JP4254742B2 - 電気音響変換器 - Google Patents

電気音響変換器 Download PDF

Info

Publication number
JP4254742B2
JP4254742B2 JP2005133203A JP2005133203A JP4254742B2 JP 4254742 B2 JP4254742 B2 JP 4254742B2 JP 2005133203 A JP2005133203 A JP 2005133203A JP 2005133203 A JP2005133203 A JP 2005133203A JP 4254742 B2 JP4254742 B2 JP 4254742B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diaphragm
polygonal
electroacoustic transducer
speaker
diaphragms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005133203A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006311349A (ja
Inventor
和幸 稲垣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Victor Company of Japan Ltd filed Critical Victor Company of Japan Ltd
Priority to JP2005133203A priority Critical patent/JP4254742B2/ja
Publication of JP2006311349A publication Critical patent/JP2006311349A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4254742B2 publication Critical patent/JP4254742B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Details Of Audible-Bandwidth Transducers (AREA)
  • Obtaining Desirable Characteristics In Audible-Bandwidth Transducers (AREA)

Description

本発明は、多角形の振動板を複数個結合して略球殻状に多面状多角形振動板を形成し、この多面状多角形振動板の内部に各振動板と対向して各スピーカ駆動ユニットを複数配置すると共に、各スピーカ駆動ユニットの各ボビンの一端部を各振動板の内面の中心部位に接着して電気音響変換器を構成した際に、板材を用いて振動板の多角形と同じ角数に形成した多角形面を複数結合して多面状多角形振動板の外面と略相似の外面形状を有して内部が中空状に組み立てられた多面状フレーム組立体の各多角形面、又は、複数の振動板の内面の中心部位にその振動板と略直交するようにそれぞれ対向して放射状に配置された複数本のシャフトの各一端部を結合して組み立てられた放射状シャフト組立体の各シャフトの他端部に、各スピーカ駆動ユニットを各振動板の内面の中心部位に向かって取り付けて、この多面状フレーム組立体又は放射状シャフト組立体を多面状多角形振動板の内部に収納して構成した電気音響変換器に関するものである。
音声信号を拡声するための電気音響変換器(スピーカ)は、各種の構造形態があるものの、この種の電気音響変換器の一例として呼吸球に近い状態で振動する再生音を人の聴覚に与える点音源・無指向性・スピーカシステムがある(例えば、特許文献1参照)。
尚、上記した呼吸球とは、無指向性スピーカの理想とされる発音体であり、例えば、風船がふくらんだり、しぼんだりして振動する運動と同じく、あらゆる方向に略同じ音圧を発生して完全無指向性が得られるもので、あたかも球が呼吸しているのに似ていることから呼吸球と名づけられたものである。
特開平9−70092号公報。
図20は従来の点音源・無指向性・スピーカシステムの一例を示した斜視図、
図21は従来の点音源・無指向性・スピーカシステムの一例を示したブロック図、
図22従来の点音源・無指向性・スピーカシステムに使用したスピーカユニットにおける周波数レスポンスのピークとディップの例を摸式的に示した特性図である。
図20及び図21に示した従来の点音源・無指向性・スピーカシステム100は、上記した特許文献1(特開平9−70092号公報)に開示されているものであり、ここでは特許文献1を参照して簡略に説明する。
図20に示した如く、従来の点音源・無指向性・スピーカシステム100では、剛性を持った中空球面状のエンクロージャ101が、その外周面上に五角形で形成される12個の第1面101aと、六角形で形成される20個の第2面101bとで合計32面からなる多面体に形成されている。尚、上記したエンクロージャ101は、スピーカキャビネット、或いは、スピーカボックスに相当するものである。
この際、エンクロージャ101の各第1面101a及び各第2面101bにフルレンジのスピーカユニット102をそれぞれ取り付けている例が図20に示した如く開示されている。
また、上記の例とは異なって、図21に示したように、エンクロージャ101の各第1面101aに低音域用のスピーカユニット103をそれぞれ取り付け、且つ、各第2面101bに高音域用のスピーカユニット104をそれぞれ取り付ける例も開示されている。
更に、図21中において、110はデジタル入力信号、111はデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、112はDSP111に付設した操作パネル、113はD/Aコンバータ、114はアナログ・アッテネータ、115はパワーアンプであり、デジタル入力信号110はDSP111,D/Aコンバータ113,アナログ・アッテネータ114,パワーアンプ115を順に通って各スピーカユニット102又は各スピーカユニット103,104に供給されている。
ここで、エンクロージャ101の32面からなる多面体に、フルレンジのスピーカユニット102、又は、低音域用のスピーカユニット103及び高音域用のスピーカユニット104をそれぞれ配置したスピーカ体は、これをそのまま駆動した場合に、図22に摸式的に示したように、周波数レスポンスにピークPとディップDが生じるために、前記の各スピーカユニット102又は各スピーカユニット103,104の駆動信号に対して図21中に示したDSP111によりディップDへの逆特性のフィルタリングを行い、この後、D/Aコンバータ113によりデシタル信号をアナログ信号に変換して、アナログ・アッテネータ114,パワーアンプ115を順に介して各スピーカユニット102又は各スピーカユニット103,104に供給されている旨が開示されている。
ところで、上記した従来の点音源・無指向性・スピーカシステム100では、前述したように、エンクロージャ101の32面からなる多面体に、フルレンジのスピーカユニット102、又は、低音域用のスピーカユニット103及び高音域用のスピーカユニット104をそれぞれ配置しているものの、前記の各スピーカユニット102又は各スピーカユニット103,104に一体的に取り付けられた各自固有の振動板(図示せず)をそれぞれ振動させて各再生音を得ていることは明らかである。
この場合に、隣り合うスピーカユニット間には振動板が介在せずに、剛性を持ったエンクロージャ101の一部が介在しているために、前記の各スピーカユニット102又は各スピーカユニット103,104からの各再生音を合成した合成再生音は良好な点音源として得られない場合が起こり得る。
また、図22を用いて前述したように、前記の各スピーカユニット102又は各スピーカユニット103,104により得られる各再生音の周波数レスポンスにおいて生じるディップDに対してDSP111により逆補正しているものの、このディップDそのものの発生をスピーカユニットの構造形態により極力低減できれば、DSP111による逆補正も低減できることは明らかである。
そこで、呼吸球として無指向性を持った良好な点音源が得られ、且つ、複数のスピーカにより得られる各再生音の周波数レスポンスにおいて生じるディップも低減できる電気音響変換器が望まれている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、請求項1記載の発明は、多角形の振動板を複数個結合して略球殻状に形成して成る多面状多角形振動板と、
前記多面状多角形振動板の内部に、前記振動板のそれぞれと対向して配置された複数のスピーカ駆動ユニットと、を備え、
各前記振動板の内面の中心部位に各前記スピーカ駆動ユニットのボビンの一端部が接着されて成る電気音響変換器であって、
板材を用いて前記多角形と同じ角数に形成した多角形面を複数結合して前記多面状多角形振動板の外面と略相似の外面形状を有して内部が中空状に組み立てられ、且つ、各前記多角形面に各前記スピーカ駆動ユニットが各前記振動板の内面の中心部位に向かって取り付けられた状態で前記多面状多角形振動板内に収納される多面状フレーム組立体を備えたことを特徴とする電気音響変換器である。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の電気音響変換器において、
前記多面状フレーム組立体は、この外部とこの内部との間で空気を流通させるための空気流通用孔を有することを特徴とする電気音響変換器である。
更に、請求項3記載の発明は、多角形の振動板を複数個結合して略球殻状に形成して成る多面状多角形振動板と、
前記多面状多角形振動板の内部に、前記振動板のそれぞれと対向して配置された複数のスピーカ駆動ユニットと、を備え、
各前記振動板の内面の中心部位に各前記スピーカ駆動ユニットのボビンの一端部が接着されて成る電気音響変換器であって、
複数の前記振動板の内面の中心部位にその振動板と略直交するようにそれぞれ対向して放射状に配置された複数本のシャフトの各一端部を結合して組み立てられ、且つ、複数本の前記シャフトの各他端部に各前記スピーカ駆動ユニットが各前記振動板の内面の中心部位に向かって取り付けられた状態で前記多面状多角形振動板内に収納される放射状シャフト組立体を備えたことを特徴とする電気音響変換器である。
請求項1記載の電気音響変換器によれば、多角形の振動板を複数個結合して略球殻状に多面状多角形振動板を形成し、この多面状多角形振動板の内部に各振動板と対向して各スピーカ駆動ユニットを複数配置すると共に、各スピーカ駆動ユニットの各ボビンの一端部を各振動板の内面の中心部位に接着して電気音響変換器を構成した際に、板材を用いて振動板の多角形と同じ角数に形成した多角形面を複数結合して多面状多角形振動板の外面と略相似の外面形状を有して内部が中空状に組み立てられた多面状フレーム組立体の各多角形面に各スピーカ駆動ユニットを各振動板の内面の中心部位に向かって取り付けて、この多面状フレーム組立体を多面状多角形振動板の内部に収納したため、多面状多角形振動板により呼吸球として無指向性を持った良好な点音源が得られ、且つ、各振動板の振動により得られる各再生音の周波数レスポンスにおいて生じるディップも低減できる。更に、複数のスピーカ駆動ユニットを支持するための多面状フレーム組立体が板材を用いて内部を中空状に形成されているために、電気音響変換器の軽量化を図ることができる。
また、請求項2記載の電気音響変換器によれば、多面状フレーム組立体は、この外部とこの内部との間で空気を流通させるための空気流通用孔を有しているので、この空気流通用孔を通して多面状振動板と多面状フレーム組立体との間の空気が多面状フレーム組立体内に流れ込むことができ、この多面状フレーム組立体内での空気容量の増加に伴ってより低い周波数側に低域の共振周波数foがシフトするために特に低音域において良好な音響特性が得られる。
更に、請求項3記載の電気音響変換器によれば、多角形の振動板を複数個結合して略球殻状に多面状多角形振動板を形成し、この多面状多角形振動板の内部に各振動板と対向して各スピーカ駆動ユニットを複数配置すると共に、各スピーカ駆動ユニットの各ボビンの一端部を各振動板の内面の中心部位に接着して電気音響変換器を構成した際に、複数の振動板の内面の中心部位にその振動板と略直交するようにそれぞれ対向して放射状に配置された複数本のシャフトの各一端部を結合して組み立てられた放射状シャフト組立体の各シャフトの他端部に各スピーカ駆動ユニットを各振動板の内面の中心部位に向かって取り付けて、この放射状シャフト組立体を多面状多角形振動板の内部に収納したため、請求項1記載と同様に、多面状多角形振動板により呼吸球として無指向性を持った良好な点音源が得られ、且つ、各振動板の振動により得られる各再生音の周波数レスポンスにおいて生じるディップも低減できる。
以下に本発明に係る電気音響変換器の一実施例について図1〜図19を参照して実施例1,実施例2の順に詳細に説明する。
本発明に係る電気音響変換器では、多角形の振動板を複数個結合して略球殻状に多面状多角形振動板を形成し、この多面状多角形振動板の内部に各振動板と対向して各スピーカ駆動ユニットを3次元的に放射状に複数配置したものである。
この際、後述する実施例1,2では、一つの多面状多角形振動板を作製する際に、多角形の振動板を複数個に亘って平面的に展開し、この後、複数個の振動板を略球殻状に結合する方法を採用したものであり、複数個の振動板と対向して配置した複数のスピーカ駆動ユニットは振動板なしの状態でユニット化されているものである。
一方、後述する実施例1,2をそれぞれ一部変形させた各変形例では、一つの多面状多角形振動板を作製する際に、一個づつ予め切り離された多角形の振動板を一つのスピーカ駆動ユニットに取り付けて振動板付きスピーカニットを構成し、この後、複数の振動板付きスピーカユニットを3次元的に放射状に組み立てる時に、複数の振動板を略球殻状に結合する方法を採用したものである。
尚、以下の実施例1,2及び実施例1,2をそれぞれ一部変形させた各変形例では、多角形の振動板として正五角形に形成した一例を示し、この正五角形の振動板を複数個(例えば11個)結合して略球殻状に形成した時に、一つの多面状多角形振動板は11面を有して形成される場合について説明するが、多角形の振動板の角数は上記した五角形に限られるものでもなく、適宜な角数の振動板により適宜な面数による多面状多角形振動板を得ることも可能である。
更に、以下の実施例1及び実施例1を一部変形させた変形例では、多角形面を複数結合して多面状多角形振動板の外面と略相似に形成された状態で多面状多角形振動板内に収納される多面状フレーム組立体も板材を用いて形成した正五角形面を複数結合した例で説明するが、多面状フレーム組立体の各多角形面は振動板の多角形と同じ角数であれば良く、また、多面状フレーム組立体の各多角形面による面数は多面状多角形振動板の面数と同じであれば良い。
図1は本発明に係る実施例1の電気音響変換器の外観形状を正面側から見た斜視図、
図2は本発明に係る実施例1の電気音響変換器の外観形状を底面側から見た斜視図、
図3は本発明に係る実施例1の電気音響変換器の概略構成を摸式的に示した斜視図である。
図1及び図2示した如く、本発明に係る実施例1の電気音響変換器10Aは、一つの多面状多角形振動板11を用いることで呼吸球に近い無指向性の点音源が得られるように構成されている。
即ち、この実施例1では、樹脂シート材などを用いて正五角形に形成した振動板12を11個結合して内部を覆うよう略球殻状に一つの多面状多角形振動板(以下、多面状五角形振動板と記す)11を形成し、且つ、この多面状五角形振動板11の底面となる部位に剛性を持った正五角形の台座13を結合して合計12面からなる外側多面体(12面体)を得ている。
この際、隣り合う正五角形の振動板12同士を結合すると共に、底面となる正五角形の台座13を隣り合う正五角形の振動板12に結合する時には、結合が必要な正五角形の各辺にゴム材などを用いた可撓性を有するエッジ部材14を取り付けて結合している。
また、図2に示したように、正五角形の台座13の中心部位には貫通孔13aが穿設されており、この貫通孔13a内に配線用兼支持用のパイプ部材15の一端側が進入しており、台座13の貫通孔13aとパイプ部材15の一端側の外周面との間に接着剤を充填することで、正五角形の台座13がパイプ部材15の一端側に支持されると共に、合計12面からなる外側多面体中で11面からなる多面状五角形振動板11は正五角形の台座13の各辺に各エッジ部材14を介して支持されることになる。
また、図3に示した如く、略球殻状に11面を有して形成された一つの多面状五角形振動板11の内部には、11個設けられた振動板12の内面の中心部位に向かってスピーカ駆動ユニット20Aが3次元的に放射状に11個配置されている。
そして、11個のスピーカ駆動ユニット20Aは、多面状五角形振動板11の外面と略相似に形成された多面状フレーム組立体31の各多角形面31aに取り付けられている。この際、後述するように、スピーカ取付用となる多面状フレーム組立体31は、非磁性を有する板材を用いて振動板12の多角形と同じ角数で形成した多角形面(以下、正五角形面と記す)31aを複数結合し且つ内部を中空状に形成して合計12面の内側多面体(12面体)として得ている。
これにより、11個の振動板12と台座13とによる12面の外側多面体の内側に、11個のスピーカ駆動ユニット20Aをそれぞれ取り付けた多面状フレーム組立体31の11個の正五角形面31aと底面用の一つの正五角形面(31a)とによる合計12面の内側多面体が上記した外側多面体に対して略相似の状態で収納されることになる。
この際、図2に示した台座13の貫通孔13a内に進入した配線用兼支持用のパイプ部材15の一端は、多面状フレーム組立体31の底面となる一つの正五角形面(31a)に固着されて、11個のスピーカ駆動ユニット20Aの配線用ワイヤがパイプ部材15内に挿通されている。
ここで、本発明に係る実施例1の電気音響変換器10Aの構造について図4〜図7を用いて詳述する。
図4は本発明に係る実施例1の電気音響変換器において、一つの多面状五角形振動板を平面的に展開して示した平面図、
図5は図4に示した一つの多面状五角形振動板の一部を構成する正五角形の振動板を拡大して示した斜視図、
図6は本発明に係る実施例1の電気音響変換器において、隣り合うスピーカ駆動ユニットを組み立てた状態を拡大して示した縦断面図、
図7は図6に示した多面状フレーム組立体を示した斜視図である。
まず、図4に示した如く、本発明に係る実施例1の電気音響変換器10Aに用いられる一つの多面状五角形振動板11は、樹脂シート材などを用いて正五角形に形成した振動板12を11個に亘って平面的に展開した状態で予め形成されている。ここでは、一つの多面状五角形振動板11に用いられる樹脂シート材の一例として、振動特性が良好な発泡ポリプロピレンシート材が適用されている。
また、一つの多面状五角形振動板11中で図示中央部に位置する正五角形の振動板12を天面用として用いた時に、この天面用の振動板12の各辺(5辺)に上側面用の振動板12がそれぞれ連接して合計5個形成され、且つ、合計5個の上側面用の振動板12に下側面用の振動板12がそれぞれ連接して合計5個形成されている。この際、振動板12同士が接続している部位はエッジ部が予め形成されているものの、振動板12同士が切り離されている部位は、略球殻状に結合する際に図1及び図2に示したエッジ部材14を用いて結合されている。
ここで、一つの多面状五角形振動板11(図1〜図4)の一部を構成する正五角形の振動板12を図5に拡大して示すと、正五角形の振動板12はこの中心軸Oを中心にして凹球面状の凹球面部12aが上方に向かって僅かな高さで突出形成され、この凹球面部12aを囲むように凸状リング部12bが同心でリング状に突出形成されており、この凸状リング部12bの内周面に沿って後述するスピーカ駆動ユニット20Aのボビン24(図6)の一端部が接着されるようになっているので、正五角形の振動板12の中心軸Oはスピーカ駆動ユニット20Aのボビン24の中心軸O(図6)と同心である。
尚、実施例1では、正五角形の振動板12の中心部位に凹球面部12aが形成されているが、この凹球面部12aに代えて平坦な円面部又は僅かに凸状に突出した凸球面部であっても良い。
更に、振動板12の凸状リング部12bの外周に連接して傾斜面部12cが振動板12の中心軸Oに対して偏心量Hだけ偏って中心軸OHを中心になだらかな傾斜で外周側の平坦面部12eに向かって錐状に形成されている。そして、振動板12の傾斜面部12cと平坦面部12eとが交わる境界部位に上記した中心軸OHを中心にして凸状リング部12bに対して偏心量Hだけ偏った大径円12dの軌跡が得られている。これを言い換えると、振動板12上で偏心した大径円12dの外周から振動板12の中心部位に設けた凸状リング部12bに向かって傾斜面部12cが形成されていることになる。
ここで、振動板12の傾斜面部12cの傾斜形状を分かりやすく図示するために仮想線で図示しており、図示右側の仮想線の長さは短く傾斜が急であるが、図示左側の仮想線の長さは長く傾斜がゆるくなっている。尚、傾斜部12の外周側の大径円12dは真円に限定されず、楕円であっても良い。
この際、振動板12上で得られる傾斜面部12c及び大径円12dの偏心量Hは無しでも良いけれど、この偏心量Hと大径円12dの径は正五角形の振動板12の外形サイズに応じて決めれば良いものであり、後述するように偏心量Hが大きくなれば音響特性が良好に得られる。
また、正五角形に形成された振動板12上で得られる傾斜面部12c及び大径円12dの偏心方向は、振動板12が1個だけの場合について言えば、正五角形の一つの頂角側に偏心させれば音響特性が良好となる。
更に、正五角形に形成された振動板12上で得られる傾斜面部12c及び大径円12dの偏心方向は、振動板12を略球殻状に11個結合した場合について言えば、先に図4で示した天面用の振動板12に対しては適宜な方向でかまわないものの、5個の上側面用の振動板12に対しては5個の下側面用の振動板12に向かう方向に偏心させる一方、5個の下側面用の振動板12に対しては5個の上側面用の振動板12に向かう方向に偏心させることで、上側面用の振動板12の傾斜面部12c及び大径円12dと下側面用の振動板12の傾斜面部12c及び大径円12dとが上下対称に偏心されているために、各振動板12により得られる各再生音の周波数レスポンスにおいて生じるディップD(図10)の発生が減少され、より良好な音響特性が得られる。
次に、図6に拡大して示した如く、一つの振動板12と対向してこの振動板12を振動させるためのスピーカ駆動ユニット20Aは、中心軸Oを中心にして下記する各構成部材が同心的に組み立てられている。この際、先に説明した振動板12はスピーカ駆動ユニット20Aを組み立てた後に振動板12の内面の中心部位に下記するボビン24の一端部24aが接着されるので、前述したように実施例1で用いられるスピーカ駆動ユニット20Aは振動板なしの状態でユニット化されたものである。
上記したスピーカ駆動ユニット20Aの各構成部材は、軟磁性材を用いて内部を円形凹状に肉抜きした円形凹部21aと、この円形凹部21aの外壁となるリング状外壁部21bとを同心的に形成したヨーク21と、
ヨーク21の円形凹部21a内に中心軸Oを中心にして接着剤などを用いて同心的に固着され且つ円形凹部21a内で外周面22aとの間にリング状隙間Sを持って配置される円筒状のマグネット22と、
円筒状のマグネット22上に中心軸Oを中心にして接着剤などを用いて同心的に固着され且つマグネット22の外周面22aの径と略同径の外周面23aが形成された円筒状のポールピース23と、
非磁性を有する樹脂材を用いて長尺で円環状に形成され且つスピーカ駆動ユニット20Aを組み立てた後に一端部24aが振動板12の中心軸Oを中心にして形成した凸状リング部12bの内周面に沿って接着剤を用いて接着されると共に他端部24b側の内周面24c内にポールピース23の外周面23aがごく僅かな隙間を隔てて摺動可能に嵌合されるボビン24と、
ボビン24の他端部24b側の外周面24dに接着剤を用いて固着され且つ円形凹部21a内のリング状隙間Sに挿入されてポールピース23の外周面23aとヨーク21のリング状外壁部21bとに対向しながら磁気回路による駆動電流を発生させるリング状のボイスコイル25と、
非磁性を有する樹脂材を用いて外周側面部26aが円筒状に形成され且つ中心軸Oを中心にして内部下方部位に肉抜きして形成した下方円形凹部26b内にヨーク21のリング状外壁部21bが接着剤を用いて固着され且つ下方円形凹部26bの上方にボビン24が進入する貫通孔26c及び上方円形凹部26dが同心的に形成されたスピーカハウジング26と、
ポリイミドなどを用いて薄い厚みでリング状に形成され且つ内周部がボビン24の軸方向の中間部位に位置する外周面24dに接着剤を用いて固着されると共に外周部がスピーカハウジング26の上方に形成した上方円形凹部26dの外周面上に接着剤を用いて固着されて中心軸方向に揺動自在な第1のサスペンション27と、
樹脂材を用いて所定の厚みを持ってリング状に形成され且つスピーカハウジング26の上面26e上に接着剤を用いて固着されるリング状スペーサ28と、
上記した第1のサスペンション27と同様に形成されてこの第1のサスペンション27よりも上方に位置して内周部がボビン24の外周面24dに接着剤を用いて固着されると共に外周部が所定の厚みを持ったリング状スペーサ28上に接着剤を用いて固着されて中心軸方向に揺動自在な第2のサスペンション29と、
から構成されている。
尚、この実施例1では、ボイスコイル25の引き出し線25aをスピーカハウジング26の外周側面部26a側から外部に引き出している。
上記のように各構成部材により構成された一つのスピーカ駆動ユニット20Aにおいて、ヨーク21と、マグネット22と、ポールピース23とでボビン24の外周面24dに固着したボイスコイル25への磁気回路を形成し、外部からボイスコイル25に駆動電流を供給すると、上記した磁気回路によりボビン24が第1,第2のサスペンション27,29に揺動自在に支持されながら中心軸方向に上下動するので、このボビン24の一端部24aに接着された振動板12が振動して再生音を得るものである。そして、合計で11個のスピーカ駆動ユニット20Aを駆動すると、多面状五角形振動板11を構成する11個の振動板12が振動して合成再生音が得られるようになっている。
従って、スピーカハウジング26内に取り付けられる磁気回路構成部材は、ヨーク21と、マグネット22と、ポールピース23とで構成されている。
ここで、一つの多面状五角形振動板11(図1〜図3)内に11個のスピーカ駆動ユニット20Aを放射状に支持する場合に、スピーカ取付用の多面状フレーム組立体31について図7を用いて説明する。
図7に示した如く、上記したスピーカ取付用の多面状フレーム組立体31は、実施例1の要部を構成する部材であり、アルミ板,真鍮板,樹脂板などの非磁性を有する板材を用いて正五角形の振動板12と同じ角数に形成された正五角形面31aを12面に亘って折り曲げと溶接又は接着などにより結合することにより、外面となる各正五角形面31aが多面状五角形振動板11(図1〜図3)の外面と略相似な外面形状を有して内部が中空状に形成されている。
この際、多面状フレーム組立体31に形成した各正五角形面31aの中心部位には、各スピーカ駆動ユニット20Aの一部を構成する各ヨーク21を位置決めして固着させるための位置決め用孔31a1がそれぞれ貫通して穿設されている。
そして、図6に示したように、多面状フレーム組立体31の各正五角形面31aに貫通して穿設した各位置決め用孔31a1内に各ヨーク21の底面部21cを挿入すると共に、各位置決め用孔31a1の外周近辺に接着剤を充填して各スピーカハウジング26の底面26fを各正五角形面31a上に接着することで、各正五角形面31aに各スピーカ駆動ユニット20Aが多面状五角形振動板11の各振動板12の内面の中心部位に向かって取り付けられるようになっている。
また、図6及び図7に示した如く、多面状フレーム組立体31中で各正五角形面31aが結合した各頂点部位には、空気流通用孔31a2がそれぞれ貫通して穿設されており、これらの各空気流通用孔31a2を通して多面状振動板11と多面状フレーム組立体31との間の空気が多面状フレーム組立体31内に流れ込むことができるので、多面状フレーム組立体31内での空気容量の増加に伴ってより低い周波数側に低域の共振周波数foがシフトするために特に低音域において良好な音響特性が得られる。
尚、この実施例1では、多面状フレーム組立体31に形成した各空気流通用孔31a2は、多面状フレーム組立体31の各頂角部位に形成した例を提示したが、これに限ることなく、空気流通用孔を多面状フレーム組立体31の適宜な位置に少なくとも一つ以上形成しておけば良いものである。
そして、実施例1の電気音響変換器10Aを実際に組み立てる場合には、図6及び図7に示したように、一つのスピーカハウジング26をベースにして、このスピーカハウジング26の外周側面部26aの内側に、スピーカ駆動ユニット20Aを構成する各構成部材としてヨーク21と、マグネット22と、ボールピース23と、ボイスコイル25を固着させたボビン24と、第1のサスペンション27と、スペーサ28と、第2のサスペンション29とを上記順で組み立ててスピーカ駆動ユニット20Aを得た後、11個のスピーカ駆動ユニット20Aを多面状フレーム組立体31の外面を形成する11個の正五角形面31aにそれぞれ取り付けると共に、多面状フレーム組立体31の底面となる一つの正五角形面(31a)に配線用兼支持用のパイプ部材15を固着させている。
この後、台座13(図2)の貫通孔13a内に多面状フレーム組立体31に固着させた配線用兼支持用のパイプ部材15(図1〜図3)を挿通し、更に、11個のスピーカ駆動ユニット20A中の各ホビン24の一端部24a(図6)に接着剤を充填し、且つ、各ホビン24の一端部24aの上方から11面の多面状五角形振動板11をかぶせて、各ホビン24の一端部24aを多面状五角形振動板11中の各振動板12の凸状リング部12b内にそれぞれ接着することで、一つの多面状五角形振動板11を主体とした12面の外側多面体内に、多面状五角形振動板11の外面と略相似に形成した多面状フレーム組立体31の各正五角形面31aに各スピーカ駆動ユニット20Aを取り付けた状態で12面の内側多面体が収納されて実施例1の電気音響変換器10Aが完成する。
この際、図6に示したように、多面状五角形振動板11中で隣り合う振動板12同士は必要に応じてエッジ部材14を用いて結合し、また、台座13(図2)と隣り合う各振動板12に対してもエッジ部材14を用いて結合している。
尚、図7中には、ホビン24を軸中心方向に揺動自在に支持する第1,第2のサスペンション27,29の形状を具体的に図示している。
上記のように作製した実施例1の電気音響変換器10Aでは、11個のスピーカ駆動ユニット20Aを支持するための多面状フレーム組立体31が非磁性を有する板材を用いて内部を中空状に形成されているために、電気音響変換器10Aの軽量化を図ることができる。
次に、上記のように作製した実施例1の電気音響変換器10Aの音響特性について図8〜図12を用いて説明する。
図8は本発明に係る実施例1の電気音響変換器において、振動板の傾斜面部及び大径円が偏心していない場合に、振動板表面の定在波分布を説明するための図、
図9は本発明に係る実施例1の電気音響変換器において、振動板の傾斜面部及び大径円が偏心している場合に、振動板表面の定在波分布を説明するための図、
図10は本発明に係る実施例1の電気音響変換器において、一つの振動板による再生音の周波数特性を示した図、
図11は本発明に係る実施例1の電気音響変換器における合成再生音の周波数特性を示した図、
図12は本発明に係る実施例1の電気音響変換器の指向特性を示した図である。
図8及び図9は、中心軸Oに対して振動板12の傾斜面部12c及び大径円12dが偏心していない場合と偏心している場合に振動解析をそれぞれ行った時の振動の様子を示しており、振動解析条件として、実際の磁気回路の磁界の強さ、実効コイル長と巻き数から得られる力を正弦振動としてボイスコイル25(図6)に加え、例えば12K(Hz)の時の各振動板12の中心軸方向の変位の分布を実線で示し、且つ、振動板A−A断面形状を二点鎖線で示している。
そして、図8に示したように振動板12の傾斜面部12c及び大径円12dが偏心していない場合に定在波は中心軸Oを中心にして明らかに対称になっているので、11個の振動板12による合成再生音では各定在波が重なり合って強調されてしまうものの、図9に示したように振動板12の傾斜面部12c及び大径円12dが偏心している場合に定在波は中心軸Oを中心にして明らかに非対称になっているので、11個の振動板12による合成再生音では振動板12上の各定在波による音波の重ね合わせによる強めあい、弱めあいが緩和されるので音響特性が良好となる。
ここで、図10に示した如く、一つの振動板12による再生音の周波数特性において、正五角形に形成した振動板12の一辺の長さを例えば34mmに設定し、且つ、振動板12の傾斜面部12c及び大径円12dの偏心量H(図5,図9)を正五角形の一つの頂角側に例えば0mm, 1.5mm, 3mmとそれぞれ可変して偏心させた場合に、偏心量Hが大きくなるにつれて150(Hz)付近に現れるピークPのレベル値が低くなると共に、8K(Hz)付近に現れるディップDの深さも偏心させることによってなだらかに小さくなるので、偏心量Hが大きい方が各振動板12により得られる各再生音の周波数レスポンスにおいて生じるディップDも低減できるので音響特性が良好となる。
そして、振動板12の傾斜面部12c及び大径円12dの偏心量H(図5,図9)を例えば3mmに設定した場合、11個の振動板12を結合した電気音響変換器10Aにおける合成再生音の周波数特性は図11に示したようになる。この場合、11個の振動板12による合成再生音のピークPGが現れる周波数は、一つの振動板12による再生音のピークP(図10)が現れる150(Hz)付近の周波数よりも一般的に高くなり500(Hz)付近になるが、実際には不図示のデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)により点線で示したように合成再生音のピークPGのレベル値が小さくなるように補正して使用している。
更に、図12に示したように、11個の振動板12を結合した電気音響変換器10Aの指向特性は、例えば2K(Hz),5K(Hz),10K(Hz)のいずれの周波数においてもそれぞれ円形な無指向性となるので、呼吸球として無指向性を持った良好な点音源が得られる。
次に、実施例1の電気音響変換器10Aを一部変形させた変形例について図13を用いて簡略に説明する。
図13は本発明に係る実施例1の電気音響変換器を一部変形させた変形例の電気音響変換器を説明するために模式的に示した斜視図である。
図13に示した如く、本発明に係る実施例1の電気音響変換器10A(図1〜図3)を一部変形させた変形例の電気音響変換器10A’では、実施例1とは異なって正五角形に形成された振動板12が一個づつ予め切り離されて11個用意されており、一つのスピーカハウジング26をベースにして実施例1と同じ構造形態でスピーカ駆動ユニットを組み立てた後に、このスピーカ駆動ユニットのボビン24の一端部に正五角形に形成された一つの振動板12を接着することで、一つの振動板付きスピーカユニット20Bを11個得ている。
この後、変形例の電気音響変換器10A’を組み立てる時に、11個の振動板付きスピーカユニット20Bを実施例1で説明した多面状フレーム組立体31の外面を形成する11個の正五角形面31aに放射状にそれぞれ取り付けている。
この際、一つの振動板12の各辺が予め切り離されているので、11個の振動板12を略球殻状に結合して一つの多面状五角形振動板11を形成する場合に、各振動板12を先に実施例1で図4を用いて説明したと同様の向きに配列させて、隣り合う振動板12の全ての辺にエッジ部材(14…図示せず)を取り付けて結合している。
従って、実施例1を一部変形させた変形例の電気音響変換器10A’でも、一つの多面状五角形振動板11を主体とした12面の外側多面体内に、多面状五角形振動板11の外面と略相似に形成した多面状フレーム組立体31の各正五角形面31aに各振動板付きスピーカユニット20Bを取り付けた状態で12面の内側多面体が収納されているので、先に図1〜図3を用いて説明した実施例1の電気音響変換器10Aと外観形状が同じになり、且つ、音響特性も実施例1と同様に無指向性を持った点音源として得られる。
次に、実施例1の電気音響変換器10A又は実施例1を一部変形させた変形例の電気音響変換器10A’に対する応用例について図14及び図15を用いて簡略に説明する。
図14は本発明に係る実施例1の電気音響変換器又は実施例1を一部変形させた変形例の電気音響変換器に対する応用例1を示した斜視図、
図15は本発明に係る実施例1の電気音響変換器又は実施例1を一部変形させた変形例の電気音響変換器に対する応用例2を示した斜視図である。
図14に示した如く、本発明に係る実施例1の電気音響変換器10A又は実施例1を一部変形させた変形例の電気音響変換器10A’に対する応用例1では、12面の外側多面体の底面及び天面に振動板を設けずに、これらの底面及び天面に配線用兼支持用のパイプ部材15をそれぞれ取り付けることで、複数の電気音響変換器10A又は10A’をシリーズに連結して使用することができる。
一方、図15に示した如く、本発明に係る実施例1の電気音響変換器10A又は実施例1を一部変形させた変形例の電気音響変換器10A’に対する応用例2では、12面を有する外側多面体中の複数の面に振動板を設けずに、これら複数の面に配線用兼支持用のパイプ部材15をそれぞれ取り付けることで、複数の電気音響変換器10A又は10A’を適宜な方向に向けて連結することができる。
図16は本発明に係る実施例2の電気音響変換器を説明するために模式的に示した斜視図、
図17は本発明に係る実施例2の電気音響変換器において、隣り合うスピーカ駆動ユニットを組み立てた状態を拡大して示した縦断面図、
図18は図17に示した放射状シャフト組立体を示した斜視図である。
図16に示した如く、本発明に係る実施例2の電気音響変換器10Bでは、11個のスピーカ駆動ユニット20Aを取り付けるための部材として実施例1で用いた多面状フレーム組立体31(図3,図6,図7)に代えて、複数本のシャフト43を放射状に結合して組み立てた放射状シャフト組立体41を用いた点が実施例1に対して異なっており、ここでは実施例1に対して異なる点を中心に説明する。
図16に示した本発明に係る実施例2の電気音響変換器10Bも、実施例1と同様に、一つの多面状多角形振動板11を用いることで呼吸球に近い無指向性の点音源が得られるように構成されている。
尚、図16中に示したスピーカ駆動ユニット20Aの各構成部材は、先に実施例1で図6を用いて説明しているので、ここでの詳述を省略し、同じ符号番号を付して図示のみとする。
この実施例2でも、略球殻状に11面を有して形成された一つの多面状五角形振動板11の内部には、11個設けられた振動板12の内面の中心部位に向かってスピーカ駆動ユニット20Aが3次元的に放射状に11個配置されている。
そして、11個のスピーカ駆動ユニット20Aは、多面状五角形振動板11の各振動板12の内面の中心部位にその振動板12と略直交するようにそれぞれ対向して放射状に配置された11本のシャフト43の各一端部と、底面側に対応する一つのシャフト43の一端部とを結合して合計12本のシャフト43が放射状に組み立てられた放射状シャフト組立体41のうちで11本のシャフト43の各他端部に取り付けられている。
図17及び図18に示した如く、上記した放射状シャフト組立体41は、実施例2の要部を構成する部材であり、非磁性を有する樹脂材を用いて多面状五角形振動板11の外面と略相似でこの外面より小形に形成したシャフト取付用12面体42と、このシャフト取付用12面体42の各正五角形面42aの中心部位にネジ嵌合により放射状に取り付けられ且つアルミ材,真鍮材、樹脂材などの非磁性材を用いた合計12本のシャフト43とで構成されている。
尚、上記した放射状シャフト組立体41は、12本のシャフト43の各一端部側をシャフト取付用12面体42の各正五角形面42aの中心部位に取り付けることで、12本のシャフト43を位置精度良好に組み立てられるが、これに限ることなく、シャフト取付用12面体42を用いずに12本のシャフト43の各一端部側を溶接又は接着などにより放射状に結合させても良い。
より具体的には、各シャフト43の一端部側に形成した各ネジ部43aをシャフト取付用12面体42の各正五角形面42aの中心部位に形成した各ネジ孔42a1に螺合させることで、各シャフト43が多面状五角形振動板11の各正五角形面42aに各振動板12の内面の中心部位に向けて放射状に取り付けられている。
一方、各スピーカ駆動ユニット20Aの一部を構成する各ヨーク21の底面21cの中心部位にネジ孔21c1がそれぞれ形成されており、各ネジ孔21c1に各シャフト43の他端部に形成した各ネジ部43bを螺合させることで、各シャフト43の他端部に各スピーカ駆動ユニット20Aが各振動板12の内面の中心部位に向けて取り付けられることなる。
この際、図16及び図18に示した如く、シャフト取付用12面体42に取り付けた12本のシャフト43のうちで底面側に対応する一つのシャフト43の他端部にパイプ取付台44を取り付けて、このパイプ取付台44の下面に配線用兼支持用のパイプ部材15を固着させている。
この後、台座13(図2)の貫通孔13a内に放射状シャフト組立体41内のパイプ取付台44に固着させた配線用兼支持用のパイプ部材15(図16,図18)を挿通し、更に、11個のスピーカ駆動ユニット20A中の各ホビン24の一端部24a(図17)に接着剤を充填し、且つ、各ホビン24の一端部24aの上方から11面の多面状五角形振動板11をかぶせて、各ホビン24の一端部24aを多面状五角形振動板11中の各振動板12の凸状リング部12b内にそれぞれ接着することで、一つの多面状五角形振動板11を主体とした12面の外側多面体内に、各スピーカ駆動ユニット20Aが放射状シャフト組立体41の各シャフト43に取り付けられた状態で収納されて実施例2の電気音響変換器10Bが完成する。
上記のように作製した実施例2の電気音響変換器10Bでも、実施例1と同様に、多面状多角形振動板11により呼吸球として無指向性を持った良好な点音源が得られ、且つ、各振動板12の振動により得られる各再生音の周波数レスポンスにおいて生じるディップD(図10)も低減できる。
次に、実施例2の電気音響変換器10Bを一部変形させた変形例について図19を用いて簡略に説明する。
図19は本発明に係る実施例2の電気音響変換器を一部変形させた変形例の電気音響変換器を説明するために模式的に示した斜視図である。
図19に示した如く、本発明に係る実施例2の電気音響変換器10B(図16)を一部変形させた変形例の電気音響変換器10B’では、実施例2とは異なって正五角形に形成された振動板12が一個づつ予め切り離されて11個用意されており、一つのスピーカハウジング26をベースにして実施例2と同じ構造形態でスピーカ駆動ユニットを組み立てた後に、このスピーカ駆動ユニットのボビン24の一端部に正五角形に形成された一つの振動板12を接着することで、一つの振動板付きスピーカユニット20Bを11個得ている。
この後、変形例の電気音響変換器10B’を組み立てる時に、11個の振動板付きスピーカユニット20Bを実施例2で説明した放射状シャフト組立体41を構成する11個のシャフト43の他端部に放射状にそれぞれ取り付けている。
この際、一つの振動板12の各辺が予め切り離されているので、11個の振動板12を略球殻状に結合して一つの多面状五角形振動板11を形成する場合に、各振動板12を先に実施例1で図4を用いて説明したと同様の向きに配列させて、隣り合う振動板12の全ての辺にエッジ部材(14…図示せず)を取り付けて結合している。
従って、実施例2を一部変形させた変形例の電気音響変換器10B’でも、一つの多面状五角形振動板11を主体とした12面の外側多面体内に、各振動板付きスピーカユニット20Bが放射状シャフト組立体41の各シャフト43に取り付けられた状態で収納されているので、先に図16を用いて説明した実施例2の電気音響変換器10Bと外観形状が同じになり、且つ、音響特性も実施例2と同様に無指向性を持った点音源として得られる。
更に、ここでの図示を省略するものの、実施例2の電気音響変換器10B又は実施例2を一部変形させた変形例の電気音響変換器10B’でも、先に図14及び図15を用いて説明した実施例1と同様に、複数の電気音響変換器10B又は10B’を配線用兼支持用のパイプ部材15を介して連結することが可能である。
本発明に係る実施例1の電気音響変換器の外観形状を正面側から見た斜視図である。 本発明に係る実施例1の電気音響変換器の外観形状を底面側から見た斜視図である。 本発明に係る実施例1の電気音響変換器の概略構成を摸式的に示した斜視図である。 本発明に係る実施例1の電気音響変換器において、一つの多面状五角形振動板を平面的に展開して示した平面図である。 図4に示した一つの多面状五角形振動板の一部を構成する正五角形の振動板を拡大して示した斜視図である。 本発明に係る実施例1の電気音響変換器において、隣り合うスピーカ駆動ユニットを組み立てた状態を拡大して示した縦断面図である。 図6に示した多面状フレーム組立体を示した斜視図である。 本発明に係る実施例1の電気音響変換器において、振動板の傾斜面部及び大径円が偏心していない場合に、振動板表面の定在波分布を説明するための図である。 本発明に係る実施例1の電気音響変換器において、振動板の傾斜面部及び大径円が偏心している場合に、振動板表面の定在波分布を説明するための図である。 本発明に係る実施例1の電気音響変換器において、一つの振動板による再生音の周波数特性を示した図である。 本発明に係る実施例1の電気音響変換器における合成再生音の周波数特性を示した図である。 本発明に係る実施例1の電気音響変換器の指向特性を示した図である。 本発明に係る実施例1の電気音響変換器を一部変形させた変形例の電気音響変換器を説明するために模式的に示した斜視図である。 本発明に係る実施例1の電気音響変換器又は実施例1を一部変形させた変形例の電気音響変換器に対する応用例1を示した斜視図である。 本発明に係る実施例1の電気音響変換器又は実施例1を一部変形させた変形例の電気音響変換器に対する応用例2を示した斜視図である。 本発明に係る実施例2の電気音響変換器を説明するために模式的に示した斜視図である。 本発明に係る実施例2の電気音響変換器において、隣り合うスピーカ駆動ユニットを組み立てた状態を拡大して示した縦断面図である。 図17に示した放射状シャフト組立体を示した斜視図である。 本発明に係る実施例2の電気音響変換器を一部変形させた変形例の電気音響変換器を説明するために模式的に示した斜視図である。 従来の点音源・無指向性・スピーカシステムの一例を示した斜視図である。 従来の点音源・無指向性・スピーカシステムの一例を示したブロック図である。 従来の点音源・無指向性・スピーカシステムに使用したスピーカユニットにおける周波数レスポンスのピークとディップの例を摸式的に示した特性図である。
符号の説明
10A…実施例1の電気音響変換器、
10A’…実施例1を一部変形させた変形例の電気音響変換器、
10B…実施例2の電気音響変換器、
10B’…実施例2を一部変形させた変形例の電気音響変換器、
11…多面状多角形振動板(多面状五角形振動板)、
12…振動板、12a…凹球面部、12b…凸状リング部、12c…傾斜面部、
12d…大径円、12e…平坦面部、
13…台座、14…エッジ部材、15…配線用兼支持用のパイプ部材、
20A…スピーカ駆動ユニット、
20B…振動板付きスピーカユニット、
21…ヨーク、21a…円形凹部、21b…リング状外壁部、
21c…底面部、21c1…ネジ孔、
22…マグネット、23…ポールピース、
24…ボビン、24a…一端部、24b…他端部、
25…ボイスコイル、
26…スピーカハウジング、26a…外周側面部、26b…下方円形凹部、
26c…貫通孔、26d…上方円形凹部、
27…第1のサスペンション、28…スペーサ、29…第2のサスペンション、
31…多面状フレーム組立体、31a…多角形面(正五角形面)、
41…放射状シャフト組立体、
42…シャフト取付用12面体、42a…正五角形面、42a1…ネジ孔、
43…シャフト、43a,43b…ネジ部、44…パイプ取付台、
D…ディップ、P…一つの再生音のピーク、PG…合成再生音のピーク。

Claims (3)

  1. 多角形の振動板を複数個結合して略球殻状に形成して成る多面状多角形振動板と、
    前記多面状多角形振動板の内部に、前記振動板のそれぞれと対向して配置された複数のスピーカ駆動ユニットと、を備え、
    各前記振動板の内面の中心部位に各前記スピーカ駆動ユニットのボビンの一端部が接着されて成る電気音響変換器であって、
    板材を用いて前記多角形と同じ角数に形成した多角形面を複数結合して前記多面状多角形振動板の外面と略相似の外面形状を有して内部が中空状に組み立てられ、且つ、各前記多角形面に各前記スピーカ駆動ユニットが各前記振動板の内面の中心部位に向かって取り付けられた状態で前記多面状多角形振動板内に収納される多面状フレーム組立体を備えたことを特徴とする電気音響変換器。
  2. 前記多面状フレーム組立体は、この外部とこの内部との間で空気を流通させるための空気流通用孔を有することを特徴とする請求項1記載の電気音響変換器。
  3. 多角形の振動板を複数個結合して略球殻状に形成して成る多面状多角形振動板と、
    前記多面状多角形振動板の内部に、前記振動板のそれぞれと対向して配置された複数のスピーカ駆動ユニットと、を備え、
    各前記振動板の内面の中心部位に各前記スピーカ駆動ユニットのボビンの一端部が接着されて成る電気音響変換器であって、
    複数の前記振動板の内面の中心部位にその振動板と略直交するようにそれぞれ対向して放射状に配置された複数本のシャフトの各一端部を結合して組み立てられ、且つ、複数本の前記シャフトの各他端部に各前記スピーカ駆動ユニットが各前記振動板の内面の中心部位に向かって取り付けられた状態で前記多面状多角形振動板内に収納される放射状シャフト組立体を備えたことを特徴とする電気音響変換器。

JP2005133203A 2005-04-28 2005-04-28 電気音響変換器 Expired - Fee Related JP4254742B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005133203A JP4254742B2 (ja) 2005-04-28 2005-04-28 電気音響変換器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005133203A JP4254742B2 (ja) 2005-04-28 2005-04-28 電気音響変換器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006311349A JP2006311349A (ja) 2006-11-09
JP4254742B2 true JP4254742B2 (ja) 2009-04-15

Family

ID=37477677

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005133203A Expired - Fee Related JP4254742B2 (ja) 2005-04-28 2005-04-28 電気音響変換器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4254742B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100836662B1 (ko) 2007-02-07 2008-06-10 문소연 무지향성 스피커 시스템
JP2009111836A (ja) * 2007-10-31 2009-05-21 Dr Three:Kk 正多面体広指向特性拡声装置
JP5321296B2 (ja) * 2009-07-02 2013-10-23 ヤマハ株式会社 集合型スピーカシステム
JP4819963B1 (ja) * 2010-10-09 2011-11-24 博司 行俊 スピーカ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006311349A (ja) 2006-11-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4513765B2 (ja) 電気音響変換器
WO2020119239A1 (zh) 扬声器
JP5025824B2 (ja) 入れ子状の複合スピーカー駆動ユニット
WO2022062039A1 (zh) 发声单体及电子终端
JP4254742B2 (ja) 電気音響変換器
US5608810A (en) Loudspeaker structure
CN109275079B (zh) 等化器以及带有等化器的电声转换装置及其制造方法
WO2012120806A1 (ja) スピーカとそのスピーカを用いた電子機器
JPH10257589A (ja) 振動板及びこの振動板を備えるマイクロホン装置
JP4513766B2 (ja) 電気音響変換器
US7515724B2 (en) Loudspeaker driver
KR100893899B1 (ko) 초소형 복합 진동 마이크로스피커
WO2022067986A1 (zh) 发声器件
CN111556404A (zh) 一种扬声器
JP4898957B2 (ja) スピーカ装置
US8175301B2 (en) Loudspeaker driver
JP3659082B2 (ja) 電気音響変換器
CN221448580U (zh) 一种膜片组件及扬声器
CN116782107B (zh) 扬声器
JP5321296B2 (ja) 集合型スピーカシステム
JP2000078686A (ja) 電気音響変換器の振動板及び電気音響変換器
JP2000013891A (ja) 静電型電気音響変換器
JP2001016685A (ja) スピーカ
JP2005123893A (ja) 電気音響変換器
CN109996154A (zh) 扬声器及其应用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070629

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090106

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090119

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120206

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4254742

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120206

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120206

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120206

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130206

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130206

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140206

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees