JP4252393B2 - 歯付ベルト駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車用エンジンのカム軸又はカム軸とインジェクションポンプの駆動用、一般産業用機械の同期伝動用などに使用される歯布被覆の歯付ベルトに関し、特に高負荷用ベルトに関して、耐摩耗性及び耐歯欠け性を維持しつつ、特に心線の伸びを小さくして、ジャンピングを低減して伝達能力を高め、そして高温高張力下及び高温多湿下での走行における耐久性を改善した歯付ベルト駆動装置に関する。
自動車用エンジンのカム軸、インジェクションポンプ、オイルポンプ、ウォーターポンプ等を駆動する歯付ベルトは、エンジンの高出力化に伴うベルトへの負荷の増大及び、エンジンルームのコンパクト化に伴う雰囲気温度の上昇等歯付べルトの使用環境は近年特に厳しくなってきている為、更なる耐久性の向上が要求されている。又、一般産業用に使用される歯付ベルトについても、射出成形機等の高負荷駆動用等取替え周期の延長を要求されている。
特に高負荷条件下で使用される歯付ベルトは、弾性体エラストマーで歯部が形成されており、該弾性体エラストマーは硬度がJISA70°程度である為、歯部の変形、歯飛びから歯欠けへと故障形態が進み、高負荷の動力を伝達するにはベルトの伝達力が劣っていた。
そこで、ベルトを形成するエラストマーをJISA80°〜JISA88°程度の硬度の歯付ベルトで形成して歯部の弾性変形による歯飛び現象を防ごうとした。しかし、ベルト歯高さとプーリ溝深さの比を従来通りとしていた為、つまりベルト歯高さ/プーリ溝深さ=1.08であった為、ベルト歯が変形しにくく、ベルト歯の圧縮率が硬度をJISA70°のときと比べて小さくなりベルトのPLDの位置がプーリの仮想PLDの位置と比べて高い位置になり、両者のPLDの位置が一致せずにベルト歯とプーリ溝とのかみ合い状態が不安定となり歯飛び現象が発生していた。
又、上記心線として、ガラス繊維やアラミド繊維に代わって炭素繊維を使用した伝動ベルトも提案されている。例えば、特許文献1にはウレタンエラストマーのベルト素材に心線として炭素繊維コードを使用し、又特許文献2には熱可塑性エラストマーのベルト素材に、片撚りの炭素素材で撚る前にベルト本体と同じ材質の熱可塑性エラストマーで処理して接着を改善したものが使用されている。また特許文献2には、上撚り係数が2.0〜4.0であって、下撚り係数が上撚り係数の1/2〜3/2にして、初期強力が大きく、伸びが小さく、耐水性、耐屈曲疲労性を改善した歯付ベルトが開示されている。
しかし、従来の歯付ベルトでは、高負荷伝動の場合には、心線の伸びによってベルトのジャンピングが発生し、又走行後のベルト残存強力も走行前に比べて大きく低下することがあった。
特許第2954554号 特開平10−2379号公報 特公平03−4782号公報
本発明はこのような問題点を改善するものであり、特に上記ベルト歯部に加わる力を歯が圧縮することによって分散する形状の丸歯を有する歯付ベルト駆動装置のベルト歯部の硬度が高いベルトについて、ベルト歯部高さとプーリ溝部深さとの関係適正化することにより、高負荷を伝達しなければならない箇所に使用される歯付ベルト駆動装置について、ベルト歯先端部と、プーリ歯底部を干渉(接触)させ、ベルト歯を圧縮させることによりベルト歯圧力面から歯元部分を膨張させ、歯付ベルト駆動装置の動力伝達力を向上させることを目的とする。
その手段として、本発明はピッチ線に沿って延在し、かつそれにより該ピッチ線を画定する1個以上の補強部材により補強された硬度がJISA80°からJISA88°のエラストマーで形成された無端同期伝動ベルトであって、一連の同一の歯がピッチPだけ一様に離隔し、各歯の前方及び後方側面の大部分又は全部が半径Wの円弧として断面を形状づけられ、前記円弧の両方とも中心が距離Wだけ離れて該ピッチ線上に位置しているような無端同期駆動ベルトと、プーリ溝の間に形成した周辺部に設けられた同一形状の複数個のベルト係合歯を有するプーリであって、各プーリ溝の前方及び後方の表面の大部分又は全部がピッチ円上に中心を有する円弧として断面を形状づけられ、ピッチ円の半径がプーリ歯先端を通るプーリの外側半径とベルト歯の間の底部からベルトピッチ線までの距離との和であるようなプーリと、の組み合わせであって、各ベルト歯の先端と各プーリ溝の底部は、ベルトがプーリに係合するときに該プーリ溝の底部から係合する各ベルト歯を介して圧縮応力が作用するように、直線状で測定して前記歯付プーリのプーリ溝部の深さをベルト歯部の高さより小さく、ベルト歯部高さ/プーリ溝部深さが1.02以上1.03以下を満足する如く構成せしめ、ベルトとプーリが完全にかみ合ったときに、ベルト歯が高さ方向に圧縮されることにより、ベルト歯が膨張し、プーリとの隙間が全くなくなりベルト歯部側面、底面での応力が全体に分散され、プーリ溝の中心線とベルト歯の中心線が略一致する歯付ベルト駆動装置にある。
請求項2に記載の発明は、前記プーリ溝の底部が平坦である請求項1に記載の歯付ベルト駆動装置にある。
請求項3に記載の発明は、前記歯付ベルトが少なくとも歯部を構成するゴム層が水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを60:40〜40:60の質量比で混合したポリマー成分からなるゴムで形成されている請求項1又は2に記載の歯付ベルト駆動装置にある。
請求項4に記載の発明は、前記ゴム層が水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを60:40〜40:60の質量比で混合したポリマー成分100質量部に対して、有機過酸化物0.2〜10質量部を配合して架橋したゴムで形成されている請求項3に記載の歯付ベルト駆動装置にある。
請求項5に記載の発明は、有機過酸化物の他に、カーボンブラック5〜50質量部を配合する請求項4に記載の歯付ベルト駆動装置にある。
請求項6に記載の発明は前記歯付ベルトのゴム層がベルトの背面硬度として略JISA80°であるクロロプレンゴムを使用した請求項1又は2に記載の歯付ベルト駆動装置にある。
請求項7に記載の発明は、前記歯付ベルトの心線が総デニール数1,000〜10,000の炭素繊維のマルチフィラメント糸にゴムラテックスとエポキシ樹脂からなる処理液を含浸付着させた後、これを5〜10回/10cmで片撚りし、その表面に接着層を被覆したコードであり、更にコード断面積に占める繊維断面積の割合が70〜90%であり、かつベルトの引張弾性率が50〜85N/mmである請求項1から6のいずれかに記載の歯付ベルト駆動装置にある。
請求項8に記載の発明は、前記歯付ベルトの心線が総デニール数1,000〜10,000の炭素繊維のマルチフィラメント糸にゴムラテックスとエポキシ樹脂からなる処理液を含浸付着させた後、これを5〜10回/10cmで下撚りし、更に2.5〜5回/10cmで上撚りし、その表面に接着層を被覆したコードであり、更にコード断面積に占める繊維断面積の割合が70〜90%であり、かつベルトの引っ張り弾性率が50〜85N/mmである請求項1から6のいずれかに記載の歯付ベルト駆動装置にある。
請求項9に記載の発明は、接着層がレゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス液から得られた1層である請求項7又は8に記載の歯付ベルト駆動装置にある。
請求項10に記載の発明は、接着層がレゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス液からなる下層とゴム糊からなる上層の2層からなる請求項7又は8に記載の歯付ベルト駆動装置にある。
本発明の歯付ベルト駆動装置は、ピッチ線に沿って延在し、かつそれにより該ピッチ線を画定する1個以上の補強部材により補強された硬度がJISA80°からJISA88°のエラストマーで形成された無端同期伝動ベルトであって、一連の同一の歯がピッチPだけ一様に離隔し、各歯の前方及び後方側面の大部分又は全部が半径Wの円弧として断面を形状づけられ、前記円弧の両方とも中心が距離Wだけ離れて該ピッチ線上に位置しているような無端同期駆動ベルトと、プーリ溝の間に形成した周辺部に設けられた同一形状の複数個のベルト係合歯を有するプーリであって、各プーリ溝の前方及び後方の表面の大部分又は全部がピッチ円上に中心を有する円弧として断面を形状づけられ、ピッチ円の半径がプーリ歯先端を通るプーリの外側半径とベルト歯の間の底部からベルトピッチ線までの距離との和であるようなプーリと、の組み合わせであって、各ベルト歯の先端と各プーリ溝の底部は、ベルトがプーリに係合するときに該プーリ溝の底部から係合する各ベルト歯を介して圧縮応力が作用するように、直線状で測定して前記歯付プーリのプーリ溝部の深さをベルト歯部の高さより小さく、ベルト歯部高さ/プーリ溝部深さが1.02以上1.03以下を満足する如く構成せしめ、ベルトとプーリが完全にかみ合ったときに、ベルト歯が高さ方向に圧縮されることにより、ベルト歯が膨張し、プーリとの隙間が全くなくなりベルト歯部側面、底面での応力が全体に分散され、プーリ溝の中心線とベルト歯の中心線が略一致することを特徴とする歯付ベルト駆動装置であることから、ベルト歯部の強度が大きく、一定の圧縮率があり、プーリ溝の中心線とベルト歯の中心線が略一致することによりかみ合いも良好となり、大きな伝達力を得られる効果がある。
又、請求項2に記載の発明によると、前記プーリ溝の底部が平坦である請求項1に記載の歯付ベルト駆動装置であることから、プーリ溝の他の寸法を変えることなくプーリ溝部深さを変更するだけでプーリ溝の中心線とベルト歯の中心線を略一致させることができ、かみ合いを良好とすることができる効果がある。
請求項3に記載の発明によると、前記歯付ベルトが少なくとも歯部を構成するゴム層が水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを60:40〜40:60の質量比で混合したポリマー成分からなるゴムで形成されている請求項1又は2に記載の歯付ベルト駆動装置であることから、硬度がJISA80°からJISA88°のエラストマーで無端同期伝動ベルトを形成でき、歯飛びを防ぐ効果がある。
請求項4に記載の発明によると、前記ゴム層が水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを60:40〜40:60の質量比で混合したポリマー成分100質量部に対して、有機過酸化物0.2〜10質量部を配合して架橋したゴムで形成されている請求項3に記載の歯付ベルト駆動装置であることから、請求項3の効果に加えてさらにエラストマーの強度を向上できる効果を有する。
請求項5に記載の発明によると、有機過酸化物の他に、カーボンブラック5〜50質量部を配合する請求項4に記載の歯付ベルト駆動装置にあることから、請求項4の作用に加えてより歯付ベルトを形成するエラストマーの強度を向上できる。
請求項6に記載の発明によると、前記歯付ベルトのゴム層がベルトの背面硬度として略JISA80°であるクロロプレンゴムを使用した請求項1又は2に記載の歯付ベルト駆動装置であることから、背面クラックの発生を防止できる効果がある。
請求項7から10に記載の発明によると、前記歯付ベルトの心線が総デニール数1,000〜10,000の炭素繊維のマルチフィラメント糸にゴムラテックスとエポキシ樹脂からなる処理液を含浸付着させた後、これを5〜10回/10cmで片撚りし、その表面に接着層を被覆したコードであり、更にコード断面積に占める繊維断面積の割合が70〜90%であり、かつベルトの引張弾性率が50〜85N/mmである請求項1から6のいずれかに記載の歯付ベルト駆動装置であることから、心線の伸びを小さくして、起動時或いは停止時の従動側のオーバーシュートを小さくすることができて応答性を高めることができ、またジャンピングを低減して伝達容量も高くでき、そして高温高張力下及び高温多湿下での走行における耐久性を改善することができる。
以下、本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
図1は、本発明形態に係る歯付ベルトの全体斜視概略図である。図1において、歯付ベルトAは、長手方向に沿って所定間隔で配置した複数の歯部3と、歯部3と連続する背部2と、背部2に埋設された心線1と、歯部3の表面に被覆された歯布4とを有する構造である。背部2と歯部3は、ゴム層9で形成されたベルト本体を構成する。又、歯布4は、ベルトの長手方向に延在する緯糸7と、ベルトの幅方向に延在する経糸8とを織成してなる繊維材料を基材として構成される。
本発明によると、ピッチ線に沿って延在し、かつそれにより該ピッチ線を画定する1個以上の補強部材により補強された弾性エラストマーで形成された無端同期駆動ベルトであって、一連の同一の歯がピッチPだけ一様に離隔し、各ベルト歯の前方及び後方側面の大部分(プーリ溝の側面と係合する部分であって側面の半分以上を占める部分)又は全部が半径Wの円弧として断面を形状づけられ、前記円弧の両方とも中心が距離Wだけ離れて該ピッチ線上に位置しているような無端同期伝動ベルトと、プーリ溝の間に形成した周辺部に設けられた同一形状の複数個のベルト係合歯を有するプーリであって、各プーリ溝の前方及び後方の表面の大部分又は全部がピッチ円上に中心を有する円弧として断面を形状づけられ、ピッチ円の半径がプーリ歯先端を通るプーリの外側半径とベルト歯の間の底部からベルトピッチ線までの距離との和であるようなプーリと、の組み合わせであって、各ベルト歯の先端と各プーリ溝の底部は、ベルトがプーリに係合するときに該プーリ溝の底部から係合するときに該プーリ溝の底部から係合する各ベルト歯を介して圧縮応力が作用するように相対的に形状づけられた無端同期駆動ベルトとプーリの組み合わせが提供される。
本発明で必要なことは歯先とプーリ溝の底部とが接触し、これにより圧縮応力がかみ合う各ベルト歯の内部に発生することである。
好適には、各プーリ溝の表面は、半径がW+xcであり、ここでxは選択し得る数値係数、cはベルト歯の側面とプーリ溝の表面との間の所望の間隔であり、プーリ溝の前方及び後方表面の中心はピッチ円上にあり、両中心はW+(2x−1)cだけ離れている。
しかして、本発明においては、上記の如き歯付ベルト駆動装置でベルト歯の強度を大きくする為にベルトを形成するエラストマーの硬度をJISA80°からJISA88°とした場合、プーリ溝の中心線とベルト歯の中心線とを略一致させる為に直線状で測定して前記歯付プーリのプーリ溝部の深さをベルト歯部の高さより小さくして、ベルト歯部高さ/プーリ溝部深さが1.02以上1.03以下の範囲に設定されている。
さらに図2に示すように、プーリ11の溝13の底部15を平坦とするのがより好ましい。
ここで少なくとも歯部を構成するゴムとしては、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを60:40〜40:60の質量比で混合したポリマー成分からなるゴムで形成されていることが好ましい。
前記ラテックスとしては、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体、HNBR、CR、エピクロルヒド、天然ゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン等のラテックスが挙げられる。
不飽和カルボン酸金属塩が40より小さくなると、所定のゴム硬度にならず、歯部の剛性が狙いどおりに出現しなく、歯が柔軟である為にベルトがプーリに乗り上げてジャンピングするという問題が依然存在することになる。
一方、不飽和カルボン酸金属塩が60より大きくなると、歯布が歯部のゴムとの接着力が小さくなり、ベルト走行中に歯布が歯部のゴムから剥離するという問題がある。
また少なくとも歯部3を構成するゴムに用いられる上記の水素化ニトリルゴムとしては、耐熱性の観点から水素添加率が少なくとも90%以上であることが必要であり、92%〜98%が好適である。そしてこの水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を配合することによって、モジュラス(引張弾性率)や硬度を高めるようにしているものであり、モジュラス(引張弾性率)や切断伸度、さらに高い引き裂き強度や硬度を確保する為には、上記のように水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを60:40〜40:60の質量比で混合することが必要である。不飽和カルボン酸金属塩としては特に制限されるものではないが、アクリル酸亜鉛やメタクリル酸亜鉛等を用いることができる。
尚、不飽和カルボン酸金属塩を用いず、カーボンブラックによる補強でモジュラス(引張弾性率)を高めることは可能ではあるが、ゴムの切断伸度や引き裂き強度が低下してしまい、ゴムの変形や屈曲によるクラックの発生に対する充分な耐久性を付与することができない。さらにはゴムを圧入することで歯部を形成する圧入方式の製造方法においては、歯部が精度良く出ず好ましくない。
この水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩からなるポリマー成分に配合される上記の有機過酸化物は架橋剤として用いられるものであり、所定のモジュラス(引張弾性率)や切断伸度を確保する為には、上記のようにポリマー成分100質量部に対して有機過酸化物を0.2〜10質量部配合して架橋することが必要である。有機過酸化物としては、特に制限されるものではないが例えば、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロへキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパ−オキシイソプロピルカーボネート等を使用することができる。またこのような有機過酸化物の他に、硫黄化合物、オキシムニトロソ化合物や、モノマー類、ポリマー類で共架橋剤として一般に使用されるものを適量添加しても差し支えない。
さらに、これらの他に、硬度やモジュラス(引張弾性率)や切断伸度を確保し、適度な引き裂き強度を確保する範囲で、カーボンブラックや可塑剤等を適宜添加することもできる。水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩からなるポリマー成分100質量部に対して、カーボンブラックは5〜50質量部配合するのが好ましい。
又、前記歯付ベルトのゴム層としてベルトの背面硬度が略JISA80°となるようなクロロプレンゴムを使用することもできる。この場合、歯部を構成するゴムと背面ゴムとの両方にクロロプレンゴムを使用することが好ましい。
上記心線は、一般には、ガラス心線、アラミド心線及びポリベンゾオキサゾール心線が使用される。また、ポリパラフェ二レンナフタレート、ポリエステル、アクリル、カーボン、スチールを組成とする撚コードの何れでも使用できる。ガラス心線の組成はEガラス、Sガラス(高強度ガラス)何れでも良く、フィラメントの太さ及びフィラメントの収束本数及びストランド本数に制限されない。一方、アラミド心線においても、材質の分子構造の違いや心線構成及びフィラメントの大きさや接着処理剤の違いによっても制限されない。
ポリペンゾオキサゾール心線は、ポリパラフェ二レンベンゾビスオキサゾールを液晶紡糸した繊維(以下、PBO繊維と略記する)によって形成されている。
該PBO繊維は剛直で、極めて直線性の高い分子構造を持つポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールを液晶紡糸した繊維で、既知のパラ型アラミド繊維の倍以上の強度、弾性率を有し、耐熱性、耐撚性に優れると共に、低吸湿性(0.6%)で吸脱湿時の寸法安定性良好な特性を示す有機繊維である。
既存の抗張体構成繊維であるアラミド心線は強度、弾性率が既知の抗張体構成繊維中では優れたものであるが、吸湿性が高い為寸法安定性に欠けるのに対し、本発明の抗張体を構成する上記PBO繊維は強度、弾性率が既存繊維を遥かに越えるのみならず、低吸湿性で寸法安定性良好であり、従って自動車用の歯付ベルトに用いて優れた性能を発揮させる。
心線3は総デニール数1,000〜10,000の炭素繊維のマルチフィラメント糸をゴムラテックスとエポキシ樹脂からなる処理液を含浸付着させた後、これを5〜10回/10cmで片撚り、あるいは5〜10回/10cmで下撚りをし、更に2.5〜5回/10cmで上撚りをした諸撚りコードであってもよい。
炭素繊維のマルチフィラメント糸を構成するモノフィラメント(単繊維)は、その断面形状が実質的に真円形状に近いものであり、数多くのフィラメントを効率よく集合して、密接したフィラメント間の空間を減少させてコードの強度を高めている。具体的には、コード断面積に占める繊維断面積の割合が70〜90%であり、フィラメント群が効率よく高充填しており、ベルトの引張り弾性率が50〜85N/mmになる。もし楕円形になると、モノフィラメント同士が擦れ合いよりコードが破断しやすくなる。また、これ以外の形状になると、フィラメントを集合しても密接したフィラメント間の空間が多くなってコードの強度が向上しなくなる。
コード中の処理液(固形分)の含有量は、炭素繊維のマルチフィラメント糸100質量部に対して10〜40質量部、好ましくは15〜35質量部である。10質量部未満であると、モノフィラメント同士の擦れ合いによりコードの耐疲労性が低下することがあり、一方40質量部を越えるとコードの耐熱性、耐水性、耐溶剤性が低下することがある。
上記処理液(固形分)に含まれるゴムラテックス(固形分)の含有量は、処理液(固形分)100質量部に対して20〜80質量部、好ましくは30〜70質量部である。20質量部未満であると、コードの柔軟性が低下してベルトの耐屈曲疲労性が低下することがあり、一方80質量部を越えるとコードに粘着性が過剰になり、取扱い性が悪くなる。
上記ゴムラテックスの具体例としては、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、水素化ニトリルゴムラテックス(H−NBRラテックス)、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体(VPラテックス)、EPDMゴムラテックスの一種又は二種以上のブレンド物が使用される。
上記処理液(固形分)に含まれる処理液中のエポキシ樹脂の含有量は、処理液(固形分)100質量部に対して20〜80質量部、好ましくは30〜70質量部である。20質量部未満であると、コードとゴム界面の接着性が低下することがあり、80質量部を越えるとコードの柔軟性が低下してベルトの耐屈曲疲労性が低下することがある。
エポキシ樹脂の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の一種又は二種以上が使用される。
上記のコードには、その表面に接着層を付着させるが、ここでは接着層がレゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス液(RFL液)から得られた1層であってもよく、またゴム糊から得られた1層であってもよく、更にはRFL液からなる下層とゴム糊からなる上層の2層であってもよい。
RFL液は、レゾルシンとホルムアルデヒドの初期縮合物とゴムラテックスとを混合したものであり、この場合レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比は3/1〜1/3にすることが接着力を高めるうえで好適である。また、レゾルシンとホルムアルデヒドの初期縮合物は、これをゴムラテックスのゴム分100質量部に対して樹脂分が5〜50質量部になるようにゴムラテックスと混合し、更にフェノール樹脂を含むレゾルシンとホルムアルデヒドの初期縮合物とゴムラテックスとの固形分の質量比が5/95〜40/60に調節する。5/95未満では接着性が著しく低下し、また40/60を超えるとゴムラテックス分が少なくなり、耐熱性が悪くなって屈曲疲労性が低下する。
RFL処理液に使用するゴムラテックスとしては、水素化ニトリルゴムラテックス(H−NBRラテックス)、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体(VPラテックス)、クロロプレンゴムラテックス、EPDMゴムラテックスの一種又は二種以上のブレンド物が使用される。水素化ニトリルゴムラテックスとビニルピリジンゴムラテックスとは、固形分の質量比が60/40〜95/5で混合される。その水素化ニトリルゴムの質量比が60未満であれば、耐熱性が悪くなり屈曲疲労性が低下し、95を超えると、耐水性が著しく低下する。
使用する炭素繊維コードは下記方法によって処理される。まず未処理無撚りマルチフィラメント糸をゴムラテックスとエポキシ樹脂からなる処理液に含浸処理し、その後130〜250℃に調節したオ−ブンに通して熱処理する。続いて、上記処理したマルチフィラメント糸を5〜10回/10cmで片撚り、あるいは5〜10回/10cmで下撚りをし、更に2.5〜5回/10cmで上撚りをした諸撚りコードにした後、このコードをRFL液に含浸処理して接着層を形成する。
また、該処理コードをゴム糊に漬けてゴム層を付着し、この後130〜180℃前後に調節したオ−ブンに通して熱処理する。
このゴム糊としては、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)以外に、NBR、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、エチレンプロピレン共重合体(EPR)、SBR、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)のゴム配合物トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などの溶剤に溶かして得られたものである。
また、該処理コードを前述と同様にRFL液に含浸処理して下層を形成した後、ゴム糊でオーバーコート処理して上層の2層を形成してもよい。
歯布4を構成する緯糸、経糸の材質としては、それぞれポリアミド、アラミド、ポリエステル、ポリベンゾオキサゾール繊維の何れか又は組み合わせが採用できる。繊維の形態は、フィラメント糸及び紡績糸の何れでも良く、単独組成の撚糸又は混撚糸、混紡糸の何れであっても良い。RFL液を繊維内部にまで含浸できる程度に紡績糸又はフィラメントが集まった糸が好ましい。また、アラミド繊維又はポリベンゾオキサゾール繊維は、それ自体が低摩擦係数の繊維であるため、少なくともベルト長手方向の緯糸に含ませることにより、耐歯欠け性を向上させる。また、織成構成は綾織り、朱子織り、平織り等何れであっても良い。
前記ベルト背面硬度は少なくとも80度以上、好ましくは85度以上(JISA)である。背面硬度を少なくとも80度以上とする為には、ゴム配合物としては、H−NBRを使用する、又はH−NBRに不飽和カルボン酸金属塩を総ポリマーに対して15〜40質量部、或いは5〜15質量部添加する又は、高硬度となるクロロプレンゴムを使用する。ここで、不飽和カルボン酸金属塩の量が5質量部未満であるとゴム硬度が所定の硬度にならず、一方40質量部を越えるとゴム硬度が大きくなりすぎ、ベルト剛性が高くなり、屈曲疲労に劣りベルト寿命が短くなる。
実施例1としてまず、55質量部のポリメタクリル酸亜鉛と、45質量部の水素添加率90%の水素添加にトリルゴムとを重合させたポリマー複合体(ZSC−2295)80質量部と、水素添加率90%の水素添加ニトリルゴム(日本ゼオン株式会社製Zetpol2020)20質量部に有機パーオキサイド(TY13)1.5質量部及び老防剤(ノンフレDBD)2質量部を加えて歯付ベルト用ゴム組成物を作成した。
歯布として、緯糸(横糸、以下同じ)として40デニールの6,6ナイロンとウレタン糸を混紡し、経糸(縦糸、以下同じ)として40デニールの6,6ナイロンを用いた帆布を使用した、この歯布用織物を、表1のゴム配合物をMEK、トルエンに溶かした後にイソシアネート化合物としてポリアリールポリイソシアネートを添加した処理液に浸漬した。
Figure 0004252393
次に、ベルト作製用のS14M歯形100歯数の金型に上記の歯布を巻き付け、歯布上からS撚りとZ撚りの心線を交互に0.5mmピッチで配置するように巻き付け、さらにこの上から表1のゴム組成物からなる圧延シートを巻き付け、加圧・加硫して、ベルト背面を一定厚さに研磨しスリーブ状の成形品を作製した。これを所定幅に切断することによって、歯数が100歯ピッチが14mmの歯付ベルトを得た。
このときのベルト歯部高さ/プーリ溝部深さを1.03とし、プーリ溝の底部を平坦とした。
次に、従来例1として、ベルト歯部高さ/プーリ溝部深さを1.08とし、プーリ溝の底部をベルト側に凸となった曲面とした。
上記実施例1と従来例1とでジャンピングテストを行った。試験条件は、上記ベルトを用い、プーリは、実施例が一対の32歯のS14M型プーリを用い、プーリ溝部が平坦となっているもの、又、従来例は一対の32歯のS14M型プーリを用い、図2の破線17のようにプーリ溝の底部をベルト側に凸となった曲面とした。又、当試験における軸荷重は350Nで、従動負荷トルクを徐々に上昇させていきジャンピングしたときのトルクを読み取ることで行った。
上記ジャンピングトルク試験の結果は、実施例が196N・m迄ジャンピングしなかったのに対して、従来例は176N・mでジャンピングを起こし、20N・m程実施例の方が伝達力が大きいことがわかる。
次に、炭素繊維の無撚のマルチフィラメント糸(T700GC・6K・31E(型番、東レ(株)製)繊度4,300デニール)を、処理液(固定分濃度40質量%のビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス:JSR社製200質量部とエチレングルコールジグリシジルエーテル200質量部を水500質量部に溶かした水溶液)を含む処理液槽に通過させて含浸させた後、140℃の温度調節したオ−ブンに通して熱処理する。続いて、上記処理したマルチフィラメント糸を5回/10cmで片撚りしてコードにした後、このコードを表2に示すRFL液に浸漬し、130〜180℃の範囲で熱処理して接着層を形成した。
Figure 0004252393
上記処理コードの片撚り数と強力の関係をオートグラフで測定した結果を図2に示す。これによると、片撚りコードでは撚り数が5〜10回/10cmであれば、高強度を維持できることが判る。
歯部と背部用のゴムシートとして、表3に示すクロロプレンゴム配合からなるゴムを通常の方法で混練してカレンダーロールによって所定の厚さに調整した。
Figure 0004252393
歯布としては、経糸に6,6ナイロン、緯糸に6,6ナイロンとウレタン弾性糸を混撚した糸を用いて綾織したものを用いた。
次に、ベルト作製用のSTPD歯形120歯数の金型に上記歯布を巻き付け、心線としてSZ撚一対の前記炭素繊維コード(片撚り数、5回/10cm)をピッチ(1.0mm/本)にてスパイラルに所定の張力で巻き付けた。この心線の上に、表3のゴムシートを巻き付けた後、ジャケットを被せて加硫缶に投入し、通常の圧入方式により加圧加硫して歯形を形成させた。その後、ベルト背面を一定厚さに研磨し一定幅(10.0mm)にカットして走行用歯付ベルトを得た。
作製したベルトは3種あり、ベルト幅10.0mm、ベルト歯形STPD、歯数120
、歯ピッチ5.00mmの実施例2、ベルト幅19.0mm、ベルト歯形STPD、歯数105歯、歯ピッチ8.00mmの実施例3、そしてベルト幅30.0mm、ベルト歯形STPD、歯数100歯、歯ピッチ14.00mmの実施例4であった。
このとき、いずれのベルトもベルト歯部高さ/プーリ溝部深さを1.03とし、プーリ溝の底部を平坦とした。
従来例2
心線として、無撚のガラス繊維(E−ガラス)を3本引き揃えたものを表2に示すRFL処理液に浸漬した後、200〜280℃で熱処理した。これを撚り数8回/cmでSおよびZ方向に片撚りコードを準備した。これを11本引き揃え、12回/cmで上撚りした。更に、これをゴム糊に浸漬し、130〜180℃の範囲で熱処理した。その後、実施例1と同じ歯部と背部用のゴムシート、歯布を用い、また同様の製造条件にして3種の歯付ベルトを作製した。
作製したベルトはベルト歯形STPD、歯数120、歯ピッチ5.00mmの従来例2、ベルト幅19.0mm、ベルト歯形STPD、歯数105歯、歯ピッチ8.00mmの従来例3、そしてベルト幅30.0mm、ベルト歯形STPD、歯数100歯、歯ピッチ14.00mmの従来例4であった。
このとき、ベルト歯部高さ/プーリ溝部深さを1.08とし、プーリ溝の底部をベルト側に凸となった曲面とした。
上記実施例2と従来例2に係る歯付ベルトのコード径、コードの断面積、コード断面積中の繊維断面積占有率、ベルト弾性率(幅当り)を求めた結果を表4に示す。ベルト弾性率はベルトの軸間距離変化率と軸荷重の関係を室温下においてオートグラフによって測定した。
Figure 0004252393
これによると、実施例は従来例に比べて高強度、高弾性率により、伸びが小さくなっていることが判り、ベルト高張力時における寸法変化が小さくなっている。また、コード断面積中の繊維断面積占有率については、実施例の炭素繊維コードは比較例のガラス繊維コードに比べて繊維の充填量が多くなっていることが判る。
次に、歯付ベルトの伝動容量比較を行うため、ジャンピング試験を行った。このジャンピング試験では、ベルト走行中に従動軸の負荷を上げて行き、ジャンピング(歯飛び)が発生した際の負荷値を測定した。試験条件としては、22歯の駆動プーリ、20歯の従動プーリに歯付ベルトを懸架し、回転数3,600rpm、軸荷重10.6kgfで測定した。その結果を表5に併記する。
Figure 0004252393
これによると、実施例の歯付ベルトは、ジャンピングが発生しにくく、伝達容量が高いことが判る。
本発明の歯付ベルトは、駆動側の回転により従動側のロボットアームを移動させる駆動装置や自動車のオーバーヘッドカムシャフトの駆動装置に使用するものであり、歯付ベルトがコード断面積に占める繊維断面積の割合を70〜90%にして炭素繊維を多く充填するで、ベルトの引張り弾性率を50〜85N/mmに設定し、これにより心線の伸びを小さくして、起動時あるいは停止時の従動側のオーバーシュートを小さくすることができて、応答性を高めることができ、また伝達容量も高くなる。
本発明の歯付ベルト駆動装置に使用する歯付ベルトの実施形態の一例を示す一部の断面図である。 本発明の歯付ベルト駆動装置に使用するプーリの実施形態の一例を示す一部の断面図である。 上記歯付ベルトの心線処理コードの片撚り数と強力の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 心線
2 背部
3 歯部
4 歯布
5 歯付ベルト
7 緯糸
8 経糸
9 ゴム層
11 プーリ
13 溝
15 底部
17 従来のプーリ底部形状

Claims (10)

  1. ピッチ線に沿って延在し、かつそれにより該ピッチ線を画定する1個以上の補強部材により補強された硬度がJISA80°からJISA88°のエラストマーで形成された無端同期伝動ベルトであって、一連の同一の歯がピッチPだけ一様に離隔し、各歯の前方及び後方側面の大部分又は全部が半径Wの円弧として断面を形状づけられ、前記円弧の両方とも中心が距離Wだけ離れて該ピッチ線上に位置しているような無端同期駆動ベルトと、プーリ溝の間に形成した周辺部に設けられた同一形状の複数個のベルト係合歯を有するプーリであって、各プーリ溝の前方及び後方の表面の大部分又は全部がピッチ円上に中心を有する円弧として断面を形状づけられ、ピッチ円の半径がプーリ歯先端を通るプーリの外側半径とベルト歯の間の底部からベルトピッチ線までの距離との和であるようなプーリと、の組み合わせであって、各ベルト歯の先端と各プーリ溝の底部は、ベルトがプーリに係合するときに該プーリ溝の底部から係合する各ベルト歯を介して圧縮応力が作用するように、直線状で測定して前記歯付プーリのプーリ溝部の深さをベルト歯部の高さより小さく、ベルト歯部高さ/プーリ溝部深さが1.02以上1.03以下を満足する如く構成せしめ、ベルトとプーリが完全にかみ合ったときに、ベルト歯が高さ方向に圧縮されることにより、ベルト歯が膨張し、プーリとの隙間が全くなくなりベルト歯部側面、底面での応力が全体に分散され、プーリ溝の中心線とベルト歯の中心線が略一致することを特徴とする歯付ベルト駆動装置。
  2. 前記プーリ溝の底部が平坦である請求項1に記載の歯付ベルト。
  3. 前記歯付ベルトが少なくとも歯部を構成するゴム層が水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを60:40〜40:60の質量比で混合したポリマー成分からなるゴムで形成されている請求項1又は2に記載の歯付ベルト駆動装置。
  4. 前記ゴム層が水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを60:40〜40:60の質量比で混合したポリマー成分100質量部に対して、有機過酸化物0.2〜10質量部を配合して架橋したゴムで形成されている請求項3に記載の歯付ベルト駆動装置。
  5. 有機過酸化物の他に、カーボンブラック5〜50質量部を配合する請求項4に記載の歯付ベルト駆動装置。
  6. 前記歯付ベルトのゴム層がベルトの背面硬度として略JISA80°であるクロロプレンゴムを使用した請求項1又は2に記載の歯付ベルト駆動装置。
  7. 前記歯付ベルトの心線が総デニール数1,000〜10,000の炭素繊維のマルチフィラメント糸にゴムラテックスとエポキシ樹脂からなる処理液を含浸付着させた後、これを5〜10回/10cmで片撚りし、その表面に接着層を被覆したコードであり、更にコード断面積に占める繊維断面積の割合が70〜90%であり、かつベルトの引張弾性率が50〜85N/mmである請求項1から6のいずれかに記載の歯付ベルト駆動装置。
  8. 前記歯付ベルトの心線が総デニール数1,000〜10,000の炭素繊維のマルチフィラメント糸にゴムラテックスとエポキシ樹脂からなる処理液を含浸付着させた後、これを5〜10回/10cmで下撚りし、更に2.5〜5回/10cmで上撚りし、その表面に接着層を被覆したコードであり、更にコード断面積に占める繊維断面積の割合が70〜90%であり、かつベルトの引っ張り弾性率が50〜85N/mmである請求項1から6のいずれかに記載の歯付ベルト駆動装置。
  9. 接着層がレゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス液から得られた1層である請求項7又は8に記載の歯付ベルト駆動装置。
  10. 接着層がレゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス液からなる下層とゴム糊からなる上層の2層からなる請求項7又は8に記載の歯付ベルト駆動装置。
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