JP4258907B2 - 車両制動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液圧ブレーキの制動力と補助ブレーキの制動力との和を車両制動力として協調制御するブレーキ制御手段を備えた車両制動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気自動車やハイブリッド車両などのようにモータを備えた車両の多くは、エネルギーを有効に利用するために、液圧ブレーキの他に回生ブレーキを備えている。この種の車両では、液圧ブレーキの制動力(液圧制動力ともいう)と回生ブレーキの制動力(回生制動力ともいう)との配分を適宜設定することにより、最適な制動力及び回生電力が発生するように協調制御を実施している。
【0003】
例えば従来のハイブリッド車両としては、図9に示すように、各ECUに駆動要求値を出す回生ECU110と、回生ECU110からの駆動要求値に応じてインバータ180を介して前輪駆動用のモータ170を制御するモータECU120と、車載バッテリ190の充電状態の監視を行うバッテリECU130と、回生制動と液圧制動との協調制御を行うブレーキECU140と、ブレーキECU140からの制御信号に応じて切替制御される協調制御系バルブ150と、運転者の操作するブレーキペダルBPの力を受けてブレーキ液圧を発生させるハイドロブースタシステム160とを備えたものが知られている。
【0004】
このハイブリッド車両において、運転者によりブレーキペダルBPが踏み込まれると、ブレーキECU140は、その踏み込み量に応じた目標車両制動力(=通常の液圧ブレーキだけの車両と同等の制動力、以下同じ)を算出すると共にその目標車両制動力に応じて決まる回生制動力を求め、その回生制動力を要求回生制動力として回生ECU110に送信する。すると、回生ECU110は、その要求回生制動力に基づいてモータECU120に回生制御を実行させ、そのときの実際の回生制動力を検出し、これを実行回生制動力としてブレーキECU140へ返信する。すると、ブレーキECU140は、目標車両制動力から実行回生制動力を差し引いた分を液圧制動力とし、この液圧制動力に応じた目標W/C圧を求め、各車輪のW/C圧力がこの目標W/C圧になるように協調制御系バルブ150を切り替える。
【0005】
図10は、このハイブリッド車両の油圧回路の概略説明図である。ハイドロブースタシステム160は、一般的なブレーキと同様にピストンのストロークに応じた液圧を発生するM/C161と、油圧ポンプ163により増圧された油を蓄えたアキュムレータ164から供給される高圧油をペダル踏力に比例してM/C圧と同圧に調圧するレギュレータ162とを備えている。なお、油圧ポンプ163にはリザーバ165から油が供給される。
【0006】
レギュレータ162の油圧は、協調制御系バルブ150を介して前後左右の各W/Cに供給される。協調制御系バルブ150は、増圧用のリニアソレノイドバルブSLAと減圧用のリニアソレノイドバルブSLRとを備え、両バルブSLA、SLRはブレーキECU140からの制御信号により開閉して各W/C圧を調整する。協調制御系バルブ150の下流は、前側左右輪のW/Cへ導かれる前側油路166と、後側左右輪のW/Cへ導かれる後側油路167とに分かれている。前側油路166は、通常時通電されて開放状態になっている切替ソレノイドバルブSSを備え、このバルブSSの下流において前側左輪のW/Cに至る油路168と前側右輪のW/Cに至る油路169とに分岐されている。各分岐油路168、169は、増圧バルブSHと減圧バルブSRとからなる周知のABSソレノイドバルブSABSを備えている。また、後側油路167は、同様のABSソレノイドバルブSABSを備え、更にその下流にP&Bバルブを備えている。
【0007】
M/C圧は、P&Bバルブに供給されると共に、運転者の踏力に応じてペダルストロークを発生させるストロークシミュレータSSIに供給され、更に、通常時通電されて閉鎖状態になっている切替ソレノイドバルブSMC1、SMC2を介して前側左右各輪のW/Cに接続されている。したがって、通常時、左右前後の各輪のW/Cには、レギュレータ圧が供給される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記ハイブリッド車両では、ブレーキペダルの踏み込み量が小さく、全車両制動力を回生制動力のみで賄える場合には、液圧制動力は不要とされる。このため、協調制御系バルブ150の増圧用のリニアソレノイドバルブSLAは閉鎖され、且つ切替ソレノイドバルブSMC1、SMC2も閉鎖される。その後、ブレーキペダルの踏み込み量が増加して全車両制動力を回生制動力のみでは賄い切れなくなった場合には、液圧制動力が必要になるため、切替ソレノイドバルブSMC1、SMC2を閉鎖したままリニアソレノイドバルブSLAが開放され、各W/Cにレギュレータ圧が供給される。このように液圧制動力が必要になったとき、バルブSLAが閉鎖状態のまま開放しないというシステムフェイルが発生する場合があり得る。その場合には、各バルブのソレノイドをオフにして対処する。このとき、切替ソレノイドバルブSMC1、SMC2は開放状態となるため、前側左右両輪のW/CにはM/C圧が供給され、ブレーキペダルの踏み込み量に応じた制動力が得られることになる。
【0009】
しかしながら、上記ハイブリッド車両のようにハイドロブースタシステム160の下流側に協調制御系バルブ150を設置した場合には、この協調制御系バルブ150が故障したときやハイドロブースタシステム160が故障したときを想定して切替ソレノイドバルブSMC1、SMC2等を設置する必要があり、回路構成が煩雑になるという問題があった。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、従来の協調制御系バルブや切替ソレノイドバルブを用いることなく協調制御可能な車両制動方法及び車両制動装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するために、本発明は、
液圧ブレーキと、
前記液圧ブレーキの制動力と補助ブレーキの制動力との和を車両制動力として協調制御するブレーキ制御手段と、
ブレーキペダル入力値を検出する入力値検出手段と、
前記入力値検出手段によって検出されたブレーキペダル入力値に対応する目標車両制動力を出力する目標車両制動力出力手段と、
前記目標車両制動力出力手段によって出力された目標車両制動力から、前記ブレーキペダル入力値に対応する前記液圧ブレーキの最小制動力(マスタシリンダ圧によって発生する制動力)を差し引いた差分を割振制動力として出力する割振制動力出力手段と、
を備え、
前記液圧ブレーキは、
マスタシリンダ(以下M/Cという)とホイールシリンダ(以下W/Cという)とを繋ぐ第1油路に設けられ、M/C圧がW/C圧よりも高い場合には前記M/Cから前記W/Cへのブレーキ液の流れを許容し、W/C圧がM/C圧よりも高い場合には前記W/Cから前記M/Cへのブレーキ液の流れを禁止してW/C圧をM/C圧以上に維持する逆止弁と、
圧力調整されたブレーキ液を前記W/Cへ供給するブレーキ液供給手段と
を備え、
前記ブレーキ液供給手段は、
前記W/Cへ高圧のブレーキ液を供給するポンプと、
前記M/Cと前記W/Cとを繋ぐ第2油路に設けられ、W/C圧がM/C圧よりも開弁圧だけ高くなるように維持し、その開弁圧が可変である制御弁と
を備え、
前記ブレーキ制御手段は、
前記割振制動力出力手段によって出力された前記割振制動力から前記補助ブレーキの制動力を差し引いた差分を前記液圧ブレーキの配分制動力とし、前記最小制動力と前記配分制動力との和を前記液圧ブレーキの目標制動力として前記補助ブレーキの制動力に応じて前記ブレーキ液供給手段が前記W/Cへ供給するブレーキ液の圧力を調整する際、前記制御弁の開弁圧を調整する
ことを特徴とする。
【0012】
本発明では、ブレーキ制御手段は、液圧ブレーキの制動力と補助ブレーキの制動力との和が車両制動力となるように協調制御する。そして、補助ブレーキの制動力に応じて、W/Cへ供給されるブレーキ液の圧力が決定されるため、補助ブレーキの制動力に応じて液圧ブレーキの制動力が決まることになる。しかし、本発明では、W/C圧は、M/CとW/Cとを繋ぐ第1油路に設けられた逆止弁により、絶えずM/C圧以上に維持されている。このため、ブレーキペダルが踏み込まれてM/C圧が発生したとき、W/C圧がM/C圧を下回っていれば、この逆止弁が作動してW/C圧はM/C圧以上に維持される。つまり、本発明ではブレーキペダルを踏み込むと、液圧ブレーキの制動力として、最低限、M/C圧によって発生する液圧制動力(つまり最小制動力)が働くことになり、補助ブレーキの制動力の最大値は、車両制動力から液圧ブレーキの最小制動力を差し引いた差分となる。また、万一、ブレーキ制御手段やブレーキ液供給手段に何らかの故障が発生して、圧力調整されたブレーキ液がW/Cへ供給されなくなったとしても、最低限、液圧ブレーキの最小制動力は働く。
【0013】
したがって、本発明によれば、協調制御において液圧制動力を発生させたり発生させなかったりするためのバルブ切替を行う必要がなく、従来の協調制御系バルブや切替ソレノイドバルブを用いることなく協調制御を実行でき、油圧回路構成が簡易になる。また、逆止弁の存在によりフェイルセーフ上も従来に比べて有利である。
【0014】
なお、「補助ブレーキ」とは、例えば回生ブレーキ、排気ブレーキ、エンジンブレーキなどである。また、本発明における「制動力」とは、制動力そのもののほか、減速度などのように制動力と同一視できる物理量を含む概念である。
また、本発明のブレーキ液供給手段は、W/Cへ高圧のブレーキ液を供給するポンプと、M/CとW/Cとを繋ぐ第2油路に設けられた制御弁とを備えた構成を採用している。これにより、ブレーキ液供給手段はポンプと制御弁という比較的簡素な構成で実現できる。ここで用いる制御弁は、W/C圧がM/C圧よりも開弁圧だけ高くなるように維持し、その開弁圧が可変なものである。また、このときブレーキ制御手段は、W/Cへ供給されるブレーキ液の圧力を調整する際、制御弁の開弁圧を調整することになる。
【0016】
また、本発明によれば、あるブレーキペダル入力値に対応する目標車両制動力を達成する際、この目標車両制動力から、そのブレーキペダル入力値に対応する液圧ブレーキの最小制動力を差し引いた差分を割振制動力とし、この割振制動力から、補助ブレーキの制動力を差し引いた差分を液圧ブレーキの配分制動力とし、最小制動力と配分制動力との和を液圧ブレーキの目標制動力として液圧ブレーキのブレーキ供給手段を制御する。ここで、「液圧ブレーキの最小制動力」とは、前述の通りM/C圧によって発生する液圧制動力のことであり、目標車両制動力を達成する際に必ず働く制動力である。また、「目標車両制動力」とは、通常の液圧ブレーキだけの車両と同等の制動力をいい、「ブレーキペダル入力値」とは、例えばブレーキペダルに入力される踏力やブレーキペダルのストローク長さやM/C圧などである。
【0017】
本発明では、割振制動力を補助ブレーキと液圧ブレーキとでどのように割り振ってもよいが、割振制動力につき、補助ブレーキの制動力で賄い切れる場合には補助ブレーキの制動力のみで賄うこととし、補助ブレーキの制動力で賄い切れない場合にはその賄えない分につき液圧ブレーキの配分制動力とするのが好ましい。この場合、割振制動力は、できる限り補助ブレーキの制動力で賄われるため、液圧ブレーキに用いられるブレーキパッドあるいはブレーキシューの摩耗を抑制できる。
【0018】
本発明では、W/C圧はM/C圧以上に制御されているため、逆止弁は通常閉鎖している。したがって、運転者がブレーキペダルを踏むと、M/C圧は上昇するもののM/Cのブレーキ液の逃げ場がないためペダルストロークがほとんどなく、運転者は違和感を感じる。また、回生協調により割振液圧(つまり割振制動力のうちの液圧ブレーキの配分制動力)を減少させた場合、W/C圧減少分の油量がM/Cに戻りペダルが戻されるため、車両減速度とペダルストロークとの関係が割振制動力の補助ブレーキと液圧ブレーキの配分比により異なることとなり、運転者は違和感を感じる。これらの点を解消すべく、本発明では、ブレーキペダル入力に応じてペダルストロークを発生させるストロークシミュレータがM/Cに接続されていることが好ましい。この場合、ストロークシミュレータの作用により良好なブレーキフィーリングが得られる。
【0019】
本発明では、補助ブレーキが回生ブレーキであることが好ましい。近年、電気自動車やハイブリッド車両のようにモータを備えた車両の開発が盛んであるが、この種の車両においてエネルギーを有効に利用しつつシステムフェイル時の対応を容易に行うことを考慮すれば、本発明の車両制動装置の構成が好ましい。また、回生効率を考慮すれば、割振制動力につき、回生ブレーキの制動力で賄い切れる場合には回生ブレーキの制動力のみで賄うこととし、回生ブレーキの制動力で賄い切れない場合にはその賄えない分につき液圧ブレーキの配分制動力とするのが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
図1は本実施形態のシステム構成図、図2は本実施形態の油圧回路構成図である。ハイブリッド車両は、図1に示すように、各ECUに駆動要求値を出す回生ECU10と、回生ECU10からの駆動要求値に応じてインバータ80を介してモータ70を制御するモータECU20と、車載バッテリ90の充電状態の監視を行うバッテリECU30と、踏力センサ41の検出信号(ブレーキペダルBPに入力された踏力)に基づいて回生制動と液圧制動との協調制御を行うブレーキECU40と、運転者の操作するブレーキペダルBPの力を受けてブレーキ液圧を発生するM/C51と、W/C圧をM/C圧以上に維持する第1逆止弁52と、W/Cへ供給するブレーキ液圧がブレーキECU40からの制御信号によって制御されるブレーキ液供給部60とを備えている。なお、モータ70は、前側左右輪FL、FRを駆動するものである。また、インバータ80は、モータECU20から供給される制御信号に応じて、車載バッテリ90の放電電力(直流電力)を交流電力に交換してモータ70に供給したり、モータ70によって発電される交流電力を充電電力(直流電力)に交換して車載バッテリ90を充電したりするものである。
【0021】
ここで、本実施形態の液圧ブレーキの油圧回路構成について図2に基づいて詳説する。M/C51は、ブレーキペダルBPが踏み込まれるとリターンスプリング51bの付勢力に抗してM/Cピストン51aが押圧され、その押圧力に応じたM/C圧を発生する。本実施形態のM/C51はブースタを備えていないが、必要に応じてブースタを備えた構成としてもよい。
【0022】
このM/C51は、油路6を介して各車輪のW/Cに接続されている。この油路6には、第1逆止弁52とW/Cリニア弁53とが並列に設けられている。第1逆止弁52は、M/C51とW/Cとを繋ぐ第1油路6aに設けられ、W/C圧がM/C圧を下回ったときにM/C51から各車輪のW/Cへのブレーキの流れを許容して常にW/C圧をM/C圧以上に維持する役割を果たす。また、W/Cリニア弁53は、M/C51とW/Cとを繋ぐ第2油路6bに設けられ、非通電時には油路6を連通し、通電時には所定の開弁圧を境にして開閉する。つまり、W/Cリニア弁53は、通電時には差圧弁として機能する(図2参照)。このW/Cリニア弁53が差圧弁として機能するときの開弁圧は、ブレーキECU40によって調整される。
【0023】
油路6のうちM/C51とW/Cリニア弁53との間には、M/C圧を検出するための油圧センサ58が設けられている。この油圧センサ58は、検出したM/C圧をブレーキECU40へ出力するものである。
油路6のうちW/Cリニア弁53と各車輪のW/Cとの間には、油圧ポンプ54の吐出側が接続されている。この油圧ポンプ54は、ブレーキECU40の制御信号に応じて作動、不作動が制御され、作動時にはリザーバ55のブレーキ液を吸い込み、これを高圧化して各車輪のW/Cへ吐出する。この油圧ポンプ54とW/Cリニア弁53とがブレーキ液供給部60を構成している。なお、リザーバ55はM/C用リザーバ(図示せず)とは別に設けられている。
【0024】
W/Cリニア弁53とM/C51との中間点とリザーバ55とを結ぶ油路7には、ストロークシミュレータバルブ56と第2逆止弁57とが並列に設けられている。ストロークシミュレータバルブ56は、非通電時にはリザーバ55とM/C51とを遮断し、通電時には所定の開弁圧を境にして開閉する。つまり、ストロークシミュレータバルブ56は、通電時には差圧弁として機能する(図2参照)。このストロークシミュレータバルブ56が差圧弁として機能するときの開弁圧は、W/Cリニア弁53と同様、ブレーキECU40によって調整される。このストロークシミュレータバルブ56の開弁圧は、ブレーキペダルBPの踏み込みフィーリングを考慮して設定されるが、例えば油圧センサ58によって検出されたM/C圧に対応するストロークシミュレータバルブ56の開弁圧を、予めメモリに記憶されたマップ、テーブル又は演算式に基づいて求めるようにしてもよい。なお、ブレーキペダルBPの踏み込みを解除した場合には、M/Cピストン51aがリターンスプリング51bの付勢力により元の位置に戻るが、このときM/C51内のブレーキ液の収支が合うように、第2逆止弁57を介してリザーバ55のブレーキ液がM/C51に補給され、リザーバ55への可能流入油量は一定に保たれる。
【0025】
続いてW/Cリニア弁53の一例を図3に基づいて説明する。図3はW/Cリニア弁の断面図である。W/Cリニア弁53は、主にガイド531、シートバルブ532、コイル533、プランジャ536、シャフト537から構成されている。ガイド531は磁性体製であり、上下方向に貫通する上下通孔531aと、上下通孔531aと略直交する方向に貫通する水平通孔531bが形成されている。シートバルブ532は、上下通孔531aのうち水平通孔531bよりも下側に圧入されている。このシートバルブ532には、上下方向に貫通する貫通孔532aが形成されている。
【0026】
ソレノイドとしてのコイル533は、ガイド531の上方に設けられたヨーク534の内側に設置されている。このコイル533は、ブレーキECU40に電気的に接続され、ブレーキECU40により、通電・非通電が制御されると共に通電時にはその電流量が制御される。このコイル533の内側には非磁性体からなるスリーブ535が配設され、このスリーブ535の内側には可動鉄心であるプランジャ536が上下動可能に配置されている。このプランジャ536には非磁性体からなるシャフト537がかしめられており、この結果プランジャ536とシャフト537とは一体化になって上下動する。このシャフト537には、シートバルブ532のシート面532bに対向するように弁体537aが形成されている。また、このシャフト537には鍔部537bが設けられ、この鍔部537bとシートバルブ532との間にはスプリング538が配設されている。このスプリング538により、弁体537aを含むシャフト537はプランジャ536と共に上方に付勢されている。なお、上下通孔531aと水平通孔531bとは、シートバルブ532を介して接続されているほか、別途、第1逆止弁52(チェック弁)を介して接続されている。つまり、W/Cリニア弁53は第1逆止弁52を内蔵している。
【0027】
このW/Cリニア弁53は、ガイド531の上下通孔531aの下側開口がW/Cに連通され、ガイド531の水平通孔531bの開口がM/C51に連通されている。このW/Cリニア弁53は、コイル533に通電されていない状態ではスプリング538により弁体537aがシート面532bから上方へ離間されているため開放状態であり(ノーマル・オープン)、コイル533に通電された状態では電流量に応じた吸引力(ガイド531がプランジャ536を吸引する力)が発生するため弁体537aは力のバランス位置で維持される。力のバランス位置では、吸引力:Fi、スプリング力:Fs、開弁圧:P、シートバルブ油路面積:Sとすると、Fi=Fs+P*Sが成り立つ。
【0028】
第1逆止弁52は、M/C圧の方がW/C圧よりも高く場合にはM/C51からW/Cの向きのブレーキ液の流れを許容し、逆にW/C圧の方がM/C圧よりも高い場合にはW/CからM/C51へのブレーキ液の流れを禁止する。後者の場合には、ブレーキ液はシートバルブ532を介してW/CからM/C51へと流れることになる。
【0029】
続いてストロークシミュレータバルブ56の一例を図4に基づいて概説する。図4はストロークシミュレータバルブの概略説明図である。ストロークシミュレータバルブ56は、主にガイド561、シートバルブ562、コイル563、プランジャ566、シャフト567から構成されている。ガイド561は非磁性体製であり、上下方向に貫通する上下通孔561aと、上下通孔561aと略直交する方向に貫通する水平通孔561bが形成されている。シートバルブ562は、上下通孔561aのうち水平通孔561bよりも下側に圧入されている。このシートバルブ562には、上下方向に貫通する貫通孔562aが形成されている。
【0030】
ソレノイドとしてのコイル563は、ガイド561の上方に設けられたヨーク564の内側に設置されている。このコイル563は、ブレーキECU40に電気的に接続され、ブレーキECU40により、通電・非通電が制御されると共に通電時にはその電流量が制御される。このコイル563の内側には非磁性体からなるスリーブ565が配設され、このスリーブ565の内側には可動鉄心であるプランジャ566が上下動可能に配置されている。プランジャ566の上方には磁性体からなるコアステータ569が設置され、コアステータ569とプランジャ566との間にはスプリング568が配設されている。このプランジャ566には非磁性体からなるシャフト567がかしめられており、この結果プランジャ566とシャフト567とは一体になって上下動する。このシャフト567には、シートバルブ562のシート面562bに対向するように弁体567aが形成されている。弁体567aを含むシャフト567及びプランジャ566は、スプリング568により下方に付勢されている。なお、上下通孔561aと水平通孔561bとは、シートバルブ562を介して接続されているほか、別途、第2逆止弁57(チェック弁)を介して接続されている。つまり、ストロークシミュレータバルブ56は第2逆止弁57を内蔵している。
【0031】
このストロークシミュレータバルブ56は、ガイド561の上下通孔561aの下側開口がM/C51に連通され、ガイド561の水平通孔561bの開口がリザーバ55に連通されている。また、コイル563に通電されていない状態ではスプリング568により弁体567aはシート面562bに押し付けられているため閉鎖状態であり(ノーマル・クローズ)、コイル563に通電された状態では電流量に応じた吸引力(コアステータ569がプランジャ566を吸引する力)が発生するため弁体567aは力のバランス位置で維持される。
【0032】
第2逆止弁57は、リザーバ圧の方がM/C圧よりも高く場合にはリザーバ55からM/C51へのブレーキ液の流れを許容し、逆にM/C圧の方がリザーバ圧よりも高い場合にはM/C51からリザーバ55へのブレーキ液の流れを禁止する。後者の場合、ブレーキ液はストロークシミュレータバルブ56のシートバルブ562を介してM/C51からリザーバ55へと流れることになる。
【0033】
次に、ブレーキペダル操作時における本実施形態のハイブリッド車両の動作について、図5に基づいて説明する。図5はブレーキペダルBPの踏み込み開始後にブレーキECU40が繰り返し実行するブレーキ制御のフローチャートである。車両走行時(非制動時)にはW/Cリニア弁53及びストロークシミュレータバルブ56は共に非通電状態だが、車両制動時にはW/Cリニア弁53及びストロークシミュレータバルブ56は共に通電されて差圧弁として機能する(図2参照)。
【0034】
車両走行時に運転者によりブレーキペダルBPが踏み込まれると、踏力センサ41はブレーキペダル入力値としてのペダル踏力をブレーキECU40に出力する。すると、ブレーキECU40は、このペダル踏力に対応する目標車両制動力を予めメモリに記憶されたマップ、テーブル又は演算式に基づいて出力すると共に、油圧センサ58からM/C圧を入力する(S10)。次いで、この目標車両制動力から、M/C圧によって発生する制動力(液圧ブレーキの最小制動力)を差し引いた差分を割振制動力として求め、この割振制動力を要求回生制動力として回生ECU10に送信する(S20)。すると、回生ECU10は、その要求回生制動力に基づいてモータECU20に回生制御を実行させ、そのときの実際の回生制動力を検出し、これを実行回生制動力としてブレーキECU40へ返信する。ブレーキECU40は、この実行回生制動力を受信し(S30)、目標車両制動力と実行回生制動力との差分、換言すれば要求回生制動力と実行回生制動力との差分(=配分制動力)とM/C圧に対応する制動力との和、を液圧ブレーキの目標制動力(目標液圧制動力)とし(S40)、この目標液圧制動力に応じた目標W/C圧を予めメモリに記憶されたマップ、テーブル又は演算式に基づいて求め(S50)、W/C圧がこの目標W/C圧になるようにW/Cリニア弁53の開弁圧を制御すると共に油圧ポンプ54を駆動する(S60)。なお、W/C圧はM/C圧と開弁圧との和(W/C圧=M/C圧+開弁圧)であるため、W/Cリニア弁53の開弁圧制御においては、目標W/C圧からM/C圧を差し引いた差圧分を開弁圧として設定する。
【0035】
本実施形態では、例えば油圧ポンプ54が作動不良になった場合、ブレーキECU40はW/Cリニア弁53及びストロークシミュレータバルブ56を非通電とする。するとW/Cリニア弁53は開放状態になり、ストロークシミュレータバルブ56は閉鎖状態になり、W/C圧がM/C圧と一致するため、車両には液圧ブレーキによる最小制動力が働く。そしてその後、ブレーキペダルBPの踏み込みを解除するとM/C圧が下がり、それに応じてW/C圧も下がる。また、ストロークシミュレータバルブ56は閉鎖されているため、M/C51からリザーバ55への油路が絶たれてブレーキペダルBPの無駄なストロークをなくすことができる。この点につき、図10の従来例では常にストロークシミュレータSSIに油が供給されるようになっているため、故障時にはW/CとストロークシミュレータSSIの両方に油を供給しなければならず、正常時に対して減速度−踏力、減速度−ペダルストロークの両方の関係が崩れることになるが、本実施形態では減速度−ペダルストロークの関係は崩れない。
【0036】
ところで、油圧ポンプ54が作動不良になった場合、W/Cリニア弁53にも作動不良が発生して通電状態から非通電状態に切り替えられないという事態も考えられる。しかし、そのような事態が生じたとしても、ブレーキペダルBPが踏み込まれることによって発生したM/C圧がW/C圧を上回れば、第1逆止弁52が開放されてW/C圧がM/C圧と一致し、車両には液圧ブレーキによる最小制動力が働き、フェイルセーフが確実に行われる。この場合にはブレーキペダルBPの踏み込みを解除してもW/C圧は下がらないものの、フェイルセーフの観点からすれば特に問題はない。つまり、本実施形態では、油圧ポンプ54が作動不良になった場合、敢えてW/Cリニア弁53を非通電にしなくても、第1逆止弁52の存在により車両には最小制動力が働くためフェイルセーフ上問題はない。
【0037】
図6はペダル踏力とW/C圧との関係を表すグラフである。図5のS60におけるW/Cリニア弁53の開弁圧制御につき、実行回生制動力が最大即ち要求回生制動力と一致する場合には、開弁圧はブレーキECU40により最小値即ちゼロに設定される。このときのペダル踏力とW/C圧との関係は図6の直線Lつまり液圧ブレーキの最小制動力の特性となる。なお、液圧ブレーキの最小制動力は、少なくとも法規上要求される最低限の車両制動力以上となるように設定されている。また、実行回生制動力が最小即ちゼロの場合には、開弁圧はブレーキECU40によりペダル踏力とW/C圧との関係が図6の直線Hつまり液圧ブレーキの制動力が目標車両制動力と一致する特性となるように設定される。更に、実行回生制動力がゼロから最大までの中間の場合には、開弁圧はブレーキECU40によりペダル踏力とW/Cとの関係が図4の直線Lと直線Hとの間の領域となるように設定される。
【0038】
図7はブレーキペダルBPの踏み込み時間と車両制動力との関係を表すグラフである。このグラフは、ブレーキペダルBPを踏み込んだ当初は車載バッテリ90が満充電つまり回生制動力を発生しない状態であり、その後車載バッテリ90の充電が必要になり回生制動力を発生する状態になり、その後再び車載バッテリ90が満充電になって回生制動力を発生しない状態に至った、という場合を想定して描かれたものである。
【0039】
図7のグラフにおいて、ブレーキペダルBPの踏み込み当初は回生制動力なしのため(図中(I)参照)、割振制動力(=要求回生制動力)のすべてを液圧ブレーキの制動力で賄うことになり、M/C圧によって発生する制動力(=最小制動力)と割振制動力との和即ち目標車両制動力が得られるようにW/Cリニア弁53の開弁圧が制御される。このときのW/C圧は図6の直線Hと一致する。その後、回生制動力を発生する状態になり、その実行回生制動力が徐々に増大するにつれ(図中(II)参照)、開弁圧は割振制動力から実行回生制動力を差し引いた差分(=配分制動力)に対応する圧力値となるように制御される。このときのW/C圧は図6の直線Hと直線Lとの間を変動する。更に、実行回生制動力が最大になったとき(図中(III)参照)、割振制動力のすべてが回生制動力により賄われるため、開弁圧はゼロとなるように制御される。このとき、W/C圧はM/C圧と一致する。つまり図6の直線Lと一致する。その後、実行回生制動力が徐々に減少するにつれ(図中(IV)参照)、開弁圧は割振制動力から実行回生制動力を差し引いた差分(=配分制動力)に対応する圧力値となるように制御される。このときのW/C圧は図6の直線Lと直線Hとの間を変動する。
【0040】
なお、本実施形態の第1逆止弁52が本発明の逆止弁に相当し、油圧ポンプ54が本発明のポンプに相当し、W/Cリニア弁53が本発明の制御弁に相当する。また、本実施形態の踏力センサ41が本発明の入力値検出手段に相当し、ブレーキECU40が目標車両制動力出力手段、割振制動力出力手段及びブレーキ制御手段に相当し、図5のS10が目標車両制動力出力手段の処理に相当し、S20が割振制動力出力手段の処理に相当し、S40〜S60がブレーキ制御手段の処理に相当する。
【0041】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
▲1▼目標車両制動力を達成する際には液圧ブレーキの制動力が必ず働くため、液圧ブレーキを作動させたり作動させなかったりする従来のような協調制御系バルブや切替ソレノイドバルブを用いることなく協調制御を実行でき、油圧回路構成が簡易になる。また、第1逆止弁52の存在によりフェイルセーフ上も従来に比べて有利である。
▲2▼要求回生制動力である割振制動力につき、回生制動力で賄い切れる場合には回生制動力のみで賄い、回生制動力で賄い切れない場合にはその賄えない分につき液圧制動力で賄う。つまり、割振制動力についてはできる限り回生制動力で賄われるため、液圧ブレーキに用いられるブレーキパッドあるいはブレーキシューの摩耗を抑制でき、加えて高い回生効率でエネルギーを回生できる。
▲3▼ブレーキ液供給部60は、油圧ポンプ54とW/Cリニア弁53という簡素な構成で実現できる。
▲4▼ブレーキペダル入力に応じてペダルストロークを発生させるストロークシミュレータバルブ56が設けられているため、良好なブレーキフィーリングが得られる。
▲5▼ブレーキペダルBPの踏み増し時にM/C圧がW/C圧を上回った場合には、第1逆止弁52を介して直ちにW/C圧をM/C圧に一致させるため、良好なブレーキレスポンスが得られる。
【0042】
[第2実施形態]
図8は第2実施形態の油圧回路構成図である。この油圧回路は、第1実施形態において、第2油路6b及びW/Cリニア弁53を用いる代わりに、油路6のうち第1逆止弁52と各車輪のW/Cとの間からリザーバ55へ至る油路8を設けて、この油路8にW/Cリニア弁153を設けたものである。なお、第2実施形態につき、第1実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付し、その説明を省略する。W/Cリニア弁153はブレーキECU40によって開弁圧が制御される。また、W/C圧はリザーバ圧と開弁圧との和となる。この第2実施形態では、第1実施形態とほぼ同様のブレーキ制御が実行されるが、S60における開弁圧制御においては次のように処理される。即ち、実行回生制動力が最大即ち要求回生制動力と一致する場合には、W/Cリニア弁153の開弁圧はW/C圧とM/C圧とが一致するように即ち最小値となるように制御される。また、実行回生制動力が最小即ちゼロの場合には、W/Cリニア弁153の開弁圧は液圧制動力が目標車両制動力と一致するように即ち最大値となるように制御される。更に、実行回生制動力がゼロから最大までの中間の場合には、W/Cリニア弁153の開弁圧は最小値と最大値との間に設定される。
【0043】
第2実施形態では、例えば油圧ポンプ54が作動不良になった場合、ブレーキECU40はW/Cリニア弁153及びストロークシミュレータバルブ56を共に非通電とし閉鎖状態にする。このときブレーキペダルBPが踏み込まれることによって発生したM/C圧がW/C圧を上回れば、第1逆止弁52が開放されてW/C圧がM/C圧と一致し、車両には液圧ブレーキによる最小制動力が働き、フェイルセーフが確実に行われる。この場合にはブレーキペダルBPの踏み込みを解除してもW/C圧は下がらないものの、フェイルセーフの観点からすれば特に問題はない。但し、W/C圧を下げたいという要望がある場合には、W/Cリニア弁153を通電として開放状態にすればよい。また、W/Cリニア弁153及びストロークシミュレータバルブ56は閉鎖されているため、M/C51からリザーバ55への油路が絶たれてブレーキペダルBPの無駄なストロークをなくすことができる。以上の第2実施形態によれば、第1実施形態とほぼ同様の効果が得られる。
【0044】
尚、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態における油圧回路を利用すれば、いわゆるジャンピング可変を採用することができる。一般に、ブレーキペダルの踏力と減速度との関係は、踏力が小さい場合(ブレーキペダルの踏み込み始め)では減速度が比較的小さな割合で増加していき、踏力が大きい場合(ブレーキペダルをある程度踏み込んだ後)では減速度が比較的大きな割合で増加していく。このため、ブレーキペダルの踏力が所定値に達するとM/C圧がジャンプしたかのように急に大きくなる。このときのM/C圧をPjumpとする。ところで、制動距離は走行速度に依存するため、低速走行時と高速走行時とでは制動力が同じであっても制動距離が異なる。このため、低速走行時にはPjumpを小さく設定し、高速走行時にはPjumpを大きく設定すれば、低速走行時と高速走行時とでブレーキペダルの踏力が同じでもM/C圧が異なることから制動力が異なり、この結果、低速走行時の制動距離と高速走行時の制動距離との差が小さくなる。この点につき、従来のバキュームブースタではPjumpは予め定められた所定値以外に変化させることができなかったが、上記実施形態で用いた油圧回路ではW/Cリニア弁53の開弁圧を変化させることができるため、結果的に倍力比を変化させたのと同じ状況が得られ、Pjumpを可変とすることができる(ジャンピング可変)。具体的には、走行速度が大きくなるにつれてW/Cリニア弁53の開弁圧が大きくなるようにすれば、走行速度が大きくなるにつれて走行速度が大きいほどPjumpが大きくなり、低速走行時の制動距離と高速走行時の制動距離との差を小さくすることができる。
【0045】
また、上記実施形態における油圧回路を利用すれば、いわゆるビルドアップ機能を採用することもできる。ビルドアップ機能とは、同じ力でブレーキペダルを踏み続けている場合においてその踏み込み時間に応じて制動力(本件ではW/C圧)を上昇させる機能をいう。このビルドアップ機能により、制動距離を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態のハイブリッド車両のシステム構成図である。
【図2】 第1実施形態の油圧回路構成図である。
【図3】 W/Cリニア弁の断面図である。
【図4】 ストロークシミュレータバルブの断面図である。
【図5】 ブレーキ制御のフローチャートである。
【図6】 ペダル踏力とW/C圧との関係を表すグラフである。
【図7】 ブレーキ踏み込み時間と車両制動力との関係を表すグラフである。
【図8】 第2実施形態の油圧回路構成図である。
【図9】 従来のハイブリッド車両のシステム構成図である。
【図10】 従来のハイブリッド車両の油圧回路構成図である。
【符号の説明】
10・・・回生ECU、20・・・モータECU、30・・・バッテリECU、40・・・ブレーキECU、41・・・踏力センサ、51・・・マスタシリンダ、51a・・・マスタシリンダピストン、51b・・・リターンスプリング、52・・・第1逆止弁、53・・・W/Cリニア弁、54・・・油圧ポンプ、55・・・リザーバ、56・・・ストロークシミュレータバルブ、57・・・第2逆止弁、58・・・油圧センサ、70・・・モータ、80・・・インバータ、90・・・車載バッテリ。

Claims (4)

  1. 液圧ブレーキと、
    前記液圧ブレーキの制動力と補助ブレーキの制動力との和を車両制動力として協調制御するブレーキ制御手段と、
    ブレーキペダル入力値を検出する入力値検出手段と、
    前記入力値検出手段によって検出されたブレーキペダル入力値に対応する目標車両制動力を出力する目標車両制動力出力手段と、
    前記目標車両制動力出力手段によって出力された目標車両制動力から、前記ブレーキペダル入力値に対応する前記液圧ブレーキの最小制動力(マスタシリンダ圧によって発生する制動力)を差し引いた差分を割振制動力として出力する割振制動力出力手段と、
    を備え、
    前記液圧ブレーキは、
    マスタシリンダ(以下M/Cという)とホイールシリンダ(以下W/Cという)とを繋ぐ第1油路に設けられ、M/C圧がW/C圧よりも高い場合には前記M/Cから前記W/Cへのブレーキ液の流れを許容し、W/C圧がM/C圧よりも高い場合には前記W/Cから前記M/Cへのブレーキ液の流れを禁止してW/C圧をM/C圧以上に維持する逆止弁と、
    圧力調整されたブレーキ液を前記W/Cへ供給するブレーキ液供給手段と
    を備え、
    前記ブレーキ液供給手段は、
    前記W/Cへ高圧のブレーキ液を供給するポンプと、
    前記M/Cと前記W/Cとを繋ぐ第2油路に設けられ、W/C圧がM/C圧よりも開弁圧だけ高くなるように維持し、その開弁圧が可変である制御弁と
    を備え、
    前記ブレーキ制御手段は、
    前記割振制動力出力手段によって出力された前記割振制動力から前記補助ブレーキの制動力を差し引いた差分を前記液圧ブレーキの配分制動力とし、前記最小制動力と前記配分制動力との和を前記液圧ブレーキの目標制動力として前記補助ブレーキの制動力に応じて前記ブレーキ液供給手段が前記W/Cへ供給するブレーキ液の圧力を調整する際、前記制御弁の開弁圧を調整する
    ことを特徴とする車両制動装置。
  2. 請求項1記載の車両制動装置であって、
    前記ブレーキ制御手段は、前記割振制動力につき、前記補助ブレーキの制動力で賄い切れる場合には前記補助ブレーキの制動力のみで賄い、前記補助ブレーキの制動力で賄い切れない場合にはその賄い切れない分を前記液圧ブレーキの配分制動力とすることを特徴とする車両制動装置。
  3. 請求項1又は2記載の車両制動装置であって、
    前記M/Cには、前記ブレーキペダル入力に応じてペダルストロークを発生させるストロークシミュレータが接続されていることを特徴とする車両制動装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の車両制動装置であって、
    前記補助ブレーキが回生ブレーキであることを特徴とする車両制動装置。
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