JP4256492B2 - 回転電機の部分放電監視装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば3KV以上の高電圧回転電機の絶縁物の部分放電監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の高電圧回転電機の部分放電監視装置の例として、図24に示す接触型のものと、図25に示す非接触型のものがある。図24は、高電圧回転電機も例えば三相発電機の運転中に、三相固定子巻線コイル61の表面に発生する部分放電を確認できるように構成した接触型の部分放電監視装置である。部分放電発生は、高電圧側であり、そのパルスの減衰を考慮して口出し端子61t側に結合コンデンサ63を挿入し、検出箱64、フィルター65、部分放電測定器66、レコーダ67からなる回路に測定するものである。なお、巻線コイル61と負荷側の間にしゃ断器62が設けられている。
【0003】
この従来の第1の例では、部分放電パルスと外部雑音の分離が難しいが、フィルター65が組み込まれているので、そのフィルター65の特性を変化させることで部分放電パルスの値を検出することは可能である。
【0004】
図25は、タービン70の回転軸に直結された励磁機72を有する発電機71の三相固定子巻線の部分放電を監視できるように構成したものであり、各相巻線の電流をそれぞれ検出するための複数(例えば4個)のCT(変流器)74が設けられ、また部分放電パルスと外部雑音を分離するため発電機71と変圧器73を接続する母線に補助CT75が設けられ、CT74,75により検出された信号はモニタ76に入力されるようになっている。さらに、モニタ76には励磁機72に発生する転流ノイズがアンテナ79を介して入力されるようになっている。なお、固定子巻線の各相毎の温度を検出するための温度検出器77が設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の部分放電監視装置の第1の例(接触型)では、コイル61の線間に結合コンデンサ(カップリングコンデンサ)63が挿入されるようになっているので、結合コンデンサ63の信頼性が問題である。
【0006】
従来の部分放電監視装置の第2の例(非接触型)では、CT74,75を多く使用しているので、構造が複雑で大形化し、またモニタ76に表示される監視データの評価に専門家の判断が不可欠である。
【0007】
本発明の目的は、信頼性が向上し、また構成を簡素化ならびに小形化でき、S/N比が向上し、しかも監視要員に関係なく専門家と同等な判断、評価が可能となる回転電機の部分放電監視装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に対応する発明は、監視対象である回転電機のコイルの3相主回路端子箱内もしくは3相主回路口出し端子部に配置され、前記コイルにおける部分放電に対応する電流信号を検出する変流器と、前記変流器の検出信号を統計解析を最大限に有効とすべき信号となるように信号処理を行うアナログ処理回路と、前記アナログ処理回路でアナログ処理された信号に基づき、正負の部分放電の極性判別を行うと共に、統計的アルゴリズムにより統計処理を行う統計処理装置と、を具備し、前記変流器は一個であってこれを構成する円環状コアの内側半径、あるいは外側半径もしくは中心半径Rと、該外側半径と該内側半径の差であるコアの厚みΔRの比率ΔR/Rを、磁束密度を均一にする目的により一定値に保って該コアの寸法を決定するものであり、かつ前記変流器を構成するコアの直流磁化を消磁する消磁手段を設けたことを特徴とする回転電機の部分放電監視装置である。
【0012】
前記目的を達成するため、請求項2に対応する発明は、前記アナログ処理回路に、該監視対象である回転電機の部分放電の周波数特性に対応して、低域側は第1の所定範囲の通過周波数帯域で、かつ高域側は第2の所定範囲の通過周波数帯域のバンドパスフィルタを備えている請求項1記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0013】
前記目的を達成するため、請求項3に対応する発明は、前記変流器により検出される検出電流の積分値を放電電荷量として算出するための積分回路を設け、該積分値で前記放電電荷量の較正を行う請求項1記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0014】
前記目的を達成するため、請求項4に対応する発明は、前記積分回路の積分時定数を部分放電の検出電流の減衰時間と該積分結果の取り込みを行うA/D変換器のサンプリング周期との関係から決定するようにした請求項3記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0015】
前記目的を達成するため、請求項5に対応する発明は、前記積分回路として、前記部分放電が正の部分放電の場合に正のパルス電流を積分する第1の積分回路、および前記部分放電が負の部分放電の場合に負のパルス電流を積分する第2の積分回路とを備えた請求項3記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0016】
前記目的を達成するため、請求項6に対応する発明は、前記第2の積分回路の後段に、極性反転アンプを配置して、前記負部分放電の場合に積分結果を極性反転して絶対値出力を得るようにした請求項3記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0017】
前記目的を達成するため、請求項7に対応する発明は、前記変流器による検出電流を増幅した後の電圧信号が一定のレベルを超えたことで検出判定を行うトリガー信号を出力するレベルトリガー、もしくは前記変流器の検出電流の増幅後の電圧信号の時間微分値が一定値を超えたことで検出判定を行うトリガー信号を出力するスロープトリガーからなる部分放電検出トリガー回路を設け、前記トリガー信号によって、A/D変換器によるデジタル処理回路へのデータ取込の可否の制御を行う請求項1記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0018】
前記目的を達成するため、請求項8に対応する発明は、前記レベルトリガーもしくは前記スロープトリガーによる部分放電検出卜リガー回路において、前記トリガーレベルを任意に調節可能とした請求項7記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0019】
前記目的を達成するため、請求項9に対応する発明は、前記部分放電検出トリガー回路において、前記部分放電の正負の極性に対応し、正負の検出信号のそれぞれに対し、極性別に極性判別回路を設けた請求項7記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0020】
前記目的を達成するため、請求項10に対応する発明は、前記極性判別回路として、前記部分放電トリガレベルを正負対称とし、かつ、トリガーレベルの可変の場合については、単一のレベル調整で正負対称に設定されるように構成した請求項9記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0021】
前記目的を達成するため、請求項11に対応する発明は、前記極性判別回路において、レベル判定を行う正負二つのコンパレータを設け、該コンパレータの後段に、正負が同時にオンすることを避けるための排他制御器を設置した請求項9記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0022】
前記目的を達成するため、請求項12に対応する発明は、前記統計処理装置の電源回路として、部分放電の発生する監視対象の回転電機と同一の電源系統を使用し、ゼロクロス認識回路により該電源系統の電圧変化を検出し、該検出電圧のゼロクロス点から、電源の位相の原点を得て、該電源位相への同期を行いながら、前記変流器により部分放電検出信号を取り込むように構成した請求項1記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0023】
前記目的を達成するため、請求項13に対応する発明は、前記統計処理装置の電源回路として、部分放電の発生する監視対象の回転電機と同一の電源系統を使用し、前記部分放電の発生する監視対象の回転電機の相電圧を計器用変成器で検出し、該検出相電圧のゼロクロス点から位相の原点を得、該位相原点に基づき前記監視対象の回転電機のコイルに印加される電圧の位相と同期して、該部分放電検出信号の取込みを行うようにした請求項12記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0024】
前記目的を達成するため、請求項14に対応する発明は、前記ゼロクロス認識回路として、前記監視対象の回転電機と同一の系統の前記統計処理装置の電源または前記監視対象の回転電機の相電圧を検出する計器用変成器からの電圧を入力し、該入力の正電圧を認識し、この正電圧と負電圧の履歴との論理積をとるようにしたことを特徴とする請求項12または請求項13記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0025】
前記目的を達成するため、請求項15に対応する発明は、前記ゼロクロス認識回路の前段に、前記変流器に基づき監視対象の回転電機のコイル検出電圧に重畳するスパイク状のノイズを除去するため、電源周波数近傍の狭帯域通過フィルタを配置するようにした請求項12記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0026】
前記目的を達成するため、請求項16に対応する発明は、監視対象の回転電機の電源電圧波形を、データ取込指令により取り込み、該電源電圧波形が正または負の領域から0点方向に変化したことをもって電源1サイクル分のデータ取込指令を起点として起動し、ゼロクロスを認識するゼロクロス認識回路と、前記監視対象の回転電機のコイルの部分放電に対応する電流を検出する部分放電電圧を検出する変流器と、前記変流器により検出された部分放電に対応するデータを取込み指令により、前記ゼロクロス点を位相ゼロ度として、1サイクルのスパンを所定の角度づつ、任意の位相間隔で次々に取込む取込回路と、該部分放電に対応するデータのうちのピーク値をホールドするピークホールド回路と、前記取込回路の部分放電に対応するデータを転送指令により記憶装置に転送する転送制御回路と、前記取込回路の部分放電電圧データを転送指令により記憶装置と、前記ゼロクロス認識回路に対して前記電源1サイクル分取込み指令を与え、前記取込回路に取込み指令を与え、前記転送制御回路に対して転送指令を与えるとともに、前記記憶装置に記憶された部分放電電圧データを読出すための制御装置とを具備した回転電機の部分放電監視装置である。
【0027】
前記目的を達成するため、請求項17に対応する発明は、前記ピークホールド回路のピークホールド値を周期的にリセットするリセット装置を具備した請求項16記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0028】
前記目的を達成するため、請求項18に対応する発明は、前記取込回路として、電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合であって、前記制御装置は所定サイクル等の複数サイクル分のデータを連続して取込み、該複数サイクル分の同一位相データの、平均値を取り、該位相の代表データとするようにした請求項16記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0029】
前記目的を達成するため、請求項19に対応する発明は、前記取込回路として、電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合であって、前記制御装置は1サイクルもしくは複数サイクル分のデータに対し標準偏差を演算し、最大値のデータと2番目に大きいデータとの値の差が標準偏差のK倍(Kは任意の定数)より大きいとき其の最大値をノイズと認識してゼロに置き換える処理によってノイズ除去する請求項16記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0030】
前記目的を達成するため、請求項20に対応する発明は、前記取込回路として、電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合であって、前記制御装置は1サイクル分のデータに対し標準偏差をとり、最大の3データと4番目のデータとの差が標準偏差のK倍(Kは任意の定数)より大きく、かつ、その最大3データの位相が互いに120度間隔のとき、これを半導体電力変換装置の転流サージと認識して、これをゼロにセットすることでノイズを除去する請求項16記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0031】
前記目的を達成するため、請求項21に対応する発明は、前記取込回路として、電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合であって、前記制御装置は1サイクル分のデータに対し標準偏差をとり、最大の6データと7番目のデータとの差が標準偏差のK倍(Kは任意の定数)より大きく、かつ、その最大6データの位相が互いに60度間隔のとき、これを半導体電力変換装置の転流サージと認識して、これをゼロにセットすることでノイズ除去する請求項16記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0032】
前記目的を達成するため、請求項22に対応する発明は、前記取込回路として、電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合であって、前記制御装置は1サイクル分のデータに対し標準偏差をとり、最大の4データと5番目のデータとの差が標準偏差のK倍(Kは任意の定数)より大きく、かつ、その最大4データの位相が互いに90度間隔のとき、これを半導体電力変換装置の転流サージと認識して、これをゼロにセットすることでノイズ除去する請求項16記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0033】
前記目的を達成するため、請求項23に対応する発明は、前記取込回路として、電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合であって、前記制御装置は1サイクル分の実測部分放電位相分布と、典型的な部分放電の位相分布との相関係数を取り、その相関係数によって部分放電位相分布らしさ、である「尤度」を求め、これを付帯情報とすることで、所定の閾値としてデータの棄却・採用を制御するようにした請求項16記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0034】
前記目的を達成するため、請求項24に対応する発明は、前記典型的な部分放電位相分布として、理論位相分布を採用した請求項23記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0035】
前記目的を達成するため、請求項28に対応する発明は、前記典型的な部分放電位相分布として、実測位相分布を採用した請求項26記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0036】
前記目的を達成するため、請求項25に対応する発明は、前記実測位相分布もしくは前記理論位相分布の典型的な部分放電位相分布を、其の部分放電分布の1サイクルの平均値を差し引いた上、其の平均値で除算したことで、正規化した請求項23記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0037】
前記目的を達成するため、請求項26に対応する発明は、前記実測の部分放電位相分布を、前記実測部分放電分布の1サイクルの平均値を差し引いた上、其の平均値で除算したことで、正規化した請求項23記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0038】
前記目的を達成するため、請求項27に対応する発明は、前記正規化された部分放電典型位相分布と前記正規化された部分放電実測位相分布との相関係数を演算する際、前記部分放電位相分布らしさを評価するための(3)式に示す相関係数式を使用した請求項23記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0039】
【数3】
但し、x(j) :正規化された部分放電典型位相分布
y(j) :正規化された部分放電実測位相分布
N:1サイクルのデ一夕取込数
前記目的を達成するため、請求項28に対応する発明は、前記正規化された部分放電典型位相分布と前記正規化された部分放電実測位相分布との相関係数を演算する際、(4)式で示す相関係数式を使用した請求項23記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0040】
【数4】
但し、x(j) :正規化された部分放電典型位相分布
y(j) :正規化された部分放電実測位相分布
N:1サイクルのデ一夕取込数
前記目的を達成するため、請求項29に対応する発明は、前記監視対象の回転電機の相電圧の位相と監視装置が検出している交流電圧の位相が異なる場合に、部分放電データサンプリングの特定位相間隔ごとに位相をずらせて、繰り返し相関関数を演算し、1サイクル分の相関係数の最大値を典型的な部分放電位相分布と実測部分放電位相分布との相関係数として採用するようにした請求項23記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0041】
前記目的を達成するため、請求項30に対応する発明は、前記相関係数を求めるデータ区間を電源1サイクルではなく、120度とし、120度スパンの相関係数を互いに120度ずらして3組使用して、三相電源の各相、個別の相関係数を求め、三相各相の部分放電の存在を個別に判定するようにした請求項23記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0042】
前記目的を達成するため、請求項31に対応する発明は、前記取込回路として、電源周波数に同期してデータを取り込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取り込む場合であって、最大相関値を得る実測位相分布と理論位相分布の相互の位相関係を利用して、実測位相分布の各位相の実測値に、部分放電が発生すべき位相で1.0、部分放電が有得ない位相で0.0の値をもつ部分放電発生判別関数を乗じることによって、部分放電が有得ない位相でのノイズを除去するようにした請求項23記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0043】
前記目的を達成するため、請求項32に対応する発明は、前記取込回路として、前記電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合であって、複数サイクル分の正負部分放電の全データに対し部分放電電荷量別のヒストグラムを正負部分放電に対しそれぞれ生成し、正負部分放電に対しそれぞれq−N分布(q:部分放電電荷量クーロン、N:出現回数)分布を生成すると共に、同一出現頻度での正負電荷量の比をとり、出現頻度の各レベルでそれぞれ正負電荷量の比の平均値と標準偏差とをとり、其の標準偏差と平均値との比を求め、其の比を、q−N分布としての「尤度」として、これを付帯情報とすることで、データの棄却・採用を制御するようにした請求項23記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0044】
前記目的を達成するため、請求項33に対応する発明は、前記同一出現頻度での正負の電荷量の比率から「尤度」判定を行う場合、出現頻度が一定値より大きい範囲では正負の電荷量の比率の演算範囲から除外するようにした請求項32記載の回転電機の部分放電監視装置である。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0046】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態の概要を示す図である。
【0047】
監視対象例えば高圧回転電機のコイルの3相主回路端子箱内もしくは3相主回路口出し端子部に、部分放電で感応し、電流信号を検出する単一(1個)の高周波CT(高周波変流器)1が配設されている。
【0048】
CT1により検出された検出信号は監視部内部に配設され、後述するアナログ処理回路に入力され、ここで統計解析を最大限に有効とすべき信号となるように信号処理が行われる。そして、アナログ処理回路でアナログ処理された信号に基づき、正負の部分放電の極性判別を行うと共に、統計的アルゴリズムにより統計処理を行う、例えば8ビットのA/D変換器8,9および後述するRAM26等の記憶装置とマイクロプロセッサ(CPU)25からなる統計処理装置10を備えている。
【0049】
アナログ処理回路は、利得調整部2および増幅器と、帯域通過フィルタ(通過帯域可変フィルタ:バンドパスフィルタ)4と、(+)側積分アンプ5と、(−)側積分アンプ6と、反転アンプ7と、部分放電検出レベル設定器11と、正側コンパレータ12と、反転アンプ13と、負側コンパレータ14と、排他制御器15からなり、CT1で検出された電流信号を増幅、フィルタ処理などのアナログ処理を行う。
【0050】
また、部分放電検出レベル設定器11と、正側コンパレータ12と、反転アンプ13と、負側コンパレータ14と、排他制御器15は、後述するようにアナログ処理回路の極性判別装置を構成しており、ここで部分放電の正負の極性を認識する。
【0051】
(+)側積分アンプ5はオペアンプ5aに抵抗5bが並列に接続され、さらにこの並列回路5a,5bにダイオード5cとコンデンサ5dの直列回路が並列に接続されており、コンデンサ5dと抵抗5bからなる積分回路により、CT1で検出される、正の部分放電の場合の正のパルス電流波形を積分する。(−)側積分アンプ6は、積分アンプ5と同様にオペアンプ6aに抵抗6bが並列に接続され、これら6a,6bにさらにダイオード6cとコンデンサ6dの直列回路が並列に接続されており、コンデンサ6dと抵抗6bからなる積分回路により、CT1で検出される、負の部分放電の場合の負のパルス電流波形を積分する。
【0052】
統計処理装置10は、アナログ処理回路によりアナログ処理された信号をA/D変換器8,9を経由してデジタル化した信号を処理する後述のマイクロプロセッサ(CPU)25および記憶装置例えばRAM26からなるデジタル処理回路からなり、統計的アルゴリズムによりノイズ除去を行う。
【0053】
このように構成した高圧回転電機の部分放電監視装置によれば、統計処理装置において統計的アルゴリズムにより統計処理を行ってノイズ除去を行うようにしたので、簡単な構成にして部分放電監視装置としてのS/N比および感度が向上する。
【0054】
また、1個の高周波CT1を使用するだけで、従来必要としていたカップリングコンデンサを何等必要とせず、また多数の高周波CTを必要としないことから、カップリングコンデンサの信頼性の問題が解決でき、非接触方式で信頼性が向上する。
【0055】
以上述べた高周波CT1として、次のようなものを使用する。
【0056】
高周波CT1の円環状コアは、図1に示すように内側半径または外側半径もしくは中心半径Rとコアの厚み(外側半径と内側半径の差)ΔRの比率ΔR/Rを一定値例えば0.05〜0.1に保ってコアの寸法を決定したものを使用する。このようにすることにより、コアに発生する磁束の密度が均一になることから、電流の検出精度が高くなる。
【0057】
また、高周波CT1としては、例えば図1の分割線の位置で複数例えば2分割可能なものを使用する。このようにすることにより、回転電機の高圧ケーブルもしくは高圧導体ヘの取付・撤去が容易に行える。このことは、例えば、電力用の回転電機にあっては、例えば1年間運転を停止させることはできないので、特に有効である。
【0058】
さらに、高周波CT1として、CTを構成するコアの直流磁化を消磁する消磁手段例えば消磁巻線を設けたものを使用する。このような構成のCT1を使用することにより、何らか事故により電源電圧が三相不平衡となって直流磁化が発生し検出感度が低下することが考えられる。この場合、該消磁巻線に例えば1分ぐらい電流を流すことにより、CT1を構成するコアが消磁されるので、CT1の検出感度が上がる。通常三相の場合の合成電流はゼロでコアが直流磁化されることはないはずであるが、透磁率の大きいコアを使用すると、該コアは直流磁化されることがある。
【0059】
前述の帯域通過フィルタ4は、低域側は例えば0.01〜0.1MHzで、高域側は例えば1〜10MHzの周波数を通すものを使用する。これは、監視対象である高圧回転電機の部分放電の周波数特性に対応したものを使用する。これにより、ノイズの少ない部分放電信号を検出できる。
【0060】
図1において、部分放電監視装置を用いて部分放電の監視を行う場合、事前に以下のように較正する必要がある。このために、高周波CT1の検出電流を積分する積分アンプ5,6を設け、検出電流の積分値を放電電荷量として扱い、この積分値で放電電荷量の較正する。具体的には、監視対象の回転電機のコイルの口出し部の例えばU相端子と接地端子Eの間に、2つコンデンサ161,162と、このコンデンサ161,162のうちの一方に対して並列に接続された例えば水銀スイッチ613からなる較正器16を予め接続しておき、積分アンプ5(または6)に積分した積分値を放電電荷量として、利得調整部2により調整して該積分値で放電電荷量の較正を行う。
【0061】
このように較正を行うのは、次の理由によるものである。すなわち、一般に、高電圧を印加して部分放電を測定する前に、電源、供試物および測定器などすべての構成要素が接続された状態で測定回路の較正を行う必要がある。較正は、既知の電荷を供試物の電極間に注入し、これと測定器の指示値との間の換算係数を求めて行う。該較正は供試物と測定回路が変わる毎に行なわなければならない。
【0062】
ここで、較正について図2を参照して説明する。図2(a)は較正器16の原理を説明するための較正用電荷発生回路を示す図であり、図2(b)は部分放電を説明するための絶縁物中にボイドがある場合の説明図であり、図2(c)は図2(b)の電極系の電気的等価回路を示す図である。図2(d)は図2(c)の放電ギャップ(例えばボイド)のキャパシタンスCg間の電圧vgの時間的変化を示す図であり、図2(e)は該Cg間の放電電荷と電圧の時間的変化を示す図である。
【0063】
較正用電荷発生回路すなわち較正器は出力電圧Uoのパルスを発生するパルス発生器PGと較正用直列コンデンサCoが直列に接続されている。
【0064】
部分放電の発生機構は、放電キャップとコンデンサで構成される電気的等価回路に置き換えて考えることができ、また等価回路により放電に伴う電気的諸量の定量的な関係を求めることができる。すなわち、図2(b)に示すように電極E間に絶縁物ISを置いてこれに交流電圧Vtを印加した場合、電極E間の一部に放電が生ずる。この現象は、図2(c)に示すように導体間に直列に接続したコンデンサCg、Cbのうち、Cgに火花放電が発生する状態と見なすことができる。図2(c)において、Cgは放電ギャップ例えばボイドBdのキャパシタンス、CbはCgに対し直列になっていると考えられる絶縁物ISの部分のキャパシタンス、CmはCg,Cb以外の電極E間のキャパシタンスである。電極E間の全キャパシタンス(供試物のキャパシタンス)をCaとすると、
Ca=Cm+[Cg・Cb/(Cg+Cb)]
となる。このような等価回路において、電極E間にVt(印加電圧の瞬時値)の交流電圧が印加されると、Cgにかかる電圧vt(瞬時値)はCgに火花放電が生じない場合、
vt=[Vt・Cb/(Cg+Cb)]
で表される。
【0065】
いま、印加電圧Vtが上昇するに従って、図2(d)に示すようにvtも増大し、vtがCgの火花電圧vpに達すると、Cgに火花放電が生じる。Cg間の電圧vgは、放電によりvpからvr(残留電圧)に急激に低下する。この急激なvgの変化に伴う電荷の移動を放電パルスと呼んでいる。図2(d)において、×印は放電発生点を示している。ここで、vgがvpからほぼvrになる時間を放電の形成時間と呼び、これらの量の時間的関係を図2(e)に示している。
【0066】
ここで、放電パルスの大きさqの較正は、供試物Caの電極間に既知の電荷量qoを注入することにより行う。なお、既知の電荷量qoは、測定する放電パルスの大きさの範囲を十分包含しなければならない。このため、電荷qoの値を少くとも2〜3点変えて行う必要がある。図2(a)において、パルス発生器PGの出力電圧UoをコンデンサCoを通して供試物Caの電極間に注入すると、そのときの較正電荷量は、次の(5)式のようになる。
【0067】
qo=Uo(Ca´・Co)/(Ca+Co) …(5)
ここで、Ca´は供試物のキャパシタンスCaの他に、これと並列に入るキャパシタンスを含んだものである。
【0068】
次に、図1の積分アンプ5(または6)の積分回路の時定数の決定の仕方について説明する。すなわち、積分回路の積分時定数(積分した結果の記憶時間を決定する時定数τで、積分キャパシタC[図1のコンデンサ5dまたは6d]と其のCと並列に接続された放電用抵抗R[図1の抵抗5bまたは6b]との積、τ=CRで定義される)を部分放電の検出電流の減衰時間と積分結果の取り込みを行うデジタル回路でのデータ取込周期との関係から決定する。
【0069】
このように構成することにより、次のような作用効果が得られる。図1のように抵抗5bまたは6bが接続されていない純粋な積分回路では、一旦積分した結果を永久に保存してしまう。
【0070】
そこで、本実施形態では積分用のキャパシタCと並列に放電用の抵抗Rを接続することで、次の部分放電の検出に備えて、積分値をゼロにリセットすることができる。この時定数が(一般に減衰振動で現れる)部分放電検出電流の減衰時間(例えば5〜20μsec)より短い場合は、十分な積分が行われない。
【0071】
ここで、該時定数の場合には、データの取込周期は、次のようになる。すなわち、データの取込周期は、部分放電放電の電圧位相分布を1サイクル中、何点取り込むかで決まる。電源周波数が例えば50Hzで1サイクルに36点取り込むと、「取込間隔」は、20msec/36=555μsecとなる。
【0072】
なお、積分回路の後段にアナログもしくはデジタルのピークホールド回路を設け、この555μsecの期間中に、その間起こっている数回の部分放電放電の最大値を記憶しようとする場合には、さらに555μsecの間に何点(数回)の部分放電放電を取込みかも考慮する必要がある。該「取込間隔」の間に放電しない場合には、前の部分放電の積分結果残っているうちに、次の部分放電による積分が開始されるため、出力誤差を生じる。
【0073】
図1において、積分アンプ5,6にそれぞれ備えている積分回路は、正、負のパルス電流波形を各々積分するものであり、これを後述する部分放電極性判別処理回路と一緒に使用することにより、部分放電の極性を認識することが可能となる。
【0074】
さらに、図1に示すように、(−)側積分アンプ6の後段側に反転アンプ7が配置されているので、これによりCT1で検出される負部分放電の場合の負電圧の積分結果が極性反転されるこから、絶対値出力となり、A/D変換器9の分解能が1ビットだけ向上する。
【0075】
また、図1において、部分放電検出レベル設定器11と、正側コンパレータ12と、反転アンプ13と、負側コンパレータ14と、排他制御器15により、部分放電トリガー回路を構成している。この部分放電トリガー回路により、部分放電放電以外の微小ノイズが除去され、部分放電検出を行うため、高周波CT1による検出電流を増幅後の電圧信号が一定のレベルを超えたことで検出判定を行うレベルトリガー、もしくは高周波CT1の検出電流の増幅後の電圧信号の時間微分値が一定値を超えたことで行うスロープトリガーとして動作する。このトリガー信号によって、A/D変換器8,9によるデジタル処理回路へのデータ取込の可否の制御を行うことができる。
【0076】
さらに、部分放電検出レベル設定器11が設けられているので、レベルトリガーもしくはスロープトリガーによる部分放電検出卜リガー回路において、そのトリガーレベルを任意に調節可能である。
【0077】
また、CT1により検出される部分放電の正負の極性に対応し、正負の検出信号のそれぞれに対し、正側コンパレータ(比較器)12と、反転アンプ13と負側コンパレータ(比較器)14により、結果としてそれぞれ極性別の部分放電トリガー回路が構成されているので、部分放電の極性の判別が可能である。
【0078】
さらに、このような極性判別回路において、その部分放電トリガレベルを正負対称とし、かつ、トリガーレベルの可変の場合については、単一のレベル調整で正負対称に設定することができる。
【0079】
レベル判定を行う正負二つのコンパレータ12,14の後段に、排他制御器15が配設されているので、正負が同時にオンすることを避けることができる。
【0080】
また、部分放電検出レベル設定器11と、正側コンパレータ12と、反転アンプ13と、負側コンパレータ14と、排他制御器15からなるアナログ処理回路の極性判別装置を備えているので、部分放電の発生部位を推定することが可能となる。
【0081】
<第2の実施形態>
図3は、第2の実施形態を説明するための概略構成図であり、切替器20、電源周波数通過超挟帯域通過フィルタ4a、ゼロクロス認識回路21、取込制御回路22、タイマー23、バス(BUS)24、マイクロプロセッサ(CPU)25、記憶装置例えばRAM26、A/D変換器27、デジタルピークホールド回路28、データ転送制御回路29を備えている。
【0082】
切替器20は、コンセント電源(AC100V)と、部分放電の発生する測定対象の回転電機の相電圧を検出している計器用変圧器からの電源のいずれかに切り換えるものである。狭帯域通過フィルタ例えば電源周波数通過超挟帯域通過フィルタ4aは、検出電圧に重畳する、例えば図5に示すスパイク状のノイズを除去するものである。
【0083】
前述したRAM26は、停電保持用バッテリ付のSRAM、ディスク等の不揮発性記録媒体なら何でもよい。
【0084】
図4は、図3の切替器20に接続される電源の構成を説明するための図である。送電系統の特別高圧回路に接続されている特高/高圧トランス30により、特別高圧を6.6kVの高圧に降圧し、これをしゃ断器31を介して監視対象の高圧回転電機32に接続すると共に、該回転電機32に印加される電圧を計器用変成器(PT)33により検出される相電圧が、切替器20の一方の入力端子に接続されている。
【0085】
一方、しゃ断器31の入力側に高圧/低圧トランス34に接続し、これにより220Vに降圧され、この電圧がさらにトランス35により100Vに降圧されてAC100Vコンセント38に印加されるようになっている。
【0086】
このように、部分放電の発生する監視対象の回転電機32の相電圧を計器用変成器33で検出し、その検出相電圧のゼロクロス点から位相の原点を得ることで、回転電機32のコイルに印加される電圧の位相と同期して、部分放電検出信号を取込むことができる。
【0087】
図3の構成において、超挟帯域通過フィルタ4aが設けられていない場合には、図5のように例えば溶接機のノイズなどによる巨大なスパイク波形が重畳されることがあり、これによりゼロクロス点が騙され、ゼロクロス認識回路21は部分放電検出の位相同期がとれなくなる。ところが、図3のようにゼロクロス認識回路21の入力側(前段側)に、超挟帯域通過フィルタ4aが配設されているので、図5の巨大なスパイク波形が除去されるため、ゼロクロス点の検出誤差を低減できる。
【0088】
図6は、図3の部分放電、位相分布の取込制御回路22の動作、すなわち電源1サイクル分の部分放電データ取込みシーケンスを説明するための図である。マイクロプロセッサ(CPU)25は、例えば1サイクルおきに、ゼロクロス認識回路21に対して前述の統計処理装置10の電源電圧の1サイクル分の取込開始指令(1サイクル分取込スタート開始「キュー」)を起点として、ゼロクロス点(位相ゼロ度)の認識を行い、ゼロクロス点の認識を行った後取込シーケンス回路22に対して起動指令を与える。
【0089】
すると、取込シーケンス回路22は、ピークホールド回路28およびデータ転送制御回路29に対して、それぞれピークホールド値をリセットするピークホールド値リセット指令および転送指令を与えるが、この転送指令は一定の位相間隔、例えば1サイクル(360度)の間(スパン)で例えば10度毎に与え、またピークホールド値リセット指令は、例えば1サイクル毎に与える。ピークホールド回路28は、CT1からA/D変換器27に、入力される例えば1サイクル分の実測部分放電データのうちの最大値をホールドする。データ転送制御回路29は、該転送指令が入力される毎に、ピークホールド回路28でホールドされた部分放電電荷のピーク値がアドレス/データとしてRAM26内に順次格納される。CPU25は、前述のようにゼロクロス認識回路21に対して取込開始指令を与えるだけでなく、RAM26内に格納された内容を読出し出力装置、例えば表示器に表示させるものである。
【0090】
このようにゼロクロス点を認識した後に取込シーケンス回路22に対して起動指令を、出力することで、電源電圧波形と、CT1からA/D変換器27に入力される実測部分放電データとの位相同期が取れることになる。
【0091】
ゼロクロス認識回路21は、例えば図7(a)に示すように、正側半サイクル検出コンパレータ211、負側半サイクル検出コンパレータ212、正側検出レベル設定器213、負側検出レベル設定器214、微分回路と波形整形回路からなる立上がり検出回路215、オン(ON)ディレイ回路およびオフディレイ回路を備えた遅延回路216、論理積回路(AND)217から構成されている。正側半サイクル検出コンパレータ211は、電源+Bに接続された正側検出レベル設定器213で設定された正側検出レベル設定値を超えた正側半サイクルの交流電圧波形が入力されたとき、図7(b)に示す電圧波形、すなわち立上がり検出回路215の入力電圧波形を出力する。
【0092】
負側半サイクル検出コンパレータ212は、電源−Bに接続された負側検出レベル設定器214で設定された負側検出レベル設定値を超えた負側半サイクルの交流電圧波形が入力されたとき、図7(b)に示す電圧波形を遅延回路216に出力する。立上がり検出回路215は、この入力である電圧波形を微分し、この立上がりを検出したとき立上がり検出回路215の出力波形である正電圧認識ビットを出力する。遅延回路216は、コンパレータ212からの電圧波形が生ずると、オンディレイ時間だけ遅れて矩形波信号が立上がり、この矩形波信号はコンパレータ212から電圧波形が生じている間続き、電圧波形がなくなると矩形波信号がオフディレイ時間だけ遅れて立ち下がる。論理積回路217は、立上がり検出回路215の出力と、遅延回路216の出力が同時に生じている期間だけ、出力すなわちゼロクロス認識出力が生じる。
【0093】
すなわち、論理積回路217は、直前にマイナスであった条件と、プラス側になった条件の積によりゼロクロスの認識を行っている。この結果、CT1から検出される電圧波形が如何なる場合であってもゼロクロスすなわち位相の原点を認識することができる。
【0094】
位相同期取込制御回路22は、マイクロプロセッサ25からのデータ取込指令、例えば1サイクル分のデータ取込指令が入力される毎にごとにみ電源位相との同期を取りながら、部分放電検出信号を位相同期毎10度毎に取り込むものである。
【0095】
デジタルピークホールド回路28は、A/D変換器27から入力されるデジタル信号のピーク値をホールドするものである。データ転送制御回路29は、取込制御回路22は、取込制御回路22からの信号に基づきデジタルピークホールド回路28からのデジタルピーク値を転送できるようにするものである。
【0096】
ピークホールド回路28は、アナログ回路もしくはデジタル回路のいずれであってもそのピーク値を保持するもので、そのピーク値は図3および図6に示すように、取込制御回路22から周期的、例えば10度毎に出力されるリセット信号により、例えば10度の任意の位相間隔の間の最大値をサンプリング値とするの任意の位相間隔の間の最大値を保持するように構成されている。
【0097】
このように構成されているので、後述する統計処理が可能になることから、ノイズの排除ができ、S/N比の向上に寄与する。
【0098】
<第3の実施形態>
図8〜図21は、前述の統計処理装置10の機能を説明するための図であり、データ取込制御回路22において、電源同期で取り込まれる部分放電データを所定サイクル例えば20サイクルの間取込み、この取込れた部分放電データのノイズ排除処理40を、次のような方式で行う。以下、これらの方式について説明する。
【0099】
1)電源同期で取込の部分放電位相分布の平均化によるノイズ除去方式
部分放電位相分布を、所定サイクルの平均化処理を行い、これによりノイズ除去を行うようにしたものである。具体的には、図8に示すように、データ取込制御回路22において、電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合、例えば20サイクル等の複数サイクル分のデータを連続して取込み、同一位相のデータをそれぞれ(0度から360度の全位相に亘って)、其の複数サイクル分、例えば20サイクル分の平均値を取り、其の位相の代表データとするものである。
【0100】
図8のデータ取込制御装置は、ピークホールド回路28と、A/D変換器39と、データ取込制御回路17と、タイマー18と、ゼロクロス位相検出回路19とを備えている。ピークホールド回路28は、CT1により検出された例えば1サイクル毎の部分放電検出信号のうちの最大値をホールドし、A/D変換器39はピークホールド回路28でホールドされた最大値をデジタル値に変換し、データ取込制御回路17はA/D変換器39の該デジタル出力を取り込む(読み出す)。この場合、データ取込制御回路17は、これに入力され、ゼロクロス位相検出回路19により前述のゼロクロス認識回路21と同様に電源回路の電圧波形のゼロクロス位相が検出された時点からタイマー18により設定された読出し設定時間だけ読み出され、データ取込制御回路17は該読出し設定時間を過ぎた時点でピークホールド回路28に対してピークホールドリセット信号を与えるものである。
【0101】
このようにしてデータ取込制御回路17の部分放電データを例えば20サイクル分取込み、これをノイズ排除処理40の一例として、20サイクル分の平均値を求めた位相分布を、例えば36点をRAMに格納して、位相分布作成41を行う。
【0102】
このように部分放電データを平均化処理することにより、突発的なノイズの排除部分放電データとしてのS/N比が向上する。
【0103】
2)統計的アルゴリズムによるノイズ除去方式
2ー1)統計的アルゴリズムによる異常最大値除去方式
図9(a),(b)、図10、図11、図12はこの方式を説明するための図である。図8のデータ取込制御回路17において、電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む。この場合1サイクルもしくは複数サイクル分のデータに対し標準偏差σを演算し、この演算した標準偏差σのうちの最大値のデータおよび2番目に大きいデータとの値の差が標準偏差σのK倍(Kは任意の定数、例えば0.5もしくは1.0)より大きいとき其の最大値をノイズと認識してゼロに置き換える処理を行う方式である。
【0104】
図10〜図12は、いずれも実測部分放電電荷量と累積確率の関係を示したワイブル分布確率図の例であり、図10は正常分布すなわち部分放電が発生していない状態を示している。図11は、標準偏差σが800pC(ピコクーロン)で、部分放電の最大値(4800pC)と2番目(3200pC)との差は1600pCで約2σつまり1点突出となっている。図12は、標準偏差σが800pCで、部分放電の最大値(5300pC)で2番目は(5000pC)であって、3番目(4800pC)と4番目(3200pC)の差が1600pCで約2σつまり3点突出(120度間隔)となっている。
【0105】
このようにワイブル分布確率図を得ることにより、突発ノイズが除去され、部分放電(部分放電)監視装置としてのS/N比が向上する。
【0106】
2ー2)統計的アルゴリズムによる転流サージ除去方式(三相半波転流サージ対策)
図9(c),(d)、図10、図11、図12、図13はこの方式を説明するための図である。図13は、本発明による部分放電監視装置を、監視対象として同期機45に適用した場合の説明図であり、同期機45に有する界磁コイル46に同期機界磁回路励磁用三相半波サイリスタ制御回路44が接続されているので、該サイリスタが転流する際に転流サージが発生し、これが転流サージノイズとなり、これは部分放電監視装置の高周波CT1により部分放電パルス(部分放電検出信号)と共にオンライン部分放電監視装置に入力される。該転流サージを除去するため、以下のように構成したものである。
【0107】
すなわち、図8のデータ取込制御回路22において、電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合、1サイクル分のデータに対し標準偏差σをとり、図9(c),(d)に示すように最大の3データと4番目のデータとの差が標準偏差σのK倍(Kは任意の定数、例えば0.5もしくは1.0)より大きく、かつ、その最大3データの位相が互いに120度間隔のとき、これを三相半波サイリスタ制御回路44の転流サージと認識する。該認識された転流サージを、ゼロにセットすることでノイズが除去され、部分放電監視装置としてのS/N比が向上する。
【0108】
2ー3)統計的アルゴリズムによる転流サージ除去方式(三相全波転流サージ対策)
図9(c),(d)、図10、図11、図12、図13はこの方式を説明するための図である。この場合、図13において、三相半波サイリスタ制御回路44が三相全波サイリスタ制御回路(図示せず)に代った例である。この場合の三相全波転流サージ対策も前述の2ー2)とほぼ同じである。すなわち、図8のデータ取込制御回路22において、電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合、1サイクル分のデータに対し標準偏差σをとり、最大の6データと7番目のデータとの差が標準偏差σのK倍(Kは任意の定数、例えば0.5もしくは1.0)より大きく、かつ、その最大6データの位相が互いに60度間隔のとき、これを半導体電力変換装置例えば図10の同期機界磁回路励磁用三相全波サイリスタ制御回路の転流サージと認識する。該認識した転流サージをゼロにセットすることにより、ノイズが除去されるので、部分放電監視装置としてのS/N比が向上する。
【0109】
2ー4)統計的アルゴリズムによる転流サージ除去方式(単相全波転流サージ対策)
図9(c),(d)、図10、図11、図12、図13はこの方式を説明するための図である。この場合、図13において、三相半波サイリスタ制御回路44が単相全波サイリスタ制御回路(図示せず)に代った例である。この場合の単相全波転流サージ対策が以下のように代わっている点が、前述の2ー2)とは異なる。すなわち、図8のデータ取込制御回路22において、電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む機構において、1サイクル分のデータに対し標準偏差をとり、最大の4データと5番目のデータとの差が標準偏差のK倍(Kはの任意の定数)より大きく、かつ、その最大4データの位相が互いに90度間隔のとき、これを単相全波サイリスタ制御回路の転流サージと認識して、これをゼロにセットすることにより、ノイズ除去することで、部分放電監視装置としてのS/N比が向上する。
【0110】
3)相関係数による「尤度」評価方式
図9(e),(f)および図14はこれを説明するための図であり、図8のデータ取込制御回路22において、電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合、1サイクル分のデータ、すなわち図9(f)に示す実測部分放電位相分布(実測分布)と、典型的な部分放電位相分布例えば図9(e)に示す理論部分放電位相分布(理論位相分布)との相関係数を取り、その相関係数(0と1の間)rによって部分放電位相分布らしさ、すなわち「尤度(英:Likelyhood)」を求める。
【0111】
具体的には、最もそれらしい分布(X1 ,X2 ,…X36)と測定データ(Y1 ,Y2 …Y36)との相関係数を(6)式のように求める。
【0112】
このようにして求めた尤度を付帯情報とすることにより、例えば0.5を閾値としてデータの棄却、採用を制御することで、部分放電監視装置としてのS/N比が向上する。
【0113】
以下、3)に関して具体的な方式について述べる。
【0114】
図14はこの処理を示すフローチャートであり、図1の統計処理装置10すなわちCPU25とRAM26により相関係数を演算するための説明図である。RAM26内に記憶されている後述する理論位相分布X0(j) (J= 1,2, …N )をCPU25内に取込み、これらの平均値μx を演算し、式変形部分により次の式により正規化、理論位相分布x(j) を求める。
【0115】
平均値演算部47において、例えばマイコンプログラムテーブルに格納された理論位相分布(理論部分放電位相分布)X0 (j) を読出し、この理論位相分布の平均値μx を演算する。正規化演算部48において、(X0 (j) −μx )/μx を演算して正規化理論位相分布X(j) を演算する。また、平均化演算部49において、位相同期データ取込制御回路の出力である実測位相分布(実測部分放電位相分布)Y0 (j) に基づいて実測位相分布の平均値μyを演算する。正規化演算部50において、(Y0 (j) −μy)/μyを演算して正規化実測位相分布Y(j) を演算する。そして、相関係数演算部51において、(7)式により相関係数rを演算する。
【0116】
但し、x(j):正規化された部分放電典型位相分布
y(j):正規化された部分放電実測位相分布
N:1サイクルのデ一夕取込数
判断部52において、相関係数演算部51で演算した相関係数rが0.5を超えるかどうかを判断し、超えた場合には、位相同期データ取込制御回路の出力側とこれの出力の実測位相分布の最大値を検出する最大値検出回路54の間に接続されている接点53を閉路(オン:ON)する。リセット部55は、例えば1時間(1H)毎に、最大値検出回路54で検出された最大値Y0 max を例えばRAMに出力し、かつ該相関係数rが0.5をより小さいとき最大値検出回路54の出力を例えば1時間毎にリセットすなわち「ゼロ」を出力する。このように、相関係数が小さいとき、ゼロを出力するようにしているので、結果としてノイズが排除され、S/N比が向上する。
【0117】
相関係数演算部51で演算された相関係数rは、0.5を超えたかどうかを判断し、0.5を超えたとき接点が閉じて実測位相分布がCPU25を介してRAM26内に格納され、また相関係数rは、0.5未満のときは実測位相分布Y0(j) のうちの放電電荷量の最大値qmax が、CPU25を介してRAM26内に格納され、これがRAM26内に1時間毎に時系列変化図として格納される。このRAM26内の時系列変化図は、CPU25により図示しないモニタに表示させることができるようになっている。
【0118】
図15は、図14の変形例を示すもので、図14のリセット部55を設けずに、最大値検出回路54とRAMとの間に常時閉路状態の接点56を設け、かつRAMの入力とゼロの出力部58の間に、常時開路状態の接点57を設け、かつ接点56は判断部52のYes側出力で開路(OFF)するようにし、また接点57は判断部52のNo側出力で閉路(ON)するように構成したものである。これ以外の点は、図14と同一である。
【0119】
図16は、前述の相関係数演算部51の演算に用いる正規化理論位相分布x(j) を説明するための図であり、図16(a)および(b)は理論部分放電位相分布X0(j) の一例を示す表およびグラフであり、これらの平均値μxは1.0である。図16(c)および(d)は正規化理論位相分布x(j) の一例を示す表およびグラフである。
【0120】
図17は、前述の相関係数演算部51の演算に用いる正規化実測部分放電位相分布y(j) を説明するための図であり、図17(a)および(b)は実測部分放電位相分布Y0(j) の一例を示す表およびグラフであり、これらの平均値μyは2000pCである。図17(c)および(d)は図17(a)および(b)の実測部分放電位相分布Y0(j) から平均値μy2000pCを差し引いた実測部分放電位相分布の一例を示す表およびグラフであり、図17(e)は正規化実測部分放電位相分布y(j) を説明するための表である。
【0121】
3−1)部分放電の理論波形との相関係数による「尤度」評価方式
3)の位相分布の「尤度」評価を行う監視装置において、典型的な部分放電位相分布として、理論値(位相分布)を採用する場合である。
【0122】
3−2)部分放電の実測波形例との相関係数による「尤度」評価方式
3)の位相分布の「尤度」評価を行う監視装置において、典型的な部分放電位相分布として、実測値の代表例(位相分布)を採用する場合である。
【0123】
3−3)典型的位相分布の正規化処理方式
部分放電位相分布は、一般にpC(ピコクーロン)という電荷量をもっているが、部分放電波形らしさのパターン認識を行うためには、大きさが不要であることから、理論値もしくは実測値の典型的な部分放電位相分布を、其の部分放電分布の1サイクルの平均値を差し引いた上、其の平均値で除算し、これにより正規化する場合である。
【0124】
3−4)実測位相分布の正規化処理方式
部分放電位相分布は一般にpCという電荷量をもっているが、部分放電波形らしさのパターン認識を行うためには、大きさが不要であることから、実測値の部分放電位相分布を、実測部分放電分布の1サイクルの平均値を差し引いた上、其の平均値で除算し、これにより正規化する場合である。
【0125】
3−5)簡略式により相関係数を求める方式
正規化された部分放電典型位相分布と正規化された部分放電実測位相分布との相関を演算する際、部分放電位相分布らしさを評価するため、前述の[(7)式:相関係数簡略式]を使用する方式である。
【0126】
この相関係数簡略式において、x(j) が±1.0であり、y(j) も平均値μyを差引き平均値μyで除算しているので、相関係数rは±1.0前後の値になっている。従って、相関係数簡略式の分母は、Nであるので、相関係数簡略式は、回転電機の部分放電監視装置の専用の近似式といえる。
【0127】
このような相関係数簡略式により、相関係数rを求めることにより、物理的な意味すなちわ回転電機のコイルの部分放電が直観的に分かる。また、平方根の演算を何等行う必要がないので、後述する相関係数詳細式に比べて計算が簡単となる。
【0128】
3−6)統計学による相関係数を求める方式
図14、図15の相関係数演算のフローチャートは、昭和57年3月30日培風館から発行された「計数・測定(ランダムデータ処理の理論と応用)」に記載された相関計数の式を、本発明の回転電機の部分放電監視装置に適用できるように簡略化した場合であるが、この相関計数の式を(8)式のように簡略化しない場合であっても、図14、図15図のフローチャートとほぼ同一で、相関計数演算部51内の演算式のみが異なる。
【0129】
但し、x(j) :正規化された部分放電典型位相分布
y(j) :正規化された部分放電実測位相分布
N:1サイクルのデ一夕取込数
[(8)式:相関係数詳細式]のx(j) y(j) は、平均値で除算して、1を基準とする値、即ち正規化した値となっている。この理由は、部分放電実測値の大きさがいろいろあり得るので、如何なる大きさであっても、そのレベルに無関係に波形らしさを、知りたいという目的からである。
【0130】
また、相関係数詳細式により、相関係数rを求めることにより、相関係数簡略式と同様に、物理的な意味すなちわ回転電機のコイルの部分放電が直観的に分かる。
【0131】
図19および図20は、前述の(7)式と(8)式に基づいて、実際の実測位相分布と理論位相分布からそれぞれ相関係数rを求めて、両者を比較した例を示している。このうちの図19(c),(d)について注目すると、次のようなことが言える。すなわち、図19(c)に示す実測位相分布について、(7)式により相関係数rを求めると0.5であり、(8)式により相関係数rを求めると1.0となり、この相関係数rが1.0ということはノイズがないということを表しており、これは結果として図19(a)と同じ理論位相分布と扱われることになる。これに対して、(7)式により求めた相関係数rは0.5であるから、実際の実測位相分布により近く現実的であることは明らかである。
【0132】
また、図19(d)に示す実測位相分布について、(8)式により相関係数rを求めると0/0となり、相関係数rが演算できず不定となる。この相関係数rが不定となる状態としては、部分放電が発生しないときも同じであり、これはしばしば起きる。これに対して、図19(d)に示す実測位相分布について、(7)式により相関係数rを求めると、0.0となり、相関係数rが演算できる。
【0133】
このように(8)式により相関係数rを求める方式では、2つの問題があることから、(7)式により相関係数rを求める方式の方が、回転電機の部分放電監視装置としてより現実的である。
【0134】
さらに、図20(g)〜(k)に示す実測位相分布の場合であっても、(8)式で相関係数rを求めると、0.3,0.45,0.58,0.82,0.805であるのに対して、(7)式で相関係数rを求めると、1.0,1.0,1.0,1.0,1.0となることからも、(8)式よりも(7)式の方が、回転電機の部分放電監視装置としてより現実的である。この相関係数rが1.0ということはノイズがないということを表している。
【0135】
なお、(8)式により相関係数rを求める方式であっても、それほど監視精度が要求されない回転電機の部分放電監視装置に適用することで、従来の回転電機の部分放電監視装置に比べて精度が向上することはいうまでもない。
【0136】
3−7)相関係数最大値による位相同期
3)の位相分布の「尤度」評価を行う監視装置において、監視対象の回転電機の相電圧の位相と監視装置が検出している交流電圧の位相が異なる場合に、図19に示すように部分放電データサンプリングの特定位相間隔例えば10度ごとに位相をずらせて、繰り返し相関係数を演算し、1サイクル分の相関係数の最大値を典型的な部分放電位相分布と実測部分放電位相分布との相関係数として採用するものである。
【0137】
3−8)3相の各相別相関係数の利用方式
3)の位相分布の「尤度」評価を行う監視装置において、相関係数を求めるデータ区間(スパン)を電源1サイクルではなく、図22に示すように120度とし、120度スパンの相関係数を互いに120度ずらして3組使用することにより、電源各相、個別の相関係数を求めることによって、各相の部分放電の存在を個別に判定するようにしたものである。
【0138】
いま、位相0度を起点とした120度スパンの相関関係をr(0) 、
位相120度を起点とした120度スパンの相関関係をr(12)、
位相240度を起点とした120度スパンの相関関係をr(24)、
とする。この3組の相関係数は3相のU,V,W相の回転電機の巻線電圧の位相と同期しているとはかぎらない。そこで、データの取込間隔を10度ずつ移動しながら、繰り返し、相関係数の演算を行う。
【0139】
k=0,1,2…、11(12回)、r(0+k) 、r(12+k) 、r(24+k) と、それらの平均値、r(k) を繰り返し求める。そして、繰り返し12回の演算のうち、r(k) が最大であるときの、r(0+k) 、r(12+k) 、r(24+k) をU,V,W巻線の各部分放電との相関係数と称する。すなわち、
r(k) が最大時の[r(0+k) 、k=1,2 、…N ]→rU
r(k) が最大時の[r(12+k) 、k=1,2 、…N ]→rV
r(k) が最大時の[r(24+k) 、k=1,2 、…N ]→rW
max of [rU 、rV 、rW ]→rmax
ただし、N は12である。
【0140】
rmax はデータ採用の是非の制御例えば0.5未満で棄却、rU 、rV 、rW は各相別の部分放電発生確度の指標として監視に用いる。また、この時点の部分放電の値は、そのときの120度スパンの平均値を記憶装置RAMに記憶しておけば、各相に対してその2倍から求めることができる。長期間の傾向管理に用いる部分放電の代表値には、統計処理した「この値」を使用することでS/N比は一層向上する。
【0141】
このようにする理由は、次の通りである。部分放電の位相分布は、ゼロクロスの参照電圧が、商用電源のコンセント電源とする場合、位相の原点がケースバイケースとなり、監視対象の回転電機のコイルに加わる電圧の位相のゼロがどこにあるかを検出していない。そこで、移動平均と同様に、データの取込間隔例えば10度ずつ移動しながら繰り返し、相関係数の演算を行い、その最大値を「求める相関係数」としている。
【0142】
4)フィルタ関数によるノイズ除去方式
図18はこれを説明するための図であり、図18(a)は実測位相分布Y0(j)のグラフ、図18(b)は理論位相分布のグラフ、図18(c)はフィルタ関数F(j) のグラフ、図18(d)はノイズ除去後の実測位相分布のグラフを示している。また、図18(e)はフィルタ関数とノイズ除去を説明するための図であり、図18(f)は図18(a),(c),(d)のグラフの値を示す表である。
【0143】
ここで、用いるフィルタ関数(部分放電発生判別関数)F(j) は、実測位相分布Y0(j)のうちの有効な範囲を残すためのもので、前述の3)項の相関係数評価において最大相関値を得る実測位相分布と理論位相分布の相互の位相関係を利用して、部分放電が発生すべき位相で1.0,1.0,1.0,1.0,1.0,1.0を決め、部分放電が有得ない位相で0.0,0.0,0.0,0.0,0.0,0.0を決めたものである。
【0144】
図8のデータ取込制御回路22において、電源周波数に同期してデータを取り込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔例えば10度間隔で周期的に取り込む場合、前述の3)項の相関係数評価において最大相関値を得る実測位相分布と理論位相分布の相互の位相関係を利用して、実測位相分布の各位相の実測値に、部分放電が発生すべき位相で1.0、部分放電が有得ない位相で0.0の値をもつフィルタ関数を乗算する。これによって、部分放電が有得ない位相でのノイズが除去され、S/N比が向上する。
【0145】
5)q−N分布「尤度」評価方式
図23はこれを説明するための図であり、図6の取込回路22は、電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合であって、複数サイクル分の正負部分放電の全データに対し部分放電電荷量別のヒストグラムを正負部分放電に対しそれぞれ生成し、正負部分放電に対しそれぞれq−N分布(q:部分放電電荷量クーロン、N:出現回数)分布を生成すると共に、同一出現頻度での正負電荷量の比をとり、出現頻度の各レベルでそれぞれ正負電荷量の比の平均値と標準偏差とをとり、其の標準偏差と平均値との比を求め、其の比を、q−N分布としての「尤度」として、これを付帯情報とすることで、データの棄却・採用を制御するようにした方式である。
【0146】
このようにして、データの棄却・採用を制御することで、部分放電監視装置としてのS/N比が向上する。
【0147】
5−1)正負のq−N分布比の演算範囲の指定
5)項による同一出現頻度での正負の電荷量の比率から「尤度」判定を行う装置において、出現頻度が一定値より大きい範囲では正負の電荷量の比率の演算範囲から除外するものである。
【0148】
ここで、出現頻度が大きい範囲では、部分放電が小さくなるのでノイズの混入があり得るので、正負の部分放電電荷量の比率の演算誤差が増加する。
【0149】
また、同一度数での正負部分放電の電荷量の比率は、放電が鉄心と絶縁物もしくはコイル導体と絶縁物の間で生じる場合に、正負の電荷量が異なり、比率が゛1から離れてくる。この比率は絶縁物と鉄・銅との仕事関数の比からきていると考えられる。
【0150】
【発明の効果】
以上述べた本発明によれば、信頼性が向上し、また構成を簡素化ならびに小形化でき、S/N比比が向上し、しかも監視要員に関係なく専門家と同等な判断が可能となる回転電機の部分放電監視装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による回転電機の部分放電監視装置の第1の実施形態を示す概略構成図。
【図2】本発明による回転電機の部分放電監視装置に使用するコロナ電荷量の較正器を説明するための図。
【図3】本発明による回転電機の部分放電監視装置の第2の実施形態を説明するための概略構成図。
【図4】図3の切替器20に接続される電源の構成を説明するための図。
【図5】変流器により検出される電流波形に溶接機のノイズなどによる巨大なスパイク波形が重畳されることを説明するための図。
【図6】電源1サイクル分の部分放電データの取込シーケンスを示す図。
【図7】図6のゼロクロス認識回路の一例を説明するための図。
【図8】図1の統計処理装置の概略を説明するための図。
【図9】図8のノイズ排除処理の概略を説明するための図。
【図10】図1の装置を用いて実際の回転電機における部分放電電荷と累積確率の実測例を示す特性図。
【図11】図1の装置を用いて実際の回転電機における部分放電電荷と累積確率の実測例を示す特性図。
【図12】図1の装置を用いて実際の回転電機における部分放電電荷と累積確率の実測例を示す特性図。
【図13】本発明による回転電機の部分放電監視装置を転流サージの発生する同期機に適用した例を示す図。
【図14】本発明による回転電機の部分放電監視装置として相関係数による部分放電位相分布処理を行う場合の例を示す図。
【図15】本発明による回転電機の部分放電監視装置として相関係数による部分放電位相分布処理を行う場合の例を示す図。
【図16】図14および図15の装置に使用する理論部分放電位相分布を説明するための図。
【図17】図14および図15の装置に使用する実測部分放電位相分布を説明するための図。
【図18】図14および図15の装置に使用する理論位相分布と最大相関係数をとる理論位相分布実測位相分布に基づくノイズ除去方式を説明するための図。
【図19】図14および図15の装置に使用する統計学の相関係数と部分放電位相分布の尤度評価用相関係数の比較を示す図。
【図20】図14および図15の装置に使用する統計学の相関係数と部分放電位相分布の尤度評価用相関係数の比較を示す図。
【図21】図14および図15の装置に使用する部分放電位相分布の処理におけるスパン移動による最大相関値の抽出方式を説明するための図。
【図22】図14および図15の装置に使用する部分放電位相分布の処理における3相各相別の最大相関値の抽出方式を説明するための図。
【図23】図14および図15の装置に使用するqーN分布における尤度評価方式を説明するための図。
【図24】従来の回転電機の部分放電監視装置の第1の例を説明するための図。
【図25】従来の回転電機の部分放電監視装置の第2の例を説明するための図。
【符号の説明】
1…高周波変流器(高周波CT)
2…利得調整部
3…増幅器
4…帯域通過フィルター
5…(+)側積分アンプ
6…(−)側積分アンプ
7…反転アンプ
8…A/D変換器
9…A/D変換器
10…統計処理装置
11…部分放電検出レベル設定器
12…正側コンパレータ
13…反転アンプ
14…負側コンパレータ
15…排他制御器
16…較正器
17…データ取込制御回路
18…タイマー
19…ゼロクロス位相検出回路
20…切替器
21…ゼロクロス認識回路
22…位相同期取込制御回路
23…タイマー
24…バス(BUS)
25…マイクロプロセッサ(CPU)
26…記憶装置例えばRAM
27…A/D変換器
28…デジタルピークホールド回路
29…データ転送制御回路
30…特高/高圧回路
31…しゃ断器
47,49…平均値演算部
48,50…正規化演算部
51…相関係数演算部
52…判断部
54…最大値検出回路
Claims (33)
- 監視対象である回転電機のコイルの3相主回路端子箱内もしくは3相主回路口出し端子部に配置され、前記コイルにおける部分放電に対応する電流信号を検出する変流器と、前記変流器の検出信号を統計解析を最大限に有効とすべき信号となるように信号処理を行うアナログ処理回路と、前記アナログ処理回路でアナログ処理された信号に基づき、正負の部分放電の極性判別を行うと共に、統計的アルゴリズムにより統計処理を行う統計処理装置と、を具備し、
前記変流器は一個であってこれを構成する円環状コアの内側半径、あるいは外側半径もしくは中心半径Rと、該外側半径と該内側半径の差であるコアの厚みΔRの比率ΔR/Rを、磁束密度を均一にする目的により一定値に保って該コアの寸法を決定するものであり、かつ前記変流器を構成するコアの直流磁化を消磁する消磁手段を設けたことを特徴とする回転電機の部分放電監視装置。 - 前記アナログ処理回路に、該監視対象である回転電機の部分放電の周波数特性に対応して、低域側は第1の所定範囲の通過周波数帯域で、かつ高域側は第2の所定範囲の通過周波数帯域のバンドパスフィルタを備えていることを特徴とする請求項1記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記変流器により検出される検出電流の積分値を放電電荷量として算出するための積分回路を設け、該積分値で前記放電電荷量の較正を行うことを特徴とする請求項1記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記積分回路の積分時定数を部分放電の検出電流の減衰時間と該積分結果の取り込みを行うA/D変換器のサンプリング周期との関係から決定するようにしたことを特徴とする請求項3記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記積分回路として、前記部分放電が正の部分放電の場合に正のパルス電流を積分する第1の積分回路、および前記部分放電が負の部分放電の場合に負のパルス電流を積分する第2の積分回路とを備えたことを特徴とする請求項3記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記第2の積分回路の後段に、極性反転アンプを配置して、前記負部分放電の場合に積分結果を極性反転して絶対値出力を得るようにしたことを特徴とする請求項3記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記変流器による検出電流を増幅した後の電圧信号が一定のレベルを超えたことで検出判定を行うトリガー信号を出力するレベルトリガー、もしくは前記変流器の検出電流の増幅後の電圧信号の時間微分値が一定値を超えたことで検出判定を行うトリガー信号を出力するスロープトリガーからなる部分放電検出トリガー回路を設け、前記トリガー信号によって、A/D変換器によるデジタル処理回路へのデータ取込の可否の制御を行うことを特徴とする請求項1記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記レベルトリガーもしくは前記スロープトリガーによる部分放電検出卜リガー回路において、前記トリガーレベルを任意に調節可能としたことを特徴とする請求項7記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記部分放電検出トリガー回路において、前記部分放電の正負の極性に対応し、正負の検出信号のそれぞれに対し、極性別に極性判別回路を設けたことを特徴とする請求項7記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記極性判別回路は、前記部分放電トリガレベルを正負対称とし、かつ、トリガーレベルの可変の場合については、単一のレベル調整で正負対称に設定されるように構成したことを特徴とする請求項9記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記極性判別回路において、レベル判定を行う正負二つのコンパレータを設け、該コンパレータの後段に、正負が同時にオンすることを避けるための排他制御器を設置したことを特徴とする請求項9記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記統計処理装置の電源回路として、部分放電の発生する監視対象の回転電機と同一の電源系統を使用し、ゼロクロス認識回路により該電源系統の電圧変化を検出し、該検出電圧のゼロクロス点から、電源の位相の原点を得て、該電源位相への同期を 行いながら、前記変流器により部分放電検出信号を取り込むように構成したことを特徴とする請求項1記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記統計処理装置の電源回路として、部分放電の発生する監視対象の回転電機と同一の電源系統を使用し、前記部分放電の発生する監視対象の回転電機の相電圧を計器用変成器で検出し、該検出相電圧のゼロクロス点から位相の原点を得、該位相原点に基づき前記監視対象の回転電機のコイルに印加される電圧の位相と同期して、該部分放電検出信号の取込みを行うようにしたことを特徴とする請求項12記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記ゼロクロス認識回路は、前記監視対象の回転電機と同一の系統の前記統計処理装置の電源または前記監視対象の回転電機の相電圧を検出する計器用変成器からの電圧を入力し、該入力の正電圧を認識し、この正電圧と負電圧の履歴との論理積をとるようにしたことを特徴とする請求項12または請求項13記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記ゼロクロス認識回路の前段に、前記変流器に基づき監視対象の回転電機のコイル検出電圧に重畳するスパイク状のノイズを除去するため、電源周波数近傍の狭帯域通過フィルタを配置するようにしたことを特徴とする請求項12記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 監視対象の回転電機の電源電圧波形を、データ取込指令により取り込み、該電源電圧波形が正または負の領域から0点方向に変化したことをもって電源1サイクル分のデータ取込指令の起点として起動し、ゼロクロスを認識するゼロクロス認識回路と、前記監視対象の回転電機のコイルの部分放電に対応する電流を検出する変流器と、前記変流器により検出された部分放電に対応するデータを取込み指令により、前記ゼロクロス点を位相ゼロ度として、1サイクルのスパンを所定の角度づつ、任意の位相間隔で次々に取込む取込回路と、該部分放電に対応するデータのうちのピーク値をホールドするピークホールド回路と、前記取込回路の部分放電に対応するデータを転送指令により記憶装置に転送する転送制御回路と、前記取込回路の部分放電電圧データを転送指令により記憶する記憶装置と、前記ゼロクロス認識回路に対して前記電源1サイクル分の取込み指令を、前記取込回路に与え、前記転送制御回路に対して転送指令を与えるとともに、前記記憶装置に記憶された部分放電電圧データを読出すための制御装置と、を具備したことを特徴とする回転電機の部分放電監視装置。
- 前記ピークホールド回路のピークホールド値を周期的にリセットするリセット装置を具備したことを特徴とする請求項16記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記取込回路は、電源周波数に同期してデータを取込み、複数サイクル分の電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合であって、前記制御装置は所定サイクル等の複数サイクル分のデータを連続して取込み、該複数サイクル分の同一位相データの平均値を取り、該位相の代表データとするようにしたことを特徴とする請求項16記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記取込回路は、電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合であって、前記制御装置は1サイクルもしくは複数サイクル分のデータに対し標準偏差を演算し、最大値のデータと2番目に大きいデータとの値の差が標準偏差のK倍(Kは任意の定数)より大きいとき其の最大値をノイズと認識してゼロに置き換える処理によってノイズ除去することを特徴とする請求項16記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記取込回路は、電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合であって、前記制御装置は1サイクル分のデータに対し標準偏差をとり、最大の3データと4番目のデータとの差が標準偏差のK倍(Kは任意の定数)より大きく、かつ、その最大3データの位相が互いに120度間隔のとき、これを半導体電力変換装置の転流サージと認識して、これをゼロにセットすることでノイズを除去することを特徴とする請求項16記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記取込回路は、電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合であって、前記制御装置は1サイクル分のデータに対し標準偏差をとり、最大の6データと7番目のデータとの差が標準偏差のK倍(Kは任意の定数)より大きく、かつ、その最大6データの位相が互いに60度間隔のとき、これを半導体電力変換装置の転流サージと認識して、これをゼロにセットすることでノイズ除去することを特徴とする請求項16記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記取込回路は、電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合であって、前記制御装置は1サイクル分のデータに対し標準偏差をとり、最大の4データと5番目のデータとの差が標準偏差のK倍(Kは任意の定数)より大きく、かつ、その最大4データの位相が互いに90度間隔のとき、これを半導体電力変換装置の転流サージと認識して、これをゼロにセットすることでノイズ除去することを特徴とする請求項16記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記取込回路は、電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合であって、前記制御装置は1サイクル分の実測部分放電位相分布と、典型的な部分放電の位相分布との相関係数を取り、その相関係数によって部分放電位相分布らしさ、である「尤度」を求め、これを付帯情報とすることで、所定の閾値としてデータの棄却・採用を制御するようにしたことを特徴とする請求項16記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記典型的な部分放電位相分布として、理論位相分布を採用したことを特徴とする請求項23記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記実測位相分布もしくは前記理論位相分布の典型的な部分放電位相分布を、其の部分放電分布の1サイクルの平均値を差し引いた上、其の平均値で除算したことで、正規化したことを特徴とする請求項23記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記実測の部分放電位相分布を、前記実測部分放電分布の1サイクルの平均値を差し引いた上、其の平均値で除算したことで、正規化したことを特徴とする請求項23記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記監視対象の回転電機の相電圧の位相と監視装置が検出している交流電圧の位相が異なる場合に、部分放電データサンプリングの特定位相間隔ごとに位相をずらせて、繰り返し相関関数を演算し、1サイクル分の相関係数の最大値を典型的な部分放電位相分布と実測部分放電位相分布との相関係数として採用することを特徴とする請求項23記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記相関係数を求めるデータ区間を電源1サイクルではなく、120度とし、120度スパンの相関係数を互いに120度ずらして3組使用して、三相電源の各相、個別の相関係数を求め、三相各相の部分放電の存在を個別に判定するようにしたことを特徴とする請求項23記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記取込回路は、電源周波数に同期してデータを取り込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取り込む場合であって、最大相関値を得る実測位相分布と理論位相分布の相互の位相関係を利用して、実測位相分布の各位相の実測値に、部分放電が発生すべき位相で1.0、部分放電が有得ない位相で0.0の値をもつ部分放電発生判別関数を乗じることによって、部分放電が有得ない位相でのノイズを除去するようにしたことを特徴とする請求項23記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記取込回路は、前記電源周波数に同期してデータを取込み、電源位相のゼロ点を起点にして、1サイクル分のデータを一定位相間隔で周期的に取込む場合であって、複数サイクル分の正負部分放電の全データに対し部分放電電荷量別のヒストグラムを正負部分放電に対しそれぞれ生成し、正負部分放電に対しそれぞれq−N分布(q:部分放電電荷量クーロン、N:出現回数)分布を生成すると共に、同一出現頻度での正負電荷量の比をとり、出現頻度の各レベルでそれぞれ正負電荷量の比の平均値と標準偏差とをとり、其の標準偏差と平均値との比を求め、其の比を、q−N分布としての「尤度」として、これを付帯情報とすることで、データの棄却・採用を制御するようにしたことを特徴とする請求項23記載の回転電機の部分放電監視装置。
- 前記同一出現頻度での正負の電荷量の比率から「尤度」判定を行う場合、出現頻度が一定値より大きい範囲では正負の電荷量の比率の演算範囲から除外することを特徴とする請求項32記載の回転電機の部分放電監視装置。
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