記ガイド部は、フォークの挿入方向で奥側へと向かうに従い桟の内面からの高さが高くなるように、その先端部が傾斜されたガイドリブであることを特徴とするパレット。 - 同大同形状の上部デッキ部材と下部デッキ部材とが溶着されて一体化されてなり、前記上部デッキ部材及び下部デッキ部材は、複数の桟により隣接する筒状桁間を連結し、一対の第1フォーク挿入孔と、これら第1フォーク挿入孔に対して交差する方向へ延びる一対の第2フォーク挿入孔とを形成させるように構成されている両面使用可能なパレットであって、
前記第1フォーク挿入孔の上下方向の寸法を第2フォーク挿入孔の上下方向の寸法よりも短くするとともに、第1フォーク挿入孔と第2フォーク挿入孔とが交差する箇所の上面部及び下面部に配置される桟の内面には、第1フォーク挿入孔内に挿入されたフォークの先端をフォークの挿入方向で奥側へと案内するためのガイド部を設け、
前記ガイド部は、フォークの挿入方向で奥側へと向かうに従い前記上面部に配置される桟の内面からの高さが高くなるように傾斜されたガイド面であることを特徴とするパレット。
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