JP4253143B2 - ネジ締め付け具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、ゼンマイバネの巻き弾性によって、ボルトやナット等を締め付けるネジ締め付け具の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ボルトやナット等は、建築物や鉄道のまくら木をはじめとして各種部材の固定用等に広く利用されているが、これらのボルトやナット等は、後に緩んでこないように一定の締め付けトルクで締め付けておく必要がある。
しかしながら、ボルトやナット等を個々に、一定の締め付けトルクで締め付けを行うには、トルクレンチ等を必要とするとともに、大きい締め付けトルクで締め付ける必要の有る場合は作業者にとって労力を要する。
又、例えば木材にボルトやナットを用いる場合、最終的に一定の締め付けトルクで締め付けたしても、木材の経年変化によってボルトやナットが自然と緩んだ状態になってしまう。そのため、締め付けを行ってから期間経過後に、再度締め付け作業を行わなければならない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、以上の実情に鑑み提案されたもので、ボルトやナット等を、一定の締め付けトルクで締め付け操作を行わなくても、自然と一定の締め付けトルクで締め付けることのできるものであって、しかも、経年変化によってボルトやナットが自然と緩んだ状態になってしまう木材等への使用に際しても、常時一定の締め付けトルクを維持しておくことのできるネジ締め付け具の提供を第1の目的とする。
本願発明は、ゼンマイバネを弾性を有する状態で係止した係止部材を、容易に係止解除でき、作業容易なネジ締め付け具の提供を第2の目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、以下の特徴を有するネジ締め付け具を提供することにより上記課題を解決する。
本願の請求項1の発明は、巻き弾性を有するゼンマイバネ(1)と、ゼンマイバネ(1)を巻き弾性を有する状態で係止した係止手段(2)とを備え、ゼンマイバネ(1)における径内側の先端側がボルトやナット等の被締付部材(H)に係合され、ゼンマイバネ(1)における径外側の後端側が被締付部材(H)を装着した被装着材(S)に固定され、係止手段(2)が、係止解除可能なものからなり、ゼンマイバネ(1)における径外側の後端部には、被締付部材(H)を装着した被装着材(S)に固定させるための固定手段(4)が備えられたネジ締め付け具について、次の構成を備えたものを提供する。
即ち、上記ゼンマイバネ(1)における径内側の先端部又はゼンマイバネ(1)の径外側の後端部には、ゼンマイバネ(1)の先端を被装着材(S)に装着した被締付部材(H)に係合すると共にゼンマイバネ(1)の後端を被装着材(S)へ固定した際に、ゼンマイバネ(1)の下端側よりも下方に突出する接触防止手段が備えられ、ゼンマイバネ(1)の下端側は、ゼンマイバネ(1)の後端を被装着材(S)へ固定した際に、被装着材(S)に対し、接触防止手段の突出する厚さ分だけ上方側に配位される。これによって、ゼンマイバネ(1)の下端側が、被装着材(S)と接触しないようにされている。
そして、ゼンマイバネ(1)における径内側の先端部には、ボルトやナット等の被締付部材(H)に回動不能に係合させるための係合部材(3)が備えられたものであり、接触防止手段は、上記の係合部材(3)に設けた受け部(51)と、ゼンマイバネ(1)の後端側の輪状部(41)に設けた突起(52)とを備え、受け部(51)は、係合部材(3)において、ゼンマイバネ(1)より下方に突設された部位であり、突起(52)は、輪状部(41)の下端側に、ゼンマイバネ(1)の下端から下方に向けて突設されたものであり、上記受け部(51)と突起(52)とによって、被装着材(S)へ固定された後のゼンマイバネ(1)は、前端から後端に至るゼンマイバネ(1)全体の下端側と被装着材Sとの間に隙間が形成されている。
本願の請求項2の発明は、係止手段(2) が、紐状の係止部材(21)と、係止部材(21)の係止を解除する係止解除機構(22)とを備え、係止部材(21)が、巻き弾性を有する状態のゼンマイバネの外周に巻回されることにより、ゼンマイバネ(1)が巻き弾性を有する状態で係止され、係止解除機構が、ゼンマイバネ(1) の後端部の被装着材(S) への固定操作に際して係止部材(21)の係止を解除するものであることを特徴とする請求項1に記載のネジ締め付け具を提供する。
【0005】
以上のように構成された本願発明においては、係止部材21の係止を外せば、それまで係止されていたゼンマイバネ1が開放されて巻き弾性により拡張し、この拡張に際してゼンマイバネ1の前端に係合したボルトH1やナット等の被締付部材Hを回動させることができ、一定トルクで締め付けることができる。又、その際、例えばゼンマイバネ1をケース内に入れているような場合にはゼンマイバネ1がケースの内径以上には拡張できないため、係合部材3によってボルトH1を回動させる量が制限され、その結果、予め木材SにボルトH1をスパナ等である程度の締め付けトルクで締めておかなければボルトH1を一定の締め付けトルクまで締め付けることができない恐れが生じるが、本願発明においては係止部材21を係止解除した後は、ケースのようなものもなくゼンマイバネ1の拡張を妨げるものがないため、ボルトH1をより多く回動させることができ、手でボルトH1を木材Sに装着しておいてもボルトH1を一定の締め付けトルクになるまで回動させて締め付けることができる。従って、スパナ等の工具を使用しなくても、単に手でボルトH1を木材Sにセットしさえしておけば良く、操作容易なものにできる。又、ボルトH1の締め付け後は、ボルトH1に、ゼンマイバネ1の弾性力をかけた付勢状態で維持できる。従って、その後、時間が経過して被装着材としての木材Sが径年変化し、ボルトH1の締め付けトルクが下がり始めると、それに合わせてゼンマイバネ1の弾性力によってボルトH1を自動的に締め付けることができ、常時一定の締め付けトルクを維持させることができる。一方、弾性を有する状態のゼンマイバネ1を係止部材21によって係止しているだけのため、全体の重量を極力軽減でき、運搬や取扱いに際しての労力を軽減し得るものにできる。又、製作にあたっては、ゼンマイバネ1を収納するケース等も設けていないため、加工を簡単なものにできるとともに、金型も殆ど必要とせずに低コストで製作し得るものにできる。また、係止手段2を、紐状の係止部材21と、係止部材21の係止を解除する係止解除機構とを備えたものとし、係止解除機構を、ゼンマイバネ1の後端部の被装着材Sへの固定に際して係止部材21の係止を解除するものとする。こうすることにより、ゼンマイバネ1の後端部を被装着材Sに固定するという一つの操作で、同時に係止部材21の係止を解除することができ、操作容易なものにできる。
特に、接触防止手段により、ゼンマイバネ1の前端側又は後端側における下端を被装着材Sに接触しないようにして、ゼンマイバネ1を拡張する際の抵抗を少なくした。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図を基に本願発明の実施形態を具体的に説明する。
第1図(A) は、本願発明の一実施形態のネジ締め付け具の平面図、第1図(B) は、その側面図、第2図は、第1図(A) のII−II線断面図である。
【0007】
本願発明のネジ締め付け具は、ゼンマイバネ1と、係止手段2とを備えている。ゼンマイバネ1は、長尺状の鋼板を、前端側から順次巻回成形して前端側を径内側に配し、後端側を径外側に配して巻き弾性を有する渦巻き状を呈するものとされている。
【0008】
ゼンマイバネ1の前端には、係合部3が設けられている。この係合部3は、ボルトやナット等の被締付部材H(第4図に図示)に係合させるための係合手段としてのもので、本実施形態では、ゼンマイバネ1と別体からなる係合部材3から構成されている。この係合部材3は、ゼンマイバネ1の幅よりやや高さの高い筒状体からなり、係合部材3の内周部に被締付部材Hを回動不能に嵌合し得る正6角形状の嵌合部31が備えられている。又、係合部材3の外周には、ゼンマイバネ1の前端に取り付けるための取付け用溝32が備えられている。この取付け用溝32は、係合部材3の上面から略L字状に、下端側に1〜1.5mm程度の厚さの受け部51を残すようにしてゼンマイバネ1の幅と略同一深さで形成されている。そして、この取付け用溝32に、コの字状に折り曲げ成形されたゼンマイバネ1の前端が上方側から嵌挿されることにより、ゼンマイバネ1の下端が係合部材3の下面から受け部51の厚さ分だけ上方側に配位された状態で、回転不能に取り付けられている。
【0009】
尚、係合部材3とゼンマイバネ1の前端との取付け方法は、上記形態のものに限らず、回転不能に取り付け得る形態のものであれば良く、特に限定されない。又、係合部材3とゼンマイバネ1の前端との取付けは、係脱自在に取り付ける形態のものでも、固定した形態のものであっても良い。一方、係合部材3の嵌合部31は、正6角形状の形態のものに限らず、正12角形状にする等、ボルトやナット等の被締付部材Hを回動不能に係合し得る形状であれば良い。
【0010】
ゼンマイバネ1の後端には、固定手段4が備えられている。この固定手段4は、ボルトやナット等の被締付部材Hを装着する建造物やまくら木等の被装着材S(第4図に図示)に固定するためのものである。本実施形態における固定手段4は、輪状部41と、釘等の固定部材42とから構成している。輪状部41は、ゼンマイバネ1の後端を、固定部材42を挿通し得る大きさの輪状に巻回成形されることにより形成されている。そして、この輪状部41に固定部材42を挿通して被装着材Sに打ち込むことにより、固定部材42に設けた径大な頭部43と被装着材Sとの間に輪状部41を固定するようになされている。
【0011】
尚、固定部材42は、釘を使用する形態のものに限らず、被装着材Sに固定し得る形態のものであれば良く、木ネジや、先端にドリル部を有するセルフドリリングネジ、更には一般的なボルト等であっても良い。例えば、被装着材Sが木材製である場合は、釘や木ネジを使用し、一方、被装着材Sが鉄筋製等であるような場合には、セルフドリリングネジを使用するようにすれば、セルフドリリングネジの回転によりネジ加工をしながら締め付けることができ、被装着材Sの種類に応じて固定できる。又、固定部材42は、輪状部41に挿通可能にしておかなくても、予め固定部材42をゼンマイバネ1の後端に固定しておくようにしても良い。但し、予め固定しておくと、被装着材Sの種類に応じて適応し難くなるので、施工現場で釘、木ネジ、セルフドリリングネジ、ボルト等を任意に選択使用できるようにしておくのが好ましい。
【0012】
又、この実施形態では、ゼンマイバネ1の後端を被装着材Sへ固定した際、ゼンマイバネ1の下端側と被装着材Sとを接触しないようにしておくための接触防止手段が備えられている。この実施形態における接触防止手段は、上述した係合部材3に設けた受け部51と、ゼンマイバネ1の後端側の輪状部41に設けた突起52とから構成される。この突起52は、輪状部41の下端側に、ゼンマイバネ1の下端から1〜1.5mm程度の長さで下方に突設されている。そして、これらの受け部51と突起52とによって、被装着材Sへ固定された後のゼンマイバネ1は、第4図に示すように前端から後端に至るゼンマイバネ1全体の下端側と被装着材Sとの間に1〜1.5mm程度の隙間tが形成され、ゼンマイバネ1の下端側を被装着材Sに接触しないようになされている。尚、突起52や受け部51とゼンマイバネ1の下端との高さは、1〜1.5mm程度に限らず、特に限定されない。又、突起52と受け部51との高さを、異なるものにしても良く、適宜変更し得る。
【0013】
係止手段2は、本実施形態では、第1図(B) に示すようにゼンマイバネ1を巻き弾性を有する状態で係止しておくための係止部材21と、係止部材21の係止を解除する係止解除機構とを備えている。係止部材21は、径細の鋼線を被覆部材で被覆した長尺状の紐状のものから構成されており、折り曲げ自在なものからなる。
【0014】
係止解除機構は、ゼンマイバネ1の後端部の被装着材Sへの固定操作に際して係止部材21の係止を解除できるようにするもので、以下の構成から成る。
即ち、ゼンマイバネ1の後端側における輪状部41の前方位置に設けられた係止部材挿通用孔22を備え、係止部材21は、ゼンマイバネ1の外周から係止部材挿通用孔22を通過した後、係止部材挿通用孔22と輪状部41との間におけるゼンマイバネ1の幅方向の図示下端を横切って外周側に回り、ゼンマイバネ1の後端の輪状部41の外周側を通って巻回し、このようにして、弾性を有する状態のゼンマイバネ1を拡張しないように係止している。従って、係止部材21によって係止されたゼンマイバネ1は、係止部材挿通用孔22から輪状部41にかけての部分が、係止部材21によって斜め上方側に押し上げられて他の部分と幅方向がずれた状態になっている。これにより、輪状部41に釘等の固定部材42を挿通し、被装着材Sに輪状部41を固定することにより、係止部材21が切断され、或いは、係止部材21が下方に外されて、係止部材21による係止が解除されるのである。
【0015】
次に、このネジ締め付け具の使用方法について、第3図、第4図に基づき説明する。
例えば被締付部材HとしてのボルトH1を、被装着材Sとしての木材Sに締め付ける場合は、まず、木材Sに装着したボルトH1の頭部に、係合部材3の嵌合部31を嵌合させる。これにより、ネジ締め付け具の径内側の前端側がボルトH1に係合し、ネジ締め付け具を放してもネジ締め付け具が動くようなことがない。その後、固定部材42を、輪状部41に通して木材Sに打ち込む。これにより、ゼンマイバネ1の径外側の後端側が木材Sに固定される。この固定状態においては、上述したようにゼンマイバネ1の前端側に設けた受け部51とゼンマイバネ1の後端側に設けた突起52とによる接触防止手段によって、前端から後端に至るゼンマイバネ1全体の下端側と被装着材Sとの間に隙間tが形成された状態となる。又、固定部材42の木材Sへの打ち込みに際して、ゼンマイバネ1の幅方向の下端から外周側に回された係止部材21の部分がゼンマイバネ1の下端から押圧力を受けて切断され、又は、切断されない場合でもゼンマイバネ1の外周に巻回した係止部材21が下方側に押圧されてゼンマイバネ1の外周から外れて係止が解除される。この係止部材21の係止解除により、第3図に示すようにゼンマイバネ1が開放されて巻き弾性により拡張し、この拡張に際して係合部材3が回動し、これに係合したボルトH1も共に回動する。これにより、ボルトH1を締め付けることができる。従って、ゼンマイバネ1の後端側の固定操作だけで良く、係止部材21の解除操作を不要とし、操作を容易なものにできる。しかも、ゼンマイバネ1の拡張に際し、接触防止手段によってゼンマイバネ1の下端側と被装着材Sとの間に隙間tが形成されているため、ゼンマイバネ1が被装着材Sから抵抗を受けることがなく、ゼンマイバネ1の巻き弾性をそのままボルトH1に伝達でき、ボルトH1を確実に締め付けることができる。又、その際、例えばゼンマイバネ1をケース内に入れているような場合にはゼンマイバネ1がケースの内径以上には拡張できないため、係合部材3によってボルトH1を回動させる量が制限され、その結果、予め木材SにボルトH1をスパナ等である程度の締め付けトルクで締めておかなければボルトH1を一定の締め付けトルクまで締め付けることができない恐れが生じるが、本願発明においては係止部材21を係止解除した後は、ケースのようなものもなくゼンマイバネ1の拡張を妨げるものがないため、ボルトH1をより多く回動させることができ、手でボルトH1を木材Sに装着しておいてもボルトH1を一定の締め付けトルクまで締め付けることができる。従って、スパナ等の工具を使用しなくても、単に手でボルトH1を木材Sにセットしさえしておけば良く、操作容易なものにできる。
【0016】
そして、このゼンマイバネ1の弾性によるボルトH1の締め付けは、ゼンマイバネ1の弾性力とボルトH1の締め付けトルクが等しくなった時点で止まり、締め付けられたボルトH1は、ゼンマイバネ1の弾性力がかかった付勢状態で維持される。従って、その後、時間が経過して木材Sが径年変化し、いわゆる木材Sが痩せてきてボルトH1の締め付けトルクが下がり始めると、それに合わせてゼンマイバネ1の弾性力によってボルトH1を自動的に締め付けることができ、常時一定の締め付けトルクを維持させることができる。尚、ボルトH1を締め付けた後は、その状態で放置しておいても良いが、例えば第4図中に破線で示すように全体を被覆用ケース6で覆うようにしても良く、適宜変更し得る。
【0017】
以上のようにしたネジ締め付け具を使用するようにすれば、弾性を有する状態のゼンマイバネ1を紐状の係止部材21によって係止しているだけのため、全体の重量を極力軽減でき、運搬や取扱いに際しての労力を軽減し得るものにできる。又、製作にあたっては、ゼンマイバネ1を収納するケース等も設けていないため、加工を簡単なものにできるとともに、金型も殆ど必要とせずに低コストで製作し得るものにできる。
【0018】
尚、本実施形態では、係止手段2における係止解除機構の係止部材挿通用孔22を、ゼンマイバネ1の幅方向の下端側に穿設しているが、係止部材挿通用孔22のゼンマイバネ1の幅方向に対する位置は、特に限定されない。但し、ゼンマイバネ1の幅方向の下端側に設けておく方がゼンマイバネ1の後端側を被装着材Sに固定するに際して切断しない場合に係止部材21がゼンマイバネ1の外周から外れ易くなり、確実に係止解除できる点で好ましい。
【0019】
又、係止部材挿通用孔22は、この形態のものに限らず、例えば第5図に示すようにゼンマイバネ1の幅方向の上端又は下端(第5図では、下端から開けたものを図示)から所定の深さで開けるようにしても良く、このようにしても係止部材21をゼンマイバネ1の幅方向の図示下端を横切って外周側に回すことができる。又、このような一端開口の係止部材挿通用孔22を設けることにより、ゼンマイバネ1の後端側を被装着材Sに固定する際に、ゼンマイバネ1の幅方向の図示下端から外周側に回した係止部材21の部分を、ゼンマイバネ1の押圧力によって切断するか、又は、切断できない場合でもゼンマイバネ1の押圧力によって係止部材21をゼンマイバネ1の外周から外して係止解除することができ、係止部材21の係止を確実に外すことができる。
【0020】
また、係止手段2の係止解除機構は、上記形態のものに限らず、ゼンマイバネ1の後端側を被装着材Sに固定する操作により、係止した係止部材21を切断するか、又は、ゼンマイバネ1の外周から外して係止解除し得る形態のものであれば良い。
【0021】
例えば第6図(A)(B)に示すように、ゼンマイバネ1に係止部材挿通用孔22を設けるとともに、ゼンマイバネ1の後端側における係止部材挿通用孔22近傍から後端までの部分を、予め後端に行くに従って漸次上方側になるように傾斜部11を形成しておき、係止部材21を係止部材挿通用孔22に通して傾斜部11を除くゼンマイバネ1の外周に巻回して係止する。そして、被装着材Sに固定する際に、ゼンマイバネ1の傾斜部11を、径内側の部分に当接する程度まで手等で押圧し、その状態から傾斜部11の後端に設けた輪状部41に固定部材42を打ち込むようにする。こうすることにより、固定部材42を打ち込む際に、傾斜部11が水平状に変位していき、その水平状に変位していく過程で傾斜部11の下端が、巻回した係止部材21に当接し下方に押圧して切断し、又は、切断しない場合でも傾斜部11が水平状に変位していく過程で巻回した係止部材21を、第6図(B) の右方から左方に沿って順次下方に押圧してゼンマイバネ1の外周から外すことができる。
【0022】
又、この場合において、第7図に示すようにゼンマイバネ1における係止部材挿通用孔22近傍に径内側に向かって折り曲げた折り曲げ部12を形成しておき、予め傾斜部11を径内側の部分に当接するようにしておいても良く、このようにしておけば、固定部材42を固定する際に手等で傾斜部11を押圧しながら行わなくても済み、操作を容易なものにできる。
【0023】
更に、係止手段2によるゼンマイバネ1の係止は、単に紐状の係止部材21をゼンマイバネ1の外周全体に巻き付けるようにし、ゼンマイバネ1の後端を被装着材Sに固定した後、係止部材21の係止を外すようにしても良い。
又、ゼンマイバネ1の外周全体に巻き付ける場合や第5図で示したような一端開口の係止部材挿通用孔22を設ける場合には、環状の係止部材21を使用することができる。
【0024】
係止手段2は、紐状の係止部材21によるものに限らず、例えば第8図(A)(B)に示すように両端に係止片21a、21aを有するコの字状の係止部材21から構成し、この係止部材21を、渦巻き状に巻回した状態のゼンマイバネ1に上方側から、係止片21a、21a各々をゼンマイバネ1の径外部と径内部に配設するようにセットしてゼンマイバネ1を係止しておき、ゼンマイバネ1の後端を被装着材Sに固定した後に係止部材21を抜き取るようにしても良い。
【0025】
更には、ゼンマイバネ1の径外側の後端側に、ゼンマイバネ1の一部を径外側に切り起こして形成した係合爪と、ゼンマイバネ1の一部に形成した係合孔とを備えたものとし、係合爪と係合孔とによって所定の大きさに巻回した状態のゼンマイバネ1を係止し、ゼンマイバネ1の後端を被装着材Sに固定した後にそれらの係止を外すようにしても良く、適宜変更できる。
【0026】
更に、本実施形態では、係合手段としてゼンマイバネ1と別体の筒状の係合部材3を取り付けているが、例えば第9図に示すようにゼンマイバネ1の前端を正6角や正12角形状に折り曲げ成形することにより、内部に被締付部材Hを嵌合し得る嵌合部31を有する係合部3を形成するようにしても良い。
【0027】
或いは、第10図(A) に示すようにゼンマイバネ1の前端一部を折り曲げ成形した係合片23を係合部とし、この係合片23を、ボルトやナットH2に設けた係合溝H3に嵌め入れることにより係合させるものにし、係合溝H3を有するボルトやナットH2に使用するようにしても良い。
【0028】
又、本実施形態では、係合手段によって、ゼンマイバネ1の前端と被締付部材Hとを着脱自在に係合するようにしているが、係合手段を設ける形態のものに限らず、例えば第10図(B) に示すように、ゼンマイバネ1の前端と、被締付部材Hとしてのボルト又はナットH2とを、溶接等の取付け手段7によって固定させて取り付けておき、被締付部材Hを有するゼンマイバネ1として実施することもでき、適宜変更できる。
【0029】
また、本実施形態では、接触防止手段を、係合部材3に設けた受け部51と、輪状部41に設けた突起52とから構成しているが、この形態のものに限らず、ゼンマイバネ1の後端を被装着材Sに固定した際、ゼンマイバネ1の下端が被装着材Sに接触しない形態のものであれば良く、適宜変更し得る。又、受け部51又は突起52のいずれか一方だけを設けて接触防止手段としても良く、この場合でも、ゼンマイバネ1の前端側又は後端側における下端を被装着材Sに接触しないようにでき、ゼンマイバネ1を拡張する際の抵抗を少なくできる。また、この接触防止手段を全く設けなくても良く、適宜変更し得る。
【0030】
【発明の効果】
本願発明は、係止部材21の係止を外せば、ゼンマイバネ1の拡張によって、被締付部材Hを回動させることができ、締め付けることができる。又、ゼンマイバネ1の拡張を妨げるものがないため、ボルトH1をより多く回動させることができ、手でボルトH1を木材Sに装着しておいてもボルトH1を一定の締め付けトルクまで締め付けることができる。従って、スパナ等の工具を使用しなくても、単に手でボルトH1を木材Sにセットしさえしておけば良く、操作容易なものにできる。又、ボルトH1の締め付け後は、ボルトH1に、ゼンマイバネ1の弾性力をかけた付勢状態で維持できる。従って、その後、時間が経過して被装着材としての木材Sが径年変化し、ボルトH1の締め付けトルクが下がり始めると、それに合わせてゼンマイバネ1の弾性力によってボルトH1を自動的に締め付けることができ、常時一定の締め付けトルクを維持させることができる。一方、弾性を有する状態のゼンマイバネ1を紐状の係止部材21によって係止しているだけのため、全体の重量を極力軽減でき、運搬や取扱いに際しての労力を軽減し得るものにできる。又、製作にあたっては、ゼンマイバネ1を収納するケース等も設けずに実施できるため、加工を簡単なものにできるとともに、金型も殆ど必要とせずに低コストで製作し得るものにできる。
特に、接触防止手段により、ゼンマイバネ1の前端側又は後端側における下端を被装着材Sに接触しないようにして、ゼンマイバネ1を拡張する際の抵抗を少なくした。
さらに、請求項2の発明は、ゼンマイバネ1の後端部を被装着材Sに固定するという一つの操作で、同時に係止部材21の係止を解除することができ、操作容易なものにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は本願発明のネジ締め付け具の一実施形態の平面図、(B) は、その側面図である。
【図2】図1(A) のII−II線断面図である。
【図3】被締付部材を締め付けた状態の平面図である。
【図4】被締付部材を締め付けた状態の一部を断面にした側面図である。
【図5】係止手段の他の実施形態を示す側面図である。
【図6】 (A) は、係止手段の更に他の実施形態を示す平面図、(B) は、その側面図である。
【図7】係止手段の更に他のもう一つの実施形態を示す平面図である。
【図8】 (A) は、係止手段としてコの字状の係止部材を用いた実施形態を示す平面図、(B) は、その側面図である。
【図9】係合手段の他の実施形態を示す平面図である。
【図10】 (A) は、係合手段の更に他の実施形態を示す平面図、(B) は、後端に被締付部材を取り付けたゼンマイバネの平面図である。
【符号の説明】
1 ゼンマイバネ
2 係止手段
3 係合手段
4 固定手段
21 係止部材
22 係止解除機構
H 被締付部材
S 被装着材
Claims (2)
- 巻き弾性を有するゼンマイバネ(1)と、ゼンマイバネ(1)を巻き弾性を有する状態で係止した係止手段(2)とを備え、ゼンマイバネ(1)における径内側の先端側がボルトやナット等の被締付部材(H)に係合され、ゼンマイバネ(1)における径外側の後端側が被締付部材(H)を装着した被装着材(S)に固定され、係止手段(2)が、係止解除可能なものからなり、ゼンマイバネ(1)における径外側の後端部には、被締付部材(H)を装着した被装着材(S)に固定させるための固定手段(4)が備えられたものであるネジ締め付け具において、
上記ゼンマイバネ(1)における径内側の先端部又はゼンマイバネ(1)の径外側の後端部には、ゼンマイバネ(1)の先端を被装着材(S)に装着した被締付部材(H)に係合すると共にゼンマイバネ(1)の後端を被装着材(S)へ固定した際に、ゼンマイバネ(1)の下端側よりも下方に突出する接触防止手段が備えられ、
ゼンマイバネ(1)の下端側は、ゼンマイバネ(1)の後端を被装着材(S)へ固定した際に、被装着材(S)に対し、接触防止手段の突出する厚さ分だけ上方側に配位され、
これによって、ゼンマイバネ(1)の下端側が、被装着材(S)と接触しないようにされ、
上記ゼンマイバネ(1)における径内側の先端部には、ボルトやナット等の被締付部材(H) に回動不能に係合させるための係合部材(3)が備えられたものであり、
接触防止手段は、上記の係合部材(3)に設けた受け部(51)と、ゼンマイバネ(1)の後端側の輪状部(41)に設けた突起(52)とを備え、
受け部(51)は、係合部材(3) において、ゼンマイバネ(1)より下方に突設された部位であり、
突起(52)は、輪状部(41)の下端側に、ゼンマイバネ(1)の下端から下方に向けて突設されたものであり、
上記受け部(51)と突起(52)とによって、被装着材(S)へ固定された後のゼンマイバネ(1)は、前端から後端に至るゼンマイバネ(1)全体の下端側と被装着材Sとの間に隙間が形成されたことを特徴とするネジ締め付け具。 - 係止手段(2) が、紐状の係止部材(21)と、係止部材(21)の係止を解除する係止解除機構(22)とを備え、係止部材(21)が、巻き弾性を有する状態のゼンマイバネの外周に巻回されることにより、ゼンマイバネ(1)が巻き弾性を有する状態で係止され、係止解除機構が、ゼンマイバネ(1)の後端部の被装着材(S)への固定操作に際して係止部材(21)の係止を解除するものであることを特徴とする請求項1に記載のネジ締め付け具。
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