JP4259655B2 - チェアーリフトの降車補助装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、索道において降車用のコンベア装置を備えたチェアーリフトの降車補助装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
チェアーリフトは、山岳傾斜地における輸送機関として用いられ、特にスキー場におけるスキーリフトとして多用されている。
【0003】
このようなスキーリフトの降車場では、乗客の降車位置からゲレンデに向けて緩やかな傾斜をつけた斜路を形成し、乗客が降車位置で搬器から立ち上がり、該斜路を自然滑走して降車場を退出するようにすることが一般的に行われている。
【0004】
しかしながら、初心者のスキーヤーや、近年人口増加の著しいスノーボーダー等にとっては、降車位置でタイミング良く搬器から立ち上がり、スムーズに滑り出すことは必ずしも容易ではなく、転倒、乗越、搬器を揺らす等の問題が生じることがある。又、近年のスキーリフトにおいては、輸送人員を増加させる目的で運転速度の高速化、及び、搬器の大型化が進められており、降車場においてはさらなる安全性の確保が要求される。
【0005】
このような問題に対して、降車場において乗客の降車を補助するためのコンベア装置を用いる先行技術が知られている。実用新案公報 昭47−16520「チェアーリフトの乗降装置」で開示された技術は、チェアーリフトの降り場に沿ってベルトコンベアーを設け、該ベルトコンベアーの移動速度を搬器速度と同速か、又は、若干速い一定速度で移動するように駆動し、乗客はこのコンベアに立ち上がることにより降車場を退出するようにしたものである。
【0006】
しかし、上記提案された技術においては、ベルトコンベアーを搬器と同速に移動するようにした場合は、乗客が搬器から立ち上がることに対しては好適であるが、その後、搬器と乗客は接近したままで進行するため、搬器が滑車に沿って回動する部分では、乗客自らが搬器を避けるように移動しなくてはならず、スキー板を履いたスキーヤー等にとっては不都合である。また、ベルトコンベアーが搬器より速い速度で移動するようにした場合は、搬器とベルトコンベアーとの速度差のため、立ち上がり時に足を取られる等の衝撃を生じ、必ずしもスキーヤー等にとって好適とは言い難かった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題の改善になされたものであって、チェアーリフトの乗客が、安全かつスムーズに降車できるように降車を支援するための装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的達成するために、本発明のチェアーリフトの降車補助装置は、降車場床面に搬器進行方向に沿って配設されたコンベア装置と、該コンベア装置を可変速に駆動する駆動手段と、該駆動手段を制御するためのコンベア制御器と、搬器の位置を検出するための搬器位置検出器と、索条速度を検出するための索条速度検出器とを備え、前記コンベア装置には降車開始位置と降車終了位置とが設定されており、該コンベア装置は、搬器が前記降車開始位置と前記降車終了位置の間にあるときは搬器速度と同速で駆動され、搬器が前記降車終了位置を通過した後は搬器よりも速い速度へと加速するように制御されるように構成したものである。
【0009】
また、前記搬器位置検出器に代えて、搬器検出器と、索条移動量検出器とを備え、該搬器検出器と索条移動量検出器とにより搬器位置の検出を行うように構成したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明に係るチェアーリフトの降車補助装置の具体的実施の形態を説明する。
【0011】
図5は、チェアーリフトの降車場の構造を示す側面図である。該降車場には滑車1が枢設されている。本図では図示していないが、乗車場に枢設した滑車と前記滑車1との間には索条2が無端状に張架され、これら滑車間を循環して駆動されている。索条2には、複数の搬器3、3、…が所定の間隔で固着されており、索条2の移動と共に乗車場と降車場との間を循環して運行される。
【0012】
降車場床面には、搬器3の進行方向に沿ってコンベア装置4が配設されている。該コンベア装置4は、両端のドラム5、6間にベルト7を無端状に張架循環させたもので、一方のドラム5には、可変速電動機等の駆動手段を連結して駆動するようにしており、コンベア制御器(図示せず)により制御されている。該コンベア装置4には、搬器3の進行方向に沿って降車開始位置Aと降車終了位置Bが設定されており、各位置においては、標識あるいは音声信号等によって乗客に注意を促し、この区間内で搬器から立ち上がり降車させるようにしている。又、コンベア装置4の後方端部Cから後方には勾配区間9を設け、スキー板あるいはスノーボードを履いた乗客が滑走して退出するように、雪あるいは摩擦係数の低いマット等で緩下降勾配を形成している。
【0013】
前記滑車1の軸付近には、索条速度検出器SVが設けられている。該索条速度検出器SVは、滑車1の回転により滑車1の回転数ないしは索条2の速度に比例したアナログ信号、例えば、電圧信号等を発生するもので、該信号はコンベア制御器へと送出される。
【0014】
前記降車終了位置Bとコンベア装置4の後方端部C付近には、搬器3を検出するための搬器位置検出器SC1、及びSC2を配設し、当該位置で搬器3の通過を検出し、検出信号をコンベア制御器へと送出するようにしている。
【0015】
上述の如く構成された、チェアーリフトの降車場における各機器の動作関係について説明する。
【0016】
まず最初に、コンベア装置4は、コンベア制御器によって運転速度を制御されており、該コンベア制御器は、索条速度検出器SVの信号に基づいて、コンベア装置4のベルト7が索条2の移動速度と同速となるように制御する。ベルト7の移動速度は、当該チェアーリフトが可変速運転を行う設備であっても、索条2の移動速度に追従して同期運転されるようになされている。
【0017】
次に、図1に示す如く、降車場に乗客を乗せた搬器3が到着すると、乗客は、標識あるいは音声信号等の指示に従って、降車開始位置Aと降車終了位置Bとの間で搬器3から立ち上がって降車する。このとき、ベルト7は、前記したように索条2の移動速度、つまり搬器3の移動速度と同速であるから、乗客はいわゆる足をとられたりするような衝撃もなく、安全にベルト7上へと移乗することができる。
【0018】
この後、図2に示すように搬器3が降車終了位置Bに達すると、搬器位置検出器SC1が搬器3を検出し、この検出信号をコンベア制御器へと送出する。コンベア制御器はこの検出信号を受信すると、コンベア装置4のベルト7が緩やかに加速するように速度制御を行い、従って、搬器3とベルト7に移乗した乗客の距離は、搬器3の進行にともなって徐々に引き離されながら移動する。
【0019】
図3に示すように、乗客がコンベア装置の後方端部Cに到達するときには、乗客と搬器3との間隔は十分に引き離されており、乗客は安全に余裕をもって勾配区間9に移行することができ、該勾配区間9を滑降して降車場から退出する。乗客が、このようにしてコンベア装置4から勾配区間9へと移行した後、乗客の後方から進行してきた搬器3が搬器位置検出器SC2により検出されると、この信号に基づきコンベア制御器は、ベルト7が再び索条2の移動速度と同速になるよう制御を行い、次の搬器3が到着すると上記動作を繰り返し行う。
【0020】
上述した説明では、コンベア装置4のベルト7の移動速度を変更する位置、すなわち、降車終了位置B及びコンベア装置4の端部Cにおいて、搬器位置検出器SC1及びSC2で搬器3を直接検出して速度制御を行うように構成したが、該搬器位置検出器SC1及びSC2に替えて、以下に説明するように構成することも可能である。
【0021】
図4に示す如く、降車場に枢設された滑車1の索道線路側には、索条2を支持して誘導するための索受ローラー8が配設されており、該索受ローラー8には、索条移動量検出器SRを配設する。該索条移動量検出器SRは、索受ローラー8の回転数に比例してパルス信号を発信するようになしたもので、該パルス信号1ケは索条2の一定長さと対応しているので、パルス信号を計数することにより索条2の移動量を知ることができる。この索条移動量検出器SRからの信号もまたコンベア制御器へと送出される。
【0022】
さらに、前記索受ローラー8付近には搬器検出器SHを配設する。該搬器検出器SHは、索条2の移動と共に搬器3がこの位置を通過したことを検出するようにしたもので、この検出信号もまた前記同様コンベア制御器へと送出される。
【0023】
コンベア制御器では、索条移動量検出器SR、及び、搬器検出器SHから発信された信号に基づいて搬器位置の算出を行う。前述したように、索条移動量検出器SRから発信されるパルス信号は、索条2の一定長さと比例しており、一方、搬器3、3…は索条2に一定間隔で固着されているから、互いの搬器間では常に一定のパルス数が計数される。また、先行する搬器3が搬器検出器SHの位置にあるとき、後続の搬器3の位置はあらかじめわかっているので、先行搬器3が搬器検出器SHを通過してからのパルス数により後続搬器3の位置を特定することができる。従って、先行搬器3が搬器位置検出器SHで検出されてから何パルス目に後続搬器3が降車終了位置Bに達するかはあらかじめ算出されるから、このパルス数をコンベア制御器に設定し、この設定値までパルス数が計数されたときにベルト7を加速するように制御を行えば良い。
【0024】
この構成によれば、降車場における前記搬器検出器SHの配設位置と、搬器間で計数されるパルス数から搬器3の位置を特定できるから、該搬器検出器SHは限定された位置に配設される必要性はなく設計上有利である。また、前記コンベア制御器に設定したパルス数を変更することにより、降車終了位置B、すなわちベルト7の加速開始位置を変更することができ、コンベア装置4の調整作業等も容易に行われるという利点がある。
【0025】
【発明の効果】
上述したように、本発明のチェアーリフトの降車補助装置では、降車場の床面にコンベア装置を配設し、この上に乗客が立ち上がって搬器から降車するようになし、乗客が立ち上がるときには、コンベア装置は搬器と同速で移動するように制御されており、スキーの初心者あるいはスノーボーダー等にとっても安心して立ち上がることができ、立ち上がり時の衝撃等もなく転倒のおそれもない。また、乗客がコンベア装置に移乗した後は、該コンベア装置は加速され、乗客と搬器との間隔が引き離されることにより、乗客は余裕をもって、また、搬器との安全な距離を保って降車場より滑走して退出することができる。
【0026】
さらには、コンベア装置上で乗客が転倒した場合には、乗客は搬器と同速あるいはそれよりも速い速度で移送されるため、搬器に引きずられるような危険性もなく、また、コンベア装置の後方端部付近で転倒した場合であっても、搬器と乗客の間にはある程度の距離が保たれているから、直ちに非常停止を行えば搬器と乗客が接触することもなく安全に停止することができる。
【0027】
このように、本発明はチェアーリフトの降車場の安全性の向上に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 降車開始位置における状態を示す降車場の側面図。
【図2】 降車終了位置における状態を示す降車場の側面図。
【図3】 乗客が降車場から退出する状態を示す降車場の側面図。
【図4】 乗客が降車場から退出する状態を示す降車場の側面図。
【図5】 降車場の構造を示す側面図。
【符号の説明】
1 滑車
2 索条
3 搬器
4 コンベア装置
5、6 ドラム
7 ベルト
8 索受ローラ
9 勾配区間
SV 索条速度検出器
SR 索条移動量検出器
SC1、SC2 搬器位置検出器
SH 搬器検出器
Claims (2)
- チェアーリフトの降車場において、降車場床面に搬器進行方向に沿って配設されたコンベア装置と、該コンベア装置を可変速に駆動する駆動手段と、該駆動手段を制御するためのコンベア制御器と、搬器の位置を検出するための搬器位置検出器と、索条速度を検出するための索条速度検出器とを備え、前記コンベア装置には降車開始位置と降車終了位置とが設定されており、該コンベア装置は、搬器が前記降車開始位置と前記降車終了位置の間にあるときは搬器速度と同速で駆動され、搬器が前記降車終了位置を通過した後は搬器よりも速い速度へと加速するように制御されることを特徴とする、チェアーリフトの降車補助装置。
- 前記搬器位置検出器に代えて、搬器検出器と、索条移動量検出器とを備え、該搬器検出器と索条移動量検出器とにより搬器位置の検出を行うようにしたことを特徴とする、請求項1記載のチェアーリフトの降車補助装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP30331998A JP4259655B2 (ja) | 1998-10-09 | 1998-10-09 | チェアーリフトの降車補助装置 |
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1998
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