JPH05264639A - 電気設備に固有の部分放電電流周波数帯域の測定方法および電気設備の絶縁劣化診断方法 - Google Patents

電気設備に固有の部分放電電流周波数帯域の測定方法および電気設備の絶縁劣化診断方法

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JPH05264639A
JPH05264639A JP9722492A JP9722492A JPH05264639A JP H05264639 A JPH05264639 A JP H05264639A JP 9722492 A JP9722492 A JP 9722492A JP 9722492 A JP9722492 A JP 9722492A JP H05264639 A JPH05264639 A JP H05264639A
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discharge current
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insulation deterioration
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Shigemitsu Kurano
重光 倉野
Hideo Inui
秀雄 乾
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Osaka Gas Co Ltd
Takaoka Toko Co Ltd
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Osaka Gas Co Ltd
Takaoka Electric Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 絶縁劣化診断の対象となる各電気設備ごとに
異なることが予想される部分放電電流の固有の周波数帯
域を、容易かつ正確に、しかも安価に測定し得る方法を
提供する。また、その測定結果を利用して、電気設備の
絶縁劣化の進展程度を総合的に診断し得る方法を提供す
る。 【構成】 停止中の電気設備1において、絶縁材料によ
り相互に絶縁された1次側入力端子8と接地線2との間
に標準パルスを印加し、絶縁劣化部に発生する部分放電
電流信号を接地線2に取り付けた広周波数帯域電流セン
サ3により計測し、A/D変換波形収録装置4に収録す
る。さらに、パーソナルコンピュータ5でその信号にF
FT処理を施して周波数分析を行い、当該電気設備1に
おける部分放電電流の固有の周波数帯域を求める。そし
て、この求められた周波数帯域を利用して、停止中また
は運転中の電気設備の絶縁劣化診断が行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電気設備に固有の部
分放電電流周波数帯域の測定方法および電気設備の絶縁
劣化診断方法に関し、より特定的には、絶縁劣化診断の
対象となる電気設備(発電所,受変電所あるいは各種プ
ラントにおける変圧器や回転機等)の接地線に流れる部
分放電電流の固有の周波数帯域を測定する方法およびそ
の測定結果を利用して電気設備の絶縁劣化を診断する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】変圧器や回転機等の電気設備の絶縁劣化
の診断方法としては、部分放電試験や誘電正接試験など
が知られているが、これらの試験を行うためには、一般
に上記電気設備の運転を停止する必要がある。
【0003】近年、上記電気設備の使用者の強い要望に
応えて、上記電気設備の運転中に部分放電を検出して診
断を行う方法が各種試みられている。従来、そのような
診断方法の1つとして、上記電気設備の接地線に電流セ
ンサを設けて、接地線に流れ込む部分放電電流を計測
し、計測された電流信号の振幅から部分放電の大きさを
求めることによって当該電気設備の絶縁劣化を診断する
方法があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の診断方法において、接地線から検出される
電流信号には、部分放電電流信号のほか商用周波数の誘
導電流、放送波、あるいは電気設備の設置環境によって
変わる種々のノイズ(以下、これらを総括してノイズと
いう)も含まれている。そのため、上記電流センサに
は、ノイズが少なく、かつ部分放電電流成分が多い周波
数帯域(以下、S/N比が高い周波数帯域という)をね
らった狭周波数帯域のものが用いられる。この電流セン
サの周波数帯域を選定するにあたっては、絶縁劣化診断
の対象となる電気設備を一旦分解して外来ノイズの遮断
されたシールドルーム内で再び組み立てて運転し、広周
波数帯域の電流センサとスペクトラムアナライザーなど
を用いて運転状態でのノイズおよび部分放電電流の周波
数帯域を測定しなければならず、極めて煩雑でかつ費用
のかかる作業を行わなければならないという問題点があ
った。また、この測定の結果によっては各々の電気設備
ごとに異なる周波数帯域の電流センサを準備しなければ
ならないという問題点もあった。さらに、当該電気設備
に極めてまれにしか流入しないノイズは上記のノイズ測
定では測定できない場合があり、このノイズを部分放電
電流として検出するという誤認の可能性もあった。な
お、停止中の電気設備に試験用の高電圧を印加し、その
とき接地線から検出した電流信号からノイズおよび部分
放電電流の周波数帯域を測定することも考えられるが、
この場合、試験用の高電圧を得るために大型でかつ高価
な試験用変圧器を準備しなければならないという別の問
題点を生じる。
【0005】また、上記診断方法では、絶縁劣化の診断
を部分放電電流の振幅の大きさのみに基づいて行ってい
るため、上記誤認により健全な電気設備に対して誤診す
る可能性があった。そのため、絶縁劣化の進展過程上
の、より早い時期に、かつより精密に当該電気設備の絶
縁劣化を診断するために、単に部分放電電流の振幅の大
きさだけでなく、電気設備に使用されている絶縁材料の
種類,当該絶縁材料の劣化の様相,あるいは当該電気設
備を含む回路条件等によって変わることが予想される、
部分放電電流の周波数や位相の要素と、部分放電の発生
頻度などを含めた総合的な合理的かつ有効な方法の実現
が要望されていた。
【0006】それゆえに、この発明の目的は、個々の電
気設備について異なることが予想される部分放電電流の
固有の周波数帯域を、容易かつ正確に、しかも安価に測
定し得る方法を提供することである。
【0007】この発明の他の目的は、変圧器や回転機等
の電気設備の、運転中における絶縁劣化の診断におい
て、上記従来の診断方法では解決困難であった誤認によ
る誤診を防止し、上記電気設備の絶縁劣化の進展過程上
のより早い時期に、かつより精密に当該電気設備の絶縁
劣化の診断を可能にする合理的かつ有効な方法を提供す
ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
絶縁劣化診断の対象となる電気設備の接地線に流れる部
分放電電流の固有の周波数帯域を測定する方法であっ
て、絶縁劣化診断の対象となる電気設備の運転を停止さ
せてその接地線に広周波数帯域電流センサを取り付け、
絶縁材料によって相互に絶縁された上記電気設備の1次
側入力端子と接地線との間に標準パルスを印加し、その
とき上記広周波数帯域電流センサによって検出されたノ
イズを含む部分放電電流信号を一定のサンプリング周期
でA/D変換した後、当該サンプリング周期と同一周期
で高速フーリエ変換処理を行い、この高速フーリエ変換
処理の処理結果から上記電気設備における部分放電電流
の固有の周波数帯域を求めることを特徴とする。
【0009】請求項2に係る発明は、電気設備の絶縁部
に生じる劣化の進行程度を診断する方法であって、絶縁
劣化診断の対象となる電気設備の運転を停止させてその
接地線に広周波数帯域電流センサを取り付け、絶縁材料
によって相互に絶縁された上記電気設備の1次側入力端
子と接地線との間に標準パルスを印加し、そのとき上記
広周波数帯域電流センサによって検出されたノイズを含
む部分放電電流信号を一定のサンプリング周期でA/D
変換した後、当該サンプリング周期と同一周期で高速フ
ーリエ変換処理を行い、この高速フーリエ変換処理の処
理結果から上記電気設備における部分放電電流の固有の
周波数帯域を選定する第1の手順と、上記電気設備の停
止中または運転中に、上記広周波数帯域電流センサによ
って上記接地線から新たに検出した電流信号を一定のサ
ンプリング周期でA/D変換した後、上記第1の手順で
選定した周波数帯域についてバンドパスフィルタ処理を
行って部分放電電流を唸り波形信号として抽出し、さら
にこの唸り波形信号に重合エンベロープ処理を施すこと
によって唸り波形信号の重合エンベロープ|F(t)|
を求め、その値から診断指標を得る第2の手順とを備え
ている。
【0010】
【作用】請求項1に係る発明においては、電気設備の運
転を停止させ、その1次側入力端子と接地線との間に標
準パルスを印加し、そのとき広周波数帯域電流センサに
よって接地線から検出された電流信号をA/D変換後,
高速フーリエ変換処理することにより、その電気設備に
おける部分放電電流の固有の周波数帯域を求めるように
している。停止中の電気設備の接地線に流れる電流は、
運転中の電気設備の接地線に流れる電流と比べて、部分
放電電流以外のノイズ成分(たとえば外来ノイズや商用
周波数の誘導電流に基づくノイズ)が極めて少なくな
る。そのため、広周波数帯域電流センサで検出された電
流信号を、A/D変換,高速フーリエ変換処理によって
周波数分析するだけで、部分放電電流の周波数帯域を容
易かつ正確に測定できる。したがって、従来のように電
気設備をシールドルームに入れたり、大型でかつ高価な
試験用変圧器を準備する必要がなく、測定に要するコス
トが極めて安価になる。
【0011】請求項2に係る発明においては、部分放電
エネルギー量とこれを発生する電気設備の絶縁劣化現象
との間に相関関係があること、すなわち劣化現象が部分
放電電流の周波数,位相および振幅の3因子と相関を持
った変化として現れることに着目し、部分放電現象を時
間とともにその位相と振幅が変化する唸り現象として扱
い、部分放電電流の周波数,位相および振幅に重ね合わ
せの原理を適用して、部分放電電流の複素解析から重合
エンベロープ|F(t)|を求め、この値から総合的な
診断指標を得るようにしている。
【0012】なお、部分放電エネルギー量とこれを発生
する電気設備の絶縁劣化現象との間に相関関係があるこ
との理論的な証明は、本願出願人が先に出願した特願平
3−159885号に詳細に開示されているので、この
明細書ではその説明を省略する。
【0013】
【実施例】図1は、この発明による部分放電電流の周波
数帯域の測定方法を実施するためのシステムの構成の一
例を示す図である。図1において、絶縁劣化診断の対象
となる電気設備1(たとえば回転機により構成される)
の各相の1次側入力端子は相互に短絡されており、図示
しない商用電源とは切り離されている。したがって、電
気設備1は運転を停止した状態となっている。電気設備
1における相互に短絡された1次側入力端子8と接地線
2との間は、絶縁材料によって相互に絶縁されている。
これら1次側入力端子8と接地線2との間には、予め定
められた電荷量の標準パルスを発生するための標準パル
ス発生器7が設けられている。また、接地線2には、接
地線に流れる電流を検出するための広周波数帯域電流セ
ンサ3が取り付けられている。広周波数帯域電流センサ
3によって接地線3から検出された電流信号は、A/D
変換波形収録装置4に与えられ、一定のサンプリング周
期でサンプリングされてディジタル信号に変換される。
A/D変換波形収録装置4に収録されたディジタルデー
タは、データ処理装置の一例のパーソナルコンピュータ
5によって読み出されて処理される。このパーソナルコ
ンピュータ5には、データ出力装置の一例のX−Yプロ
ッタ6が接続されている。
【0014】図1に示すシステムにおいて、A/D変換
波形収録装置4が電流信号のA/D変換を行いディジタ
ル化する波形信号1回分のサンプリング数Nは予め選定
され、パーソナルコンピュータ5に記憶されている。A
/D変換波形収録装置4は、パーソナルコンピュータ5
からの制御信号に応答してその動作が制御されるように
構成されている。ただし、最大サンプリング数Nmax
は、A/D変換波形収録装置4の記憶容量によって決ま
る。また、A/D変換波形収録装置4のサンプリング周
期Δtも予め設定されている。したがって、上記システ
ムの1回分の信号記録時間T1は、波形信号1回分のサ
ンプリング数Nとサンプリング周期Δtとの積によって
決まる(以下、これを1ファイルと称する)。
【0015】次に、図1に示すシステムにおいて実行さ
れる部分放電電流の周波数帯域の測定動作(第1の手
順)を、図3に示すフローチャートを参照して説明す
る。
【0016】まず、運転を停止した電気設備1の1次側
入力端子8と接地線2との間に標準パルス発生器7によ
り標準パルスを印加し、当該電気設備1の接地線2に取
り付けられた広周波数帯域電流センサ3によりノイズを
含む部分放電電流信号を計測する(ステップS1)。
【0017】次に、広周波数帯域電流センサ3によって
計測された電流信号を、A/D変換波形収録装置4によ
って、前述のサンプリング周期Δtでサンプリングして
ディジタル信号に変換する(ステップS2)。このとき
A/D変換波形収録装置4に収録される部分放電電流信
号を、パーソナルコンピュータ5のCRT画面またはX
−Yプロッタ6に出力した結果の一例を、図5に示して
おく。なお、この図5は、電荷量2500pC(ピコ・
クーロン)の標準パルスを印加したときの1回分のサン
プリング数が1024点の場合の部分放電電流信号の出
力結果の一例を示している。
【0018】次に、パーソナルコンピュータ5は、A/
D変換波形収録装置4に収録されたディジタル波形デー
タを読み込み、前述のサンプリング周期Δtと同一周期
でこのディジタル波形データに対して高速フーリエ変換
処理(FFT処理)を施す(ステップS3)。
【0019】次に、上記ステップS3のFFT処理結果
から部分放電電流信号の周波数分布を求め、その分布の
うちS/N比の高い周波数帯域を部分放電電流信号の周
波数帯域として選定する(ステップS4)。図6は、ス
テップS3で実行されるFFT処理の結果を、パーソナ
ルコンピュータ5のCRT画面またはX−Yプロッタ6
に出力した結果の一例を示す図である。この図6から明
らかなように、1.8〜2.3MHz付近に当該電気設
備1に固有のS/N比の高い信号が存在していることが
わかる。したがって、この周波数帯域を部分放電電流信
号の周波数帯域として選定する。選定された部分放電電
流信号の周波数帯域のデータは、パーソナルコンピュー
タ5に記憶される。
【0020】図2は、上記第1の手順で選定された部分
放電電流信号の周波数帯域を利用して電気設備の絶縁劣
化を診断するためのシステムの構成の一例を示す図であ
る。図2に示すシステムでは、図1のシステムで測定の
対象となった電気設備1が用いられる。この電気設備1
の各相の1次側入力端子には、商用電源9から電力が供
給されている。したがって、図2に示すシステムでは、
電気設備1は運転状態となっている。その他の構成は、
図1に示すシステムと同様である。
【0021】次に、図2に示すシステムにおいて実行さ
れる電気設備の劣化診断動作(第2の手順)を、図4に
示すフローチャートを参照して説明する。
【0022】まず、運転中の電気設備1に印加される定
格電圧により発生するノイズを含む部分放電電流を、接
地線2に取り付けられた広周波数帯域電流センサ3によ
って計測する(ステップS201)。
【0023】次に、A/D変換波形収録装置4は、パー
ソナルコンピュータ5からの動作指示に従い、広周波数
帯域電流センサ3から当該ノイズを含む部分放電電流信
号を取り込んで、前述のサンプリング周期Δtごとに前
述の時間幅T1に渡ってA/D変換し、その結果を1フ
ァイル分のディジタル波形データとして収録する(ステ
ップS202)。
【0024】次に、パーソナルコンピュータ5は、A/
D変換波形収録装置4に対して次の動作指示を与える前
に、A/D変換波形収録装置4に収録された上記ディジ
タル波形データを読み込み、図3のステップS4で選定
された部分放電電流信号の周波数帯域を通過帯域とする
バンドパスフィルタ処理を実施して、部分放電電流信号
をディジタルの唸り波形信号として抽出する(ステップ
S203,S204)。続いて、パーソナルコンピュー
タ5は、ステップS204で得られた唸り波形信号につ
いてヒルベルト変換による重合エンベロープ処理を施
し、重合エンベロープ|F(t)|を求める(ステップ
S205)。図7は、電気設備の運転中に発生した部分
電流放電電流信号に、図3のステップS4で選定したS
/N比の高い周波数帯域について、上記ステップS20
3〜S205のバンドパスフィルタ処理,重合エンベロ
ープ処理を行った結果の一例を示す図である。
【0025】次に、パーソナルコンピュータ5は、ステ
ップS205で求めた重合エンベロープ|F(t)|か
ら部分放電発生エネルギー量を算出する(ステップS2
06)。すなわち、予めパーソナルコンピュータ5に記
憶されたしきい値と重合エンベロープ|F(t)|とを
比較し、このしきい値を超過した重合エンベロープ|F
(t)|の値とサンプリング周期Δtとの積を前述の1
ファイル(診断時間T1)に渡って積算した値から電気
設備1の部分放電発生エネルギー量を求める。このステ
ップS206で求められた部分放電発生エネルギー量
は、データファイルとしてパーソナルコンピュータ5に
記憶される(ステップS207)。
【0026】また、パーソナルコンピュータ5は、ステ
ップS205で求めた重合エンベロープ|F(t)|か
ら部分放電発生回数を算出する(ステップS208)。
すなわち、前述の1ファイル(診断時間T1)内に、重
合エンベロープ|F(t)|の包絡線波形が上記しきい
値を超過した回数を求め、その回数を部分放電発生回数
とする。このステップS208で求められた部分放電発
生回数は、データファイルとしてパーソナルコンピュー
タ5に記憶される(ステップS209)。
【0027】以上のステップS201〜S209の作業
を、繰り返し行い、部分放電発生エネルギー量および部
分放電発生回数の経時変化を、パーソナルコンピュータ
5のCRT画面またはX−Yプロッタ6に出力する。パ
ーソナルコンピュータ5のCRT画面またはX−Yプロ
ッタ6に出力された部分放電発生エネルギー量の経時変
化の一例を図8に示す。また、パーソナルコンピュータ
5のCRT画面またはX−Yプロッタ6に出力された部
分放電発生回数の経時変化の一例を図9に示す。
【0028】以上のようにして得られた2つの診断指
標、すなわち部分放電発生エネルギー量の経時変化およ
び部分放電発生回数の経時変化は、単に部分放電電流の
振幅の大きさだけでなく、電気設備に使用されている絶
縁材料の種類,当該絶縁材料の劣化の様相,あるいは当
該電気設備を含む回路条件等によって変わることが予想
される、部分放電電流の周波数や位相の要素と、部分放
電の発生頻度などを含めた総合的な診断指標として表現
されている。したがって、これら2つの診断指標を得る
ことにより、電気設備の劣化の進展の、より早い時期
に、精密に定量的な診断が行える。
【0029】なお、上記実施例では、図3に示す第1の
手順で求めた部分放電電流信号の固有の周波数帯域を、
運転中の電気設備に対して行う絶縁劣化診断のバンドパ
スフィルタ処理に利用するようにしたが、上記第1の手
順で求めた部分放電電流信号の固有の周波数帯域を、停
止中の電気設備に対して行う絶縁劣化診断のバンドパス
フィルタ処理に利用するようにしてもよい。すなわち、
停止中の電気設備1に対して標準パルスを印加し、その
とき接地線2に流れるノイズを含む部分放電電流に対し
て図4に示す第2の手順を実施し、部分放電発生エネル
ギー量および部分放電発生回数の経時変化を求めるよう
にしてもよい。
【0030】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、ノイズの少な
い停止状態において、電気設備に対して標準パルスを印
加し、そのとき接地線に流れる電流を広周波数帯域電流
センサによって検出し、この広周波数帯域電流センサに
よって検出された電流信号をA/D変換後、FFT処理
によって周波数分析するようにしているので、従来のよ
うに電気設備をシールドルームに入れずとも、部分放電
電流の固有の周波数帯域を正確かつ容易に測定すること
ができる。また、試験用変圧器のような大型で高価な装
置を必要としないため、測定費用の大幅な低減を図るこ
とができる。
【0031】請求項2の発明によれば、電気設備の絶縁
劣化の診断指標として、単に部分放電電流の振幅の大き
さだけを用いるのではなく、重ね合わせの原理の基づく
数値解析を行うことにより、電気設備に使用されている
絶縁材料の種類,当該絶縁材料の劣化の様相,あるいは
当該電気設備を含む回路条件等によって変わることが予
想される、部分放電電流の振幅,周波数および位相の条
件を包含した総合的な診断指標を得るようにしているた
め、電気設備の劣化の進展の、より早い時期に、精密に
定量的な診断が行える。また、請求項2の発明によれ
ば、絶縁劣化診断の対象となる電気設備における部分放
電電流の固有の周波数帯域を正確に検出できるため、実
際に絶縁劣化診断を行う際に、その検出された固有の周
波数帯域を通過帯域とするバンドパスフィルタ処理を行
うことにより、部分放電電流信号のみを正確に抽出で
き、ノイズの混入による誤診を低減することができる。
さらに、請求項2の発明によれば、診断の対象となる電
気設備ごとに電流センサを取り替える必要がないため、
診断のための費用を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による部分放電電流の周波数帯域の測
定方法を実施するためのシステムの構成の一例を示す図
である。
【図2】図1のシステムで測定された部分放電電流の周
波数帯域を利用して電気設備の絶縁劣化の診断を実施す
るためのシステムの構成の一例を示す図である。
【図3】図1に示すシステムにおいて実行される、部分
放電電流の周波数帯域の測定動作を示すフローチャート
である。
【図4】図2に示すシステムにおいて実行される、運転
中の電気設備の絶縁劣化診断動作を示すフローチャート
である。
【図5】図1に示すシステムにおいて、停止中の電気設
備の1次側入力端子と接地線間に電荷量2500pCの
標準パルス信号を印加したときに、接地線に取り付けた
広周波数帯域電流センサで計測したノイズ部分を含む部
分放電電流信号(1回分のサンプリング数が1024
点)の波形の一例を示す図である。
【図6】図1に示すシステムにおいて、停止中の電気設
備の接地線から検出された部分放電電流信号にFFT処
理を実施した結果の一例を示す波形図である。
【図7】図2に示すシステムにおいて、接地線から検出
された部分放電電流信号に、図3の第1の手順で得たS
/N比の高い周波数帯域について、図4の第2の手順の
バンドパスフィルタ処理,重合エンベロープ処理を施し
た結果の一例を示す波形図である。
【図8】図2に示すシステムにおいて、図4の第2の手
順にしたがって測定された部分放電電流エネルギー量の
経時変化の一例を示す図である。
【図9】図2に示すシステムにおいて、図4の第2の手
順にしたがって測定された部分放電の発生回数の経時変
化の一例を示す図である。
【符号の説明】 1: 電気設備 2: 接地線 3: 広周波数帯域電流センサ 4: A/D変換波形収録装置 5: パーソナルコンピュータ 6: X−Yプロッタ 7: 標準パルス発生器 8: 1次側入力端子 9: 商用電源

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁劣化診断の対象となる電気設備の接
    地線に流れる部分放電電流の固有の周波数帯域を測定す
    る方法であって、 絶縁劣化診断の対象となる電気設備の運転を停止させて
    その接地線に広周波数帯域電流センサを取り付け、絶縁
    材料によって相互に絶縁された前記電気設備の1次側入
    力端子と接地線との間に標準パルスを印加し、そのとき
    前記広周波数帯域電流センサによって検出されたノイズ
    を含む部分放電電流信号を一定のサンプリング周期でA
    /D変換した後、当該サンプリング周期と同一周期で高
    速フーリエ変換処理を行い、この高速フーリエ変換処理
    の処理結果から前記電気設備における部分放電電流の固
    有の周波数帯域を求めることを特徴とする、電気設備に
    固有の部分放電電流周波数帯域の測定方法。
  2. 【請求項2】 電気設備の絶縁部に生じる劣化の進行程
    度を診断する方法であって、 絶縁劣化診断の対象となる電気設備の運転を停止させて
    その接地線に広周波数帯域電流センサを取り付け、絶縁
    材料によって相互に絶縁された前記電気設備の1次側入
    力端子と接地線との間に標準パルスを印加し、そのとき
    前記広周波数帯域電流センサによって検出されたノイズ
    を含む部分放電電流信号を一定のサンプリング周期でA
    /D変換した後、当該サンプリング周期と同一周期で高
    速フーリエ変換処理を行い、この高速フーリエ変換処理
    の処理結果から前記電気設備における部分放電電流の固
    有の周波数帯域を選定する第1の手順と、 前記電気設備の停止中または運転中に、前記広周波数帯
    域電流センサによって前記接地線から新たに検出した電
    流信号を一定のサンプリング周期でA/D変換した後、
    前記第1の手順で選定した周波数帯域についてバンドパ
    スフィルタ処理を行って部分放電電流を唸り波形信号と
    して抽出し、さらにこの唸り波形信号に重合エンベロー
    プ処理を施すことによって唸り波形信号の重合エンベロ
    ープ|F(t)|を求め、その値から診断指標を得る第
    2の手順とを備える、電気設備の絶縁劣化診断方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR19980036844A (ko) * 1996-11-19 1998-08-05 이대원 FFT(Fast Fourier Transform)알고리즘을 이용한 전기설비 고장진단 시스템
KR19980069423A (ko) * 1997-02-28 1998-10-26 이대원 주파수특성을 이용한 전기설비 고장진단장치 및 그 방법
JP2001091565A (ja) * 1999-09-20 2001-04-06 Tokyo Electric Power Co Inc:The 回転機巻線の部分放電測定方法
JP2010190626A (ja) * 2009-02-16 2010-09-02 Univ Of Miyazaki 部分放電劣化診断装置及び部分放電劣化診断方法
JP2019090693A (ja) * 2017-11-15 2019-06-13 株式会社明電舎 部分放電検出装置

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