JP2010190626A - 部分放電劣化診断装置及び部分放電劣化診断方法 - Google Patents

部分放電劣化診断装置及び部分放電劣化診断方法 Download PDF

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Masahisa Otsubo
昌久 大坪
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正利 壱岐
Shigeru Akaiwa
繁 赤岩
Shigeharu Nakano
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Abstract

【課題】 この発明は、被検査物の固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態を診断することができる部分放電劣化診断装置を提供する。
【解決手段】 部分放電劣化診断装置100は、機器又はケーブルに生じる部分放電に起因する物理量を検知し、物理量を電気的信号に変換する部分放電検出手段1と、電気的信号における信号強度の時間特性に対して周波数解析を行ない、信号強度の周波数特性を算出する周波数解析手段13と、信号強度の周波数特性のうち、信号強度がピークとなる周波数成分を含む周波数帯域を特定する周波数帯域特定手段15と、信号強度の時間特性のうち、周波数帯域における信号強度の時間特性を算出するバンドパス処理手段16と、周波数帯域における信号強度の時間特性のうち、所定の閾値を超える信号強度の出現頻度に基づき、機器又はケーブルの固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態を判定する進行状態判定手段18と、を備えている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、機器又はケーブルの固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態を診断する部分放電劣化診断装置及び部分放電劣化診断方法に関する。
現在の高度情報化社会においては、良質な電気と安定した電力の供給が電力系統に求められている。
電力系統は、電気を発生し需要家まで輸送する一連の設備群のことであり、水力発電所、火力発電所及び原子力発電所等の発電設備、送電線、変電所及び配電線等の輸送設備(流通設備)、並びに、工場や家庭等の電力を消費する需要設備等のように、各種の設備が組み合わされて構成されている。また、これらを有機的に結合し運用するための給電設備や通信設備も電力系統の重要な構成要素である。
近年、電力系統の老朽化が進み、この老朽化に伴う電力系統に生じる障害や停電事故を未然に防止することが望まれている。
特に、電力系統を構成する柱上変圧器等の機器及びケーブルは、絶縁性能の劣化(絶縁劣化)に伴う安全性の低下と部材交換に伴うコストの増大とを考慮した、部材交換の最適な時期を選定したうえで、電力系統を効率的に運用する必要がある。このためには、機器及びケーブルの絶縁劣化や異常の診断に対して、より一層の高度化が望まれており、機器及びケーブルの運転状態の監視、保守、管理及び劣化診断等の技術業務の重要性が高まっている。
しかしながら、絶縁破壊が原因と考えられる停電事故が未だに発生しているように、機器及びケーブルに対する延命運転技術並びに寿命判定技術が確立されていないのが現状であり、一刻も早い技術確立が望まれている。
また、環境問題への関心の高まり、経済性の追求等、社会的動向の中で機器及びケーブルの効率的な保守に対する技術確立が必要とされている。
これに対し、運転状態にある機器の監視、保守、診断及び寿命判定等の技術は、多種多様に存在するが、これらの技術を総合的に行なうことができる技術の一つとして、機器内部の絶縁性能に関連する部分放電検出法がある。
ここで、部分放電とは、固体絶縁物と気体絶縁物からなる複合絶縁体に電圧を印加することで、通常、固体と比較して気体の絶縁破壊電圧が低いために、ある電圧以上になると、気体放電が発生する。この気体放電は、複合絶縁体の全体を即座に貫通することにはならず、局所的に持続するものであり、この現象を部分放電という。
特に、固体絶縁物は、部分放電に曝されるために、長時間のうちには、材料が劣化を起こし、究極的には全路破壊となる。この劣化のことを部分放電劣化という。
この部分放電劣化は、現象的には、まず、部分放電に曝された固体絶縁物の表面に浸食が起こり、そして、部分放電が局部に集中してピットを形成し、その穿孔速度を増していく。なお、肉薄の固体絶縁物では、有効厚さが薄くなり、絶縁破壊を起こすが、肉厚の固体絶縁物では、トリーが発生して、遂に全路破壊となる。
また、部分放電は、気体放電の発生に伴って、振動、音、光、熱及び電磁波の発生、並びにガスの分解等を引き起こす。すなわち、部分放電検出法は、これらの現象を測定することで、部分放電の有無を判断する方法であり、各現象に対応して、電気的測定法、音響測定法、電磁波測定法及び光学的測定法等があり、様々な用途で実際に使用されている。
例えば、本願出願人は、機器が稼動中であっても、オンライン診断が可能なAE(Acoustic Emission)法により、架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(Crosslinked Polyethylene Vinyl Sheath Cable:以下、CVケーブルと称す)の絶縁材料として使用されるポリエチレンゴム(Ethylene Propylene Rubber:以下、EPゴムと称す)を用いて、長期加速劣化試験を行ない、部分放電に伴うEPゴムの状態変化及び部分放電によるAE信号特性を明らかにした(例えば、非特許文献1)。なお、AE法は、放電によって放出されるエネルギーが弾性波として伝播する性質を利用して、弾性波をセンサで検出する方法である。
また、従来の部分放電検出装置は、電力機器の絶縁体に取り付けられ、電力機器への交流電力供給中に発生する超音波を検出する超音波センサと、超音波センサにより検出された超音波を周波数解析して周期成分を検出する周期成分検出部と、超音波の周期成分の発生周期と、前記電力機器へ供給される交流電力の周期である電源周波数とを比較し、超音波の周期成分の発生周期が前記電源周波数又はその2倍の所定範囲内であれば、部分放電発生であると判定する判定部とを備える(例えば、特許文献1)。
特開2004−61358号公報
高岡 正成、外8名、「絶縁ゴムの部分放電劣化に伴うAE信号の特性解析」、放電、誘電・絶縁材料、高電圧合同研究会、社団法人電気学会、平成20年1月24日
複合絶縁体におけるボイド(void:空隙)内の気体放電は、外部電圧の変化分の大きい時期(例えば、交流正弦波の場合には、印加電圧の零点付近)で生じる傾向がある。このため、部分放電は、外部電圧の変化分の大きい時期である気体放電の発生及び消滅を繰り返す期間(以下、発生期間と称す)と、それ以外の期間(以下、休止期間と称す)とが存在する。すなわち、部分放電は、部分放電開始時からの経過時間に比例して、気体放電の強度が単純に大きくなるわけではなく、発生期間及び休止期間を繰り返して徐々に大きくなっていく。特に、部分放電劣化の初期段階においては、気体放電の強度及び発生頻度は一定ではない。
これに対し、従来の部分放電検出装置は、部分放電の有無を検出するだけであり、測定時点における部分放電劣化の進行の程度を判断できないという課題があった。特に、部分放電劣化の進行の程度を判断できないということは、電力機器の最適な交換時期を選定することができないという課題がある。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、機器又はケーブルの固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態を診断することができる部分放電劣化診断装置及び部分放電劣化診断方法を提供するものである。
この発明に係る部分放電劣化診断装置においては、機器又はケーブルに密接され、当該機器又はケーブルに生じる部分放電に起因する物理量を検知し、当該物理量を電気的信号に変換する部分放電検出手段と、前記電気的信号における信号強度の時間特性に対して周波数解析を行ない、当該信号強度の周波数特性を算出する周波数解析手段と、前記信号強度の周波数特性のうち、当該信号強度がピークとなる周波数成分を含む周波数帯域を特定する周波数帯域特定手段と、前記信号強度の時間特性のうち、前記周波数帯域における信号強度の時間特性を算出するバンドパス処理手段と、前記周波数帯域における信号強度の時間特性のうち、所定の閾値を超える当該信号強度の出現頻度に基づき、前記機器又はケーブルの固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態を判定する進行状態判定手段と、を備えているものである。
開示の部分放電劣化診断装置は、機器又はケーブルの部分放電に起因する絶縁破壊を未然に防止することができるうえに、機器又はケーブルの最適な交換時期を選定することができるという効果を奏する。ひいては、良質で安定した電力の供給と電力系統の効率的な運用とを可能にすることができるという効果を奏する。
第1の実施形態に係る部分放電劣化診断装置の主要な構成を示すブロック図である。 (a)は加速劣化試験における擬似ボイドを説明するための説明図であり、(b)は図2(a)に示す針電極を説明するための側面図であり、(c)は図2(a)に示す針電極を説明するための平面図である。 加速劣化試験の試験回路を説明するための説明図である。 (a)は計測データ(原波形)の一例を示す波形図であり、(b)は解析データ(FFT波形)の一例を示す波形図であり、(c)は処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図である。 (a)は計測データ(原波形)の他の例を示す波形図であり、(b)は解析データ(FFT波形)の他の例を示す波形図であり、(c)は処理データ(バンドパス処理波形)の他の例を示す波形図である。 (a)は試験開始から10分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図であり、(b)は試験開始10分経過後から20分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図であり、(c)は試験開始20分経過後から30分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図である。 (a)は試験開始30分経過後から60分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図であり、(b)は試験開始60分経過後から70分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図であり、(c)は試験開始70分経過後から80分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図であり、(d)は試験開始80分経過後から90分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図である。 (a)は試験開始90分経過後から100分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図であり、(b)は試験開始100分経過後から110分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図であり、(c)は試験開始110分経過後から120分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図であり、(d)は試験開始120分経過後から130分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図である。 (a)は試験開始(0分)から試験終了(130分)までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図であり、(b)は所定の時間間隔におけるAE信号強度が所定の閾値を超えた回数を示す表であり、(c)は所定の時間間隔におけるAE信号強度が所定の閾値を超えた回数を示すグラフである。 (a)は伝播特性検証試験の試験回路を説明するための説明図であり、(b)は図10(a)に示す発振器を横向きに配置した場合のCVケーブルの断面図であり、(c)は図10(a)に示す発振器を縦向きに配置した場合のCVケーブルの断面図である。 (a)は発信周波数のみが観察される場合のEPゴムを伝播する弾性波の様子を示す概念図であり、(b)は発信周波数以外が観察される場合のEPゴムを伝播する弾性波の様子を示す概念図であり、(c)は弾性波の減衰による初期到達波形の誤差を説明するための説明図である。 (a)は図10(b)に示す発振器の配置における発信周波数が30kHzの場合の検出波形を示す波形図であり、(b)は図12(a)に示す検出波形に対するFFT波形を示す波形図であり、(c)は図12(a)に示す検出波形に対する初期到達波形を示す波形図であり、(d)は図12(c)に示す初期到達波形に対するFFT波形を示す波形図である。 (a)は図10(b)に示す発振器の配置における発信周波数が90kHzの場合の検出波形を示す波形図であり、(b)は図13(a)に示す検出波形に対するFFT波形を示す波形図であり、(c)は図13(a)に示す検出波形に対する初期到達波形を示す波形図であり、(d)は図13(c)に示す初期到達波形に対するFFT波形を示す波形図である。 (a)は図10(b)に示す発振器の配置における発信周波数が400kHzの場合の検出波形を示す波形図であり、(b)は図14(a)に示す検出波形に対するFFT波形を示す波形図であり、(c)は図14(a)に示す検出波形に対する初期到達波形を示す波形図であり、(d)は図14(c)に示す初期到達波形に対するFFT波形を示す波形図である。 (a)は図10(b)に示す各AEセンサにおける直線距離に対する初期到達波形のうちAE信号の最大値をプロットしたグラフであり、(b)は図10(b)に示す各AEセンサにおける伝播距離に対する初期到達波形のうちAE信号の最大値をプロットしたグラフである。 (a)は図10(c)に示す各AEセンサにおける直線距離に対する初期到達波形のうちAE信号の最大値をプロットしたグラフであり、(b)は図10(c)に示す各AEセンサにおける伝播距離に対する初期到達波形のうちAE信号の最大値をプロットしたグラフである。 (a)は図10(b)に示すAEセンサにおける各発振周波数の減衰係数をプロットしたグラフであり、(b)は図10(c)に示すAEセンサにおける各発振周波数の減衰係数をプロットしたグラフである。 図18は第2の実施形態に係る部分放電劣化診断装置の主要な構成を示すブロック図である。 (a)は図18に示す部分放電劣化診断装置の一例を示す説明図であり、(b)は固定治具を説明するための説明図であり、(c)はAEセンサの配置を説明するための断面図である。
(本発明の第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る部分放電劣化診断装置の主要な構成を示すブロック図である。図2(a)は加速劣化試験における擬似ボイドを説明するための説明図、図2(b)は図2(a)に示す針電極を説明するための側面図、図2(c)は図2(a)に示す針電極を説明するための平面図である。図3は加速劣化試験の試験回路を説明するための説明図である。また、図4(a)は計測データ(原波形)の一例を示す波形図、図4(b)は解析データ(FFT波形)の一例を示す波形図、図4(c)は処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図である。また、図5(a)は計測データ(原波形)の他の例を示す波形図、図5(b)は解析データ(FFT波形)の他の例を示す波形図、図5(c)は処理データ(バンドパス処理波形)の他の例を示す波形図である。さらに、図6(a)は試験開始から10分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図、図6(b)は試験開始10分経過後から20分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図、図6(c)は試験開始20分経過後から30分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図である。また、図7(a)は試験開始30分経過後から60分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図、図7(b)は試験開始60分経過後から70分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図、図7(c)は試験開始70分経過後から80分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図、図7(d)は試験開始80分経過後から90分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図である。また、図8(a)は試験開始90分経過後から100分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図、図8(b)は試験開始100分経過後から110分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図、図8(c)は試験開始110分経過後から120分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図、図8(d)は試験開始120分経過後から130分経過後までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図である。また、図9(a)は試験開始(0分)から試験終了(130分)までの処理データ(バンドパス処理波形)の一例を示す波形図、図9(b)は所定の時間間隔におけるAE信号強度が所定の閾値を超えた回数を示す表、図9(c)は所定の時間間隔におけるAE信号強度が所定の閾値を超えた回数を示すグラフである。
まず、本発明に係る部分放電劣化診断装置100の主要な構成について、図1を用いて説明する。
部分放電検出手段1は、固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態を判定しようとする機器又はケーブル(以下、総称する場合に、被検査物と称す)に密接され、当該被検査物に生じる部分放電に起因する物理量を検知し、当該物理量を電気的信号に変換する装置である。この部分放電に起因する物理量は、例えば、振動、圧力、音、光又は熱(温度)又は電磁波等の計測の対象となる物理量である。
なお、本実施形態に係る部分放電検出手段1は、部分放電に起因する超音波を検知し、電気的信号に変換する変換器であるAE(Acoustic Emission)センサ1aを用いているが、AEセンサ1aに限られるものではない。しかしながら、AEセンサ1aは、小型かつ軽量であり、稼動中の被検査物に適用が可能であり、感度に優れているという特徴を有するために、部分放電検出手段1として使用することは好ましい。
増幅手段2は、部分放電検出手段1から送られてくる微弱な電気的信号(以下、AE信号と称す)を増幅して制御し、計測手段3に送りこむために用いられる増幅器であり、例えば、20dBで増幅するプリアンプ2aと、40dBで増幅するメインアンプ2bとにより構成される。
計測手段3は、電流若しくは電圧又は機械的振動等の時間的変化を観測又は記録するオシロスコープ3a等の計測器であり、増幅されたAE信号における信号強度(以下、AE信号強度と称す)の時間的変化を計測して、計測したAE信号強度の時間特性(以下、計測データと称す)を計測データ格納手段11に格納する。なお、計測手段3は、オシロスコープ3aに限られるものではなく、部分放電検出手段1からの電気的信号を計測データ格納手段11に格納するための、アナログ・デジタル(AD)変換機器であればよい。
入力手段12は、被検査物における部分放電劣化の進行状態を判定しようとする者(以下、操作者と称す)が、部分放電劣化診断装置100を起動して、判定の開始を指示するための装置であり、キーボード又はポインティングデバイス等が挙げられる。
周波数解析手段13は、入力手段12による起動信号に基づき、計測データ格納手段11に格納された計測データを抽出し、抽出した計測データに対して周波数解析を行ない、AE信号強度の周波数特性を算出する。また、周波数解析手段13は、算出したAE信号強度の周波数特性(以下、解析データと称す)を解析データ格納手段14に格納する。なお、本実施形態に係る周波数解析としては、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:以下、FFTと称す)を用いているが、他の周波数解析として、短時間フーリエ変換、ウェーブレット変換又はウィグナー分布関数等を用いてもよい。
周波数帯域特定手段15は、周波数解析手段13からの入力信号に基づき、解析データ格納手段14に格納された解析データを抽出し、抽出した解析データのうち、AE信号強度がピークとなる周波数成分を含む周波数帯域を特定する。なお、AE信号強度のピークは、部分放電に起因するパルス波形の現れであり、被検査物内部のノイズ、音響的ノイズ及び電気的ノイズ等に起因する波形部分よりも顕著に現れる。
バンドパス処理手段16は、周波数帯域特定手段15からの入力信号に基づき、計測データ格納手段11に格納された計測データを抽出し、抽出した計測データのうち、周波数帯域特定手段15により特定された周波数帯域(以下、通過帯域と称す)におけるAE信号強度の時間特性を算出する。また、バンドパス処理手段16は、算出した通過帯域におけるAE信号強度の時間特性(以下、処理データと称す)を処理データ格納手段17に格納する。
進行状態判定手段18は、バンドパス処理手段16からの入力信号に基づき、処理データ格納手段17に格納された処理データを抽出し、抽出した処理データのうち、所定の閾値を超えるAE信号強度の出現頻度に基づき、被検査物の固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態を判定する。
なお、進行状態判定手段18は、判定基準となる出現頻度として、所定の時間間隔における、AE信号強度が所定の閾値を超えた回数を算出し、算出した到達回数が時間の経過と共に増加する場合に、被検査物の固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態が悪化していると判定する。
出力手段19は、進行状態判定手段18からの入力信号に基づき、被検査物の固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態の判定結果を外部に出力するための手段であり、液晶ディスプレイ又はCRT(Cathode-Ray Tube)等の表示装置やスピーカ等が挙げられる。
つぎに、本実施形態に係る部分放電劣化診断装置100の処理動作について、CVケーブルの絶縁材料であるEPゴムを用いて、部分放電が発生しているケーブルを模擬し、模擬ケーブルにおける部分放電劣化を検証する試験(以下、加速劣化試験と称す)の結果を用いて説明する。
ここで、加速劣化試験に使用する試験回路を、図2及び図3を用いて説明する。
なお、図1に示す部分放電検出手段1は、図2及び図3に示すAEセンサ1aに相当し、図1に示す増幅手段2は、図3に示すプリアンプ2a及びメインアンプ2bに相当し、図1に示す計測手段3は、図3に示すオシロスコープ3aに相当する。
また、図1に示す計測データ格納手段11、入力手段12、周波数解析手段13、解析データ格納手段14、周波数帯域特定手段15、バンドパス処理手段16、処理データ格納手段17、進行状態判定手段18及び出力手段19は、図3に示すパソコン(personal computer:PC)10に具備する。なお、オシロスコープ3aは必ずしも必要ではなく、AEセンサ1aからの電気的信号をパソコン10に格納するための、アナログ・デジタル(AD)変換機器であればよい。
加速劣化試験においては、図2(a)に示すように、矩形状(縦200mm×横200mm×厚さ10mm)のEPゴム201の表面に、直径6.0mmかつ深さ9.0mmの穴を穿設して、この穴の深さ8.5mmまで直径6.0mmかつ長さ40mmの針電極202を挿入する。これにより、EPゴム201に穿設された穴は、針電極202により閉じられ、空隙(以下、擬似ボイド203と称す)となる。なお、針電極202は、図2(b)及び図2(c)に示すように、一端を針形状とし、配線を接続するための貫通孔を他端に有する。
また、EPゴム201の裏面には、針電極202に対向する接地された対向電極204が配設され、対向電極204の中心から30mm及び60mmの距離となる二箇所にAEセンサ1aがそれぞれ配設される。なお、本実施形態においては、AEセンサ1aとして、株式会社NF回路設計ブロック製のAEセンサ(型名:AE-900S-WB)を用いている。
針電極202は、図3に示すように、商用電源205(交流電圧200V、商用電源周波数60Hz)からの交流電圧を、トランス206(変圧比200:21,500)により昇圧し、抵抗207(抵抗100kΩ)及びカップリングキャパシタ208(静電容量2000pF)を介して、対地電圧13kVが印加される。
各AEセンサ1aは、プリアンプ2a及びメインアンプ2bを介して、オシロスコープ3aにそれぞれ接続される。なお、本実施形態においては、オシロスコープ3aとして、テクトロニクス製のデジタル・フォスファ・オシロスコープ(型名:TDS3014B、帯域幅:100MHz、各チャンネルの最高サンプル・レート:1.25GS/s)を用いている。
オシロスコープ3aは、針電極202に印加される電圧を測定するために、高電圧プローブ4aを介して、針電極202に接続される。また、オシロスコープ3aは、針電極202及び対向電極204間に流れる電流(漏れ電流)を測定するために、対向電極204と接地点とを結ぶ配線に、CT(Current Transformer)センサ4bを介して接続される。
パソコン10は、オシロスコープを介して、計測データを収集する。
以下、本実施形態に係る部分放電劣化診断装置100の処理動作について説明する。
まず、商用電源205からの交流電圧が昇圧され、針電極202に13kVの対地電圧が印加されると、擬似ボイド203内に気体放電が発生して局所的に持続し、部分放電となる。
このとき、オシロスコープ3aは、高電圧プローブ4aを介して、針電極202に印加される電圧の時間的変化を計測すると共に、CTセンサ4bを介して、針電極202及び対向電極204間に流れる電流(漏れ電流)の時間的変化を計測する。また、AEセンサ1aは、部分放電に起因する超音波を検出し、AE信号としてプリアンプ2aに出力する。
プリアンプ2aは、AEセンサ1aからのAE信号を20dBで増幅して、メインアンプ2bに出力する。そして、メインアンプ2bは、プリアンプ2aからのAE信号を40dBで増幅して、オシロスコープ3aに出力する。
オシロスコープ3aは、メインアンプ2bからの増幅されたAE信号におけるAE信号強度の時間的変化を計測して、計測データ(AE信号強度−時間特性)をパソコン10に出力する。そして、パソコン10に入力された計測データは、計測データ格納手段11に格納される。なお、本実施形態においては、AE信号強度の計測時のサンプリング周波数を500kS/sとした。
また、本実施形態においては、計測データとして、例えば、AE信号強度が小さな時点での図4(a)に示すような計測データ(原波形)や、AE信号強度が大きな時点での図5(a)に示すような計測データ(原波形)を取得した。
つぎに、周波数解析手段13は、入力手段12からの起動信号に基づき、計測データ格納手段11に格納された計測データを抽出する。そして、周波数解析手段13は、抽出した計測データに対して周波数解析を行ない、AE信号強度の周波数特性を算出し、解析データ(AE信号強度−周波数特性)を解析データ格納手段14に格納する。
なお、本実施形態においては、解析データとして、例えば、図4(a)に示す計測データ(原波形)に対して周波数解析を行ない、図4(b)に示すような解析データ(FFT波形)や、図5(a)に示す計測データ(原波形)に対して周波数解析を行ない、図5(b)に示すような解析データ(FFT波形)を取得した。
つぎに、周波数帯域特定手段15は、周波数解析手段13からの入力信号に基づき、解析データ格納手段14に格納された解析データを抽出し、抽出した解析データのうち、AE信号強度がピークとなる周波数成分を含む周波数帯域を特定する。そして、周波数帯域特定手段15は、特定した周波数帯域(通過帯域)の情報をバンドパス処理手段16に出力する。
なお、本実施形態においては、例えば、図4(b)及び図5(b)に示す解析データ(FFT波形)であれば、AE信号強度がピークとなる周波数成分は90kHzであり、90kHzを含む80kHzから100kHzまでの周波数帯域を通過帯域とした。
また、バンドパス処理手段16は、周波数帯域特定手段15からの入力信号に基づき、計測データ格納手段11に格納された計測データを抽出し、抽出した計測データのうち、通過帯域におけるAE信号強度の時間特性を算出する。そして、バンドパス処理手段16は、処理データ(通過帯域におけるAE信号強度−時間特性)を処理データ格納手段17に格納する。
なお、本実施形態においては、処理データとして、例えば、図4(a)に示す計測データ(原波形)に対して、80kHzから100kHzまでの通過帯域におけるバンドパス処理を行ない、図4(c)に示すような処理データ(バンドパス処理波形)を取得した。また、本実施形態においては、処理データとして、図5(a)に示す計測データ(原波形)に対して、80kHzから100kHzまでの通過帯域におけるバンドパス処理を行ない、図5(c)に示すような処理データ(バンドパス処理波形)を取得した。
なお、図4(c)及び図5(c)は、一部(0.1ms間)の処理データ(バンドパス処理波形)について示しているが、実際には、模擬ケーブル(EPゴム)の絶縁破壊(全路破壊)に至るまでに、試験開始から120分程度が経過しており、図6〜図8に示すような処理データ(バンドパス処理波形)を取得した。
進行状態判定手段18は、バンドパス処理手段16からの入力信号に基づき、処理データ格納手段17に格納された処理データを抽出し、抽出した処理データのうち、所定の時間間隔における、AE信号強度が所定の閾値を超えた回数を算出する。
なお、本実施形態においては、所定の時間間隔を10分間とし、所定の閾値を0.005V以上としており、例えば、図6〜図8に示す処理データ(バンドパス処理波形)に対して、進行状態判定手段18は、図9(b)に示すような回数を算出した。
なお、図9に示す試験開始(0分)から30分までの間は、ドリルを使用して人工的に作製した擬似ボイド203内の残渣の影響により、過剰な部分放電が発生しているものと考えられる。このため、試験開始(0分)から30分までの間の処理データは、進行状態判定手段18による判定対象としていない。
また、図9に示す120分から130分(試験終了)までの間は、途中で、模擬ケーブル(EPゴム)が絶縁破壊(全路破壊)となり、アーク放電に至ったために、AE信号強度が所定の閾値を超えた回数が少なくなったものと考えられる。このため、120分から130分までの間の処理データは、進行状態判定手段18による判定対象としていない。
そして、進行状態判定手段18は、算出した到達回数が時間の経過と共に増加する場合に、被検査物の固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態が悪化していると判定する。また、進行状態判定手段18は、算出した到達回数が、時間の経過と共に、減少する場合、増加と減少とを繰り返す場合又は一定の場合に、被検査物の固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態が悪化していない(現状維持である)と判定する。
なお、本実施形態においては、図9(b)に示すように、判定対象である試験開始の60分後から120分までの間において、算出した到達回数が、時間の経過と共に、4回(ただし、30分間)、5回、14回、19回、67回、80回、138回と増加しているために、進行状態判定手段18は、模擬ケーブルのEPゴムにおける部分放電劣化の進行状態が悪化していると判定する。特に、本実施形態に係る加速劣化試験においては、模擬ケーブル(EPゴム)が絶縁破壊(全路破壊)に至っており、進行状態判定手段18による判定結果が正しいことがわかる。
そして、出力手段19は、進行状態判定手段18からの判定結果に基づき、被検査物の固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態の判定結果を外部に出力して、操作者に報知する。なお、本実施形態においては、出力手段19がパソコン10のディスプレイであり、判定結果を表示画面に表示することになる。
なお、本実施形態においては、進行状態判定手段18が、処理データのうち、所定の時間間隔における、AE信号強度が所定の閾値を超えた回数を算出し、算出した到達回数に基づき、被検査物の固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態を判定しているが、到達回数を算出し、算出結果(例えば、図9(b)又は図9(c))を出力手段19に表示する構成でもよい。この場合には、操作者が算出結果を見て、算出した到達回数が時間の経過と共に増加している場合に、被検査物の固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態が悪化していると判定することになる。
以上のように、本実施形態に係る部分放電劣化診断装置100は、被検査物の固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態を診断することができ、被検査物の部分放電に起因する絶縁破壊を未然に防止することができるうえに、機器又はケーブルの最適な交換時期を選定することができるという作用効果を奏する。
(本発明の第2の実施形態)
図10(a)は伝播特性検証試験の試験回路を説明するための説明図、図10(b)は図10(a)に示す発振器を横向きに配置した場合のCVケーブルの断面図、図10(c)は図10(a)に示す発振器を縦向きに配置した場合のCVケーブルの断面図である。また、図11(a)は発信周波数のみが観察される場合のEPゴムを伝播する弾性波の様子を示す概念図、図11(b)は発信周波数以外が観察される場合のEPゴムを伝播する弾性波の様子を示す概念図、図11(c)は弾性波の減衰による初期到達波形の誤差を説明するための説明図である。また、図12(a)は図10(b)に示す発振器の配置における発信周波数が30kHzの場合の検出波形を示す波形図、図12(b)は図12(a)に示す検出波形に対するFFT波形を示す波形図、図12(c)は図12(a)に示す検出波形に対する初期到達波形を示す波形図、図12(d)は図12(c)に示す初期到達波形に対するFFT波形を示す波形図である。さらに、図13(a)は図10(b)に示す発振器の配置における発信周波数が90kHzの場合の検出波形を示す波形図、図13(b)は図13(a)に示す検出波形に対するFFT波形を示す波形図、図13(c)は図13(a)に示す検出波形に対する初期到達波形を示す波形図、図13(d)は図13(c)に示す初期到達波形に対するFFT波形を示す波形図である。また、図14(a)は図10(b)に示す発振器の配置における発信周波数が400kHzの場合の検出波形を示す波形図、図14(b)は図14(a)に示す検出波形に対するFFT波形を示す波形図、図14(c)は図14(a)に示す検出波形に対する初期到達波形を示す波形図、図14(d)は図14(c)に示す初期到達波形に対するFFT波形を示す波形図である。また、図15(a)は図10(b)に示す各AEセンサにおける直線距離に対する初期到達波形のうちAE信号の最大値をプロットしたグラフ、図15(b)は図10(b)に示す各AEセンサにおける伝播距離に対する初期到達波形のうちAE信号の最大値をプロットしたグラフである。また、図16(a)は図10(c)に示す各AEセンサにおける直線距離に対する初期到達波形のうちAE信号の最大値をプロットしたグラフ、図16(b)は図10(c)に示す各AEセンサにおける伝播距離に対する初期到達波形のうちAE信号の最大値をプロットしたグラフである。また、図17(a)は図10(b)に示すAEセンサにおける各発振周波数の減衰係数をプロットしたグラフ、図17(b)は図10(c)に示すAEセンサにおける各発振周波数の減衰係数をプロットしたグラフである。また、図18は第2の実施形態に係る部分放電劣化診断装置の主要な構成を示すブロック図である。図19(a)は図18に示す部分放電劣化診断装置の一例を示す説明図、図19(b)は固定治具を説明するための説明図、図19(c)はAEセンサの配置を説明するための断面図である。図10〜図19において、図1〜図9と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
前述した第1の実施形態に係る部分放電劣化診断装置100においては、被検査物の固体絶縁物における部分放電の発生源(ボイド)の位置を考慮することなく、被検査物の固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態を診断している。
しかしながら、被検査物の一であるCVケーブル300は、絶縁材料であるEPゴム301に、特有の伝播特性や減衰特性を有するものと考えられ、部分放電の発生源の位置(部分放電検出手段1の配置)によっては、CVケーブル300のEPゴム301における部分放電劣化の進行状態を精確に診断できないことも考えられる。
そこで、第2の実施形態に係る部分放電劣化診断装置100を説明するにあたり、輸送設備に布設されているCVケーブル300と同型のCVケーブル300を用いて、CVケーブル300の絶縁材料であるEPゴム301の伝播特性を検証した。
ここで、EPゴム301の伝播特性に関する検証試験(以下、伝播特性検証試験と称す)に使用する試験回路を、図10を用いて説明する。
図10(a)において、ファンクションジェネレータ(function generator)209は、正弦波や矩形波等の電気信号を発生し、発振器(oscillator)210を振動させる関数発生器である。
また、CVケーブル300は、図10(b)及び図10(c)に示すように、ドリルを用いて穴が穿設され、発振器210がこの穴に埋設されている。なお、伝播特性検証試験においては、AEセンサ1aにおける超音波の受信面に対する、発振器210における超音波の発振面の位置及び方向の違いによる、EPゴム301の伝播特性の影響についても検証するために、発振器210を横向きに配置した場合(図10(b))及び発振器210を縦向きに配置した場合(図10(c))について、それぞれ試験を行なった。
また、AEセンサ1aは、図10(b)及び図10(c)に示すように、発振器210を配設した位置を基準として、周方向に、60°、120°又は180°の位置に変化させて配置する。
以下、伝播特性検証試験について説明する。
まず、ファンクションジェネレータ209は、発振電圧が900mVであり、発振周波数Ofが30kHz、90kHz又は400kHzである、1周期分の正弦波を、発振器210から出力させる。
そして、AEセンサ1aは、発振器210からの超音波を検出し、AE信号に変換して、プリアンプ2aに出力する。AEセンサ1aから出力されるAE信号は、プリアンプ2aにより20dBで増幅され、メインアンプ2bにより20dBで増幅されて、オシロスコープ3aを介して、パソコン10に測定データとして収集される。
つぎに、パソコン10に収集された測定データを検証する。
なお、AEセンサ1aの感度は、周波数により異なるため、以下の検証においては、AE信号強度ではなく、AE信号の周波数成分に着目する。特に、発振器210からの発振周波数Ofと異なる周波数成分が観測されることは、板波が発生していることを示すものである。
すなわち、発振周波数Ofのみが観測された場合には、図11(a)に示すように、測定データに板波の影響がないと考えられ、発振周波数以外のEPゴム301自身の振動による周波数成分が観測された場合には、図11(b)に示すように、測定データに板波の影響があると考えられる。
図10(b)に示す発振器210の配置における、測定データである検出波形(図12(a)、図13(a)、図14(a))は、検出波形に対するFFT波形(図12(b)、図13(b)、図14(b))に示すように、様々な周波数成分の信号が含まれていることがわかる。これは、発振器210からの超音波がEPゴム301を伝播する過程で、波のモードが変化し、発振周波数以外の様々な周波数成分の信号が観測されたものと考えられる。
特に、AEセンサ1aに初期段階以降に到達した波形には、板波以外に反射波や表面波等も加わっているために、AEセンサ1aに初期段階で到達した波形(以下、初期到達波形と称す)に着目することで、当該初期到達波形に発振周波数以外の周波数成分が観測された場合には、板波が存在することを示すものである。
まず、検出波形(図12(a)、図13(a)、図14(a))から初期到達波形(図12(c)、図13(c)、図14(c))を抽出し、抽出した初期到達波形に対してFFT解析を行ない、初期到達波形に対するFFT波形(図12(d)、図13(d)、図14(d))を導出する。
このとき、発振周波数Ofが30kHz又は90kHzである伝播特性検証試験の場合については、発振周波数Ofの2周期分が含まれるように抽出し、発振周波数Ofが400kHzである伝播特性検証試験の場合については、発振周波数Ofの4周期分が含まれるように抽出した。
図12(d)に示すFFT波形には、発振周波数Ofの30kHzと異なる周波数成分が観測でき、板波が発生していることがわかる。
これに対し、図13(d)に示すFFT波形には、発振周波数Ofの90kHzとほぼ同様の周波数成分が観測でき、板波が発生していないことがわかる。
また、図14(d)に示すFFT波形には、発振周波数Ofの400kHzと異なる周波数成分が観測できるが、これは、発振器210からの超音波の減衰が影響したものと考えられる。
なぜならば、一般的に、周波数が高くなるほど、弾性波の減衰が大きくなるために、発振器210からの超音波は、AEセンサ1aに到達するまでに減衰して小さくなり、図11(c)に示すように、ノイズ等と合成された波形を初期到達波形として読み取ったと考えられる。すなわち、AEセンサ1aに初期段階以降に到達した波形には、反射波や表面波等の影響があるために、発振周波数Ofが400kHzである伝播特性検証試験において、発振周波数以外の信号が得られたのではないかと考えられる。
なお、発振周波数Ofが40kHz、50kHz又は60kHzである伝播特性検証試験についても同様に、初期到達波形の抽出及びFFT解析を行なったところ、板波の発生を確認できた。
また、図10(c)に示す発振器210の配置における伝播特性検証試験についても同様に、初期到達波形の抽出及びFFT解析を行なったところ、発振周波数Ofが30kHz、40kHz、50kHz又は60kHzにおいて、発振周波数Ofと異なる周波数成分が観測され、板波の発生を確認できた。
以上の検証結果により、発振周波数Ofによっては、CVケーブル300のEPゴム301に板波が発生し、測定データに影響を及ぼすことがわかる。また、この板波は、様々な周波数成分を含むために、部分放電の位置評定を困難にするのであるが、板波が観測されることで、部分放電が発生していることを判別することができる。また、発振周波数Ofが90kHzにおいては、CVケーブル300のEPゴム301に板波がほとんど発生しておらず、測定データに対する影響が少ないことがわかる。
前述したとおり、輸送設備に布設されているCVケーブル300と同型のCVケーブル300を用いて、CVケーブル300の絶縁材料であるEPゴム301の伝播特性を検証したが、以下、EPゴム301の減衰特性についても検証する。
なお、EPゴム301における減衰特性に関する検証試験(以下、減衰特性検証試験と称す)に使用する試験回路は、図10に示す試験回路を用い、伝播特性検証試験と同一の条件のもとで減衰特性検証試験を行なった。
図15及び図16は、発振周波数Ofが30kHz、90kHz又は400kHzにおける、パソコン10に収集された検出波形から初期到達波形を抽出し、抽出した初期到達波形のうち、AE信号の最大値をプロットしたグラフである。
なお、図15(a)において、横軸に示す距離は、発振器210と、図10(b)に示す各AEセンサ1aとの直線距離を示し、図16(b)において、横軸に示す距離は、発振器210と、図10(c)に示す各AEセンサ1aとの直線距離を示している。
また、図15(b)において、横軸に示す距離は、発振器210からの超音波が図10(b)に示す各AEセンサ1aに到達するまでに要した時間と、EPゴム301における各発振周波数Ofの伝播速度(1,300m/s〜1,400m/s)とから算出した伝播距離を示している。また、図16(b)において、横軸に示す距離は、発振器210からの超音波が図10(c)に示す各AEセンサ1aに到達するまでに要した時間と、EPゴム301における各発振周波数Ofの伝播速度(1,300m/s〜1,400m/s)とから算出した伝播距離を示している。
ここで、ある程度の厚い材質における、弾性波の減衰特性を表わす式を、次式(1)に示す。
なお、次式(1)において、Axは弾性波が初期変位(x=0)から距離xまで伝播した後の距離xにおける弾性波の振幅であり、A0は初期変位(x=0)における弾性波の振幅であり、αは減衰係数である。
〔式1〕
x=A0-αx ・・・(1)
本来、AE信号の最大値は、式(1)に基づき、近似曲線である直線上に乗るはずであるが、図15及び図16に示すAE信号の最大値は、近似曲線である直線上に乗らなかった。これは、板波の影響が考えられる。すなわち、板波は、発振周波数Ofの超音波と比較して、EPゴム301における減衰が小さいため、直線上に乗っていない点があるものと考えられる。
また、図17は、発振器210の配置が図10(b)又は図10(c)に示す配置における、発振周波数Ofを30kHzから400kHzまで変化させて算出した各発振周波数Ofの減衰係数をプロットしたグラフである。
図17に示すように、発振周波数Ofが200kHz以下では、発振周波数Ofが高くなるにつれ、減衰係数αも大きくなり、発振周波数Ofが300kHz以上では、発振周波数Ofが高くなるにつれ、減衰係数αが小さくなることがわかる。
これは、発振周波数Ofが300kHz及び400kHzにおいて、EPゴム301における減衰が大きいために、超音波がAEセンサ1aに到達する前にノイズレベルにまで減衰してしまい、初期到達波形以降にあたるAE信号を観測していることが原因であると考えられる。
また、図17に示すように、伝播距離に対応する減衰係数αが、直線距離に対応する減衰係数αに対して、比較的バラツキが少ないことがわかる。
以上の検証結果により、被検査物の一であるCVケーブル300は、絶縁材料であるEPゴム301に、特有の伝播特性及び減衰特性を有し、部分放電の発生源の位置(部分放電検出手段1の配置)によっては、CVケーブル300のEPゴム301における部分放電劣化の進行状態を精確に診断できないことが考えられる。
そこで、第2の実施形態に係る部分放電劣化診断装置100は、以下の構成を備えることにより、被検査物(ここでは、CVケーブル300)の固体絶縁物(ここでは、EPゴム301)における部分放電劣化の進行状態をさらに精確に診断するものである。
図18において、減衰率格納手段21は、被検査物(CVケーブル300)の固体絶縁物(EPゴム301)における、予め算出した減衰率を格納する。
発生源特定手段22は、入力手段12による起動信号に基づき、計測データ格納手段11に格納された計測データと、減衰率格納手段21に格納された固体絶縁物(EPゴム301)の減衰率とを抽出し、抽出した計測データ及び減衰率に基づき、部分放電の発生源の位置及び部分放電の規模を特定する。
信号強度補正手段23は、発生源特定手段22からの入力信号に基づき、計測データ格納手段11に格納された計測データと、減衰率格納手段21に格納された固体絶縁物(EPゴム301)の減衰率とを抽出する。また、信号強度補正手段23は、抽出した減衰率並びに発生源特定手段22により特定された部分放電の発生源の位置及び部分放電の規模に基づき、抽出した計測データに対して、固体絶縁物(EPゴム301)による減衰特性を相殺した真の計測データに補正して、補正した真の計測データ(以下、補正データと称す)を補正データ格納手段24に格納する。
なお、第2の実施形態に係る周波数解析手段13は、信号強度補正手段23からの入力信号に基づき、補正データ格納手段24に格納された補正データを抽出し、抽出した補正データに対して周波数解析を行ない、AE信号強度の周波数特性(解析データ)を算出する。また、周波数解析手段13は、算出した解析データを解析データ格納手段14に格納する。
また、第2の実施形態に係るバンドパス処理手段16は、周波数帯域特定手段15からの入力信号に基づき、補正データ格納手段24に格納された補正データを抽出し、抽出した補正データのうち、周波数帯域特定手段15により特定された周波数帯域(通過帯域)におけるAE信号強度の時間特性を算出する。また、バンドパス処理手段16は、算出した通過帯域におけるAE信号強度の時間特性(処理データ)を処理データ格納手段17に格納する。
また、第2の実施形態に係る部分放電検出手段1は、例えば、図19に示すように、CVケーブル300の周方向に対して、120度間隔の等間隔に配置する3つのAEセンサ1aからなる。
各AEセンサ1aは、CVケーブル300に密接させるため、図19(b)に示すように、固定治具400により、CVケーブル300に装着させる。
なお、図19(b)においては、CVケーブル300のうち、経験上、特に、部分放電劣化が生じ易い部位である、CVケーブル300の端末における機器若しくは他のCVケーブル300との接続部分(以下、ケーブル接続部300aと称す)に、AEセンサ1aを装着した状態を図示している
また、図19(b)においては、ケーブル接続部300aに対する固定治具400の装着状態を分かり易くするために、1つのAEセンサ1aのみを図示しているが、実際には、3つのAEセンサ1aが、CVケーブル300の周方向に対して、120度間隔の等間隔に配置されることになる。
固定治具400は、主要な構成として、センサ把持部401及び挟持部402を有し、AEセンサ1aをCVケーブル300又はケーブル接続部300aに固定するための器具である。
センサ把持部401は、アルミニウム製の筒状のホルダー401aとその外径に略同一の貫通孔を配設した鉄製の略矩形状の金属板401bとを接合して形成される。
また、挟持部402は、長さ方向に略等間隔に貫通孔を配設したスチール製の略矩形状かつ肉薄の金属板であり、CVケーブル300又はケーブル接続部300aの周方向に対して、二枚を平行に巻装させ、ボルト403及びナット404により繋止させる。また、固定治具400は、センサ把持部401の金属板401bの裏面と挟持部402とを永久磁石により繋止する。
これにより、固定治具400は、CVケーブル300又はケーブル接続部300aに対して、一定の圧力でAEセンサ1aを固定することができ、部分放電に起因する超音波を精確に取得することができる。
また、固定治具400は、挟持部402としてスチール製の肉薄の金属板を使用することで、手作業により、挟持部402を容易に屈曲させることができ、様々な外径を有するCVケーブル300及びケーブル接続部300aに対応させることができる。特に、センサ把持部401と挟持部402とを繋止するために、永久磁石を用いることで、CVケーブル300及びケーブル接続部300aに対するAEセンサ1aの取付け、取外し及び位置調整が容易にすることができる。
なお、この第2の実施形態に係る部分放電劣化診断装置100においては、部分放電検出手段1が複数のAEセンサ1aからなり、減衰率格納手段21、発生源特定手段22、信号強度補正手段23及び補正データ格納手段24をさらに備えているところのみが第1の実施形態と異なるところであり、複数の部分放電検出手段1、減衰率格納手段21、発生源特定手段22、信号強度補正手段23及び補正データ格納手段24による作用効果以外は、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
第2の実施形態に係る部分放電劣化診断装置100は、被検査物(CVケーブル300)の絶縁材料である固体絶縁物(EPゴム301)の減衰率と、複数の部分放電検出手段1からのAE信号とに基づき、部分放電の発生源の位置及び部分放電の規模を特定することができる。
また、第2の実施形態に係る部分放電劣化診断装置100は、特定した部分放電の発生源の位置及び部分放電の規模と固体絶縁物(EPゴム301)の減衰率とに基づき、計測データに対して、固体絶縁物(EPゴム301)による減衰特性を相殺した真の計測データに補正することで、被検査物(CVケーブル300)の固体絶縁物(EPゴム301)における部分放電劣化の進行状態をさらに精確に診断することができる。
特に、第2の実施形態に係る部分放電劣化診断装置100は、部分放電検出手段1である複数のAEセンサ1aを、CVケーブル300の周方向及び/又は長さ方向に対して一体に移動(回転移動、平行移動)可能とする構成であることが好ましい。
これにより、一回の測定では部分放電の発生源の位置を発生源特定手段22で特定できなかった場合や、被検査物(CVケーブル300)の固体絶縁物(EPゴム301)における部分放電劣化の進行状態の診断結果に信頼性を高める場合等に、部分放電検出手段1を一体に移動して、再度、AE信号強度の測定を行なうことで、部分放電検出手段1の最適な配置を見出すことができるという作用効果を奏する。
なお、第2の実施形態に係る部分放電検出手段1は、CVケーブル300の周方向に対して、120度間隔の等間隔に配置する3つのAEセンサ1aからなる例を示したが、複数のAEセンサ1aからなるのであれば、3つのAEセンサ1aに限られるものではない。
例えば、CVケーブル300の長さ方向に対して等間隔に、複数のAEセンサ1aを配置することで、CVケーブル300の長さ方向における部分放電の位置を特定することができる。また、CVケーブル300の周方向及び長さ方向に対して、等間隔に複数のAEセンサ1aを配置することで、CVケーブル300の内部方向及び長さ方向における部分放電の位置を特定することができる。特に、CVケーブル300の周方向に対して、120度間隔の等間隔に3つのAEセンサ1aを配置し、CVケーブル300の長さ方向に対して、2つのAEセンサ1aを配置して、合計4つのAEセンサ3aを配置することで、AEセンサ1aの個数を減らしたうえで、三次元的に部分放電の位置を特定することができる。また、CVケーブル300の長さ方向に対して螺旋状に、複数のAEセンサ1aを配置することで、AEセンサ1aの個数をさらに減らしたうえで、CVケーブル300の内部方向及び長さ方向における部分放電の位置を特定することができる。
1 部分放電検出手段
1a AEセンサ
2 増幅手段
2a プリアンプ
2b メインアンプ
3 計測手段
3a オシロスコープ
4a 高電圧プローブ
4b CTセンサ
10 パソコン
11 計測データ格納手段
12 入力手段
13 周波数解析手段
14 解析データ格納手段
15 周波数帯域特定手段
16 バンドパス処理手段
17 処理データ格納手段
18 進行状態判定手段
19 出力手段
21 減衰率格納手段
22 発生源特定手段
23 信号強度補正手段
24 補正データ格納手段
100 部分放電劣化診断装置
200 変圧比
201 EPゴム
202 針電極
203 擬似ボイド
204 対向電極
205 商用電源
206 トランス
207 抵抗
208 カップリングキャパシタ
209 ファンクションジェネレータ
210 発振器
300 CVケーブル
300a ケーブル接続部
301 EPゴム
400 固定治具
401 センサ把持部
401a ホルダー
401b 金属板
402 挟持部
403 ボルト
404 ナット

Claims (6)

  1. 機器又はケーブルの固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態を診断する部分放電劣化診断装置であって、
    前記機器又はケーブルに密接され、当該機器又はケーブルに生じる部分放電に起因する物理量を検知し、当該物理量を電気的信号に変換する部分放電検出手段と、
    前記電気的信号における信号強度の時間特性に対して周波数解析を行ない、当該信号強度の周波数特性を算出する周波数解析手段と、
    前記信号強度の周波数特性のうち、当該信号強度がピークとなる周波数成分を含む周波数帯域を特定する周波数帯域特定手段と、
    前記信号強度の時間特性のうち、前記周波数帯域における信号強度の時間特性を算出するバンドパス処理手段と、
    前記周波数帯域における信号強度の時間特性のうち、所定の閾値を超える当該信号強度の出現頻度に基づき、前記機器又はケーブルの固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態を判定する進行状態判定手段と、
    を備えていることを特徴とする部分放電劣化診断装置。
  2. 前記請求項1に記載の部分放電劣化診断装置において、
    前記進行状態判定手段が、所定の時間間隔における、前記信号強度が所定の閾値を超えた回数を算出し、当該回数が時間の経過と共に増加する場合に、前記機器又はケーブルの固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態が悪化していると判定することを特徴とする部分放電劣化診断装置。
  3. 前記請求項1又は2に記載の部分放電劣化診断装置において、
    前記信号強度の時間特性、及び前記機器又はケーブルにおける前記物理量の減衰率に基づき、部分放電の発生源の位置を特定する発生源特定手段と、
    前記特定した部分放電の発生源の位置、及び前記機器又はケーブルにおける前記物理量の減衰率に基づき、前記信号強度の時間特性を補正する信号強度補正手段と、
    を備え、
    前記周波数解析手段が、前記補正された信号強度の時間特性を対象として、前記信号強度の周波数特性を算出することを特徴とする部分放電劣化診断装置。
  4. 前記請求項1乃至3のいずれかに記載の部分放電劣化診断装置において、
    前記部分放電検出手段が複数のAEセンサからなり、当該複数のAEセンサが前記ケーブルの周方向に対して等間隔に一体に配設されると共に、前記ケーブルの周方向及び/又は長さ方向に対して一体に移動可能であることを特徴とする部分放電劣化診断装置。
  5. 前記請求項1乃至3のいずれかに記載の部分放電劣化診断装置において、
    前記部分放電検出手段が複数のAEセンサからなり、当該複数のAEセンサが前記ケーブルの周方向及び長さ方向に複数配設されることを特徴とする部分放電劣化診断装置。
  6. 機器又はケーブルの固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態を診断する部分放電劣化診断方法であって、
    前記機器又はケーブルに密接させ、当該機器又はケーブルに生じる部分放電に起因する物理量を検知し、当該物理量を電気的信号に変換する部分放電検出ステップと、
    前記電気的信号における信号強度の時間特性に対して周波数解析を行ない、当該信号強度の周波数特性を算出する周波数解析ステップと、
    前記信号強度の周波数特性のうち、当該信号強度がピークとなる周波数成分を含む周波数帯域を特定する周波数帯域特定ステップと、
    前記信号強度の時間特性のうち、前記周波数帯域における信号強度の時間特性を算出するバンドパス処理ステップと、
    前記周波数帯域における信号強度の時間特性のうち、所定の閾値を超える当該信号強度の出現頻度に基づき、前記機器又はケーブルの固体絶縁物における部分放電劣化の進行状態を判定する進行状態判定ステップと、
    を有することを特徴とする部分放電劣化診断方法。
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