JP3798531B2 - ネガ型画像記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は平版印刷用版材として使用できるネガ型の画像記録材料に関するものであり、特にコンピュータ等のデジタル信号から赤外線レーザを用い直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能な平版印刷用版材として使用できるネガ型の画像記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザおよび半導体レーザは、高出力かつ小型のものが容易に入手できる様になっており、コンピュータ等のデジタルデータから直接製版する際の記録光源として、これらのレーザは非常に有用である。しかし、実用上有用な多くの感光性記録材料は、感光波長が760nm以下の可視光域であるため、これらの赤外線レーザでは画像記録できない。このため、赤外線レーザで記録可能な材料が望まれていた。
【0003】
このような赤外線レーザにて記録可能な画像記録材料としては、特開平7−20629号に記載されている、オニウム塩、レゾール樹脂、ノボラック樹脂、および赤外線吸収剤より成る記録材料がある。また、特開平7−271029号には、ハロアルキル置換されたs−トリアジン、レゾール樹脂、ノボラック樹脂、および赤外線吸収剤より成る記録材料が記載されている。しかしながら、これらの画像記録材料を用いた版材では、画像部の膜強度が不足しており、結果として印刷時の耐刷性が不十分であった。また、このような画像記録材料を用いた印刷用版材は、製版における露光量の低下や露光時間の短縮化の為、感度のより一層の向上が望まれていた。
また、一般に画像記録材料は、感度を向上させると保存安定性が低下する傾向があるが、画像記録材料としての一定水準の保存安定性が求められる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、赤外線を放射する固体レーザまたは半導体レーザを用いて記録することにより、コンピューター等のデジタルデータから直接製版可能であり、さらに、感度が良好で、印刷時の耐刷性が高く、保存安定性に優れたネガ型画像記録材料を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ネガ型画像記録材料の構成成分に着目し、鋭意検討の結果、下記本発明により、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、赤外線吸収剤、フェノール性水酸基を有する化合物、および、下記一般式(A)で表される構成単位を有するポリマーを含有することを特徴とするネガ型画像記録材料である。
・一般式(A)
【0006】
【化4】
【0007】
上記式中、R1 は水素またはメチル基を表し、R2 およびR3 は同じでも異なっていてもよく、水素、または、酸素原子で連結されていてもよい炭素数16以下の炭化水素基を表す。
Xは、−O−、−S−、または、
【0008】
【化5】
【0009】
を表す。
Yは、単結合、或いは、酸素原子で連結されていてもよい炭素数16以下の2価の炭化水素連結基を表す。
Zは、単結合、或いは、−O−、−S−、−CH2 −、
【0010】
【化6】
【0011】
のうちの1つ、もしくはこれらの2つ以上を組み合わせてなる2価の連結基を表す。
R4 およびR5 は同じでも異なっていてもよく、炭素数16以下の炭化水素基を表す。
mは0〜3の整数を表し、nは1〜3の整数表し、かつ、1≦m+n≦5である。
【0012】
本発明の画像記録材料は、赤外線を放射する固体レーザまたは半導体レーザによるエネルギーが、赤外線吸収剤により吸収されて熱を発生し、該熱により上記「一般式(A)で表される構成単位を有するポリマー」中のヒドロキシメチル基および/またはアルコキシメチル基と、「フェノール性水酸基を有する化合物」中のフェノール性水酸基と、が縮合反応を起こし、架橋部となって容易に架橋しゲル化する。この作用により、当初アルカリ現像液に対して可溶であったポリマーが、熱反応を起こした部分のみ不溶化し、画像形成されるものである。
【0013】
本発明に用いる「一般式(A)で表される構成単位を有するポリマー」は、架橋部となる部分がポリマーの主鎖からある程度離れているため、架橋反応の反応性が向上し、高感度になる。また、架橋反応により得られるアルカリ不溶性膜は、架橋構造が密になるため耐刷性が向上する。さらに、本発明で用いる「一般式(A)で表される構成単位を有するポリマー」自体が安定性が高く、これを用いた画像形成材料の保存安定性も良好なものになる。
【0014】
本発明においては、「フェノール性水酸基を有する化合物」は、「一般式(A)で表される構成単位を有するポリマー」自身であってもよく、この場合、「一般式(A)で表される構成単位を有するポリマー」中にフェノール性水酸基を有する置換基を有していてもよいし、また、「一般式(A)で表される構成単位を有するポリマー」中のヒドロキシメチル基および/またはアルコキシメチル基が熱により分解して、当該部分がフェノール性水酸基を有する部分ともなり得る。従って、これらの場合には特に「フェノール性水酸基を有する化合物」を別添する必要は無い。
本発明の画像記録材料は、さらに酸触媒として酸発生剤を含有させることにより、より高感度となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を各構成要素に分けて詳細に説明する。
[ポリマー]
本発明に用いるポリマーは、下記一般式(A)で表される構成単位を有するものである。
・一般式(A)
【0016】
【化7】
【0017】
上記式中、R1 は水素またはメチル基を表し、R2 およびR3 は同じでも異なっていてもよく、水素、または、酸素原子で連結されていてもよい炭素数16以下の炭化水素基を表す。R2 および/またはR3 が炭化水素基であるとき、該炭化水素基は置換基を有していてもよい。
Xは、−O−、−S−、または、
【0018】
【化8】
【0019】
を表す。
Yは、単結合、或いは、酸素原子で連結されていてもよい炭素数16以下の2価の炭化水素連結基を表す。Yが炭化水素基であるとき、該炭化水素基は置換基を有していてもよい。
Zは、単結合、或いは、−O−、−S−、−CH2 −、
【0020】
【化9】
【0021】
のうちの1つ、もしくはこれらの2つ以上を組み合わせてなる2価の連結基を表す。
R4 およびR5 は同じでも異なっていてもよく、炭素数16以下の炭化水素基を表す。該炭化水素基は置換基を有していてもよい。
mは0〜3の整数を表し、nは1〜3の整数表し、かつ、1≦m+n≦5である。
【0022】
以下に、一般式(A)で表される構成単位の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
【化10】
【0024】
【化11】
【0025】
【化12】
【0026】
【化13】
【0027】
【化14】
【0028】
【化15】
【0029】
【化16】
【0030】
【化17】
【0031】
次に、上記のような構成単位を有するポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
【化18】
【0033】
【化19】
【0034】
【化20】
【0035】
【化21】
【0036】
一般式(A)で表される構成単位を有するポリマーは、下記一般式(B)で表されるモノマーをラジカル重合もしくはアニオン重合することにより合成することができる。
・一般式(B)
【0037】
【化22】
【0038】
上記式中、R1 は水素またはメチル基を表し、R2 およびR3 は同じでも異なっていてもよく、水素、または、酸素原子で連結されていてもよい炭素数16以下の炭化水素基を表す。R2 および/またはR3 が炭化水素基であるとき、該炭化水素基は置換基を有していてもよい。
Xは、−O−、−S−、または、
【0039】
【化23】
【0040】
を表す。
Yは、単結合、或いは、酸素原子で連結されていてもよい炭素数16以下の2価の炭化水素連結基を表す。Yが炭化水素基であるとき、該炭化水素連結基は置換基を有していてもよい。
Zは、単結合、或いは、−O−、−S−、−CH2 −、
【0041】
【化24】
【0042】
のうちの1つ、もしくはこれらの2つ以上を組み合わせてなる2価の連結基を表す。
R4 およびR5 は同じでも異なっていてもよく、炭素数16以下の炭化水素基を表す。該炭化水素基は置換基を有していてもよい。
mは0〜3の整数を表し、nは1〜3の整数表し、かつ、1≦m+n≦5である。
【0043】
また、一般式(B)で表されるモノマーは、例えば、以下に示す合成方法により得ることができる。
【0044】
【化25】
【0045】
上記反応式中、QはCl、または、
【0046】
【化26】
【0047】
を表す。baseは塩基、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、N,N−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
【0048】
上記反応式中、step1については、例えば、「新実験化学講座 有機化合物の合成と反応[II]」日本化学会編,丸善発行,(1977),p.1012〜p.1014に記載の方法、または、同書p.1142〜p.1147に記載の方法を利用することができる。
上記反応式中、step2については、例えば、L.Lederer,J.Praket,Chem.[2].50,223(1984)、または、O.Manasse,Ber,27−2049に記載の方法を利用することができる。
上記反応式中、step3については、例えば、「新実験化学講座 有機化合物の合成と反応[I]」日本化学会編,丸善発行,(1977),p.574〜p.576に記載の方法を利用することができる。
【0049】
上記一般式(B)のモノマーの合成方法は、上述の合成方法に限定されるものではない。
【0050】
次に、具体的な合成例を示す。
<合成例1:化学式A−3の構成単位(モノマー)の合成>
4−ヒドロキシ安息香酸138.1g、2−ヒドロキシエチルアクリレート116.1g、濃硫酸1.0g、ハイドロキノン1.0gを混合し、120℃で2時間攪拌する。その後、水1リットルに投入し、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル層を十分に水洗し、乾燥濃縮し、SiO2 カラムクロマトグラフィーにより精製し、油状物質を得る。この油状物質に0.1MのNaOHを加え、pHをおよそ8とし、37%ホルマリン600.0gを加えて室温で6時間攪拌する。その後酢酸でpHをおよそ6とし、水1リットルに投入し、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル層を十分に水洗し、乾燥後濃縮し、無色の油状物である化学式A−3の構成単位となり得るモノマー148gを収率50%で得た。なお、この物質の構造は、 1HNMR.IR.MASSにより確認した。
【0051】
<合成例2:化学式A−9の構成単位(モノマー)の合成>
4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール138.2g、アクリル酸クロライド90.5g、酢酸ナトリウム100g、アセトン500mlを氷冷下混合し、5時間攪拌する。その後、水1リットルに投入し、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル層を十分に水洗し、乾燥濃縮し、SiO2 カラムクロマトグラフィーにより精製し、油状物質を得る。この油状物質に0.1MのNaOHを加え、pHをおよそ8とし、37%ホルマリン600.0gを加えて室温で6時間攪拌する。その後酢酸でpHをおよそ6とし、水1リットルに投入し、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル層を十分に水洗し、乾燥後濃縮し、無色の粘稠物であるA−9の構成単位となり得るモノマー202gを収率80%で得た。なお、この物質の構造は、 1HNMR.IR.MASSにより確認した。
【0052】
<合成例3:化学式A−23の構成単位(モノマー)の合成>
4−アミノフェノール109.1g、メタクリル酸クロライド120.5g、酢酸ナトリウム100g、アセトン500mlを氷冷下混合し、5時間攪拌する。その後、水1リットルに投入すると結晶が析出する。これを十分に水洗し、HCl水でかけ洗いし、さらに水洗し、白色粉末を得る。この粉末に0.1MのNaOHを加え、pHをおよそ10とし、37%ホルマリン100gを加えて室温で6時間攪拌する。その後酢酸でpHをおよそ6とし、水1リットルに投入し、ジクロロメタンで抽出し、十分に水洗し、乾燥後濃縮し、白色粉末である化学式A−23の構成単位となり得るモノマー165gを収率70%で得た。なお、この物質の構造は、 1HNMR.IR.MASSにより確認した。
【0053】
<合成例4:化学式A−32の構成単位(モノマー)の合成>
上記合成例3で得られた化学式A−23の構成単位であるモノマーの白色粉末235.2gをメタノール500ml、濃硫酸1.0gと混合し、80℃で3時間攪拌する。その後、水1リットルに投入し、酢酸エチルで抽出し、十分に水洗し、乾燥後濃縮し、無色の粘稠物である化学式A−32の構成単位となり得るモノマー257gを収率98%で得た。なお、この物質の構造は、 1HNMR.IR.MASSにより確認した。
【0054】
<合成例5:化学式BP−3の化合物(ポリマー)の合成>
A−2の構成単位を有するアクリレート系モノマー227.2g、メタクリル酸ブチル28.4g、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)4.9g、N,N−ジメチルアセトアミド1リットルを混合し、70℃で5時間攪拌する。その後、水5リットルに、攪拌下少量ずつ投入すると白粉が析出する。この白粉を濾取、乾燥し、白色粉末である化学式BP−3の化合物(ポリマー)230gを得た。なお、この物質の構造は、 1HNMR.IR.GPCにより確認した。
同様にして、BP−1〜BP−15を合成することができる。
【0055】
本発明では、上記一般式(A)で表される構成単位のみから成るホモポリマーであっても良いが、他の構成単位をも含む共重合体であっても良い。
好適に用いられる他の構成単位としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーより導入される構成単位が挙げられる。
【0056】
用いることのできるアクリル酸エステル類の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−またはi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−またはt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート、が挙げられる。
【0057】
メタクリル酸エステル類の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、(n−またはi−)プロピルメタクリレート、(n−、i−、sec−またはt−)ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、クロロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメタクリレート等が挙げられる。
【0058】
アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。
【0059】
メタクリルアミド類の具体例としては、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−トリルメタクリルアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)メタクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)メタクリルアミド、N−(トリルスルホニル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0060】
ビニルエステル類の具体例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート等が挙げられる。
スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
【0061】
これらのモノマーのうち特に好適に使用されるのは、炭素数20以下のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類および、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリルである。これらのポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでも良いが、ランダムポリマーであることが好ましい。本発明で使用されるポリマーは単独で用いても混合して用いてもよい。
【0062】
[フェノール性水酸基を有する化合物]
本発明においては、上記一般式(A)で表される構成単位を有するポリマーと熱により架橋反応する、いわゆる架橋剤として、フェノール性水酸基を有する化合物を使用する。該フェノール性水酸基を有する化合物としては、高分子のものであっても低分子のものであっても構わないが、上記ポリマーとの相溶性の観点より、低分子のものが好ましい。
フェノール性水酸基を有する化合物の具体例としては、以下の通りである。
【0063】
高分子のフェノール性水酸基を有する化合物としては、ノボラック樹脂、例えば、フェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、p−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、フェノール/クレゾール(o−、m−、p−又はm−/p−、m−/o−、o−/p−混合のいずれでもよい)の混合物とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、或いは、ポリヒドロキシスチレン(o−、m−、p−又はm−/p−、m−/o−、o−/p−混合のいずれでもよい)等が挙げられる。
【0064】
本発明におけるフェノール性水酸基を有する化合物として好ましい低分子のもの(以下、「低分子フェノール化合物」という。)とは、分子量1000以下のフェノール化合物である。
低分子フェノール化合物としては、例えば、特開平4−122938号、特開平2−28531号、米国特許第4,916,210号、欧州特許第219,294号等に記載の方法を参考にして、当業者において容易に合成することができる。
低分子フェノール化合物の具体例を以下に示すが、本発明で使用できる低分子フェノール化合物は、これらに限定されるものではない。
【0065】
レゾルシン、フロログルシン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、アセトン−ピロガロール縮合樹脂、フロログルコシド、2,4,2’,4’,−ビフェニルテトロール、4,4’−チオビス(1,3−ジヒドロキシ)ベンゼン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシジフェニルエーテル、2,2’、4,4’−テトラヒドロキシジフェニルスルフォキシド、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシジフェニルスルフォン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4−(α−メチルベンジリデン)ビスフェノール、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、1,2,2−トリス(ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,2−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2,5,5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3−トリス(ヒドロキシフェニル)ブタン、パラ[α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)]−キシレン等を挙げることができる。
【0066】
本発明において、熱により前記ポリマーと架橋反応するフェノール性水酸基は、前記ポリマー中に有していてもよい。即ち、一般式(A)で表される構成単位を有するポリマーの主鎖等にフェノール性水酸基を有する置換基が結合したものを用いれば、該ポリマー同士が熱により架橋反応を起こし、不溶性の膜を形成し、画像を得ることができる。
このような一般式(A)で表される構成単位およびフェノール性水酸基を有するポリマーは、前記一般式(B)で表されるモノマーとフェノール性水酸基を有するモノマーとをラジカル重合もしくはアニオン重合等公知の方法により共重合することにより合成することができる。
フェノール性水酸基を有するモノマーとしては、例えば、下記一般式(C)で示される化合物が挙げられる。
・一般式(C)
【0067】
【化27】
【0068】
上記式中、R6 は水素またはメチル基を表し、pは1〜3の整数を表す。
【0069】
また、上記一般式(A)で表される構成単位を有するポリマーは、熱によりその置換基の末端のヒドロキシメチル基および/またはアルコキシメチル基が分解して、ヒドロキシメチル基および/またはアルコキシメチル基が接続していたベンゼン環が、フェノール性水酸基を有する置換基となり、それ自体がフェノール性水酸基を有する化合物となる場合があるため、別途フェノール性水酸基を有する化合物を添加しなくても、或いは、前記ポリマーにフェノール性水酸基を有する置換基を有していなくても、架橋反応が進む。従って、別途フェノール性水酸基を有する化合物を添加しなくても画像形成は可能である。もちろん、別途フェノール性水酸基を有する化合物を添加することが、得られる画像記録材料の高感度化の観点より好ましい。
【0070】
[赤外線吸収剤]
本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760nmから1200nmの赤外線を有効に吸収する染料または顔料である。好ましくは、波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料または顔料である。
染料としては、市販の染料および文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体などの染料が挙げられる。
好ましい染料としては例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0071】
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
【0072】
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
【0073】
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が挙げられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0074】
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の感光層塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると画像記録層の均一性の点で好ましくない。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
【0075】
これらの染料もしくは顔料は、画像記録材料全固形分に対し0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10重量%、顔料の場合特に好ましくは1.0〜10重量%の割合で画像記録材料中に添加することができる。顔料もしくは染料の添加量が0.01重量%未満であると感度が低くなり、また50重量%を越えると印刷時非画像部に汚れが発生する。
これらの染料もしくは顔料は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
【0076】
[酸発生剤]
前記一般式(A)で表される構成単位を有するポリマーは、熱により架橋反応を開始するため、本発明においては、光または熱により酸を発生する酸発生剤は必須ではない。しかし、該酸発生剤を用いることは、前記一般式(A)で表される構成単位を有するポリマーの架橋(縮合)反応を促進させる意味で好ましい。酸発生剤とは、光の照射または100℃以上の加熱により分解して酸を発生する化合物である。発生する酸としては、スルホン酸、塩酸等のpKaが2以下の強酸であることが好ましい。本発明において好適に用いられる酸発生剤としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。具体的には、特開平7−20629号に記載されている化合物を挙げることができる。特に、スルホン酸イオンを対イオンとするヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩が好ましい。また、特開平7−271029号に記載されている、ハロアルキル置換されたS−トリアジン類も好ましい。本発明において特に好適に使用される光または熱により酸を発生する酸発生剤は、下記−般式(I)〜(IX)で示される化合物である。
【0077】
【化28】
【0078】
式中、R1 、R2 、R4 およびR5 は、同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を示す。R3 はハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数10個以下の炭化水素基または炭素数10以下のアルコキシ基を示す。R6 は置換基を有していてもよい炭素数25以下の2価の炭化水素基を示す。nは0〜4の整数を示す。
【0079】
【化29】
【0080】
式中、Ar1 、Ar2 、Ar3 、Ar4 は、同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素数20以下のアリール基を示す。具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ドデシルフェニル基、フェニルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、フェノキシフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、カルボキシフェニル基、アニリノフェニル基、アニリノカルボニルフェニル基、モルホリノフェニル基、フェニルアゾフェニル基、メトキシナフチル基、ヒドロキシナフチル基、ニトロナフチル基、アントラキノニル基等が挙げられる。
【0081】
R7 、R8 、R9 は置換基を有していても良い炭素数18以下の炭化水素基を示す。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、アリル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、t−ブチルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、等の炭化水素基、2−メトキシエチル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、フェニルチオフェニル基、ヒドロキシナフチル基、メトキシナフチル基、ベンゾイルメチル基、ナフトイルメチル基、等置換基を有する炭化水素基が挙げられる。また、R7 とR8 とが互いに結合し環を形成していても良い。
【0082】
M- は、有機化合物、または無機化合物のアニオンであり、例えば、SO4 2- 、S2 O3 2- 、HSO4 - 、SO3 2- 、H2 PO4 - 、NO3 - 、ハロゲンイオン、ClO4 - 、BF4 - 、PF6 - 、SbF6 - 、BiCl5 - 、AsF6 - 、SbCl6 - 、SnCl6 - 、R−SO3 - 、R−COO- 、R−PO4 2- 等である。但し、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。
【0083】
【化30】
【0084】
Xはハロゲン原子を表す。Yは−CX3 、−NH2 、−NHR11、−N(R11)2 、−OR11を表す。ここでR11はアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基を表す。またR10は−CX3 (Xはハロゲン原子)、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換アルケニル基を表す。
一般式(I)〜(VIII)で表される化合物の内、特に好ましいものを以下に挙げる。尚、これらの化合物は、例えば特開平2−100054号および特開平2−100055号、丸善・新実験化学講座14−I巻の2・3章(p. 448)、14−III巻の8・16章(p.1838)、同7・14章(p.1564)、J.W. Knapczyk他、J.Am.Chem.Soc.、91巻、145(1969)、A.L.Maycok他、J.Org.Chem.、35巻、2582(1970)、J.V.Crive11o他、Po1ym.Chem.Ed.、18巻、2677(1980)、米国特許第2,807,648号、同4,247,473号、特開昭53−101331号、特公平5−53166号公報等に記載の方法で合成することができる。
【0085】
【化31】
【0086】
【化32】
【0087】
【化33】
【0088】
【化34】
【0089】
【化35】
【0090】
【化36】
【0091】
【化37】
【0092】
【化38】
【0093】
【化39】
【0094】
【化40】
【0095】
【化41】
【0096】
【化42】
【0097】
【化43】
【0098】
【化44】
【0099】
【化45】
【0100】
【化46】
【0101】
【化47】
【0102】
【化48】
【0103】
また、(IX)で示される化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、例えば、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン(以下IX−9と記す)、2−p−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(2´,4´−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−メチルー4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン等が挙げられる。
【0104】
その他、英国特許1388492号明細書記載の化合物、例えば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等、特開昭53−133428号記載の化合物、例えば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル〕−4,6−ビスートリクロルメチル−S−トリアジン、2−(アセナフト−5−イル)−4.6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン等、独国特許3337024号明細書記載の化合物、例えば下記の化合物を挙げることができる。
【0105】
【化49】
【0106】
更に特開平5−281728号記載の化合物、例えば以下に示される化合物等を挙げることができる。
【0107】
【化50】
【0108】
これらの化合物は、感光層全固形分に対し0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜25重量%、より好ましくは0.5〜15重量%の割合で画像記録材料中に添加される。添加量が0.01重量%未満の場合は、画像が得られない。また添加量が50重量%を越える場合は、印刷時非画像部に汚れを発生する。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0109】
[その他の成分]
本発明では、前記の成分が必須、または好ましく用いられるが、必要に応じてこれら以外に種々の化合物を添加しても良い。
例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。
具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)など、あるいは特開昭62−293247号公報に記載されている染料を挙げることができる。
これらの染料は、画像形成後、画像部と非画像部の区別が明確になるため、添加することが好ましい。尚、添加量は、画像記録材料全固形分に対し、0.01〜10重量%の割合が好適である。
【0110】
また、本発明における画像記録材料中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型界面活性剤(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤および両性界面活性剤の画像記録材料中に占める割合は、0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0111】
更に本発明の画像記録材料中には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
【0112】
本発明の画像記録材料は、通常上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより製造することができる。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版印刷用版材についていえば一般的に0.5〜5.0g/m2 が好ましい。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、画像記録膜の皮膜特性は低下する。
【0113】
本発明における画像記録層中には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、全画像記録材料固形分中0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0114】
本発明に使用される支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記金属板を構成するごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が含まれる。
【0115】
本発明に使用される支持体としては、ポリエステルフィルムまたはアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10重量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。このアルミニウム板を支持体として用いる場合、上に形成される記録層との密着性の観点から、アルミニウム板表面を粗面化することができる。
【0116】
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸または硝酸電解液中で交流または直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
この様に粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理および中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
【0117】
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。
陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2 より少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号および第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるかまたは電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウムおよび米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
【0118】
本発明の画像記録材料は、必要に応じて支持体上に下塗層を設けることができる。
下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸およびエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸およびグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、およびトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
有機下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2 が適当である。
【0119】
以上のようにして、本発明の画像記録材料を用いた平版印刷用版材を作製することができる。この平版印刷用版材は、波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザおよび半導体レーザにより画像露光される。本発明においては、レーザ照射後すぐに現像処理を行っても良いが、レーザ照射工程と現像工程の間に加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理の条件は、80℃〜150℃の範囲内で10秒〜5分間行うことが好ましい。この加熱処理により、レーザ照射時、記録に必要なレーザエネルギーを減少させることができる。
【0120】
必要に応じて加熱処理を行った後、本発明の画像記録材料はアルカリ性水溶液にて現像される。
本発明の画像記録材料の現像液および補充液としては従来より知られているアルカリ剤の水溶液が使用できる。これらに含まれるアルカリ剤としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、第3リン酸ナトリウム、第3リン酸カリウム、第3リン酸アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、第2リン酸カリウム、第2リン酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ほう酸ナトリウム、ほう酸カリウム、ほう酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。
これらのアルカリ剤は単独もしくは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0121】
これらのアルカリ剤の中で特に好ましい現像液は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩水溶液である。その理由はケイ酸塩の成分である酸化珪素SiO2 とアルカリ金属酸化物M2 Oの比率と濃度によって現像性の調節が可能となるためであり、例えば、特開昭54−62004号公報、特公昭57−7427号に記載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩が有効に用いられる。
【0122】
更に自動現像機を用いて現像する場合には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換する事なく、多量の平版印刷用版材を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。
現像液および補充液には現像性の促進や抑制、現像カスの分散および印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤があげられる。
更に現像液および補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
上記現像液および補充液を用いて現像処理された印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の画像記録材料を印刷用版材として使用する場合の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
【0123】
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化および標準化のため、印刷用版材用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷用版材を搬送する装置と各処理液槽およびスプレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって印刷用版材を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。
また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
【0124】
以上のようにして得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力を有する平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。
平版印刷版をバーニング処理する場合には、バーニング処理前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスクィージ、あるいは、スクィージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2 (乾燥重量)が適当である。
【0125】
整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(たとえば富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:BP−1300)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度および時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行なわれている処理を施すことができるが、水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。
この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0126】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0127】
実施例1〜12
厚さ0.30mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレン洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミンストン−水懸濁液を用い、その表面を砂目立てし、よく水で洗浄した。この板を45℃で25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い水洗後、さらに2%HNO3 に20秒間浸漬して水洗した。このときの砂目立ての裏面のエッチング量は約3g/m2 であった。次にこの板を、7%H2 SO4 を電界液として電流密度15A/dm2 の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗乾燥した。次にこのアルミニウム板に下記下塗り液を塗布し、80℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被覆重量は10mg/m2 であった。
(下塗り液組成)
・β−アラニン 0.1 g
・フェニルホスホン酸 0.05g
・メタノール 40 g
・純水 60 g
【0128】
次に、下記組成の溶液[P]において、ポリマー、フェノール化合物および酸発生剤の種類を変えて、10種類の溶液[P−1]〜[P−12]を調製した。各溶液で用いたポリマー、フェノール化合物および酸発生剤は、下記表1に示す通りである。得られた溶液をそれぞれ上記の下塗り済のアルミニウム板に塗布し、100℃で1分間乾燥して、ネガ型平版印刷用版材[P−1]〜[P−12]を得た。乾燥後の被覆重量は1.7g/m2 であった。
【0129】
【0130】
得られたネガ型平版印刷用版材[P−1]〜[P−12]を、波長1064nmの赤外線を発する固体レーザのYAGレーザで露光した。露光後、130℃で30秒間加熱処理した後、富士写真フイルム(株)製現像液、DP−4(1:8)、リンス液FR−3(1:7)を仕込んだ自動現像機を通して処理した。次いで富士写真フイルム(株)製ガムGU−7(1:1)で版面を処理し、ハイデルKOR−D機で印刷した。この際、得られた良好な印刷物の枚数を確認した。結果を下記表1に示す。
【0131】
次に感度を調査するために、実際にレーザ露光および後加熱後の塗膜がどれだけ硬化しているかを調べることとした。方法として、上記露光および後加熱済みのネガ型平版印刷用版材[P−1]〜[P−12]のそれぞれ100cm2 をメチルエチルケトン(15重量部)/1−メトキシ−2−プロパノール(5重量部)/メタノール(7重量部)のいわゆる塗布溶剤に1分間浸漬し、アルミニウム基板上へ残っている膜の重量を測定し、硬化度の指標となる不溶化率を算出した。不溶化率の計算式は以下の通りである。
【0132】
【数1】
【0133】
不溶化率は、高い値である程高感度であることを示すものである。
【0134】
さらに、保存安定性を調査するためネガ型平版印刷用版材[P−1]〜[P−12]をレーザ露光する前に60℃で3日間保存し、その後上記同様レーザ露光および後加熱し、ハイデルKOR−D機で印刷した。この際、印刷物の非画像部に汚れが発生しているかどうかを観察した。結果を下記表1に示す。
【0135】
比較例1〜5
ポリマー、フェノール化合物および酸発生剤の種類を下記表1に示すものにそれぞれ代えたことを除いては、実施例1〜12と同様に溶液[Q−1]〜[Q−4]および[R−1]を調製し、さらに実施例1〜12と同様にしてネガ型平版印刷用版材[Q−1]〜[Q−4]および[R−1]を得た。乾燥後の被覆重量は1.7g/m2 であった。なお、用いたポリマーX−1はポリヒドロキシスチレン系ポリマーであり、またポリマーX−2は、本発明に用いられるポリマーの一般式(A)の構成単位から、メチロール基を除した構造のポリマーであり、具体的には、下記構造式に示すものである。
【0136】
【化51】
【0137】
得られたネガ型平版印刷用版材[Q−1]〜[Q−4]および[R−1]を用いて、実施例1〜12と同様にして各試験を行った。結果を下記表1に示す。
【0138】
【表1】
【0139】
上記表1中のフェノール化合物および酸発生剤は以下の通りである。
【0140】
【化52】
【0141】
この表1に示す結果より、以下のことがいえる。即ち、本発明に用いる一般式(A)で表される構成単位を有するポリマーを用いることで、耐刷性、感度および保存安定性に優れたネガ型画像記録材料を提供することができる。特に本発明に用いる一般式(A)で表される構成単位を有するポリマー、低分子フェノール化合物および酸発生剤を組み合わせたものは、特に耐刷性が高く、感度も良好である。
【0142】
実施例13〜24
実施例1〜12の溶液[P−1]〜[P−12]において、用いる赤外線吸収剤を日本感光色素研究所(株)製NK−2014(0.15g)に変更した以外は、実施例1〜12と同様にして、溶液[S−1]〜[S−12]を調製し、さらに実施例1〜12と同様にして、ネガ型平版印刷用版材[S−1]〜[S−12]を得た。乾燥後の被覆重量は1.7g/m2 であった。
得られたネガ型平版印刷用版材[S−1]〜[S−12]を、波長840nmの赤外線を発する半導体レーザで露光した。露光後120℃で1分間加熱処理した後、富士写真フイルム(株)製現像液、DP−4(1:8)、リンス液FR−3(1:7)を仕込んだ自動現像機を通して処理した。次いで富士写真フイルム(株)製ガムGU−7(1:1)で版面を処理し、ハイデルKOR−D機で印刷した。この際、得られた良好な印刷物の枚数を確認した。
さらに実施例1〜12と同様にして、不溶化率および保存安定性についても試験を行った。結果を下記表2に示す。
【0143】
比較例6〜10
比較例1〜5の溶液[Q−1]〜[Q−4]および[R−1]において、用いる赤外線吸収剤を日本感光色素研究所(株)製NK−2014(0.15g)に変更した以外は、比較例1〜5と同様にして、溶液[T−1]〜[T−4]および[U−1]を調製し、さらに実施例1〜12と同様にして、ネガ型平版印刷用版材[T−1]〜[T−4]および[U−1]を得た。乾燥後の被覆重量は1.7g/m2 であった。
得られたネガ型平版印刷用版材[Q−1]〜[Q−4]および[R−1]を用いて、実施例13〜24と同様にして各試験を行った。結果を下記表1に示す。
【0144】
【表2】
【0145】
この表2に示す結果より、本発明に用いる一般式(A)で表される構成単位を有するポリマーを用いることで、耐刷性、感度および保存安定性に優れたネガ型画像記録材料を提供することができる。
【0146】
【発明の効果】
本発明は、赤外線を放射する固体レーザおよび半導体レーザを用いて記録することにより、コンピューター等のデジタルデータから直接製版可能であり、さらに、感度が良好で、印刷時の耐刷性が高く、保存安定性に優れたネガ型画像記録材料を提供することができる。
Claims (4)
- 少なくとも、赤外線吸収剤、および、下記一般式(A)で表される構成単位を有するポリマーを含有することを特徴とするネガ型画像記録材料。
・一般式(A)
Xは、−O−、−S−、または、
Yは、単結合、或いは、酸素原子で連結されていてもよい炭素数16以下の2価の炭化水素連結基を表す。
Zは、単結合、或いは、−O−、−S−、−CH2 −、
R4 およびR5 は同じでも異なっていてもよく、炭素数16以下の炭化水素基を表す。
mは0〜3の整数を表し、nは1〜3の整数表し、かつ、1≦m+n≦5である。 - さらにフェノール性水酸基を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載のネガ型画像記録材料。
- 一般式(A)で表される構成単位を有するポリマーが、さらにフェノール性水酸基を有することを特徴とする請求項1に記載のネガ型画像記録材料。
- さらに酸発生剤を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のネガ型画像記録材料。
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