JP4257935B2 - ペリレン誘導体、過酸化脂質計測用試薬及び過酸化脂質の計測方法 - Google Patents

ペリレン誘導体、過酸化脂質計測用試薬及び過酸化脂質の計測方法 Download PDF

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Description

本発明は、過酸化脂質の計測用試薬として有用な化合物に関する。また、本発明は上記化合物を含む過酸化脂質計測用試薬及びそれを用いた過酸化脂質の計測方法に関する。
過酸化脂質は、例えば細胞膜リン脂質の不飽和脂肪酸部分に活性酸素が付加する脂質過酸化により生じることが知られており、タンパク質の劣化を引き起こすとされている。脂質過酸化過程においては、ヒドロペルオキシド類やさらに分解が進んだ二次生成物であるアルデヒド化合物が生成するが、脂質過酸化の初期に多量に生成するヒドロペルオキシド類は、酸化ストレスマーカーとして近年特に注目を集めている。過酸化脂質を計測する従来法として、チオバルビツール酸法(K. Yagi, Methods Enzymol., 105, 328 (1984)、非特許文献1)は広く用いられている手法であるが、その計測対象は主に過酸化脂質の二次生成物であるマロンジアルデヒドであり、過酸化脂質の本体とも言うべきヒドロペルオキシド類を直接計測することはできない。
一方、ヒドロペルオキシド類を計測する従来法として、シクロオキシゲナーゼ法(P. J. Marshall et al., Anal. Biochem., 145, 192 (1985)、非特許文献2、M. A. Warso et al., J. Clin. Invest., 75, 667 (1985)、非特許文献3)、グルタチオンペルオキシダーゼ法(L. Health et al., Anal. Biochem., 76, 184 (1976)、非特許文献4)、HPLC-CL法(Y. Yamamoto, et al., Anal. Biochem., 160, 7 (1987)、非特許文献5)等も知られている。しかしながらこれらの手法は、その測定原理上、細胞中の過酸化脂質をin vivoにおいてイメージング計測することはできない。
過酸化脂質の蛍光イメージング計測に成功した唯一の例として、蛍光試薬diphenyl-1-pyrenylphosphine(DPPP)を用いる手法(K. Akasaka et al., Anal. Lett., 20, 731, 797 (1987)、非特許文献6、Y. Okimoto, FEBS Lett., 474, 137 (2000)、非特許文献7)があるが、DPPPは最大励起波長及び最大蛍光波長が短い(λex = 352 nm, λem = 380 nm in chloroform/methanol)ため生体試料由来の自家蛍光の影響を受けやすく、生細胞イメージングにおいては細胞へのダメージが大きいという欠点がある。また、DPPPの蛍光基をピレンからベンゾフラザン誘導体に変化させた蛍光試薬を用いる手法(M. Onoda et al., Org. Lett., 5, 1460 (2003)、非特許文献8)も最近報告されたが、この反応体の蛍光量子収率は低く(0.44 in acetonitrile, 0.21 in methanol)、蛍光の長波長化も十分とは言い難い(λex = 458 nm, λem = 520 nm in acetonitrile)。以上のことから、過酸化脂質を計測する優れた手法の開発が望まれている。
K. Yagi, Methods Enzymol., 105, 328 (1984) P. J. Marshall et al., Anal. Biochem., 145, 192 (1985) M. A. Warso et al., J. Clin. Invest., 75, 667 (1985) L. Health et al., Anal. Biochem., 76, 184 (1976) Y. Yamamoto, et al., Anal. Biochem., 160, 7 (1987) K. Akasaka et al., Anal. Lett., 20, 731, 797 (1987) Y. Okimoto, FEBS Lett., 474, 137 (2000) M. Onoda et al., Org. Lett., 5, 1460 (2003)
本発明の課題の一つは、過酸化脂質の計測用試薬として有用な化合物を提供することにある。また本発明の別の課題は、上記化合物を含む過酸化脂質計測用試薬及びそれを用いた過酸化脂質の計測方法を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意努力した結果、ペリレン化合物にリン原子が直接又は結合基を介して導入された実質的に非蛍光性の化合物が、過酸化脂質と選択的に反応して蛍光性の化合物を与えることを見出した。本発明はこれらの知見を基にして完成されたものである。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[15]に記載の発明を提供するものである。
[1] 一般式(I)
[式中、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C20脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C20芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボニル基、置換基を有していてもよいチオール基、又はニトロ基であるか、R1及びR2、R4及びR5、R7及びR8、或いは、R10及びR11はそれぞれ結合してC4〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式−N(R)−(式中、Rは水素原子又はC1〜C20炭化水素基である。)で示される基で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよく、
但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12の何れか一つの基は、式−Rc−P(Ra)Rb(式中、Ra及びRbは、それぞれ同一または異なって、置換基を有していてもよいC1〜C20脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C20芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、置換基を有していてもよいチオール基、ハロゲン原子、又はニトロ基であり、Rcは、単結合、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基、又はこれらの組み合わせからなる結合基である。)で示される基で置換されているか、或いは、
R1及びR2 、R4及びR5、R7及びR8、R10及びR11がそれぞれ結合して形成される前記環の何れか一つが、前記式−Rc−P(Ra)Rb(式中、Ra、Rb、Rcは前記と同義である。)で示される基で置換されている。]
で表される化合物。
[2] R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C6脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C10芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C6アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、チオール基、又はニトロ基であるか、R1及びR2、R4及びR5、R7及びR8、或いは、R10及びR11はそれぞれ結合してC4〜C10飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子、又は式−N(R)−(式中、Rは水素原子又はC1〜C10炭化水素基である。)で示される基で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよく、
但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12の何れか一つの基は、式−Rc−P(Ra)Rb(式中、Ra及びRbは、それぞれ同一または異なって、置換基を有していてもよいC1〜C6脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C10芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C6アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基であり、Rcは、単結合、置換基を有していてもよいC1〜C6アルキレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基である。)で示される基で置換されているか、或いは、
R1及びR2 、R4及びR5、R7及びR8、R10及びR11がそれぞれ結合して形成される前記環の何れか一つが、前記式−Rc−P(Ra)Rb(式中、Ra、Rb、Rcは前記と同義である。)で示される基で置換されている。)
で表されるものである、上記[1]に記載の化合物。
[3] R1及びR2、或いは、R7及びR8がそれぞれ結合して形成される前記環が、環状イミド、又は環状酸無水物である、上記[1]又は[2]に記載の化合物。
[4] R1及びR2、或いは、R7及びR8がそれぞれ結合して形成される前記環が環状イミドであり、その一方が、前記式−Rc−P(Ra)Rb(式中、Ra、Rb、Rcは前記と同義である。)で示される基で置換されたものである、上記[1]又は[2]に記載の化合物。
[5] 一般式(I-a)
[式中、
R3、R4、R5、R6、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C20脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C20芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボニル基、置換基を有していてもよいチオール基、又はニトロ基であるか、R4及びR5、或いは、R10及びR11はそれぞれ結合してC4〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式−N(R)−(式中、Rは水素原子又はC1〜C20炭化水素基である。)で示される基で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよく、
Ra及びRbは、それぞれ同一または異なって、置換基を有していてもよいC1〜C20脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C20芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、置換基を有していてもよいチオール基、ハロゲン原子、又はニトロ基であり、
Rcは、単結合、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基、又はこれらの組み合わせからなる結合基であり、
Rd及びReは、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C20芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、置換基を有していてもよいチオール基、ハロゲン原子、又はニトロ基である。]
で表される化合物。
[6] R3、R4、R5、R6、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C6脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C10芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C6アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、チオール基、又はニトロ基であるか、R4及びR5、或いは、R10及びR11はそれぞれ結合してC4〜C10飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式−N(R)−(式中、Rは水素原子又はC1〜C10炭化水素基である。)で示される基で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよく、
Ra及びRbは、それぞれ同一または異なって、置換基を有していてもよいC1〜C6脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C10芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C6アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基であり、
Rcは、単結合、置換基を有していてもよいC1〜C6アルキレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基であり、
Rd及びReは、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C10芳香族炭化水素基、カルボニル基、又はハロゲン原子である、上記[5]に記載の化合物。
[7] R4、R5、R10及びR11が水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C6脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C10芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基、ハロゲン原子、チオール基、又はニトロ基である(但し、R4及びR5、或いは、R10及びR11は、それぞれ結合して、C5〜C7飽和環又は不飽和環を形成してもよく、かつ、置換基を有していてもよい。)であり、
R3、R6、R9及びR12が水素原子であり、
Ra及びRbが、それぞれ同一または異なって、置換基を有していてもよいフェニル基であり、
Rcが、単結合、置換基を有していてもよいC1〜C6アルキレン基、フェニレン基であり、
Rd及びReが、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキレン基、カルボニル基、ハロゲン原子である、上記[5]又は[6]に記載の化合物。
[8] 前記化合物が、過酸化脂質と反応して蛍光性化合物を生成するものである、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の化合物。
[9] 前記過酸化脂質がヒドロペルオキシド類である、上記[8]に記載の化合物。
[10] 前記蛍光性化合物が、一般式(II)
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、Ra、Rb及びRcは、一般式(I)におけるものと同義である。]
で表されるものである、上記[8]又は[9]に記載の化合物。
[11] 前記蛍光性化合物の蛍光量子収率が0.6〜1の範囲内である、上記[8]〜[10]のいずれかに記載の化合物。
[12] 上記[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物を含む過酸化脂質計測用試薬。
[13] 上記[12]に記載の過酸化脂質計測用試薬を用いて過酸化脂質を蛍光検出することを特徴とする、過酸化脂質の計測方法。
[14] 蛍光検出に用いる励起波長が、380 nm〜700 nmの範囲内である、上記[13]に記載の計測方法。
[15] 蛍光検出に用いる蛍光波長が、400 nm〜750 nmの範囲内である、上記[13]又は[14]に記載の計測方法。
本発明の好ましい態様によれば、過酸化脂質と選択的に反応して蛍光性の化合物を与えるペリレン誘導体を提供することができる。この化合物を過酸化脂質計測用試薬として用いることにより、細胞内成分由来の自家蛍光が測定系に与える影響を抑制しながら、かつ生きた細胞を用いる測定系においては励起光の照射が当該細胞に与えるダメージを抑制しながら過酸化脂質を蛍光検出することができる。
上述したとおり、本発明は、一般式(I)で表される化合物(以下「ペリレン誘導体」ともいう。)、過酸化脂質計測用試薬及び過酸化脂質の計測方法に関する。以下、それぞれについて詳細に説明する。
A.ペリレン誘導体
本発明のペリレン誘導体は、下記一般式(I)で表されるものであり、分子内にペリレン構造とリン原子含有基とを含む点に特徴がある。
一般式(I)において、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C20脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C20芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、カルボキシル基、カルボニル基、置換基を有していてもよいチオール基、又はニトロ基であるか、R1及びR2、R4及びR5、R7及びR8、或いは、R10及びR11はそれぞれ結合してC4〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式−N(R)−(式中、Rは水素原子又はC1〜C20炭化水素基である。)で示される基で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。
「C1〜C20脂肪族炭化水素基」は、飽和若しくは不飽和の炭素原子1〜20の脂肪族炭化水素基であり、線状でもよいし、枝分れでもよい。C1〜C20アルキル基、C2〜C20アルケニル基、C2〜C20アルキニル基、C4〜C20アルキルジエニル基、C4〜C20シクロアルキル基、C4〜C20シクロアルケニル基などが含まれる。中でも、炭素原子1〜6の脂肪族炭化水素基が好ましい。「C1〜C20脂肪族炭化水素基」の置換基としては、特に制限されないが、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアミノ基、アルコキシル基、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基等がある。
「C1〜C20アルキル基」は、C1〜C10アルキル基であることが好ましく、C1〜C6アルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
「C2〜C20アルケニル基」は、C2〜C10アルケニル基であることが好ましく、C2〜C6アルケニル基であることが更に好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、2−ブテニル等を挙げることができる。
「C2〜C20アルキニル基」は、C2〜C10アルキニル基であることが好ましく、C2〜C6アルキニル基であることが更に好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
「C4〜C20アルキルジエニル基」は、C4〜C10アルキルジエニル基であることが好ましく、C4〜C6アルキルジエニル基であることが更に好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1,3−ブタジエニル等を挙げることができる。
「C4〜C20シクロアルキル基」は、C4〜C10シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
「C4〜C20シクロアルケニル基」は、C4〜C10シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
「C6〜C20芳香族炭化水素基」は、C6〜C10芳香族炭化水素基であることが好ましい。芳香族炭化水素基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。「C6〜C20芳香族炭化水素基」の置換基としては、特に制限されないが、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアミノ基、アルコキシル基、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基等がある。
なお、「芳香族炭化水素基」には、アルキルアリール基及びアリールアルキル基を含むこともできる。アルキルアリール基の例としては、制限するわけではないが、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、メシチル等を挙げることができる。アリールアルキル基の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル等を挙げることができる。
「C1〜C20アルコキシ基」は、C1〜C10アルコキシ基であることが好ましく、C1〜C6アルコキシ基であることが更に好ましい。アルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。「C1〜C20アルコキシ基」の置換基としては、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアミノ基等がある。
「置換基を有していてもよいアミノ基」の例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
「置換基を有していてもよいチオール基」の例としては、制限するわけではないが、メチルチオ等がある。
本発明のペリレン誘導体において、R1及びR2 、R4及びR5、R7及びR8、或いは、R10及びR11は、それぞれ結合してC4〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよい。これらの基が形成する環は、4員環〜16員環であることが好ましく、4員環〜12員環であることが更に好ましい。この環は、ベンゼン環等の芳香族環であってもよいし、脂肪族環であってもよい。このような環としては、例えば、チオフェン環、ピロール環がある。また、これらの基が形成する環に、更に単数又は複数の環が形成されていてもよい。
前記飽和環又は不飽和環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式−N(R)−(式中、Rは水素原子又はC1〜C20炭化水素基である。)で示される基で中断されていてもよい。即ち、前記飽和環または不飽和環はヘテロ環であってもよい。不飽和環はベンゼン環等の不飽和環であってもよい。
上記式中のRは、水素原子又はC1〜C10炭化水素基であることが好ましい。線状でもよいし、枝分れでもよい。本明細書において、「炭化水素基」は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。Rは、水素原子、C1〜C10アルキル基、フェニル基又はベンジル基であることが更に好ましい。
この飽和環又は不飽和環は、置換基を有していてもよく、例えば、C1〜C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、C1〜C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6〜C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、シリル基、又はオキソ基(=O)などの置換基で置換されていてもよい。
飽和環又は不飽和環の好ましい例としては、環状イミド、又は環状酸無水物等があり、中でも、環状イミドが好ましい。
また、本発明において、一般式(I)で表される化合物は、リン原子含有基を有している。即ち、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12の何れか一つの基が、式−Rc−P(Ra)Rb(式中、Ra及びRbは、それぞれ同一または異なって、置換基を有していてもよいC1〜C20脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C20芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、チオール基、ハロゲン原子、又はニトロ基であり、Rcは、単結合、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基、又はこれらの組み合わせからなる結合基である。)で示される基で置換されているか、或いは、
R1及びR2 、R4及びR5、R7及びR8、R10及びR11がそれぞれ結合して形成される前記環の何れか一つが、前記式−Rc−P(Ra)Rb(式中、Ra、Rb、Rcは前記と同義である。)で示される基で置換されている。
リン原子含有基は、ペリレン構造に直接結合していてもよく、結合基を介して結合していてもよい。合成の観点からは、リン原子含有基は、R1及びR2、R7及びR8がそれぞれ結合して形成される飽和環に結合していることが好ましい。これらの環がヘテロ環の場合、リン原子含有基は、炭素原子に結合していてもよく、ヘテロ原子に結合していてもよい。
Ra及びRbは、置換基を有していてもよいC1〜C6脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C10芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C6アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基であることが好ましい。
Rcは、単結合、置換基を有していてもよいC1〜C6アルキレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基であることが好ましい。
本発明のペリレン誘導体としては、例えば、下記一般式(I-a)で表される化合物が好ましく例示される。
上記式中の記号、R3、R4、R5、R6、R9、R10、R11、R12、Ra、Rb、及びRcは、前記と同義である。好ましい基についても同様である。
中でも、R4、R5、R10及びR11は、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C6脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C10芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基、ハロゲン原子、又はチオール基、ニトロ基であることが好ましい。但し、前述したとおり、R4及びR5、或いは、R10及びR11は、それぞれ結合して、C5〜C7飽和環又は不飽和環を形成してもよく、かつ、置換基を有していてもよい。
また、R3、R6、R9及びR12は水素原子であることが好ましい。
Ra及びRbは、それぞれ同一または異なって、置換基を有していてもよいフェニル基であることが好ましく、フェニル基であることが更に好ましい。Rcは、単結合、置換基を有していてもよいC1〜C6アルキレン基、フェニレン基であることが好ましい。「C1〜C6アルキレン基」は、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等がある。
Rd及びReは、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C20芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、チオール基、ハロゲン原子、ニトロ基である。
中でも、Rd及びReは、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C10芳香族炭化水素基、カルボニル基、又はハロゲン原子であることが好ましい。Rd及びReは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキレン基、カルボニル基、又はハロゲン原子であることがより好ましい。とりわけ、Rd及びReは、それぞれ同一又は異なって、線状C1〜C10アルキレン基であることが好ましく、Rd及びReが同じ鎖長の線状C1〜C10アルキレン基であることが更に好ましい。
これらの中でも、Ra及びRbが、それぞれ同一または異なって、置換基を有していてもよいフェニル基であり、
Rcが、単結合、置換基を有していてもよいC1〜C6アルキレン基、フェニレン基であり、
Rd及びReが、それぞれ同一または異なって、線状C1〜C10アルキレン基である、ペリレン誘導体が好ましい。
<製造方法>
本発明のペリレン誘導体は、公知のペリレン化合物又はペリレンを原料として合成される。これらの原料は、論文記載の合成法(例えばH. Langhals, Heterocycles, 40, 477, (1995))に従って合成するか、又は市販品を用いることができる。
例えば、環状酸無水物などの反応性基を有するペリレン誘導体に、アミノ基などの反応性基を有するリン原子含有基を155℃〜160℃で3時間〜5時間還流することによって、本発明のペリレン誘導体を得ることができる。
また、ペリレン構造にリン原子含有基を直接導入する場合は、例えば、ハロゲン原子などの反応性基を有するペリレン誘導体に、リン原子含有基として第二級ホスフィン化合物を加え、酢酸パラジウムなどの触媒存在下において、80℃〜130℃で1時間〜72時間還流することによって、本発明のペリレン誘導体を得ることができる。
なお、生成物の精製は、通常有機合成に使用される精製方法により行えばよい。
本発明の好ましい態様によれば、ペリレン誘導体は、過酸化脂質、例えばヒドロペルオキシド類などと選択的に反応して、例えば下記一般式(II)で表されるような蛍光性化合物を生成することができる。
なお、式中の記号、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、Ra、Rb及びRcは、一般式(I)におけるものと同義であるので、ここでは説明を繰り返さない。
このように、本発明の好ましい態様によれば、ペリレン誘導体は、過酸化脂質、特にヒドロペルオキシド類と選択的に反応し、一般式(II)で示されるような蛍光性の酸化物を与えることができる。この反応は化学量論的に進行する。
この蛍光性化合物は、特に制限されるものではないが、励起波長480 nm〜600 nm、蛍光波長500 nm〜650 nmの蛍光特性を有していることが好ましい。このように励起波長及び蛍光波長が長波長領域にあると、細胞内成分由来の自家蛍光が測定系に与える影響を抑制しながら、かつ生きた細胞を用いる測定系においては励起光の照射が当該細胞に与えるダメージを抑制しながら蛍光検出を行うことができる。
また、この蛍光性化合物の蛍光量子収率は、特に制限されるものではないが、0.6〜1の範囲内であることが好ましく、0.7〜1の範囲内であることがより好ましく、0.8〜1の範囲内であることが更に好ましい。ここでいう「蛍光量子収率」は、次式で定義される。(蛍光量子収率)=(蛍光発光の光子数)/(励起光の吸収された光子数)
本発明のペリレン誘導体は、このような性質を利用することにより、例えば、後述するような過酸化脂質計測用試薬として使用することができる。
B.過酸化脂質計測用試薬
本発明の過酸化脂質計測用試薬は、上記ペリレン誘導体を含むことを特徴としている。本発明の過酸化脂質計測用試薬は、含有されるペリレン誘導体が過酸化脂質と選択的に反応して蛍光性化合物を与えることができるので、脂質過酸化を簡便な方法で蛍光検出することができる。特に、本発明の過酸化脂質計測用試薬は、蛍光検出に用いる励起波長及び蛍光波長が長波長領域にあるので、細胞内成分由来の自家蛍光が測定系に与える影響を抑制しながら、かつ生きた細胞を用いる測定系においては励起光の照射が当該細胞に与えるダメージを抑制しながら蛍光検出を行うことができる点で有用である。
本発明の過酸化脂質計測用試薬は、ペリレン誘導体のほか、必要に応じて溶媒や添加剤を含むこともできる。この場合、ペリレン誘導体は過酸化脂質計測用試薬中に1nmol/L以上含有していることが好ましい。ペリレン誘導体の含有量は用途に応じて適宜決定すればよい。使用できる溶媒としては、リン原子含有ペリレン誘導体及び過酸化脂質に不活性なものであれば特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール、アセトニトリル、ベンゼンなどがある。また、使用できる添加剤としては、例えば、リポソームやミセルなどがある。
C.過酸化脂質の計測方法
本発明の過酸化脂質の計測方法は、上記過酸化脂質計測用試薬を用いて過酸化脂質を蛍光検出することを特徴としている。
本発明の方法は、生きた細胞にも細胞抽出成分にも適用することができる。例えば、本発明を、生きた細胞における過酸化脂質の蛍光イメージングに適用する際には、まず、過酸化脂質計測用試薬を細胞内に導入し、蛍光顕微鏡画像解析システムなどを用いることで検出を行う。また、生きた細胞に過酸化脂質計測用試薬を導入し、フローサイトメトリーやプレートリーダーなどで蛍光検出を行うこともできる。なお、過酸化脂質計測用試薬の細胞への導入方法は、特に限定されるものではないが、例えば過酸化脂質計測用試薬と細胞を生体温度でインキュベートすることで行うことができる。一方、例えば、本研究を細胞抽出成分に用いる場合は、細胞抽出試料と過酸化脂質計測用試薬を混合した後、蛍光分光光度計、プレートリーダー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、フローインジェクションなどの手法で蛍光検出を行うことができる。
本発明の方法において、蛍光検出に用いる励起波長は、380 nm〜700 nmの範囲内であることが好ましく、430 nm〜650 nmの範囲内であることがより好ましく、480 nm〜600 nmの範囲内であることが更に好ましい。また、蛍光検出に用いる蛍光波長は、400 nm〜750 nmの範囲内であることが好ましく、450 nm〜700 nmの範囲内であることがより好ましく、500 nm〜650 nmの範囲内であることが更に好ましい。このように、本方法の好ましい態様によれば、蛍光検出に用いる励起波長及び蛍光波長が長波長領域で行えることから、細胞内成分由来の自家蛍光が測定系に与える影響を抑制しながら、かつ生きた細胞を用いる測定系においては励起光の照射が当該細胞に与えるダメージを抑制しながら蛍光検出を行うことができるという利点がある。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。なお、以下のスキーム中、化合物番号は実施例中の化合物番号と対応する。
ペリレン誘導体の合成
本発明のペリレン誘導体(以下「LOOH probe」ともいう。)を下記の方法に従って合成した。まず、ペリレン誘導体の電子供与体部位(Donor Moiety)と電子受容体部位(Accaptor Moiety)を下記のスキームに従って合成した。
化合物2の合成
[実験操作]
7-トリデカノン25 g(126 mmol)をメタノールに溶かし、メタノール500 mlにヒドロキシルアミン塩酸塩を15 g(215 mmol)溶かした溶液を加え、更に85 % KOHを29.3 g(430 mmol)加え、白濁した溶液を60℃にて24時間還流した。溶液を濾過、減圧濃縮し、2NのHClで酸性にし、ジエチルエーテルで抽出した。その後、飽和NaCl水で3回エーテル相を抽出し、回収したエーテル相を減圧濃縮した。真空乾燥した後、MSと1H-NMRにより生成物の確認を行った。
[結果]
得られた化合物2の分析結果は以下のとおりであった。

性状 淡黄色油状

1H-NMR (TMS,CDCl3) δ(ppm)
0.85-0.95 (t, 6H, CH3), 1.25-1.40 (m, 12H, 6CH2), 1.45-1.55 (m, 4H, 2CH2),
2.15-2.18 (t, 4H, 2CH2CH2CNOH), 2.30-2.34 (t, 4H, 2CH2CHOH)

MS m/z 213 (M+)
化合物3の合成
[実験操作]
無水エタノール400 mlに2を27.582 g(129.36 mmol)加え、60℃まで加熱し、そこに、ナトリウム48.5 g(2.11 mol)を速やかに加えて、そのまま還流を30分続けた。粘性が高くなり、白濁し、攪拌できなくなったので反応を終了し、溶液中のナトリウムをつぶした。溶液を濾過し、減圧濃縮した後、飽和NaCl水、ジエチルエーテルで3回抽出した。エーテル相を回収し、減圧濃縮した後、4時間真空乾燥させた。その後、減圧蒸留(15 mmHg 120℃)にて精製した。MSと1H-NMRにより生成物の確認を行った。
[結果]
得られた化合物3の分析結果は以下のとおりであった。

収率 16.618 g(62.8 %)
性状 無色透明油状

1H-NMR (TMS,CDCl3) δ(ppm)
0.8-1.0 (t, 6H, CH3), 1.2-1.4 (m, 16H, 8CH2), 1.4-1.6 (m, 4H, 2CH2CHNH2),
3.2 (m, 1H, CHNH2)

MS m/z 199 (M+)
化合物5の合成
[実験操作]
4を1.00 g(2.55 mmol)、3を1.79 g(6.01 mmol)、Zn(AcO)2を210 mg、イミダゾール3.00 g(44.1 mmol)を混合し、N2雰囲気下、155℃で4時間還流した。反応後HClを加え一晩静置した。赤色沈殿物を濾過し、メタノールでよく洗浄し乾燥させた後、MSと1H-NMRにより生成物の確認を行った。
[結果]
化合物5の分析結果は以下のとおりであった。

収率 ―
性状 赤色粉末

1H-NMR (TMS,CDCl3) δ(ppm)
0.8-0.9 (t, 12H, 4CH3), 1.15-1.4 (m, 32H, 16CH2), 1.8-1.9 (m, 4H, 2CH2CHN),
2.2-2.3 (m, 4H, 2CH2CHN), 5.15-5.25 (m, 2H, 2CHN), 8.6-8.7 (m, 8H, perylene)

MS m/z 755 (M+)
化合物6の合成
[実験操作]
5を1.58 g(2.09 mmol)にKOH 0.40 g(7.1 mmol)を溶解させておいたtert-BuOH 40 mlを加え、80℃で還流を始めた。還流を開始してから5分毎にTLC分析により目的物を確認した後、反応を終了させた(およそ15分〜20分)。室温まで冷まし、HCl溶液を加え一晩静置した。赤色沈殿物を濾過し、よく水で洗浄し、クロロホルムに溶かして飽和NaCl水で3回抽出した。回収したクロロホルム相を減圧濃縮し、シリカゲルカラム(溶媒:クロロホルム)にて精製を行った。MSと1H-NMRにより生成物の確認を行った。
[結果]
化合物6の分析結果は以下のとおりであった。

収率 506 mg(42.3 %)
性状 赤色粉末

1H-NMR (TMS,CDCl3) δ(ppm)
0.8-1.0 (t, 6H, CH3), 1.2-1.5 (m, 16H, 8CH2), 1.8-1.9 (m, 2H, CH2CHN),
2.2-2.3 (m, 2H, CH2CHN), 5.15-5.2 (m, 1H, CHN), 7.5-7.6 (d, 2H, perylene)
7.7-7.8 (d, 2H, perylene), 8.65-8.75 (d, 4H, perylene)

MS m/z 573 (M+)
化合物9の合成
[実験操作]
4-ヨードアニリン4.38 g(20 mmol)を、DMA 20 mlに溶かし、酢酸カリウム2.39 g(24 mmol)酢酸パラジウム(II)4.5 mg(0.02 mmol)を加え、攪拌した。得られた懸濁液を脱気し、N2雰囲気下でジフェニルホスフィン3.72 g(20 mmol)を加え、130℃で3時間還流した。室温まで冷ましてから水とジクロロメタンで3回抽出した。回収したジクロロメタン相を減圧濃縮し、2時間真空乾燥させた後、シリカゲルカラム(溶媒:クロロホルム)により精製を行った。MSと1H-NMRにより生成物の確認を行った。
[結果]
化合物9の分析結果は以下のとおりであった。

収率 3.2305g(58.3 %)
性状 淡黄色油状

1H-NMR (TMS,CDCl3) δ(ppm)
3.6-4.0 (s, 2H, NH2), 6.6-6.7 (m, 2H, benzene), 7.1-7.2 (m, 2H, benzene),
7.25-7.35 (m, 10H, benzene)

MS m/z 277 (M+)
次に、得られた電子供与体部位(化合物6)及び電子受容体部位(化合物9)を反応させてLOOH probe(化合物10)を合成した。
LOOH probe (化合物10) の合成
[実験操作]
化合物6 104.5 mg(0.182 mmol)、化合物9 60 mg(0.215 mmol)、 Zn(AcO)2 8.62 mg (0.047 mmol)、キノリン406 mg(3.15 mmol)に増やし、N2雰囲気下、155℃で4時間還流した。TLCで反応の進行を確認し、2N HClを加え一晩放置した。溶液をクロロホルムを使って分液ロートへ移し、HClと飽和NaCl水でクロロホルム相を3回抽出した。精製は、シリカゲルカラム(100% CHCl3)により行った。生成物の確認をFAB+-MSにより行った。
[結果]
化合物10の分析結果は以下のとおりであった。

収率 63.6 mg(42.0 %)
性状 赤色粉末

1H-NMR (TMS,CDCl3) δ(ppm)
0.7-0.8 (t, 6H, 2CH3), 1.1-1.2 (m, 16H, 8CH2), 1.7-1.9 (m, 2H, CH2CHN),
2.1-2.3 (m, 2H, CH2CHN), 5.15-5.25 (m, 1H, CHN), 7.3-7.5 (m, 14H, phenyl)
8.5-8.7 (m, 8H, perylene)

MS m/z 833.3510 (M+H)+
LOOH probe(化合物10)を用いて下記のスキームに従って蛍光試薬(LOOH probe oxide、化合物11)を合成した。
LOOH probe oxide (化合物11) の合成
[実験操作]
LOOH probe 20.0 mg(0.024 mmol)、をクロロホルム10 mlに溶かし、そこにm-クロロ過安息香酸(MCPBA)8.3 mg(0.048 mmol)を溶かしておいたクロロホルム5 mlを加え、45分間室温で攪拌した。その後、溶液を減圧濃縮し、シリカゲルカラム(展開溶媒MeOH:CHCl3=97:3)により精製を行い、生成物の確認を1H-NMRにより行った。
[結果]
化合物11の分析結果は以下のとおりであった。

収率 19.6 mg(96.2 %)
性状 赤色粉末

1H-NMR (TMS,CDCl3) δ(ppm)
0.74-0.85 (t, 6H, 2CH3), 1.03-1.25 (m, 16H, 8CH2), 1.8-2.0 (m, 2H, CH2CHN),
2.1-2.3 (m, 2H, CH2CHN), 5.05-5.2 (m, 1H, CHN), 7.41-7.46 (m, 6H, phenyl)
7.5-7.55 (m, 2H, phenyl), 7.65-7.75 (m, 4H, phenyl), 7.8-7.9 (m, 2H, phenyl),
8.57-8.66 (m, 8H, perylene)

MS m/z 849.3442 (M+H)+
基礎的な蛍光特性の評価
実施例1で得たLOOHプローブである化合物10と、化合物10が過酸化物との反応により形成する酸化体である化合物11の基礎的な蛍光特性を評価した。溶媒としてメタノール及びエタノールを用いた時の最大励起波長(λex)、最大蛍光波長(λem)、相対量子収率(Φ)、相対蛍光量子収率の比(Φ for LOOH probe oxide/Φ for LOOH probe)の結果を表1に示す。ここに示すように、LOOHプローブのλex及びλemは共に500 nm以上という長波長領域に存在すること、またLOOHプローブ酸化体のΦが〜1と極めて大きいことから、得られたLOOHプローブが蛍光プローブとして非常に優れた特性を有することが明らかとなった。
過酸化物の測定
LOOHプローブである化合物10の過酸化脂質検出能を評価するため、エタノール中、化合物10に脂溶性過酸化物であるm-chloroperbenzoic acid(MCPBA)を添加し、蛍光測定を行った。測定の条件は次のとおりである。化合物10の濃度:1 μM;MCPBAの濃度:0-4 μM;温度:37℃;λex:465 nm;λem:535 nm;バンド幅(励起/蛍光):1.5 nm/1.5 nm。なお、蛍光測定はMCPBAをプローブ溶液に添加後、5分後に行った。蛍光スペクトルの結果を図1に、MCPBA濃度に対するプローブの蛍光強度比変化の結果を図2に示す。図2のF及びF0はそれぞれMCPBA添加後及び添加前の蛍光強度を示しており、図2における挿入図はMCPBAの濃度が0-1000 nMの領域における結果を拡大して示したものである。図1に示すように、10はMCPBAの添加に応じて蛍光強度を増大させた。また、図2に示すように、10の蛍光強度比(F/F0)とMCPBA濃度との間には相関関係があり、MCPBA濃度が0-1000 nMの領域においては、蛍光強度比(F/F0)とMCPBA濃度との間に直線関係が成り立つことが明らかとなった。これらのことから、本発明によれば、過酸化脂質の検出を定量的に行えることがわかる。
本発明は、例えば、生きた細胞または細胞抽出成分に適用可能な、過酸化脂質を検出する蛍光試薬として有用である。
LOOHプローブである化合物10に脂溶性過酸化物であるMCPBAを添加したときの蛍光スペクトルを示したグラフである。 LOOHプローブである化合物10に脂溶性過酸化物であるMCPBAを添加したときのMCPBA添加前後の蛍光強度比とMCPBA濃度の関係を示したグラフである。

Claims (15)

  1. 一般式(I)
    [式中、
    R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C20脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C20芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、置換基を有していてもよいチオール基、又はニトロ基であるか、R1及びR2 、R4及びR5、R7及びR8、或いは、R10及びR11はそれぞれ結合してC4〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式−N(R)−(式中、Rは水素原子又はC1〜C20炭化水素基である。)で示される基で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよく、
    但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12の何れか一つの基は、式−Rc−P(Ra)Rb(式中、Ra及びRbは、それぞれ同一または異なって、置換基を有していてもよいC1〜C20脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C20芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいチオール基、ハロゲン原子、又はニトロ基であり、Rcは、単結合、C 1 〜C10アルキレン基、フェニレン基、又はこれらの組み合わせからなる結合基である。)で示される基で置換されているか、或いは、
    R1及びR2 、R4及びR5、R7及びR8、R10及びR11がそれぞれ結合して形成される前記環の何れか一つが、前記式−Rc−P(Ra)Rb(式中、Ra、Rb、Rcは前記と同義である。)で示される基で置換されており、
    前記C 1 〜C 20 脂肪族炭化水素基又はC 6 〜C 20 芳香族炭化水素基が置換基を有している場合、該置換基はハロゲン原子、置換基を有していてもよいアミノ基、アルコキシル基、水酸基及びカルボキシル基からなる群から選択され、
    前記C 1 〜C 20 アルコキシ基が置換基を有している場合、該置換基はハロゲン原子及び置換基を有していてもよいアミノ基からなる群から選択され、
    前記置換基を有していてもよいアミノ基は、アミノ基、ジメチルアミノ基、メチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基及びフェニルアミノ基からなる群から選択され、
    前記置換基を有していてもよいチオール基は、チオール基及びメチルチオール基からなる群から選択され、
    R 1 及びR 2 、R 4 及びR 5 、R 7 及びR 8 、或いは、R 10 及びR 11 が飽和環又は不飽和環を形成し、かつ、前記環が置換基を有している場合、該置換基は、C 1 〜C 10 炭化水素基、C 1 〜C 10 アルコキシ基、C 6 〜C 10 アリールオキシ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子、シリル基及びオキソ基からなる群から選択される。]
    で表される化合物。
  2. R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C6脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C10芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C6アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、チオール基、又はニトロ基であるか、R1及びR2 、R4及びR5、R7及びR8、或いは、R10及びR11はそれぞれ結合してC4〜C10飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子、又は式−N(R)−(式中、Rは水素原子又はC1〜C10炭化水素基である。)で示される基で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよく、
    但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12の何れか一つの基は、式−Rc−P(Ra)Rb(式中、Ra及びRbは、それぞれ同一または異なって、置換基を有していてもよいC1〜C6脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C10芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C6アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、カルボキシル基であり、Rcは、単結合、C 1 〜C6アルキレン基、フェニレン基である。)で示される基で置換されているか、或いは、
    R1及びR2 、R4及びR5、R7及びR8、R10及びR11がそれぞれ結合して形成される前記環の何れか一つが、前記式−Rc−P(Ra)Rb(式中、Ra、Rb、Rcは前記と同義である。)で示される基で置換されている。)
    で表されるものである、請求項1に記載の化合物。
  3. R1及びR2、或いは、R7及びR8がそれぞれ結合して形成される前記環が、環状イミド、又は環状酸無水物である、請求項1又は2に記載の化合物。
  4. R1及びR2、或いは、R7及びR8がそれぞれ結合して形成される前記環が環状イミドであり、その一方が、前記式−Rc−P(Ra)Rb(式中、Ra、Rb、Rcは前記と同義である。)で示される基で置換されたものである、請求項1又は2に記載の化合物。
  5. 一般式(I-a)
    [式中、
    R3、R4、R5、R6、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C20脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C20芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、置換基を有していてもよいチオール基、又はニトロ基であるか、R4及びR5、或いは、R10及びR11はそれぞれ結合してC4〜C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式−N(R)−(式中、Rは水素原子又はC1〜C20炭化水素基である。)で示される基で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよく、
    Ra及びRbは、それぞれ同一または異なって、置換基を有していてもよいC1〜C20脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C20芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいチオール基、ハロゲン原子、又はニトロ基であり、
    Rcは、単結合、C 1 〜C10アルキレン基、フェニレン基、又はこれらの組み合わせからなる結合基であり、
    Rd及びReは、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C20芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいチオール基、ハロゲン原子、又はニトロ基であり、
    前記C 1 〜C 20 脂肪族炭化水素基又はC 6 〜C 20 芳香族炭化水素基が置換基を有している場合、該置換基はハロゲン原子、置換基を有していてもよいアミノ基、アルコキシル基、水酸基及びカルボキシル基からなる群から選択され、
    前記C 1 〜C 20 アルコキシ基が置換基を有している場合、該置換基はハロゲン原子及び置換基を有していてもよいアミノ基からなる群から選択され、
    前記置換基を有していてもよいアミノ基は、アミノ基、ジメチルアミノ基、メチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基及びフェニルアミノ基からなる群から選択され、
    前記置換基を有していてもよいチオール基は、チオール基及びメチルチオール基からなる群から選択され、
    R 4 及びR 5 、或いは、R 10 及びR 11 が飽和環又は不飽和環を形成し、かつ、前記環が置換基を有している場合、該置換基は、C 1 〜C 10 炭化水素基、C 1 〜C 10 アルコキシ基、C 6 〜C 10 アリールオキシ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子、シリル基及びオキソ基からなる群から選択される。]
    で表される化合物。
  6. R3、R4、R5、R6、R9、R10、R11及びR12は、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C6脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C10芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C6アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、チオール基、又はニトロ基であるか、R4及びR5、或いは、R10及びR11はそれぞれ結合してC4〜C10飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式−N(R)−(式中、Rは水素原子又はC1〜C10炭化水素基である。)で示される基で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよく、
    Ra及びRbは、それぞれ同一または異なって、置換基を有していてもよいC1〜C6脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C10芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C6アルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基、カルボキシル基であり、
    Rcは、単結合、C 1 〜C6アルキレン基、フェニレン基であり、
    Rd及びReは、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C10芳香族炭化水素基、又はハロゲン原子である、請求項5に記載の化合物。
  7. R4、R5、R10及びR11が水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C6脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC6〜C10芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基、ハロゲン原子、チオール基、又はニトロ基である(但し、R4及びR5、或いは、R10及びR11は、それぞれ結合して、C5〜C7飽和環又は不飽和環を形成してもよく、かつ、置換基を有していてもよい。)であり、
    R3、R6、R9及びR12が水素原子であり、
    Ra及びRbが、それぞれ同一または異なって、置換基を有していてもよいフェニル基であり、
    Rcが、単結合、C 1 〜C6アルキレン基、フェニレン基であり、
    Rd及びReが、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10 アルキル基、ハロゲン原子である、請求項5又は6に記載の化合物。
  8. 前記化合物が、過酸化脂質と反応して蛍光性化合物を生成するものである、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
  9. 前記過酸化脂質がヒドロペルオキシド類である、請求項8に記載の化合物。
  10. 前記蛍光性化合物が、一般式(II)
    [式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、Ra、Rb 及びRcは、一般式(I)におけるものと同義である。]
    で表されるものである、請求項8又は9に記載の化合物。
  11. 前記蛍光性化合物の蛍光量子収率が0.6〜1の範囲内である、請求項8〜10のいずれかに記載の化合物。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の化合物を含む過酸化脂質計測用試薬。
  13. 請求項12に記載の過酸化脂質計測用試薬を用いて過酸化脂質を蛍光検出することを特徴とする、過酸化脂質の計測方法。
  14. 蛍光検出に用いる励起波長が、380 nm〜700 nmの範囲内である、請求項13に記載の計測方法。
  15. 蛍光検出に用いる蛍光波長が、400 nm〜750 nmの範囲内である、請求項13又は14に記載の計測方法。

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