JP4257942B2 - 金属表面上の還元的析出に対する方法 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、主として毒性物質の無毒化及び不動化の分野において、無機及び有機化合物を化学的に還元するために有用な方法に関する。有機化合物の毒性構造の還元的分解によって、そして毒性無機物の還元的不動化によって、前記の毒性化合物の有害な可能性は、有意に減少される。明確な例は、還元的脱ハロゲン化により、対応する無毒の炭化水素を得る、多塩化ビフェニル(PCB)及び多塩化ジベンゾジオキシン又はジベンゾフラン(ダイオキシン)のようなハロゲン化有機物の無毒化、並びに対応する無毒の脂肪族誘導体を得る、発癌性多環芳香族の水素化である。もう一つの例は、水溶性重金属化合物の還元によって、水不溶性の重金属を得る不動化である。
【0002】
還元は、非常に基本的な化学反応であり、そして無機及び有機化学の教本中にすでに非常に詳細に記述されている。更に、主として、金属、特にアルカリ金属によるPCB等の還元的脱ハロゲン化に関する多数の従来の技術の文献が存在する。
【0003】
時には、金属は単独で使用されるが、しかし殆んどの場合水素源を伴なって使用される。オーストラリアのPL 6474及びPL 9085によれば、ハロゲン化された有機物は、金属単独又は水素源の存在中で粉砕することによって、機械化学的に分解される。米国特許第4 639 309号は、溶融した形態の、即ち100℃より高い温度におけるナトリウム及びカリウムを、アルカリ金属の表面から形成されたアルカリ金属塩化物を研磨的に除去するための補助剤としての砂と共に適用する例を与えている;この方法は、溶融ナトリウムによる、然しながら、砂等を使用せず約300℃の温度における、鉱油中のPCBの脱ハロゲンに対する昔のDEGUSSA法に類似している。全てのこれらの方法では、炭化物又は更に炭素までの完全な破砕が起こるために、対応する炭化水素を単離することはできない。
【0004】
他の方法、例えば米国特許第4 853 040号、4 950 833号、4 973 783号、4 950 833号、欧州特許EP0099951号、0 225 849号、ドイツ特許DE34 10 239号、199 03986号、スイス特許CH668 709号、カナダ出願20 26 506号は、異なった種類の水素源と共に還元性金属を使用する。これらの脱ハロゲン法は、いくつかの重大な不利益を含んでいる。アルカリ又はアルカリ土類金属が液体系に適用された場合、ハロゲン化合物より反応性である水素源との競合反応において、金属が無用に消費されることを防止するために、水素源は低酸性度でなければならない。従って、メタノールのような簡単な費用のかからないアルコールの、水素源としての使用は可能ではない。然しながら、ポリエーテル及び脂肪族の第一又は第二アミンのような低酸性度の水素源は、非常に費用がかかり、そして全体の方法を不経済なものにする。更に、特に有効な、そして従って一般的に好ましい水素源としての第一アミンは、アミノ誘導体の形成となり、これは少なくとも元のハロゲン化母体化合物のように毒性である。更に好ましい方法は、ドイツ特許DE 199 03 986号中に記載されており、ここにおいてアミンは、費用のかからない水素源と共に、その能力を電子移動促進剤として化学量論以下の触媒的量のみ使用し、このようにして毒性のアミン誘導体の形成を抑制する。これに関する最良の結果は、第三アミンによって達成され、これはもちろん毒性の誘導体を形成することはできない。
【0005】
多環芳香族化合物、例えば発癌性ベンゾ[a]ピレンの還元は、公知のBirch反応又はその変形、即ち液体アンモニア中で、−33℃ないし−50℃間の温度で、又は“溶媒和電子”と呼ばれるものを形成すると言われているアミンの存在中で行うことができる。これらの方法は、実験室規模では有用であることができるが、しかし大規模の実施では実用的ではなく、そして廃棄物処理の分野では全く実用的ではない。
【0006】
有機化合物、特にハロゲン化有機物及び多環芳香族を還元するための従来の技術の方法の上記の欠点は、本発明によって克服された。本発明による還元的分解法を、除去及び不動化のそれぞれに対する無機化合物の還元に対して適用することができることも更に事例である。
【0007】
本発明によれば、還元性金属が、初期の反応工程において、先ず実際の還元反応が起こる前に、選択的に還元可能な有機化合物を錯体化することが見出された。
【0008】
例えば、炭化水素溶媒中に懸濁されたナトリウム片が、加えられた過剰のプロパノールと直ちに反応して、急激な温度の上昇を伴なう過程で、化学量論的な水素を得る。ここで僅かの痕跡量の還元可能な有機化合物、例えばトリクロロベンゼン(TCB)を加えた場合、水素の形成は直ちに停止するが、一方発熱性化学反応工程が継続していることを示す急激な温度の上昇を観察することができる。塩化ナトリウムのような目に見える反応産物は形成されない。これは、ナトリウムがアルコールと非常に激しく反応することが公知であり、そして大過剰の高反応性のアルコールを含むが、しかし僅かに少量の低い反応性のTCBを含む溶液において、後者がナトリウムによって選択的に反応され、これによっていかなる更なる化学反応も停止されることは、全く予期することができないないために、非常に驚くべき観察である。言い換えれば、還元性金属と一方はH−O結合、他方はCl−C結合の間の好ましくない競合的相互作用において、より反応性の少ない競合物が勝つことを予想することはできない。
【0009】
実際に、痕跡のTCBをと大過剰のアルコールとを含有する炭化水素溶液中に置かれたナトリウムは、ナトリウムの表面にTCBの還元的析出によって還元可能な有機化合物であるTCBを選択的に収集する。分子層が形成され、この分子層は、阻害性の分子層の下に依然として存在する未反応のナトリウムの大部分と、これもまた依然として存在する過剰のアルコールとのいかなる更なる反応をも完全に阻害する。
【0010】
このようにして見出された芳香族系と金属間との相互作用による阻害性の第1の反応産物は、CT錯体であるように見受けられ、ここにおいて金属から一つの電子は、芳香族化合物の第一の反結合軌道に移動されるが、イオンラジカル又は認識できる反応産物としての塩化ナトリウムを形成するために、Cl−C結合に位置されることはない。驚くべきことに、阻害性の層は、撹拌によって、例えば磁気撹拌器又はある程度の鋼製ボールを加えた場合でさえも簡単に除去することができない。
【0011】
従って、阻害性の分子層の形成が得られる、錯体の形成による前記の還元的析出は、ナトリウムのそれ以上の反応をも抑制するために、前記の溶液中のTCBの濃度は、利用可能なナトリウムの表面部分に還元的に析出するTCBの比率に対応する程度のみ減少する。前記のTCBの全量を、存在するナトリウムと完全に反応させるために、本発明によれば、ナトリウムの表面は、継続する還元的析出を達成させ、そして錯体形成によってTCBの全量の完全な収集が得られるために、連続的に機械的にin situで再生されなければならない。
【0012】
類似の相互作用は、いかなる他の還元可能な有機化合物とも起こり、ここにおいて“還元可能な”は、錯体の形成下で、還元性金属から低エネルギー軌道に好ましくは、そして選択的に電子を取り込む能力を示す。この種の化合物は、不飽和脂肪族又は脂環族、芳香族、特に多環芳香族、ハロゲン化化合物、アルデヒド又はケトン、及びニトロ化合物である。
【0013】
この観察から、同様な機構が、電気的に陰性の金属上のメッキ効果を阻害することとなる、より陰性の正規電極電位を持つ金属から、より陽性な電位を持つものへの電子移動についても変わらないことが更に明らかになる。この最後の機構が、例えば亜鉛メッキ法から公知であるが、しかし本発明による汚染物質中の重金属の不動化に対していまだに使用されていないことは事実である。還元可能な有機物の錯体形成、及び還元可能な無機物の電気的析出の両方の方法は、無機又は有機の還元可能な化合物の金属表面への“還元的析出”の表現によって包含することができる。
【0014】
これらの成果によれば、本発明の基本的原理は、TCBの還元的脱ハロゲン化及び重金属、例えば汚染物質としての銅塩形態の銅の不動化に対する例によって、容易に略述することができる。
【0015】
ベンゼンを得るために、連続的に機械的にin situで再生された金属表面上の錯体の形成によって、液体系中の還元可能な有機物としてのTCBを収集し化学的に還元することは、高い剪断力を発生するいかなる撹拌系、好ましくは高速分散装置、例えば分散装置S25N−18Gを備えたIKA Ultra−Turrax T25によっても達成することができる。この装置によれば、液体溶液中のTCBは、10%の過剰を加えた化学量論的量のナトリウムを10分より少ない時間で、11000rpmの最低の混合速度でさえ適用することによって、10分より少ない時間で完全に収集することができる。
【0016】
ナトリウム並びにカリウムは、脆く、そして室温で分散装置の回転子及び固定子間で部分的に塊りになり、従って微細に分散された粒子の自由な通過を妨げる。このような場合、殆んどの分散時間は最初に存在するナトリウムの粗い粒をS25N−18G装置の回転子及び固定子間を容易に通過することができる粒子の大きさで分散するために必要となる。然しながら、Retsch遊星型ボールミルS1で、例えば2:1の比で、粉砕補助剤、例えば0.5%のステアリルアミンと共に粉砕することによって調製された、微粉化アルミニウム、マグネシウム又はカルシウム、鉄(好ましくは鉄カルボニルから製造された鉄粉末)、活性炭、黒鉛、還元不可能なプラスチック粉末又はペレット、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、等の上に微細に分散されたナトリウムは、TCBの全量を収集するために、室温で約3分間を要するのみである。上記の時間後に分散装置を停止した場合、自然に相の分離が起こり、そしてシリンジによって採取された透明な、そして無色の液相の試料は、GCで検出可能な量のTCBを含んでいない。
【0017】
還元性金属及び前記の微粉化担体成分の粉砕された混合物は、自然発火性であり、そして注意深く、好ましくは窒素下で取り扱わなければならない。より良好な取り扱い特性のために、高度に活性な還元性金属を含む混合物を被覆することができる。これは、パラフィン蝋のような一時的に不活性化する有機物質と共に粉砕することによって、又は窒素下で前記のパラフィン蝋を前記の混合物上に噴霧することによって達成することができる。
【0018】
リチウム、ナトリウム及びカリウムのような高反応性の金属を、鉄及びアルミニウムのようなより反応性の少ない微粉化金属と共に組み合わせて適用することは、吸着及びその後の電子移動、そして従ってより大きい金属表面上の錯体化による、より速い還元的固定に対する利用可能な全金属表面が増加するために、非常に重要である。
【0019】
黒鉛は、金属のように働くが、活性炭は、主として組み込まれたナトリウムの表面における速いその後の錯体の形成のために、TCBを吸着的に収集することを援助する吸着剤として働く。
【0020】
例を更に説明するために、還元性金属及び還元可能な有機化合物TCBの還元的に固定された錯体は、その後、in situで、又は対応する炭化水素を得るためのデカンテーション、遠心分離又は濾過による分離後に、別個の工程で水素源と反応させることができる。例えば、PCBで汚染された鉱油を再使用のために回収するために、化学量論的な量のアルミニウム上のナトリウムを、Ultra−Turrax分散装置を使用して液体中に数分間分散する。装置のスイッチを切った後、固体は自然に分離し、そして透明な油性相はデカンテーション又は遠心分離によって回収することができる。分離された固体は、これらを別個の反応器で水素源と反応させた後廃棄することができる。
【0021】
最も安価で、そしてしかも最も反応性の水素源は水である。高反応性のナトリウムがなお存在することができるため、水及び費用のかからないアルコールのより反応性の低い混合物、例えば水及びメタノールが一般的に適用されるものである。
【0022】
炭素源、例えばホルムアルデヒド、アセトン、又は二酸化炭素を添加する場合、それぞれ対応するアルコール及びカルボン酸が形成される。もちろん、この場合、錯体形成工程において、過剰のリチウム、ナトリウム又はカリウムは適用されないものである。
【0023】
ハロゲン化有機化合物、例えばダイオキシンが、固体混合物又は固体溶液中に汚染物質として存在する場合、清浄な金属表面を、その剪断力が、連続的に再生された清浄な金属表面の形成だけでなく、更に粗い成分を効果的に機械的に砕き、そして前記の清浄な金属表面の部分とダイオキシン、例えば廃棄物焼却炉からのガラス状フライアッシュ中に組み込まれたダイオキシンとを迅速に遭遇させることを確実にするために充分に高い、激しい混合装置によってin situで連続して生成することができる。
【0024】
これらの要求に合致する混合装置は、摩砕ミル、横型又は縦型ボールミル(例えばEirich MaxxMill及びKubota Tower Mill)、振動式ボールミル、カッティングミル、ビーターミル、或いはかなり高い剪断力を伴なう押出機又はニーダーである。
【0025】
固体中の還元可能な有機物等、特にフライアッシュ中に見出されるダイオキシンの収集における律速工程は、前記の化合物の移動速度に直接対応する。ダイオキシンは、主としてガラス状の固体フライアッシュ粒子中に組み込まれ、そして錯体の形成には容易には利用可能ではないものである。組み込まれたダイオキシンに対する接近を獲得するために、粗い粒子は、ダイオキシンを放出させるために完全に砕かれなければならない。
【0026】
この工程に必要な時間は、錯体の形成に必要な時間よりはるかに長い。従って、従来の技術の文献のあるものに記載されているように、フライアッシュを、例えば水素源の存在中でナトリウムと粉砕することは、水素源がナトリウムのより大きい部分を無用に消費するために、絶対的に逆効果であり、そして経済的ではない。本発明の基本的原理を考慮すれば、従来の技術の文献のあるものに記載されているように、より多い量のナトリウムを加えることによって脱ハロゲンの速度を増加することに対する全ての試みが、ナトリウムが、これがガラス状のフライアッシュ粒子の内部に隠れているダイオキシンを攻撃する機会を持つ前に、水素源と面し、そしてそれと反応するために失敗したことが明らかとなる。この場合、水素源が水又はアルコールであることは、これらの化合物がいかなる量の存在するナトリウムをも、単に水素ガスを発生するのみで、即時に、そして完全に消費するために、全くできないことを記憶することは重要なことである。
【0027】
本発明の基本的原理によれば、フライアッシュは、粗いフライアッシュ粒子が閉じ込めたダイオキシンを錯体化に対して完全に放出するために必要な限り、ナトリウムとのみ、即ちいかなる種類の水素源の添加もなく粉砕される。錯体の形成の速度は、自由なダイオキシン及び自由な金属表面間の衝突の数に確かに依存するが、全体の必要時間は、粗い粒子を完全に微粉化するために必要な時間によって最も影響される。この数字は、粉砕装置の有効性にもっぱら依存し、そしてRetschミル又はタワーミルにおいては、例えば60ないし90分の範囲である。粗い粒子の破壊は、粉砕補助剤の添加によって補助することができ、これは、この場合水素源として働かず、そして働くことができない化合物でなければならない。好ましい粉砕補助剤は、長鎖のアミン、例えばステアリルアミンであり、これはアミノ基が周囲の炭化水素鎖によって保護されたボールの形を有する。
【0028】
固体基質中に存在するダイオキシンを移動するために、少量の不活性溶媒を加えることができ、これは抽出によってダイオキシンの放出を補助する。然しながら、液体溶媒の添加は、ミル中でケーキングを起こすことがある。従って、液体溶媒は、粉末又はペレットの形態の不活性プラスチック、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、等のような固体溶媒で置き換えることが最良である。前記の有機ポリマーのダイオキシンに対する化学的親和性は、無機の固体のそれより高い。
【0029】
固体において、還元性金属及び還元可能な有機化合物の錯体は一般的に分離することができない。従って、それぞれ対応する炭化水素及び炭化水素誘導体を得るための水素又は炭素源との最後の反応は、前記の錯体を含む粉砕された混合物中で行わなければならない。これは、粉砕が行われた同じ装置でその後の加工工程で、又は好ましくは第2のインライン混合装置中のいずれかで行うことができる。
【0030】
別個のインライン混合装置は、工程の熱制御に関してより大きい融通性を可能にする利益を有する。形成された錯体を、過剰のナトリウムの存在中で、例えば水及びメタノールからなる水素源を伴なって反応させる場合、大量の反応熱を短時間中に発散させなければならない。これは、有効な、そして充分に制御された熱の発散を可能にする、薄膜反応器(thin-film reactor)の役割を果たす別個のインライン混合装置においてより容易に取り扱うことができる。従って、比較的小さい最初の混合装置、例えばタワーミルで製造された大量の処理された固体は、その後の適当に設計された別個の装置における更に時間のかかる加溶媒分解にかけることができ、ここにおいて、付加的な利益として、残留する試薬及び反応産物が蒸発することができないような範囲で、温度を維持することができる。
【0031】
還元可能な化合物を含む特に粗い物質が本発明によって処理される場合、最初に汚染された物質を粗い破壊装置で前処理してから、これをその後の還元性金属を伴なう精製混合又は粉砕装置に移すことが好都合であると思われる。この方式により、更により小さい大きさの粒子をより経済的に得ることができる。これらの加工工程の有効性は、粉砕補助剤又は有機溶媒或いはこれらの混合物の添加によって、更に有意に増加することができる。
【0032】
本発明は、更に無機化合物、好ましくは汚染物質としての重金属の化学的還元に関する。重金属は有機物に対して可能であったような分解によって無毒化することはできない。然しながら、これらの有害の可能性は、その生体利用性をかなり減少する不動化及び化学的固定によって最小化することができる。重金属の塩は水に可溶であるが、化学的に還元された形態、即ち元素状金属は、不溶性である。幸運なことに、全ての毒性重金属は、アルカリ及びアルカリ土類金属、並びにアルミニウム及び鉄より明確な還元の可能性を有する。従って、Cd、Pb、Cu及びHgのような重金属のそのイオン化された形態は、前記の還元性金属によって化学的に還元されて、不溶性の重金属を与えるものである。方法は、前記の還元性金属の還元可能な有機化合物との反応に対して記載したものと同様であり、第1の工程は還元性金属から重金属化合物への電子の移動である。従って、最初の相互作用の産物として、化学的に沈着した重金属の層が還元性金属上に形成され、これは還元性金属表面の更なる反応を阻害する。従って、還元性金属の完全な還元能力は、連続的に機械的にin situで再生された清浄な表面によってのみ使い尽くされる。
【0033】
これは、有機物としてのダイオキシンだけでなく、更に有害無機化合物として、水銀、カドミウム、及び鉛で汚染されている廃棄物焼却炉のフライアッシュのような固体の場合、ただ一つの方法、即ち本発明に記載されているような還元可能な化合物の還元的析出を必要とし、これによって両方の問題が、一つの加工工程によって解決されることを意味する。
【0034】
本発明の原理によれば、前記の重金属は、更に還元性金属によって、前者が汚染物質として液体、液体廃棄物中に、又はスラッジ、マッド、沈降物、等中に存在する場合、完全に不動化することができる。微細に分散した重金属の再酸化を避けるために、これらが再移動することを防止するために付加的な処置をとらなければならない。汚染された土壌又は沈降物の場合、これは、廃棄又は密封系における技術的及び土質力学的な再使用のために、例えば土壌の成型された疎水性のDCR体を形成することによって達成することができる。更なる情報については、D.L.Wise et al.,Remediation Engineering of Contaminated Soils,(pp.849 to 929)Marcel Dekker,New York,2000を参照されたい。
【0035】
廃水中の重金属は、分散装置S25N−18Gを備えたUltra−Turrax T25で激しく撹拌された、微細に分散されたアルミニウム上に還元的に沈着することによって完全に除去することができる。アルミニウムは、延性でもなくまた脆くもないために、形成された銅の層の除去によって、清浄なアルミニウムの表面を連続的に機械的に再生するために、この層が極端に薄く、そして殆んど目視不可能であると言う事実にも関わらず、更に長い時間がかかる。非常に驚くべきことに、有機の還元可能な化合物の錯体形成を促進することにおいて有効である同じ電子移動促進剤をここで適用することができる。従って、そのテトラミン錯体の形態でさえある銅の完全な除去は、その水溶液を前記のUltra−Turrax装置により撹拌することによって、脂肪族アミンの存在中で数分間で達成することができる。アミンが実質的に金属表面を被覆することは既知であり、そしてこれが、促進された電子移動及び還元性金属表面からの銅の層のより容易な置換に対する理由であることができる。同じ原理、即ち重金属の還元的析出に対するアミンの援助的効果は、更にいかなる他の種類の物質、特に固体廃棄物、汚染土壌等中の重金属の迅速な不動化に対しても適用することができる。
【0036】
還元可能な化合物が、産業廃棄物、残渣、副産物、並びに汚染土壌及び土壌様物質、スラッジ、鉱油及び鉱油様物質中の汚染物質として存在する場合、これらが湿潤であるか否か、そしてこれらに異物が散在するか否かに関わらず、このような不均質系に対する本発明による直接の化学的処理は可能ではない。然しながら、前記の汚染された物質は、DCR反応で、付加的な乾燥工程を伴なって又は伴なわずに仕上げられた後、処理可能となるものである。DCR加工工程によって、全ての前記の物質は、乾燥粉末に転換され、これは、いかなる所望されない不純物からも篩い分けによって容易に分離することができる。DCR技術の詳細な説明については、D.L.Wise et al.,RemediationEngineering of Contaminated Soils,(pp.849 to 929)Marcel Dekker,New York,2000を参照されたい。
【0037】
DCR工程から得られる微粉化物質は、ある程度の水分をなお含むことができ、そして従って、これをアルカリ金属で処理する前に、乾燥しなければならない。
【0038】
本発明の好ましい具体的表現が詳細に説明されてきたが、多くの変更及び改変が、基本的な進歩性を有する概念から逸脱することなく行うことができることは、専門家にとって明白であるものである。従って、例えば、先に記載した実施例のそれぞれは、実験室規模の混合/粉砕/微粉砕/分散装置並びに少量の汚染物質及び試薬の試料に関係したが、還元可能な有機物及び無機物の還元的析出に対する金属表面の連続的機械的in situ再生を含む方法は、商業的に実行可能な無毒化及び不動化を可能にするために適当に改変し、そして工業目的に対して他の還元方法と同様に、より大きい規模で適用することができることは専門家にとって明白であるものである。全てのこのような改変及び変更は、その本質は上記の説明から決定されるべきものである、本発明の範囲内であると考えられる。更に、先に記載した実施例は、本発明の特別な具体的表現を例示するために提供したものであり、そして本発明の方法の範囲を制約する意図はない。
[実施例]
実施例1:液体溶液からのTCBの除去
小さい立方体の形に切断された300mgのナトリウム(化学当量+約10%)を、分散装置S25N−18Gを伴なうIKA Ultra−Turrax T25を備えた、三つ首フラスコ中の362mg(2mmol)のTCBの50mlのシクロヘキサン中の溶液に加え、そして窒素下の室温で、11000rpmの回転速度で8分間撹拌した。金属的に輝くナトリウムの表面は、薄い灰色になった。固体相が自然に分離した後、無色の液体の試料を採取し、この試料は、TCB又はジ−若しくはモノクロロベンゼンをGCで検出可能な量で含んでいなかった。
【0039】
実施例2:
同量のTCBを、同様な方法で、150mgの金属担体としての微粉化アルミニウム上の300mgのナトリウムと反応させて、3分以内で完全なTCBの除去を得た。アルミニウム上のナトリウムは、両方の成分の2:1の混合物を、0.5%のステアリルアミンと共に、3個の鋼製ボールを持つ50mlの鋼製粉砕ジャー中のRetsch遊星型ボールミルS1中で15分間粉砕することによって製造された。粉砕ジャーを開け、そして試薬部分を窒素下のグローブボックスに入れた。
【0040】
実施例3
実施例2による方法を、70mgのn−ブチルアミンの存在中で繰り返した。懸濁液の最初無色の液相は、数秒内に褐色がかった赤色となり、そして反応は、アミンの添加により、その電子移動促進剤としての能力及びその実質的な被覆特性の結果のために、更に激しいものと見受けられた。
【0041】
残留ナトリウム及びアルミニウムのそれぞれを含む固体残留物は、還元的に沈着し、しかしまだ脱ハロゲンされていないTCBと共に、メタノールとの反応にかけられて、対応する脱ハロゲンされた炭化水素を得た。同様な結果は、前記のメタノールを、TCB及びナトリウム間の錯体の形成が完全に完結した後の元の懸濁液に加えることによって得ることができる。
【0042】
実施例4:固体基質中のTCBの還元的脱ハロゲン化
500mg(化学当量+約20%)のナトリウムを、100gの土壌様固体(Millisil W8)中の544mg(3mmol)のTBCの均質な混合物中に加え、そして4個の鋼製ボールを持つ500mlの鋼製粉砕ジャー中のRetsch遊星型ボールミルS1中で、周囲温度で0.5%のステアリルアミンの存在中で粉砕した。30分の粉砕時間後、ジャーを検査目的で開けた。混合物の最初の薄い砂色は薄い灰色に変わっていた。更に30分の粉砕後、色は灰色がかった黒色に変わっていた。粉砕された混合物は、空気にさらされた場合急速に約80℃まで加熱されるために;TCB又は部分的に脱ハロゲンされた産物のいかなる蒸発をも避けるために、窒素下でジャーを開けられなければならず、そして試料を採取しなければならない。
【0043】
全体の混合物の10分の1を、磁気撹拌器及び還流凝縮器を備えた三つ首フラスコ中の第2の工程において、窒素下で、冷却浴中で、ある程度の過剰のメタノールと反応させて、対応する還元的に脱ハロゲンされた炭化水素を得た。得られた混合物のソックスレー抽出器によるn−ペンタンによる抽出後、無色の溶液のGC分析は、検出可能な量のTCB又はいかなる他の有機ハロゲン含有化合物をも示さなかった。
【0044】
実施例5:銅の還元的不動化
約1グラムの酢酸銅の100mlの水溶液に、アンモニア水溶液を加えて、暗青色のテトラミン錯体を形成した。僅かに過剰の微粉化アルミニウムを、小さい比率のn−ブチルアミンと共に加えた。得られた懸濁液を先に規定したUltra−Turraxによって撹拌した。暗青色の色は数分以内に消え、銅イオンの元素状銅への完全な還元を示した。Ultra−Turraxのスイッチを切った後、固体は自然に分離した。アルミニウムは、銅の反射光を示した。アミンの添加を伴なわない以外は同様な方法で処理された参照試料は、その元の暗青色を保持した。

Claims (24)

  1. 還元可能な化合物の、それ自体或いは還元性金属との混合物又は溶液の構成部分としての、還元的析出に対する方法であって、前記還元可能な化合物が、周囲温度において、水素源の不存在下で、微細に分散された還元性金属の連続的に機械的にin situで再生された清浄な金属表面に、連続的に還元的に固定されることを特徴とする、前記方法。
  2. 前記還元可能な化合物が、それ自体或いは固体又は液体混合物若しくは溶液の構成部分としての還元可能な有機化合物であり、そしてこれが、還元性金属の連続的に機械的にin situで再生された清浄な金属表面に、錯体の形成によって還元的に固定される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記還元可能な有機化合物が、不飽和脂肪族若しくは脂環式化合物、芳香族化合物、ハロゲン化化合物、アルデヒド若しくはケトン、ニトロ化合物、全てのこれら自体又は付加的な官能基との誘導体としての形態、或いは固体又は液体混合物若しくは溶液としての形態である、請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法。
  4. 前記還元性金属が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム又は鉄、全てのそれ自体又はこれらの物理的混合物の形態、又はこれらの合金の形態、又は他の金属との混合物若しくは合金、又は化学的に不活性な化合物との混合物の形態である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記化学的に不活性な化合物が、活性炭、黒鉛、微粉化又はペレット化プラスチックである、請求項4に記載の方法。
  6. 前記還元性金属を担体としての前記化学的に不活性な化合物上に均質に分散させるために、前記還元性金属及び前記化学的に不活性な化合物が共に激しく粉砕される、請求項4又は5のいずれか1項に記載の方法。
  7. リチウム、ナトリウム又はカリウムが、微粉化されたアルミニウム又は鉄と共に激しく粉砕される、請求項4に記載の方法。
  8. 前記還元性金属又は前記還元性金属を含む配合物が、阻害性の子層で被覆される、請求項1、及び4ないしのいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記還元性金属の清浄な金属表面が、高速撹拌装置又は混合機若しくは撹拌機の、或いは機械的分散機、摩砕ミル、横型若しくは縦型ボールミル、振動式ボールミル、切断ミル、ビーターミル、押出機又はニーダーの剪断力の作用によって、連続的に機械的にin situで再生された、請求項1に記載の方法。
  10. 液体系中の前記還元性金属及び前記還元可能な有機化合物からなる前記錯体が、水素又は炭素源との別のその後の反応のために、全ての過剰の還元可能な金属とも共に、デカンテーション、遠心分離又は濾過によって分離される、請求項ないしのいずれか1項に記載の方法。
  11. 固体系中の前記還元性金属及び前記還元可能な有機化合物からなる前記錯体が、水素又は炭素源との別のその後の反応において、全ての過剰の還元性金属と共に反応させられる、請求項ないしのいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記還元性金属及び前記還元可能な有機化合物からなる錯体の前記その後の反応に対する水素又は炭素源が、水、脂肪族若しくは脂環式アルコール、フェノール、アミンの全てのこれら自体として又は付加的官能基を含む誘導体或いはこれらの混合物として;アルデヒド、ケトン又は二酸化炭素である、請求項ないし11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記還元性金属と前記還元可能な有機化合物との錯体のその後の反応が、混合機又は粉砕機の内部で行われ、ここにおいて還元可能な有機化合物の還元的固定は、前もって、又は別個のインライン混合機若しくは粉砕装置において行われる、請求項ないし12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記還元可能な化合物を含む固体が、還元性金属と長鎖のアミンの存在中で粉砕される、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記還元可能な有機化合物を含む固体が、還元性金属と共に、生分解可能な有機溶媒、微粉化プラスチック又は活性炭から選ばれる不活性有機溶媒の存在中で粉砕される、請求項項ないし14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 記還元可能な有機化合物を含む固体が、前記固体粒子の粒子サイズを小さくすることによって、前記還元可能な有機化合物の利用性を増加するために、激しい混合又は粉砕装置中で前処理される、請求項ないし15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記前処理が、長鎖のアミン、有機溶媒又はこれらの混合物の存在中で行われる、請求項16に記載の方法。
  18. 前記錯体の形成が、化学量論以下の量の脂肪族アミンの存在中で行われる、請求項に記載の方法。
  19. 前記還元可能な化合物が、それ自体として又は固体又は液体混合物若しくは溶液の構成部分としての無機化合物であり、そしてこれが、還元性金属の連続的に機械的にin situで再生された清浄な金属表面上にメッキすることによって還元的に固定される、請求項1に記載の方法。
  20. 前記無機化合物が、重金属の塩又は錯体である、請求項19に記載の方法。
  21. 液相の汚染物質としての重金属イオンが、還元性金属の連続的に機械的にin situで再生された清浄な表面上に還元的固定によって、その不溶性金属状態に転換され、そして従って前記液相から、アミンの存在中の高速分散装置による激しい混合によって完全に除去される、請求項1ないし20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 固体の汚染物質としての重金属イオンが、還元性金属の連続的に機械的にin situで再生された清浄な金属表面上に還元的固定によって、その不溶性金属状態に転換され、そして従って前記固体中で、アミンの存在中の高速分散装置による激しい混合、粉砕、微粉砕によって完全に固定化される、請求項1ないし21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 産業廃棄物、残渣、副産物、並びに汚染土壌及び土壌様物質、スラッジ、鉱油及び鉱油様物質中の汚染物質としての、還元可能な有機及び無機の有害な化合物の無毒化及び固定化のための方法であって、前記汚染物質が、前処理を伴ない又はDCR反応で仕上げられ、そして請求項1ないし22のいずれか1項に記載の方法にかけられることを特徴とする、前記方法。
  24. 異物が散在する場合、前記汚染物質が、DCR反応で反応させられ、続いて篩により篩い分けされ、そしてここにおいて得られた均質な微細な篩い分け物が次いで、還元可能な有機又は無機の有害汚染物質の無毒化及び固定化のために、請求項 1ないし 3のいずれか1項に記載の方法にかけられる、請求項23に記載の方法。
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