JP4256538B2 - フードマスク洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フードマスク除染装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所等の定期検査時には、放射性物質で汚染された機器を取り扱う作業が多く発生する。この際に作業者が着用する呼吸器用保護具として、図1(b)に示すようなフードマスクがある。以前は全面マスクがよく使用されていたが、最近は、図示のようなフード状のマスク1を頭部全体にかぶって使用する。このタイプのフードマスクは、バッテリー駆動のブロア部から、内蔵したフィルタを通って浄化された空気が送り込まれる、いわゆる送気式マスクである。
【0003】
放射性物質で汚染された作業場で、一度使用されたフードマスクはその都度、手作業により消毒用エタノールを浸み込ませたガーゼで拭き取るか、スポンジに洗剤を付け、水道水で流しながら洗浄する等の方法がとられていた。
【0004】
これらはいずれも手作業であり、かつ、フードマスクの外側表面自体も放射性物質で汚染されているため、洗浄作業者の装備もアノラック等の重装備であり、作業者の負担が重くなるので、この作業の機械化が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来、放射性物質により汚染された使用済フードマスクを除染し、再使用するために、重装備をした作業者の手作業による除染作業が必要であったので、本発明は、このような負担の多い手作業から作業者を解放し、機械化すること、及び、人手作業のため除染効果にムラが発生するという問題を解決し、機械化によって一定の除染効果が得られるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、原子力発電所内で呼吸用保護具として使用するフードマスクに付着した放射能及び一般汚れを除染するための洗浄装置であって、
フードマスク(1)の形状に合せて作成されて回転軸(2a)の上部に取付けられた金網製のマスク取付冶具(2)、及び前記回転軸(2a)の下部に取付けられたモータ(3)を有し、スタートボタンを押すことにより、前記マスク取付冶具(2)にセットされた前記フードマスク(1)を回転させるフードマスク回転装置と、
ローラモータ(6)により回転するブラシ(4)と、
該ブラシ(4)を回転しつつ、前記フードマスク(1)と並行して該フードマスクの全長にわたって該ブラシ(4)を上下動させるロッドレスシリンダ(7)と、
前記マスク取付冶具(2)の内部及び上部に設置されて前記フードマスク(1)の内外に洗浄水を散水するノズル(8、9)と
を備えることを特徴とする。
前記ローラモータ(6)は、前記ブラシ(4)を植毛したベース(10)を取り付けるための溝(11)を設けたブラシ固定ユニット(5)に内蔵されていることが好ましい。
前記ブラシ(4)は、毛の長さが異なる2種類の直線型ブラシを4本ずつ計8本用意され、該8本のブラシ(4)が前記ブラシ固定ユニット(5)の外周上に45゜間隔で交互に配置されていることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態は、原子力発電所等で作業者が放射線汚染を行う際に防護のために着用するフードマスクの内外面を洗浄する装置である。以下、図を参照して説明する。
【0008】
図1(b)に示された形態の使用済みフードマスク1は、図1(a)に示すように、マスクの形状に合わせて製作された金網製のマスク取付治具2(図2)にセットされる。マスク取付治具2は、回転軸2aの上部に取付けられ、回転軸2aの下部に設けたマスク回転用モータ3(図2)により回転する。
除染ブース内には、マスク1の外面を除染するためのブラシ4がある。ブラシ4は、図3(b)に示すように計8本のブラシを固定するブラシ固定ユニット5にセットされる。ブラシ4は、ローラモータ6により回転する。ブラシ固定ユニット5は、その中心にローラモータ6を嵌めて溶接で一体化されている。ローラモータ6と一体のブラシ固定ユニット5は、図1(a)及び図5に示すロッドレスシリンダ7により、マスク1の側部に沿って上下方向に駆動される。
図1(a)において、マスク取付治具2の上部には、マスク1の外表面を洗浄して除染するための外表面散水ノズル8がある。また、マスク1の内面に付着している人間の汗や油を落とすための内表面散水ノズル9が、マスク取付治具2の内部に設けてある。
【0009】
フードマスク1は、凹凸形状を有しているので、密集したブラシでは、ブラシの反発力により、毛先がフードマスク1の凹凸面の奥まで届かない。このため、図3(a)(b)に示すように、チャンネル型ブラシのひとつである直線型ブラシ4をブラシ固定ユニット5の円周上で45゜毎に配置して、合計8本のブラシを設けることにより、ブラシ間の距離を確保しながら、フードマスク1の奥まった部分にも毛先が届くようにしている。
【0010】
ブラシ4は、上記のようにブラシ固定ユニット5に計8本セットされているが、図3(b)に示すように、4本のブラシ4aは、毛先が他の4本のブラシ4bより長く、例えば、ブラシ4aは70mm、ブラシ4bは60mmに設定される。このようにブラシの切り込み長さを2種類にすることにより、フードマスク1の凹凸表面に万遍なくブラシの毛先を当てることができる。
【0011】
次に、ブラシ固定ユニット5について説明する。ブラシ固定ユニット5は、図3(d)に示すように、ローラモータ6に溶接することによって一体化されているので、ローラモータ6が回転すると、同時にブラシ固定ユニット5が回転し、これに取付けたブラシ4を回動させる。
ブラシ固定ユニット5には、その8個所で長手方向の溝11が設けられており、この溝11に、図3(c)に示すようにブラシ4を植毛したベース10を、側方からスライドさせて差し込む。計8本のブラシ植毛ベース10を差し込んだ後、ブラシ植毛ベース10が溝11から脱落しないよう固定する。固定方法としては、図3(a)に示すように、ブラシ植毛ベース10の左右両端部の非植毛部をジュビリイバンド(商標)12で締め付けて固定する。
【0012】
次に、除染工程を説明する。
1)除染装置において、図4に示す扉15を開け、使用済みフードマスク1を、前述のようにマスク取付ユニット2にセットする。
2)扉15を閉め、図2及び図4に示す操作盤16内にあるスタートボタン(図示なし)を押す。
3)マスク取付ユニット2が、前述のように回転を始める。
4)同時にブラシ4が回転し、更に、図5に示すように空気圧で作動するロッドレスシリンダ7によりブラシ4が上下する。この時、ノズル8及び9から適量の水がフードマスク1の内外に散水され、フードマスク1の内外面を洗浄する。
5)洗浄した水は、図2及び図5に示す排水タンク13に一旦溜まり、その後、図5に示すように排水ポンプ14により装置外に排出される。
【0013】
【発明の効果】
従来、放射性物質により汚染された使用済フードマスクを除染して再使用するためには、重装備の作業者の手作業による除染作業が必要であったが、本装置の導入により、作業者を負担の多い手作業から解放することができる。
また、従来は人手作業のため、除染効果にムラが発生していたが、機械化により、一定の除染効果が得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は洗浄装置の構成を示す図、(b)はフードマスクの外観図。
【図2】 図1(a)の洗浄装置の右側面図。
【図3】 ブラシ固定ユニットの詳細図。
【図4】 洗浄装置の外観図。
【図5】 洗浄装置の配管系統図。
【符号の説明】
1フードマスク、2 マスク取付治具、3 マスク回転用モータ、4 ブラシ、5 ブラシ固定ユニット、6 ローラモータ、7 ロッドレスシリンダ、8 外表面散水ノズル、9 内表面散水ノズル 10 ブラシ植毛ベース、11 ブラシ植毛ベース取付部、12 ジュビリイバンド、13 排水タンク、14 排水ポンプ、15 扉、16 操作盤。
Claims (3)
- 原子力発電所内で呼吸用保護具として使用するフードマスクに付着した放射能及び一般汚れを除染するための洗浄装置であって、
フードマスク(1)の形状に合せて作成されて回転軸(2 a )の上部に取付けられた金網製のマスク取付冶具(2)、及び前記回転軸(2 a )の下部に取付けられたモータ(3)を有し、スタートボタンを押すことにより、前記マスク取付冶具(2)にセットされた前記フードマスク(1)を回転させるフードマスク回転装置と、
ローラモータ(6)により回転するブラシ(4)と、
該ブラシ(4)を回転しつつ、前記フードマスク(1)と並行して該フードマスクの全長にわたって該ブラシ(4)を上下動させるロッドレスシリンダ(7)と、
前記マスク取付冶具(2)の内部及び上部に設置されて前記フードマスク(1)の内外に洗浄水を散水するノズル(8、9)と
を備えることを特徴とするフードマスク洗浄装置。 - 前記ローラモータ(6)は、前記ブラシ(4)を植毛したベース(10)を取り付けるための溝(11)を設けたブラシ固定ユニット(5)に内蔵されていることを特徴とする請求項1記載のフードマスク洗浄装置。
- 前記ブラシ(4)は、毛の長さが異なる2種類の直線型ブラシを4本ずつ計8本用意され、該8本のブラシ(4)が前記ブラシ固定ユニット(5)の外周上に45゜間隔で交互に配置されていることを特徴とする請求項2記載のフードマスク洗浄装置。
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