JP4260992B2 - スライドラッチの可動式受座 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスライドラッチの可動式受座に関し、特に、戸の取付位置が変わっても、スライドハンドルが円滑に嵌合することができるスライドラッチの可動式受座に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スライドラッチは、例えば、倉庫等に多く採用されており、一般に、固定側に取り付ける受座と、該受座と対向して戸側に固定する台座と、この台座に摺動可能に支持され、受座側へ摺動して該受座に嵌合可能としたスライドハンドルとを備えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、長年の使用によっては、戸が下がるなどしてその取付位置が変わることがあるが、このような場合、従来のスライドラッチでは、受座とスライドハンドルの高さが変わることから、スライドハンドルが受座にうまく嵌合することができず、施錠ができないという問題が生じる。
【0004】
本発明は、上記従来のスライドラッチの有する問題点に鑑み、戸が下がるなどしてその取付位置が変わっても、スライドハンドルを円滑に嵌合することができる可動式受座を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のスライドラッチの可動式受座は、固定側に取着され、戸側に摺動可能に取着したスライドハンドルが嵌合するスライドラッチの受座において、受座ベースに長溝を形成して、該長溝に摺動可能に可動軸を係着するとともに可動軸を受座ベースの長溝にばねを介して摺動可能に弾支し、該可動軸の先端部に前記スライドハンドルが嵌合する頭部を形成したことを特徴とする。
【0006】
本発明のスライドラッチの可動式受座では、可動軸が受座ベースの長溝に沿い摺動して頭部を移動させられることから、戸の取付位置が変わりスライドハンドルの高さが変わっても、頭部をスライドハンドルと位置合わせして、スライドハンドルを受座に円滑に嵌合させることができる。
【0007】
そして、可動軸を受座ベースの長溝にばねを介して摺動可能に弾支したり、頭部を円形に形成することにより、スライドハンドルの高さの変化に追従して、可動軸を自動的に摺動させ、スライドハンドルとの位置合わせを自動的に行うことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
本発明のスライドラッチの可動式受座の一実施例を、図1〜図3に示す。
【0010】
この可動式受座1は、図4に示すように、スライドハンドル2と組み合わせて使用されるものであり、可動式受座1を柱や壁板等の固定側Hに取着する一方、戸側Dに取着したスライドハンドル2が摺動することによって、スライドハンドル2がこの受座1の頭部3に嵌合するようになっている。
【0011】
可動式受座1は、受座ベース4に長溝5を形成して、長溝5に摺動可能に可動軸6を係着するとともに、可動軸6の先端部に、スライドハンドル2が嵌合する円形の頭部3を形成している。
【0012】
長溝5は、取付状態において上下方向となるように受座ベース4に形成されている。
この長溝5の表側には、可動軸6に挿通されるワッシャ7を一体に摺動し得るように収容するワッシャ用凹部8が形成されるとともに、長溝5の裏側には、トラスネジ10のネジ頭部11を可動軸6と一体に摺動し得るように収容するネジ頭部用凹部12が形成されている。
【0013】
トラスネジ10は、可動軸6の内部に形成された雌ねじ9に、長溝5を介して螺合するようになっており、可動軸頭部3と受座ベース4との間にワッシャ7とコイルばね13を嵌挿することにより、可動軸6を受座ベース4に対し長溝5に沿って摺動可能に弾支している。
【0014】
また、受座ベース4には、スライドハンドル2のロックピン21pが嵌合するロック孔14と、受座ベース4を固定側Hに固定するビス孔15とが形成されている。
ロック孔14は、前記長溝5と同方向でほぼ同長の長溝状に形成されている。
【0015】
一方、受座1と対になるスライドハンドル2は、図4、図7に示すように、受座1と対向して戸側Dに固定された台座16に摺動可能に支持されており、受座1側へ摺動してその頭部3に嵌合するようになっている。
このスライドハンドル2には、スライドハンドル2を摺動することによって受座1又は台座16へ選択的に施錠可能としたロックRと、ロックRをスライドハンドル2に固定するためのロックケースKが付設されている。
【0016】
また、スライドハンドル2は、長手方向の両側の側片を互いに内方へ折り曲げてガイド溝17を一体に形成し、このガイド溝17に台座16のガイド片18を挿通させるようにしている。
さらに、スライドハンドル2の頂片の内面の中央部には、台座16のガイド片18の中心に形成した浅い溝19に嵌合する突条20を形成するとともに、頂片の一端側に抜止ピン挿入孔21を、他端側にロック挿入孔22をそれぞれ形成し、抜止ピン挿入孔21に抜止ピン21pを挿入し固定している。
この抜止ピン21pは、図4、図6に示すように、台座16に形成した抜止凹部23に当接して、スライドハンドル2が台座16から抜け出ないようにしている。
【0017】
他方、ロックRは、スライドハンドル2にロックケースKを介して取り付けられている。
このロックケースKは、図4、図9に示すように、断面角C字形をしたスライドハンドル2内に嵌挿されるように、ロックケースKの断面形状を、スライドハンドル2の内腔24の形状と略同形状となるように形成されている。
すなわち、ロックケースKは、その両端に挿入片25を一体に形成するとともに、中央下部に、スライドハンドル2のガイド溝17の開口部に挿入される突条片26を一体に形成している。
そして、ロックケースKの中央部に上下方向のロック嵌挿孔27を形成するとともに、ロック嵌挿孔27の底部には、ロックピン28を挿通するピン孔29を穿設し、さらに、ロックケースKの側面にセットビス孔30を形成し、頂面にはスライドハンドル2の突条20と嵌合する溝31を形成している。
【0018】
ロックケースK内に嵌挿するロックRは、図4、図8に示すように、ケーシング32内に錠機構(図示省略)を内蔵し、頂面には出没可能にしてロックボタン33を突設し、下面にはロックボタン33の押し下げ操作にて下方に突出するロックピン28を設けて構成する。
そして、このロックRを、図4に示すようにロックケースK内に収納し、ロックケースKに形成したセットビス孔30よりセットビスLを螺合して、ロックRをロックケースKを介してスライドハンドル2内の所定位置に固定するようにする。
【0019】
最後に、台座16は、図4〜図6に示すように、戸Dにビス止めする長方形の台座片34の一端側にロック孔35を穿設し、このロック孔35を除いた台座片34の頂面には、台座片34の長手方向に沿って、かつ幅方向の中央部に台座片34の幅よりも狭い幅の連片36を一体に設け、連片36の頂面にはガイド片18を一体に形成して、台座16の断面形状をレール形としている。
また、ガイド片18の長手方向の両端部分に、台座16を戸Dに固定するためのビス孔37を穿設するとともに、ロック孔35と反対側の外側端に抜止凹部23を形成している。
そして、この台座16に支持されるスライドハンドル2が、円滑にかつ安定して摺動できるように、ガイド片18の中心に浅い溝19を形成し、さらに、台座16を金属又は合成樹脂等にて成形する場合、台座16の厚肉部分を避けるため、ガイド片18の中央部分に空洞部38を形成するようにする。
【0020】
次に、この実施例のスライドラッチの取付方法とその作用について説明する。
図5に示すように、固定側Hに受座1を、また、この受座1と同一線上に対向するように戸側Dに台座16を、ビスを用いて固定する。
その後、台座16に、ロックケースK及びロックRを取り外した状態で、スライドハンドル2を取り付けるようにする。
そして、スライドハンドル2を台座16に取り付けた後、スライドハンドル2にロックケースK及びロックRを取り付けることにより、スライドハンドル2が、台座16から抜け出ない状態で摺動可能に取り付ける。
【0021】
そして、戸Dを開閉する場合は、図4(A)に示すように、スライドハンドル2を台座16側に移動させて行う。
この場合、例えば、倉庫内で作業する場合には、スライドハンドル2が受座1と嵌合しない戸Dの開放位置で、ロックボタン33を押し下げ、ロックRのロックピン28を突出させて台座16のロック孔35内に挿入した状態にすることにより、スライドハンドル2を施錠、固定するようにし、これにより、作業をしている間に、第三者が誤って又はいたずらにより施錠を行い、倉庫から外に出られなくなるといった事故を未然に防止することができる。
なお、スライドハンドル2を摺動する場合には、キー(図示省略)を用いてロックRを開錠すれば、スライドハンドル2の施錠は解除され、移動可能となる。
【0022】
また、戸Dを閉鎖状態にする場合には、図4(B)に示すように、スライドハンドル2を台座16と受座1間に掛け渡すとともに、さらに必要に応じて、スライドハンドル2が受座1と嵌合する戸Dの閉鎖位置で、ロックボタン33を押し下げ、ロックRのピン28を突出させて受座1のロック孔14内に挿入した状態にすることにより、スライドハンドル2を施錠、固定するようにする。
このロック機能を備えたスライドラッチは、このような戸Dの閉鎖方式を採用しているため、引き戸及び開き戸のいずれにも適用することができる。
【0023】
さらに、この実施例のスライドラッチでは受座1に可動式受座を採用し、この可動式受座1の可動軸6が受座ベース4の長溝5に沿い摺動し、スライドハンドル2が嵌合する頭部3を移動させられることから、長年の使用等によって戸Dの取付位置が変わりスライドハンドル2の高さが変わっても、頭部3をスライドハンドル2と位置合わせして、スライドハンドル2を受座1に円滑に嵌合させることができる。
この場合、可動式受座1の可動軸6が受座ベース4の長溝5にばね13を介して摺動可能に弾支されるとともに、頭部3を円形に形成して、頭部3が回転しながらスライドハンドル2のガイド溝17を案内することから、スライドハンドル2が当接することにより、スライドハンドル2の高さの変化に追従して、可動軸6が自動的に摺動し、スライドハンドル2との位置合わせを自動的に行うことが可能である。
また、可動式受座1のロック孔14は、長溝5とほぼ同形状に形成されているため、スライドハンドル2の高さの変化に対応して、ロックRのロックピン28を嵌合させることが可能である。
【0024】
【発明の効果】
本発明の可動式受座によれば、可動軸が受座ベースの長溝に沿い摺動して頭部を移動させられることから、長年の使用等によって戸の取付位置が変わりスライドハンドルの高さが変わっても、スライドハンドルを受座に円滑に嵌合させることができる。
【0025】
そして、可動軸を受座ベースの長溝にばねを介して摺動可能に弾支することにより、スライドハンドルの高さの変化に追従して、可動軸を自動的に摺動させて、スライドハンドルとの位置合わせを自動的に行うことができるとともに、可動軸の必要以上の摺動を防止することができる。
【0026】
さらに、頭部を円形に形成することにより、頭部が回転しながらスライドハンドルのガイド溝を案内することから、スライドハンドルの案内及び可動軸の摺動を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のスライドラッチの可動式受座の一実施例を示し、(A)は平面図、(B)は正面透視図である。
【図2】 同可動式受座の分解図である。
【図3】 同可動式受座の受座ベースを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は右側面図である。
【図4】 同可動式受座を備えたスライドラッチの一例を示し、(A)はロック前の状態を示す断面図、(B)はロック状態を示す断面図である。
【図5】 同スライドラッチの受座と台座を戸に取り付けた状態を示し、(A)はスライドハンドルを取り外した状態の平面図、(B)はスライドハンドルを取り付けた状態の平面図である。
【図6】 台座を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は左側面図、(E)は中央部の断面図である。
【図7】 スライドハンドルを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。
【図8】 ロックを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図である。
【図9】 ロックケースを示し、(A)は平面図、(B)は底面図、(C)は正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図である。
【符号の説明】
1 可動式受座
2 スライドハンドル
3 頭部
4 受座ベース
5 長溝
6 可動軸
7 ワッシャ
8 ワッシャ用凹部
9 雌ねじ
10 トラスネジ
11 ネジ頭部
12 ネジ頭部用凹部
13 ばね
14 ロック孔
15 ビス孔
16 台座

Claims (2)

  1. 固定側に取着され、戸側に摺動可能に取着したスライドハンドルが嵌合するスライドラッチの受座において、受座ベースに長溝を形成して、該長溝に摺動可能に可動軸を係着するとともに可動軸を受座ベースの長溝にばねを介して摺動可能に弾支し、該可動軸の先端部に前記スライドハンドルが嵌合する頭部を形成したことを特徴とするスライドラッチの可動式受座。
  2. 頭部を円形に形成したことを特徴とする請求項記載のスライドラッチの可動式受座。
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