JP4257467B2 - チタンの回収方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チタンのふっ化物を含む水溶液からチタンを回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
チタンの板、棒、線および管などの製造工程における焼鈍などによりチタン表面には酸化スケールが生成する。この酸化スケールの一般的な除去方法に、酸洗による脱スケール方法がある。
【0003】
チタンの脱スケール用酸洗液として一般に用いられているのは、硝酸とふっ化水素酸を適切な割合で混合した硝ふっ酸と呼ばれる水溶液である。また、ふっ化水素酸単独の水溶液が用いられることもある。いずれの酸を用いた場合でも、酸洗によって酸洗液中の遊離酸が消費されると同時に、酸洗液中にチタンが溶け出してふっ化物が生成する。そのため、酸洗処理量が増すにつれて酸洗液としての能力が低下する。酸洗液の能力は、新しい酸を追加することによってある程度は回復するが、チタンの溶解量が多くなるにつれて回復程度が小さくなる。したがって、チタンの溶解量が一定の限度を超えた酸洗液は廃酸として廃棄される。ただし、このような酸洗廃酸はかなり多くの遊離酸やチタンのふっ化物を含むため、そのまま一般の下水などに放流することはできない。したがって、通常は水酸化カルシウムなどのアルカリを用いて中和処理し、含有しているチタンを水酸化物等の沈殿物とした後、排水として放出している。また、チタンの水酸化物の沈殿物にはふっ化カルシウムなどのふっ化物が多量に含まれているため、産業廃棄物として公害を出さないように処分する必要がある。
【0004】
酸洗液の廃液処理については古くから多くの研究がおこなわれている。例えば特公昭45−7647号公報には、溶出された金属を回収する廃酸洗液無スラッジ処理法が開示されている。この処理方法は、ステンレス鋼の酸洗に用いた硝ふっ酸等の廃酸を水酸化カルシウムを用いてpH1.0〜2.4に中和処理して廃酸洗液中のふっ酸をふっ化カルシウムに分離し、その濾液をさらにpH7まで中和処理することによって廃酸中に含まれるFe、Cr、Ni等の金属をそれぞれに分離して水酸化物の形で回収する方法である。
【0005】
本発明者は、この方法をチタンを酸洗した硝ふっ酸酸洗廃液およびふっ化水素酸単独の酸洗廃液からのチタンの回収に適用し、どの程度の純度のチタン水酸化物が回収できるかについて実験した。その結果、得られたチタンの水酸化物には多くのカルシウムおよびふっ素が含まれており、そのまま資源として再利用することはできないものであった。
【0006】
沈殿したチタンの水酸化物に多くのカルシウムおよびふっ素が含まれているのは、以下に述べるように水酸化チタンと共にふっ化カルシウムが生成するためと推測される。
【0007】
図3は、上記特公昭45−7647号公報に示されている処理方法を、チタンを酸洗した硝ふっ酸酸洗廃液に適用した場合の化学反応を説明するための図である。
【0008】
図3に示した硝ふっ酸酸洗廃液を水酸化カルシウムで中和してチタンを回収する処理の場合には、pH1.0〜2.4の中和処理によって遊離硝酸(HNO3)と遊離ふっ化水素酸 (HF)が水酸化カルシウム[Ca(OH)2]と反応し、硝酸カルシウム[Ca(NO3)2]、ふっ化カルシウム(CaF2)および水(H2O)を生成する。
【0009】
ここで生成した硝酸カルシウム[Ca(NO3)2]は、さらにチタンの硝ふっ酸酸洗によって生成した四ふっ化チタン(TiF4)の一部と反応して硝酸チタン[(Ti(NO3)4]とふっ化カルシウム(CaF2)を生成する。ただし、この反応はpHが低い場合には比較的起こりにくい。さらに、チタンの硝ふっ酸酸洗廃液中に溶け込んだ四ふっ化チタンの量が遊離硝酸の中和によって生成した硝酸カルシウムに比べて多い場合には、未反応の四ふっ化チタンが溶液中に残存することになる。そして、次のpH7の中和処理によって溶液中の硝酸チタンと四ふっ化チタンが水酸化カルシウムと反応し、水酸化チタン[Ti(OH)4]とふっ化カルシウムの沈殿物と硝酸カルシウムを生成する。従って、図3の回収処理法によって得られた水酸化チタンには、多くの場合、多量のふっ化カルシウムが混入していまうものと推測される。
【0010】
なお、以上の説明においては、硝ふっ酸中のチタンが四ふっ化チタンとして溶け込んでいるとして反応を記述したが、例えば、「Metal Finishing」第66巻(1968)、p.52には、硝酸とふっ化水素酸の濃度比が10%:2%より小さい場合に、チタンは下記の(1)式の反応で溶解して三ふっ化チタン(TiF3)を生成し、硝酸とふっ化水素酸の濃度比が10%:1%ならば(2)式の反応で溶解して四ふっ化チタン(TiF4)を生成することが記述されている。
【0011】
2Ti+6HF→2TiF3+3H2 ・・・・・・・・・・・・・・・(1)
3Ti+4HNO3+12HF→3TiF4+3H2O+4NO ・・・・(2)
また、「Corrosion Science」第30巻(1990)、p.461には、硝ふっ酸酸洗で溶け込んだチタンは、遊離のふっ化水素酸濃度が比較的大きい場合には六ふっ化チタンイオン(TiF6 2-)として存在し、ふっ化水素酸濃度が小さい場合や酸洗後に長く放置されたような場合には酸素を含んだ複雑な構造のふっ化チタンが生成すると示されている。しかし、いずれにしても、チタンがふっ素と結びついた状態で溶け込んでいるのは間違いないようである。
【0012】
図4は、前記特公昭45−7647号公報に示されている処理方法を、チタンを酸洗したふっ化水素酸酸洗廃液に適用した場合の化学反応を説明するための図である。
【0013】
図4に示したふっ化水素酸酸洗廃液を水酸化カルシウムで中和してチタンを回収する処理の場合には、pH1.0〜2.4の中和処理によって遊離ふっ化水素酸と水酸化カルシウムが反応してふっ化カルシウムと水を生成する。そして、次のpH7の中和処理によってチタンのふっ化水素酸酸洗で溶け込んだ三ふっ化チタン(TiF3)が水酸化カルシウムと反応して水酸化チタン(Ti(OH)3)とふっ化カルシウムの沈殿物を生成する。従って、図4の回収処理によって得られた水酸化チタンにも、ふっ化カルシウムの混入が避けられないものと推測される。
【0014】
このように、チタンを酸洗した酸洗廃液を中和して水酸化物としてチタンを回収する場合、水酸化物にはかなりのカルシウムやふっ素が含まれており、ふっ素とチタンとを分離することができなく、そのまま資源として再利用することができなかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、チタンのふっ化物を含む水溶液から高価なチタンを資源として利用するために回収すると共に、廃酸処理により生じる産業廃棄物の量を低減することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、以下の(1)及び(2)に示す通りである。
【0017】
(1)チタンのふっ化物を含む硝ふっ酸水溶液からチタンを回収する方法であって、前記水溶液に水酸化カリウム、水酸化アンモニウムおよびアンモニアのうちの1種または2種以上を添加し、pHを3〜12に調整することによってチタンを水酸化物として沈殿させることを特徴とするチタンの回収方法
(2)チタンのふっ化物を含むふっ化水素酸水溶液からチタンを回収する方法であって、前記水溶液に水酸化カリウム、水酸化アンモニウムおよびアンモニアのうちの1種または2種以上を添加し、pHを5〜12に調整することによってチタンを水酸化物として沈殿させることを特徴とするチタンの回収方法。
なお、アンモニアは水溶液中では水と反応して水酸化アンモニウムを生成することはよく知られていることであり、アンモニアを添加することは実質的に水酸化アンモニウムを添加することと同じである。
【0018】
本発明者は、チタンのふっ化物を含む硝ふっ酸水溶液又はふっ化水素酸水溶液からなる廃酸酸洗液を中和して沈殿させたチタンの水酸化物に混入するふっ化物の量をできるだけ少なくする処理方法を種々実験、検討した結果、中和処理に用いるアルカリとして水酸化カリウム、水酸化アンモニウムまたはアンモニアの1種以上を用いればよいことを見いだしたのである。また、中和処理時のpHとしては、チタンのふっ化物を含む硝ふっ酸水溶液の場合には3〜12に調整すればよく、そして、チタンのふっ化物を含むふっ化水素酸水溶液の場合には5〜12に調整すればよいことも見出した。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のチタン回収方法では、アルカリとして水酸化カリウム、水酸化アンモニウムおよびアンモニアの1種または2種以上を用いて遊離酸を中和し、同時にチタンを水酸化物として沈殿させる。
【0020】
図1は、硝ふっ酸酸洗廃液を水酸化カリウムで中和してチタンを回収する場合の化学反応の説明図である。
【0021】
図2は、ふっ化水素酸酸洗廃液を水酸化アンモニウムで中和してチタンを回収する場合の化学反応の説明図である。
図1に示す硝ふっ酸酸洗廃液からのチタンの回収処理の場合には、水酸化カリウムによるpH3〜12の中和処理によって、遊離硝酸(HNO3)と遊離ふっ化水素酸(HF)が水酸化カリウム(KOH)と反応し、硝酸カリウム(KNO3)、ふっ化カリウム(KF)および水(H2O)を生成する。また、チタンの硝ふっ酸酸洗によって溶液中に溶け込んだ硝酸チタン[Ti(NO3)4]と四ふっ化チタン(TiF4)も水酸化カリウムと反応し、水酸化チタン[Ti(OH)4]、硝酸カリウム(KNO3)およびふっ化カリウム(KF)を生成する。
【0022】
ここで、硝酸カリウムとふっ化カリウムは溶解度が大きいので沈殿せず、大部分が溶液に溶け込む。したがって、この方法により、比較的純度の良い水酸化チタンの沈殿が得られる。
【0023】
また、図2に示したふっ化水素酸酸洗廃液からのチタンの回収処理の場合には、水酸化アンモニウムによるpH5〜12の中和処理によって、遊離ふっ化水素酸(HF)が水酸化アンモニウム(NH4OH)と反応し、ふっ化アンモニウム(NH4F)および水(H2O)を生成する。また、チタンのふっ化水素酸酸洗によって溶液中に溶け込んだ三ふっ化チタン(TiF3)も水酸化アンモニウムと反応し、水酸化チタン[Ti(OH)3]およびふっ化アンモニウム(HN4F)を生成する。ここで、ふっ化アンモニウムは溶解度が大きいので沈殿せず、大部分が溶液に溶け込む。したがって、この方法により、比較的純度の良い水酸化チタンの沈殿物が得られる。
【0024】
なお、アンモニアを用いて廃酸を中和処理した場合の反応は水酸化アンモニウムを用いた場合と同じである。
【0025】
水酸化カリウムまたは水酸化アンモニウムとしては、固形のものを用いてもよいが、3〜5mol/dm3 程度の水溶液で添加すればpHの調節が容易になるので、水溶液として添加するのが好ましい。
【0026】
また、アンモニアによる中和処理は、純度100%のアンモニアガスまたは空気や窒素などとの混合ガスをチタンのふっ化物を含む水溶液に吹き込めばよい。pH調節は、pH試験紙やpHメーターを用いておこなえばよく、硝ふっ酸酸洗液の場合はチタンが4価のイオンになっているので、pH3〜12程度であればチタンは水酸化物としてほぼ完全に沈殿させることができる。
【0027】
また、ふっ化水素酸酸洗液の場合はチタンは3価のイオンで溶け込んでいるので、pH5〜12程度でほぼ完全に沈殿する。ただし、得られたチタンの水酸化物の純度は、pH9〜12のものが比較的優れており、これよりpHが低いと比較的多くのふっ化物が含まれる。pHがこれらの範囲より低い場合には、pHが低いほどチタンの水酸化物の沈殿が不完全となり、回収率が低下する。また、pHが12以上の場合は、チタンは水酸化物として完全に沈殿するが、必要以上のアルカリを使用するのは経済上不利である。
【0028】
沈殿したチタンの水酸化物はかなり粒子が細かく、濾布や濾紙を用いて濾過分離する際に目詰まりを起こしやすい。したがって、適当な凝集剤、例えば栗田工業株式会社製の商品名「クリフロックD511」などを数十〜百数十ppm程度添加すれば目詰まりを少なくすることができる。また、沈殿物に含まれる溶液をなるべく少なくするためには、沈殿側を加圧するとか、炉液側を減圧する方法が有効である。また、沈殿物に含まれる溶液中のふっ化カリウムやふっ化アンモニウムを少なくして沈殿物の純度を高めるためには、1〜5回程度必要に応じて沈殿物を水洗すればよい。
【0029】
なお、チタンの水酸化物を濾別した溶液からバイポーラ膜を用いた電解法等によって酸(すなわち、硝酸およびふっ化水素酸)とアルカリ(すなわち、水酸化カリウムおよび水酸化アンモニウム)を回収すれば、これらを再びチタンの酸洗や廃液からのチタンの回収に使用できる。
【0030】
【実施例】
(実施例1)
表1に示した組成の硝ふっ酸廃液100cm3 に、純水200cm3 を加えて混合し、撹拌しながら濃度200g/dm3 の水酸化カリウムまたは/および水酸化アンモニウムの水溶液を少しずつ添加し、pHを3〜12に調節した。
【0031】
【表1】
Figure 0004257467
【0032】
なお、水酸化カリウムと水酸化アンモニウムを併用した場合は、最初に水酸化カリウムの水溶液で大部分の遊離酸を中和し、わずかのチタンの水酸化物の沈殿が生成し始めたら、水酸化アンモニウムの水溶液を添加して所望のpHに調節した。さらに、一部のものには栗田工業株式会社製の「クリフロックD511」の0.3%水溶液2cm3を添加し、十分に攪拌した後、静置して沈殿物を沈降させた。
【0033】
次いで、吸引装置の付いた漏斗に濾紙を敷き、真空ポンプを用いて下部より吸引しながら上澄み液および沈殿物の全てを漏斗の濾紙上に移し入れた。さらに、下部より真空ポンプで吸引し、沈殿物に含まれている水溶液を十分に吸引、除去した。次に、沈殿物の上より、純水50cm3を流し込み、下部より真空ポンプで吸引する操作を3回繰り返して、沈殿物を洗浄した。
【0034】
このようにして、廃酸液からのチタンの水酸化物としての回収は完了したが、得られた水酸化物の純度と回収率を調べるために、次の操作をおこなった。
【0035】
大部分の沈殿物を別の容器に移し入れ、濾紙上に残る沈殿物を濃度12mol/dm3の塩酸200cm3で溶かしながら、前記の沈殿物を移し入れた容器に流し入れた。純水50cm3で濾紙を洗浄する操作を5回繰り返した後、濾液と洗浄液を撹拌して沈殿物を完全に溶解し、純水を加えて全量を1dm3に希釈した。次に、これより適量を採取して、溶液中のふっ素とチタンの含有率を分析した。なお、ふっ素の分析は、塩化カルシウムを添加して水酸化アンモニウムで中和処理し、ふっ素をふっ化カルシウム、チタンを水酸化チタンの沈殿物として分離した後、残留するカルシウムをEDTA(エチレンジアミン四酢酸塩)標準溶液で滴定する方法によった。また、チタンはICP発光分光分析法によって分析した。
【0036】
比較のために、前記特公昭45−7647号公報に示されている方法、すなわち、チタンを酸洗した硝ふっ酸酸洗廃液に適用した図3に示した方法(水酸化カルシウム使用)、および図1に示した方法で、水酸化カリウムの代わりに水酸化ナトリウムを用いて中和する方法でチタンの回収をおこない、沈殿物を上記と同様に処理してふっ素とチタンを分析した。
【0037】
これらの分析結果をまとめて表2に示す。
【0038】
【表2】
Figure 0004257467
【0039】
なお、チタンの分析値は採取した廃酸中のチタン量に対する回収されたチタン量の百分率、ふっ素の分析値は回収されたチタン量に対する不純物としてのふっ素量の百分率として表示した。表2から明らかなように、本発明法では硝ふっ酸廃液中のチタンを99.5%以上の回収率で回収でき、回収したチタンに対するふっ素は5%未満であった。これに対して、比較法により回収したチタンには多くのふっ素が含有されていた。
【0040】
(実施例2)
表1に示した組成のふっ化水素酸廃液100cm3に、純水200cm3を加えて混合し、撹拌しながら濃度200g/dm3の酸化カリウムまたは/および 水酸化アンモニウムの水溶液を少しずつ添加し、pHを5〜12に調節した。
【0041】
なお、水酸化カリウムと水酸化アンモニウムまたは水酸化アンモニウムとアンモニアを併用した場合には、最初に水酸化カリウムまたは水酸化アンモニウムの水溶液で大部分の遊離酸を中和し、わずかのチタンの水酸化物の沈殿が生成し始めたら、水酸化アンモニウムの水溶液またはアンモニアガスを添加または吹き込んで所望のpHに調節した。さらに、一部のものには栗田工業株式会社製の「クリフロックD511」の0.3%水溶液2cm3を添加し、十分に攪拌した後静置して沈殿物を沈降させた。
【0042】
次いで、吸引装置の付いた漏斗に濾紙を敷き、真空ポンプを用いて下部より吸引しながら上澄み液および沈殿の全てを漏斗の濾紙上に移し入れた。さらに、下部より真空ポンプで吸引し、沈殿物に含まれている水溶液を十分に吸引、除去した。次に、沈殿物の上より、純水50cm3を流し込み、下部より真空ポンプで吸引する操作を3回繰り返して、沈殿物を洗浄した。次に、得られた沈殿の純度と回収率を調べるために、実施例1と同じ操作をおこなった。
【0043】
比較のために、特公昭45−7647号公報に示されている方法、すなわち、図4に示した方法(水酸化カルシウム使用)と、図2に示した回収方法における水酸化カリウムの代わりに水酸化ナトリウムを用いて中和する方法によりチタンの回収をおこない、沈殿物を上記と同様に処理してふっ素とチタンを分析した。
【0044】
これらの分析結果をまとめて表3に示す。
【0045】
【表3】
Figure 0004257467
【0046】
なお、チタンの分析値は採取した廃酸中のチタン量に対する回収されたチタン量の百分率、ふっ素の分析値は回収されたチタン量に対する不純物としてのふっ素量の百分率として表示した。表3から明らかなように、本発明法では硝ふっ酸廃液中のチタンが99.0%以上の回収率で回収でき、回収したチタンに対するふっ素は0.5%未満であった。これに対して、比較法により回収したチタンには多くのふっ素が含有された。
【0047】
【発明の効果】
本発明のチタン回収方法により、廃液処理して廃棄されていた硝ふっ酸酸洗廃液またはふっ化水素酸酸洗廃液から純度の高いチタンを回収することができ、有用な金属資源として活用できるばかりでなく、産業廃棄物を大幅に削減することが可能となり、工業的な効果あるいは環境問題に及ぼす効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】水酸化カリウムを用いて硝ふっ酸酸洗廃液を中和してチタンを回収する場合の説明図である。
【図2】水酸化アンモニウムを用いてふっ化水素酸酸洗廃液を中和してチタンを回収する場合の説明図である。
【図3】硝ふっ酸酸洗廃液を水酸化カルシウムで中和してチタンを回収する場合の説明図である。
【図4】化水素酸酸洗廃液を水酸化カルシウムで中してチタンを回収する場合の説明図である。

Claims (2)

  1. チタンのふっ化物を含む硝ふっ酸水溶液からチタンを回収する方法であって、前記水溶液に水酸化カリウム、水酸化アンモニウムおよびアンモニアのうちの1種または2種以上を添加し、pHを3〜12に調整することによってチタンを水酸化物として沈殿させることを特徴とするチタンの回収方法。
  2. チタンのふっ化物を含むふっ化水素酸水溶液からチタンを回収する方法であって、前記水溶液に水酸化カリウム、水酸化アンモニウムおよびアンモニアのうちの1種または2種以上を添加し、pHを5〜12に調整することによってチタンを水酸化物として沈殿させることを特徴とするチタンの回収方法。
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