JP4258275B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポート噴射エンジンでは、弱成層を形成することが困難である。燃料噴射弁から燃料が噴霧されるときの噴霧の貫徹力が強く、噴霧された燃料が吸気バルブや排気側筒内壁に衝突し拡散するからである。
【0003】
また、ポート噴射エンジンでは、点火プラグ周りに可燃混合気を形成することが困難である。混合気は、気流の影響を受けて拡散混合されるからである。
【0004】
特開2002−54535号公報(特許文献1)には、ポート噴射エンジンであって、噴射された燃料を筒内のタンブル流によって運んで、点火プラグ周りに濃い混合気を形成する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−54535号公報
【特許文献2】
特開2001−115842号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報の技術のように、タンブル流を使う方法であると、シリンダの細部のばらつき等に伴いタンブル流が不安定であることや、エンジン回転数等に応じてタンブル流の強さが変化することが原因となって、混合気を安定的に所望の位置に運ぶことが難しい。
【0007】
また、上記公報の技術では、吸気と燃料との吸気ポート内でのミキシングを抑制するために、吸気ポートの内部まで燃料噴射弁を突出させている。そのため、吸気ポートの実断面積が小さくなり、高速域で十分な空気量が得られない。
【0008】
本発明の目的は、点火プラグ周りに濃い混合気をより安定的に形成することのできる内燃機関の制御装置を提供することである。
本発明の他の目的は、点火プラグ周りに濃い混合気を形成する際の制御を行い易い内燃機関の制御装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の内燃機関の制御装置は、吸気ポートに燃料が噴射され、吸気バルブが開いたときに少なくとも前記燃料の一部が筒内に流入される内燃機関の制御装置であって、ピストンが下死点を過ぎた後に前記吸気バルブが閉じ、前記ピストンが前記下死点近傍にあるときに前記燃料が噴射され、且つ、噴射された前記燃料の貫徹力が前記吸気ポートへの吹き戻しを利用することにより抑制されて、点火プラグ周りの前記燃料が相対的に濃くなるように制御する。
【0010】
筒内に流入した燃料は、吸気への吹き返し気流によって、点火プラグの近傍に留まることから、点火プラグ周りを濃い混合気に形成することができる。このとき、燃料は、吸気流速の遅い下死点近傍で噴射されることから、吸気とミキシングされ難い。
【0011】
本発明の内燃機関の制御装置において、前記ピストンが前記下死点を過ぎた後に、前記燃料の噴射が開始されるように制御する。本発明によれば、吸気への吹き返し気流による噴霧の貫徹力の抑制効果を燃料の噴霧当初から利用することができる。
【0012】
本発明の内燃機関の制御装置において、前記内燃機関には、可変バルブタイミング・リフトシステムが用いられ、成層燃焼モードのときには、均質燃焼モードのときよりも吸気行程での作用角が大きくなるように制御する。
【0013】
これにより、吸気バルブの閉弁時期を、下死点を大きく過ぎて、吸気への吹き返し気流が生じる程度まで、換言すれば、噴霧された燃料の貫徹力を弱めて点火プラグの近傍まで戻す作用が得られる程度までの大遅角側に設定することができる。下死点近傍又は下死点を過ぎてから噴霧が開始された燃料が無理なく筒内に流入できるリフト量が実現できる。成層燃焼モードのときに、吸気行程でのリフト量が大きくなるように制御されることで、燃料噴射時の燃料の通過面積を大きく確保することができ、吸気バルブに燃料が衝突し、吸気ポート内で気流とミキシングされるおそれが少ない。
【0014】
本発明の内燃機関の制御装置において、前記燃料を噴射する燃料噴射弁は、前記吸気ポートの断面の下側の前記吸気バルブの近傍に取り付けられ、噴霧した燃料が前記吸気バルブと点火プラグとの間を直接通るような噴霧を行うように構成されている。
【0015】
これにより、吸気の気流に燃料を乗せること無しに、点火プラグの近傍を燃料の流路とすることができる。
【0016】
本発明の内燃機関の制御装置において、一気筒において二つに分岐された吸気ポートのそれぞれ対応するように二つの燃料噴射弁が設けられ、前記二つの燃料噴射弁は、前記二つの燃料噴射弁のそれぞれから噴霧される燃料が点火プラグの周りで集められて前記点火プラグの周りの燃料が相対的に濃くなるように前記燃料を噴射する。これにより、点火プラグの周りを濃い混合気に形成し易い。
【0017】
本発明の内燃機関の制御装置において、前記ピストンが前記下死点を過ぎた後であって前記吸気バルブが閉じるまでの間に前記吸気ポート側に向かう気流の吹き戻しが生じている間に、前記燃料が噴射されるように制御する。本発明では、タンブル流等を用いずに点火プラグの周りを濃い混合気に形成するので、燃料の噴射に関する制御に際して、タンブル流等の気流の条件を考慮する必要が無い。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内燃機関の制御装置の一実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
本実施形態は、ポート噴射エンジンにおいて、燃料噴射弁を吸気バルブの近傍に配置し、吸気バルブの閉じタイミングを下死点後の遅閉じとし、燃焼噴射を下死点近傍で行う。吸気の吹き戻しにより筒内に入った燃料の貫徹力が抑制されて留まり、希薄燃焼時や冷間時などでも、点火プラグ周りに適切な混合気を配置することができる。
【0020】
図1に示すように、シリンダ1には、ピストン2が往復移動可能に設けられている。ピストン2とシリンダ1とシリンダヘッドによって燃焼室3が形成されている。シリンダ1には、吸気ポート4と、排気ポート5が連通している。吸気ポート4と排気ポート5のそれぞれの先端部は、二つに分岐され、それぞれ二つに分岐された吸気ポート4と排気ポート5に対応して、二つの吸気バルブ6と二つの排気バルブ7とが配設されている。吸気バルブ6によって、シリンダ1と吸気ポート4との間が開閉される。また、排気バルブ7によってシリンダ1と排気ポート5との間が開閉される。
【0021】
燃料噴射弁8は、吸気ポート4に開口し燃料Fを噴射する噴射口8aを有している。シリンダ1の上部には、燃焼室3内の混合気に点火する点火プラグ9が設けられている。燃料噴射弁8は、その噴射口8aが吸気ポート4の断面の下側に位置し、噴射口8aから噴射された燃料Fが、開いた状態の吸気バルブ6と点火プラグ9との間を直接通るような、吸気バルブ6の近傍に配置されている。燃料噴射弁8は、吸気ポート4の内部に突出しないように設けられている。燃料噴射弁8は、図2に示すように、二つに分岐された吸気ポート4のそれぞれに設けられ、各燃料噴射弁8は、2方向に向けて燃料Fを噴射する。
【0022】
本実施形態では、図3に示すように、低負荷、低回転領域での成層燃焼モードと、高負荷、高回転領域での均質燃焼運転モードの2つの運転モードがある。成層燃焼モードは、低負荷、低回転時において燃費の向上を図るための希薄燃焼時や冷間始動時のために設けられている。
【0023】
本実施形態では、可変バルブタイミング・リフト方式を採用している。可変バルブタイミング・リフト方式は、カムシャフトの作用角、リフト、中心角のすべてを可変とするシステムである。
【0024】
図4(a)は、バルブのリフトカーブを示している。図4(b)は、成層燃焼モードにおいて、吸気ポート4から吸入される空気が吸気バルブ6の近傍を通過するときの流速(筒内流入方向を正とする)を示している。
【0025】
図4(a)の吸気行程において、破線で示すカーブは、均質燃焼運転モードの吸気行程を示しており、実線で示すカーブは、成層燃焼モードの吸気行程を示している。
【0026】
図4(a)に示す排気行程のリフトカーブは、成層燃焼モードのものである。均質燃焼運転モードの排気行程のリフトカーブについては、本実施形態の特徴部分ではないため、図示を省略する。
【0027】
図4(a)に示すように、本実施形態の可変バルブタイミング・リフト方式を用いて、成層燃焼モードの吸気行程では、均質燃焼運転モードに比べて、リフト及び作用角を大きくしている。これにより、成層燃焼モードでは、後述するように、吸気バルブ6の閉じるタイミングが大遅角側に設定される。
【0028】
本実施形態において、均質燃焼運転モードにおける動作については、通常一般の運転時と同様である。即ち、排気行程と吸気行程のリフト量は同じである。吸気バルブ6の閉じるタイミングも通常一般と同様に、下死点を過ぎた後である。また、燃料Fの噴射についても通常一般の場合と同様に、排気行程の中後期において、燃料Fの噴射が行われ、閉じた状態の吸気バルブ6の傘部吸気側に燃料Fが衝突することで分散するとともに吸気バルブ6から受熱して気化し、吸気ポート4内に吸入された空気と良好に混合される。吸気行程において、吸気バルブ6が開くと、気流に乗って混合気が筒内に流入し、筒内にほぼ均一な混合気が広がる。
【0029】
次に、本実施形態の特徴である、成層燃焼モードにおける混合気の形成方法について説明する。排気行程については、本実施形態の特徴ではないため、その説明を省略する。
【0030】
図4(a)及び(b)に示すように、上死点(TDC)を過ぎて吸気バルブ6が開き始めると、まず、吸入空気のバルブ通過流速は、急激に上昇する。その後、吸気バルブ6の開度が大きくなり、ピストン2が下降するに連れて、吸入空気のバルブ通過流速は、下降する(図4(b)の▲1▼参照)。図5は、この▲1▼の時点での筒内の状態を示しており、吸気ポート4に生じた空気流が筒内に流入する。
【0031】
吸気行程中の下死点(BDC)付近において、吸入空気のバルブ通過流速が弱くなると、燃料噴射弁8から燃料Fを噴射する。ここで、燃料噴射弁8からの燃料Fの噴射が開始される時期は、吸気行程中の下死点の前であってもよい。
また、吸気行程中の下死点を過ぎた直後に燃料噴射弁8からの燃料Fの噴射が開始されてもよい(図4(b)の▲2▼参照)図6は、この▲2▼の時点での筒内の状態を示している(図6のピストン2は上向きであり下死点直後である)。
ここで、「吸気行程中の下死点付近(近傍)」とは、下死点の前及び後のいずれをも含む。
【0032】
下死点付近であるため、吸気ポート4からは、遅い吸気流速の気流が筒内に入りタンブル流FTが形成される。燃料噴射弁8の噴射口8aから吸気バルブ6と点火プラグ9との間に直接噴射された燃料Fは、その弱い気流によって大きく流されることはなく、その点火プラグ9の付近から大きく広がることはなく、また、その吸気と混合し難い。以上の理由により、点火プラグ9の付近から燃料Fの噴霧が筒内全体に大きく広がるように進行することはない。
【0033】
下死点を過ぎてピストン2が上昇し始め、下死点から約10°辺りになると、気流が吸気ポート4側に吹き戻され始める(符号FB)。下死点の直後から気流の吹き戻しが発生するのではなく、下死点から約10°辺りから吹き戻しが発生することが分かっている。
【0034】
気流の吹き戻しが発生することにより、筒内に入った燃料Fの噴霧の進行が抑制される(図4(b)の▲3▼参照)。図7は、この▲3▼の時点での筒内の状態を示しており、気流の吹き戻しFBにより、筒内に入った燃料Fの貫徹力が抑制されて、燃料Fは、点火プラグ9の周りに留まる。
【0035】
なお、上記に代えて、下死点から約10°辺りの位置において吸気ポート4側への気流の吹き戻しが起きた後に、燃料噴射弁8からの燃料Fの噴射を開始する構成にすることができる。これによれば、噴霧の開始当初から吹き戻しを利用できるので、噴霧の貫徹力を抑制する効果が大きくなる。
【0036】
燃料噴射弁8からの燃料Fの噴射が終わり、下死点を大幅に過ぎた大遅角の位置にて、吸気バルブ6が閉じる(図4(b)の▲4▼参照)。この吸気バルブ6が閉じる位置は、下死点から70〜90°過ぎたところである。
【0037】
なお、ここで吸気バルブ6が閉じた後に、燃料噴射弁8からの燃料Fの噴射が確実に行われないようにするために、燃料噴射弁8からの燃料Fの噴射は、吸気バルブ6が閉じる位置よりも若干余裕を持たせた前の位置とされる。
【0038】
その後、点火プラグ9により点火される。図8は、この▲4▼の時点(点火プラグ9による点火が行われる直前)での筒内の状態を示しており、点火プラグ9の周りに可燃混合気が形成されており、この状態で点火されることにより、希薄燃焼が可能となる。
【0039】
本実施形態では、気流の吹き戻しを最大限利用するために、燃料Fの噴射開始時期は、図4(b)に示すように、下死点を過ぎた後であることがより望ましい。
本実施形態では、吸気行程での吸気バルブ6のリフト量を大きくし、かつ作用角を大きくしている。これにより、燃料噴射時の燃料Fの通過面積(流路)が広がる。燃料噴射時に吸気バルブ6の開度が小さく、燃料Fの通過面積が小さいと、吸気バルブ6に燃料Fが衝突し、吸気ポート4内で空気とミキシングされてしまう。本実施形態では、燃料Fの噴射時の吸気バルブ6のリフト量を十分に確保するとともに、吸気バルブ6の閉じタイミングを大遅角側にするために、吸気バルブ6のリフトのピークを高く設定している。
【0040】
上記のように、本実施形態では、燃料Fの噴射を吸気行程中の下死点付近から(より好ましくは下死点を過ぎてから)開始する。本実施形態では、少なくとも噴射されるべき燃料Fの大半が下死点を過ぎてから噴射される。
【0041】
下死点付近又は下死点を過ぎてから噴霧が開始された燃料Fが無理なく筒内に流入できるリフト量になるように、吸気バルブ6の閉弁時期は、遅閉じ(大遅角)に設定されている。
【0042】
噴霧された燃料Fが、閉じる直前の開度の小さな吸気バルブ6と点火プラグ9との間を無理なく通過できるように、燃料噴射弁8は吸気バルブ6の近傍に配置されている。
【0043】
以上のことから、噴射された燃料Fは、吸気ポート4に向かう気流吹き戻しのため、噴霧貫徹力が抑制され(図7)、また、弱い筒内気流のためミキシングされ難く(図6)、点火時期まで、希薄燃焼においても点火プラグ9の周りに可燃混合気を形成することができる(図8)。
【0044】
即ち、本実施形態では、ピストン2の上昇による気流の吹き戻しにより、燃料Fの噴霧の進行が抑制される作用が得られる程度まで、換言すれば、噴霧された燃料Fの貫徹力を弱めて点火プラグ9の近傍の位置まで戻す作用が得られる程度まで、吸気バルブ6を閉じるタイミングを遅く(大遅角側に)設定する。
【0045】
図6に示すように、燃料噴射弁8の噴射口8aは、吸気ポート4の断面の下部に開口している。これに対し、仮に吸気ポート4の断面の上部に噴射口8aが開口し、その噴射口8aから燃料Fを噴射したとすると、燃料Fは、吸気ポート4の吸気壁に沿うように吸気ポート4内を移動し、その燃料Fが吸気ポート4からの気流に乗って筒内に入り、かつ気流に乗って筒内を移動することになる。その場合には、本実施形態のように、点火プラグ9の近傍に燃料Fを集めることは難しいと思われる(気流を使った上で点火プラグ9の近傍に燃料Fを集めるのは困難であると思われる)。
【0046】
本実施形態では、吸気ポート4からの気流に乗せることなく、燃料噴射弁8の噴射口8aから噴射したままで燃料Fを点火プラグ9の近傍に留まらせるべく、燃料噴射弁8を吸気バルブ6の近傍であって吸気ポート4の断面の下部に配置にし、かつ、気流の吹き戻しを利用して燃料Fの貫徹力を抑制する。
【0047】
この場合、燃料噴射弁8は、その噴射口8aから噴霧される燃料Fの幅と、燃料Fが噴射された時の吸気バルブ6のリフト量を考慮し、その噴射口8aから噴射された燃料Fが吸気バルブ6と点火プラグ9の間を直接(吸気ポート4の吸気壁に沿う移動を極力行わずして)通る位置に配置される。
【0048】
また、燃料噴射弁8から噴射される燃料Fが、点火プラグ9の近傍から離間した位置まで飛ばないように、また、気流の吹き戻しを受けて燃料Fが点火プラグ9の近傍に留まるように、燃料噴射弁8から噴射されるときの燃料Fの貫徹力は強過ぎないものが採用される。
【0049】
本実施形態では、図2に示すように、燃料噴射弁8が、二つに分岐された吸気ポート4のそれぞれに設けられ、各燃料噴射弁8は、2方向に向けて燃料Fを噴射する。この場合、二つの燃料噴射弁8からそれぞれシリンダの中央部側(点火プラグ9側)に噴射された燃料Fが、シリンダの中央部において重なり合うため、中央部が周辺に比べてややリッチな弱成層分布が形成される。
【0050】
燃料噴射弁8に関しては、図2に代えて、図9の構成を採用することができる。図2の構成では、各燃料噴射弁8から2方向(中央側,周辺側)に噴射される燃料Fの量は、2方向の間で均一であったが、図9では、各燃料噴射弁8から2方向に噴射される燃料Fのうち、中央側への噴射量がより多くなるように構成する。図9の構成によれば、図2の構成に比べてより一層中央部が周辺に比べてリッチな弱成層を形成することができる。
【0051】
また、図2又は図9の構成に代えて、図10の構成を採用することができる。図10では、各燃料噴射弁8からの燃料Fの噴霧を中央側への1方向のみとする。図10の構成によれば、図9の構成に比べて、更に中央部が周辺に比べてリッチな弱成層を形成することができる。
【0052】
また、図2,図9,図10の構成に代えて、図11の構成を採用することができる。図11では、二つに分岐された吸気ポート4に対し、1つの燃料噴射弁8が設けられ、その燃料噴射弁8から1方向のみの噴射を行って、二つに分岐された吸気ポート4に対する燃料Fの噴霧に行う。図11の構成によれば、中央部が周辺に比べてリッチな弱成層を形成することができる。
【0053】
また、図2,図9,図10,図11の構成に代えて、図12の構成を採用することができる。図12では、二つに分岐された吸気ポート4に対し、それらの中央の位置に1つの燃料噴射弁8が設けられる。その燃料噴射弁8からの燃料Fの噴霧を2方向に均一に行って、二つに分岐された吸気ポート4のそれぞれに対して燃料Fを噴霧する。図12の構成によっても、中央部が周辺に比べてリッチな弱成層を十分に形成することができる。
【0054】
以上述べたように、本実施形態は、吸気ポートに燃料を噴射するとともに、吸気弁が開いたときに少なくとも燃料の一部が筒内に流入されるようにされた内燃機関において、吸気弁近傍に設けられた点火プラグの周りの混合気を他の領域に比べて濃い混合気にすべき時には、吸気弁の閉じるタイミングを下死点を超えて遅閉じとするとともに燃料噴射を下死点の近傍で行うものである。この場合、燃料噴射は、下死点以降に開始されることがより望ましい。
【0055】
本実施形態によれば、筒内に流入した燃料は、吸気ポート側への吹き返し気流によって、点火プラグの近傍に留まることから、点火プラグの周りを濃い混合気に形成することができる。このとき、燃料は、吸気流速の遅い下死点近傍で噴射されることから、吸気とミキシングされ難い。
【0056】
なお、上記特開2002−54535号公報では、上記のように、タンブル流を使うため、シリンダの細部のばらつきに伴うタンブル流の不安定さが原因となって、混合気を安定的に所望の位置に運ぶことが難しい。さらに、エンジンの回転数と吸気バルブの開いている時間によって、タンブル流の強さが変わるため、混合気を所望の位置に運ぶには、燃料噴射弁から燃料を噴射するタイミングを制御する必要がある。
【0057】
これに対し、本実施形態では、シリンダ内に生成された気流に燃料Fを極力乗せずに最初から点火プラグ9の辺りに燃料Fを噴霧するとともに、ピストン2の上昇時の吹き戻しを積極的に利用して噴霧された燃料Fの貫徹力(噴霧の進行)を抑制して点火プラグ9の周りに留まらせる点で、大きく相違している。上記公報の技術では、上記のように、気流の強さ等に応じて燃料Fの噴射タイミングを制御する必要があるのに対し、本実施形態では、気流の条件とは無関係に燃料Fの噴射タイミングを設定することができる。この点において、本実施形態では、燃料Fの噴射に関する制御を行い易く(制御の自由度が高く)、かつ燃料Fをより安定的に所望の位置に留まらせることができる。
【0058】
本実施形態では、図3に示すように、破線で示す従来に比べて、成層燃焼モードをより高回転域側まで延ばすことができる。本実施形態の成層燃焼モードでは、噴射する燃料Fの量が少なくて済み、また、燃料Fの噴射に関する制御を行い易く高回転域においても燃料Fをより安定的に所望の位置に留まらせることができるからである。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、点火プラグ周りに濃い混合気をより安定的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態の内燃機関の制御装置が適用される内燃機関の断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態の内燃機関の制御装置が適用される内燃機関の燃料噴射弁からの噴霧状態を説明するための図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態の内燃機関の制御装置における回転数、負荷マップを示す図である。
【図4】図4(a)は、本発明の一実施形態の内燃機関の制御装置における成層燃焼モード時のリフトカーブを示し、図4(b)は、吸入空気のバルブ通過流速の変化を示す図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態の内燃機関の制御装置における成層燃焼モード時の吸気行程にてピストンが下死点に至る途中の段階で、開いている吸気バルブから吸入空気が筒内に流入する状態を示す図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態の内燃機関の制御装置における成層燃焼モード時の吸気行程にて下死点付近において燃料が噴射された状態を示す図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態の内燃機関の制御装置における成層燃焼モード時の吸気行程にてピストンが上昇し始めた後、気流の吹き戻しが生じている状態を示す図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態の内燃機関の制御装置における成層燃焼モード時の吸気行程が終わり、点火が行われる直前の状態を示す図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態の内燃機関の制御装置が適用される内燃機関の他の燃料噴射弁からの噴霧状態を説明するための図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態の内燃機関の制御装置が適用される内燃機関の更に他の燃料噴射弁からの噴霧状態を説明するための図である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態の内燃機関の制御装置が適用される内燃機関の更に他の燃料噴射弁からの噴霧状態を説明するための図である。
【図12】図12は、本発明の一実施形態の内燃機関の制御装置が適用される内燃機関の更に他の燃料噴射弁からの噴霧状態を説明するための図である。
【符号の説明】
1 シリンダ
2 ピストン
3 燃焼室
4 吸気ポート
5 排気ポート
6 吸気バルブ
7 排気バルブ
8 燃料噴射弁
8a 噴射口
9 点火プラグ
F 燃料
FT タンブル流
FB気流の吹き戻し
Claims (6)
- 吸気ポートに燃料が噴射され、吸気バルブが開いたときに少なくとも前記燃料の一部が筒内に流入される内燃機関の制御装置であって、
ピストンが下死点を過ぎた後に前記吸気バルブが閉じ、前記ピストンが前記下死点近傍にあるときに前記燃料が噴射され、且つ、噴射された前記燃料の貫徹力が前記吸気ポートへの吹き戻しを利用することにより抑制されて、点火プラグ周りの前記燃料が相対的に濃くなるように制御する
内燃機関の制御装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
前記燃料は、前記吸気ポート側への気流の吹き戻しが起きた後に噴射を開始するように制御する
内燃機関の制御装置。 - 請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置において、
前記ピストンが前記下死点を過ぎた後に、前記燃料の噴射が開始されるように制御する
内燃機関の制御装置。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置において、
前記内燃機関には、可変バルブタイミング・リフトシステムが用いられ、
成層燃焼モードのときには、均質燃焼モードのときよりも吸気行程での作用角が大きくなるように制御する
内燃機関の制御装置。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置において、
前記燃料を噴射する燃料噴射弁は、前記吸気ポートの断面の下側の前記吸気バルブの近傍に取り付けられ、噴霧した燃料が前記吸気バルブと点火プラグとの間を直接通るような噴霧を行うように構成されている
内燃機関の制御装置。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置において、
一気筒において二つに分岐された吸気ポートのそれぞれ対応するように二つの燃料噴射弁が設けられ、
前記二つの燃料噴射弁は、前記二つの燃料噴射弁のそれぞれから噴霧される燃料が点火プラグの周りで集められて前記点火プラグの周りの燃料が相対的に濃くなるように前記燃料を噴射する
内燃機関の制御装置。
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