JP4260252B2 - 給油装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、給油中に発生するタンク内のベーパを回収するよう構成された給油装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
給油所等に設置される給油装置では、給油系路に給油ホースを介して給油ノズルが接続されており、ノズルレバーの回動操作により給油ノズルに内蔵された弁機構が開弁して給油を行える構成となっている。
給油ノズルの吐出パイプを燃料タンクの給油口に挿入して給油する際は、油液が吐出されると共にベーパ(油蒸気)が発生する。そして、燃料タンク内の液面が上昇すると共に、タンク内の上部空間に溜まったベーパが給油口から大気中に放出される。
【0003】
そのため、給油ノズルには、給油中にタンク内で発生したベーパを回収するベーパリカバリ機能が設けられている。この種の給油ノズルとしては、例えば特開平5−97198号公報や米国特許4429725号にみられるように給油中のベーパを回収するよう構成されたものがある。すなわち、上記公報の給油ノズルは、ノズルレバーの操作により開弁する給油用弁機構と、タンク内で発生したベーパを回収するベーパ回収系路と、液圧変化に応じてベーパ回収系路を開閉するベーパ用弁機構と、ベーパ管路が挿通された給油ホースが接続されるホース接続部とを有する構成となっている。
【0004】
そして、ベーパ用弁機構は、ノズル本体の側面に形成された壁面開口部に設けられたダイヤフラムと、ダイヤフラムに連結された弁体と、ダイヤフラムを弁体の閉弁方向に附勢するバネとからなる。
このような構成とされた給油ノズルでは、ノズルレバーの操作により給油用弁機構が開弁すると、給油ホースから給送された油液がノズル本体内を通過して吐出パイプから燃料タンクに吐出される。給油ノズル内の液圧がベーパ用弁機構のダイヤフラムに作用すると、ダイヤフラムが変位して弁体を開弁方向に移動させる。これにより、ベーパ回収系路が開となり、吐出パイプから吸引された燃料タンク内のベーパは、ベーパ回収系路のベーパ用弁機構を通過した後、給油ホース内のベーパ管路を介して計量機内に導入され、計量機の管路を通過して地下タンクに回収される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなベーパ回収系路とベーパ用弁機構を有する給油ノズルにおいては、燃料タンクに吐出される油液の液圧に応じてダイヤフラムが変位して弁体の弁開度を調整するため、地下タンクに回収されるベーパの吸引量が調整されると共に、給油していない給油ノズルからの吸引量をゼロにして吸引ポンプのベーパ吸引効率を高めることができる。
【0006】
しかしながら、従来の給油装置では、給油ノズルの容積が主弁の流路面積に比較して大きいため、ダイヤフラムが給油ノズルに流入された油液の液圧により変位するものの吐出流量の変化に対して液圧の変化が遅れる。そのため、従来は給油ノズルから吐出される流量が変動してもベーパ用弁機構の弁体の開度が遅れて調整されることになり、油液の流量とベーパの吸引量とが比例しない場合があった。
【0007】
また、上記のような問題を解決するため、ベーパを吸引する蒸気回収通路を流通する蒸気量を調整するようなベーパ回収用の弁機構を設けることが考えられている。このような構成とした場合には、給油ノズルのノズルレバーが回動操作されて主弁が開弁することにより給油ノズルからの給油が開始されると、上記ベーパ回収用弁機構のダイヤフラムが油液の給液圧力により作動して弁体が開弁動作する。この開弁動作によりベーパの吸引量が給油量に応じた流量に調整される。
【0008】
また、給油が中断又は給油停止となると、給液圧力が低下してダイヤフラムが復帰して弁体が閉弁動作すると共に、ベーパの吸引が停止される。ところが、ダイヤフラムが常に油液に接しているため、ゴム製のダイヤフラムが劣化するおそれがある。
そこで、本発明は上記問題を解決した給油装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような特徴を有する。
上記請求項1記載の発明は、車両の燃料タンクに油液管路を介して油液を給油するときに該燃料タンク内のベーパを吸引するベーパ吸引系路と、
前記油液管路の油液の流速に応じた負圧を発生させる負圧発生部と、一端が前記負圧発生部に連通すると共に他端が前記油液管路の先端側に設けられた空気導入孔に連通する空気吸引管と、前記燃料タンク内の油液で前記空気導入孔が閉塞されるのに伴って導入される負圧により作動し、前記油液管路内に設けられた弁体を閉弁させることにより油液の吐出を停止させる自動閉弁機構とからなる給油ノズルを備えた給油装置において、
前記給油ノズルには、前記負圧発生部により発生した負圧に応じて前記ベーパ吸引系路を介して吸引されるベーパの吸引量を調整する吸引量調整手段を設けてなり、
前記吸引量調整手段は、
前記負圧発生部により発生する負圧が導入される負圧導入室と前記ベーパ吸引系路途中に設けられたベーパ吸引室とを画成すると共に、前記負圧の大きさに基づき変位するダイヤフラムと、
前記ベーパ吸引系路途中に設けられた弁座と、
前記ダイヤフラムに作用する負圧の大きさに応じて当該弁座に近接または離間することで前記弁座を通過して吸引されるベーパの吸引量を調整する弁体とからなり
前記負圧発生部により発生する負圧が導入される負圧導入室と前記負圧発生部とを連通する圧力導入路には、前記負圧発生部により負圧が発生すると開弁し、当該負圧の発生がなくなると閉弁する逆止弁が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
従って、請求項1記載の発明によれば、負圧発生部により油液管路の油液の流速に応じて発生した負圧に応じてベーパ吸引系路を介して吸引されるベーパの吸引量を調整する吸引量調整手段を給油ノズルに設けたため、油液の吐出流量に比例してベーパの吸引量を調整することが可能になり、流量変化に対する吸引量調整弁の応答性を高めることができる。また、ダイヤフラムに作用する負圧の大きさに応じて当該弁座に近接または離間することで弁座を通過して吸引されるベーパの吸引量を調整する弁体を有するため、油液の流速に応じた負圧の変化を検出しやく構成できる。さらに、負圧導入室と負圧発生部とを連通する圧力導入路に、負圧の発生により開弁し、当該負圧の発生がなくなると閉弁する逆止弁を設けたため、ダイヤフラムに油液が付着することを防止し、油液によるダイヤフラムの劣化が防止され、ダイヤフラムの寿命を延ばすことができる。
【0011】
また、上記請求項2記載の発明は、前記逆止弁は、
逆止弁室と、
前記逆止弁室に設けられ、前記負圧発生部に連通する孔と、
前記逆止弁室に設けられ、圧力導入室に連通する孔と、
前記逆止弁室内に設けられ、当該逆止弁室内に導入される圧力の変化に応じて移動するボール状の弁体と、を有し、
前記負圧発生部による負圧の発生がなくなると前記弁体が前記圧力導入室に連通する孔を閉塞することにより閉弁することを特徴とするものである。
従って、請求項2記載の発明によれば、負圧発生部による負圧の発生がなくなるとボール状の弁体が圧力導入室に連通する孔を閉塞することにより閉弁するため、油液が圧力導入室に流入することを防止でき、ダイヤフラムに油液が付着することを防止し、油液によるダイヤフラムの劣化が防止され、ダイヤフラムの寿命を延ばすことができる。
【0012】
また、上記請求項3記載の発明は、前記負圧発生部に連通する孔は、前記逆止弁室の上部角部に設けられた偏心孔よりなり、
前記圧力導入室に連通する孔は、前記逆止弁室の底部中央に設けられた中央孔よりなることを特徴とするものである。
【0013】
従って、請求項3記載の発明によれば、負圧発生部に連通する孔が逆止弁室の上部角部に設けられた偏心孔よりなるため、負圧が導入されているときは、弁体が偏心孔を閉塞せず、圧力導入室に連通する孔が逆止弁室の底部中央に設けられた中央孔よりなるため、給油を行なわないときは、弁体が中央孔を閉塞して油液が圧力導入室に流入することを防止でき、ダイヤフラムに油液が付着することを防止し、油液によるダイヤフラムの劣化が防止され、ダイヤフラムの寿命を延ばすことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明になる給油装置の一実施例の概略構成図である。
図1に示されるように、計量機1は、給油中燃料タンク内に発生したベーパ(油蒸気)を回収するベーパリカバリ機能付きの計量機である。この計量機1の筐体2側面には、給油ノズル3に接続された給油ホース4が引き出されている。給油ノズル3は、通常、筐体2の側面に設けられたノズル掛け5に掛止されており、例えば顧客の車両6が給油所に到着すると、給油ノズル3がノズル掛け5から外されて車両6の燃料タンク6aの給油口6bに挿入される。
【0015】
上記ノズル掛け5に設けられたノズルスイッチ5aは、給油ノズル3がノズル掛け5から外されると、オンからオフになり、給油ノズル3がノズル掛け5に戻されると、オフからオンに切り換わる。
給油ホース4は、ベーパ吸引チューブ(図1中破線で示す)12が内部流路に挿通された2重構造となっており、継手6を介して筐体2内で送液系路を形成する給油管路7に接続されている。この給油管路7の先端7aは、油液貯蔵タンクとしての地下タンク8まで延在して挿入されており、給油管路7の途中には流量計9,給油ポンプ10が配設されている。
【0016】
尚、地下タンク8は油種毎に設けられており、例えばレギュラーガソリンが貯溜されており、その他の油種の地下タンクも図示しないが別個に設けられている。また、計量機1には、各油種毎に複数の給油ノズルが設けられているが、図1では説明の便宜上一の給油ノズル3のみが示してある。
また、上記給油ノズル3の吐出パイプ26の付け根部分には、ベーパ吸引口46aが設けられている。そのため、給油ノズル3の吐出パイプ26及びベーパ吸引口46aが燃料タンク6aの給油口6bに挿入されると、燃料タンク内のベーパ(油蒸気)がベーパ吸引口46aに吸引される。また、ベーパ吸引口46aは、給油ホース4に沿って延在形成されたベーパ吸引チューブ12の一端に連通されており、ベーパ吸引チューブ12の他端は継手6を介して筐体2内で油蒸気吸引管路を形成するベーパ吸引管路13(13a,13b)に接続されている。
【0017】
ベーパ吸引管路13(13a,13b)には、ベーパ吸引ポンプ14が配設されている。ベーパ吸引ポンプ14は、後述するように給油時に燃料タンク内のベーパを回収するため駆動され、給油ノズル3の給油が終了したときに停止される。
15は制御装置で、ノズルスイッチ5a、流量計9から出力された各信号が供給されると共に、所定の演算処理を行って給油ポンプ10のポンプモータ10a、ベーパ吸引ポンプ14のポンプモータ14aを制御し、表示器11に計測された現在の給油量を表示させる。
【0018】
図2は給油ノズルの縦断面図である。また、図3は給油ノズルの横断面図である。また、図4は給油ノズルの側面図である。また、図5は給油ノズルの内部構成を拡大して示す縦断面図である。また、図6は給油ノズルの内部構成を拡大して示す縦断面図である。
図2乃至図6に示されるように、給油ノズル3は、給油操作時に把持されるグリップ22がノズル本体23の後部に設けられたピストル型給油ノズルである。ノズル本体23は、左側面にホース継手24が結合される流入口23aを有する。
【0019】
ホース継手24は、ノズル本体23に固定される固定継手24aと、固定継手24aに嵌合されて流入口23aに螺合される円筒部材24bと、円筒部材24bの外周に回動可能に嵌合されたエルボ24cとからなる。尚、給油ホース4の端部には、エルボ24cの他端に結合されたホース結合部4aが嵌合されており、ホース結合部4aの内部にはベーパ吸引チューブ12を保持するチューブ保持部4bが設けられている。
【0020】
ノズル本体23の先端側端部には、主弁の弁座25aを有する弁座部材25が取り付けられている。また、弁座部材25の内部には、吐出パイプ26が接続されるパイプ接続部材27が挿入されボルト28の締め付けにより保持される。また、弁座部材25及びパイプ接続部材27内には、油通路29が形成されている。そして、油流路29内には、負圧発生部30及び主弁体31とからなる給油用弁機構33が収容されている。
【0021】
また、給油ノズル3は、グリップ22の前方にノズルレバー36が回動可能に設けられている。また、グリップ22は、把持部22aと、前側にノズルレバー36の周囲を囲む第1レバーガード22bと、グリップ22の端部と第1レバーガード22bとの間に装架された第2レバーガード22cとを有する。
ノズルレバー36は、ピストルの引金と同様の形状に形成されており、上端が軸36aにより回動自在に支持され、下端が円弧状に湾曲された湾曲部36bとなっている。また、レバーガード22bには、ノズルレバー保持機構32が設けられている。
【0022】
図5,図6に示されるように、前述した負圧発生部30は、弁座部材25の内部に設けられ油液の吐出量に応じた負圧を発生させる構成であり、油流路29のテーパ状の傾斜面29aに開口する通路34と、給油時内壁より離間して通路34を開き、給油停止時コイルバネ35の押圧力により内壁に当接して通路34の開口部分を閉塞する弁体37とよりなる。
【0023】
弁体37は、上記内壁に当接して油流路29を閉じるテーパ状の当接部を有する逆止弁として機能し、且つパイプ接続部材27内に穿設された中央孔に摺動自在に挿入されている。また、吐出パイプ26の内部通路26aには、空気吸引管43が挿通されている。空気吸引管43の一端は、吐出パイプ26の先端に設けられた空気導入孔42に連通され、空気吸引管43の他端は、パイプ接続部材27内に穿設された下流側の中央孔39に挿通されている。
【0024】
空気導入孔42は、満タン給油時に液面検知部として機能するものであり、負圧発生部30で発生した負圧により空気を吸引する。そして、空気導入孔42から吸引した空気は、吸引管43を通過して中央孔39に連通された通路44に至り、弁座部材25及びパイプ接続部材27の外周に形成された環状通路45に供給される。尚、この環状通路45には、油流路29に連通された通路34の他端が連通されている。
【0025】
また、弁座部材25の端部には、吐出パイプ26の付け根部分を覆うように蛇腹状のゴム材により形成されたベーパ吸引管46が固定されている。このベーパ吸引管46は、伸縮可能に形成されているので、吐出パイプ26が車両の給油口6bに挿入されると共に、給油口6bの周囲に密着して給油口6bが吹き出されるベーパが大気中に漏れないようにしている。また、ベーパ吸引管46は、弁座部材25にボルト28で固定された円筒状の取付部材48の外周に嵌合固定される。
【0026】
そして、ベーパ吸引管46及び取付部材48の内周と吐出パイプ26の外周との間に形成された吸引口46aは、燃料タンク6a内のベーパを吸引するベーパ吸引系路47の入口となる。尚、ベーパ吸引系路47の構成については、後述することにする。
給油ノズル3のノズルレバー36がC方向に操作されて給油用弁機構33が弁開すると、弁体37は流体圧力によりA方向に押圧されて開弁して給油が開始される。これにより、油液は油流路29を通過して吐出パイプ26へ吐出される。
【0027】
その際、負圧発生部30においては、ベンチュリ効果、即ち油液の流速に応じた負圧が発生し、油流路29の内壁に開口する通路34内の空気が油流路29内に吸引される。また、給油停止時には、弁機構33が閉弁し、且つ弁体37が油流路29を閉塞するため、負圧が消滅し、通路34からの空気吸引も停止する。また、弁軸50は前側シャフト51と後側シャフト52とが摺動自在に嵌合しており、ノズル本体23内に設けられた軸受部53によりA,B方向に摺動自在に軸支され、且つコイルバネ54,55のバネ力により主弁体31を弁座部材25に押圧している。
【0028】
そして、ノズルレバー36は、C方向に回動操作されると、主弁体31と一体な前側シャフト51及び後側シャフト52を開弁方向(B方向)に変位させる。これにより、給油ホース4を介して給油ノズル3に送液された油液は、油流路29を通過して吐出パイプ26より燃料タンク6aの給油口6bに給油される。また、前側シャフト51の外周には、軸受部53の内壁との間をシールするシール部材56が装着されている。
【0029】
また、吐出パイプ26内に挿通された吸引管43は、給油時はノズル本体23内の上記パイプ接続部材27内に形成された中央孔39及び通路44,45を介して弁機構33の下流側に設けられた負圧発生部30と連通されている。
弁機構33が開弁動作して油液が油流路29から吐出パイプ26内の油流路26a内へ流れると、油液の流出に伴って負圧発生部30のベンチュリ効果により負圧が発生し、通路34内の空気が油流路29へ吸引される。
【0030】
図3及び図6において、61は満タン給油時の液面検知により閉弁動作する自動閉弁機構である。この自動閉弁機構61は、通路62が連通されたダイヤフラム室63と、ダイヤフラム室63に装架されたダイヤフラム64と、ダイヤフラム64の中心部に連結され前側シャフト51の凹部51a及び後側シャフト52の切欠52aに係合する係合部材65と、ダイヤフラム64を附勢するコイルバネ67と、ダイヤフラム室63を閉蓋する蓋69とよりなる。
【0031】
ダイヤフラム64は、外側周縁部がダイヤフラム室63の内壁に形成されたスリットに嵌合固定され、ダイヤフラム室63の圧力変化に応じて中心部分がE,F方向に変位する。
ダイヤフラム室63は、通路62及び45,34を介して負圧発生部30の油流路29に連通されていると共に、通路62及び45,44を介して吸引管43に連通されている。給油時は、負圧発生部30で発生した負圧が通路34,45,44を介して吸引管43に導入されており、吐出パイプ26の先端に設けられた空気導入孔42から吸引された空気が吸引管43及び通路44,45,34に供給されている。
【0032】
そのため、ダイヤフラム室63の圧力は、給油中一定であり、空気導入孔42が液面により閉塞されて吸引管43からの空気供給が停止されるまで変化しない。このとき、ダイヤフラム室63に設けられたダイヤフラム64は、コイルバネ67のバネ力によりF方向に附勢されており、係合部材65のピン65aを前側シャフト51の凹部51a及び後側シャフト52の切欠52aに係合させる弁軸係止位置に保持している。
【0033】
さらに、後側シャフト52は、ノズルレバー36が開弁操作によりB方向に変位した開弁位置に係止されており、前側シャフト51は係合部材65のピン65aを介して後側シャフト52に係止されている。
ここで、吐出パイプ26の空気導入孔42が液面により閉塞されると、空気導入孔42からの空気吸引が遮断されて液面検知が行われる。すなわち、吸引管43から負圧発生部30への空気供給が停止されると共に、通路62を介してダイヤフラム室63の空気が負圧発生部30へ吸引される。
【0034】
その結果、ダイヤフラム室63の空気圧が減圧され、ダイヤフラム64の中心部がコイルバネ67のバネ力に抗してE方向に変位する。これにより、ダイヤフラム64に設けられた係合部材65のピン65aが後側シャフト52の切欠52aから離間して前側シャフト51の係止を解除する。そして、前側シャフト51はコイルバネ54のバネ力によりA方向に閉弁動作して主弁体31を弁座部材25に当接させる。これで、油通路29は、主弁体31により遮断されて油液の供給が停止される。
【0035】
図5に示されるように、ノズルレバー保持機構32は、レバーガード22bに形成された溝22e内で回動可能に支持された保持レバー70と、保持レバー70の上面側に突出形成された三角形状の当接部71と、保持レバー70をノズルレバー36から離間する方向(G方向)に付勢するトーションバネ72とから構成されている。
【0036】
上記ノズルレバー保持機構32は、ノズルレバー36が弁機構33を開弁動作させる開弁位置に至ると、ノズルレバー36を当該開弁位置に比較的弱い力で補助的に保持するよう構成されている。すなわち、保持レバー70は、溝22c内に横架された軸73により上下方向に回動可能に支持されており、ノズルレバー36の先端部36dが通過する移動軌跡内に変位可能に設けられている。
【0037】
非給油時の保持レバー70は、トーションバネ72のバネ力によりノズルレバー36から離間する方向(G方向)に付勢されているため、ノズルレバー36が開弁方向(C方向)に回動する際は先端部36dの移動軌跡から下方に退避している。そして、保持レバー70の他端側、すなわち軸73が貫通する部分よりA方向寄りには、レバーガード22bに設けられた凹部22dの壁面に当接してG方向への回動位置を制限するストッパ74が設けられている。そのため、保持レバー70は、非給油時でもレバーガード22bより大きく下がることがなく、給油操作の邪魔とならないように取り付けられている。
【0038】
満タン給油あるいはプリセット給油を行うときの保持レバー70は、ノズルレバー36に近接する方向(H方向)に回動操作されて先端部36dの移動軌跡内に移動される。これにより、保持レバー70の上面側に設けられた当接部71は、ノズルレバー36の先端部36dに当接しうる位置に移動する。そのため、ノズルレバー36を閉弁方向(D方向)に回動しようとすると、ノズルレバー36の先端部36dが当接部71に当接して復帰動作が補助的に規制される。
【0039】
また、当接部71は弁機構33の弁開度に応じて所定間隔毎に複数(本実施例では、3つ)設けられている。そして、当接部71は、ノズルレバー36が開弁方向(C方向)に回動操作される際にノズルレバー36の先端部36dが摺動する傾斜面75と、ノズルレバー36が閉弁方向(D方向)に回動しようとするときに先端部36dに当接する当接面76とを有する。
【0040】
傾斜面75は、ノズルレバー36の先端部36dの開弁動作により下方に押圧されるようにノズルレバー36の先端部36dの開弁動作方向に傾斜している。また、当接面76は垂直方向に形成され、ノズルレバー36の先端部36dの閉弁動作方向に対して対向する角度に形成されている。
そして、ノズルレバー36の上端は、弁機構33を開閉駆動する弁軸50の係合孔50aに挿通され、C方向に回動操作させることにより主弁体31を開弁方向に移動させることができる。また、弁軸50の係合孔50aに挿通されたノズルレバー36の中間部分には、係合孔50aの内壁に当接する当接部36cが設けられている。この当接部36cは、ノズルレバー36が開弁方向(C方向)に回動操作されても係合孔50aの内壁を開弁方向(B方向)に押圧するように半円形状に突出している。
【0041】
従って、給油操作を行う際は、グリップ22の把持部22aを把持してノズルレバー36の湾曲部36bをC方向に引くと弁軸50がB方向に摺動して弁機構33の主弁体31が弁座部材25から離間して開弁する。これにより、給油が開始される。また、ノズルレバー36の先端部36dがノズルレバー保持機構32の保持レバー70の当接部71に当接することにより、ノズルレバー36に対し当該開弁位置に保持する補助力が作用して弁軸50及び主弁体31を小さな力で開弁位置に保持することができる。そのため、満タン給油又はプリセット給油等の設定により所定時間連続給油する場合でも容易に給油操作でき、特に非力な女性や老人がセルフサービス給油を行う際に有利である。
【0042】
また、上記のようにノズルレバー36を閉弁方向(D方向)に回動しようとすると、ノズルレバー36の先端部36dが当接部71に当接して復帰動作が補助的に規制される。
また、保持レバー70の下方には、下方に延在する操作部77が突出している。この操作部77は、ノズルレバー36が開弁位置に回動操作されたとき、保持レバー70をH方向に回動操作されてノズルレバー36を開弁位置に保持するように操作される。すなわち、給油操作時は、ノズルレバー36の湾曲部36bが操作者の人指し指でC方向に引かれると、弁機構33の主弁体31が弁座部材25から離間して給油が開始される。そして、操作者は、人指し指でノズルレバー36を開弁位置に回動させると共に、中指で操作部77を反時計方向に回動させて保持レバー70をH方向に回動させ、当接部71をノズルレバー36の先端部36dに当接させる。
【0043】
このとき、保持レバー70は、トーションバネ72のバネ力により下方に付勢されているものの、ノズルレバー36には弁軸50をA方向に復帰させようとする力が作用してD方向に付勢しているので、ノズルレバー36の先端部36dが当接部71の当接面76を鉛直方向から押圧することになる。このように片手操作で簡単にノズルレバー36を開弁位置に保持させることができるので、ノズルレバー36の保持操作が給油操作の妨げとならない。
【0044】
また、右手でノズルレバー26を開弁方向に操作しながら左手で操作部77を押圧して保持レバー70をH方向に回動させて保持することも可能であるので、操作者のやりやすい操作方法でノズルレバー36を保持させることができる。
ここで、上記ホース継手24の構成について説明する。
図6に示されるように、ホース継手24は、前述したようにノズル本体23に固定される固定継手24aと、固定継手24aに嵌合されて流入口23aに螺合される円筒部材24bと、円筒部材24bの外周に回動可能に嵌合されたエルボ24cとから構成されている。
【0045】
また、エルボ24cに接続されるホース結合部4aは、内側流路がべーパ路102、外側流路が燃料路103となるよう構成されている。ベーパ路102は、給油ホース4の軸線に対して放射状に設けられたチューブ保持部4bによりホースネジ部103と同軸に保持されている。また、べーパ路102の軸方向位置は、ストッパ104により規制されると共に、軸方向への抜けが防止されている。
【0046】
固定継手24aは、ベーパ用弁機構81の流出路96に連通されたベーパ管路82が連通される円環状流路108を有する。
この位置規制用孔111には、ノズル本体23に固定された係止ピン112が嵌合するため、固定継手24aは、ノズル本体23に対して回動規制される。
また、軸受け部109は、その内周に円筒部材24bが嵌合されると共に、円筒部材24bの外周に形成された鍔部114に当接して円筒部材24bの軸方向の嵌合位置を規制している。また、円筒部材24bは、一端にノズル本体23に螺合されるネジ部115が設けられ、外周には軸受け部109の内周との間をシールするシール部材116と、エルボ24cの内周との間をシールするシール部材117とが装着されている。
【0047】
エルボ24cは、L宇状に形成され、一端が軸受け部109が挿入される第1結合孔118を有し、他端がホース結合部4aの第2結合孔119となっている。また、エルボ24cの第2結合孔119は、内周がホース結合部4aが螺合するためのメネジ120が形成され、軸線上にはホース結合部4aのべーパ路90が挿入される挿入孔121が設けられている。そして、エルボ24cの一端には、固定継手24aの円環状流路108に連通する通路122が開口しており、通路122の他端は挿入孔121に連通されている。
【0048】
そのため、ベーパ管路82に吸引されたベーパは、固定継手24aの接続部107、円環状流路108、通路122、挿入孔121を介して給油ホース4内の挿通されたベーパ吸引チューブ12へ吸引される。
また、エルボ24cの第1結合孔118の内周及び円筒部材24bの外周には、全周にわたり断面が半円形状の溝123,124が対向するように設けられている。この溝123,124間に形成された環状の空間には、ボール125が転動自在に挿入されている。
【0049】
尚、溝123に連通するように側方に形成された通路126は、複数のボール125を溝123,124間に挿入するためのものであり、所定個数のボール125が挿入された後、プラグ127により閉塞される。この複数のボール125が上記溝123,124間に介在するため、エルボ24cは円筒部材24bに対し回動可能に連結される。よって、給油操作を行う際、給油ホース4はエルボ24cと共に上下方向に回動されて給油操作しやすい状態とすることができる。
【0050】
このように、ホース継手24は、ノズル本体23に固定される固定継手24aと、固定継手24aに嵌合される円筒部材24bと、円筒部材24bの外周に回動可能に嵌合されたエルボ24cとからなるため、ベーパ吸引チューブ12が内蔵された2重構造の給油ホース4を給油ノズル3に容易に接続することができる。
【0051】
ここで、ベーパ吸引系路47の構成について説明する。
ベーパ吸引系路47は、上記ベーパ吸引管46及び取付部材48の内周と吐出パイプ26の外周との間に形成された吸引口46a及び吸引通路48aと、弁座部材25の端部から下面側に形成された通路80と、弁座部材25の下面側に取り付けられたベーパ用弁機構81と、ベーパ用弁機構81の側面に連通されたベーパ管路82と、ホース継手24に形成されたベーパ流路83とからなる。
【0052】
図7は給油停止時の負圧発生部30及びベーパ用弁機構81を拡大して示す縦断面図である。また、図8は給油時の負圧発生部30及びベーパ用弁機構81の動作を示す図である。
図7及び図8に示されるように、弁座部材25に設けられた通路80は、一端が吸引口46aに連通され、他端がベーパ用弁機構81に連通されている。
【0053】
また、ベーパ用弁機構81は、弁座部材25の下面側に固定されたハウジング84と、ハウジング84の底部開口を閉塞するキャップ85と、ハウジング84内部に形成された弁座86に離着座する弁体87と、弁体87を閉弁方向に附勢するコイルバネ88と、弁体87の軸87aが結合されたダイヤフラム89とから構成されている。
【0054】
ハウジング84の内部は、弁座部材25の通路80に連通された流入路90と、ダイヤフラム89の上方に形成されたダイヤフラム上室92と、一端93aがダイヤフラム上室92に連通された圧力導入路93とが設けられている。また、キャップ85の内部には、流入路90に連通されたダイヤフラム下室95と、円筒状に形成され内周に流路86aが形成された弁座86と、弁座86の流路86aに連通された流出路96とが設けられている。
【0055】
ダイヤフラム上室92に連通された圧力導入路93と、油流路29のテーパ状の傾斜面29aに連通された圧力導入路94との間には、逆止弁97が設けられている。また、キャップ85には、ダイヤフラム上室92と外周とを連通するように半径方向に延在する空気導入孔100が設けられている。この空気導入孔100は、逆止弁97により圧力導入路93と94との間が遮断されたとき、ダイヤフラム89を閉弁位置に復帰させるために外気をダイヤフラム上室92に供給するための小孔である。
【0056】
ここで、逆止弁97の構成について説明する。
図9は逆止弁97を拡大して示す縦断面図である。
図9に示されるように、逆止弁97は、上部角部に圧力導入路94の他端94bが連通し、底部に圧力導入路93の他端93bが連通された逆止弁室98と、この逆止弁室98内に導入される圧力の変化に応じて移動するボール状の弁体99とから構成されている。
【0057】
給油時に負圧発生部30で負圧が発生すると、図8に示されるように、ダイヤフラム上室92の空気が圧力導入路93、逆止弁室98、圧力導入路94を介して油流路29に吸引される。そして、逆止弁97では、逆止弁室98内に設けられたボール状の弁体99が上記吸引動作による空気流により上方に移動するように設けられている。また、逆止弁室98は、底部に円錐状の傾斜部98aと、傾斜部98aの中央に設けられて圧力導入路93に連通する中央孔98bと、中心線よりはずれた上部角部に設けられて圧力導入路94に連通する偏心孔98cとを有する。
【0058】
そのため、逆止弁室98の内部に挿入された弁体99は、図9中破線で示されるように、給油時に負圧発生部30で負圧が発生すると、逆止弁室98の上部角部に設けられた偏心孔98cに近接した状態に保持されるものの、逆止弁室98の内壁との間に隙間ができるので、偏心孔98cを閉塞しない。従って、給油時は、油液の流速に応じた負圧が圧力導入路94、逆止弁室98、圧力導入路93を介してダイヤフラム上室92に導入される。
【0059】
これにより、ダイヤフラム上室92の圧力がダイヤフラム下室95よりも低下してダイヤフラム89が上動するため、ダイヤフラム89に保持された弁体87が弁座86から離間する。よって、ダイヤフラム下室95は、弁座86の流路86aを介して流出路96と連通される。その結果、ベーパ吸引ポンプ14が起動されると、ベーパ吸引口46aから吸引されたベーパは、上記ベーパ吸引系路47、ベーパ吸引チューブ12及びベーパ吸引管路13(13a,13b)を介して地下タンク8へ回収される。
【0060】
一方、給油が停止して負圧発生部30での負圧発生がなくなると、逆止弁室98の内部に挿入された弁体99は、図9中実線で示されるように、自重で逆止弁室98の底部の傾斜部98a移動し、中央孔98bを閉塞する。これにより、油流路29内の油液が圧力導入路94を介して逆止弁室98に流入することが防止される。
【0061】
このように、給油時は、負圧発生部30で発生した負圧がダイヤフラム上室92に導入されることによりダイヤフラム89が開弁方向に動作し、給油停止時は逆止弁97が圧力導入路93,94から油液が流入することを防止して空気導入孔100からの空気供給によりダイヤフラム89が閉弁方向に動作する。従って、ダイヤフラム89は、油液に接することがなく、油液による劣化が防止されて寿命を延ばすことができる。また、ダイヤフラム89が破損した場合でも油液がダイヤフラム89の破損箇所から流出することを防止できる。
【0062】
尚、空気導入孔100は、流路面積が圧力導入路93,94の流路面積より十分に小さい。そのため、給油時に負圧発生部30で発生する負圧に対して空気導入孔100から供給される空気量が少ないので、ダイヤフラム89の開弁動作が遅れることはない。
図10は負圧発生部30を拡大して示す縦断面図である。また、図11は図10中X−X線に沿う縦断面図である。
【0063】
図10及び図11に示されるように、負圧発生部30の弁体37が当接する傾斜面29aには、自動閉弁機構用の3つの通路34と、ベーパリカバリ用の圧力導入路94の一端が周方向に90°間隔で開口している。各通路34と圧力導入路94とは、夫々半径方向に形成されており、各通路34の他端が負圧発生部30の外周に開口して環状通路45に連通している。また、圧力導入路94の他端は、軸方向に曲げられている。
【0064】
図12は傾斜面29aを拡大して示す縦断面図である。
図12に示されるように、通路34及び圧力導入路94の開口部分の周囲には、弁体37が当接するシート部101が突出している。そのため、給油停止時には、弁体37がシート部101に当接して各通路34及び圧力導入路94を閉塞して油液が各通路34及び圧力導入路94に流入することを防止できる。
【0065】
ここで、上記のように構成された負圧発生部30及びベーパ用弁機構81の動作について説明する。
圧力導入路94の一端94aは、負圧発生部30の傾斜面29aに開口するように形成されている。そのため、圧力導入路94には、主弁体31の開弁動作により油流路29内を流れる油液の流速によって生じた負圧が導入される。従って、弁座25aの下流側で発生した液圧は、圧力導入路94及び圧力導入路93を介してダイヤフラム上室92に供給される。
【0066】
ベーパ用弁機構81の弁体87は、非給油時、上記のような負圧導入が行われていないため、コイルバネ88のバネ力により閉弁状態に保持されている。そのため、当該給油ノズル3においては、他の給油ノズルで給油開始によりベーパ吸引ポンプ14が吸引動作していてもベーパ用弁機構81の弁体87がベーパ吸引系路47を遮断しているので、給油していないのに当該給油ノズル3のベーパ吸引口46aから空気を吸引することがなく、ベーパ吸引ポンプ14の吸引力の低下を防止できる。
【0067】
ここで、給油ノズル3の吐出パイプ26が燃料タンクの給油口(図示せず)に挿入されてノズルレバー36が開弁操作されると、弁軸51がB方向に摺動して主弁体31が弁座25aから離座する。これにより、給油用弁機構33の主弁体31が開弁動作する。
そのため、給油ホース4を介して給油ポンプ10から送液された油液は、ホース継手24を通過してノズル本体23に流入し、弁座25aの開口を通過して油流路29に至り、その後吐出パイプ26から吐出される。
【0068】
このように、給油ノズル3の油流路29内を油液が流れると、負圧発生部30で負圧が発生しやすいように油流路29の流路面積がノズル本体23よりも絞られており、油流路29を流れる油液の流速が他の部分よりも高くなっている。そして、負圧発生部30での負圧は、油流路29内の流速に応じて変動する。
このように油流路29内で発生した負圧は、前述したように圧力導入路94及び圧力導入路93を介してベーパ用弁機構81のダイヤフラム上室92に導入される。よって、ダイヤフラム上室92の圧力は、液圧の導入により上昇してダイヤフラム89を上動させる。
【0069】
そのため、ダイヤフラム89に結合された弁体87は、弁座86から離座して開弁動作する。その結果、ベーパ用弁機構81の流入路90と流出路96とが連通されてベーパ吸引系路47が開放される。これにより、給油開始と共に、ベーパ吸引ポンプ14の吸引力により燃料タンク内のベーパがベーパ吸引管46の吸引口46aから吸引される。そして、吸引口46aから吸引されたベーパは、給油ノズル3の通路80、流入路90、流出路96、ベーパ管路82、ホース継手24に形成されたベーパ流路83を通過して給油ホース4内のベーパ吸引チューブ12に流入する。さらに、ベーパ吸引チューブ12に流入されたベーパは、ベーパ吸引管路13a、ベーパ吸引ポンプ14、ベーパ吸引管路13bを通過して地下タンク8に回収される。
【0070】
このように、ベーパ用弁機構81の弁体87が油流路29内で発生した負圧に応じて開弁動作すると共に燃料タンク6a内のベーパが吸引されて地下タンク8に回収される。そのため、ベーパ吸引ポンプ14の吸引力を給油中の給油ノズル3にのみ作用させることができ、給油しないときにベーパを吸引することがないので、無駄を無くすことができる。また、ベーパ用弁機構81のダイヤフラム上室92には、油流路29内で発生した負圧を導入する圧力導入路93が開口しているため、油液の吐出流量に比例してベーパ用弁機構81の弁体87の弁開度を調整することが可能になり、流量変化に対するベーパ用弁機構81の応答性を高めることができる。
【0071】
図13は本発明の変形例を説明するための計量機の構成図である。尚、図13において、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
図13に示されるように、ベーパ吸引管路13aにはベーパ吸引量調整弁131が配設されている。このベーパ吸引量調整弁131は、制御装置132からの制御信号により給油開始と共に開弁され、給油停止と共に閉弁される。
【0072】
図14は変形例の給油ノズルの構成を示す横断面図である。尚、図14において、図3と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
図14に示されるように、ダイヤフラム室63を閉蓋する蓋69には、負圧発生部30で発生した負圧が導入されるダイヤフラム室63の圧力変化を検知する圧力センサ133が設けられている。この圧力センサ133は、給油時の流速によって生じる負圧が液面上昇による空気供給量の変化に応じて変動する様子を監視しており、圧力センサ133からの出力レベルに基づいて泡検知及び液面検知による給油停止を確実に判定することができる。
【0073】
ダイヤフラム室63は、通路34及び45,62を介して負圧発生部30の油流路29に連通されていると共に、通路62及び45,44を介して吸引管43に連通されている。給油時は、負圧発生部30で発生した負圧が通路34,45,44を介して吸引管43に導入されている。そのため、吐出パイプ26の先端に設けられた空気導入孔42から吸引された空気は、吸引管43及び通路44,45,62に供給されている。
【0074】
従って、ダイヤフラム室63の圧力は、給油中一定であり、吐出パイプ26の先端に設けられた空気導入孔42が液面により閉塞されて吸引管43からの空気供給が停止されるまで変化しない。このとき、ダイヤフラム室63に設けられた圧力センサ133は、流速に応じた負圧を検出しており、その圧力に応じた信号を制御装置132へ出力する。
【0075】
ここで、吐出パイプ26先端の空気導入孔42が給油口6bの液面により閉塞されると、空気導入孔42からの空気吸引が遮断されて液面検知が行われる。すなわち、吸引管43から負圧発生部30への空気供給が停止されると共に、ダイヤフラム室63の空気が通路62,45,34を介して負圧発生部30へ吸引される。
【0076】
その結果、ダイヤフラム室63の空気圧が減圧される。これにより、圧力センサ133は、負圧発生部30で発生した負圧(圧力変化)を検出し、その検出信号を制御装置132へ出力する。そして、制御装置132は、信号線134を介して圧力センサ133と接続されており、圧力センサ133により負圧が検知されると、ベーパ吸引量調整弁131を閉弁させて給油を停止させる。
【0077】
尚、圧力センサ133により負圧が検知されたとき、ベーパ吸引量調整弁131を閉弁させる代わりに給油ポンプ10を停止させる構成としても良い。
ここで、上記変形例とは別の変形例について説明する。
図14において、負圧発生部30の弁体37と給油用弁機構33の主弁体31との間に形成された油流路29の内壁には、油流路29を流れる油液の液圧を検出する圧力センサ133’が設けられている。そのため、圧力センサ133’は、主弁体31より下流側に位置しているので、閉弁時(給油停止状態)のとき油液の圧力がかからないように設けられている。
【0078】
この圧力センサ133’は、負圧発生部30の負圧ではなく主弁体31の開弁動作により吐出される流量に応じた液圧を検出し、その検出信号を制御装置132へ出力する。そして、制御装置132は、信号線134を介して圧力センサ133’と接続されており、圧力センサ133’から出力される検出信号の出力レベルから油液の吐出流量に対応したベーパ吸引量調整弁131の弁開度を演算する。
【0079】
これにより、制御装置132は、圧力センサ133’から出力される検出信号の出力レベルに応じてベーパ吸引量調整弁131の弁開度を調整してベーパ吸引量を調整する。従って、油液の吐出流量に比例してベーパ用弁機構81の弁体87の弁開度を調整することが可能になり、流量変化に対するベーパ用弁機構81の応答性を高めることができる。
【0080】
尚、制御装置132は、給油用弁機構33の主弁体31が閉弁動作して圧力センサ133’により液圧の低下が検知されると、ベーパ吸引量調整弁131を閉弁させて給油を停止させるように制御することもできる。
また、上記実施の形態では、地上設置型の計量機に取り付けられた構成を一例として挙げたが、これに限らず、懸垂式の給油装置にも適用できるのは勿論である。
【0081】
また、上記実施の形態では、負圧発生部30及びベーパ用弁機構81を給油ノズル3に内蔵する構成としてが、これに限らず、計量機1内に負圧発生部30及びベーパ用弁機構81を設ける構成としても良い。
【0082】
【発明の効果】
上述の如く、上記請求項1記載の発明によれば、負圧発生部により油液管路の油液の流速に応じて発生した負圧に応じてベーパ吸引系路を介して吸引されるベーパの吸引量を調整する吸引量調整手段を給油ノズルに設けたため、油液の吐出流量に比例してベーパの吸引量を調整することが可能になり、流量変化に対する吸引量調整弁の応答性を高めることができる。また、ダイヤフラムに作用する負圧の大きさに応じて当該弁座に近接または離間することで弁座を通過して吸引されるベーパの吸引量を調整する弁体を有するため、油液の流速に応じた負圧の変化を検出しやく構成できる。さらに、負圧導入室と負圧発生部とを連通する圧力導入路に、負圧の発生により開弁し、当該負圧の発生がなくなると閉弁する逆止弁を設けたため、ダイヤフラムに油液が付着することを防止し、油液によるダイヤフラムの劣化が防止され、ダイヤフラムの寿命を延ばすことができる。
【0083】
また、請求項2記載の発明によれば、負圧発生部による負圧の発生がなくなるとボール状の弁体が圧力導入室に連通する孔を閉塞することにより閉弁するため、油液が圧力導入室に流入することを防止でき、ダイヤフラムに油液が付着することを防止し、油液によるダイヤフラムの劣化が防止され、ダイヤフラムの寿命を延ばすことができる。
また、請求項3記載の発明によれば、負圧発生部に連通する孔が逆止弁室の上部角部に設けられた偏心孔よりなるため、負圧が導入されているときは、弁体が偏心孔を閉塞せず、圧力導入室に連通する孔が逆止弁室の底部中央に設けられた中央孔よりなるため、給油を行なわないときは、弁体が中央孔を閉塞して油液が圧力導入室に流入することを防止でき、ダイヤフラムに油液が付着することを防止し、油液によるダイヤフラムの劣化が防止され、ダイヤフラムの寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる給油装置の一実施例の概略構成図である。
【図2】給油ノズルの縦断面図である。
【図3】給油ノズルの横断面図である。
【図4】給油ノズルの側面図である。
【図5】給油ノズルの内部構成を拡大して示す縦断面図である。
【図6】給油ノズルの内部構成を拡大して示す縦断面図である。
【図7】給油停止時の負圧発生部30及びベーパ用弁機構81を拡大して示す縦断面図である。
【図8】給油時の負圧発生部30及びベーパ用弁機構81の動作を示す図である。
【図9】逆止弁97を拡大して示す縦断面図である。
【図10】負圧発生部30を拡大して示す縦断面図である。
【図11】図10中X−X線に沿う縦断面図である。
【図12】傾斜面29aを拡大して示す縦断面図である。
【図13】本発明の変形例を説明するための計量機の構成図である。
【図14】変形例の給油ノズルの構成を示す横断面図である。
【符号の説明】
1 計量機
2 筐体
3 給油ノズル
4 給油ホース
5 ノズル掛け
7 給油管路
8 地下タンク
9 流量計
10 給油ポンプ
12 ベーパ吸引チューブ
13(13a,13b) ベーパ吸引管路
14 ベーパ吸引ポンプ
22 グリップ
23 ノズル本体
24 ホース継手
25 弁座部材
26 吐出パイプ
27 パイプ接続部材
29 油通路
30 負圧発生部
31 主弁体
32 ノズルレバー保持機構
33 給油用弁機構
36 ノズルレバー
46 ベーパ吸引管
47 ベーパ吸引系路
50 弁軸
51 前側シャフト
52 後側シャフト
61 自動閉弁機構
70 保持レバー
71 当接部
80 通路
81 ベーパ用弁機構
82 ベーパ管路
83 ベーパ流路
84 ハウジング
85 キャップ
87 弁体
89 ダイヤフラム
90 流入室
91 流出室
92 ダイヤフラム室
93,94 圧力導入路
97 逆止弁
98 逆止弁室
99 弁体
131 ベーパ吸引量調整弁
133,133’ 圧力センサ

Claims (3)

  1. 車両の燃料タンクに油液管路を介して油液を給油するときに該燃料タンク内のベーパを吸引するベーパ吸引系路と、
    前記油液管路の油液の流速に応じた負圧を発生させる負圧発生部と、一端が前記負圧発生部に連通すると共に他端が前記油液管路の先端側に設けられた空気導入孔に連通する空気吸引管と、前記燃料タンク内の油液で前記空気導入孔が閉塞されるのに伴って導入される負圧により作動し、前記油液管路内に設けられた弁体を閉弁させることにより油液の吐出を停止させる自動閉弁機構とからなる給油ノズルを備えた給油装置において、
    前記給油ノズルには、前記負圧発生部により発生した負圧に応じて前記ベーパ吸引系路を介して吸引されるベーパの吸引量を調整する吸引量調整手段を設けてなり、
    前記吸引量調整手段は、
    前記負圧発生部により発生する負圧が導入される負圧導入室と前記ベーパ吸引系路途中に設けられたベーパ吸引室とを画成すると共に、前記負圧の大きさに基づき変位するダイヤフラムと、
    前記ベーパ吸引系路途中に設けられた弁座と、
    前記ダイヤフラムに作用する負圧の大きさに応じて当該弁座に近接または離間することで前記弁座を通過して吸引されるベーパの吸引量を調整する弁体とからなり
    前記負圧発生部により発生する負圧が導入される負圧導入室と前記負圧発生部とを連通する圧力導入路には、前記負圧発生部により負圧が発生すると開弁し、当該負圧の発生がなくなると閉弁する逆止弁が設けられていることを特徴とする給油装置。
  2. 前記逆止弁は、
    逆止弁室と、
    前記逆止弁室に設けられ、前記負圧発生部に連通する孔と、
    前記逆止弁室に設けられ、圧力導入室に連通する孔と、
    前記逆止弁室内に設けられ、当該逆止弁室内に導入される圧力の変化に応じて移動するボール状の弁体と、を有し、
    前記負圧発生部による負圧の発生がなくなると前記弁体が前記圧力導入室に連通する孔を閉塞することにより閉弁することを特徴とする請求項1に記載の給油装置。
  3. 前記負圧発生部に連通する孔は、前記逆止弁室の上部角部に設けられた偏心孔よりなり、
    前記圧力導入室に連通する孔は、前記逆止弁室の底部中央に設けられた中央孔よりなることを特徴とする請求項2に記載の給油装置。
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