JP4253001B2 - ネガ型感光性樹脂組成物およびこれを用いた平版印刷用原版 - Google Patents

ネガ型感光性樹脂組成物およびこれを用いた平版印刷用原版 Download PDF

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Description

本発明は、平版印刷用版材、カラープルーフ、フォトレジストまたはカラーフィルターとして使用できる感光性樹脂組成物に関する。特に、コンピュータ等のデジタル信号に基づいて赤外線レーザを走査することにより直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能な平版印刷用版材として使用可能なネガ型の感光性樹脂組成物およびこれを用いた平版印刷用原版に関する。
近年におけるレーザの発展は目ざましく、特に波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザおよび半導体レーザ(以下、「赤外線レーザ」という場合がある。)は、高出力かつ小型のものが容易に入手できるようになった。これらの赤外線レーザは、コンピュータ等のデジタルデータにより直接印刷版を製版する際の記録光源として非常に有用である。従って、このような赤外線記録光源に対し、感応性の高い感光性樹脂組成物、即ち、赤外線照射により光化学反応等が起こり、現像液に対する溶解性が大きく変化する感光性樹脂組成物への要望が近年高まっている。
このような赤外線レーザにて記録可能な感光性樹脂組成物として、米国特許第4,708,925号に記載されている、オニウム塩、フェノール樹脂及び分光増感剤より構成される記録材料がある。この感光性樹脂組成物は、オニウム塩とフェノール樹脂により発現する、現像液に対する溶解抑止効果を利用したポジ型感光性樹脂組成物である。
一方、ネガ型の感光性樹脂組成物としては、例えば、特開平8−276558号に記載されている、光を吸収し熱を発生する物質、アルカリ可溶性樹脂、分子内に4〜8個のベンゼン核を有する特定のフェノール誘導体よりなる記録材料がある。
しかしながら、これらの感光性樹脂組成物は、いずれもレーザ露光に対する感度が不十分であった。これまで、これらの記録材料を高感度化する試みは種々提案されているが、一般的に感度を向上させるための手段を講じることは記録材料の保存安定性の低下を招く傾向があった。特に、高湿環境下における保存安定性が問題となっていた。
本発明の目的は、赤外線を照射する固体レーザ及び半導体レーザーを用いて、直接コンピュータ等のデジタルデータから製版することができ、上記赤外線レーザに対し高感度で、かつ高湿環境下での保存安定性に優れるネガ型感光性樹脂組成物およびこれを用いた平版印刷用原版を提供することにある。
本発明者等は、赤外線を走査して直接製版することのできる感光性樹脂組成物の構成成分に着目して鋭意検討した結果、フェノール性水酸基の水素原子が特定の官能基−X−Y−Zに置換された構造単位、即ち、少なくとも一般式(1)で表される構造単位または一般式(2)で表される構造単位を有し、さらに、フェノール性水酸基を有するポリマー(a)をバインダー材として用いることにより、該バインダー材内で上記特定の官能基と隣接して存在するフェノール性水酸基部分と強く相互作用し、感光性樹脂組成物の感光膜の膜密度を高めることができることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
即ち、前記目的は、以下のネガ型感光性樹脂組成物〔A〕及び〔B〕、並びに平版印刷用原版により達成される。
少なくとも、ポリマー骨格の主鎖に下記一般式(1)で表される構造単位、または、ポリマー骨格と結合する側鎖として下記一般式(2)で表される構造単位、を有し、且つ、フェノール性水酸基を有するポリマーと、酸により架橋する化合物と、熱により酸を発生する化合物と、赤外線吸収剤と、を含有することを特徴とするネガ型感光性樹脂組成物〔A〕。
Figure 0004253001
〔式中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。Xは単結合または2価の連結基を表し、Yは以下のY1 からなる群より選ばれる少なくとも1つの部分構造を有する2価の連結基を表し、Zは1価の末端基を表す。X2 は単結合、またはC、H、N、O、Sより選ばれる1種以上の原子を含み、かつ炭素数20以下の2価の連結基を表す。〕
Figure 0004253001
少なくとも、ポリマー骨格の主鎖として下記一般式(1)で表される構造単位、または、ポリマー骨格と結合する側鎖として下記一般式(2)で表される構造単位、を有するポリマーと、
フェノール性水酸基を有するポリマーと、
酸により架橋する化合物と、
熱により酸を発生する化合物と、
赤外線吸収剤と、
を含有することを特徴とするネガ型感光性樹脂組成物〔B〕。
Figure 0004253001
〔式中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。Xは単結合または2価の連結基を表し、Yは以下のY1 からなる群より選ばれる少なくとも1つの部分構造を有する2価の連結基を表し、Zは1価の末端基を表す。X2 は単結合、またはC、H、N、O、Sより選ばれる1種以上の原子を含み、かつ炭素数20以下の2価の連結基を表す。〕
Figure 0004253001
支持体上に、上記感光性樹脂組成物〔A〕及び〔B〕より選ばれるいずれか1つの感光性樹脂組成物からなる感光層が設けられていることを特徴とする平版印刷用原版。
本発明の感光性樹脂組成物は、赤外線を照射する固体レーザまたは半導体レーザーを用いてコンピュータ等のデジタルデータから直接記録することができ、上記赤外線レーザに対する感度が高く、高湿環境下における保存安定性にも優れる。
従って、これらの感光性樹脂組成物を用いた本発明の平版印刷用原版は、赤外線レーザを走査することにより直接、かつ安定に製版することができる、ダイレクト製版可能な平版印刷用版材として好適に用いられるものである。
以下、本発明の感光性樹脂組成物およびこれを用いた平版印刷用原版について詳細に説明する。
[(a)少なくとも一般式(1)で表される構造単位または一般式(2)で表される構造単位を有し、かつフェノール性水酸基を有するポリマー]
本発明の感光性樹脂組成物では、バインダー材として、少なくとも一般式(1)で表される構造単位または一般式(2)で表される構造単位を有し、さらに、フェノール性水酸基を有するポリマー(以下、「バインダーポリマー」という場合がある。)を用いることが好ましい。中でも、
少なくとも、ポリマー骨格の主鎖としてフェノール性水酸基の水素原子が特定の官能基−X−Y−Zで置換された前記一般式(1)で表される構造単位を該構造単位中の芳香族炭化水素環Arを介して有するか、または、ポリマー骨格の側鎖として上記同様に特定の官能基−X−Y−Zで置換された前記一般式(2)で表される構造単位を芳香族炭化水素環Ar部で結合して有し、さらにフェノール性水酸基を有するポリマー(以下、「バインダーポリマー(I)」という場合がある。)、
或いは、少なくとも、ポリマー骨格の主鎖としてフェノール性水酸基の水素原子が特定の官能基−X−Y−Zで置換された前記一般式(1)で表される構造単位を該構造単位中の芳香族炭化水素環Arを介して有するか、または、ポリマー骨格の側鎖として上記同様に特定の官能基−X−Y−Zで置換された前記一般式(2)で表される構造単位を芳香族炭化水素環Ar部で結合して有するポリマーと、フェノール性水酸基を有するポリマーと、のポリマー混合物(以下、「バインダーポリマー(II)」という場合がある。)を使用する。
従って、市販のフェノール性水酸基を有するポリマーまたはフェノール性水酸基を有さないポリマーを、少なくとも前記一般式(1)で表される構造単位または一般式(2)で表される構造単位を有するようにそれぞれポリマー構造を変えることにより本発明に用いるポリマーとすることができ、本発明では、前者のポリマーを単独で用いてもよいし、後者のポリマーを市販のフェノール性水酸基を有するポリマーと混合して用いてもよい。
前記一般式(1)および(2)中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を示す。原料の入手性から、芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環またはアントラセン環が好ましい。また、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、炭素数12以下のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。上記のうち、感度が高いという観点から、ベンゼン環またはナフタレン環が好ましく、特にベンゼン環が好ましい。この場合、置換基を有していても有していなくてもよいが、置換基を有する場合、その置換基としてはハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、或いはニトロ基等を有するものが特に好ましい。
前記一般式(1)および(2)中、Xは単結合または2価の連結基を表し、Yは前記Y1 からなる群より選ばれる少なくとも1つの部分構造を有する2価の連結基を表し、Zは1価の末端基を表す。
まず、一般式(1)および(2)中のXについて詳述する。
Xは、既述のごとく、単結合または2価の連結基であり、好ましくは、単結合または置換基を有していてもよい2価の炭化水素連結基を表す。該炭化水素連結基としては、炭素数1〜18の直鎖アルキレン基;炭素数2〜18の直鎖、分枝鎖または環状のアルケニレン基;炭素数2〜8のアルキニレン基;炭素数6〜20のアリーレン基が好ましい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソプロピレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、トリレン基、ビフェニレン基等が挙げられ、下記構造で表される基が特に好ましい。
Figure 0004253001
また、これらの連結基が置換基を有する場合、好ましい置換基としては、炭素数12以下のアルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基が挙げられる。
次に、一般式(1)および(2)中のYについて詳述する。
Yは、Zに連結する2価の連結基を表し、以下の部分構造を有する。以下のY1 の群中の部分構造は、それぞれ解離性活性水素が配された2価の連結基である。解離性活性水素とは、pKa4〜15の範囲で解離性を有する活性水素を意味し、特に、フェノール性水酸基との間で強い相互作用を生ずることが知られている。
Figure 0004253001
ここで、「以下の部分構造を有する」とは、連結基としてのYが上記Y1 からなる群より選ばれる部分構造を少なくとも1つ有することを意味し、上記部分構造を複数有するものであってもよい。従って、Yは、上記部分構造自体であってもよく、さらにこれらを複数個連結した基、或いは、上記部分構造と他の炭化水素基等とを連結した基等であってもよい。
特に、一般式(1)および(2)において、上記部分構造を有する好ましい化合物の具体例としては、アミド、スルホンアミド、ウレア、ウレタン、チオウレア、カルボン酸、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル等が挙げられる。
上記Y1 のうち、本発明において特に好ましい連結基を以下に例示するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
Figure 0004253001
次に、一般式(1)および(2)中のZについて詳述する。
Zは、1価の末端基を表す。Zは、好ましくは置換基を有していてもよい炭化水素基であり、例えば、炭素数1〜18の直鎖、分枝鎖または環状アルキル基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数2〜18の直鎖、分枝鎖または環状アルケニル基;炭素数2〜18の直鎖、分枝鎖または環状アルキニル基が好ましい。
Zの好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、セカンダリーブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ベンジル基、メシチル基、トルイル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、アリル基、ビニル基等が挙げられる。
Zが置換基を有する場合、好ましい置換基としては、炭素数12以下のアルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基が挙げられる。
次に、一般式(2)中のX2 について説明する。
2 は単結合、またはC、H、N、O、Sより選ばれる1種以上の原子を含み、かつ炭素数20以下の2価の連結基を表す。中でも、単結合、アミド結合、ウレア結合、ウレタン結合、エステル結合、エーテル結合、或いはこれらを有する2価のアルキレン連結基が特に好ましい。このアルキレン連結基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物に用いるバインダーポリマーは、少なくとも前記一般式(1)で表される構造単位または一般式(2)で表される構造単位を有するもののうち、少なくとも下記一般式(3)で表される構造単位または下記一般式(4)で表される構造単位を有するポリマーであることが特に好ましい。
Figure 0004253001
〔式中、Ar3 は置換基を有していてもよいベンゼン環、ナフタレン環、またはアントラセン環を表す。R1 およびR2 は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子または炭素数12以下の炭化水素基を表す。rは、1〜4の整数を表す。〕
Figure 0004253001
〔式中、Ar4 は置換基を有していてもよいベンゼン環、ナフタレン環、またはアントラセン環を表す。R3 は水素原子またはメチル基を表す。X2 は単結合、またはC、H、N、O、Sより選ばれる1種以上の原子を含み、かつ炭素数20以下の2価の連結基を表す。rは1〜4の整数を表す。〕
上記一般式(3)のAr3 および一般式(4)のAr4 には、前記一般式(1)および(2)のArにおいて挙げた他の置換基を有していてもよい。
上記一般式(3)または(4)で表される構造単位の具体例を、以下に例示するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
Figure 0004253001
Figure 0004253001
Figure 0004253001
上記一般式(3)または(4)で表される構造単位であるK−1〜K−8中の−X−Y−Zは、表1または表2に例示する官能基をそれぞれ表す。即ち、バインダーポリマーの構造単位は、例えば、その構造単位として上記K−1を用い、またその官能基−X−Y−Zとして上記M−1を用いた場合には、以下の構造をなすものであることを表す。
Figure 0004253001
本発明におけるバインダーポリマーを構成する前記一般式(3)または(4)で表される構造単位のうち、Xが単結合である構造単位が合成時の製造適性の点から特に好ましい。
また、Yには解離性活性水素を有する。該解離性活性水素は、pKa4〜pKa15の範囲で解離性を有する。該Yは、特に下記Y2 からなる群より選ばれる部分構造が好ましく、このうち、アミド構造、ウレア構造を有するものであることが、強い水素結合性を有し、同時に現像液の膜浸透性をも高められる点から特に好ましい。
Figure 0004253001
本発明におけるバインダーポリマーは、公知の方法により合成、混合することにより製造することができる。
上記バインダーポリマーは、前記バインダーポリマー(I)のように少なくとも一般式(1)で表される構造単位または一般式(2)で表される構造単位を有し、かつフェノール性水酸基を有する構成単位の単独重合体でも、前記バインダーポリマー(II)のように少なくとも一般式(1)で表される構造単位または一般式(2)で表される構造単位を有する構成単位の単独重合体と、フェノール性水酸基を有する構成単位の重合体と、の混合物でもよい。
以下に、本発明におけるバインダーポリマーの合成方法について説明する。一般的な合成方法の例として、以下のa),b)が挙げられる。
a)フェノール基を主鎖および/または側鎖に有するポリマーのフェノール性水酸基に、高分子反応により−X−Y−Zを導入する。
b)あらかじめ−X−Y−Zを有する一般式(1)および/または(2)で表される構造単位を有する構成単位を重合させる。
上記方法a),b)のうち、a)による合成がより簡便な方法である。上記重合体中にフェノール性水酸基を有していない場合には、フェノール性水酸基を有する他の重合体と混合する。
本発明におけるバインダーポリマーの重量平均分子量は、1000以上が好ましく、2000〜200000の範囲にあることがより好ましい。この重量平均分子量が2000未満では、塗膜時に亀裂を生ずる原因となり、200000を超えると、アルカリ現像促進性が劣化するため好ましくない。
また、数平均分子量も1000以上であることが好ましく、2000〜150000の範囲にあることがより好ましい。前記同様、数平均分子量が2000未満では、塗膜時に亀裂を生ずる原因となり、また、150000を超えると、アルカリ現像促進性が劣化するため好ましくない。
さらに、多分散度は1以上が好ましく、1.1〜10の範囲にあることがより好ましい。多分散度が1.1未満では、合成が困難となり、また、10を超えると、現像性が安定しないため好ましくない。
上述の本発明におけるバインダーポリマーは、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのバインダーポリマーの感光性樹脂組成物全固形分に対して占める割合は、5〜98重量%であることが好ましく、更には、20〜90重量%であることがより好ましい。全固形分に対して占める割合が、5重量%未満の場合には塗膜形成性に劣り、98重量%を超えると画像形成されない。
本発明の感光性樹脂組成物に用いる、少なくとも一般式(1)で表される構造単位または一般式(2)で表される構造単位を有するバインダーポリマーは、該ポリマー中の特定の官能基−X−Y−ZがpKa4〜15の範囲で解離性活性水素を有することで、ポリマー中で隣接するフェノール性水酸基と強い水素結合性の相互作用を有する一方、同時に、現像液の膜浸透性も高めることができる。即ち、本発明の感光性樹脂組成物は、密な結合を形成するため高密度な膜となり、露光時に光熱変換されて生じた熱の伝達効率が向上するだけでなく現像促進性をも向上し、高感度化と保存安定性を高める効果がある。
従って、一般には相反する傾向にある膜密度と現像性に対して、これら両者を同時に満足し、現像処理が十分に制御された、画像部と非画像部の明瞭な強い膜を形成することできる。
また、本発明の感光性樹脂組成物では、公知の高分子化合物(以下、「添加ポリマー」と称する。)を、本発明におけるバインダーポリマーと併用して使用することができる。この場合、以下の添加ポリマーを使用することができる。
ネガ型の感光性樹脂組成物に使用できる添加ポリマーとしては、ヒドロキシ基またはアルコキシ基が直接結合した芳香族炭化水素環を側鎖又は主鎖に有するポリマーが好ましい。アルコキシ基としては、感度の点から炭素数20以下のものが好ましい。また、芳香族炭化水素環としては、原料の入手性の点からベンゼン環、ナフタレン環またはアントラセン環が好ましく、これらの芳香族炭化水素環は、ヒドロキシ基またはアルコキシ基以外の置換基、例えばハロゲン基、シアノ基等の置換基を有していてもよいが、感度の点からヒドロキシ基またはアルコキシ基以外の置換基を有さないものが特に好ましい。
具体的には、添加ポリマーとして下記一般式(5)で表される構成単位を有する高分子、又はノボラック樹脂等のフェノール樹脂を使用することができる。
Figure 0004253001
〔式中、Ar2 は、ベンゼン環、ナフタレン環またはアントラセン環を示す。R4 は、水素原子またはメチル基を示す。R5 は、水素原子または炭素数20以下のアルコキシ基を示す。X1 は、単結合または、C、H、N、O、Sより選ばれた1種以上の原子を含み、かつ炭素数0〜20の2価の連結基を示す。kは、1〜4の整数を示す。〕
まず、本発明において、好適に用いられる一般式(5)で表される構成単位の例([BP−1]〜[BP−6])を以下に挙げるが、本発明はこれに制限されるものではない。
Figure 0004253001
Figure 0004253001
これらの構成単位を有する添加ポリマーは、従来公知の方法によりラジカル重合することにより得られる。
本発明では、添加ポリマーとして、一般式(5)で表される構成単位のみからなる単独重合体を用いてもよく、この特定構成単位の以外の他の公知のモノマーのみからなる単独重合体を用いてもよく、さらに、この特定構成単位と他の公知のモノマーより誘導される構成単位を有する共重合体を用いても良い。
この場合に用いられる他の公知のモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート等のアクリル酸エステル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;スチレン、アクリロニトリル、および、アクリル酸、メタクリル酸等の酸性基を有するモノマー;さらにp−スチレンスルホン酸のナトリウム塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のアルカリ金属塩、テトラアルキルアンモニウム塩、3−スルホプロピルアクリレートのカリウム塩等の強酸の塩を含有するモノマー等が挙げられる。
これらの添加ポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであることが好ましい。
また、添加ポリマーとして、好適に使用できるノボラック樹脂としては、フェノールノボラック、o−、m−、p−の各種クレゾールノボラック、及びその共重合体、ハロゲン原子、アルキル基等で置換されたフェノールを利用したノボラックが挙げられる。
これらのノボラック樹脂の重量平均分子量は、1000以上であることが好ましく、2000〜200000万の範囲にあることがより好ましい。数平均分子量は1000以上であることが好ましく、2000〜150000の範囲であることがより好ましい。多分散度は1以上が好ましく、1.1〜10の範囲であることがより好ましい。
上記の重量平均分子量、数平均分子量および多分散度が上記範囲に含まれないノボラック樹脂は、前記した本発明におけるバインダーポリマーの場合と同様の理由から好ましくない。
これらの添加ポリマーは、1種のみを用いても2種類以上を混合して用いてもよい。これらの添加ポリマーは、本発明における一般式(1)および/または(2)で表される構造単位を有するバインダーポリマーの使用量に対し、0〜95重量%、好ましくは10〜90重量%の範囲内であれば、該フェノール性高分子に代えて添加することができる。この添加量が95重量%を越えると本発明の効果、即ち、高感度化および保存安定性の向上を達成することができない。
本発明の感光性樹脂組成物は、バインダー材として、少なくともポリマー骨格の主鎖として前記一般式(1)で表される構造単位またはポリマー骨格と結合する側鎖として前記一般式(2)で表される構造単位を有し、且つ、フェノール性水酸基を有するポリマー、或いは、少なくともポリマー骨格の主鎖として前記一般式(1)で表される構造単位またはポリマー骨格と結合する側鎖として前記一般式(2)で表される構造単位を有するポリマーと、フェノール性水酸基を有するポリマーと、のポリマー混合物を用いることにより、赤外線レーザに対する感度及び保存安定性が向上する。特に、高感度化した感光性樹脂組成物の場合、一般に高感度化に伴い保存安定性が劣化する傾向にあるが、その劣化を抑制し、高湿環境下でも保存安定性を十分に維持することができる。
この原理は必ずしも明確ではないが、種々の比較実験の結果から、ポリマー中に特定の官能基−X−Y−Zを有するものが、感度および保存安定性の点で優れていることを見出したものである。さらに、この特定の官能基の効果について詳細に検討したところ、フェノール性の水酸基との間の水素結合性の相互作用(水素結合又はドナーアクセプター或いは酸塩基相互作用)が大きいものは、例えば、公知の文献を引用するとすれば、"Hydrogen bonding" Joesten Schaad著 P291〜381に記載されているように各官能基を有するモデル化合物とフェノールとの相互作用のエンタルピー(−ΔH)が下式を満足する場合、特に、上述の感度および保存安定性の両立と向上が可能であることが分かった。
−ΔH>3.0kcal/mol
このことから、用いるポリマー中にフェノール性水酸基等と相互作用の強い特定の官能基−X−Y−Zを有することで、水素結合性の強い分子間相互作用により膜密度が向上することによって、塗膜における膜質が外的要因(水、熱)に対して強くなったこと、また、均一に分散した後述の「酸により架橋する化合物」(以下、「架橋剤」という。)および色素が分子中に強く保持され、特に、架橋効率が向上したこと、等が本発明の本質であると推測される。
さらに、架橋剤および色素の添加量を過剰に混合した場合に、架橋剤および色素だけが高分子中から分離して表面に結晶化してくる、いわゆる泣き出しが、本発明における、特定の官能基を有するバインダーポリマーを用いた場合には、特定の官能基を持たない従来のポリマーを用いた場合よりも著しく低減されることが実験事実として分かっており、これも上述の推測を支持するものであると考える。
さらにつけ加えると、バインダー材として、ポリマー中に少なくとも前記一般式(1)で表される構造単位または前記一般式(2)で表される構造単位を有するバインダーポリマーを用いることで、例えば、ポリヒドロキシスチレンのようにポリマーの側鎖にフェノール性水酸基があっても、ノボラックのように主鎖にフェノール性水酸基があっても十分な感度が得られる点、また、本発明におけるバインダポリマー自体が多官能で、ある程度大きな分子量であってもやはり十分な感度が得られる点等も、上述の推測を支持するものであると考える。
[(b)赤外線吸収剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、赤外線レーザで画像記録することができる記録材料である。従って、赤外線吸収剤を併用する。
赤外線吸収剤は吸収した赤外線を熱に変換する機能を有しており、この際、ネガ型の感光性樹脂組成物では、発生した熱により後述の(d)酸発生剤が分解して酸を発生し、現像液に対する溶解性が大きく変化する。
本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760nmから1200nmの赤外線を有効に吸収する染料又は顔料である。好ましくは、波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料である。
以下に、本発明の感光性樹脂組成物に使用できる赤外線吸収剤について詳述する。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の画像記録層塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると画像記録層の均一性の点で好ましくない。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
これらの染料又は顔料は、感光性樹脂組成物全固形分に対し0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%添加することできる。また、染料の場合、特に0.5〜10重量%添加することが好ましく、顔料の場合、特に1.0〜10重量%添加することが好ましい。顔料又は染料の添加量が0.01重量%未満であると感度が低くなり、また50重量%を越えると非画像部に汚れが発生する。
これらの染料又は顔料は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
[(c)酸により架橋する化合物]
本発明の感光性樹脂組成物には、酸により架橋する化合物として、特願平9−234406号に記載のメチロール化合物、或いは、アルコキシメチル化合物、レゾール樹脂等が好適に用いられる。
本発明において、これらの酸により架橋する化合物は、全感光性樹脂組成物固形分中、5〜70重量%、好ましくは10〜50重量%の添加量で用いられる。ここで、添加量が5重量%未満であると画像記録時の画像部の膜強度が悪化し、また、70重量%を超えると保存安定性の点で好ましくない。
[(d)熱により酸を発生する化合物]
本発明の感光性樹脂組成物には、加熱時に酸を発生する化合物(酸発生剤)を併用する。この酸発生剤は、100℃以上の加熱により分解し酸を発生する化合物を指す。発生する酸としては、スルホン酸、塩酸等のpKaが2以下の強酸であることが好ましい。
本発明において好適に用いられる酸発生剤としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。具体的には、米国特許4,708,925号や特開平7−20629号に記載されている化合物を挙げることができる。特に、スルホン酸イオンを対イオンとするヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩が好ましい。ジアゾニウム塩としては、米国特許第3,867,147号記載のジアゾニウム化合物、米国特許第2,632,703号明細書記載のジアゾニウム化合物や特開平1−102456号及び特開平1−102457号の各公報に記載されているジアゾ樹脂も好ましい。また、米国特許5,135,838号や米国特許5,200,544号に記載されているベンジルスルホナート類も好ましい。さらに、特開平2−100054号、特開平2−100055号及び特願平8−9444号に記載されている活性スルホン酸エステルやジスルホニル化合物類も好ましい。他にも、特開平7−271029号に記載されている、ハロアルキル置換されたS−トリアジン類も好ましい。
これらの酸発生剤は、感光性樹脂組成物全固形分に対し0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは0.5〜30重量%の範囲で感光性樹脂組成物中に添加することができる。この添加量が、0.01重量%未満では画像が得られず、50重量%を越えると印刷時非画像部に汚れを発生する。
上記のような酸発生剤は単独で使用しても、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、ここに挙げた酸発生剤は、紫外線照射によっても分解できるため、本発明の感光性樹脂組成物は、赤外線だけではなく紫外線によっても画像記録可能である。
[その他の成分]
本発明の感光性樹脂組成物では、さらに必要に応じてこれら以外に種々の化合物を添加してもよい。
例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)、アイゼンスピロンブルーC−RH(保土ヶ谷化学(株)製)等、及び特開昭62−293247号に記載されている染料を挙げることができる。
これらの染料を添加することにより、画像形成後、画像部と非画像部の区別が明瞭となるため、添加する方が好ましい。なお、添加量は、感光性樹脂組成物全固形分に対し0.01〜10重量%の範囲が好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号や特開平3−208514号に記載されているような非イオン界面活性剤や特開昭59−121044号、特開平4−13149号に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の感光性樹脂組成物中に占める割合は、0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物中には、必要に応じ塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、通常上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより感光層を形成する。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独又は混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、1〜50重量%であることが好ましい。また、塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は用途によって異なるが、平版印刷用原版では一般的に0.5〜5.0g/m2 が好ましい。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、画像記録膜の被膜特性は低下する。
本発明における感光性樹脂組成物には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、全感光性樹脂組成物固形分中0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%である。
[支持体]
本発明の感光性樹脂組成物を塗布可能な支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のような金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。
好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられ、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板、及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、さらにアルミニウムがラミネート又は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は総量で10重量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で支持体として用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための、例えば、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸若しくは硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
このように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化被膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には、電解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化被膜の量は1.0g/m2 より少ないと耐膜性が不十分であったり、非画像部に傷が付き易くなって、特に平版印刷用原版の場合、印刷時に傷の部分にインキが付着する、いわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本発明で使用可能な親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号及び同第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか、又は電解処理される。他に、特公昭36−22063号に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム、米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が用いられる。
[その他]
本発明の感光性樹脂組成物を塗布する前に、必要に応じて支持体上に下塗層を設けることができる。
下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸等のアミノ基を有するホスホン酸類;置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸等の有機ホスホン酸;置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸等の有機リン酸;置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸等の有機ホスフィン酸;グリシンやβ−アラニン等のアミノ酸類;及びトリエタノールアミンの塩酸塩等のヒドロキシル基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。また、前述したジアゾニウム化合物を下塗りすることも好ましい。
有機下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2 が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2 である。上記の被覆量が2mg/m2 よりも少ないと十分な膜性が得られず、200mg/m2 より大きくても同様である。
この有機下塗層は、次のような方法で設けることができる。水またはメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水またはメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後水などによって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10重量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。また、後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜5重量%で、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃、さらに、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。また、本発明の感光性樹脂組成物を平版印刷用原版として用いる場合には、調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
以上のようにして、本発明の感光性樹脂組成物を用いた平版印刷用原版を作製することができる。この感光性樹脂組成物は赤外線レーザで記録することができ、また紫外線ランプやサーマルヘッドによる熱的な記録も可能である。本発明においては、波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザにより画像露光されることが好ましい。
本発明においては、露光後すぐに現像処理を行ってもよいが、露光工程と現像工程の間に加熱処理を行ってもよい。加熱処理をする場合その条件は、60℃〜150℃の範囲内で5秒〜5分間行うことが好ましい。加熱方法としては、従来公知の種々の方法を用いることができる。例えば、パネルヒーターやセラミックヒーターにより記録材料と接触しつつ加熱する方法、及びランプや温風による非接触の加熱方法等が挙げられる。この加熱処理により、レーザ照射時、記録に必要なレーザエネルギーを減少させることができる。
必要に応じて加熱処理を行った後、本発明の感光性樹脂組成物は、好ましくは、水又はアルカリ性水溶液にて現像される。
アルカリ性水溶液を用いる場合、本発明の感光性樹脂組成物の現像液及び補充液としては従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウム等の無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いられる。
これらのアルカリ剤は単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
これらのアルカリ剤の中で特に好ましい現像液の一例は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩水溶液である。その理由はケイ酸塩の成分である酸化珪素SiO2 とアルカリ金属酸化物M2 O(Mは、アルカリ金属を表す)の比率と濃度によって現像性の調節が可能となるためであり、例えば、特開昭54−62004号、特公昭57−7427号に記載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩が有効に用いられる。
さらに、自動現像機を用いて現像する場合には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換することなく、多量の感光性樹脂組成物を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。
現像液及び補充液には現像性の促進や抑制、現像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤等を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられる。好ましい有機溶剤としてはベンジルアルコール等が挙げられる。また、ポリエチレングリコール若しくはその誘導体、又はポリプロピレングリコール若しくはその誘導体等の添加も好ましい。
さらに、現像液及び補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸または亜硫酸水素酸のナトリウム塩およびカリウム塩等の無機塩系還元剤、さらに有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
このような界面活性剤、有機溶剤及び還元剤等を含有する現像液としては、例えば、特開昭51−77401号に記載されている、ベンジルアルコール、アニオン性界面活性剤、アルカリ剤及び水からなる現像液組成物、特開昭53−44202号に記載されている、ベンジルアルコール、アニオン性界面活性剤、及び水溶性亜硫酸塩を含む水性溶液からなる現像液組成物、特開昭55−155355号に記載されている、水に対する溶解度が常温において10重量%以下である有機溶剤、アルカリ剤、及び水を含有する現像液組成物等が挙げられ、本発明においても好適に使用される。
以上記述した現像液及び補充液を用いて現像処理された感光性樹脂組成物は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の感光性樹脂組成物を印刷用版材として使用する場合の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
近年、特に製版・印刷業界においては、製版作業の合理化及び標準化のため、印刷用版材用の自動現像機が広く用いられている。
この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷用版材を搬送する装置と各処理液槽とスプレー装置とからなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロール等によって印刷用版材を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。
また、実質的に未使用の処理液で処理する、いわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
上記のようにして得られた感光性樹脂組成物を平版印刷版として用いる場合には、所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができる。より一層耐刷力を向上させる目的でバーニング処理が施してもよい。
平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布等が適用される。また、塗布した後でスキージ又はスキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。整面液の塗布量は、一般に、0.03〜0.8g/m2 (乾燥重量)が適当である。
整面液が塗布された平版印刷版原版は、必要に応じて乾燥された後バーニングプロセッサー(例えば、富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:BP−1300)等で高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引き等の従来より行われている処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。
このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
<バインダーポリマーの合成>
(合成例1 :P−1の合成,[一般式(2)の具体例])
市販のポリ−p−ヒドロキシスチレン(H−1;重量平均分子量20000)100gおよびP−トシルイソシアナート30gに対し、アセトン200mlを混入し、24時間還流後、水で再沈し、メタノール/水=2/8の水溶液で洗浄し、ろ取、乾燥し、バインダーポリマー〔P−1〕120gを得た。
1HNMRにより、前記表1中の官能基[M−3]の構造を確認した。得られたバインダーポリマーP−1について、GPCにより、重量平均分子量は20000であることを確認した。
(合成例2 :P−2の合成,[一般式(1)の具体例])
市販のm−クレゾールホルムアルデヒドノボラック(N−2;重量平均分子量3000)100gおよびP−トシルイソシアナート30gに対し、アセトン200mlを混入し、24時間還流後、水で再沈し、メタノール/水=2/8の水溶液で洗浄し、ろ取、乾燥し、バインダーポリマー〔P−2〕110gを得た。 1HNMRにより、前記表1中の官能基[M−3]の構造を確認した。得られたバインダーポリマーP−2について、GPCにより、重量平均分子量は3000であることを確認した。
(合成例3 :P−3の合成,[一般式(2)の具体例])
上記合成例1で用いたポリ−p−ヒドロキシスチレンを、以下のポリマー(F−1;重量平均分子量20000)に変更した他は、合成例1と同様にしてバインダーポリマー〔P−3〕120gを得た。
1HNMRにより、前記表1中の官能基[M−3]の構造を確認した。得られたバインダーポリマーP−3について、GPCにより、重量平均分子量は20000であることを確認した。
Figure 0004253001
(合成例4 :P−4の合成,[一般式(2)の具体例])
上記合成例1で用いたポリ−p−ヒドロキシスチレンを、以下のポリマー(F−2;重量平均分子量15000)に変更した他は、合成例1と同様にしてバインダーポリマー〔P−4〕115gを得た。
1HNMRにより、前記表1中の官能基[M−3]の構造を確認した。得られたバインダーポリマーP−4について、GPCにより、重量平均分子量は15000であることを確認した。
Figure 0004253001
(合成例5 :P−5の合成,[一般式(1)の具体例])
フェノールホルムアルデヒドノボラック(N−1;重量平均分子量1500)100gにフェニルイソシアナート30g、トリエチルアミン50gおよびアセトン200mlを混入し、24時間還流後、希塩酸でpH=2とし、水で再沈し、メタノール/水=4/6の水溶液で洗浄し、ろ取、乾燥し、バインダーポリマー〔P−5〕125gを得た。
1HNMRにより、前記表1中の官能基[M−1]の構造を確認した。得られたバインダーポリマーP−2について、GPCにより、重量平均分子量は1500であることを確認した。
(合成例6 :P−6の合成,[一般式(1)の具体例])
上記合成例5で用いたフェニルイソシアナートを、ブチルイソシアナートに変更した他は、合成例5と同様にしてバインダーポリマー〔P−6〕115gを得た。
1HNMRにより、−CO−NH− nBu基の構造を確認した。得られたバインダーポリマーP−6について、GPCにより、重量平均分子量は1500であることを確認した。
(合成例7 :P−7の合成,[一般式(1)の具体例])
上記合成例5で用いたフェニルイソシアナートを、ベンゾイルイソシアナートに変更した他は、合成例5と同様にしてバインダーポリマー〔P−7〕100gを得た。
1HNMRにより、−CO−NH−CO−C6 5 の構造を確認した。得られたバインダーポリマーP−7について、GPCにより、重量平均分子量は1500であることを確認した。
(実施例1〜14、比較例1〜5) :ネガ型
厚さ0.30mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレン洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミストン−水懸濁液を用いその表面を砂目立てし、よく水で洗浄した。このアルミニウム板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い水洗後、さらに2%HNO3 に20秒間浸漬して水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2 であった。次に、この板を7%H2 SO4 を電解液として電流密度15A/dm2 で3g/m2 の直流陽極酸化被膜を設けた後、水洗乾燥した。次にこのアルミニウム板に下記下塗り液を塗布し、80℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被覆量は10mg/m2 であった。
<下塗り液>
・β−アラニン ・・・・0.10g
・フェニルホスホン酸 ・・・・0.05g
・メタノール ・・・40 g
・純水 ・・・60 g
次に、下記溶液[α]において、本発明におけるバインダーポリマーまたは比較例に用いる他のポリマーの種類を変えて、19種類の溶液[α−1]〜[α−19]を調製した。この溶液を、上記の下塗り済みのアルミニウム板に塗布し、100℃で1分間乾燥してネガ型の平版印刷用原版[α−1]〜[α−19]を得た。乾燥後の重量は1.4g/m2 であった。
<溶液[α]>
・架橋剤〔CR−1〕 ・・・0.50g
・下記表3のバインダーポリマー ・・・1.50g
・酸発生剤[SH−3] ・・・0.20g
・赤外線吸収剤[IK−1] ・・・0.10g
・着色剤 ・・・0.015g
(AIZEN SPILON BLUE C−RH、
保土ヶ谷化学(株)製)
・フッ素系界面活性剤 ・・・0.06g
(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン ・・15 g
・メチルアルコール ・・・7.0 g
溶液[α−1]〜[α−19]に用いたバインダーポリマーを表3に示す。また、用いた架橋剤[CR−1]、酸発生剤[SH−3]および赤外線吸収剤[IK−1]の構造を以下に示す。
Figure 0004253001
Figure 0004253001
Figure 0004253001
Figure 0004253001
<感度の評価>
得られたネガ型の平版印刷用原版[α−1]〜[α−19]を、波長830〜850nm程度の赤外線を発する半導体レーザで走査露光した。露光後、パネルヒーターにて、110℃で15秒間加熱処理した後、富士写真フイルム(株)製現像液、DP−4(1:8の水希釈液)にて現像した。この際得られた画像の線幅とレーザ出力、光学系でのロスおよび走査速度を基に、記録に必要なエネルギー量を算出し、感度を示す指標とした。
<保存安定性の評価>
レーザー露光前の上記原版を高湿条件下(75%RH、45℃)に3日間放置し、その後、この保存後の原版を前記と同様にしてレーザー露光し、記録に必要なエネルギー量を算出し、高湿保存前後のエネルギー量の差を求めた。このエネルギー量差が、20mJ/cm2 以下であることが製造上好ましく、保存安定性においても良好と言える。
これらの評価結果を併せて表4に示す。
Figure 0004253001
表4により、実施例1〜14の平版印刷用原版のように、本発明におけるバインダーポリマーを用いた平版印刷用原版はいずれも、160mJ/cm2 以下のエネルギー量で記録することが可能であり、本発明におけるバインダーポリマーを用いていない平版印刷用原版(比較例1〜5)に比べ、高感度であることが分かる。さらに、実施例1〜14の平版印刷用原版では、高湿保存後の平版印刷用原版の露光に必要なエネルギー量の増加も少なく、高湿環境下での保存安定性も極めて良好であった。
また、比較例1〜5のように、本発明におけるバインダーポリマーを用いなかった平版印刷用原版の場合には高感度が得られず、或いは高感度が得られても保存安定性に劣り、これら両者を同時に満足することはできなかった。
以上より、本発明によれば、十分に高いレベルの感度と保存安定性を同時に満足しうる平版印刷用原版を得ることができた。

Claims (3)

  1. 少なくとも、ポリマー骨格の主鎖として下記一般式(1)で表される構造単位、または、ポリマー骨格と結合する側鎖として下記一般式(2)で表される構造単位、を有し、且つ、フェノール性水酸基を有するポリマーと、
    酸により架橋する化合物と、
    熱により酸を発生する化合物と、
    赤外線吸収剤と、
    を含有することを特徴とするネガ型感光性樹脂組成物。
    Figure 0004253001
    〔式中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。Xは単結合または2価の連結基を表し、Yは以下のY1 からなる群より選ばれる少なくとも1つの部分構造を有する2価の連結基を表し、Zは1価の末端基を表す。X2 は単結合、またはC、H、N、O、Sより選ばれる1種以上の原子を含み、かつ炭素数20以下の2価の連結基を表す。〕
    Figure 0004253001
  2. 少なくとも、ポリマー骨格の主鎖として下記一般式(1)で表される構造単位、または、ポリマー骨格と結合する側鎖として下記一般式(2)で表される構造単位、を有するポリマーと、
    フェノール性水酸基を有するポリマーと、
    酸により架橋する化合物と、
    熱により酸を発生する化合物と、
    赤外線吸収剤と、
    を含有することを特徴とするネガ型感光性樹脂組成物。
    Figure 0004253001
    〔式中、Arは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。Xは単結合または2価の連結基を表し、Yは以下のY1 からなる群より選ばれる少なくとも1つの部分構造を有する2価の連結基を表し、Zは1価の末端基を表す。X2 は単結合、またはC、H、N、O、Sより選ばれる1種以上の原子を含み、かつ炭素数20以下の2価の連結基を表す。〕
    Figure 0004253001
  3. 支持体上に、請求項1または2に記載のネガ型感光性樹脂組成物よりなる感光層が設けられていることを特徴とする平版印刷用原版。
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