JP4254244B2 - 段ボール箱開封用ミシン目とその形成方法および形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、段ボール箱開封用のミシン目と、それを形成する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
缶ビールや缶ジュースなどの商品を包装する段ボール箱に、ラップランドケースと呼ばれる、直方体の箱の側面に周方向に走る開封用部分を設け、この開封部分を切り取ることにより、箱の長手方向の側壁を開放することができるようにしたものがある。商品の販売に当たっては、箱の側壁を開放するように切り取りを行なって陳列すれば、箱ごとの取り扱いが可能であるにもかかわらず、顧客は個々の缶やボトルを箱の中から、または上から取り出すことが可能となり、便利である。
【0003】
この種の箱を容易に開封できるようにするために、たとえば、開封用のテープ(ポリオレフィンの延伸テープ)を、箱の内面に、箱を一周するように貼り付けておき、このテープを引いて段ボールを切断するという方法がとられている。延伸テープを貼り付ける代わりに、段ボール紙にあらかじめミシン目を入れておくこともあるが、内容物がある程度の重量をもつため、包装箱としての強度を顕著に低下させることはできないから、段ボール紙が切れている部分の長さと、切れていない部分の長さとの比率は、あまり高くとることができない。一方、切れている部分の比率が高ければ、それだけ切り取りやすいことはいうまでもなく、両者の調和が問題である。
【0004】
段ボール紙全体にミシン目を入れることに代えて、裏ライナーにだけミシン目を入れておくことが、一般に行われている。これは、裏ライナーと段付き中芯を貼り合わせてシングルフェーサーで片面段ボールシートを製造するに先立って、回転刃で裏ライナーをミシン目加工する方法である。この手法は、ミシン目が包装箱の表面に見えず、美観はすぐれているが、固有の問題がある。まず、一般に紙は湿度の影響で伸縮するから、片面段ボールシートを製造したときに、ミシン目の位置が幅方向に関してずれるおそれがある。ずれていると、不良シートが発生するが、そのことが確認できるのは、幅方向に裁断するとともに折り目罫線を形成するスリッター・スコアラー(通称「スリスコ」)装置に段ボールシートが到達してからである。シングルフェーサーからスリスコまでの距離は、100mから長いもので150mに達するから、多量の不良品をつくる危険がある。
【0005】
いまひとつの問題は、裏ライナーをプレヒーターで加熱した場合、収縮で裏ライナーに幅方向の張力が作用し、ミシン目から裂ける危険があることである。ミシン目が完全に裂けてしまうと、段ボール紙の強度が低下して、包装箱が必要な強度を有しなくなり、商品にならない。近年、段ボール原紙のグレードが低下し、また坪量の低いものが多く使用されるため、この問題は一層深刻である。
【0006】
上記した幅方向のずれがもたらす不良シートの発生を防ぎ、かつ、裏ライナーのミシン目が裂けて強度が設計値と異なってくるという問題を原理的になくした技術として、スリスコ装置内部にカッターを置き、裏ライナーをカットすることが試みられた。これは、回転刃で連続的に裏ライナーだけをカットしようというものであるが、段ボールシートはどうしても波打っているので、裏ライナーに止まらず中芯の段山部分にもカットが及ぶことが避けられず、そうなると直線状のワレが生じやすくなって、その段ボールシートで製造した包装箱は、信頼性が低い(圧縮強度が低下した)ものにならざるを得ないので、実用性に乏しい。
【0007】
開封が容易であることは、段ボール紙ほどの強度を必要とせず、比較的少量ないし軽量の包装を行なう、厚紙製のカートンに関しても要求される。この種のカートンの開封部分は、通常、平行に走る2本のミシン目を設け、それぞれの切れ目の一端を内側方向に曲げて寄せた、ハカマ型のものである。こうした開封部分は、開封の方向が定まっていて、内側に寄せた端の側から開封を始めなければならず、反対方向から開封を始めると、途中で切れ目が曲がってしまったり、中断してしまったりする。
【0008】
いうまでもなく、カートンの開封には方向性がないことが好ましく、そのような開封部分の構造が要求される。その要求への回答として、平行に走る断続的な長い切れ目の両端に、開封方向に直角な短い切れ目を設けたもの(特開平10−101064)や、平行に走る断続的な長い切れ目の間のつなぎ部分に、外に開くU字状の切り込みを設けたたもの(登録実用新案3079649)などが提案された。しかしこれらの技術は、段ボール紙製の包装箱に実施するのに適したものではない。
【0009】
段ボール紙製の包装箱においても、開封に方向性がないことが望ましい。開封方向が一つであると、前記のラップランド型の包装箱では、開封すべき部分の一端から切り開きを開始し、他端におよばなければならないが、開封すべき部分の中程から切り開きを開始し、両側に同時進行で切り開きができれば、包装を開く能率が高まる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、段ボール紙で製造した包装箱の開封を容易にする、箱の側壁を走るミシン目であって、切り開き開始位置にH字形の開始部分を有し、そこから方向性なく、つまり両側に向かって切り開きを開始することができる段ボール箱開封用ミシン目を提供することにある。そのような段ボール箱開封用ミシン目を形成する方法および装置を提供することもまた、本発明の目的に包含される。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明の段ボール箱開封用ミシン目は、被包装物を包装した段ボール箱から帯状の部分を切り取って開封するために、箱の周囲の全体または一部分にわたってあらかじめ与えておくミシン目であって、図1に示すように、段ボールシート(1)に対して、開封のための切り取り方向に沿って、切り取り方向に対して角度αだけ傾いた方向の断続的な第一の切れ目(21)と、角度−αだけ傾いた方向の断続的な第二の切れ目(22)と、角度αだけ傾いた方向の断続的な第三の切れ目(23)とを近接して配置して構成し、そのミシン目(2)の途中に、H字形の切り取り開始部分(3)を設けてなる。
【0012】
【発明の実施形態】
本発明の段ボール箱開封用ミシン目を形成する方法は、段ボールシートから包装用の段ボール箱のブランクを打ち抜くに先立ち、回転コマに刃物を複数枚、放射状に取り付けて刃先が円周を形成するようにし、刃先が走行方向に対して角度αだけ傾いた第一の刃物車と、角度−αだけ傾いた第二の刃物車と、角度αだけ傾いた第三の刃物車とを、走行してくる段ボールシートの幅方向に適宜の距離をおいて配置しておき、段ボールシートの走行につれて刃物車が段ボールに押し付けられた状態で回転させられるようにすることによって、走行方向に対して角度αだけ傾いた方向の断続的な第一の切れ目と、角度−αだけ傾いた方向の断続的な第二の切れ目と、角度αだけ傾いた方向の断続的な第三の切れ目とを段ボールシートに形成することからなる。
【0013】
本発明の段ボール箱開封用ミシン目を形成する装置は、図4に示したような刃物車、すなわち回転コマ(41)に刃物(42)を複数枚、放射状に取り付けて刃先が円周を形成するようにした刃物車(4)であって、刃先が回転方向に対して角度αだけ傾いた第一の刃物車と、角度−αだけ傾いた第二の刃物車と、角度αだけ傾いた第三の刃物車とを、走行してくる段ボールシートの幅方向に適宜の距離をもって位置するように配置し、図3に示すように、これらの刃物車を段ボールシートに向かって適宜の圧力で押し付け、また引き離す上下動手段(5)を備えてなる。
【0014】
各切れ目がミシン目(2)の方向に対して傾く角度αまたは−αの絶対値は、45度以下の角度から選ぶ。通常、10〜20度の範囲が適切である。第一の切れ目と第二の切れ目、および第二の切れ目と第三の切れ目とを、同じ間隔に設けることはもちろんである。上記の切れ目の傾き、間隔に加え、切れ目の長さ、切れ目の間のつなぎ部分の長さなどは、本発明を適用する段ボール製包装箱に応じて設計すべきことも、論を待たない。
【0015】
段ボール紙に第一ないし第三の切れ目を入れるための第一ないし第三の刃物車の配列は、図5に示すように、走行してくる段ボールシートの幅方向に、第一の刃物車(4A)、第二の刃物車(4B)および第三の刃物車(4C)が一直線上に並ぶような配列であってもよいし、図6に示すように、走行してくる段ボールシートの走行方向に若干のずれをもたせた配列であってもよい。もちろん、これらの折衷的な配置も可能である。刃物車は、駆動してもよいが、通常は駆動せず、段ボールシートの走行に伴って刃物車が同速回転し、刃物が段ボールシートに食い込むように構成するのが得策である。
【0016】
ミシン目の途中に設けるH字形の切り取り開始部分(3)の形状は、従来のこの種開封部分に設けているものと同じでよいが、図1に示したように、両側に向かって狭まる形状とすることが好ましい。
【0017】
本発明の段ボール箱開封用のミシン目を形成する装置は、段ボール紙製造工程が終わってから使用するものであるから、図3にみるように、包装箱のブランクを製造するスリスコ装置(6)の直前に配置することができ、かつ、それが最適の位置である。
【0018】
【発明の効果】
本発明の段ボール箱開封用ミシン目は、そのミシン目の途中に設けたH字形の切り取り開始部分(3)を両側に引っ張ることにより、図2の矢印で示した方向に破壊が連鎖して行く。つまり、図2のH字形の左側では第一の切れ目(21)と第二の切れ目(22)との間が切り取られ、右側では第二の切れ目(22)と第三の切れ目(23)との間が切り取られる。このように、3本の切れ目が存在することにより、切り取られる部分は上下に多少ずれるが、方向性のない開封が可能になる。
【0019】
ミシン目の形成が、スリスコの直前で行なえるから、本発明によるときは前述の不良シートが発生する心配がない。刃物は、段ボールシートの走行に対して高速で回転させて接触させると、摩耗するおそれがあるのに対し、本発明の推奨すべき実施態様に従って、駆動せずに段ボールシートの走行につれてそれを押し切るような形で使用すれば、摩耗の程度がはるかに低くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の段ボール箱開封用のミシン目を示す平面図。
【図2】 図1の段ボール箱開封用ミシン目を切り開いているところを示す、同様な平面図。
【図3】 本発明の段ボール箱開封用のミシン目を形成する装置の全体の構成を示す側面図。
【図4】 図3の装置に使用する刃物車の1個を示す図であって、Aは平面図、Bは縦断面図。
【図5】 3個の刃物車を配置するひとつの態様を示す、上方から見た概念的な図。矢印は段ボール紙の走行方向。
【図6】 3個の刃物車を配置するいまひとつの態様を示す、図5と同様な上方から見た概念的な図。
【符号の説明】
1 段ボールシート
2 段ボール箱開封用ミシン目
21 第一の切れ目
22 第二の切れ目
23 第三の切れ目
3 切り取り開始部分
4(4A,4B,4C) 刃物車
41 回転コマ
42 刃物
5 上下動手段
6 スリスコ装置
α(−α) 回転方向に対する刃先の傾斜角度
Claims (6)
- 被包装物を包装した段ボール箱から帯状の部分を切り取って開封するために、箱の周囲の全体または一部分にわたってあらかじめ与えておくミシン目であって、段ボールシートに対して、開封のための切り取り方向に沿って、切り取り方向に対して角度αだけ傾いた方向の断続的な第一の切れ目と、角度−αだけ傾いた方向の断続的な第二の切れ目と、角度αだけ傾いた方向の断続的な第三の切れ目とを近接して配置して構成し、そのミシン目の途中に、H字形の切り取り開始部分を設けてなる段ボール箱開封用ミシン目。
- 角度αが、10〜20度の範囲から選んだ角度である請求項1の段ボール箱開封用ミシン目。
- 段ボールシートから包装用の段ボール箱のブランクを打ち抜くに先立ち、回転コマに刃物を複数枚、放射状に取り付けて刃先が円周を形成するようにし、刃先が走行方向に対して角度αだけ傾いた第一の刃物車と、角度−αだけ傾いた第二の刃物車と、角度αだけ傾いた第三の刃物車とを、走行してくる段ボールシートの幅方向に適宜の距離をおいて配置しておき、段ボールシートの走行につれて刃物車が段ボールに押し付けられた状態で同速回転させられるようにすることによって、走行方向に対して角度αだけ傾いた方向の断続的な第一の切れ目と、角度−αだけ傾いた方向の断続的な第二の切れ目と、角度αだけ傾いた方向の断続的な第三の切れ目とを段ボールシートに形成することからなる段ボール箱開封用ミシン目の形成方法。
- 回転コマに刃物を複数枚、放射状に取り付けて刃先が円周を形成するようにし、刃先が回転方向に対して角度αだけ傾いた第一の刃物車と、角度−αだけ傾いた第二の刃物車と、角度αだけ傾いた第三の刃物車とを、走行してくる段ボールシートの幅方向に適宜の距離をもって位置するように配置し、これらの刃物車を段ボールシートに向かって適宜の圧力で押し付け、また引き離す手段を備えてなる、段ボール箱開封用ミシン目を形成する装置。
- 第一ないし第三の刃物車を、走行してくる段ボールシートの幅方向に一直線上に配置した請求項4の装置。
- 第一ないし第三の刃物車を、走行してくる段ボールシートの走行方向に若干のずれをもたせて配置した請求項4の装置。
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