JP4253866B2 - 振動アクチュエータの駆動装置及び振動アクチュエータの駆動方法 - Google Patents
振動アクチュエータの駆動装置及び振動アクチュエータの駆動方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動を発生する振動子を有し、この振動子に加圧接触した相対運動部材と前記振動子との間に相対運動を発生させる振動アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電素子等の電気機械変換素子によって振動体を構成し、この電気機械変換素子に駆動信号である交流電圧を印加して振動子に楕円運動を発生させ、この振動子に加圧接触している相対運動部材と振動子との間に相対運動を発生させる振動アクチュエータが知られている。
【0003】
また、このような振動アクチュエータを低速で駆動したり微少量だけ移動させる方法として、駆動信号をバースト波状にして振動子に印加する間欠駆動が知られている。図7は、電気機械変換素子に印加される駆動信号の一例を示す波形図である。
この場合、電気機械変換素子に駆動信号が印加されている時間t1においては、この駆動信号の周波数は一定に維持されている。そして、振動子と相対運動部材との相対速度は、印加周期t2に対する印加時間t1の比を変えることで制御されるようになっている。
【0004】
また、特公平7−89748号公報には、バースト波で駆動したときの雑音の発生を防止するために、バースト信号の幅または間隔の少なくとも一方を変化させたバースト信号を駆動信号として印加する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
振動アクチュエータでは、駆動時の振動子と相対運動部材との摩擦により、接触面が摩耗し易いという問題がある。そして、前述のような間欠駆動においては、印加時間t1の始めと終わり、つまり駆動信号の印加開始時と印加停止時に、振動子に発生する振動の振幅が急激に変化するため、振動子と相対運動部材との間で滑りが発生し、より摩耗し易くなる。
【0006】
また、間欠駆動中は、振動アクチュエータが急激な停止と起動とを繰り返すことになるため、振動アクチュエータによって得られた出力(相対運動)をギヤ等を介して外部の装置に取り出す場合、外部の装置がこの動きに追従できず、挙動が不安定になるという現象が生じる。
本発明は、このような課題を解決することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的のために、請求項1に記載された発明では、電気機械変換素子と、該電気機械変換素子によって発生した振動により得られた駆動力を取り出すための駆動力取出部とを有し、前記駆動力によって前記駆動力取出部に接触した相対運動部材との間に相対運動を発生させる振動アクチュエータと、
前記電気機械変換素子に、前記振動アクチュエータの共振周波数よりも高い周波数で交流電圧を間欠的に印加する駆動回路とを備え、
前記駆動回路が、前記交流電圧が前記電気機械変換素子に間欠的に印加されている際に、複数の間欠駆動のうちの1つの間欠駆動において、前記交流電圧の印加開始に応じて電圧値を一定としたまま周波数が低下するように変化する立ち上がり部と、電圧値を一定としたまま周波数が増加するように変化して前記交流電圧の印加が終了する立ち下がり部とを有するように前記交流電圧の周波数を変更する振動アクチュエータの駆動装置を提供する。
【0008】
請求項2に記載された発明では、請求項1に記載された振動アクチュエータの駆動装置において、前記駆動回路を、前記交流電圧を生成する発振手段と、該発振手段を間欠的に駆動する駆動手段と、前記交流電圧の周波数を制御する制御信号を生成して前記発振手段に出力する周波数制御手段とで構成した。
請求項3に記載された発明では、請求項1または請求項2に記載された振動アクチュエータの駆動装置において、前記駆動回路を、前記立ち上がり部と前記立ち下がり部との間に、前記交流電圧の周波数が略一定の値をとる定常部を有するように前記交流電圧を印加するように構成した。
請求項4に記載された発明では、請求項1〜3のいずれかに記載された振動アクチュエータの駆動装置において、前記駆動回路を、前記立ち上がり部および前記立ち下がり部において、前記周波数を単調変化させるように構成した。
請求項5に記載された発明では、請求項1〜4のいずれかに記載された振動アクチュエータの駆動装置において、前記駆動回路を、前記1つの間欠駆動において、前記立ち下がり部における前記周波数の変更を前記立ち上がり部における前記周波数の変更より緩やかに行なうように構成した。
請求項6に記載された発明では、請求項1〜5のいずれかに記載された振動アクチュエータの駆動装置において、前記駆動力取出部は矩形平板状に形成された弾性体を備えているように構成した。
請求項7に記載された発明では、請求項1〜6のいずれかに記載された振動アクチュエータの駆動装置において、前記間欠駆動を一定の印加周期で行い、1つの前記印加周期の間に前記交流電圧が印加される印加時間の割合を制御する制御回路を備えているように構成した。
【0009】
請求項8に記載された発明では、電気機械変換素子と、該電気機械変換素子の励振により得られた駆動力を取り出すための駆動力取出部とを有し、前記駆動力によって前記駆動力取出部に接触した相対運動部材との間に相対運動を発生させる振動アクチュエータの駆動方法において、前記電気機械変換素子に、前記振動アクチュエータの共振周波数よりも高い周波数で交流電圧を間欠的に印加するとともに、前記交流電圧が前記電気機械変換素子に間欠的に印加されている際に、複数の間欠駆動のうちの1つの間欠駆動において、前記交流電圧の印加開始に応じて電圧値を一定としたまま周波数を低下させ、電圧値を一定としたまま周波数を増加させて前記交流電圧の印加を停止するようにした。
【0010】
請求項9に記載された発明では、請求項8に記載された振動アクチュエータの駆動方法において、前記1つの間欠駆動において、前記交流電圧の前記電気機械変換素子への印加開始の際は、前記交流電圧の周波数を低下させ、前記交流電圧の周波数が所定値に達した後は、前記交流電圧の周波数を一定に保ち、前記交流電圧の前記電気機械変換素子への印加停止の際は、前記交流電圧の周波数を増加させるようにした。
請求項10に記載された発明では、請求項8または請求項9に記載された振動アクチュエータの駆動方法において、前記交流電圧の周波数は単調に変化するようにした。
請求項11に記載された発明では、請求項8〜10のいずれかに記載された振動アクチュエータの駆動方法において、前記1つの間欠駆動において、前記交流電圧の前記電気機械変換素子への印加停止の際の前記周波数の変更は、前記交流電圧の前記電気機械変換素子への印加開始の際の前記周波数の変更より緩やかに行なうようにした。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照して、本発明の実施の形態をさらに詳細に説明する。なお、本実施形態では、振動アクチュエータとして、超音波の振動域を利用した超音波アクチュエータを例にとって説明する。
図1は、本実施形態で用いた超音波アクチュエータにおける振動子の構成を示す概略斜視図である。また、図2は、本実施形態で用いた振動子と、この振動子に発生する振動の波形とを示す説明図である。
【0012】
超音波アクチュエータ10は、1次の縦振動と4次の屈曲振動とによって楕円運動を発生させ、この楕円運動により駆動力を起こす振動子11と、この駆動力によって振動子11との間で相対運動を行う相対運動部材21とを備えている。
振動子11は、ステンレス鋼等により矩形平板状に形成された弾性体12と、この弾性体12に接合された、電気機械変換素子である圧電素子13とを備えている。弾性体12の各部の寸法は、振動子11に発生する1次の縦振動と4次の屈曲振動それぞれの固有振動数が略一致するように設定されている。弾性体12の一方の平面には圧電素子13が接着され、弾性体12の他方の平面には、図1に示すように、弾性体12の幅方向に2本の溝が設けられている。これら2本の溝は、振動子11と相対運動部材21の間に発生する相対運動方向(図1中、矢印Dで示す方向)に対し、所定の距離だけ離れて設けられている。また、これら2本の溝は、弾性体12に発生する4次の屈曲振動における4つの腹となる位置のl1〜l4(図2参照)のうち、弾性体12の端部側に位置する2つの腹となる位置l1、l4にほぼ一致するように設けられている。また、各溝には、断面形状が矩形となる摺動材がはめ込まれており、突起状に突出した状態でエポキシ系接着剤により接着されている。各溝にはめ込まれる摺動材は、弾性体12の幅方向の端部側に分割された状態で配置されている。したがって、振動子11には、4つの摺動材が配置されることになる。これら4つの摺動材は、弾性体12の長手方向の端部側に位置する2つの腹となる位置l1、l4にほぼ一致する位置に配置され、振動子11の駆動力取出部12a、12b、12c、12dとして機能する。したがって、弾性体12は、これら摺動材からなる駆動力取出部12a〜12dを介して相対運動部材21に接触する。
【0013】
圧電素子13は、電機エネルギを機械的変位に変換するもので、例えば、PZT(チタンジルコン酸鉛:登録商標)からなり、一枚の板状に形成されている。この圧電素子には、第1の駆動信号が入力される入力領域13a、13cと、前記第1の駆動信号とは位相が約(π/2)異なる第2の駆動信号が入力される入力領域13b、13dとが設けられている。各入力領域13a〜13dは、弾性体12に発生する4次の屈曲振動の5つの節位置n1〜n5により区画された4つの領域に形成される。このとき、前記第1の駆動信号および前記第2の駆動信号の入力により変形する各入力領域13a〜13dは、いずれも、屈曲振動の節位置n1〜n5を跨がない。そのため、入力領域13a〜13dの変形が各節位置n1〜n5によって抑制されることがない。
【0014】
屈曲振動の5つの節となる位置のうち、両端側からそれぞれ2番目に位置する2つの節位置n2、n3には、振動子11に発生する縦振動に応じて電気エネルギを出力するための検出領域13p、13p’が半円状に形成されている。これにより、振動子11に発生する縦振動の振動状態を検出することができる。
各入力領域13a〜13dと各検出領域13p、13p’は、それぞれの表面が銀電極15a〜15d、15p、15p’により覆われている。これにより、各入力領域13a〜13dに独立して第1の駆動信号または第2の駆動信号を入力できる。また、各検出領域13p、13p’から独立して検出信号を取り出すことができる。
【0015】
銀電極15a〜15d、15p、15p’には、それぞれリード線(図示せず)がはんだ付けされており、前記第1、第2の駆動信号等の電気エネルギの授受は、このリード線を介して行われる。
本実施形態では、図2に示すように、振動子11は、その平面中心部を中心として点対称となるように形成されている。また、振動子11の屈曲振動および縦振動の共通の節n3となる位置の両側面11a、11bには、振動子11の厚さ方向に対して、それぞれU字状の切り欠き部11c、11dが形成されている。そして、振動子11は、これらの切り欠き部11c、11dに、固定ピン等(図示せず)を嵌め込んで、ベース部材等に固定されるようになっている。屈曲振動と縦振動の共通の節となる位置で固定することにより、振動子11を支持、固定するに際して、この振動子11に発生する振動に与える影響を最小限に抑えることができる。
【0016】
また、振動子11は、図示していない加圧手段により、適切な加圧力Pで相対運動部材21に押し付けられており、これにより、振動子11と相対運動部材21とが加圧接触する。
図3は、本実施形態の駆動回路の構成を示すブロック図である。また、図4は、図3のブロック図の各部における出力信号の関係を示す説明図である。
【0017】
図3の駆動回路は、パルス設定器30と、パルス発生器31と、制御信号発生器32と、発振回路16と、移相器18と、2つの増幅器17a、17bと、速度制御回路19とを備えている。
パルス設定器30は、超音波モータの目標速度に基づいて、この超音波モータに印加する駆動信号(バースト信号)の印加時間t1と印加周期t2とを所定の値に設定する。そして、その情報をパルス発生器31に出力する。
【0018】
パルス発生器31は、パルス設定器30からの情報に基づいて、所定のパルス幅(印加時間t1に対応)とパルス周期(印加周期t2に対応)を設定されたパルス信号S1を生成する。そして、このパルス信号S1を発振回路16および制御信号発生器32の双方に出力する。発振回路16に直接入力するパルス信号S1は、発振回路16を駆動するための信号として作用する。このパルス信号S1がONの状態のときに、発振回路16が後述する周波信号S3を出力する。したがって、パルス発生器31は発振回路16を間欠的に駆動する駆動手段として機能する。
【0019】
制御信号発生器32は、周波信号S3の周波数を制御するための周波数制御手段として機能する。この制御信号発生器32は、入力したパルス信号S1に基づいてパルス状の周波数制御信号S2を生成し、この周波数制御信号S2をパルス信号S1に同期させて発振回路16に出力する。周波数制御信号S2は、図4に示すように、パルス幅はパルス信号S1と等しいが、立ち上がり部と立ち下がり部が傾いた台形状の波形を有している。この傾きの度合いは、制御信号発生器32によって調整される。
【0020】
発振回路16は、前述のように、パルス信号S1によって駆動され、パルス信号S1がONの状態のときに周波信号S3を出力する。また、この発振回路16は、電圧制御発振器(VCO)であり、周波数制御信号S2の電圧によって、周波信号S3の周波数が制御される。なお、周波信号S3の電圧は、周波数制御信号S2の電圧に関わらず略一定であり、周波数だけが変更される。本実施形態の場合は、周波数制御信号S2の電圧が高くなるにつれて周波数が低くなり、制御信号S2の電圧が低くなる(0ボルトに近づく)につれて周波数が高くなるように設定されている。ただし、制御信号S2が0ボルトになると、パルス信号S1も0ボルト(OFF)になるので、このときは、発振回路16からは周波信号S3は出力されない。図4に示すように、パルス信号S2の単調に増加する波形部が入力している間は、発振回路16からは、ほぼ単調に周波数が低下する(図4の▲1▼の部分)周波信号S3が出力される。次に、周波数制御信号S2の値が一定の波形部が入力すると、発振回路16からは、ほぼ一定の周波数を有する(図4の▲2▼の部分)周波信号S3が出力される。さらに、周波数制御信号S2の単調に減少する波形部が入力すると、発振回路16からは、ほぼ単調に周波数が上昇する(図4の▲3▼の部分)周波信号S3が出力される。このように、発振回路16は、周波数制御信号S2の波形に対応して、一波形が前記▲1▼、▲2▼、▲3▼の部分で形成された周波信号S3を出力する。
【0021】
発信回路16から出力された周波信号S3は2つに分岐され、一方は移相器18に入力し、他方は増幅器17aに入力する。
移相器18は、入力した周波信号の位相を(π/2)ずらして、増幅器17bに出力する。
増幅器17aは、発振回路16から出力された周波信号S3を増幅して第1の駆動信号を生成する。この第1の駆動信号は、2つに分岐され、一方は銀電極15aを介して圧電素子の入力領域13aに入力し、他方は銀電極15cを介して圧電素子の入力領域13cに入力する。増幅器17bは、移相器18から出力された周波信号S3を増幅して第2の駆動信号を生成する。この第2の駆動信号は2つに分岐され、一方は銀電極15bを介して圧電素子の入力領域13bに入力し、他方は銀電極15dを介して圧電素子の入力領域13dに入力する。
【0022】
速度制御回路19には、銀電極15p、15p’を介して検出領域13p、13p’からの出力電圧が入力する。速度制御回路19は、予め設定された基準電圧と前記出力電圧とを比較し、検出領域13p、13p’からの出力の方が小さいときには、周波信号S3における印加時間t1と印加周期t2との比を変えて、印加時間t1の割合が増えるようにパルス設定器30を制御する。そして、パルス設定器30は、変換後の情報をパルス発生器31に出力する。一方、検出領域13p、13p’からの出力の方が基準電圧よりも大きいときには、周波信号S3における印加時間t1と印加周期t2との比を変えて、印加時間t1の割合が減るように、パルス設定器30を制御する。パルス設定器30は、変換後の情報をパルス発生器31に出力する。これにより、超音波モータ10の振動子11に発生する振動の振幅を所定の大きさに保ち、目標速度を維持できるようになっている。
【0023】
このようにして、圧電素子13の入力領域13a、13cには第1の駆動信号が入力し、圧電素子13の入力領域13b、13dには前記第1の駆動信号とは、位相が約(π/2)異なる第2の駆動信号が入力する。その結果、弾性体12には、図2に示すように、相対運動方向(図2における両矢印方向)に振動する第1の振動(1次の縦振動)と、この第1の振動の振動方向にほぼ直交する第2の振動(4次の屈曲振動)とが同時に発生する。これらの振動は合成され、各駆動力取出部12a〜12dには楕円運動が発生する。そして、この楕円運動により、振動子11の各駆動力取出部12a〜12dに接触している相対運動部材21と振動子11との間に、図1に矢印で示す方向の相対運動が発生する。つまり、振動子11を固定して相対運動部材21をリニアガイド等で支持すれば、この相対運動部材21が一方向に直線移動する。また、相対運動部材21を固定して、振動子11をリニアガイド等で支持すれば、振動子11が一方向に直線移動する。相対運動方向(移動方向)を逆にするには、移相器18によって、前記第1の交流電圧と前記第2の交流電圧間の位相差の符号が逆になる(例えば+(π/2)を−(π/2)に変える)ように設定すればよい。
【0024】
本実施形態の超音波モータ10においては、間欠駆動時の速度(振動子11と相対運動部材21間の相対運動の速度)は、周波信号S3の印加周期t2よりも長い時間でみれば、周波信号S3の印加時間t1中に生じる前記相対運動の各速度を平均した平均速度として得られる。一方、1つの印加周期t2における印加時間t1中でみれば、その印加時間t1中に周波信号S3(つまり、前記第1および第2の駆動信号)の周波数が変化しているため、超音波モータ10の速度も変化している。
【0025】
この状態を図5を用いて説明する。図5は、周波信号S3(第1および第2の駆動信号)の周波数と、この周波信号が印加された際に振動子11に発生する振動(ここでは縦振動とする)の振幅との関係を示すグラフである。図5において、縦軸の振幅は超音波モータ10の速度に対応する。また、横軸のfoは超音波モータ10の共振周波数を表す。
【0026】
周波信号S3の印加時間t1中において、圧電素子13に周波信号S3の▲1▼の部分(図4参照)が入力している間は、図5の振動子11に発生する振動の振幅は徐々に増加し(図5の▲1▼参照)、超音波モータ10の速度も徐々に増加する。その後の周波信号S3の▲2▼の部分(図4参照)が入力している間は、図5の振動子11に発生する振動の振幅は一定となり(図5の▲2▼参照)、超音波モータ10の速度も一定になる。なお、このときの周波信号S3の周波数fdは、予め超音波モータの共振周波数foよりも高くなるように設定されている。その後の周波信号S3の▲3▼の部分(図4参照)が入力している間は、図5の振動子11に発生する振動の振幅は徐々に減少する(図5の▲3▼参照)。そのため、超音波モータ10の速度も徐々に減少する。このように、本実施形態の超音波モータ10においては、間欠駆動の際に、印加周期t2内に振動子11に発生する振動の振幅が緩やかに変化する。
【0027】
そのため、振動子と相対運動部材との間に発生する滑りを減少させることができ、振動子と相対運動部材との接触面の摩耗を抑えることが可能となる。また、振動子と相対運動部材との接触部から異音が発生する発音の現象を抑えることもできる。
なお、本実施形態では、発振回路16から出力される周波信号S3を矩形波としたが、図4のS3’に示すように、正弦波としてもよい。
【0028】
また、周波数制御信号S2は、図4に示すような波形に限定されるものではなく、図6に示すような波形としてもよい。図6(a)は、周波数制御信号S2を三角波状に設定した例を示す。このときの周波信号S3は、徐々に周波数が低下した後、一定となることなく、その後、徐々に周波数が増加する。そのため、印加周期t2内における超音波モータの速度は、徐々に上昇した後、徐々に低下していく。この場合、速度が一定とならない分、より微少な駆動が可能となる。
【0029】
図6(b)は、図6(a)の三角波を曲線状に設定した例を示す。この場合、図6(a)の波形に比較して、超音波モータの速度の増加から低下への移行が緩やかに行われる。そのため、振動子と相対運動部材との接触面の摩耗をより効果的に抑えることができる。
図6(c)は、図4の周波数制御信号S2における波形の立ち上がり部と立ち下がり部を曲線状に設定した例を示す。
【0030】
図6(d)は、図4の周波数制御信号S2における波形の立ち上がり部の傾斜を立ち下がり部の傾斜よりも急になるように変更率を設定した例を示す。この場合、超音波モータの速度が増加する時よりも、低下する時の方が速度の変化(振動の振幅の変化)が緩やか行われる。そのため、安定した停止動作を実現することができる。
【0031】
図6(e)は、周波数制御信号S2の値をステップ状に変化させた例を示す。このときの周波信号S3は、周波数が段階的に低下した後、一定となり、その後、段階的に周波数が増加する。そのため、印加周期t2内における超音波モータの速度も、段階的に上昇した後、一定となり、その後段階的に低下していく。なお、本実施形態では、超音波の振動域を利用した超音波アクチュエータを例にとって説明したが、本発明は、他の領域の振動を用いる振動アクチュエータおいても適用することができる。
【0032】
また、縦振動と屈曲振動とを用いて駆動力を起こすタイプを例にとったが、このようなタイプに限定されるものではない。例えば、円環状または円板状の振動子に進行波を発生させて回転運動を取り出す振動アクチュエータや、ねじり振動と縦振動とを用いて回転運動を取り出す振動アクチュエータに対しても同様に適用させることができる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、各請求項に記載された発明によれば、間欠駆動時に振動子と相対運動部材との間に発生する滑りを減少させて、これら振動子と相対運動部材との接触面の摩耗を抑えることができる。
また、従来に比べて、間欠駆動中の振動アクチュエータの急激な停止と起動とが緩和されるため、振動アクチュエータによって得られた出力を外部の装置に取り出す場合に、この外部の装置の挙動を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の実施形態で用いた超音波アクチュエータの振動子の構成を示す概略斜視図である。
【図2】は、実施形態で用いた振動子と、この振動子に発生する振動の波形とを示す説明図である。
【図3】は、実施形態の超音波アクチュエータの駆動回路の構成を示すブロック図である。
【図4】は、図3のブロック図の各部における出力信号の関係を示す説明図である。
【図5】は、振動アクチュエータの駆動周波数と振動子に発生する振動の振幅との関係を示す説明図である。
【図6】は、周波数制御信号S2の変形例を示す波形図である。
【図7】は、振動アクチュエータにおける従来の駆動信号の一例を示す波形図である。
【主要部分の符号の説明】
10 超音波アクチュエータ(振動アクチュエータ)
11 振動子
12 弾性体
13 圧電素子(電気機械変換素子)
16 発振回路
17 増幅器
18 移相器
19 速度制御回路
21 相対運動部材
30 パルス設定器
31 パルス発生器(駆動手段)
32 制御信号発生器(周波数制御手段)
Claims (11)
- 電気機械変換素子と、該電気機械変換素子によって発生した振動により得られた駆動力を取り出すための駆動力取出部とを有し、前記駆動力によって前記駆動力取出部に接触した相対運動部材との間に相対運動を発生させる振動アクチュエータと、
前記電気機械変換素子に、前記振動アクチュエータの共振周波数よりも高い周波数で交流電圧を間欠的に印加する駆動回路とを備え、
前記駆動回路は、前記交流電圧が前記電気機械変換素子に間欠的に印加されている際に、複数の間欠駆動のうちの1つの間欠駆動において、前記交流電圧の印加開始に応じて電圧値を一定としたまま周波数が低下するように変化する立ち上がり部と、電圧値を一定としたまま周波数が増加するように変化して前記交流電圧の印加が終了する立ち下がり部とを有するように前記交流電圧の周波数を変更することを特徴とする振動アクチュエータの駆動装置。 - 前記駆動回路は、前記交流電圧を生成する発振手段と、該発振手段を間欠的に駆動する駆動手段と、前記交流電圧の周波数を制御する制御信号を生成して前記発振手段に出力する周波数制御手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載された振動アクチュエータの駆動装置。
- 前記駆動回路は、前記立ち上がり部と前記立ち下がり部との間に、前記交流電圧の周波数が略一定の値をとる定常部を有するように前記交流電圧を印加することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された振動アクチュエータの駆動装置。
- 前記駆動回路は、前記立ち上がり部および前記立ち下がり部において、前記周波数を単調変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された振動アクチュエータの駆動装置。
- 前記駆動回路は、前記1つの間欠駆動において、前記立ち下がり部における前記周波数の変更を前記立ち上がり部における前記周波数の変更より緩やかに行なうことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された振動アクチュエータの駆動装置。
- 前記駆動力取出部は矩形平板状に形成された弾性体を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された振動アクチュエータの駆動装置。
- 前記間欠駆動を一定の印加周期で行い、1つの前記印加周期の間に前記交流電圧が印加される印加時間の割合を制御する制御回路を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載された振動アクチュエータの駆動装置。
- 電気機械変換素子と、該電気機械変換素子の励振により得られた駆動力を取り出すための駆動力取出部とを有し、前記駆動力によって前記駆動力取出部に接触した相対運動部材との間に相対運動を発生させる振動アクチュエータの駆動方法において、
前記電気機械変換素子に、前記振動アクチュエータの共振周波数よりも高い周波数で交流電圧を間欠的に印加するとともに、
前記交流電圧が前記電気機械変換素子に間欠的に印加されている際に、複数の間欠駆動のうちの1つの間欠駆動において、前記交流電圧の印加開始に応じて電圧値を一定としたまま周波数を低下させ、電圧値を一定としたまま周波数を増加させて前記交流電圧の印加を停止することを特徴とする振動アクチュエータの駆動方法。 - 前記1つの間欠駆動において、
前記交流電圧の前記電気機械変換素子への印加開始の際は、前記交流電圧の周波数を低 下させ、
前記交流電圧の周波数が所定値に達した後は、前記交流電圧の周波数を一定に保ち、
前記交流電圧の前記電気機械変換素子への印加停止の際は、前記交流電圧の周波数を増加させることを特徴とする請求項8に記載された振動アクチュエータの駆動方法。 - 前記交流電圧の周波数は単調に変化することを特徴とする請求項8または請求項9に記載された振動アクチュエータの駆動方法。
- 前記1つの間欠駆動において、前記交流電圧の前記電気機械変換素子への印加停止の際の前記周波数の変更は、前記交流電圧の前記電気機械変換素子への印加開始の際の前記周波数の変更より緩やかに行なうことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載された振動アクチュエータの駆動方法。
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