JP4253548B2 - シリンダヘッド冷却構造 - Google Patents

Description

本発明はシリンダヘッド冷却構造に関するものである。

ディーゼルエンジンのシリンダブロックに締結されて燃焼室の一部を構成するシリンダヘッドは、給排気系、動弁系、及び燃料噴射系などが付帯する複雑な形状の部品である。
シリンダヘッド内部には、冷却水が流通するウォータジャケットが形成され、燃焼面や排気通路などの高温部位を冷却するようになっている（例えば、非特許文献１参照）。

図３は従来のシリンダヘッド冷却構造の一例を示すもので、１はシリンダヘッド、２はウォータジャケット、３は燃焼室、４は吸気通路壁、５は排気通路壁を表わしている。

このシリンダヘッド冷却構造の適用対象であるディーゼルエンジンは、１気筒あたりの弁配置が吸気２弁・排気２弁の４弁式となっている。
吸気通路壁４は、吸気弁（図示せず）の弁体部分を周方向に取り囲み、排気通路壁５は、排気弁（図示せず）の弁体部分を周方向に取り囲んでいる。

シリンダヘッド１の後方Ａ側寄り部分には、シリンダブロックから冷却水Ｗをウォータジャケット２へ送給する冷却水入口６が穿設され、シリンダヘッド１の前方Ｆ側寄り部分には、ウォータジャケット２から冷却水をシリンダブロックへ送出する冷却水出口７が穿設されている。
ウォータジャケット２左右側部には、シリンダブロックから冷却水Ｗを通路壁４，５の間の空隙へ向けて送出するクーリングジェット８が、各燃焼室３ごとにシリンダヘッド１と一体的に設けてある。

クーリングジェット８の冷却水通路９は錐孔加工により形成され、当該錐孔の冷却水Ｗの流通に利用しない部分はプラグ１０で閉止してある。
これら冷却水入口６、冷却水出口７、並びに冷却水通路９は、シリンダブロック内部のウォータジャケットに連通している。

図３に示すシリンダヘッド冷却構造では、冷却水入口６からウォータジャケット２内に入り、シリンダヘッド１の前方Ｆ側へ進む冷却水Ｗの流れによって、シリンダヘッド１を全般的に冷却し、更に、クーリングジェット８から通路壁４，５間の空隙へ進む冷却水Ｗによって、燃焼面や排気通路などの高温部位を冷却している。
産業用ディーゼルエンジンのシリンダヘッド 黒田 良一、伊賀 淳郎 エンジンテクノロジー通巻２６号 ｐ104−ｐ109 株式会社 山海堂 平成１５年６月２６日発行

しかしながら、シリンダヘッド冷却構造の適用対象であるディーゼルエンジンが高出力になった場合、冷却水入口６からウォータジャケット２内に送給される冷却水Ｗ、並びにクーリングジェット８から吸気通路壁４と排気通路壁５の間の空隙へ送出される冷却水Ｗでは、各燃焼室３に付帯する排気通路壁５、及びその付近を充分に冷却できなくなることが懸念される。

本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、エンジン高出力化に対応可能なシリンダヘッド冷却構造を提供することを目的としている。

上記目的を達成するために、本発明は、シリンダヘッドのウォータジャケット内にある吸気通路壁と排気通路壁の間の空隙へ向けて冷却水を送出する一対のクーリングジェットを燃焼室ごとに有するシリンダヘッド冷却構造であって、シリンダブロックのウォータジャケットとシリンダヘッドのウォータジャケットを連通する送水孔を燃焼室ごとに設け、シリンダブロックのウォータジャケットから冷却水をシリンダヘッド内の排気通路壁へ向けて送出するクーリングノズルを、前記送水孔に装着している。

本発明においては、送水孔に装着したクーリングノズルによって、シリンダブロックのウォータジャケットから排気通路壁へ向けて冷却水を送出し、当該排気通路壁、及びその付近を冷却する。

本発明によれば、下記のような優れた効果を奏し得る。

（１）シリンダヘッドのウォータジャケットを流通する冷却水とは別途に、クーリングノズルから送出される冷却水により排気通路壁、及びその付近を集中的に冷却するので、エンジン高出力化に対応できる。

（２）送水孔にクーリングノズルを装着する構成であるので、シリンダヘッドの形状が今まで以上に複雑にならず、既存のシリンダヘッドの設計を利用できる。

以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図１及び図２は本発明のシリンダヘッド冷却構造の実施の形態の一例を示すものであり、図中、図３と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。

このシリンダヘッド冷却構造では、シリンダブロック１１頂部、当該シリンダブロック１１とシリンダヘッド１の間に介在しているガスケット１２、及びシリンダヘッド１底部のそれぞれを貫通する送水孔１３，１４，１５を同軸に穿設して、シリンダブロック１１のウォータジャケット１６とシリンダヘッド１のウォータジャケット２を連通させ、前記のシリンダヘッド１の送水孔１５にクーリングノズル１７を圧入している。

ウォータジャケット２，１６を連通する送水孔１３，１４，１５は、各燃焼室３ごとに設けてある。
シリンダヘッド１に対するクーリングノズル１７の装着手段には、圧入のほかに螺合を適用してもよい。

クーリングノズル１７は、短円柱形状の部材に対してその底面及び外周面の２方向からの錐孔加工により冷却水通路１８を形成したもので、シリンダブロック１１からシリンダヘッド１内の排気通路壁５へ向けて冷却水Ｗを送出するようになっている。

すなわち、冷却水入口６からウォータジャケット２内に入ってシリンダヘッド１の前方Ｆ側へ進む冷却水Ｗの流れが、シリンダヘッド１を全般的に冷却し、クーリングジェット８から通路壁４，５間の空隙へ進む冷却水Ｗが、燃焼面や排気通路などの高温部位を冷却することに加えて、クーリングノズル１７から排気通路壁５へ向けて送出される冷却水Ｗが、当該排気通路壁５、及びその付近を集中的に冷却する。

このように、図１及び図２に示すシリンダヘッド冷却構造では、クーリングノズル１７から送出される冷却水Ｗによって排気通路壁５、及びその付近を集中的に冷却するので、エンジン高出力化に対応できる。

また、送水孔１５に機械加工によって形成したクーリングノズル１７を装着する構成であるので、シリンダヘッド１の形状が今まで以上に複雑にならず、既存のシリンダヘッド１の設計を利用できる。

なお、本発明のシリンダヘッド冷却構造は、上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、１気筒あたり（燃焼室ごと）のクーリングノズルの数を増やすこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加え得ることは勿論である。

本発明のシリンダヘッド冷却構造は、車両用のディーゼルエンジンをはじめとして各種の内燃機関に適用できる。

本発明のシリンダヘッド冷却構造の実施の形態の一例を全体的に示す概念図である。 図１に関連するクーリングノズル装着個所の概念図である。 従来のシリンダヘッド冷却構造の一例を全体的に示す概念図である。

符号の説明

１ シリンダヘッド
２ ウォータジャケット
５ 排気通路壁
１１ シリンダブロック
１３ 送水孔
１４ 送水孔
１５ 送水孔
１６ ウォータジャケット
１７ クーリングノズル
Ｗ 冷却水

Claims (1)

1. シリンダヘッドのウォータジャケット内にある吸気通路壁と排気通路壁の間の空隙へ向けて冷却水を送出する一対のクーリングジェットを燃焼室ごとに有するシリンダヘッド冷却構造であって、シリンダブロックのウォータジャケットとシリンダヘッドのウォータジャケットを連通する送水孔を燃焼室ごとに設け、シリンダブロックのウォータジャケットから冷却水をシリンダヘッド内の排気通路壁へ向けて送出するクーリングノズルを、前記送水孔に装着したことを特徴とするシリンダヘッド冷却構造。

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