JP4261008B2 - アンカーボルト引っ張り強度試験装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は天井などに挿入固定されたアンカーボルトの引っ張り強度を確認するためのアンカーボルト引っ張り強度試験装置に関し、特に搬送性および作業性を向上させたアンカーボルト引っ張り強度試験装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、プラント建設工事現場などにおいては、たとえばコンクリート製の壁面(床や壁または天井)に、足場設置用のアンカーボルトが挿入固定される場合が多い。
【0003】
通常、アンカーボルトは、壁面内に100mm程度の深さで打ち込まれるものの、壁面からの突出量は50mm程度なので、実用時にはアンカーボルトの突出部に全ネジボルトが接続される。
【0004】
このようにコンクリート壁面に挿入固定されたアンカーボルトは、引っ張り強度が要求されるので、建設現場において、実際のアンカーボルトの引っ張り強度をあらかじめチェックする必要がある。
【0005】
従来のアンカーボルト引っ張り強度試験装置は、壁面から突出したアンカーボルトの端部に固定ナット装置を装着し、アンカーボルトの端部とコンクリート端面との間に強大な(数トン程度)引っ張り力(油圧力)を発生させて、もっぱら破壊試験を行うように構成されている。
【0006】
しかしながら、周知のように、従来のアンカーボルト引っ張り強度試験装置は、大形で重量が30kg程度であり、現場に搬送するためには複数の作業員が必要となる。
また、アンカーボルトに固定ナット装置を取り付ける場合には、強大な引っ張り力に耐え得るように、万力を用いて固定する必要がある。
【0007】
また、引っ張り力発生ヘッドとして電動式の油圧発生装置が用いられるが、従来の油圧発生装置の出力が強大であるために、不慣れな作業員が運転した場合には、引っ張り強度確認時にアンカーボルトまたはその施工部を破壊し易く、破壊試験となってしまうことが多い。
【0008】
また、前述したように、アンカーボルトには、使用時に全ネジボルトが接続されるが、従来のアンカーボルト引っ張り強度試験装置は、全ネジボルトに取り付けることができないので、使用状態で引っ張り強度を試験することはできない。
【0009】
さらに、従来のアンカーボルト引っ張り強度試験装置は、重量が大きいので、多数の作業員でも高く持ち上げることは困難であり、プラント建築物の床などに施工されたアンカーボルトの引っ張り強度を確認することはできるが、天井に施工されたアンカーボルトの引っ張り強度を確認することは到底不可能である。
【0010】
そこで、たとえば特開昭62−118231号公報、特開平5−66162号公報および特開昭58−11831号公報などに参照されるように、ある程度の軽量化を実現したアンカーボルト引っ張り強度試験装置も種々提案されているが、上述の従来装置と同様の据え置き型構造を採用していることから、十分な搬送性および操作性の改善は実現されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来のアンカーボルト引っ張り強度試験装置は以上のように、引っ張り力を発生する油圧発生装置の出力が大きいものの、大形で重量が大きいので、搬送性および作業性が悪く、複数の作業員を必要とするという問題点があった。
【0012】
また、従来のアンカーボルト引っ張り強度試験装置は、引っ張り力を発生するための油圧発生装置が強力なので、チェック中にアンカーボルトまたはその施工部(床や壁などのセメント面)を破壊し易く、破壊を防ぐためには熟練した作業員を必要とするという問題点があった。
【0013】
また、従来のアンカーボルト引っ張り強度試験装置は、アンカーボルトに接続される全ネジボルトに取り付けることができないので、実際の使用状態で引っ張り強度をチェックすることができないという問題点があった。
また、従来のアンカーボルト引っ張り強度試験装置は、重量が大きいので、天井に施工されたアンカーボルトの引っ張り強度を試験することができないという問題点があった。
【0014】
さらに、特開昭62−118231号公報、特開平5−66162号公報および特開昭58−11831号公報などに参照されるアンカーボルト引っ張り強度試験装置は、ある程度の軽量化を実現しているものの、搬送性および操作性を十分に向上させることができないという問題点があった。
【0015】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、充電式で電気ドリルタイプの小形軽量な油圧発生装置を用い、発生油圧を、油圧ホースを介して試験装置ヘッド部分の油圧シリンダに送出することにより、搬送および操作が容易で天井の壁面にも適用できるうえ、アンカーボルトおよびその施工部を破壊することなく、アンカーボルトの引っ張り強度の確認作業を容易にしたアンカーボルト引っ張り強度試験装置を得ることを目的とする。
【0016】
また、この発明は、全ネジボルトに取り付け可能な構成とすることにより、実際の使用状態であってもアンカーボルトの引っ張り強度の確認作業を可能にしたアンカーボルト引っ張り強度試験装置を得ることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係るアンカーボルト引っ張り強度試験装置は、建設現場の壁面に挿入固定されるアンカーボルトの引っ張り強度を試験するためのアンカーボルト引っ張り強度試験装置において、充電式のバッテリを有する手動形式の油圧発生装置と、油圧発生装置の出力端に着脱自在に接続される油圧ホースと、油圧ホースの出力端に着脱自在に接続される油圧シリンダおよび固定ナット装置とを備え、油圧発生装置は、手動操作される加圧スイッチおよび解除スイッチが設けられたハンドル部を有し、固定ナット装置は、アンカーボルトに関連して着脱自在に固定される固定部を有し、固定部は、2分割されたC字形状の鍔付きナットにより構成され、鍔付きナットの少なくとも一方は、手動操作される回転用のレバーを有し、レバーの回転操作により互いに結合されるものである。
【0019】
また、この発明の請求項2に係るアンカーボルト引っ張り強度試験装置は、請求項1において、固定部は、固定ナット装置の中間部に配置されるとともに、アンカーボルトの軸方向に移動自在に位置決めされるものである。
【0020】
また、この発明の請求項3に係るアンカーボルト引っ張り強度試験装置は、請求項1または請求項2において、固定ナット装置は、壁面に衝合する先端部を有し、固定部は、先端部に対して、アンカーボルトの軸方向に所定ストロークの範囲内で移動自在に構成されたものである。
【0021】
また、この発明の請求項4に係るアンカーボルト引っ張り強度試験装置は、請求項1から請求項3までのいずれかにおいて、油圧発生装置は、発生油圧を上限値に制限するためのリミッタ手段を含むものである。
【0022】
また、この発明の請求項5に係るアンカーボルト引っ張り強度試験装置は、請求項1から請求項4までのいずれかにおいて、油圧シリンダおよび固定ナット装置の少なくとも一方は、壁面またはアンカーボルトの仕様に応じて交換されるものである。
【0023】
また、この発明の請求項6に係るアンカーボルト引っ張り強度試験装置は、請求項1から請求項5までのいずれかにおいて、油圧発生装置または油圧ホースは、油圧発生装置の発生油圧を表示するためのメータを有するものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図について説明する。
図1はこの発明の実施の形態1における各構成を概略的に示す平面図であり、図2はこの発明の実施の形態1による要部(固定ナット装置20および油圧シリンダ35)を示す斜視図である。
【0025】
図3〜図5はこの発明の実施の形態1による要部(固定部30)の中心ネジ部のみを示す図であり、図3は鍔付きナット31および32の関係を示す分解斜視図、図4は各鍔付きナット31および32の結合状態を示す側断面図、図5は鍔付きナット31および32を全ネジボルト40に組み込んだ状態を示す斜視図である。
【0026】
図3、図4において、31aおよび32aは、各鍔付きナット31および32の対向部に互いに係合されるように形成された鍔部であり、上側の鍔部31aに下側の鍔部32aが挿入されることにより互いに結合されるようになっている。
【0027】
図6および図7はこの発明の実施の形態1による試験動作状態を示す斜視図である。
図6および図7において、41はアンカーボルト、50は建設現場の天井であり、アンカーボルト41は、天井50内に打ち込まれて、10mm程度の深さに挿入固定されるものとする。
【0028】
図6および図7においては、天井50に打ち込まれたアンカーボルト41に対し、アンカーボルト41に一体的に連結された全ネジボルト40を介して、この発明の試験装置が固定される状態が示されている。
【0029】
図1において、10は充電式の電気ドリルタイプの油圧発生装置であり、作業員が片手で手動操作できるように構成されている。
油圧発生装置10は、手動操作される加圧スイッチ11aおよび解除スイッチ11bが設けられたハンドル部11を有する。
【0030】
油圧発生装置10のハンドル部1には、充電式のバッテリ12が着脱自在に設けられている。バッテリ12は、必要時に充電器(図示せず)が接続されることにより充電される。
【0031】
また、油圧発生装置10は、発生油圧を上限値に制限するためのリミッタ手段を含んでいる。
発生油圧の上限値は、要求されるアンカーボルト41の引っ張り強度以上で、且つ、アンカーボルト41または天井50(壁面)を破壊しない程度の値(たとえば、1トン程度)に設定されている。
【0032】
13は油圧発生装置10の出力端に着脱自在に接続された油圧ホースであり、発生油圧を伝送する。
14は油圧発生装置10の発生油圧を表示するためのメータであり、油圧発生装置10または油圧ホース13(ここでは、油圧発生装置10と油圧ホース13との接続部)に設けられている。
【0033】
図1および図2において、20は固定ナット装置、35は油圧シリンダであり、いずれも油圧ホース13の出力端に着脱自在に接続されている。
油圧シリンダ35は、カプラ34を介して油圧ホース13の先端部に接続されるとともに、左右一対に分岐されている。
【0034】
油圧ホース13および油圧シリンダ35の径は、試験対象となるアンカーボルト41の種類や壁面の仕様などによって異なる要求油圧に応じて任意に選定されるようになっている。
【0035】
油圧シリンダ35と一体の固定ナット装置20は、仮保持金具により構成された先端部21と、中間部に配置された固定部30とを有する。
固定ナット装置20の先端部21は、アンカーボルト41および全ネジボルト40のガイド溝21aを有し、天井50(図6参照)などの壁面に衝合して位置決めされる押え部として機能する。
【0036】
ガイド溝21aの凹部内径は、アンカーボルト41および全ネジボルト40を収納するために、固定部30のネジ部内径(全ネジボルト40の外径)よりも大きく設定されている。
【0037】
固定部30は、アンカーボルト41に一体的に接続された全ネジボルト40に着脱自在に固定され、アンカーボルト41に関連して取り付けられるようになっている。
【0038】
また、固定部30は、固定ナット装置20の軸方向に設けられた油圧シリンダ35に結合されており、全ネジボルト40(アンカーボルト41)の軸方向に移動自在に位置決めされるようになっている。
固定ナット装置20は、たとえば六角レンチなどにより着脱され、試験対象となるアンカーボルト41の種類や壁面仕様などに応じて任意に選定される。
【0039】
図1〜図5において、固定部30は、2分割されたC字形状の鍔付きナット31および32により構成されており、上下一対の鍔付きナット31および32の少なくとも一方は、手動操作される回転用のレバー33を有する。ここでは、下側の鍔付きナット32にレバー33が設けられた場合を示している。
【0040】
また、鍔付きナット32を回転させて全ネジボルト40に固定するためのレバー33は、便宜的に図示し易い位置に示されているが、鍔付きナット32の構造(強度)的な理由から、実際には、そのC字形状の開口部に対して反対側に設けられている。
【0041】
各鍔付きナット31および32は、レバー33の回転操作によって、下側の鍔付きナット32の鍔部32aが上側の鍔付きナット31の鍔部31aに係合することにより、互いに結合されるようになっている(図4および図5参照)。
【0042】
また、図2において、固定部30は、固定ナット装置20の先端部21に対して、アンカーボルト41の軸方向に所定ストロークST(たとえば、10mm程度)の範囲内で移動自在に構成されている。
【0043】
これにより、油圧発生時において、アンカーボルト41の引っ張り強度が弱い場合に、アンカーボルト41を所定ストロークSTだけ壁面から引き抜くようになっている。
【0044】
アンカーボルト41の先端の突出部(たとえば、小径ボルトからなる)には、全ネジボルト40が一体的に接続されている。
全ネジボルト40の中間部には、前述のように、固定ナット装置20の固定部30が固定される。
【0045】
固定ナット装置20の先端部(仮保持金具)21は、天井50に衝合されて位置決めされている。
【0046】
次に、図1〜図7を参照しながら、この発明の実施の形態1によるアンカーボルト引っ張り強度試験装置を用いた作業動作について説明する。
この場合、天井50に施工されたアンカーボルト41の引っ張り強度は、全ネジボルト40の中間部を介して試験される。
【0047】
まず、作業員は、油圧ホース13の入力側のカプラを油圧発生装置10の出力端に接続するとともに、油圧ホース13の出力側のカプラ34を介して、アンカーボルト41および全ネジボルト40の種類に応じた固定ナット装置20および油圧シリンダ35を接続する。
【0048】
続いて、作業員は、充電済みのバッテリ12をハンドル部11に挿入して、図1のようにアンカーボルト引っ張り強度試験装置を組み立てた後、これを建設現場(アンカーボルト41の施工箇所)に搬送する。
このとき、油圧発生装置10は、安全確保のために、たとえば、落下防止用の作業員ベルトに吊されて搬送される。
【0049】
建設現場において、作業員は、アンカーボルト41および全ネジボルト40を、固定ナット装置20の先端部21のガイド溝21aに「カチン」と音がするまで確実に挿入する(図6参照)。
【0050】
このとき、天井50の下面と固定ナット装置20の先端部21の上端面との隙間がほとんどないように設置する。たとえば、固定ナット装置20と天井50との隙間は、5mm以下に設定される。
また、全ネジボルト40の中間部を、鍔付きナット31および32内に挿入する。
【0051】
次に、図7のように、レバー33を操作して、鍔付きナット32を120°程度回転させて(矢印参照)、固定部30を全ネジボルト40の中間部に固定し、全ネジボルト40を介して固定ナット装置20を天井50に確実に固定する。
【0052】
続いて、作業員は、片手でハンドル部11を持ちながら、加圧スイッチ11aをオン操作して油圧発生装置10を起動し、メータ14がリミッタ上限値を表示するまで、油圧シリンダ35内の油圧を加圧する。
【0053】
これにより、油圧シリンダ35は、固定ナット装置20の先端部21に対して、天井50に押し付ける方向の押圧力を印加し、この結果、アンカーボルト41および全ネジボルト40を引き抜く方向の力を発生する。
リミッタ上限値は、たとえば、36Mpa(=350kgf/cm2)に設定される。なお、1Mpaは、0.981kgf/cm2である。
【0054】
このとき、油圧発生装置10は、前述のようにリミッタ機能を具備しており、リミッタ上限値を越えないように、あらかじめ設定されている。
したがって、リミッタ上限値を越える程度に加圧された場合には、加圧運転を停止するようになっている。
【0055】
もし、油圧発生装置10による加圧値がリミッタ上限値に達するまで、固定ナット装置20のストロークが所定ストロークST(図2参照)以下の状態を保持していれば、全ネジボルト40が抜けていない状態なので、アンカーボルト41の引っ張り強度は十分な状態であると判定される。
【0056】
一方、油圧発生装置10による加圧値がリミッタ上限値に達する前に、固定ナット装置20のストロークが所定ストロークSTまで延び切ってしまった場合には、全ネジボルト40が要求強度に達する前に抜けた状態なので、アンカーボルト41の引っ張り強度は不十分な状態であると判定される。
【0057】
すなわち、固定ナット装置20のストロークが所定ストロークST以下の範囲で、メータ4の表示値がリミッタ上限値(要求強度)に達すれば、アンカーボルト41(および全ネジボルト40)の引っ張り強度は十分な状態である。
【0058】
なお、加圧試験中において、固定ナット装置20のストローク(全ネジボルト40の抜け量)が所定ストロークSTに達した場合には、固定ナット装置20に対する加圧運転が停止するので、天井50およびアンカーボルト41などを不必要に破壊することはない。
【0059】
こうして、アンカーボルト41(全ネジボルト40)の引っ張り強度試験が完了すると、作業員は、解除スイッチ11bを操作して、油圧シリンダ35および固定ナット装置20による加圧運転を解除する。
したがって、アンカーボルト41および天井50の破壊を抑制することができる。
【0060】
このように、充電式のバッテリ12を有する電気ドリルタイプの油圧発生装置10を用いることにより、装置全体を軽量小形化することができ、試験装置の持ち運びを容易にすることができる。
【0061】
また、装置全体が小形軽量化されたことから、天井50などの任意の壁面に施工されたアンカーボルト41に対してチェックすることができるので、たとえば天井50から簡易ケーブル延長用足場を取り付ける場合に、事前にアンカーボルト41の引っ張り強度を容易に試験することができる。
【0062】
したがって、プラント建設工事現場などにおいて、ケーブルラックを吊る場合においても、アンカーボルト41の引っ張り強度の確認作業を容易に実行することができる。
【0063】
また、あらかじめ設定された一定(上限値)の油圧を発生させることにより、アンカーボルト41の施工部を破壊することなく、アンカーボルト41が抜けないことを確認することができる。
【0064】
また、固定部30(鍔付きナット31および32)は、移動可能なので、アンカーボルト41の突出端部のみならず、全ネジボルト40の中間部などの任意位置に取り付けらることができ、実用状態でアンカーボルト41の引っ張り強度をチェックすることができる。
【0065】
さらに、固定ナット装置20の固定部30としてC字形状の鍔付きナット31および32を用いたので、レバー33を操作することにより、全ネジボルト40に対してワンタッチで取り付け固定および取り外し除去することができる。
【0066】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1では、アンカーボルト41および全ネジボルト40が天井50に施工された場合について説明したが、アンカーボルト41が床面などに施工された場合にも適用可能なことは言うまでもない。
【0067】
図8は床面に施工されたアンカーボルト41をチェックするようにしたこの発明の実施の形態2による試験動作状態を示す側断面図であり、図9はチェック完了後のアンカーボルト41の実用例を示す側断面図である。
【0068】
図8および図9において、60はアンカーボルト41が挿入固定された建設現場の床である。
図9において、42はアンカーボルト41の突出端部41aに固定されたナット、43はナット42を介してアンカーボルト41に固定された制御盤のケースである。
【0069】
以下、図8および図9を参照しながら、この発明の実施の形態2による作業動作について説明する。
まず、アンカーボルト41を床60に打ち込んで、アンカーボルト41の突出端部41aに、前述のように全ネジボルト40を接続する。
【0070】
このとき、アンカーボルト41の挿入先端部は、図示されたように、たとえばY字状に開放されて抜けにくい構造となる。
次に、図8のように、全ネジボルト40の中間部に固定ナット装置20の固定部30を固定する。
【0071】
以下、前述と同様に、油圧ホース13を介した油圧シリンダ35により全ネジボルト40に張力を印加し、アンカーボルト41の引っ張り強度をチェックする。
アンカーボルト41の引っ張り強度の正常チェックが終了すると、図9のように、たとえばアンカーボルト41に制御盤のケース43が取り付けられる。
【0072】
【発明の効果】
以上のように、この発明の請求項1によれば、建設現場の壁面に挿入固定されるアンカーボルトの引っ張り強度を試験するためのアンカーボルト引っ張り強度試験装置において、充電式のバッテリを有する手動形式の油圧発生装置と、油圧発生装置の出力端に着脱自在に接続される油圧ホースと、油圧ホースの出力端に着脱自在に接続される油圧シリンダおよび固定ナット装置とを備え、油圧発生装置は、手動操作される加圧スイッチおよび解除スイッチが設けられたハンドル部を有し、固定ナット装置は、アンカーボルトに関連して着脱自在に固定される固定部を有し、固定部は、2分割されたC字形状の鍔付きナットにより構成され、鍔付きナットの少なくとも一方は、手動操作される回転用のレバーを有し、レバーの回転操作により互いに結合されるので、搬送および操作が容易で天井の壁面にも適用できるうえ、アンカーボルトおよびその施工部を破壊することなく、アンカーボルトの引っ張り強度の確認作業を容易にしたアンカーボルト引っ張り強度試験装置が得られる効果がある。
また、作業を簡略化してアンカーボルトの引っ張り強度の確認作業を容易にしたアンカーボルト引っ張り強度試験装置が得られる効果がある。
【0074】
また、この発明の請求項2によれば、請求項1において、固定部は、固定ナット装置の中間部に配置されるとともに、アンカーボルトの軸方向に移動自在に位置決めされるようにしたので、アンカーボルトと一体のボルト部の任意位置に固定することができ、実際の使用状態であっても引っ張り強度の確認作業を可能にするとともに、アンカーボルトの引っ張り強度の確認作業を容易にしたアンカーボルト引っ張り強度試験装置が得られる効果がある。
【0075】
また、この発明の請求項3によれば、請求項1または請求項2において、固定ナット装置は、壁面に衝合する先端部を有し、固定部は、先端部に対して、アンカーボルトの軸方向に所定ストロークの範囲内で移動自在に構成されたので、引っ張り強度不足状態を容易に確認することができ、アンカーボルトの引っ張り強度の確認作業を容易にしたアンカーボルト引っ張り強度試験装置が得られる効果がある。
【0076】
また、この発明の請求項4によれば、請求項1から請求項3までのいずれかにおいて、油圧発生装置は、発生油圧を上限値に制限するためのリミッタ手段を含むので、アンカーボルト施工部の破壊を確実に防止するとともに、アンカーボルトの引っ張り強度の確認作業を容易にしたアンカーボルト引っ張り強度試験装置が得られる効果がある。
【0077】
また、この発明の請求項5によれば、請求項1から請求項4までのいずれかにおいて、油圧シリンダおよび固定ナット装置の少なくとも一方は、壁面またはアンカーボルトの仕様に応じて交換されるので、アンカーボルト施工部の状況によらず施工部の破壊を確実に防止するとともに、アンカーボルトの引っ張り強度の確認作業を容易にしたアンカーボルト引っ張り強度試験装置が得られる効果がある。
【0078】
また、この発明の請求項6によれば、請求項1から請求項5までのいずれかにおいて、油圧発生装置または油圧ホースは、油圧発生装置の発生油圧を表示するためのメータを有するので、引っ張り強度の確認が容易且つ確実となり、アンカーボルトの引っ張り強度の確認作業を容易にしたアンカーボルト引っ張り強度試験装置が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の各構成を概略的に示す平面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1の要部(固定ナット装置20)を示す斜視図である。
【図3】 この発明の実施の形態1による要部(固定部30および油圧シリンダ35)の鍔付きナットの関係を示す分解斜視図である。
【図4】 この発明の実施の形態1による要部(固定部30および油圧シリンダ35)の鍔付きナットの結合状態を示す側断面図である。
【図5】 この発明の実施の形態1の要部(固定部30および油圧シリンダ35)の鍔付きナットを全ネジボルトに組み込んだ状態を示す斜視図である。
【図6】 この発明の実施の形態1による試験動作における固定前の状態を示す斜視図である。
【図7】 この発明の実施の形態1による試験動作における固定後の状態を示す斜視図である。
【図8】 この発明の実施の形態2による試験動作状態を示す側断面図である。
【図9】 この発明の実施の形態2によるチェック完了後のアンカーボルトの実用例を示す側断面図である。
【符号の説明】
10 油圧発生装置、11 ハンドル部、11a 加圧スイッチ、11b 解除スイッチ、12 バッテリ、13 油圧ホース、14 メータ、20 固定ナット装置、21 先端部、21a ガイド溝、30 固定部、31、32 鍔付きナット、31a、32a 鍔部、33 レバー、35 油圧シリンダ、40 全ネジボルト、41 アンカーボルト、50 天井、60 床、ST 所定ストローク。
Claims (6)
- 建設現場の壁面に挿入固定されるアンカーボルトの引っ張り強度を試験するためのアンカーボルト引っ張り強度試験装置において、
充電式のバッテリを有する手動形式の油圧発生装置と、
前記油圧発生装置の出力端に着脱自在に接続される油圧ホースと、
前記油圧ホースの出力端に着脱自在に接続される油圧シリンダおよび固定ナット装置とを備え、
前記油圧発生装置は、手動操作される加圧スイッチおよび解除スイッチが設けられたハンドル部を有し、
前記固定ナット装置は、前記アンカーボルトに関連して着脱自在に固定される固定部を有し、
前記固定部は、2分割されたC字形状の鍔付きナットにより構成され、
前記鍔付きナットの少なくとも一方は、手動操作される回転用のレバーを有し、前記レバーの回転操作により互いに結合されることを特徴とするアンカーボルト引っ張り強度試験装置。 - 前記固定部は、前記固定ナット装置の中間部に配置されるとともに、前記アンカーボルトの軸方向に移動自在に位置決めされることを特徴とする請求項1に記載のアンカーボルト引っ張り強度試験装置。
- 前記固定ナット装置は、前記壁面に衝合する先端部を有し、
前記固定部は、前記先端部に対して、前記アンカーボルトの軸方向に所定ストロークの範囲内で移動自在に構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンカーボルト引っ張り強度試験装置。 - 前記油圧発生装置は、発生油圧を上限値に制限するためのリミッタ手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のアンカーボルト引っ張り強度試験装置。
- 前記油圧シリンダおよび前記固定ナット装置の少なくとも一方は、前記壁面または前記アンカーボルトの仕様に応じて交換されることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のアンカーボルト引っ張り強度試験装置。
- 前記油圧発生装置または前記油圧ホースは、前記油圧発生装置の発生油圧を表示するためのメータを有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載のアンカーボルト引っ張り強度試験装置。
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