JP4252633B2 - ボイラ - Google Patents

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JP4252633B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ボイラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、比較的小容量の水管ボイラは、複数本の水管を環状に配列したものや、一本或は複数本の水管をコイル状に巻回したもの等のように、略円筒形状の缶体構造のものが一般的である。このような形式の水管ボイラは、最内周側の環状水管列、或は螺旋状水管の内周側を燃焼室としたもので、近年までに、水管に伝熱ヒレを取り付けたり、燃焼室から排気管までの燃焼ガス流路を工夫する等、種々の改良が加えられ、低NOx 化、並びに効率の向上が図られてきた。
【0003】
しかし、現状の缶体構造では、低NOx 化、並びに効率の向上に限界が見えてきており、更に、近年の省スペース化の要望に応える必要性も生じている。そこで、近年においては、このような円筒形状の水管ボイラから脱却し、省スペース化と熱効率の向上とを達成するため、所謂角型の缶体構造の水管ボイラを開発し、実用に供している。
【0004】
ところで、前記の円筒型缶体構造の水管ボイラは、比較的安価に製作できるという利点を有しており、一方、角型缶体構造の水管ボイラは、予混合式ガス燃焼装置との組み合わせにより高い熱効率と低NOx 化を達成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、この発明は、前記円筒型の缶体構造のボイラにおいて、一層の低NOx 化と、高効率化、小型化を達成することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、所定の間隔で環状に配置した環状水管列として構成される少なくとも2つの環状伝熱部を備え、これらの環状伝熱部を多重に配置し、最内周側であって全ての水管が同じもので構成される前記第1環状伝熱部の一方の開口端に、火炎の噴出方向が前記第1環状伝熱部の軸方向と略平行になるように燃焼装置を設けて、前記第1環状伝熱部の内側を第1燃焼室とし、前記第1環状伝熱部とその外側に位置する前記第2環状伝熱部との間を第2燃焼室とし、前記第1環状伝熱部の周面に複数の水管のほぼ等間隔によって前記第1環状伝熱部の内外を連通する流通隙間を形成して、前記流通隙間から前記第2環状伝熱部に向けて噴出する火炎の温度を800度〜1300度となるように、前記燃焼装置と前記第1環状伝熱部との間隔を水管の径の0.1〜2倍とし、前記第1環状伝熱部の流通 隙間を水管の径の0.1から2倍とした構成により上述課題を解決するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明は、蒸気や温水を得るためのボイラとして実施される。
この発明は、少なくとも2つの環状伝熱部を備え、これらの環状伝熱部を内外二重に配置し、最内周側の第1環状伝熱部の一方の開口端に、火炎の噴出方向がこの第1環状伝熱部の軸方向と略平行になるように燃焼装置を設けた構成のボイラを基本的な実施形態とするものである。
【0008】
そして、この第1環状伝熱部の内側を第1燃焼室とし、前記第1環状伝熱部とこの第1環状伝熱部と隣接する第2環状伝熱部との間を第2燃焼室として構成する。前記第1環状伝熱部は、燃焼装置に対して、燃焼装置からの火炎の噴出方向と交差する方向に近接させて配置することにより、前記第1環状伝熱部の周囲に形成した流通隙間を介して前記第1燃焼室の火炎を第2燃焼室内に導入している。換言すれば、その内側と外側とを連通する流通隙間を形成した第1環状伝熱部と、第1環状伝熱部の外側に所定の間隔をおいて取り巻くように配置した第2環状伝熱部と、前記第1環状伝熱部の軸方向の一方の開口端に、第1環状伝熱部内を臨ませて配置した燃焼装置とを備え、前記第1環状伝熱部は、前記燃焼装置から噴出する火炎内に位置するように、前記燃焼装置からの火炎の噴出方向と交差する方向に、近接させて配置したことである。
【0009】
従って、この発明のボイラにおいては、燃焼装置からの火炎は、第1燃焼室の流通隙間を介して、第1燃焼室から第2燃焼室に達することになり、そのため、燃焼温度は前記第1環状伝熱部によって急冷され、サーマルNOx の生成率の少ない温度領域に調整される。そして、第1環状伝熱部によって急冷された後、第2燃焼室内に流入した火炎は、この第2燃焼室内においては伝熱が行なわれないため、温度の低下が少なく、そのために燃料の未燃分が反応し、COについても酸化されてCO2 となる。更に、第1環状伝熱部は、このような燃焼温度の制御を行なうのみならず、伝熱を行なうため、同一の外形寸法のボイラに比べて熱回収量が増加する。
【0010】
この発明は、燃焼装置の下流側において、第1環状伝熱部の内側を第1燃焼室としてあり、この第1燃焼室内においては、燃料と燃焼用空気とが噴出し、両者が混合された状態となっている。この混合された流体は、所謂燃焼反応によって火炎を生じる。本書では、燃焼反応中のガス体のうち、光としてとして明確に目視可能な部分を火炎と称している。尚、火炎より後流側には、目視不可能な高温のガス領域が生じており、これらの内の一部は燃焼反応を継続している。本書では、これらの燃焼反応継続中の高温ガスが含まれている部分を燃焼ガスと称している。
【0011】
更に、この発明は、第1環状伝熱部の流通隙間から第2環状伝熱部に向けて噴出する火炎の温度を800度〜1300度となるように、燃焼装置と第1環状伝熱部との間隔,及び前記第1環状伝熱部の流通隙間を設定することによって、サーマルNOx の生成を抑制するとともにCOの酸化を促し、低NOx 化と低CO化を達成する。この1300度以下という火炎温度は、サーマルNOx の生成量の少ない温度領域であり、800度以上という火炎温度は、COからCO2 への酸化反応の比較的活発な温度領域を意味する。即ち、火炎温度が、1300度以上の領域では、空気中の窒素の酸化によるサーマルNOx の生成量が急激に増加し、800度以下の領域では、COからCO2 への反応速度が低下するためである。
【0012】
更に、前記燃焼装置と第1環状伝熱部との間隔,及び前記第1環状伝熱部の流通隙間の設定は、燃焼装置の発生熱量に応じて、第1環状伝熱部の各部の寸法,流通隙間の寸法、個数を適宜調整することによって行う。
【0013】
ここで、前記第1環状伝熱部は、内部に被加熱流体を流通させ、この被加熱流体と火炎との熱交換を行なう構成物を指しており、具体的には、複数本の水管を適宜の間隔をおいて環状に配置した水管列や、コイル状に巻回してなる螺旋状水管によって構成したものを含むものである。
第1環状伝熱部をこのような水管によって構成した場合、第2燃焼室内に流入する火炎の温度を800度〜1300度とするためには、水管の間隔を、水管の外径の0.1〜2倍とし、更に、燃焼装置と第1環状伝熱部との間隔を、水管の径の0.1〜2倍とすることによって達成される。
【0014】
前記第1環状伝熱部に形成する流通隙間は、全てが同じ寸法である場合も適宜異なる寸法とした場合を含む。更に、第1環状伝熱部を水管で構成する場合、全ての水管が同じものである場合も、寸法や形状、材質が異なる場合も含む。一方、第2環状伝熱部は、前記第1環状伝熱部と同様の構成のほか、炉筒式のボイラのような炉筒とした構成を含む。即ち、第1環状伝熱部は、第1燃焼室と第2燃焼室とを連通する流通隙間を備えていればよく、第2環状伝熱部は、このような流通隙間を必ずしも設ける必要はない。
【0015】
更に、第1環状伝熱部,第2環状伝熱部の配置は、第1環状伝熱部の外側に第2環状伝熱部を配置してあれば良く、これら環状伝熱部の配置は、その軸線が、水平方向、垂直方向に限らない。
【0016】
更に、燃焼装置は、特定の形式の燃焼装置(バーナ)に限るものではなく、燃焼装置全体を含む概念である。即ち、この発明のボイラは、上述のように、燃焼装置からの火炎を包み込むように第1伝熱部を設けた構成となっており、火炎お噴出方向下流側には、所定の空間が広がっている。そのため、先混合式バーナ(拡散燃焼式バーナともいう)等のように、バーナの下流側に燃料(液体、並びに気体のものを含む)と燃焼用空気を混合させる領域を必要とするものについても適用できるからである。もちろん、バーナ下流側に燃料と燃焼用空気を混合させる領域を必要としない形式のバーナ、例えば、予混合式バーナを適用できることはいうまでもない。
【0017】
更に、第1環状水管列の燃焼装置側における流通隙間を広く設定することにより、燃焼装置下流側の燃焼ガス(火炎を含む概念である。)を、燃焼装置の根元部分に再度供給(再循環)するができ、このことにより火炎温度が低下し、低NOx 化を達成する。
【0018】
この構成では、通常の燃焼装置であっても、燃焼ガスの再循環を行なうことができるものであるが、燃焼装置を、自己再循環機能を備えた所謂自己再循環式燃焼装置とした場合に、この排ガスの再循環機能を確実に発揮させることができ、更に低NOx 化を達成することができる。燃焼装置として、自己再循環型の燃焼装置を適用する構成では、排ガスの再循環による効果が確実に発揮され、火炎の温度を低下させて低NOx 化が行なわれる。
【0019】
【実施例】
以下、この発明を水管ボイラに適用した第1実施例について、図1,図2を参照しながら説明する。尚、図1は、この発明に係るボイラの第1実施例の縦断面構造を示す説明図,図2は、図1のII−II線に沿う断面を示す説明図である。
【0020】
図示するボイラは、多数の水管を備えた所謂多管式水管ボイラであって、このボイラの缶体1は、環状の上部管寄せ2、及び下部管寄せ3と、この上部管寄せ2と下部管寄せ3の間に、径方向に間隔をおいた内外二重の環状伝熱部4,5を配置したものである。この2つの環状伝熱部4,5は、それぞれ多数の垂直水管6を所定の間隔で環状に配置した環状水管列として構成してある。
【0021】
前記上部管寄せ2、並びに下部管寄せ3は、それぞれ矩形断面の環状をなす中空容器であって、両管寄せ2,3は、前記環状伝熱部4,5を構成する多数の垂直水管6で連結してある。ここで、各水管6内には、上部管寄せ2、或は下部管寄せ3から被加熱流体が供給される。
【0022】
前記二重の環状伝熱部4,5のうち、内側に位置する第1環状伝熱部4は、垂直水管6を所定の間隔をおいて配置したもので、その水管6の間隔は、外側に位置する第2環状伝熱部5のものよりも広く設定してある。第2環状伝熱部5は、比較的狭い間隔を介して水管6を配列してあり、この第2環状伝熱部5の外周側においては、各水管6に、その軸線方向に沿う平板状の伝熱ヒレ9を取り付けてある。
【0023】
前記第1環状伝熱部4の軸方向の一方の開口端側、即ち上部管寄せ2の内方(中央部)には、燃焼装置7を配置してある。この燃焼装置7は、上部管寄せ2よりも下方側に突出した状態で設けてあり、前記第1環状伝熱部4の略軸方向に沿って火炎を噴出する。従って、第1環状伝熱部4の内側は、燃料と燃焼用空気を反応させ、火炎を形成する第1燃焼室11となる。
【0024】
前記第1環状伝熱部4と第2環状伝熱部5との間の空間は、第2燃焼室12として構成されるもので、第1環状伝熱部4を構成する水管6間の隙間(以下流通隙間という)30によって前記第1燃焼室11と連通してある。ここで、前記第1環状伝熱部4は、前記燃焼装置7からの火炎の噴出方向と交叉する方向に、前記燃焼装置7に近接させた状態で配置してある。そのため、前記燃焼装置7からの火炎は、前記流通隙間30を介して第2燃焼室12内に流入する。
【0025】
上述した第1環状伝熱部4,第2環状伝熱部5,燃焼装置7の配置関係によって、従来のボイラにおいて燃焼装置7の下流側に形成され、火炎を充満させるための独立した広い空間としての燃焼室は、第1環状伝熱部4を越えてその外方の第2環状伝熱部5にまで形成されることになる。
【0026】
換言すれば、この発明のボイラは、燃焼装置7から噴出する火炎内に位置するように、第1環状伝熱部4の水管6を配置したもので、この水管6の軸線は、前記火炎の噴出方向に沿う方向となる。
【0027】
更に、この発明のボイラにおいて、燃焼装置7の発生熱量,第1環状伝熱部4の各部の寸法,燃焼装置7と第1環状伝熱部4との間隔,第1環状伝熱部4の流通隙間30の寸法,個数,配置間隔等は、流通隙間30から第2環状伝熱部5に向けて噴出する火炎の温度が800度〜1300度となるように設定してある。この1300度以下という火炎温度は、サーマルNOx の生成の少ない温度領域であり、800度以上という火炎温度は、COからCO2 への酸化反応の比較的活発な温度領域を意味する。即ち、火炎温度が、1300度以上の領域では、空気中の窒素の酸化によるサーマルNOx の生成量が急激に増加し、800度以下の領域では、COからCO2 への反応速度が低下するためである。
【0028】
第2燃焼室12内に流入する火炎の温度を800度〜1300度とするためには、この第1実施例のように 第1環状伝熱部4を多数の水管6によって構成した場合、各水管6の間隔(即ち、流通隙間30)を、水管6の外径の0.1〜2倍とし、更に、燃焼装置7と第1環状伝熱部4との間隔を、水管6の外径の0.1〜2倍とする。
【0029】
ここで流通隙間30の下限値は、この流通隙間30を火炎が通過する際に、火炎が消滅せず、火炎を維持し得る間隔であり、更に、火炎が前記の温度範囲の下限値を維持し得る間隔である。一方、上限値は、火炎を1300度以下に冷却するとともに、ボイラの外径当りの伝熱面面積を維持するための間隔である。(当然、流通間隔30を大きく設定すると、第1環状伝熱部4における水管の本数が減少する)。
【0030】
更に、燃焼装置7と第1環状伝熱部4との間隔の下限値は、上部ヘッダ2に対する燃焼装置7と第1環状伝熱部4の取付時の都合から決定され、上限値は、第1環状伝熱部4内において1300度を越える温度領域が発生しないように火炎を冷却することができ、第1環状伝熱部4の過熱を防止することのできる間隔である。
【0031】
更に、前記上部管寄せ2における第1,第2環状伝熱部4,5の水管6との接合部分には、この部分を覆うように耐火材18を施工してある。一方の下部管寄せ3側においても、前記第1、第2環状伝熱部4,5の水管6との接合部分を部分を覆うように耐火材18を施工している。更に下部管寄せ3においては、中央の空洞部を適宜の耐火材やその他の部材によって閉鎖している。
【0032】
更に、外方の第2環状伝熱部5の外側には、この第2環状伝熱部5を包囲するようにボイラ外壁8を設けてある。この第2環状伝熱部5と外壁8との間に、排気口20に連なるガス流路17を構成する。このガス流路17は、第2環状伝熱部5を構成する水管6間の隙間(以下第2流通隙間という)32によって前記第2燃焼室12と連通してある。
【0033】
さて、以上の構成において燃焼装置7を作動させると、この燃焼装置7からの火炎は、図示するように、前記第1環状伝熱部4の軸線方向に、上部管寄せ2から下部管寄せ3に向けて噴出し、この火炎の噴出方向に対して交差する方向に広がるように形成される。従って、この火炎は、第1環状伝熱部4の各水管6表面を舐めるように形成され、第1環状伝熱部4の流通隙間30を通って第2燃焼室12内に流入する。
【0034】
この火炎は、燃焼装置7に近い部分では、噴出方向に対して交差する方向にあまり広がっていないため、火炎の後流側に形成される高温の燃焼ガスが前記流通隙間30を介して第2燃焼室12内に流入する。従って、この火炎、並びに燃焼ガスは、前記第1環状伝熱部4の各水管6内を流れる被加熱流体との間で熱交換を行なって急激に冷却されて温度が低下するため、サーマルNOx の発生が抑制される。そして、前記第1環状伝熱部4間の流通隙間30を通過した火炎は、後流側の第2燃焼室12で一定温度(前述の800度)以上に保持された状態での比較的長い時間の滞留により、酸化反応が促進され、特にCOの発生が防止される。
【0035】
この作用は、燃焼装置7から火炎の噴出方向に対して交差する方向、即ち、第1,第2環状伝熱部4,5の径方向についてのものであるが、各水管6の軸線方向について注目すると、火炎は、燃焼装置7から、上述のように、第1環状伝熱部4の各水管6を舐めるように形成されている。従って、火炎の先端側ほど前記水管6への伝熱によって温度が低下している。また、この第1実施例の水管ボイラが下部管寄3せから給水を受ける貫流ボイラなどの形式のものにおいては、火炎の方向と被加熱流体の方向とが互いに逆向きの所謂、対向流となるため熱効率がよい。しかも、前記水管6は、火炎の先端部や外周部の高温となる箇所が接触することはなく、順次、水管6との伝熱により温度低下するため、過熱を防止できる。しかも、このように水管6の温度が均一化することにより、第1,第2燃焼室11,12においても、局所的に高温となる箇所が存在しないので、サーマルNOx の生成を抑制できる。
【0036】
以上のようにして、800度〜1300度に温度を調整されて第2燃焼室12内に流入した火炎は、第2環状伝熱部5の第2流通隙間32からボイラ外壁8内側のガス流路17に流入する。この際には、第2環状伝熱部5の各水管6に取り付けた伝熱ヒレ9によってより多くの熱を回収することができ、更に、ガス流路17を通過する燃焼ガスは、第2環状伝熱部5の外側からの伝熱を行なって水管6内の被加熱流体を加熱した後、排出口20からボイラ外に排出される。
【0037】
即ち、この発明に係るボイラは、燃焼装置7から噴出される火炎内に第1環状伝熱部(第1実施例では環状の水管列)4を配置し、第1環状伝熱部4の流通隙間30から第1伝熱部4の外方に火炎を噴出するように構成し、この第1環状伝熱部4によって火炎を所定の温度以下に急冷し、第1環状伝熱部4と第2環状伝熱部5との間の第2燃焼室12内において急冷した火炎の温度を所定の温度以上に保持することにより、前記火炎の噴出方向に沿って温度を調整し、サーマルNOx やCO等の有害な燃焼排気物の生成を抑制するものである。
【0038】
更に、上述のように、燃焼装置7からの火炎内に第1伝熱部4を設けることにより、火炎の噴出方向下流側には、所定の空間が広がっている。従って、この発明のボイラに使用する燃焼装置としては、バーナの下流側からすぐに火炎の形成を行える予混合式バーナの他、バーナの下流側に燃料(液体、並びに気体のものを含む)と燃焼用空気を混合させる領域を必要とする先混合式バーナ(拡散燃焼式バーナともいう)や、気化燃焼式バーナ等、各種のバーナを適用することができる。更に、この発明に係るボイラは、上述のように各種の燃焼装置を適用することができる上に、この燃焼装置が使用する燃料の種類も液体、気体に関らず選択することができる。
【0039】
次に、この発明に係るボイラの第2実施例について、図3を参照しながら説明する。尚、図3は、この発明に係るボイラの第2実施例の縦断面構造を示す説明図で、前記第1実施例と同様の構成部材には、同一参照番号を附してその詳細説明を省略する。また、第2実施例においては、水管6の配置は前記第1実施例と同様であるので、水管6の配置を示す図面を省略してある。
【0040】
この第2実施例においては、前記上部管寄せ2側の水管6の流通隙間30を他の箇所より広く設定している。即ち、上部管寄せ2と第1環状伝熱部4との接合部には前述のような耐火物18を施工せず、また、各箇所における水管6を絞り加工してあることにより、第1環状伝熱部4の燃焼装置7側における水管6の流通隙間30を他の箇所より広く設定している。
【0041】
この構成により、燃焼装置7下流側の燃焼ガス(火炎を含む。)を第2燃焼室12を介して、燃焼装置7の根元部分に再度供給(再循環)するができ、このことにより火炎温度が低下し、低NOx 化を達成する。
【0042】
即ち、このような燃焼ガスの流通過程において、燃焼装置7からの燃焼ガスの主流は第1環状伝熱部4内を流通するが、この際に、燃焼装置7の基部と第1環状伝熱部4との間にはこの主流によって圧力低下が生じており、そのため、第2燃焼室12内の燃焼ガスの一部は第2燃焼室12の上方から第1燃焼室11内の燃焼装置7近傍に循環する。従って、燃焼火炎の反応温度の上昇が抑制され、不要な温度上昇が阻止されるため、サーマルNOx の発生が抑制される。
【0043】
この場合には、前記第2燃焼室12によって燃焼ガスを缶体内に留める時間を引き延ばし、特に未燃焼物の酸化反応を惹起するほかに、燃焼ガスの再循環による作用によって、有害排気物の低減が図れる。
【0044】
更に、この第2実施例において、前記燃焼装置7を、自己再循環機能を備えた所謂自己再循環式の燃焼装置7とすることにより、前述の排ガスの再循環機能を確実に発揮させることができ、更に低NOx 化を達成することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係るボイラにおいては、前記第1環状伝熱部内側の第1燃焼室と第1環状伝熱部と第2環状伝熱部との間の第2燃焼室とを、第1環状伝熱部の流通隙間を介して連通し、前記第1燃焼室内に形成される火炎を第1環状伝熱部の流通隙間から第2燃焼室内に導入するものであるから、火炎が第1環状伝熱部の流通隙間を通って第2燃焼室に移動する際に、この第1環状伝熱部によって火炎の温度をサーマルNOx の生成が少ない温度領域にまで急冷することができ、NOx 排出量を大幅に低減できる。
【0046】
更に、前記第2燃焼室内においては、前記急冷した火炎の温度を所定の温度以上に保持することにより、COをCO2 に酸化することができるため、このCOについても排出量を大幅に低減できることになる。
【0047】
従って、この発明に係るボイラによれば、前記のようなNOx やCO等の有害な燃焼排気物の生成を抑制でき、環境問題に対応したクリーンな排ガスのボイラを提供できることになる。
【0048】
更に、この発明に係るボイラによれば、燃焼装置に近接させて第1環状伝熱部を設け、この第1環状伝熱部によって燃焼装置の下流側に形成される燃焼室を2つに区画した構成となるため、従来のボイラのように燃焼装置の下流側に独立した広い燃焼室を設けるものに比べて水管の設置本数を増加することができ、この点において熱回収量を高めることができる。このことは、同一の熱回収量であれば、小型化、省スペース化が図れることを意味する。
【0049】
更に、この発明に係るボイラにおいては、燃焼装置の火炎の噴出方向に所定の空間(第1燃焼室)が広がっているため、上述のように各種の燃焼装置を適用することができる上に、この燃焼装置が使用する燃料の種類も液体、気体に関らず選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係るボイラの第1実施例の縦断面構造を示す説明図である。
【図2】 図1のII−II線に沿う断面を示す説明図である。
【図3】 この発明に係るボイラの第2実施例の縦断面構造を示す説明図である。
【符号の説明】
4 第1環状伝熱部
5 第2環状伝熱部(第2環状伝熱部)
6 垂直水管(水管)
7 燃焼装置
11 第1燃焼室
12 第2燃焼室
30 流通隙間

Claims (1)

  1. 所定の間隔で環状に配置した環状水管列として構成される少なくとも2つの環状伝熱部4,5を備え、これらの環状伝熱部4,5を多重に配置し、最内周側であって全ての水管が同じもので構成される前記第1環状伝熱部4の一方の開口端に、火炎の噴出方向が前記第1環状伝熱部4の軸方向と略平行になるように燃焼装置7を設けて、前記第1環状伝熱部4の内側を第1燃焼室11とし、前記第1環状伝熱部4とその外側に位置する前記第2環状伝熱部5との間を第2燃焼室12とし、前記第1環状伝熱部4の周面に複数の水管6のほぼ等間隔によって前記第1環状伝熱部4の内外を連通する流通隙間30を形成して、前記流通隙間30から前記第2環状伝熱部5に向けて噴出する火炎の温度が800度〜1300度となるように、前記燃焼装置7と前記第1環状伝熱部4との間隔を水管の径の0.1〜2倍とし、前記第1環状伝熱部4の流通隙間30を水管の径の0.1から2倍としたことを特徴とするボイラ。
JP18831796A 1996-06-28 1996-06-28 ボイラ Expired - Lifetime JP4252633B2 (ja)

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