JP2871695B2 - ガス絶縁機器の絶縁異常診断装置 - Google Patents

ガス絶縁機器の絶縁異常診断装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ガス絶縁機器のシース内において発生する
絶縁異常およびその種類、位置等を判断するガス絶縁機
器の絶縁異常診断装置に関する。
[従来の技術] 変電設備等においては、開閉装置や母線をシース内に
収納し、このシース内に絶縁媒体としてのSF6ガスを封
入したガス絶縁機器が使用されている。このようなガス
絶縁機器においては、種々の原因によりシース内にコロ
ナ放電を生じ、シース内における絶縁に異常が生じる場
合がある。このようなコロナ放電による絶縁異常を検出
するため、ERAメータを用いた検出手段が提案されてい
る。これを図により説明する。
第9図は従来の絶縁異常検出回路の回路図である。図
で、1はガス絶縁機器、1aはガス絶縁機器1のブツシン
グ、2はカツプリングコンデンサ、3はインピーダン
ス、4はERAメータ、5は試験用変圧器、6は送電線で
ある。絶縁異常の有無を検出する場合には、試験用変圧
器5によりガス絶縁機器1に電圧を印加し、ERAメータ
4にリサージユ図形を描かせる。そして、当該リサージ
ユ図形上にコロナ放電によるパルス波形が現れることに
より絶縁異常を検出するこができる。
[発明が解決しようとする課題] 一般に、大気中に高電圧送電線が存在すると当該送電
線からコロナ放電が発生し、その放電電荷は200pC〜100
0pCに達する。一方、ガス絶縁機器1内のコロナ放電の
放電電荷は10pC〜100pCに過ぎない。したがつて上記従
来の絶縁異常検出回路によつては、検出すべきコロナ放
電に対してノイズとなる気中コロナ放電の放電電荷が遥
に大きいため、ガス絶縁機器の絶縁異常の検出精度は極
めて低く、実用に耐え得ない。
又、ガス絶縁機器内の保守、修理は、シースの径が小
さい(せいぜい80cm程度)ので、作業員が這った状態で
実施される。したがつて、仮に、上記絶縁異常検出回路
により絶縁異常が検出されたとしても、作業員がその異
常個所や原因を発見するのは容易ではなく、迅速、確実
な修理を行なうことは困難であつた。
本発明の目的は、上記従来技術における課題を解決
し、絶縁異常を確実に検出することができるばかりでな
く、当該絶縁異常の発生個所や原因をも把握することが
でき、ひいては、迅速かつ適確に絶縁異常を除くことが
できるガス絶縁機器の絶縁診断装置を提供するにある。
[課題を解決するための手段] 上記の目的を達成するため、本発明者等は、ガス絶縁
機器内のガス(SF6ガス)中のコロナ放電現象を解析
し、当該コロナ放電の発生個所、原因によりその電気的
特性に異なる特徴が存在することを見出した。本発明は
このような解析結果に基づくものである。即ち、その第
1の発明は、高電圧導体およびこれを支持するスペーサ
をガスを封入したシース内に収納したガス絶縁開閉装器
の絶縁異常診断装置において、前記シース内に配置され
たシース内のコロナ放電を検出する放電検出器と、この
放電検出器の信号を分析する信号分析部と、この信号分
析部の分析結果に基づいて絶縁異常を診断する診断部を
備え、前記診断部が、少なくとも、正負コロナの大小比
較、および400MHz以上の2つの周波数付近の周波数スペ
クトル幅の比と所定値との大小比較によってコロナ放電
の発生箇所を特定することを特徴とする。
又、その第2の発明は、上記第1の発明において、前
記コロナ放電の放電電荷量Q、放電電圧Vおよび異常放
電の種類により定められた定数A,m,nに基づいて絶縁異
常の原因となる突起の大きさ(AQ/Vmnを演算する演算
手段を設けたことを特徴とする。
さらに、その第3の発明は、上記第1の発明におい
て、前記シース内の音響を検出する音響検出器と、この
音響検出器により音響が検出され、かつ、信号分析部に
より特定信号が分析されたとき自由粒子が存在している
と判断する判断手段とを設けたことを特徴とする。
[作用] 上記第1の発明では、放電検出器でコロナ放電が検出
されたとき、その検出信号を信号分析部で分析し、診断
部では、その分析結果に基づいて、少なくとも、正負コ
ロナの大小比較、および400MHz以上の2つの周波数付近
の周波数スペクトル幅の比と所定値との大小比較を行う
ことによってコロナ放電の発生箇所および発生原因を特
定する。
又、上記第2の発明では、さらに信号分析部で得られ
たコロナ放電の放電電荷量Q、放電電圧Vおよび異常放
電の種類により定められた定数A,m,nに基づいて、演算
手段により(AQ/Vmnを演算し、この演算値により、コ
ロナ放電の原因となつた突起の大きさが判る。
さらに、上記第3の発明では、上記電圧検出器の外
に、音響検出器を備え、音響が検出され、かつ、特定信
号が分析されたとき自由粒子が存在すると判断する。
[実施例] 以下、本発明を図示の実施例に基づいて説明する。
従来、コロナ放電自体の解析は、固体絶縁物中のボイ
ド放電、液体中の放電、空気中の放電を対象に、コロナ
パルスの電圧極性、電圧位相、電荷量−電圧特性、正負
コロナの大きさ、経時変化についてなされている。この
ような解析は、例えば、「1987年IEEE Anual Report on
Electrical Insulation and Dielectric Phenomena」
第65頁〜72頁に掲載されている。しかしながら、ガス絶
縁機器において使用されるSF6ガス中におけるコロナ放
電については、上記のような解析は何等行なわれていな
い。本発明者等は、さきに述べたように、SF6ガス中の
コロナ放電の解析を行なうとともに、この解析結果と、
ガス絶縁機器内のコロナ放電発生個所、発生原因との因
果関係を究明した結果、両者間に一定の関連性があるこ
とを見出し、これに基づいて本発明をなすに至つたもの
である。以下、本発明の実施を説明する。
第1図は本発明の実施例に係るガス絶縁機器の絶縁異
常診断装置のブロツク図である。図で、第9図に示す部
分と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。10
はコロナ放電により発生するスパイク状の電圧、電流変
化や電磁波を検出する放電検出器であり、ガス絶縁機器
1内又はスペーサ(後述)の外周面に接して配置された
電極を有する。11は音響検出器であり、例えばガス絶縁
機器1の外壁等に設けられ、検出した音響の大きさに比
例した電気信号を出力する。12は放電検出器10で検出さ
れたコロナ放電電圧信号を処理分析するとともに、音響
検出器11の検出信号を入力する信号分析部である。この
信号分析部12では、コロナ放電電圧信号の増幅、信号と
ノイズの弁別、周波数スペクトル分析、特定周波数パル
スの抽出、信号レベルの変換等の所定の分析が行なわれ
る。この分析を行なうため、信号分析部12には所定の回
路やマイクロコンピユータが設うけられている。なお、
マイクロコンピユータによる処理は、後述する診断部の
マイクロコンピユータによつて実行してもよいのは明ら
かである。
13はマイクロコンピユータで構成される診断部であ
り、信号分析部12で分析された信号をとり出して絶縁異
常の診断を行なう。診断部13は、信号分析部12で分析さ
れたデータを一旦格納するメモリ13a、信号分析部12で
分析された事項と同一事項について予めその標準的なデ
ータ(即ちコロナ放電の標準パターン)を記憶している
標準パターン格納部13b、およびメモリ13aのデータと標
準パターン格納部13bの標準パターンとを比較して異常
か否かを診断する異常判定部13cで構成されている。
14は信号分析部12で分析したデータを記録媒体に記録
し又は表示部に表示する処理を行なう出力部、15は診断
部13において絶縁異常が見出されたとき警報を発し又は
トリツプ信号を出力して開閉装置を遮断する指令部、16
は診断部13の診断結果を表示する表示部である。
ここで、上記実施例の動作の説明の前に、先づコロナ
放電発生(絶縁異常発生)の原因、次いで、本発明者等
が解析し探究したコロナ放電の特徴および当該特徴と前
記コロナ放電発生原因との関連について述べる。
第2図はガス絶縁機器の一部の断面図である。図で、
1bはシース、1cは中心導体、1dは中心導体1cをシース1b
内に絶縁して固定するスペーサ、1eはスペーサ1dと中心
導体1cとの接触部に設けられた電界緩和のためのシール
ドである。このようなガス絶縁機器のシース1b内におい
て、コロナ放電発生原因となる可能性のある絶縁欠陥と
して図の符号A〜Jで示されるものがある。即ち、 A……中心導体1c上にあつて鋭い先端を有する金属の高
圧側突起 B……シース1b上にあつて鋭い先端を有する金属のシー
ス側突起 C……スペーサ1dと中心導体1cとの接触部に付着した金
属線の高圧側スペーサ表面突起 D……スペーサ1とシース1bとの接触部に付着した金属
線のシース側スペーサ表面突起 E……スペーサ1dのほぼ中央部に付着したスペーサ表面
粒子 F……スペーサ1dと中心導体1cとの接触部に生じる微小
な高圧側スペーサギヤツプ G……スペーサ1dとシース1bとの接触部に生じる微小な
シース側スペーサギヤツプ H……スペーサ1dの中間部分表面にクラツク等によつて
発生する微小なスペーサ中央ギヤツプ I……中心導体1cに電気的によく接触していない接触不
良シールド J……シース1b上に落下して自由に動くことができる金
属の自由粒子 以上のような各原因によりコロナ放電が発生するが、
本発明者等は実験を重ねて、SF6ガス中のコロナ放電に
種々の特徴があり、これらの特徴は上記各原因と密接な
関連を有することを見出した。これをまとめて第3図に
示す。
第3図はコロナ放電の特徴およびこの特徴とコロナ放
電発生原因との関連を示す図である。以下、第3図の各
項について説明する。まず、「パルスの規則性」の項
で、「単調に変化」の態様を第4図(a)〜(d)およ
び第5図(a)〜(c)を参照して説明する。第4図
(a)は中心導体1cに印加される電源電圧を示す。「単
調変化」とは、放電パルスの大きさ(放電電荷量)が1
サイクル中で、第4図(b)に示すように単調に減少す
る場合、第4図(c)に示すように単調に増加する場
合、又は第4図(d)に示すように単調に減少した後単
調に増加する変化をいう。これら第4図(b)〜(d)
と対応するリサージユ図形が第5図(a)〜(c)に示
されている。図中、楕円は電源周波数に同期した軌跡で
あり、楕円上のパルスはコロナ放電によるパルスを表
す。又、「コロナの発生位相」の項で、位相は電源電圧
の電気角で示し、π/2は正のピーク、3π/2は負のピー
クである。又、「正負コロナの大小」の項で、正負コロ
ナとはそれぞれ正と負の電圧サイクルに発生するコロナ
をいう。「コロナ放電の連続性」とは、コロナ放電パル
スが電源電圧のサイクルに応じて毎サイクル発生する
か、電源サイクルに無関係に間欠的に発生するかをい
う。「400MHz以上の周波数スペクトル」とは、検出され
たコロナ放電パルスが400MHz以上の周波数成分を有する
こと意味する。又、「周波数スペクトル幅」の項で、WL
は800MHz付近に現れるコロナ放電の周波数スペクトルの
幅を表し、例えば、750MHz〜850MHzにわたりスペクトル
が発生していれば、WLは100MHz(=850−750)を表し、
WHは1300MHz付近に現れるコロナ放電の周波数スペクト
ルの幅を表し、例えば、1270MHz〜1310MHzにわたりスペ
クトルが発生していれば、WHは40MHz(=1310〜1270)
を表す。さらに、「コロナ放電発生原因の項で、符号A
〜Jは第2図に示す符号A〜Jと同一であり同じ発生原
因を示し、かつ、符号Kは、空気中の高電圧側の強電界
部を表し、例えば、ブッシングの頭部を含め、ブッシン
グの送電線側に発生する電界の集中している箇所を表
し、符号Lは、空気中の接地側の強電界部を表し、例え
ば、ブッシングの接地側に取り付けられているタンクに
発生する電界の集中している箇所を表す。
次に、コロナ放電発生原因別にそれらのコロナ放電の
特徴の概略を第6図(a)〜(g)を参照しながら説明
する。なお、第6図(a)は電源電圧を示す。
高圧側突起A……大きさの揃つたパルスが正サイクルの
みにほぼ毎サイクル発生する場合と、第6図(b)に示
すように不規則な大きさのパルスが正サイクルのみにほ
ぼ毎サイクル発生いる場合がある。前者の場合には、電
気角π/2を中心に両側に拡がり、(正コロナ)>(負コ
ロナ)となる。又、後者の場合には、電気角O〜π/2の
位相に発生し、同様に(正コロナ)>(負コロナ)とな
る。さらに、コロナの周波数スペクトルは400MHz以上の
帯域に存在し、WH/WL<3になる。
シース側突起B……上記高圧側突起Aの特性 に対し電圧の極性、位相およびコロナの大小がそれぞれ
逆になるだけであり、これを除いて高圧側突起Aと同様
の特性を示す。
高圧側スペーサ表面突起C……正の電圧の立上り中、第
6図(b)に示すように電気角O〜π/2において不規則
な大きさのパルスがほぼ毎サイクル発生する。又、突起
の大きさ、形状によつては、第6図(d)に示すように
不規則な大きさのパルスが正負サイクルのピーク付近に
発生する場合がある。いずれの場合であつても、(正コ
ロナ)>(負コロナ)の特徴を有し、かつ、400MHz以上
の周波数スペクトルをもち、WH/WL≧3になる。
シース側スペーサ表面突起D……上記高圧側スペーサ表
面突起Cの特性に対して電圧の極性、位相、およびコロ
ナの大小が逆になるだけであり、これを除いて高圧側ス
ペーサ表面突起Cと同様の特性を示す。
スペーサ表面粒子E……第6図(e)に示すように、不
規則な大きさのパルスが正負両サイクルの電圧ピーク付
近に電気角π/2および電気角3π/2を中心にほぼ左右対
象に、ほぼ毎サイクル発生する。又、負コロナと正コロ
ナは同等の大きさになる。さらに、スペーサ1dの表面で
発生するコロナ放電であるため、周波数400MHz以上のス
ペクトルを有し、WH/WL≧3になる。
高圧側スペーサギヤツプF……第6図(f)に示すよう
に、不規則な大きさのパルスが正サイクルおよび負サイ
クルの電圧の立上り幅(O〜π/2,π〜3π/2)にほぼ
毎サイクル発生し、(負コロナ)>(正コロナ)にな
る。又、このパルスは400MHz以上の周波数スペクトルを
有する。
シース側スペーサギヤツプG……上記高圧側スペーサギ
ヤツプFの特性に対して、正コロナと負コロナの大小が
逆になるだけであり、これを除いて高圧側スペーサギヤ
ツプFと同様の特性を示す。
スペーサ中央ギヤツプH……不規則な大きさのパルスが
正負両サイクルの電圧ピーク付近(π/2および3π/2)
を中心に左右に拡がるようにほぼ毎サイクル発生する。
又、正コロナの大きさと負コロナの大きさがほぼ等し
い。さらに、当該パルスは400MHz以上の周波数スペクト
ルを有し、WH/WL≧3になる。
接触不良シールドI……電源電圧O(電気角O,π)付近
で充電電流が流れ、大きなパルスが毎サイクル発生す
る。
自由粒子J……パルスの大きさは第4図(b)〜
(d)、第5図(a)〜(c)に示すように単調な変化
を繰返す。このような変化は、自由粒子Jが中心導体1c
に接近したり遠去かつたりする運動に同期して発生する
ので、パルスの電圧極性や位相は不規則であり相関性は
認められない。又、パルスは毎サイクル連続して発生す
ることなく、時間が経過すれば低電界部へトラップされ
たりスペーサ1dに付着したりして消滅する。又、通常、
自由粒子Jがシース1bや中心導体1cに衝突したとき音を
発生し、この音は音響検出器11で検出される。
高圧側空気中突起K……第6図(g)に示すように、電
圧の負極性のピーク(電気角3π/2)付近に、この電気
角3π/2を中心としてほぼ左右対称に高さの揃つたパル
スを発生する。このパルスの左右への拡がりは電圧が高
くなるにしたがつて大きくなる。一般に、このパルスは
負の電圧サイクル(電気角π〜2π)で発生するため、
正コロナより負コロナの方が大きい、又、ガス絶縁機器
の内部では、導波管の原理に基づいて電磁波が伝搬する
ため、シース1bと中心導体1cの寸法で決定される周波数
の電磁波しか伝搬することができない。通常のガス絶縁
機器においては、400MHz以上の周波数の電磁波しか伝搬
し得ないため、(上記原因A〜Hによるパルスが400MHz
以上であるのはこの理由による。)空気中コロナの周波
数スペクトルはガス絶縁機器の内部では400MHz未満にな
つている。
低圧側空気中突起L……この場合のコロナは正の電圧サ
イクル(電気角O〜π)で発生するため、正コロナが負
コロナより大きくなる。これを除いて、この突起の特性
は上記高圧側空気中突起Kと同様の特性を示す。
以上、コロナ放電発生の原因、コロナ放電の特徴、およ
び当該特徴とコロナ放電発生の原因との関連について述
べたが、本発明者等はさらに、突起の長さ、放電パルス
の大きさ、および電圧の間に関連が存在することをも見
出した。即ち、 l……突起の長さ Q……放電パルス高さ(放電電荷量) V……電源電圧 A,m,n……定数 とすると次式が成立する。
ただし、定数A,m,nは突起の形状、高圧側かシース側
か、により決定される。一例を挙げると、直径0.2mmの
フイラメント状の突起の場合、それが高圧側突起であれ
ば、 (A,m,n)≒(30〜50,2,0.4) シース側突起であれば、 (A,m,n)≒(10〜20,1,0.6) になる。
なお、ここで、フイラメント状の突起とは、直径0.2m
m程度の線状または針状の突起を意味する。
次に、本実施例の動作を第7図に示すフローチヤート
を参照しながら説明する。本実施例の場合、標準パター
ン格納部13bには、パルスの規則性を判断するためのパ
ターン、周波数設定値(400MHz)、電源電圧極性に対す
るコロナ発生のパターン、スペクトル幅比(WH/WL)の
設定値(数値3)、コロナ発生位相のパターン、および
コロナの大小関係のパターンが記憶されている。一方、
信号分析部12は放電検出器10の電圧を入力し、これに対
して上記の各パターン、数値に応じた演算、制御を行な
い、その結果をメモリ13gに格納する。異常判定部13cは
所定の処理手順に従つてメモリ13aに記憶されたデータ
と標準パターン格納部に記憶された標準パターンおよび
設定値とを対比させて診断処理を実行する。
先づ、検出された放電パルスの規則性をみる(第7図
に示す手順S1)。放電パルスが単調な変化を示す場合、
コロナ放電(絶縁異常)発生は自由粒子Jが原因である
と判断し、これを表示部16に表示する(手順S2)ととも
に必要に応じて指令部15から指令を出力する(以後、各
原因表示後の処理の記述は省略する)。手順S1でパルス
が一定の大きさであると判断した場合、パルスの周波数
が400MHz未満であるか否かが判断される(手順S3)。40
0MHz未満の場合、そらにコロナ発生電圧極性をみて(手
順S4)、その発生が電源電圧の負サイクルのみである場
合は高圧側空気中突起Kと判断してこれを表示し(手順
S5)、正サイクルのみである場合は低圧側空気中突起L
と判断してこれを表示する(手順S6)。
手順S3で周波数が400MHz以上の場合においてもコロナ
発生電圧極性をみて(手順S7)、負サイクルのみの場合
はシース側突起Bによる放電と判断してこれを表示し
(手順S8)、正サイクルのみの場合は高圧側突起Aによ
る放電と判断してこれを表示する(S9)。手順S1におい
て、パルスが不規則に発生していると判断された場合、
今度はパルスの周波数が400MHz未満か否かを判断し(手
順S10)、400MHz未満であれば検出信号はノイズであり
コロナ放電は発生していないと判断する(手順S11)。4
00MHz以上であれば、コロナ発生電圧極性をみて(手順S
12)、コロナ発生が電源電圧の負サイクルである場合は
さらにスペクトル幅比(WH/WL)をみる(手順S13)。
スペクトル幅比が数値3未満のとき、シース側突起Bに
よるコロナ放電と判断してこれを表示し(手順S14)、
数値3以上のときシース側スペーサ表面突起Dによるコ
ロナ放電と判断しこれを表示する(手順S15)。又、手
順S12でコロナ発生電圧極性が正サイクルであると判断
された場合も同様にスペクトル幅比をチエツクし(手順
S16)、その比が数値3未満であれば高圧側突起Aと判
断してこれを表示し(手順S17)、スペクトル幅比が数
値3以上であれば高圧側スペーサ表面突起Cであると判
断してこれを表示する(手順S18)。
手順手順S12で、コロナ放電が電源電圧の正負両サイ
クルで発生していると判断された場合には、コロナ発生
の位相をチエツクする(手順S19)。当該位相が電気角
O〜π/2,π〜3π/2である場合にはさらにコロナの大
小を判断する(手順S20)。コロナが、(負コロナ)>
(正コロナ)の関係にあるときには、コロナ放電は高圧
スペーサギヤツプFに起因するものと判断してこれを表
示し(手順S21)、コロナが、(負コロナ)<(正コロ
ナ)の関係にあるときにはシース側スペーサギヤツプG
によるものと判断してこれを表示する(手順S22)。
手順S19でコロナ発生位相が電源電圧の電気角π/2,3
π/2の両側にあると判断された場合には、手順S20と同
じくコロナの大小を判断し(手順S23)、(負コロナ)
>(正コロナ)の関係にある場合にはシース側スペーサ
表面突起Dによるものと判断してこれを表示し(手順S
24)、(負コロナ)<(正コロナ)の関係にしてある場
合には高圧側スペーサ表面突起Cによるものと判断して
ここれを表示し(手順S25)、さらに、(負コロナ)≒
(正コロナ)の関係にある場合にはスペーサ中央ギヤツ
プH又はスペーサ表面粒子Eによるものと判断してこれ
を表示する(手順S26)。手順S19でコロナ発生位相が電
源電圧の電気角O,πの両側であると判断された場合に
は、コロナ放電は接触不良シールドIが存在することに
よるものと判断してこれを表示する(手順S27)。
ここで、上記の処理中、手順S19における判断につい
て付言する。この判断は、コロナ放電パルスが発生する
電源電圧の電気角の最小値と最大値に着目し、それらが
所定の位相にあるか否かをみることにより行なうことが
できる。しかし、何等かの原因で、発生しない筈の位相
にコロナパルスが発生する場合があり、この場合には上
記手段によつては誤判断を生じるおそれがある。この一
例を第8図(a),(b)に示す。第8図(a),
(b)はそれぞれ電源電圧およびコロナ放電パルスの波
形図である。第8図(b)に示すP1は本来発生するパル
ス群、P2は何らかの原因により発生してはならない位相
に発生したパルスである。この場合、上記の手段によ
り、発生パルスの最小電気角と最小電気角を採つて判断
すると、本来、コロナ発生位相は電気角O〜π/2と判断
すべきところ、電気角π/2の両側と誤判断するおそれを
生じる。このような誤判断は、特定の大きさ以上のパル
スの位相重心、即ちパルスの平均位相をチエツクする手
段を採用することにより避けることができる。この手段
において、コロナ放電の重心にはバラツキがあるので、
位相の重心にはある程度の幅をもたせて判断することが
望ましい。その一例を位相の重心をθとして以下に示
す。
(1.4π<θ<1.6π)……コロナの発生位相は3π/2の
両側と判断する (0.4π<θ<0.6π)……π/2の両側と判断 (0.1π<θ<0.4π)……O〜π/2と判断 (0.9π<θ<1.6π)……π〜3π/2と判断 (−0.1π<θ<0.1π)……Oとπの両側と判断 これにより、偶々異常パルスが発生しても、それが位相
の重心に及ぼす影響が小さいため、誤判定を避けること
ができる。
このように、本実施例では、ガス絶縁機器内に配置し
た電極によりコロナ放電電圧を検出し、これを標準パタ
ーンに対応して分析し、所定の手順で標準パターンと比
較するようにしたので、単にガス絶縁機器内のコロナ放
電の発生を検出できるばかりでなく、その発生原因も判
断することができる。そして、これにより、作業員は原
因発生個所を見過ごすことなく迅速に発見することがで
き、適確に修理を行なつて絶縁異常を除くことができ
る。
なお、上記実施例の説明で示した絶縁異常原因判断の
処理手順は単なる一例にすぎず、このような処理手順は
第3図に示す各事項に基づいて多数異なつた手順を選定
することができるのは明らかである。又、絶縁異常原因
を判断表示した後、(1)式に従つて突起の大きさを演
算してその発見や修理に役立てることもできる。さら
に、自由粒子Jは音響検出器11を併用し、放電検出器10
の検出信号とともにその判断を行なえば、検出、判断精
度を格段に向上させることができる。この場合、ガス絶
縁機器の開閉装置部の開閉動作を検出し、この開閉動作
時には自由粒子の存在の有無の判断を停止するように構
成すれば、より適確な診断を行なうことができる。さら
に又、複数の絶縁異常が同時に生じた場合、これらの原
因が並列表示されるのは当然である。
[発明の効果] 以上述べたように、本発明では、放電検出器で検出し
たコロナ放電電圧を分析する信号分析部と、分析結果に
基づいて絶縁異常を診断する診断部を備え、診断部にお
いて、少なくとも、正負コロナの大小比較、および400M
Hz以上の2つの周波数付近の周波数スペクトル幅の比と
所定値との大小比較を行うようにしたので、ガス絶縁機
器内のコロナ放電の発生を確実に検出することができる
ばかりでなく、その発生原因をも把握することができ、
ひいては迅速かつ適確に絶縁異常を排除することができ
る。又、前記(1)式の演算を行なうことにより、コロ
ナ放電発生原因となつている突起の大きさを知ることが
でき、突起の発見、除去をより一層迅速、適確に行なう
ことができる。さらに、音響検出器により音響を検出し
て自由粒子の存在の有無を別途判断するようにすれば、
放電検出器の検出信号と併せて、自由粒子についての判
断をより一層精度良く行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例に係るガス絶縁機器の絶縁異常
診断装置のブロック図、第2図はガス絶縁機器の一部の
断面図、第3図はコロナ放電の特徴およびこの特徴と放
電発生原因との関連を示す図、第4図(a)は電源電圧
の波形図、第4図(b),(c),(d)はコロナ放電
パルスの波形図、第5図(a),(b),(c)はコロ
ナ放電パルスのリサージユ図、第6図(a),(b),
(c),(d),(e),(f),(g)はコロナ放電
パルスの発生位相説明図、第7図は第1図に示す装置の
動作を説明するフローチヤート、第8図(a),(b)
はそれぞれ電源電圧およびコロナ放電パルスの波形図、
第9図は従来の絶縁異常検出回路の回路図である。 1……ガス絶縁機器、1b……シース、1c……中心導体、
1d……スペーサ、1e……シールド、10……放電検出器、
11……音響検出器、12……信号分析部、13……診断部、
13a……メモリ、13b……標準パターン格納部、13c……
異常判定部、16……表示部。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−120268(JP,A) 特開 昭62−7310(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01R 31/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高電圧導体およびこれを支持するスペーサ
    をガスを封入したシース内に収納して成るガス絶縁開閉
    装器の絶縁異常診断装置において、前記シース内に配置
    され当該シース内のコロナ放電を検出する放電検出器
    と、この放電検出器の信号を分析する信号分析部と、こ
    の信号分析部の分析結果に基づいて絶縁異常を診断する
    診断部を備え、前記診断部が、少なくとも、正負コロナ
    の大小比較、および400MHz以上の2つの周波数付近の周
    波数スペクトル幅の比と所定値との大小比較によってコ
    ロナ放電の発生箇所を特定することを特徴とするガス絶
    縁開閉機器の絶縁異常診断装置。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項において、前記診断
    部は、コロナ放電における放電パルスの規則性、連続
    性、発生位相、および前記放電パルス発生時の電源電圧
    の極性のうちの少なくとも1つの選択された特性を含ん
    で診断することを特徴とするガス絶縁機器の絶縁異常診
    断装置。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項において、前記周波
    数スペクトルは、1300MHz付近の第1のスペクトル幅
    を、800MHz付近の第2のスペクトル幅で除いた値と、所
    定値との大小比較であることを特徴とするガス絶縁機器
    の絶縁異常診断装置。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第1項において、前記コロ
    ナ放電の放電電荷量Q、放電電圧Vおよび異常放電の種
    類により定められた定数A,m,nに基づいて絶縁異常の原
    因となる突起の大きさ(AQ/Vmnを演算する手段を設け
    たことを特徴とするガス絶縁機器の絶縁異常診断装置。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第1項記載において、前記
    シース内の音響を検出する音響検出器と、この音響検出
    器により音響が検出され、、かつ、前記信号分析部によ
    り特定信号が分析されたとき自由粒子が存在していると
    判断する判断手段とを設けたことを特徴とするガス絶縁
    機器の絶縁異常診断装置。
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