JP4259493B2 - インクジェット記録用水性インク - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録用水性インクに関する。
インクジェット記録方式には、静電吸引方式、圧電素子等を用いてインクに機械的振動または変位を与える方式、インクを加熱させることにより気泡を発生させ、その時の圧力を利用する方式等の吐出方式があり、いずれもインク小滴を形成し、それを紙等の被記録材に付着させて記録を行うものである。
このようなインクジェット記録方式に使用するインクとしては、各種の染料または顔料を、水又は水と水溶性有機溶剤からなる液媒体に溶解または分散させた水性インクが使用されている。
インクジェット記録方式において、長期間にわたって良好な記録画像を得るためには、(1)インクの特性値(粘度、表面張力、密度等)が適当な値であること、(2)記録装置のノズルやオリフィスでの目詰まりを防止し、吐出安定性を得るため、熱等によりインクに析出物が生じたり、インクの物性値が変化したりしないこと、(3)記録画像が耐水性、耐光性等に優れていること、などの要請があり、さらに(4)インクの滲みのない良好な印字品質を、インクジェット専用紙を用いることなく普通紙で達成する為、インクジェットプリンタの記録ヘッドのノズル径を狭め、吐出させるインク液滴を小さくすることが要請されている。
しかしながら、記録ヘッドのノズル径を小さくすると、インクジェットプリンタにインクカートリッジを装着したまま長期間放置した後、再度使用する際に、ヘッドノズルやヘッド内部の狭いインク流路中に異物が混入あるいは発生し、インクがスムーズに通過することができず、吐出不能が生じる。特に、イエロー色のインク着色剤として、発色性及び色の鮮やかさに優れているC.I.ダイレクトイエロー132を使用した場合にはこの問題が生じやすい。
この問題に関し、C.I.ダイレクトイエロー132を使用するインクジェット記録用イエローインクに対し、ジエチレングリコール等の保湿剤の添加量を増大させることにより水分蒸発時や低温時での染料析出を防止したり、更にベンゾトリアゾールを使用することによりインク物性の変化を抑制することが提案されている(特許文献1)。
特許3089665号公報
しかしながら、従来のインクジェット記録用水性インクにおいて、染料析出を防止するために湿潤剤の添加量を増加する方法では、インクの粘性が増し、最適な粘性が得られない。また、高温・乾燥時には、特にインクヘッドのノズル周囲が乾燥し易く、ノズル周囲に付着したインクから染料が析出すると、除去することが容易ではないという問題がある。特に、温暖な地域ではこの問題は深刻なものとなっている。最近のインクジェットプリンタにはヘッド面を払拭するワイパーを備えているが、染料が析出していったん固化してしまうと、ワイパーでは除去することはできない。また、インクカートリッジの輸送や保管の際に、カートリッジが低温環境下に置かれる場合があり、そのような場合にはインク中から染料が析出する可能性がある。従来の技術では、このような水分蒸発後の染料析出という問題と低温時の染料析出という問題とを同時に解決することは困難である。即ち、水分蒸発後の染料析出は防止できても、低温時の染料析出を防止することは困難である。あるいは逆に低温時の染料析出は改善できても、蒸発後の染料析出を防止することは困難である。このような二つの問題を同時に解決した、C.I.ダクレクトイエロー132を用いたインクジェット記録用水性インクは、本発明者が知る限りにおいて存在していない。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、C.I.ダイレクトイエロー132を使用したインクジェット記録用水性インクにおいて、インクの水分蒸発時や低温時にもインクから染料等が析出せず、長期保存安定性を得られるようにすることを目的としている。
本発明者らは、C.I.ダイレクトイエロー132を使用したインクジェット記録用水性インクにおいて、特定の水溶性有機溶剤と特定のグリコールエーテルとを使用し、かつそれぞれをC.I.ダイレクトイエロー132に対して特定の重量比で使用することにより、上述の目的を達成できることを見出した。
以下の成分(a)〜(c):
(a)C.I.ダイレクトイエロー132 0.1重量%〜4.0重量%;
(b)ジプロピレングリコールプロピルエーテル 0.5重量%以上; 及び
(c)20℃におけるC.I.ダイレクトイエロー132の溶解度が5%以上である水溶性有機溶剤
を含有するインクジェット記録用水性インクであって、以下の(I)及び(II)
Figure 0004259493
(式中、Aはインク中に含まれている成分(a)の組成重量、Bは成分(b)の組成重量、Cは成分(c)の組成重量をそれぞれ表す。従って、[B/A]はインク中に含まれる成分(a)に対する成分(b)の重量比を表し、[C/A]はインク中に含まれる成分(a)に対する成分(c)の重量比を表す。)
を満たし、成分(c)の水溶性有機溶剤の含有量がインク全量に対して40重量%以下であることを特徴とするインクジェット記録用水性インクを提供する。
本発明のインクジェット記録用水性インクにおいては、C.I.ダイレクトイエロー132に対し、所定の割合で、ジプロピレングリコールプロピルエーテルを含有しているので、インクの融点を降下させ、C.I.ダイレクトイエロー132の低温析出を防止することができる。
さらに、C.I.ダイレクトイエロー132に対し、20℃におけるC.I.ダイレクトイエロー132の溶解度が5%以上である水溶性有機溶剤を含有するので、水分蒸発時の染料析出を防止することができる。
従って、本発明によれば、インクジェット記録用水性インクの着色剤として、インクジェット記録画像における色再現性及び発色性に優れたC.I.ダイレクトイエロー132を、インクジェットプリンタが使用される環境やその変化にかかわらず使用することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録用水性インクは、着色剤としてC.I.ダイレクトイエロー132を使用する。
本発明において、C.I.ダイレクトイエロー132は着色剤として単独で使用してもよく、それ以外の着色剤と混合して使用してもよい。
C.I.ダイレクトイエロー132と混合使用する染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料等に代表される水溶性染料が用いられ、特に鮮明性、水溶性、安定性、耐光性等のインク特性の点から、例えば、イエロー染料としては、C.I.ダイレクトイエロー12、24、26、44、86、98、142;C.I.アシッドイエロー11、17、23、25、29、42、61、71等が挙げられ、これらは複数種を混合して使用してもよい。
また、イエロー以外の染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブラック17、19、32、51、71、108、146、154、168;C.I.ダイレクトブルー6、22、25、71、86、90、106、199;C.I.ダイレクトレッド1、4、17、28、83、227;C.I.ダイレクトオレンジ34、39、44、46、60;C.I.ダイレクトバイオレット47、48;C.I.ダイレクトブラウン109;C.I.ダイレクトグリーン59;C.I.アシッドブラック2、7、24、26、31、52、63、112、118;C.I.アシッドブルー9、22、40、59、93、102、104、113、117、120、167、229、234;C.I.アシッドレッド1、6、32、37、51、52、80、85、87、92、94、115、181、256、289、315、317;C.I.アシッドオレンジ7、19;C.I.アシッドバイオレット49;C.I.ベーシックブラック2;C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、24、25、26、28、29;C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、37;C.I.ベーシックバイオレット7、14、27;C.I.フードブラック1、2等が挙げられ、これらは複数種を混合して使用してもよい。
本発明のインクジェット記録用水性インクの染料含有量に関し、適度な画像濃度を得ると共に析出防止の点から、C.I.ダイレクトイエロー132はインク全量に対し0.1〜4重量%とする。また、C.I.ダイレクトイエロー132と他の着色剤の総量としては、インク全量に対し0.1〜20重量%が好ましい。
本発明のインクジェット記録用水性インクは水を含有する。この水としては、イオン交換水、蒸留水等の純度の高いものを使用することが好ましい。
インク中の水の含有量は、インク全量に対して一般に10〜98重量%が好ましく、より好ましくは30〜97重量%、さらに好ましくは40〜95重量%である。
本発明のインクジェット記録用水性インクは、水性媒体として、水以外に、融点が−45℃以下のグリコールエーテル(成分(b))と、20℃におけるC.I.ダイレクトイエロー132の溶解度が5%以上である水溶性有機溶剤(成分(c))とを含有する。
融点が−45℃以下のグリコールエーテル(成分(b))は、グリコールエーテル単独での融点が−45℃以下と非常に低温である為、インク中に添加することによって、インクの融点を降下させ、インク中の染料C.I.ダイレクトイエロー132の低温析出を防止する効果がある。
融点が−45℃以下のグリコールエーテル(成分(b))に対するC.I.ダイレクトイエロー132の溶解度は高いほうが好ましい。
融点が−45℃以下のグリコールエーテル(成分(b))の例としては、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、エチレングリコールヘキシルエーテル、エチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールアリルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、ジエチレングリコールベンジルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等を挙げることができる。これらは、単独又は複数種を混合して使用することができる。中でも、トリエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル及びジエチレングリコールブチルエーテルからなる群より選択される少なくとも一種を好ましく使用することができる。
融点が−45℃以下のグリコールエーテル(成分(b))の含有量は、インク全量に対して0.5重量%以上、かつ、次式(I)
Figure 0004259493
(式中、Aはインク中に含まれている成分(a)の組成重量、Bは成分(b)の組成重量をそれぞれ表す。)
を満たす量とする。成分(b)のグリコールエーテルの含有量が0.5重量%未満であったり、[B/A]が0.2未満であると、インクの融点を十分に降下させることができず、C.I.ダイレクトイエロー132の低温析出を十分に防止することができない。インクの融点をより確実に降下させる点からは、[B/A]は0.3以上とすることが好ましい。成分(b)のグリコールエーテルの含有量の上限については、10重量%以下にすることが、ブリードを抑制する点から好ましい。また、[B/A]を5以下とすることによっても、本発明のインクと黒インクとのブリードを抑えることができる。
本発明で用いる成分(c)の水溶性有機溶剤は、C.I.ダイレクトイエロー132を20℃において十分に溶解することができるものであり、具体的には、C.I.ダイレクトイエロー132の溶解度が5%以上である水溶性有機溶剤である。このような水溶性有機溶剤は、C.I.ダイレクトイエロー132の溶解度が高い為、これをインク中に含有させることによって、インク中の水分が蒸発した場合のC.I.ダイレクトイエロー132の析出を防止する効果がある。
成分(c)の水溶性有機溶剤としては、−20℃においても5%以上の溶解度を示すものが、C.I.ダイレクトイエロー132の低温析出の防止の点から望ましい。
20℃におけるC.I.ダイレクトイエロー132の溶解度が5%以上である水溶性有機溶剤としては、2−ピロリドン、重量平均分子量380〜420のポリエチレングリコール等を挙げることができる。さらに、20℃におけるC.I.ダイレクトイエロー132の溶解度が5%以上であって、−20℃においても5%以上の溶解度を示す水溶性有機溶剤としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、重量平均分子量190〜210のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、N−メチル−2−ピロリドン、トリエタノールアミン等を挙げることができる。これらは、単独又は複数種を混合して使用することができる。中でも、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、重量平均分子量190〜210のポリエチレングリコール、N−メチル−2−ピロリドンからなる群より選択される少なくとも一種を使用することが好ましい。
なお、C.I.ダイレクトイエロー132の成分(c)の水溶性有機溶剤に対する溶解度は、各溶剤にC.I.ダイレクトイエロー132を攪拌等により溶解させる試験を行い、決定することができる。
成分(c)の、20℃におけるC.I.ダイレクトイエロー132の溶解度が5%以上である水溶性有機溶剤の含有量は、インク全量に対して次式(II)

Figure 0004259493
(式中、Aはインク中に含まれている成分(a)の組成重量、Cは成分(c)の組成重量をそれぞれ表す。)
を満たす量である。[C/A]が3未満であると、水分蒸発時にC.I.ダイレクトイエロー132の充分な溶解性を保つことができずに、析出するおそれがある。C.I.ダイレクトイエロー132の析出を確実に抑える点からは、[C/A]は4以上とすることが好ましい。インク中の成分(c)の水溶性有機溶剤の含有量の上限については、ブリードを抑制する点から40重量%以下とすることが好ましい。また、[C/A]を60以下、さらに好ましくは55以下とすることにより、本発明のインクと黒インクとのブリードを抑えることができる。
本発明のインクジェット記録用水性インクには、上述の融点が−45℃以下のグリコールエーテル(成分(b))、及び20℃におけるC.I.ダイレクトイエロー132の溶解度が5%以上である水溶性有機溶剤(成分(c))の他、必要に応じて他の水性溶媒を使用しても良い。
また、本発明のインクジェット記録用水性インクには、インクの初期導入性を向上させるため、即ち、インクジェットプリンタのヘッド内部の狭いインク流路中にインクをスムーズに導入できるように、界面活性剤を添加することが好ましい。
界面活性剤としては、従来のインクジェット記録用水性インクに用いられているものを使用することができる。好ましい例としては、アルキルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。中でも特に好ましい例としては、次式(1)
Figure 0004259493
(式(1)中、xは12又は13である。)
で表される化合物が挙げられる。この式(1)の化合物は、商業的に入手可能であり、例えば、花王株式会社より商品名エマール20C、三洋化成株式会社より商品名サンデットEND、ライオン株式会社よりサンノールDL1430として販売されている。
式(1)の界面活性剤の添加により、インクジェットプリンタのヘッドに対するインクの濡れ性をより高めることができる。従って、インクジェットプリンタのヘッド内にインクが導入される際に、異物が混入または発生した場合でも、異物をヘッド内に留めることなく、素早くヘッド外に出すことができ、目詰まりの原因を排除することが容易となる。
本発明のインクジェット記録用水性インクにおいて界面活性剤を配合する場合、その配合量を、インク全量に対して0.01〜5重量%とすることが好ましく、0.01〜2重量%とすることがより好ましい。0.01重量%未満であると、インクジェットプリンタのヘッドに対するインクの濡れ性を充分に向上させることができず、インクの初期導入性の向上効果が得にくい。また、5重量%を超えるとインクがインクジェットプリンタのヘッドのノズル周りを不均一に濡らし、インクの安定吐出が困難となる。
この他、本発明のインクジェット記録用水性インクには、必要に応じて粘度調整剤を添加することができる。粘度調整剤としては、グリセリン等を使用することができる。粘度調整剤の含有量は、例えば、グリセリンの場合、インクの全重量に対して5〜30重量%とすることが好ましい。これにより、インクジェットプリンタの吐出機構に応じて、インクの粘度を容易に2〜5mPa・s(20℃)に調整することができる。なお、この粘度は、二重円筒型回転粘度計を使用し、20℃、60rpmの条件で測定される値である。
本発明のインクジェット記録用水性インクには、さらに従来公知の添加剤、例えば、各種分散剤、表面張力調整剤、pH調整剤、防腐防カビ剤等を必要に応じて添加することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例2、5〜7及び9は、成分(b)として、ジプロピレングリコールプロピルエーテル以外の融点が−45℃のグリコールエーテルを使用した参考のための例である。
実施例1〜9、比較例1〜7
表1、表2の組成のインクを調製した。なお、表中の数値は重量%を表す。また、(b)は融点が−45℃以下のグリコールエーテル、(c)は20℃におけるC.I.ダイレクトイエロー132の溶解度が5%以上である水溶性有機溶剤を表し、[B/A]は融点が−45℃以下のグリコールエーテルの組成重量(B)とC.I.ダイレクトイエロー132の組成重量(A)との重量比、[C/A]は20℃におけるC.I.ダイレクトイエロー132の溶解度が5%以上である水溶性有機溶剤の組成重量(C)とC.I.ダイレクトイエロー132の組成重量(A)との重量比を表す。
また、界面活性剤としては、式(1)においてx=12の界面活性剤とx=13の界面活性剤との混合物を使用した。
実施例及び比較例で用いた成分(c)の水溶性有機溶剤に対する成分(a)のC.I.ダイレクトイエロー132の溶解度は、以下の通りである。ジエチレングリコール、20%以上;トリエチレングリコール、5%以上;ポリエチレングリコール#200(商品名(重量平均分子量190〜210)、ライオン株式会社)、10%以上;N−メチル−2−ピロリドン、5%以上;及びグリセリン、約0.5%。
比較例5では式(2)
Figure 0004259493



(式(2)中、RはC14〜C15のアルキル基である。)
の界面活性剤を使用した。
<評価>
各実施例及び比較例のインクについて、(1)蒸発試験後染料析出試験、(2)低温保存後染料析出試験、(3)初期導入性試験、及び(4)ブリーディング評価を次のように行った。これらの結果を表1、表2に示す。
(1)蒸発試験後染料析出試験
インクを24mLのガラス容器(規格瓶No.2)に10g程度採取し、蓋は開放として、温度60℃、湿度40%の環境下に3日以上放置し、水分をほぼ完全に(インクの重量変化がなくなるまで)蒸発させた後、常温(約20℃)で1週間以上放置し、蒸発後の液体の状態を観察し、以下の基準で評価した。
ランク 評価基準
◎: 水分蒸発後のインク液中に固形物(染料)が全く生じなかった場合
○: 水分蒸発後のインク液中に固形物(染料)が極僅か生じた場合
△: 水分蒸発後のインク液中に固形物(染料)の沈澱が少量生じた場合
×: 水分蒸発後のインク液中に固形物(染料)の沈澱が多量に生じた場合
(2)低温保存後染料析出試験
インクを170mLのガラス容器(規格瓶No.12)に100g程度採取し、蓋をした状態で−20℃の恒温槽に放置した。1週間後、恒温槽内からガラス容器を常温(約20℃)に取り出し、インクが溶解する様子を観察し、以下の基準で評価した。
ランク 評価基準
◎: インク溶解直後のガラス容器の底に固形物(染料)が全く生じなかった場合
○: インク溶解直後のガラス容器の底に固形物(染料)が極僅か生じた場合
△: インク溶解直後のガラス容器の底に固形物(染料)が少量生じた場合
×: インク溶解直後のガラス容器の底に固形物(染料)が多量に生じた場合
(3)初期導入性試験
インクを耐圧ガラス容器に入れ、超音波を照射しながら、真空ポンプを使用してインク容器中を真空状態とし、インク中に含有された気体を脱気し、脱気後のインクを用いて、ブラザー工業株式会社製インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機MFC3100Cにて初期導入性試験の評価を行った。即ち、インクカートリッジ交換後にパージ(プリンタ本体のポンプによるインクの吸引)を3回行った直後に、印字試験を行い、全ノズル数に対する吐出ノズルの割合を求め、以下の基準で評価した。
ランク 評価基準
◎: 全ノズル数に対する吐出ノズルの割合が100%であった場合
○: 全ノズル数に対する吐出ノズルの割合が90%以上100%未満であった場合
△: 全ノズル数に対する吐出ノズルの割合が80%以上90%未満であった場合
×: 全ノズル数に対する吐出ノズルの割合が80%未満であった場合
(4)ブリーディング評価
黒色及び黄色がそれぞれ背景色となるように色を組み合わせた画像をプリントし、色の混ざり合う境界面の滲み及び文字の判別性を評価した。評価対照は、各インクとも背景無しでプリントした文字とした。前記文字は、フォントサイズ11ポイントに設定し、ブラザー工業株式会社製インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機MFC3100Cを用いて記録紙(普通紙(Xerox4200)、ゼロック社)にプリントした。黒色インクは表3の組成のものを使用した。また、評価は、背景有りの文字が背景無しの文字と比較して、どの程度滲んでいるのかを目視にて観察し、以下の基準で評価した。
ランク 評価基準
〇: 背景なしの文字と比較して僅かな滲みが発生しているが、文字は十分に判別できた場合
×: 背景なしの文字と比較して著しく滲みが発生し、文字の判読が困難だった場合
Figure 0004259493
















Figure 0004259493
Figure 0004259493
表1及び表2の結果から、実施例1〜9のインクでは(1)蒸発試験後染料析出試験、(2)低温保存後染料析出試験、(3)初期導入性試験、(4)ブリーディング評価のいずれにおいても良好であり、特に[B/A]が0.3以上であると、低温保存後染料析出試験において、インクから固形物が全く析出せず、また、[C/A]が4以上であると、蒸発試験後染料析出試験においてインクから固形物が全く析出せず、良好な結果を得られたが、比較例1〜5のインクにおいては、[B/A]が0.2に満たない比較例1、2、5では低温保存後染料析出試験の結果が劣り、[C/A]が3に満たない比較例1、3、4では蒸発試験後染料析出試験の結果が劣ることがわかる。また、インク中のグリコールエーテル(成分(b))の含有量が10重量%を超える比較例6、及びインク中の水溶性有機溶剤(成分(c))の含有量が40重量%を超える比較例7で得られたインクでは、ブリーディング評価の結果が劣っていることがわかる。したがって、本発明の実施例のインクによれば、インクの水分蒸発時や低温時などにおいて、インク中から染料等の異物が発生せず、良好な長期保存性を実現でき、また、ブリーディングが抑制されることがわかる。
また、実施例4及び7と他の実施例を比較することにより、式(1)の界面活性剤の添
加により初期導入試験の結果を向上させられることがわかる。
本発明のインクジェット記録用水性インクは、着色剤としてC.I.ダイレクトイエロー132を含有する、長期保存安定性の優れたインクジェット記録用水性インクとして有用である。特に、本発明のインクジェット記録用水性インクは、インクジェットプリンタにとって劣悪な使用環境であると考えられている高温地域、乾燥地域、寒冷地域という環境変化や、インク輸送時や保管時の温度変化にもかかわらず、C.I.ダイレクトイエロー132を含有するインクの安定な使用を実現することができる。

Claims (9)

  1. 以下の成分(a)〜(c):
    (a)C.I.ダイレクトイエロー132 0.1重量%〜4.0重量%;
    (b)ジプロピレングリコールプロピルエーテル 0.5重量%以上; 及び
    (c)20℃におけるC.I.ダイレクトイエロー132の溶解度が5%以上である水溶性有機溶剤
    を含有するインクジェット記録用水性インクであって、以下の(I)及び(II)
    Figure 0004259493

    (式中、Aはインク中に含まれている成分(a)の組成重量、Bは成分(b)の組成重量、Cは成分(c)の組成重量をそれぞれ表す。)
    を満たし、成分(c)の水溶性有機溶剤の含有量がインク全量に対して40重量%以下であることを特徴とするインクジェット記録用水性インク。
  2. 成分(b)のジプロピレングリコールプロピルエーテルの含有量がインク全量に対して10重量%以下である請求項1記載のインクジェット記録用水性インク。
  3. 成分(c)の水溶性有機溶剤に対するC.I.ダイレクトイエロー132の溶解度が、−20℃においても5%以上である請求項1又は2記載のインクジェット記録用水性インク。
  4. 2〜5mPa・sの粘度を有する請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インク。
  5. 更に、界面活性剤をインク全量に対して0.01〜5重量%で含有する請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インク。


  6. 界面活性剤が、式(1)
    Figure 0004259493

    (式(1)中、xは12又は13である。)
    の界面活性剤を含有する請求項5記載のインクジェット記録用水性インク。
  7. 成分(c)の水溶性有機溶剤が、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、重量平均分子量190〜210のポリエチレングリコール、N−メチル−2−ピロリドンからなる群より選択される少なくとも一種の水溶性有機溶剤である請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インク。
  8. 更に、成分(a)のC.I.ダイレクトイエロー132以外の染料を含有する請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インク。
  9. 更に、水及びグリセリンを含有する請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インク。
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