JP4256059B2 - 三次元計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定対象物の三次元形状等を位相シフト法を用いて計測する三次元計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、プリント基板上に電子部品を実装する場合、まずプリント基板上に配設された所定の電極パターン上にクリームハンダが印刷される。次に、該クリームハンダの粘性に基づいてプリント基板上に電子部品が仮止めされる。その後、前記プリント基板がリフロー炉へ導かれ、所定のリフロー工程を経ることでハンダ付けが行われる。昨今では、リフロー炉に導かれる前段階においてクリームハンダの印刷状態を検査する必要があり、かかる検査に際して三次元計測装置が用いられることがある。
【0003】
近年、光を用いたいわゆる非接触式の三次元計測装置が種々提案されており、中でも位相シフト法を用いた三次元計測装置に関する技術が提案されている(特開平11−211443号公報、特許第2711042号等)。
【0004】
上記技術における三次元計測装置においては、CCDカメラが用いられる。すなわち、光源と正弦波パターンのフィルタとの組み合わせからなる照射手段により、縞状の光強度分布を有する光パターンを測定物体(この場合プリント基板)に照射する。そして、基板上の点を真上に配置したCCDカメラを用いて観測する。この場合、画面上の点Pの光の強度Iは下式で与えられる。
【0005】
I=e+f・cosφ
[但し、e:直流光ノイズ(オフセット成分)、f:正弦波のコントラスト(反射率)、φ:物体の凹凸により与えられる位相]
このとき、光パターンを移動させて、位相を4段階(φ+0、φ+π/2、φ+π、φ+3π/2)に変化させ、これらに対応する光強度(輝度)分布I0、I1、I2、I3をもつ画像を取り込み、下記式に基づいて位置情報θを求める。
【0006】
θ=arctan{(I3−I1)/(I0−I2)}
この位置情報θを用いて、プリント基板(クリームハンダ)上の点Pの3次元座標(X,Y,Z)が求められ、もってクリームハンダの三次元形状、特に高さが計測される。
【0007】
【発明が解決しょうとする課題】
ところで、計測対象物の相違、或いは対象物の測定部位の相違によって、対象物表面(上記例ではクリームハンダ)の色調等が相違する場合があり、上記技術における三次元計測装置では、かかる色調等の相違によって、反射して画像として取り込まれる際の光強度(輝度)が大きく影響を受けてしまう。このため、反射率が低く、輝度差の低い場合には、得られる位置情報θに誤差分が多く含まれることとなり、測定精度の低下を招いてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、計測対象物の三次元形状を位相シフト法を用いて計測するに際し、計測精度の飛躍的な向上を図ることの可能な三次元計測装置を提供することを主たる目的の一つとしている。
【0009】
【課題を解決するための手段及びその効果】
上記目的を達成し得る特徴的手段について以下に説明する。また、各手段につき、特徴的な作用及び効果を必要に応じて記載する。
【0010】
手段1.少なくとも計測対象物に対し、互いに異なる複数の波長成分を含み、かつ、縞状の光強度分布を有する光パターンを照射可能な照射手段と、前記光パターンの照射された計測対象物からの反射光を各波長成分毎に分離して撮像し画像データを取得可能な撮像手段と、前記計測対象物と、前記光パターンとの相対位相関係を変化させる位相変化手段と、前記位相変化手段により変化させられた複数通りの相対位相関係下において前記撮像手段にて取得された複数通りの画像データに基づき、位相シフト法により少なくとも前記計測対象物の所定の高さを演算する演算手段とを備えた三次元計測装置であって、前記演算手段は、前記複数の波長成分のうち、最適な波長成分に対応した画像データに基づき前記所定の高さを演算するものであることを特徴とする三次元計測装置。
【0011】
手段1によれば、少なくとも計測対象物に対し、照射手段によって、互いに異なる複数の波長成分を含み、かつ、縞状の光強度分布を有する光パターンが照射される。また、光パターンの照射された計測対象物からの反射光が、撮像手段によって、各波長成分毎に分離されて撮像され画像データが取得される。前記照射に際しては、計測対象物と、前記光パターンとの相対位相関係が位相変化手段によって変化させられる。そして、位相変化手段により変化させられた複数通りの相対位相関係下において、撮像手段にて取得された複数通りの画像データに基づき、演算手段では、位相シフト法により少なくとも計測対象物の所定の高さが演算される。このとき、計測対象物の相違、或いは対象物の測定部位の相違によって、対象物表面の色調等が相違する場合があり、かかる色調等の相違によって、反射光が影響を受けることが起こりうる。これに対し、手段1における演算手段は、前記複数の波長成分のうち、最適な波長成分に対応した画像データに基づき前記所定の高さを演算するものである。このため、色調等の影響を最小限に抑えることができ、結果として演算される高さに関して、計測精度の飛躍的な向上を図ることができる。
【0012】
手段2.少なくとも計測対象物に対し、互いに異なる複数の波長成分を含み、かつ、縞状の光強度分布を有する光パターンを照射可能な照射手段と、前記計測対象物と、前記光パターンとの相対位相関係を変化させる位相変化手段と、前記位相変化手段により変化させられた複数通りの相対位相関係下において、前記光パターンの照射された計測対象物からの反射光を各波長成分毎に分離して撮像し、各波長成分に対応した画像データを取得可能な撮像手段と、前記撮像手段にて取得された複数通りの画像データに基づき、最適な波長成分を採択する採択手段と、前記最適な波長成分に対応した複数通りの画像データに基づき、位相シフト法により少なくとも前記計測対象物の所定の高さを演算する演算手段とを備えたことを特徴とする三次元計測装置。
【0013】
手段2によれば、少なくとも計測対象物に対し、互いに異なる複数の波長成分を含み、かつ、縞状の光強度分布を有する光パターンが照射手段によって照射される。また、計測対象物と、前記光パターンとの相対位相関係が位相変化手段によって変化させられる。そして、位相変化手段により変化させられた複数通りの相対位相関係下において、撮像手段によって、光パターンの照射された計測対象物からの反射光が各波長成分毎に分離されて撮像され、各波長成分に対応した画像データが取得される。前記撮像手段にて取得された複数通りの画像データに基づき、採択手段では、最適な波長成分が採択される。そして、最適な波長成分に対応した複数通りの画像データに基づき、演算手段では、位相シフト法により少なくとも計測対象物の所定の高さが演算される。このため、色調等の影響を最小限に抑えることができ、結果として演算される高さに関して、精度の飛躍的な向上を図ることができる。
【0014】
手段3.前記採択手段は、変化させられる位相に対する輝度の差が最も大きくなる波長成分を最適な波長成分として採択するものであることを特徴とする手段2に記載の三次元計測装置。
【0015】
手段3によれば、採択手段では、変化させられる位相に対する輝度の差が最も大きくなる波長成分が最適な波長成分として採択される。ここで、輝度は色調等の影響を受けやすいが、採択される波長成分は、位相に対する輝度の差が最も大きいものであるため、結果として演算される高さは、色調等の影響を最も受けにくい撮像データに基づくものとなる。その結果、色調等の影響を最小限に抑えることができ、結果として演算される高さに関して、精度の飛躍的な向上を図ることができるという上記作用効果が、より確実に奏されることとなる。
【0016】
手段4.前記採択手段は、演算に際しての誤差分が最も少なくなる波長成分を最適な波長成分として採択するものであることを特徴とする手段2又は3に記載の三次元計測装置。
【0017】
手段4によれば、演算に際しての誤差分が最も少なくなる波長成分が最適な波長成分として採択されるため、色調等の影響による誤差を最小限に抑えることができ、精度の向上を図るという上記作用効果がさらに確実に奏されることとなる。
【0018】
手段5.前記位相変化手段は、前記照射手段により前記計測対象物に対し照射される光パターンの位相を変化させるものであることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の三次元計測装置。
【0019】
手段5によれば、照射手段により計測対象物に対し照射される光パターンの位相が、位相変化手段によって変化させられる。このため、計測対象物等を移動させる必要がなく、設置スペースの増大を招くことなく比較的簡易な構成でもって計測することができる。なお、この場合、位相変化手段は、「液晶素子を実体格子とする液晶光学シャッタを用いて、所定方向に光パターンを走査可能な構成」を具備することとしてもよい。
【0020】
手段6.前記位相変化手段は、前記計測対象物、又は、前記照射手段及び撮像手段を、前記照射手段及び撮像手段、又は、前記計測対象物に対し相対移動させることにより位相を変化させるものであることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の三次元計測装置。
【0021】
手段6によれば、前記計測対象物、又は、前記照射手段及び撮像手段が、他に対し相対移動させることで位相が変化させられる。このため、機械的な移動装置を用いれば済むこととなり、構造が複雑なものとなってしまうことがない。
【0022】
手段7.前記照射手段は、白色光を照射可能であることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の三次元計測装置。
【0023】
手段7によれば、照射手段によって、あらゆる波長成分の光が白色光として照射されるため、上記作用効果が確実に奏される。また、照射手段の構造の簡素化及びコストの低減を図ることができる。
【0024】
手段8.前記照射手段は、互いに異なる波長成分の少なくとも2つの光成分パターンからなる光パターンを同時に照射可能であり、かつ、前記各光成分パターンの周期は互いに等しいことを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の三次元計測装置。
【0025】
手段8によれば、照射手段によって、互いに異なる波長成分の少なくとも2つの光成分パターンからなる光パターンが同時に照射されるため、予め妥当な光成分パターンを設定しておくことで、最適な波長成分を採択しやすくなる。但し、各光成分パターンの周期は互いに等しいことが必要である。
【0026】
手段9.前記互いに異なる波長成分は、赤色及び緑色、赤色及び青色、赤色及び赤外線、緑色及び青色、緑色及び赤外線、青色及び赤外線、赤色、緑色及び青色、赤色、緑色及び赤外線、赤色、青色及び赤外線、緑色、青色及び赤外線、又は、赤色、青色、緑色及び赤外線の波長成分であることを特徴とする手段1乃至8のいずれかに記載の三次元計測装置。
【0027】
手段9によれば、波長域がオーバーラップしにくく、しかも、撮像手段として極めて特殊なものを必要としないため、コストの増大を抑制できる。
【0028】
手段10.前記複数通りの相対位相関係は、少なくとも3通りであることを特徴とする手段1乃至9のいずれかに記載の三次元計測装置。この場合、「少なくとも3通り」とあるのに代えて、「3通り」、「4通り」、或いは「3通り又は4通り」としてもよい。
【0029】
手段10によれば、3通りの画像データに基づき、所定の高さが演算される場合には、総合的な撮像回数が少なくて済み、ひいては撮像時間の短縮を図ることができる。その結果、計測に要する時間の飛躍的な短縮を図ることが可能となる。また、4通りの画像データに基づき、所定の高さが演算される場合には、演算が簡素化され、演算時間の短縮化が図れる。
【0030】
手段11.前記縞状は、略正弦波状であることを特徴とする手段1乃至10のいずれかに記載の三次元計測装置。
【0031】
手段11によれば、光パターンは、略正弦波状の光強度分布を有するため、より一層の計測精度の向上を図ることができる。
【0032】
手段12.手段1乃至11のいずれかに記載の三次元計測装置を備え、プリント基板又はICパッケージに印刷形成されたクリームハンダの少なくとも高さを計測し、その計測値に基づいて良否判定を導出することの可能なクリームハンダ印刷検査装置。
【0033】
手段12によれば、プリント基板又はICパッケージに印刷形成されたクリームハンダの少なくとも高さが計測され、その計測値に基づいて良否判定が行われる。このため、クリームハンダの計測に際して上記各作用効果が奏され、しかも精度よく良否判定を行うことができる。
【0034】
手段13.プリント基板又はICパッケージにクリームハンダを印刷形成する工程と、上記手段12に記載のクリームハンダ印刷検査装置を用いて良否判定を行う検査工程と、前記検査工程において良品判定されたものについてのみ実装を行うべくリフローを施すリフロー工程とを備えたことを特徴とする基板の製造方法。
【0035】
手段13によれば、良否判定が正確に行われることから、得られる基板に関し、不良品の発生を抑制することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0037】
図1は、本実施の形態における三次元計測装置を具備する印刷状態検査装置1を模式的に示す概略構成図である。同図に示すように、印刷状態検査装置1は、クリームハンダの印刷されてなるプリント基板Kを載置するためのテーブル2と、プリント基板Kの表面に対し斜め上方から所定の光成分パターンを照射するための照射手段を構成する照明装置3と、プリント基板K上の前記照射された部分を撮像するための撮像手段を構成するCCDカメラ4とを備えている。なお、本実施の形態におけるクリームハンダは、プリント基板K上に設けられた銅箔からなる電極パターン上に印刷形成されている。
【0038】
テーブル2には、モータ5,6が設けられており、該モータ5,6によって、テーブル2上に載置されたプリント基板Kが任意の方向(X軸方向及びY軸方向)へスライドさせられるようになっている。
【0039】
本実施の形態における照明装置3からは、白色光の光パターンが照射されるようになっている。より詳しくは、図2に示すように、照明装置3は、公知の液晶光学シャッターよりなる位相変化手段としての位相変化機構11を備えており、プリント基板Kに対し、斜め上方から所定ピッチずつ位相変化する光パターンを照射するようになっている。従って、光源からの光は位相変化機構11を介してプリント基板K上に照射されるようになっており、特にプリント基板Kに対し、照度が正弦波状に変化する縞状の光パターン(正弦波パターン)が照射されるようになっている。
【0040】
なお、照明装置3において、図示しない光源からの光は光ファイバーにより一対の集光レンズに導かれ、そこで平行光にされる。その平行光が、液晶素子を介して恒温制御装置内に配置された投影レンズに導かれる。そして、投影レンズから4つの位相変化する光パターンが照射される。このように、照明装置3に液晶光学シャッターが使用されていることによって、縞状の光パターンを作成した場合に、その照度が理想的な正弦波に近いものが得られ、これにより、三次元計測の測定分解能が向上するようになっている。また、光パターンの位相シフトの制御を電気的に行うことができ、制御系のコンパクト化を図ることができるようになっている。
【0041】
また、前記CCDカメラ(カラーCCDカメラ)4は、第1〜第3のダイクロイックミラー21,22,23及びそれらに対応する第1〜第3の撮像部24,25,26を備えている。すなわち、第1のダイクロイックミラー21は、所定の波長域内(赤色光に対応)の光を反射(それ以外の波長の光を透過)し、第1の撮像部24はその反射光を撮像する。また、第2のダイクロイックミラー22は、所定の波長域内(緑色光に対応)の光を反射(それ以外の波長の光を透過)し、第2の撮像部25はその反射光を撮像する。さらに、第3のダイクロイックミラー(通常のミラーを用いてもよい)23は、所定の波長域内(青色光に対応)の光を反射(それ以外の波長の光を透過)し、第3の撮像部26はその反射光を撮像する。
【0042】
本実施の形態においては、図1,2に示すように、前記CCDカメラ4、照明装置3、モータ5,6を駆動制御するとともに、CCDカメラ4により撮像された撮像データに基づき種々の演算を実行するための制御装置7が設けられている。すなわち、プリント基板Kがテーブル2上に載置されると、制御装置7は、まずモータ5,6を駆動制御して所定の位置に移動させ、プリント基板Kを初期位置に移動させる。この初期位置は、例えばCCDカメラ4の視野の大きさを1単位としてプリント基板Kの表面を予め分割しておいた中の1つの位置である。また、制御装置7は、照明装置3を駆動制御して光パターンの照射を開始させると共に、この光パターンの位相を所定ピッチ(本実施の形態では例えば「π/2」)ずつシフトさせて4種類の照射を順次切換制御する。さらに、このようにして光パターンの位相がシフトする照射が行われている間に、制御装置7はCCDカメラ4を駆動制御して、これら各照射ごとに、かつ、各色毎に、検査エリア部分を撮像し、それぞれ4×3画面分の画像データを得る。つまり、4段階の位相シフトごとに、かつ、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3つの波長域毎に、画像データを得る。
【0043】
ここで、制御装置7の構成について図2のブロック図に従ってより具体的に説明する。制御装置7は、前記位相変化機構11に対し位相を切り換えるための信号を出力するセレクタ31を備えている。また、制御装置7は画像メモリ32を備えており、前記4段階分の画像データを、各色(R,G,B)毎に順次記憶する。すなわち、画像メモリ32は、赤色、緑色、青色の各色に対応する第1画像メモリ33、第2画像メモリ34、第3画像メモリ35及び第4画像メモリ36を備えている。なお、以降においては、便宜上例えば赤色の第1画像メモリについては第1画像メモリ(R)33等の如く表記する。
【0044】
また、各画像メモリ33〜36に対応して、それぞれ第1〜第4の接続端子37,38,39,40及び第1〜第4のスイッチング素子41,42,43,44が設けられている。そして、上述した位相の切換に応じて、前記セレクタ31によって、前記各スイッチング素子41〜44の切換制御が行われるようになっている。つまり、セレクタ31により位相が「0」とされているときには、第1のスイッチング素子41のみがオン状態とされ、他はオフ状態とされる。従って、この場合には、CCDカメラ4からの画像データは、第1画像メモリ33に格納される。
【0045】
さらに、セレクタ31により位相が「π/2」とされたときには、第2のスイッチング素子42のみがオン状態とされ、他はオフ状態とされる。従って、この場合には、CCDカメラ4からの画像データは、第2画像メモリ34に格納される。同様に、セレクタ31により位相が「π」とされたときには、第3のスイッチング素子43のみがオン状態とされ、この場合には、CCDカメラ4からの画像データは、第3画像メモリ35に格納される。併せて、セレクタ31により位相が「3π/2」とされたときには、第4のスイッチング素子44のみがオン状態とされ、この場合には、CCDカメラ4からの画像データは、第4画像メモリ36に格納される。
【0046】
このように記憶された画像データに基づいて、制御装置7は各種画像処理(演算)を行うようになっている。すなわち、制御装置7は、採択手段としてのコントラスト計算部45、位置情報計算部46及び高さ計算部47よりなる演算手段48を備えている、前記第1〜第4画像メモリ33〜36に記憶された全ての各画像データは、一旦コントラスト計算部45の方へと送信されるようになっている。また、位置情報計算部46に対応して、各画像メモリ33〜36毎に第1〜第4のデータ入力端子51、52,53,54及び第1〜第4のデータ入力スイッチング素子55,56,57,58が設けられている。そして、前記コントラスト計算部45での演算結果に基づいて、該コントラスト計算部45によって、前記各データ入力スイッチング素子55〜58の切換制御が行われるようになっている。つまり、コントラスト計算部45において、今回赤色のデータを採択すべきと判定された場合には、第1〜第4のデータ入力スイッチング素子55〜58が全て赤色の各画像メモリ(R)33〜36に対してのみ接続状態とされ、他は非接続状態とされる。従って、この場合には、4つの赤色の画像データが位置情報計算部46の方へと送信される。また、コントラスト計算部45において、今回緑色のデータを採択すべきと判定された場合には、第1〜第4のデータ入力スイッチング素子55〜58が全て緑色の各画像メモリ(G)33〜36に対してのみ接続状態とされ、他は非接続状態とされる。従って、この場合には、4つの緑色の画像データが位置情報計算部46の方へと送信される。同様に、コントラスト計算部45において、今回青色のデータを採択すべきと判定された場合には、第1〜第4のデータ入力スイッチング素子55〜58が全て青色の各画像メモリ(B)33〜36に対してのみ接続状態とされ、他は非接続状態とされる。従って、この場合には、4つの青色の画像データが位置情報計算部46の方へと送信される。
【0047】
そして、該位置情報計算部46にて計算された位置情報θに基づいて、高さ計算部47において、各画素(検査エリア)毎に高さが計算されるようになっている。計算された高さデータは、高さデータ格納メモリ59の方へと送信される。また、制御装置7は判定手段60を備えており、該判定手段60は、前記高さデータ格納メモリ59にて記憶された高さデータに基づき、印刷されたクリームハンダの良否判定を行う。
【0048】
なお、上述した画像処理が行われている間に、制御装置7は、モータ5,6を適宜駆動制御してテーブル2を次の検査エリアへと移動せしめる。制御装置7は、ここでの画像データについても画像メモリ32へ格納する。一方、画像処理が一旦終了した場合、すでに画像メモリ32には次の画像データが記憶されているので、速やかに制御装置7は次の画像処理を行うことができる。つまり、検査は、一方で次なる検査エリア(m+1番目)への移動及び画像入力を行い、他方ではm番目の画像処理及び比較判定を行う。以降、全ての検査エリアでの検査が完了するまで、交互に同様の上記並行処理が繰り返し行われる。このように、本実施の形態の印刷状態検査装置1においては、制御装置7の制御により検査エリアを移動しながら、順次画像処理を行うことにより、プリント基板K上のクリームハンダの印刷状態を高速かつ確実に検査することができるようになっている。
【0049】
次に、制御装置7によって行われる処理内容について、画像処理及び演算処理を中心として説明する。すなわち、図3は、制御装置7(主として演算手段48)によってクリームハンダの高さを演算する際に実行される「高さ演算ルーチン」を示すフローチャートである。同図に示すように、制御装置7は、まずステップS101において、位相シフト計測を行う。つまり、プリント基板Kに投影された光パターンに関して、プリント基板K面上とクリームハンダとの間では、その高さの相違に基づく位相のずれが生じる。そこで、制御装置7では、まず、光パターンの位相が所定ピッチずつずれた各波長域(R,G,B)での画像データ(本実施の形態では4画面の画像データ)を得る。
【0050】
より詳しくは、制御装置7のセレクタ31は、各スイッチング素子41〜44及び位相変化機構11を順次切換制御する。上述したように、セレクタ31により位相が「0」とされたときには、第1のスイッチング素子41のみがオン状態とされ、この場合には、CCDカメラ4の第1〜第3の撮像部24〜26からの画像データは、位相ゼロの画像データとして各波長域毎に第1画像メモリ(R,G,B)33にそれぞれ格納される。また、セレクタ31により位相が「π/2」とされたときには、第2のスイッチング素子42のみがオン状態とされ、この場合には、CCDカメラ4の第1〜第3の撮像部24〜26からの画像データは、位相π/2の画像データとして各波長域毎に第2画像メモリ(R,G,B)34に格納される。同様に、セレクタ31により位相が「π」とされたときには、第3のスイッチング素子43のみがオン状態とされ、この場合には、CCDカメラ4の第1〜第3の撮像部24〜26からの画像データは、位相πの画像データとして各波長域毎に第3画像メモリ(R,G,B)35に格納される。さらに、セレクタ31により位相が「3π/2」とされたときには、第4のスイッチング素子44のみがオン状態とされ、この場合には、CCDカメラ4の第1〜第3の撮像部24〜26からの画像データは、位相3π/2の画像データとして各波長域毎に第4画像メモリ(R,G,B)に格納される。
【0051】
ここで、一般に、所定ピッチずつ、例えば本実施の形態の如く0、π/2、π、3π/2といった具合に、位相をシフトした際の画面上の点Pの光の強度V0、V1、V2、V3は下式で与えられる。
【0052】
V0=Asinθ+B ・・・(1)
V1=Asin(θ+π/2)+B ・・・(2)
V2=Asin(θ+π)+B ・・・(3)
V3=Asin(θ+3π/2)+B ・・・(4)
但し、A:反射率,B:オフセット成分,θ:高さを導出するための位置情報。
【0053】
そして、これらの式(1)乃至(4)により、下記式(5)が導出される。
【0054】
θ=ARCTAN{(V0-V2)/(V1-V3)} ・・・(5)
上記一般式より、各波長毎(色調毎)の光の強度(輝度)R0(又はG0若しくはB0)、R1(又はG1若しくはB1)、R2(又はG2若しくはB2)、R3(又はG3若しくはB3)は下式で与えられることとなる。
【0055】
R0(又はG0若しくはB0)=Asinθ+B …(1R,1G,1B)
R1(又はG1若しくはB1)=Asin(θ+π/2)+B …(2R,2G,2B)
R2(又はG2若しくはB2)=Asin(θ+π)+B …(3R,3G,3B)
R3(又はG3若しくはB3)=Asin(θ+3π/2)+B…(4R,4G,4B)
さて、上記各画像メモリ(R,G,B)33〜36に記憶された画像データ(光の強度R0〜R3、G0〜G3、B0〜B3)は、一旦コントラスト計算部45の方へと送信される。そして、続くステップS102においては、送信された画像データに基づいて、コントラスト計算部45がR,G,Bのコントラスト計算を実行する。但し、本実施の形態において、「コントラスト」とあるのは、前記変化させられた位相に対する光強度の差のことをいう。ここでは、便宜上、上記式(5)における各波長域毎の分母の絶対値と分子の絶対値との和をいうものとする。
【0056】
従って、赤色の波長成分のコントラストRcon、緑色の波長成分のコントラストGcon、青色の波長成分のコントラストBconは、それぞれ下式(6R,6G,6B)で表される。
【0057】
Rcon=|R0-R2|+|R1-R3| ・・・(6R)
Gcon=|G0-G2|+|G1-G3| ・・・(6G)
Bcon=|B0-B2|+|B1-B3| ・・・(6B)
そして、制御装置7(コントラスト計算部45)は、ステップS103において、各色成分のコントラストRcon,Gcon,Bconのうち、最大となるものを決定し、当該最大となった色の波長域でのデータを、位置情報θを算出するための最適データとして採択する。この場合、例えば、赤色成分のコントラストRconが最大であった場合には、赤色成分の光強度データを算出用に採択するべく、コントラスト計算部45は、第1〜第4のデータ入力スイッチング素子55〜58を、全て赤色成分の第1〜第4画像メモリ(R)33〜36に対し接続状態とする。これにより、赤色成分の第1〜第4画像メモリ(R)33〜36に記憶されていた画像データ(光強度R0〜R3)が位置情報計算部46の方へと送信されることとなる。
【0058】
そして、次のステップS104では、位置情報計算部46において、位置情報θの計算が上記式(5)に準じて実行される。例えば、採択されたデータが赤色成分のものである場合には、下記式(5R)に基づいて位置情報θが算出される。
【0059】
θ=ARCTAN{(R0-R2)/(R1-R3)} ・・・(5R)
その後、ステップS105においては、上記のように演算された位置情報θを用いて、下記式に基づいてプリント基板K(クリームハンダ)上の点Pの高さZを求める。
【0060】
ここで、照明装置3の鉛直線と、照明装置3から点Pに向けて照射したときの照射光線とのなす角をεとすると、当該角εは、下式(7)により表される。
【0061】
ε=f(θ+2nπ) ・・(7)
そして、高さZは、下記式(8)に従って導き出される。
【0062】
Z=Lp−Lpc/tanε+Xp/tanε ・・(8)
(但し、Lp:照明装置3の基準面からの高さ、Lpc:CCDカメラ4と照明装置3とのX軸方向の距離、Xp:点PのX座標。)
このようにして得られた点Pの高さデータは、撮像画面の画素単位に演算され、制御装置7の高さデータ格納メモリ59に格納される。また、次のステップS106においては、予め定められた全ての規定画素についての高さの演算を行ったか否かを判定する。そして、否定判定された場合には処理をステップS102に移し、肯定判定された場合にはその後の処理を一旦終了する。
【0063】
なお、判定手段60では、各画素毎のデータに基づいて、基準面より高くなったクリームハンダの印刷範囲が検出され、この範囲内での各部の高さが積分されることで、印刷されたクリームハンダの量が算出される。そして、このようにして求めたクリームハンダの位置、面積、高さ又は量等のデータが予め記憶されている基準データと比較判定され、この比較結果が許容範囲内にあるか否かによって、その検査エリアにおけるクリームハンダの印刷状態の良否が判定されるのである。
【0064】
以上詳述したように、本実施の形態によれば、各色成分のコントラストRcon,Gcon,Bconのうち、最大となるものが決定され、当該最大となった色(波長域)でのデータが、位置情報θを算出するための最適データとして採択される。ここで、計測対象物(クリームハンダ)の相違(種類、形状等の相違)、或いは対象物(クリームハンダ)の測定部位の相違によって、その表面の色調等が相違する場合があり、かかる色調等の相違によって、反射光が影響を受けることが起こりうる。これに対し、本実施の形態では、そのときどきによって、赤、緑、青の複数の波長成分のうち、最適な波長成分に対応した画像データに基づき高さが演算される。このため、色調等の影響を最小限に抑えることができ、結果として演算される高さに関して、計測精度の飛躍的な向上を図ることができる。従って、良否判定の正確性を高めることができる。
【0065】
尚、上述した実施の形態の記載内容に限定されることなく、例えば次のように実施してもよい。
【0066】
(a)上記実施の形態における光成分パターンは、正弦波状の光強度分布を有するものであったが、縞状のものであれば、例えば鋸歯状、或いは、矩形波状の光強度分布を有する光パターンであってもよい。
【0067】
(b)上記実施の形態では特に言及してはいないが、プリント基板Kにクリームハンダを印刷形成する工程と、上記実施の形態における印刷状態検査装置1を用いて良否判定を行う検査工程と、前記検査工程において良品判定されたものについてのみ実装を行うべくリフローを施すリフロー工程とを備えた基板の製造方法に具現化することも可能である。該製造方法によれば、検査に要する時間の短縮を図ることができることから、全体的な製造時間の低減を図ることができ、しかも不良品の発生を抑制することができる。
【0068】
(c)上記実施の形態では、π/2ずつ位相をシフトさせた場合を中心に説明しているが、これ以外にも、シフトさせる位相の量αとして、例えばα=(2/3)π、α=(1/3)π、α=(1/4)π、α=(1/8)π、α=(1/16)πのうち任意のシフト量を採用することができる。
【0069】
(d)上記実施の形態ではプリント基板Kに印刷形成されたクリームハンダの高さ等を計測する場合に具体化したが、他にもICパッケージ(例えばリード)に印刷形成されたクリームハンダの高さ等を計測する場合にも具体化できる。さらに、他の計測対象物の高さ等を計測する場合に具体化してもよい。他の計測対象物としては、基板上に印刷された印刷物、積層体等が挙げられる。
【0070】
(e)上記実施の形態における波長成分として赤、緑、青を代表例として挙げたが、必ずしもこれらに限定されるものではない。なお、互いに異なる波長成分の例としては、上記例の外にも、赤色及び緑色、赤色及び青色、赤色及び赤外線、緑色及び青色、緑色及び赤外線、青色及び赤外線、赤色、緑色及び赤外線、赤色、青色及び赤外線、緑色、青色及び赤外線、又は、赤色、青色、緑色及び赤外線の波長成分等が挙げられる。また、必ずしも厳密に赤、緑、青、赤外線等に区別する必要はない。要するに、波長域が異なっていればよいという趣旨であって、黄色(RG)、シアン(青緑)色等の中間色を有する光成分パターンであってもよい。
【0071】
(f)上記実施の形態では、照明装置3の内部に位相変化機構11を設け、これにより光パターンをシフトさせることができる構成となっていたが、照明装置3とは別体で位相をシフトさせることができる装置を設けることとしてもよい。また、プリント基板K(ひいてはクリームハンダ)を照明装置3やCCDカメラ4に対し相対移動させることにより、位相を変化させることとしてもよい。逆に、プリント基板Kを固定しておいて、照明装置3及びCCDカメラ4を相対移動させることとしてもよい。
【0072】
(g)上記実施の形態では、位相を4段階シフトさせて、4つの位相の異なる画像データを得、上記式(5)に従って位置情報θを算出することとした。これに対し、位相を3段階シフトさせて、3つの位相の異なる画像データを得て、位置情報を算出することとしてもよい。なお、この場合、0,π/2、πといった具合にπ/2ずつ位相をずらした場合の光強度がそれぞれV0,V1,V2であった場合を代表例として説明すると、上記式(5)に代えて、下記式(5’)が一般式として導出される。
【0073】
θ=ARCTAN[(2V0-V1-V2)/(V1-V2)] ・・・(5’)
そして、この場合には、最適な波長域が選択された上で、上記式(5’)に基づいて位置情報θが算出されることとなる。
【0074】
(h)上記実施の形態では、撮像手段としてCCDカメラ4を用いることとしたが、他の撮像手段(例えばCMOSセンサを有する撮像手段)を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態における三次元計測装置を具備する印刷状態検査装置を模式的に示す概略斜視図である。
【図2】制御装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【図3】制御装置によって実行される「高さ演算ルーチン」を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…三次元計測装置を具備する印刷状態検査装置、2…テーブル、3…照射手段を構成する照明装置、4…撮像手段としてのCCDカメラ、7…制御装置、11…位相変化手段を構成する位相変化機構、31…セレクタ、32…画像メモリ、45…採択手段を構成するコントラスト計算部、46…位置情報計算部、47…高さ計算部、48…演算手段、59…高さデータ格納メモリ、60…判定手段、K…プリント基板。
Claims (9)
- 計測対象物に対し、互いに異なる複数の波長成分を含み、かつ、縞状の光強度分布を有する光パターンを照射する照射手段と、
前記計測対象物と、前記光パターンとの相対位相関係を変化させる位相変化手段と、
前記位相変化手段により変化させられた複数通りの相対位相関係下において、前記光パターンの照射された計測対象物からの反射光を各波長成分毎に分離して撮像し、各波長成分に対応した、複数通りの相対位相関係下における画像データを取得可能な撮像手段と、
前記撮像手段にて取得された複数通りの画像データに基づき、変化させられる相対位相に対する輝度の差が最も大きくなる波長成分を最適な波長成分として各画素毎に採択する採択手段と、
前記最適な波長成分に対応した、複数通りの相対位相関係下における画像データに基づき、位相シフト法により前記計測対象物の高さを演算する演算手段と
を備えたことを特徴とする三次元計測装置。 - 前記位相変化手段は、前記照射手段により前記計測対象物に対し照射される光パターンの相対位相を変化させるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の三次元計測装置。
- 前記位相変化手段は、前記計測対象物を、前記照射手段及び撮像手段に対し相対移動させることにより相対位相を変化させるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の三次元計測装置。
- 前記位相変化手段は、前記照射手段及び撮像手段を、前記計測対象物に対し相対移動させることにより相対位相を変化させるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の三次元計測装置。
- 前記照射手段は、白色光を照射することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の三次元計測装置。
- 前記照射手段は、
互いに異なる波長成分の少なくとも2つの光成分パターンからなる光パターンを同時に照射可能であり、かつ、
前記各光成分パターンの縞の周期は互いに等しいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の三次元計測装置。 - 前記互いに異なる波長成分は、赤色及び緑色、赤色及び青色、赤色及び赤外線、緑色及び青色、緑色及び赤外線、青色及び赤外線、赤色、緑色及び青色、赤色、緑色及び赤外線、赤色、青色及び赤外線、緑色、青色及び赤外線、又は、赤色、青色、緑色及び赤外線の波長成分であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の三次元計測装置。
- 縞状の光強度分布を有する光パターンの複数通りの相対位相関係は、少なくとも3通りであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の三次元計測装置。
- 前記縞状は、略正弦波状であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の三次元計測装置。
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