JP4252392B2 - クラッチ - Google Patents

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Description

本発明は動力伝達機構に用いられるクラッチに関するものである。
動力伝達機構に用いられるクラッチには、例えば図13に示すように、内輪部材51と、外輪部材52と、係合子55と、保持部材53とを主な構成要素とするクラッチが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このクラッチについて詳しく述べると、内輪部材51の外周には平坦なカム面51aが周方向4箇所に等間隔に形成されている。これにより、内輪部材51と外輪部材52との間に、周方向の中央部が広く、周方向の両側が楔形状に狭くなった係合子収容空間54が形成されている。この係合子収容空間54の周方向両側部は、係合子55が内輪部材51と外輪部材52に係合する係合部位になっており、中央部は、係合子55の係合が解除される解除部位となっている。各係合子収容空間54には、それぞれ1個の係合子55が収容されており、係合子55は、保持部材53により保持されて、周方向に移動操作される。
このクラッチを非連結状態にするには、図14(a)に示すように、保持部材53を適当な操作手段により操作して、係合子55を解除部位(図14(a)の実線)に移動させ、保持させる。このとき、内輪部材51に対して回転トルク(矢印A)が入力された場合でも、係合子55は内輪部材51と外輪部材52に係合しないため、入力された回転トルクが内輪部材51から外輪部材52に伝達されず、クラッチは非連結状態になる。
また、クラッチを連結状態にするには、保持部材53を回動自在な状態にして、係合子55が係合子収容空間54を周方向に自由に移動できるようにする。このとき、内輪部材51に対して回転トルク(矢印A)が入力されると、内輪部材51のカム面51aに対して係合子55が回転トルク(矢印A)の入力方向とは反対側の方向に移動する(図14(a)の破線)。そして、この係合子55は内輪部材51のカム面51aと外輪部材52の内周面52aに噛み込んで内輪部材51と外輪部材52に係合する。この係合により、内輪部材51に入力された回転トルクが係合子55を介して外輪部材52に伝達されて、クラッチが連結状態になる。
また、図14(b)に示すように、このクラッチにおいて、内輪部材51へ入力されている回転トルクの方向を矢印Aの方向から反対方向(矢印B)に切替えると、係合子55が図中左側の係合部位から離脱し、その後、内輪部材51のカム面51aに対して図中右側の係合部位に移動して、内輪部材51と外輪部材52に係合する(図14(b)の破線)。この際、係合子55が図中左側の係合部位から離脱して図中右側の係合部位で内輪部材51と外輪部材52に係合するまでの間において、クラッチにガタが生じる。また、この間、入力されている回転トルクの伝達が一時中断され、係合子55が再び内輪部材51と外輪部材52に係合する際に、衝撃トルクが発生する。
特開2001−349347号公報(第2〜3項、第1図)
本発明の課題は、入力された回転トルクの方向を切替える時のガタをなくし、その際に生じる衝撃トルクを抑制することができるクラッチを提供することである。
前記課題を解決するため、本発明に係るクラッチは、内輪部材と、外輪部材と、内輪部
材と外輪部材との間に収容され、内輪部材と外輪部材に係合する係合子とを備えた動力伝達機構用のクラッチであって、内輪部材と外輪部材との間に形成されており、係合子の係合が解除される解除部位が周方向の中央部に形成され、係合子を内輪部材と外輪部材に係合させる係合部位が解除部位の周方向の両側に形成され、かつ係合子が2個周方向に並設された係合子収容空間と、係合子収容空間の係合子を係合部位又は解除部位に周方向に移動させることにより、クラッチを連結状態又は非連結状態に適宜に切替えるクラッチ切替手段とを備えたクラッチにおいて、前記係合子はローラであって、クラッチ切替手段が、係合子収容空間の2個の係合子間に配設されて、係合子収容空間の周方向両側の係合部位に2個の係合子をそれぞれ移動させてクラッチを連結状態にする弾性部材と、何れも軸方向に延びる柱状の保持片を有し、保持片が係合子収容空間の周方向の一方に配設された第1保持部材と、保持片が周方向の他方にかつ第1保持部材の保持片と同一円周上に配設された第2保持部材と、適宜に第1保持部材と第2保持部材を周方向に近づけて、弾性部材に抗して2個の係合子を解除部位に移動させることによりクラッチを非連結状態にする保持部材操作機構とを備え、かつ解除部位への移動時、前記双方の保持片と係合子との半径方向における当接位置を何れも等しくしたことを特徴とする。
本発明に係るクラッチによれば、弾性部材により、係合子収容空間に収容された2個の係合子がそれぞれ係合子収容空間の周方向両側の係合部位に移動させられてクラッチが連結状態になっているので、入力された回転トルクの方向を切替えると2個の係合子の係合状態が同時に解除されることがなく、出力される回転トルクの方向が切替わる。
第1保持部材の保持片と第2保持部材の保持片が、それぞれ係合子収容空間に対して軸方向に移動するとともに、係合子収容空間に対して周方向に相対移動する機構を備えており、この機構を介して保持部材操作機構が第1保持部材と第2保持部材を軸方向に移動操作することで、第1保持部材の保持片と第2保持部材の保持片を係合子収容空間に対して周方向に相対移動させて係合子を解除部位に移動させるようにしてもよい。
この場合、保持部材操作機構が、係合子収容空間に対して軸方向に対向配置された電磁
石によって、第1保持部材の保持片と第2保持部材の保持片を、それぞれ係合子収容空間に対して軸方向に移動させるものでもよい。
また、係合子がその軸方向全長にわたって、第1保持部材と第2保持部材の保持片の何れとも係合するように構成されていてもよい。
以上のように、本発明に係るクラッチによれば、弾性部材により、係合子収容空間に収容された2個の係合子がそれぞれ係合子収容空間の周方向両側の係合部位に移動させられてクラッチが連結状態になっているので、入力された回転トルクの方向を切替えると2個の係合子の係合状態が同時に解除されることがなく、出力される回転トルクの方向が切替わる。このためガタが生じず、衝撃トルクを抑制することができる。
以下、本発明の一実施形態に係るクラッチを、図面に基づいて説明する。
このクラッチ1は、図1および図2に示すように、内輪部材11と、外輪部材12と、係合子13a、13bと、弾性部材14と、第1保持部材15と、第2保持部材16と、保持部材操作機構17とを備えている。なお、この実施形態では、保持部材操作機構17は、内輪部材11と外輪部材12に対して軸方向に対向するように固定的に配設された支持部材33と、支持部材33に取り付けられた電磁石34を備えており、この電磁石34の電磁力により第1保持部材15と第2保持部材16を操作するようになっている。
内輪部材11は、軸部21と、軸部21の先端に形成されたクラッチ内輪部23とを備えている。クラッチ内輪部23は略円柱形状であり、その外周には、図2に示すように、複数(図示例では、4箇所)のカム面23aが周方向に等間隔で形成されている。各カム面23aは、内輪部材11の軸心を中心とする円に対して弦をなす平坦な面に形成されている。外輪部材12は、軸部22と、軸部22の先端に形成されたクラッチ外輪部24とを備えている。クラッチ外輪部24は、円筒形状に形成されており、その内周面24aは内輪部材11のクラッチ内輪部23の外周を覆っている。これにより、内輪部材11と外輪部材12の間に、周方向の中央部が広く、周方向の両側が楔形状に狭くなった係合子収容空間18が形成されている。この係合子収容空間18の周方向両側部は、係合子13a、13bが内輪部材11と外輪部材12に係合する係合部位19になっており、中央部は、係合子13a、13bの係合が解除される解除部位20となっている。この係合部位19は、係合子収容空間18の周方向の外側に向けて幅が徐々に狭くなった楔隙間に形成されている。
また、クラッチ内輪部23の外周には、後述する第1保持部材15と第2保持部材16のカム溝25、26にそれぞれ係合するスイッチピン32が植設されている。
係合子13a、13bは、円筒ローラであり、係合子収容空間18の周方向両側の係合部位19では内輪部材11と外輪部材12に係合し、係合子収容空間18の周方向中央部の解除部位20では内輪部材11と外輪部材12に係合し得ないように、所定の直径で形成されている。係合子13a、13bは各係合子収容空間18に、2個ずつ配設されている。
弾性部材14は、図2に示すように、断面が波型のばね部材であり、係合子収容空間18に収容された2個の係合子13a、13b間に圧縮された状態で配設されており、その弾性力により各係合子13a、13bをそれぞれ係合子収容空間18の周方向両側の係合部位19に附勢している。
第1保持部材15は、図3(a)(b)に示すように、円板形状の基部27と、基部27から軸方向に延在した複数(図示例では4つ)の保持片29を周方向に等間隔に備えている。第2保持部材16は、図4(a)(b)に示すように、第1保持部材15の4つの保持片29の内周側に装着可能な円板形状の基部28と、基部28から軸方向に延在した複数(図示例では4つ)の保持片30を周方向に等間隔に備えている。第1保持部材15の基部27と第2保持部材16の基部28には、それぞれ中央に内輪部材11の軸部21が挿通する挿通孔27a、28aが形成されている。第2保持部材16の各保持片30は、図4(a)(b)および図7に示すように、第2保持部材16を第1保持部材15の内周側に組み入れたときに、第1保持部材15の保持片29と同じ半径の円周上に配設されるように、基部28から半径方向外側に突出した肩部31の先端から軸方向に延在している。
第1保持部材15の保持片29の少なくとも一つ、および第2保持部材16の保持片30の少なくとも一つには、図3(a)及び図4(a)に示すように、それぞれカム溝25、26が軸方向に対して傾斜させて形成されている。カム溝25、26は、内輪部材11のスイッチピン32との係合により、第1保持部材15と第2保持部材16が内輪部材11に対して軸方向電磁石34側に移動したときに、第1保持部材15と第2保持部材16がそれぞれ周方向に回動して、第1保持部材15の保持片29と第2保持部材16の保持片30が近づき、かつ、第1保持部材15と第2保持部材16が軸方向外輪部材12側に移動したときに、第1保持部材15と第2保持部材16がそれぞれ逆方向に回動して第1保持部材15の保持片29と第2保持部材16の保持片30が離れるように形成されている。
この実施形態では、詳しくは、第1保持部材15は、図5(a)(b)に示すように、カム溝25と内輪部材11のスイッチピン32との係合により、軸方向電磁石34側に移動したときに、反時計方向(図5(a)及び図2参照)に回動し、軸方向外輪部材12側に移動したときに、時計方向(図5(b)及び図2参照)に回動するように、カム溝25が設けられている。また、第2保持部材16は、図6(a)(b)に示すように、カム溝26と内輪部材11のスイッチピン32の係合により、軸方向電磁石34側に移動したときに、時計方向(図6(a)及び図2参照)に回動し、軸方向外輪部材12側に移動したときに、反時計方向(図6(b)及び図2参照)に回動するように、カム溝26が設けられている。
第1保持部材15と第2保持部材16は、図7に示すように組み合わせたアッセンブリ状態で、第1保持部材15の保持片29と第2保持部材16の保持片30との間に係合子13a、13bを組み付けるとともに、図1に示すように、内輪部材11の軸部21側からクラッチ内輪部23に装着される。このとき、第1保持部材15の保持片29と第2保持部材16の保持片30のカム溝25、26に、それぞれクラッチ内輪部23の外周に植設されたスイッチピン32が装着される。
次に、クラッチ1の保持部材操作機構17を説明する。
保持部材操作機構17は、上述したように、内輪部材11と外輪部材12に対して軸方向に対向するように固定的に配設された支持部材33と、支持部材33に取り付けられた電磁石34を備えている。詳しくは、図1に示すように、支持部材33は、略円板形状であって、その中央には、内輪部材11の軸部21を挿通させるための挿通孔33aが形成されている。この支持部材33は内輪部材11の軸部21に挿通されて、図示されない固定基材に固定されている。電磁石34は、図1に示すように、コイル35と、コイル35にベアリング36を介して取り付けられた円板部材37とを備えている。円板部材37は、軸方向においてコイル35と第1保持部材15との間に配設されている。また、電磁石34の中央(コイル35および円板部材37の中央)には、内輪部材11の軸部21を挿通させるための挿通孔37aが形成されている。
次に、このクラッチ1の動作を説明する。
このクラッチ1は、電磁石34に通電し、磁力が作用すると、第1保持部材15と第2保持部材16が、それぞれ軸方向電磁石34側に移動して、基部27、28が電磁石34の円板部材37に磁着するようになっている。
このとき、カム溝25、26とスイッチピン32との係合により、図8(a)に示すように、第1保持部材15の保持片29と第2保持部材16の保持片30が係合子収容空間18の中央部の解除部位20に向かって互いに近づき、係合子13a、13bが前記解除部位20に保持される。この状態では、内輪部材11又は外輪部材12に対して回転トルクが入力されても、係合子13a、13bは内輪部材11と外輪部材12に係合しない。そのため、入力された回転トルクが内輪部材11から外輪部材12に伝達されず、クラッチ1は非連結状態になる。
また、電磁石34に通電し、磁力が作用している状態では、各係合子収容空間18の2個の係合子13a、13bの間隔が狭くなるので、2個の係合子13a、13bの間に挟まれた弾性部材14が圧縮され、弾性部材14に弾性力が蓄積される。
次に、電磁石34への通電が遮断され磁力の作用がなくなると、電磁石34の円板部材37に磁着していた第1保持部材15と第2保持部材16が円板部材37から開放される。このとき、図8(b)に示すように、弾性部材14の弾性復元力により、2個の係合子13a、13bが係合子収容空間18の両側に押戻され、それに応じて、係合子13a、13bを保持していた第1保持部材15の保持片29と第2保持部材16の保持片30が互いに離れるように回動する。同時に、この第1保持部材15と第2保持部材16の回動に応じて、カム溝25、26とスイッチピン32の係合により、第1保持部材15と第2保持部材16は軸方向外輪部材12側に移動する。
この状態で、内輪部材11又は外輪部材12に回転トルクが入力されると、係合子収容空間18の両側の係合部位19、19の少なくとも一方で、それぞれクラッチ内輪部23のカム面23aとクラッチ外輪部24の内周面24aとの楔隙間に係合子13a、13bが噛み込んで、内輪部材11と外輪部材12は、係合子13a、13bを介して互いに係り合ってクラッチ1が連結状態になる。
詳しくは、クラッチ1が上述した連結状態にある場合において、例えば、外輪部材12に回転トルクが矢印Aの方向に入力されると(図9(a)参照)、外輪部材12の回転方向の前方に位置する係合子13aは、外輪部材12から摩擦力を受けてクラッチ外輪部24の内周面24aとクラッチ内輪部23のカム面23aとの楔隙間に噛み込み、これにより、外輪部材12に入力された回転トルクが、外輪部材12から主に係合子13aを介して内輪部材11に伝達される。あるいは、外輪部材12に対して、図9(b)に示すように、矢印Aとは反対の矢印Bの方向に回転トルクが入力されると、同様に、外輪部材12の回転方向の前方に位置する係合子13bは、外輪部材12から摩擦力を受けて、クラッチ外輪部24の内周面24aとクラッチ内輪部23のカム面23aとの楔隙間に噛み込み、これにより、外輪部材12に入力された回転トルクが、外輪部材12から主に係合子13bを介して内輪部材11に伝達される。
また、例えば、内輪部材11に回転トルクが矢印Aの方向に入力されると、図10(a)に示すように、内輪部材11の回転方向の後方に位置する係合子13bは、内輪部材11から摩擦力を受けてクラッチ内輪部23のカム面23aとクラッチ外輪部24の内周面24aとの楔隙間に噛み込み、これにより、内輪部材11に入力された回転トルクが、内輪部材11から主に係合子13aを介して外輪部材12に伝達される。あるいは、内輪部材11に対して、図10(b)に示すように、矢印Aとは反対の矢印Bの方向に回転トルクが入力されると、内輪部材11の回転方向の後方に位置する係合子13aは、内輪部材11から摩擦力を受けて、クラッチ内輪部23のカム面23aとクラッチ外輪部24の内周面24aとの楔隙間に噛み込み、これにより、内輪部材11に入力された回転トルクが、内輪部材11から主に係合子13bを介して外輪部材12に伝達される。
また、このクラッチ1は、弾性部材14により係合子収容空間18の周方向両側の係合部位19、19にそれぞれ係合子13a、13bを移動させて、クラッチ1を連結状態にしている。この連結状態では、係合子13a、13bが係合子収容空間18の周方向両側の係合部位19、19に移動しているので、回転トルクが入力されたときには、上述したように、少なくとも一方の係合子が内輪部材11と外輪部材12に係合する。そして、入力された回転トルクの向きが切替わると、他方の係合子が内輪部材11と外輪部材12に係合して回転トルクが伝達される。このため、入力される回転トルクの向きが切替わってもガタが生じることはない。また、入力された回転トルクの向きが切替わる際、2個の係合子13a、13bの係合状態が同時に解除されることはなく、出力された回転トルクの向きが切替わるので、衝撃トルクを抑制することができる。
このクラッチ1は、例えば、バイワイヤステアリングシステムのフェールセーフ機構に用いられるクラッチに好適である。以下に、バイワイヤステアリングシステムおよびそのフェールセーフ機構を説明する。
バイワイヤステアリングシステム100は、図11に示すように、自動車ハンドルであるステアリングホイール101と、ステアリングホイール101に連結されたシャフト102と、このシャフト102に装着され、ステアリングホイール101に操舵反力を付与する反力シミュレータとしてのモータ103と、シャフト102に取り付けられ、ステアリングホイール101の操舵角を検出する操舵角検出器104と、操舵車輪に連結されたステアリングギア105と、ステアリングギア105に連結されたシャフト106と、前記シャフト106に装着され、ステアリングギア105に操舵力を付与する操舵アクチュエータとしてのモータ107と、前記シャフト102とシャフト106との間に装着されたクラッチ108と、モータ103、107及びクラッチ108を制御するコントローラ109とを備えている。
このバイワイヤステアリングシステム100は、適時にクラッチ108によるステアリングホイール101とステアリングギア105の連結を解除して、ステアリングホイール101の舵角によらず、コントローラ109により、モータ107を介してステアリングギア105の操舵角を操作するとともに、モータ103で操舵反力を制御可能な状態にすることができるようになっている。このバイワイヤステアリングシステム100によれば、運転者の意思を阻害することなく熟練者と同様のステアリング制御を実現することができるようになる。
また、バイワイヤステアリングシステム100には、安全装置としてクラッチ108を備えたフェールセーフ機構2が装備されている。このフェールセーフ機構2は、バッテリーが上がったり、事故や故障でバイワイヤステアリングシステム100の駆動装置(モータ)が正常に動かなかったりする場合に、例えば、前記モータ103、107に設置された異常検知センサ(図示省略)の異常検知信号に基づいて、コントローラ109がクラッチ108に制御信号を送信して、クラッチ108を連結状態にするものである。これによりステアリングホイール101とステアリングギア105が直結されて、運転者は直接操舵角をステアリングにより制御できるようになる。
上述したクラッチ1は、バイワイヤステアリングシステム100のクラッチ108に適用される。すなわち、クラッチ1は、図12に示すように、支持部材33をモータ107のケース107aに固定し、内輪部材11の軸部21を、モータ107の図示されない駆動軸に連結し、外輪部材12の軸部22を、シャフト102を介してステアリングホイール101に連結して取り付けられている。これにより、ステアリングホイール101から入力された回転トルクは、シャフト102を介して外輪部材12の軸部22に伝達され、また、内輪部材11の軸部21から出力された回転トルクがモータ107の図示されない駆動軸、シャフト106およびステアリングギア105を介して操舵車輪に伝達されるようになっている。
このバイワイヤステアリングシステム100は、常時は、電磁石34に通電してクラッチ1を非連結状態としている。このため、常時はバイワイヤステアリングシステム100によって操舵されるようになっている。
そして、バイワイヤステアリングシステム100のモータ103、107などに設置された異常検知センサ(図示省略)により、バイワイヤステアリングシステム100の不具合を検知したとき、異常検知センサの異常検知信号に基づいて、コントローラ109がクラッチ1に制御信号を出力して、電磁石34への通電を遮断する。これによりクラッチ1を連結状態にして、バイワイヤステアリングシステム100によらずに、ステアリングホイール101による操舵を可能な状態にする。
また、フェールセーフ機構2は、異常検知センサからの異常検知信号がない場合でも、バイワイヤステアリングシステム100の電気系統に不具合が生じた場合には、電磁石34への通電が遮断されるとすぐに、クラッチ1が連結状態になって、バイワイヤステアリングシステム100によらずに、ステアリングホイール101による操舵を可能な状態にする。このため、電気系統の不具合により、異常検知センサが機能しない場合やコントローラ109での制御ができない状態でも確実にフェールセーフ機構2が機能するので安全性が高い。
また、このクラッチ1は、弾性部材14により係合子収容空間18の周方向両側の係合部位19にそれぞれ係合子13a、13bを移動させて、クラッチ1を連結状態にしている。この連結状態では、係合子13a、13bが係合子収容空間18の周方向両側の係合部位19、19に移動しているので、回転トルクが入力されたときには、少なくとも一方の係合子が内輪部材11と外輪部材12に係合している。そして、入力された回転トルクの向きが切替わると、他方の係合子が内輪部材11と外輪部材12に係合して回転トルクが伝達されるので、入力されている回転トルクの向きが切替わってもガタが生じることはない。また、このとき、2個の係合子13a、13bの係合状態が同時に解除されることはなく、出力された回転トルクの向きが切替わるので、衝撃トルクを抑制することができる。従って、上述したように、バイワイヤステアリングシステム100に異常が発生し、電磁石34への通電が遮断され、クラッチ1が連結状態になっている場合に、運転者がステアリングホイール101を切返してもガタが生じない。このため、運転者は異常時でもスムーズなステアリング操作を行うことができる。
以上、本発明に係るクラッチの実施形態および上述したクラッチを用いたバイワイヤステアリングシステムの使用例を説明したが、本発明は前記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述したクラッチ1の実施形態では、クラッチ1の第1保持部材15、第2保持部材16を操作する保持部材操作機構17として電磁石34を用いた場合を例示したが、保持部材操作機構17はもちろんこれに限定されるものではなく、例えば、油圧駆動機や空気圧駆動機などを保持部材操作機構17として用いることもできる。また、前記の物に代えてばね等の弾性部材を含む保持部材操作機構17を構成することもできる。
また、上述した実施形態では、クラッチ1には、係合子13a、13b及び係合子収容空間18を周方向に4箇所備えたものを例示したが、これには限定されない。また、上述した実施形態では、係合子収容空間18は内輪部材11のクラッチ内輪部23の外周にカム面23aを形成することにより形成されているが、これには限定されず、例えば、内輪部材11の外周面又は外輪部材12の内周面の何れか一方を異形形状にして形成すればよく、外輪部材12のクラッチ外輪部24の内周面を加工して係合子収容空間18を形成してもよい。
その他、上述の実施形態では、内輪部材11又は外輪部材12に対する第1保持部材15と第2保持部材16の軸方向の移動に応じて、第1保持部材15と第2保持部材16が周方向に近づいたり、離れたりする機構として、内輪部材11のクラッチ内輪部23の外周に植設したスイッチピン32を、第1保持部材15、第2保持部材16に形成したカム溝25、26に係合させた機構を例示したが、係る機構に限定されず、その他種々の機構を採用することができる。
本発明の実施形態に係るクラッチ1の縦断面図である。 図1のクラッチ1におけるA−A断面矢視図である。 (a)は第1保持部材15の正面図、(b)は第1保持部材15の右側面図である。 (a)は第2保持部材16の正面図、(b)は第2保持部材16の右側面図である。 (a)は第1保持部材15が軸方向電磁石34側に移動した状態を示す図、(b)は第1保持部材15が軸方向外輪部材12側に移動した状態を示す図である。 (a)は第2保持部材16が軸方向電磁石34側に移動した状態を示す図、(b)は第2保持部材16が軸方向外輪部材12側に移動した状態を示す図である。 第1保持部材15と第2保持部材16を組み合わせた状態を示す図である。 (a)は電磁石34への通電時における係合子収容空間18を示す断面図、(b)は電磁石34への通電が遮断された状態における係合子収容空間18を示す断面図である。 (a)は外輪部材12に対して矢印Aの方向に回転トルクが入力された場合の、(b)は外輪部材12に対して矢印Bの方向に回転トルクが入力された場合の係合子収容空間18を示す断面図である。 (a)は内輪部材11に対して矢印Aの方向に回転トルクが入力された場合の、(b)は内輪部材11に対して矢印Bの方向に回転トルクが入力された場合の係合子収容空間18を示す断面図である。 本発明の実施形態に係るバイワイヤステアリングシステム100の概構成図である。 バイワイヤステアリングシステム100の実施形態に係るクラッチ1の縦断面図である。 従来のクラッチを示す断面図である。 (a)は図12のクラッチが非連結状態から連結状態に切替わる際の係合子収容空間54を示す断面図、(b)は入力されている回転トルクの方向切替時の係合子収容空間54を示す断面図である。
符号の説明
1 クラッチ
2 フェールセーフ機構
11 電磁石内輪部材
12 外輪部材
13a、13b 係合子
14 弾性部材
15 第1保持部材
16 第2保持部材
17 保持部材操作機構
18 係合子収容空間
19 係合部位
20 解除部位
23 クラッチ内輪部
23a カム面
24 クラッチ外輪部
25、26 カム溝
29 第1保持部材15の保持片
30 第2保持部材16の保持片
32 スイッチピン
34 電磁石
37a 挿通孔
100 バイワイヤステアリングシステム
101 ステアリングホイール
102 ステアリングホイール101に連結されたシャフト
103 反力シミュレータとしてのモータ
105 ステアリングギア
106 ステアリングギア105に連結されたシャフト
107 操舵アクチュエータとしてのモータ
109 コントローラ

Claims (4)

  1. 内輪部材と、外輪部材と、前記内輪部材と外輪部材との間に収容され、内輪部材と外輪部材に係合する係合子とを備えた動力伝達機構用のクラッチであって、前記内輪部材と外輪部材との間に形成されており、前記係合子の係合が解除される解除部位が周方向の中央部に形成され、前記係合子を内輪部材と外輪部材に係合させる係合部位が解除部位の周方向の両側に形成され、かつ前記係合子が2個周方向に並設された係合子収容空間と、
    前記係合子収容空間の係合子を前記係合部位又は解除部位に周方向に移動させることに
    より、クラッチを連結状態又は非連結状態に適宜に切替えるクラッチ切替手段とを備えた
    クラッチにおいて、
    前記係合子はローラであって、
    前記クラッチ切替手段が、前記係合子収容空間の2個の係合子間に配設されて、前記係
    合子収容空間の周方向両側の係合部位に前記2個の係合子をそれぞれ移動させてクラッチ
    を連結状態にする弾性部材と、
    何れも軸方向に延びる柱状の保持片を有し、該保持片が前記係合子収容空間の周方向の一方に配設された第1保持部材と、前記保持片が周方向の他方にかつ前記第1保持部材の保持片と同一円周上に配設された第2保持部材と、適宜に前記第1保持部材と第2保持部材を周方向に近づけて、前記弾性部材に抗して2個の係合子を解除部位に移動させることによりクラッチを非連結状態にする保持部材操作機構とを備え、かつ解除部位への移動時、前記双方の保持片と係合子との半径方向における当接位置を何れも等しくしたことを特徴とするクラッチ。
  2. 前記第1保持部材の保持片と前記第2保持部材の保持片が、それぞれ係合子収容空間に対して軸方向に移動するとともに、前記係合子収容空間に対して周方向に相対移動する機構を備えており、前記機構を介して前記保持部材操作機構が前記第1保持部材と第2保持部材を軸方向に移動操作することで、前記第1保持部材の保持片と前記第2保持部材の保持片を前記係合子収容空間に対して周方向に相対移動させて前記係合子を解除部位に移動させることを特徴とする請求項1に記載のクラッチ。
  3. 前記保持部材操作機構が、係合子収容空間に対して軸方向に対向配置された電磁石によって、前記第1保持部材の保持片と第2保持部材の保持片を、係合子収容空間に対してそれぞれ軸方向に移動させるものであることを特徴とする請求項2に記載のクラッチ。
  4. 前記係合子がその軸方向全長にわたって、前記第1保持部材の保持片と前記第2保持部材の保持片の何れとも係合するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のクラッチ。
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