JP4252185B2 - 制震装置および制震構造物 - Google Patents

制震装置および制震構造物 Download PDF

Info

Publication number
JP4252185B2
JP4252185B2 JP2000059534A JP2000059534A JP4252185B2 JP 4252185 B2 JP4252185 B2 JP 4252185B2 JP 2000059534 A JP2000059534 A JP 2000059534A JP 2000059534 A JP2000059534 A JP 2000059534A JP 4252185 B2 JP4252185 B2 JP 4252185B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibration
beam portion
viscous
viscous material
storage tank
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000059534A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001248326A (ja
Inventor
文昭 有馬
憲克 高瀬
滋樹 中南
利哉 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Mitsui Construction Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Mitsui Construction Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Mitsui Construction Co Ltd filed Critical Sumitomo Mitsui Construction Co Ltd
Priority to JP2000059534A priority Critical patent/JP4252185B2/ja
Publication of JP2001248326A publication Critical patent/JP2001248326A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4252185B2 publication Critical patent/JP4252185B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Building Environments (AREA)
  • Load-Bearing And Curtain Walls (AREA)
  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造物の横揺れを抑制する制震装置および制震構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
中層及び高層の建築構造物や鉄道高架橋のような土木構造物は、一般に、その骨組としてラーメン構造を採用している。このため、地震力等によって上層階と下層階との間に層間変形が生じることがあり、この層間変形が横揺れとなって現れ、層間変形が増大すると、構造物の破壊につながる。
【0003】
このような層間変形に起因する横揺れを抑制して構造物の健全性を保つために、従来より種々の制震装置が考案されており、その中の一つに粘性体または粘弾性体を利用して構造物の横揺れを抑制する制震装置が知られている(特開平1−97764号公報)。
【0004】
図26は前記した制震装置の正面図で、図27はその縦断面図である。図26及び図27において、制震装置10は粘性体12または粘弾性体を貯溜した箱形の粘性体貯溜槽14を備えており、この粘性体貯溜槽14は構造物の下側梁部16上に固定されている。また、制震装置10は方形状の面内振動抑制板18を備えている。この面内振動抑制板18は粘性体貯溜槽14の内面と接触しない程度の大きさに形成され、構造物の上側梁部20から垂下されて前記した粘性体12中に浸漬されている。
【0005】
このように構成される制震装置10は、たとえば下側梁部16と上側梁部20との間に地震力による層間変形が生じ、これにより面内振動抑制板18が粘性体貯溜槽14に対して水平方向に移動しようとすると、面内振動抑制板18に粘性体または粘弾性体12の粘性抵抗が作用するので、層間変形による横揺れを面内振動抑制板18に作用する粘性抵抗によって抑制することが可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した制震装置においては、制震性能を高めるために、面内振動抑制板18の表面積を大きくしようとすると、これに合わせて粘性体貯溜槽14も容積の大きい粘性体貯溜槽にしなければならない。このため、装置の大型化を招き、架構空間に対する占有面積を増大させるという問題があった。
【0007】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的は装置の大型化を招くことなく制震性能の向上を図ることのできる制震装置および制震構造物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、構造物の下側梁部上に設置された粘性体貯溜槽と、前記構造物の上側梁部から垂下されて前記粘性体貯溜槽に貯えられた粘性体または粘弾性体中に浸漬された面内振動抑制板とを備えた制震装置であって、前記上側梁部と前記面内振動抑制板との間もしくは前記下側梁部と前記粘性体貯溜槽との間に履歴型振動減衰体を設け、この履歴型振動減衰体の上面を前記上側梁部の下面もしくは前記粘性体貯溜槽の下面に固定するとともに、前記履歴型振動減衰体の下面を前記面内振動抑制板の上面もしくは前記下側梁部の上面に固定してマックスウェル型振動減衰機構を形成する制震装置において、前記上側梁部と前記面内振動抑制板との間もしくは前記下側梁部と前記粘性体貯溜槽との間に、前記面内振動抑制板または前記粘性体貯溜槽の変位を前記上側梁部および前記下側梁部の長手方向のみに許容する変位方向規制手段を設けたことを特徴とする。このような構成の制震装置において、前記変位方向規制手段は、前記上側梁部の下面もしくは前記粘性体貯溜槽の下面に固定された上側ガイドと、前記面内振動抑制板の上面もしくは前記下側梁部の上面に固定された下側ガイドとからなり、前記上側ガイドの下面にはガイド凹部もしくはガイド凸部が前記上側梁部および前記下側梁部の長手方向に沿って設けられ、前記下側ガイドの上面には前記ガイド凹部もしくはガイド凸部とスライド可能に係合する係合凸部もしくは係合凹部が設けられていることが好ましい(請求項2の発明)。
【0011】
請求項の発明は、構造物の架構に入力する振動エネルギを吸収する手段として、請求項1または2に記載の制震装置を用いたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は本発明の第1の実施形態に係る制震装置の正面図で、図2は図1のA−A線に沿う断面図である。図1及び図2において、本発明の第1の実施形態に係る制震装置22は、構造物の下側梁部16上に固定された粘性体貯溜槽14を備えている。この粘性体貯溜槽14は上部を開口させて箱形に形成されており、その内部には例えば炭素系化合物、シリコーンオイル等の粘性体もしくはアスファルトゴム質からなるゲルのような粘弾性体12が貯溜されているとともに、下側梁部16と上側梁部20との間に発生する層間変形を抑制する方形状の面内振動抑制板18が挿入されている。
【0014】
前記面内振動抑制板18は粘性体または粘弾性体12中に浸漬された矩形状の板状部18aを有しており、この板状部18aと粘性体貯溜槽14の内面との間には、予想される層間変形が生じても板状部18aが粘性体貯溜槽14の内面に接触しない程度の隙間が形成されている。また、面内振動抑制板18は上端部に板状の取付部18bを有しており、この取付部18bと上側梁部20との間には、複数個(例えば3個)の履歴型振動減衰体26が上側梁部20の長手方向(面内水平方向)にほぼ等間隔で設けられている。
【0015】
前記履歴型振動減衰体26は、図3に示されるように、振動エネルギを吸収する振動エネルギ吸収体28を備えており、この振動エネルギ吸収体28の両端面は長方形状の取付板30,32を介して上側梁部20の下面と取付部18bの上面に固定されている。
【0016】
振動エネルギ吸収体28は、図4に示されるように、ゴム等の拘束層と金属層とを上下方向に交互に積層して形成された積層体34と、この積層体34の上面及び下面に加硫接着された二枚の金属板36,38とを備えており、これらの金属板36,38はそれぞれ複数本のボルト40によって取付板30,32にそれぞれ固定されている。また、振動エネルギ吸収体28は積層体34内に埋設された円柱形状の鉛プラグ42,44を備えており、これら鉛プラグ42,44の両端面には、縞鋼板等からなる付着摩擦材45が設けられている。つまり、振動エネルギ吸収体28は振動エネルギを吸収する鉛プラグ42,44と、鉛プラグ42,44を拘束する積層体34とから構成される。
【0017】
取付板30,32は振動エネルギ吸収体28よりも一回り大きい大きさに形成されており、これら取付板30,32の外縁部には、取付板30,32を図示しないボルトにより上側梁部20および面内振動抑制板18に固定するために多数の取付孔46(図3参照)が穿設されている。
【0018】
鉛プラグ42,44はその鉛直方向の断面形状が縦寸法に対し横寸法を大きく設定してあり、本実施形態では縦寸法Hを1としたとき、横寸法Lが1.5〜3程度に設定され、これにより積層体34の水平方向の断面積に対する鉛プラグ42,44の水平方向の占める割合が大きくなっている。具体的には、積層体34は長辺が60〜90cm程度で短辺が25〜40cm程度であり、鉛プラグ42,44の直径が15〜26cm程度であり、積層体34の水平方向の断面積に対する鉛プラグ42,44の水平方向の断面積の割合は、20〜50パーセントに設定されている。この割合が小さいと、減衰性能そのものが小さくなるので、装置を大型化し、個数を多くする必要が生じる。また、上記割合が極端に大きい場合は鉛の拘束効果が低下することにより減衰性能が低下し、15〜35%程度に設定すると好適である。振動エネルギ吸収体28は高さが5〜10cm程度であり、全体形状は扁平な直方体形状をしている。
【0019】
図5は、図1に示した制震装置22を模式的に示す図である。同図において、符号M1は下側梁部16の質量を示し、M2は上側梁部20の質量を示している。また、符号Cwは前記した粘性体貯溜槽14、粘性体12および面内振動抑制板18から構成される粘性減衰系の減衰係数を示し、Kfは前記した履歴型振動減衰体26から構成される履歴減衰系の剛性を示している。
【0020】
このように構成される本発明の第1実施形態に係る制震装置22では、たとえば下側梁部16と上側梁部20との間に地震力による層間変形が生じ、これにより面内振動抑制板18が粘性体貯溜槽14に対して水平方向に変位しようとすると、面内振動抑制板18の表面に粘性体または粘弾性体12の粘性抵抗が作用するとともに、履歴型振動減衰体26の振動エネルギ吸収体28の鉛プラグ42,44が面内振動抑制板18の反力に応じてせん断変形を起こすことによって振動エネルギが吸収される。すなわち、粘性体貯溜槽14、粘性体または粘弾性体12および面内振動抑制板18から構成される粘性減衰系は振動成分を速度に比例して減衰し、履歴型振動減衰体26は振動成分を変位に比例して減衰する。
【0021】
したがって、前記した第1の実施形態では、粘性減衰系Cwと履歴減衰系Kfとを直列に連結したマックスウェル型振動減衰機構が形成され、これにより面内振動抑制板18の表面積を大きくしなくても地震動系の速度成分と変位成分に対しいつでもエネルギを吸収し、制震性能を高めることが可能となるので、装置の大型化を招くことなく制震性能の向上を図ることができる。
【0022】
図6は本発明の第2の実施形態に係る制震装置の正面図で、図7は図6のB−B線に沿う断面図である。図6及び図7において、本発明の第2の実施形態に係る制震装置は、構造物の下側梁部16上に固定された粘性体貯溜槽14を備えている。この粘性体貯溜槽14は上部を開口させて箱形に形成されており、その内部には例えば炭素系化合物、シリコーンオイル等の粘性体もしくはアスファルトゴム質からなるゲルのような粘弾性体12が貯溜されているとともに、下側梁部16と上側梁部20との間に発生する層間変形を抑制する方形状の面内振動抑制板18が挿入されている。
【0023】
前記面内振動抑制板18は粘性体または粘弾性体12中に浸漬された矩形状の板状部18aを有しており、この板状部18aと粘性体貯溜槽14の内面との間には、予想される層間変形が生じても板状部18aが粘性体貯溜槽14の内面に接触しない程度の隙間が形成されている。また、面内振動抑制板18は上端部に板状の取付部18bを有しており、この取付部18bと上側梁部20との間には、複数個(例えば2個)の履歴型振動減衰体26が上側梁部20の長手方向(面内水平方向)にほぼ等間隔で設けられている。
【0024】
前記履歴型振動減衰体26は振動エネルギを吸収する振動エネルギ吸収体28(図3参照)を備えており、この振動エネルギ吸収体28の両端面は長方形状の取付板30,32を介して上側梁部20の下面と取付部18bの上面に固定されている。
【0025】
また、前記面内振動抑制板18の取付部18bと上側梁部20との間には、層間変形に伴う面内振動抑制板18の変位を上側梁部20の長手方向のみに許容する変位方向規制手段90が設けられている。この方向規制手段90は上側梁部20の下面に固定された上側ガイド92を有しており、この上側ガイド92の下面にはガイド凸部(もしくはガイド凹部)94が上側梁部20の長手方向に沿って設けられている。また、方向規制手段90は取付部18bの上面に固定された下側ガイド96を有しており、この下側ガイド96の上面には前記ガイド凸部(もしくはガイド凹部)94とスライド可能に係合する係合凹部(もしくは係合凸部)98が設けられている。なお、下側ガイド96の内部(もしくは上側ガイド92の内部)には、ガイド凸部94(もしくは係合凸部98)と転接する複数のボールベアリング(図示せず)が設けられている。
【0026】
このように構成される本発明の第2実施形態に係る制震装置では、たとえば下側梁部16と上側梁部20との間に地震力による層間変形が生じ、これにより面内振動抑制板18が粘性体貯溜槽14に対して水平方向に変位しようとすると、面内振動抑制板18の表面に粘性体または粘弾性体12の速度成分に比例した粘性抵抗が作用するとともに、履歴型振動減衰体26の振動エネルギ吸収体28の鉛プラグ42,44が面内振動抑制板18の反力に応じてせん断変形を起こすことによって変位成分に比例した振動エネルギが吸収される。すなわち、粘性体貯溜槽14、粘性体または粘弾性体12および面内振動抑制板18から構成される粘性減衰系は振動成分を速度に比例して減衰し、履歴型振動減衰体26は振動成分を変位に比例して減衰する。
【0027】
したがって、上述した第2の実施形態では、粘性減衰系と履歴減衰系とを直列に連結したマックスウェル型振動減衰機構が形成され、これにより面内振動抑制板18の表面積を大きくしなくても制震性能を高めることが可能となるので、装置の大型化を招くことなく制震性能の向上を図ることができる。
【0028】
また、上述した第2の実施形態では、面内振動抑制板18と上側梁部20との間に面内振動抑制板18の変位を上側梁部20の長手方向のみに許容する変位方向規制手段90を設けたことにより、地震時に面内振動抑制板18を上側梁部20の長手方向のみに変位させることができ、これにより面内振動抑制板18の水平変形に伴う回転運動を抑制することができる。
【0029】
なお、上述した第1及び第2の実施形態では面内振動抑制板18と上側梁部20との間に複数個の履歴型振動減衰体26を設けたが、振動吸収能力の大きい履歴型振動減衰体であれば1個でも良い。
【0030】
図8は本発明の第3の実施形態に係る制震装置の正面図で、図9は図8のC−C線に沿う断面図である。図8及び図9において、本発明の第3の実施形態に係る制震装置48は上部を開口させて箱形に形成された粘性体貯溜槽14を備えており、この粘性体貯溜槽14内には例えば炭素系化合物、シリコーンオイル等の粘性体もしくはアスファルトゴム質からなるゲルのような粘弾性体12が貯溜されているとともに、下側梁部16と上側梁部20との間に発生する層間変形を抑制する面内振動抑制板18が挿入されている。この面内振動抑制板18は予想される層間変形が生じても粘性体貯溜槽14の内面に接触しない程度の大きさに形成されている。つまり、面内振動抑制板18と粘性体貯溜槽14の内面との間には予想される層間変形が生じても面内振動抑制板18が粘性体貯溜槽14の内面に接触しない程度の隙間が形成されており、面内振動抑制板18の上端部は複数本のボルトによって上側梁部20の下面に固定されている。
【0031】
前記粘性体貯溜槽14は下側梁部16上に設置されており、この下側梁部16と粘性体貯溜槽14との間には、複数(例えば2個)の履歴型振動減衰器26が下側梁部16の長手方向(面内水平方向)にほぼ等間隔で設けられている。これらの履歴型振動減衰体26は振動エネルギを吸収する振動エネルギ吸収体28(図3参照)を備えており、この振動エネルギ吸収体28の両端面は長方形状の取付板30,32を介して粘性体貯溜槽14の下面と下側梁部16の上面に固定されている。
【0032】
このように構成される本発明の第3実施形態に係る制震装置48では、たとえば下側梁部16と上側梁部20との間に地震力による層間変形が生じ、これにより面内振動抑制板18が粘性体貯溜槽14に対して水平方向に変位しようとすると、面内振動抑制板18の表面に粘性体または粘弾性体12の粘性抵抗が作用するとともに、履歴型振動減衰体26の振動エネルギ吸収体28の鉛プラグ42,44が面内振動抑制板18の反力に応じてせん断変形を起こすことによって振動エネルギが吸収される。すなわち、粘性体貯溜槽14、粘性体または粘弾性体12および面内振動抑制板18から構成される粘性減衰系は振動成分を速度に比例して減衰し、履歴型振動減衰体26は振動成分を変位に比例して減衰する。
【0033】
したがって、上述した第3の実施形態では、粘性減衰系と履歴減衰系とを直列に連結したマックスウェル型振動減衰機構が形成され、これにより面内振動抑制板18の表面積を大きくしなくても制震性能を高めることが可能となるので、装置の大型化を招くことなく制震性能の向上を図ることができる。
【0034】
図10は本発明の第4の実施形態に係る制震装置の正面図で、図11は図10のD−D線に沿う断面図である。図10及び図11において、本発明の第4の実施形態に係る制震装置は上部を開口させて箱形に形成された粘性体貯溜槽14を備えており、この粘性体貯溜槽14内には例えば炭素系化合物、シリコーンオイル等の粘性体もしくはアスファルトゴム質からなるゲルのような粘弾性体12が貯溜されているとともに、下側梁部16と上側梁部20との間に発生する層間変形を抑制する面内振動抑制板18が挿入されている。この面内振動抑制板18と粘性体貯溜槽14の内面との間には予想される層間変形が生じても面内振動抑制板18が粘性体貯溜槽14の内面に接触しない程度の隙間が形成されており、面内振動抑制板18の上端部は複数本のボルトによって上側梁部20の下面に固定されている。
【0035】
前記粘性体貯溜槽14は下側梁部16上に設置されており、この下側梁部16と粘性体貯溜槽14との間には、複数(例えば2個)の履歴型振動減衰体26が下側梁部16の長手方向にほぼ等間隔で設けられている。これらの履歴型振動減衰体26は振動エネルギを吸収する振動エネルギ吸収体28(図3参照)を備えており、この振動エネルギ吸収体28の両端面は長方形状の取付板30,32を介して粘性体貯溜槽14の下面と下側梁部16の上面に固定されている。
【0036】
また、前記下側梁部16と粘性体貯溜槽14との間には、層間変形に伴う粘性体貯溜槽14の変位を下側梁部16の長手方向のみに許容する変位方向規制手段90が設けられている。この方向規制手段90は粘性体貯溜槽14の下面に固定された上側ガイド92を有しており、この上側ガイド92の下面にはガイド凹部(もしくはガイド凸部)94が下側梁部16の長手方向に沿って設けられている。また、方向規制手段90は下側梁部16の上面に固定された下側ガイド96を有しており、この下側ガイド96の上面には前記ガイド凹部(もしくはガイド凸部)94とスライド可能に係合する係合凸部(もしくは係合凹部)98が設けられている。なお、上側ガイド92の内部(もしくは下側ガイド96の内部)には、係合凸部98(もしくはガイド凸部94)と転接する複数のボールベアリング(図示せず)が設けられている。
【0037】
このように構成される本発明の第4実施形態に係る制震装置では、たとえば下側梁部16と上側梁部20との間に地震力による層間変形が生じ、これにより面内振動抑制板18が粘性体貯溜槽14に対して水平方向に変位しようとすると、面内振動抑制板18の表面に粘性体または粘弾性体12の粘性抵抗が作用するとともに、履歴型振動減衰体26の振動エネルギ吸収体28の鉛プラグ42,44が面内振動抑制板18の反力に応じてせん断変形を起こすことによって振動エネルギが吸収される。すなわち、粘性体貯溜槽14、粘性体または粘弾性体12および面内振動抑制板18から構成される粘性減衰系は振動成分を速度に比例して減衰し、履歴型振動減衰体26は振動成分を変位に比例して減衰する。
【0038】
したがって、上述した第4の実施形態では、粘性減衰系と履歴減衰系とを直列に連結したマックスウェル型振動減衰機構が形成され、これにより面内振動抑制板18の表面積を大きくしなくても制震性能を高めることが可能となるので、装置の大型化を招くことなく制震性能の向上を図ることができる。
【0039】
また、上述した第4の実施形態では、下側梁部16と粘性体貯溜槽14との間に粘性体貯溜槽14の変位を下側梁部16の長手方向のみに許容する変位方向規制手段90を設けたことにより、地震時に粘性体貯溜槽14を上側梁部20の長手方向のみに変位させることができ、これにより面内振動抑制板18の水平変形に伴う回転運動を抑制することができる。
【0040】
図12は本発明の第5の実施形態に係る制震装置の正面図で、図13は図12のE−E線に沿う断面図である。図12及び図13において、本発明の第5の実施形態に係る制震装置48は、構造物の下側梁部16上に固定された粘性体貯溜槽14を備えている。この粘性体貯溜槽14は上部を開口させて箱形に形成されており、その内部には例えば炭素系化合物、シリコーンオイル等の粘性体もしくはアスファルトゴム質からなるゲルのような粘弾性体12が貯溜されているとともに、下側梁部16と上側梁部20との間に発生する層間変形を抑制する面内振動抑制板18が挿入されている。
【0041】
前記面内振動抑制板18と粘性体貯溜槽14の内面との間には予想される層間変形が生じても面内振動抑制板18が粘性体貯溜槽14の内面に接触しない程度の隙間が形成されており、面内振動抑制板18の上端部は複数本のボルトによって上側梁部20の下面に固定されている。また、面内振動抑制板18は方形状に形成されており、この面内振動抑制板18の前面上部および背面上部と粘性体貯溜槽14との間には、それぞれ複数個(例えば2個)の履歴型振動減衰体26が設けられている。
【0042】
前記履歴型振動減衰体26は振動エネルギを吸収する振動エネルギ吸収体28(図3参照)を備えており、この振動エネルギ吸収体28の両端面は取付板30,32を介して粘性体貯溜槽14の外面と面内振動抑制板18の表面にそれぞれ固定されている。
【0043】
図14は、図12及び図13に示した制震装置48を模式的に示す図である。同図において、符号M1は下側梁部16の質量を示し、M2は上側梁部20の質量を示している。また、符号Cwは前記した粘性体貯溜槽14、粘性体または粘弾性体12および面内振動抑制板18から構成される粘性減衰系の減衰係数を示し、Kfは前記した履歴型振動減衰器26から構成される履歴減衰系の剛性を示している。
【0044】
このように構成される本発明の第5の実施形態に係る制震装置48は、たとえば下側梁部16と上側梁部20との間に地震力による層間変形が生じ、これにより面内振動抑制板18が粘性体貯溜槽14に対して水平方向に変位しようとすると、面内振動抑制板18に粘性体または粘弾性体12の粘性抵抗が作用するとともに、履歴型振動減衰器26の振動エネルギ吸収体28の鉛プラグ42,44が面内振動抑制板18の反力に応じてせん断変形を起こすことによって同時に振動エネルギが吸収される。
【0045】
したがって、前記した第5の実施形態では、粘性減衰系の減衰係数Cwと履歴減衰系の剛性Kfとを並列に連結したフォークト型振動減衰機構が形成され、これにより面内振動抑制板18の表面積を大きくしなくても制震性能を高めることが可能となるので、装置の大型化を招くことなく制震性能の向上を図ることができる。
【0046】
図15は本発明の第6の実施形態に係る制震装置の正面図で、図16は図15のF−F線に沿う断面図である。図15及び図16において、本発明の第6実施形態に係る制震装置は、構造物の下側梁部16上に固定された粘性体貯溜槽14を備えて構成されている。この粘性体貯溜槽14は上方を開口させて箱形に形成されており、その内部には例えば炭素系化合物、シリコーンオイル等の粘性体もしくはアスファルトゴム質からなるゲルのような粘弾性体12が貯溜されていると共に面内振動抑制板18が挿入されている。
【0047】
前記面内振動抑制板18と粘性体貯溜槽14の内面との間には予想される層間変形が生じても面内振動抑制板18が粘性体貯溜槽14の内面に接触しない程度の隙間が形成されており、面内振動抑制板18の大部分は粘性体または粘弾性体12中に浸漬されている。また、面内振動抑制板18は方形状に形成されており、その上端部は複数本のボルトによって上側梁部20の下面に固定されている。さらに、面内振動抑制板18は上側梁部20の下面にボルト接合される取付板18bを有しており、この取付板18bの下面には複数個(例えば6個)の履歴型振動減衰体26が取り付けられている。
【0048】
前記履歴型振動減衰体26は、面内振動抑制板18を間に挟んで取付板18bの両側に配設されている。また、履歴型振動減衰体26は取付板18bの下面に上面を固定された上側取付板30と、この上側取付板30の下面に上面を固定された振動エネルギ吸収体28と、この振動エネルギ吸収体28の下面に上面を固定された下側取付板32とからなり、この下側取付板32の下面はブラケット29を介して粘性体貯溜槽14の外面に固定されている。
【0049】
このように構成される本発明の第6の実施形態に係る制震装置は、たとえば下側梁部16と上側梁部20との間に地震力による層間変形が生じ、これにより面内振動抑制板18が粘性体貯溜槽14に対して水平方向に変位しようとすると、面内振動抑制板18に粘性体または粘弾性体12の粘性抵抗が作用するとともに、履歴型振動減衰器26の振動エネルギ吸収体28の鉛プラグ42,44が面内振動抑制板18の変位量に応じてせん断変形を起こすことによって同時に振動エネルギが吸収される。
【0050】
したがって、前記した第6の実施形態では、粘性減衰系の減衰係数Cwと履歴減衰系の剛性Kfとを並列に連結したフォークト型振動減衰機構が形成され、これにより面内振動抑制板18の表面積を大きくしなくても制震性能を高めることが可能となるので、装置の大型化を招くことなく制震性能の向上を図ることができる。
【0051】
なお、上述した第6の実施形態では履歴型振動減衰器26を面内振動抑制板18の両面に取り付けたが、振動吸収能力の大きい履歴型振動減衰器であれば、面内振動抑制板18の片面のみに設けても同様の効果を得ることが可能である。
【0052】
図17は、本発明の第7の実施形態に係る制震装置の正面図である。この第7実施形態に係る制震装置は、下側梁部16の上面中央部に設置されたブラケット82と、このブラケット82の上面中央部から上側梁部20の下面両端部に向かって斜めに延設された粘性型振動減衰器100,100と、この粘性型振動減衰器100,100と上側梁部20の下面両端部とを接続する接続部材101,101とから構成され、ブラケット82と下側梁部16との間には、複数個の履歴型振動減衰体26が設けられている。
【0053】
粘性型振動減衰器100は、図18に示されるように、構造物の上側梁部20に連結される第1の連結部材102と、上記ブラケット82に連結される第2の連結部材104と、これら両連結部材102,104の一方(例えば連結部材104)に固定された固定外筒106と、この固定外筒106内に回転可能に収容された回転内筒108と、この回転内筒108の一端に取り付けられた案内ナット110とを備えており、この案内ナット110には、連結部材102,104の一方(例えば連結部材102)に設けられた案内ねじ112がボールベアリング114を介して螺合している。また、固定外筒106の内周面と回転内筒108の外周面との間に間隙が形成されており、この間隙には粘性体または粘弾性体116が封入されている。
【0054】
履歴型振動減衰体26は、図3及び図4に示したものと同様のものであり、履歴型振動減衰体26の取付板30はブラケット82の下面に固定され、履歴型振動減衰体26の取付板32は下側梁部16の上面に固定されている。この実施形態では、履歴型振動減衰体26は粘性型振動減衰器100,100と協働してマックスウェル型の振動減衰機構を構成している。
【0055】
このように構成される本発明の第7の実施形態では、下側梁部16と上側梁部20との間に地震力による層間変形が生じ、これにより上側梁部20が水平方向に相対変位しようとすると、粘性型振動減衰器100の外筒106と内筒108との間に粘性体または粘弾性体116の粘性抵抗が作用し、この粘性体または粘弾性体116の粘性抵抗によって上側梁部20の水平方向変位が抑制される。また、このとき粘性型振動減衰器100,100と共にマックスウェル型振動減衰機構を構成する履歴型振動減衰体26の振動エネルギ吸収体28の鉛プラグ42,44がせん断変形を起こすことによって振動エネルギが吸収される。したがって、上述した第7の実施形態では前記した第1乃至第6の実施形態と同様に、装置の大型化を招くことなく制震性能の向上を図ることができる。
【0056】
図19は、本発明の第8の実施形態に係る制震装置の正面図である。この第8実施形態に係る制震装置は、上側梁部20と下側梁部16との間に設けられたV形ブレース構造体117と、このV形ブレース構造体117を介して上側梁部20と下側梁部16との層間変形を抑制する粘性型振動減衰器118,118とから構成されている。V形ブレース構造体117は下側梁部16の上面中央部に設置されたブラケット117aと、このブラケット117aの上面中央部から上側梁部20と柱119との角部に向かって斜めに延設されたV形ブレース構成部材117b,117bとからなり、ブラケット117aと下側梁部16との間には、履歴型振動減衰体26,26が設けられている。
【0057】
粘性型振動減衰器118は、図20に示されるように、筒状部材120を介してブラケット117aまたは柱119に連結されたシリンダ122と、シリンダ122内に摺動可能に設けられたピストン124とを備えており、シリンダ122内には粘性体126が封入されている。また、粘性型振動減衰器118は、ピストン124にピストンロッド128を介して連結された連結部材130を備えており、連結部材130は柱119またはブラケット117aに連結されている。
【0058】
履歴型振動減衰体26は、図3及び図4に示したものと同様のものであり、履歴型振動減衰体26の取付板30はブラケット117aの下面に固定され、履歴型振動減衰体26の取付板32は下側梁部16の上面に固定されている。この実施形態では、履歴型振動減衰体26は粘性型振動減衰器118,118と協働して、フォークト型の振動減衰機構を構成している。
【0059】
このように構成される本発明の第8の実施形態では、下側梁部16と上側梁部20との間に地震力による層間変形が生じ、これにより上側梁部20が水平方向に相対変位しようとすると、粘性型振動減衰器118のピストン124に粘性体または粘弾性体126の粘性抵抗が作用し、この粘性体または粘弾性体126の粘性抵抗によって上側梁部20の水平方向変位が抑制される。また、このとき粘性型振動減衰器118,118と共にフォークト型振動減衰機構を構成する履歴型振動減衰体26の振動エネルギ吸収体28の鉛プラグ42,44がせん断変形を起こすことによって振動エネルギが吸収される。したがって、上述した第8の実施形態では前記した第1乃至第7の実施形態と同様に、装置の大型化を招くことなく制震性能の向上を図ることができる。
【0060】
図21は、本発明の第9の実施形態に係る制震装置の正面図である。同図において、符号50は本発明の第9の実施形態に係る制震装置を示し、この制震装置は粘性型振動減衰器50と履歴型振動減衰体26とから構成されている。
【0061】
粘性型振動減衰器50は、構造物の下側梁部16と上側梁部20との間に略水平に設けられている。また、この粘性型振動減衰器50は炭素系高分子化合物、シリコーンオイル等の粘性体またはアスファルトやゴム質材等の粘弾性体が封入されたシリンダ50aを備えており、このシリンダ50aの後端部には、履歴型振動減衰体26上に固定された水平サポート部材52から上方に延設された鉛直サポート部材54の上端部が水平ピン56を介して連結されている。さらに、粘性型振動減衰器50はシリンダ50a内に摺動可能に収容されたピストン50bを備えており、このピストン50bから前方に延設されたピストンロッド50cの先端部には、上側梁部20から鉛直に垂設された鉛直サポート部材58の下端部が水平ピン60を介して連結されている。
【0062】
一方、履歴型振動減衰体26は、図3に示されるように、上面と下面が長方形状に形成された直方体形の振動エネルギ吸収体28と、この振動エネルギ吸収体28の上面と下面に固定された長方形状の取付板30及び32とから構成されている。
【0063】
振動エネルギ吸収体は、図4に示されるように、ゴム等の振動吸収層と金属層とを上下方向に交互に積層して形成された積層体34と、この積層体34の上面と下面に加硫接着された二枚の金属板36,38を備えており、これらの金属板36,38はそれぞれ複数本のボルト40によって前記した取付板30,32に固定されている。さらに、振動エネルギ吸収体28は円柱形状の鉛プラグ42,44を備えており、これらの鉛プラグ42,44はその両端面を金属板36,38の表面から露出させて積層体34内に埋設されている。
【0064】
取付板30,32は振動エネルギ吸収体28よりも一回り大きい大きさに形成されており、取付板30,32の外縁部には、取付板30,32を図示しないボルトにより前記した下側梁部16の上面と水平サポート部材52の下面に固定するために複数の取付孔46(図3参照)が穿設されている。
【0065】
このように構成される本発明の第9の実施形態に係る制震装置では、たとえば下側梁部16と上側梁部20との間に地震力による層間変形が生じ、これにより上側梁部20が水平方向に相対変位しようとすると、粘性型振動減衰器50のピストン50bに粘性体または粘弾性体の粘性抵抗が作用し、この粘性抵抗によって上側梁部20の水平方向変位が抑制される。また、このとき粘性型振動減衰器50と共にマックスウェル型振動減衰機構を構成する履歴型振動減衰体26の振動エネルギ吸収体28の鉛プラグ42,44がせん断変形を起こすことによって振動エネルギが吸収される。
【0066】
したがって、前記した第9の実施形態ではピストン50bの表面積を大きくしなくても制震性能を高めることができ、これにより装置の大型化(シリンダ50aの大径化)を招いたり、あるいは架構空間を大きく塞ぐことなく制震性能の向上を図ることができる。
【0067】
なお、上述した第9の実施形態では粘性型振動減衰器50に接続された履歴型振動減衰体26を下側梁部16に連結したが、粘性型振動減衰器50のピストンロッド50cを鉛直サポート部材54を介して下側梁部16に連結すると共に粘性型振動減衰器50に接続された履歴型振動減衰体26を上側梁部20に連結しても良い。
【0068】
図22は本発明の第10実施形態に係る制震装置の正面図で、図23は図22に示したG部の詳細構成を示す図である。図22及び図23において、本発明の第10実施形態に係る制震装置62は構造物の下側梁部16上に支持台64を介して固定された皿状の粘性体貯留槽66(図23参照)を備えており、この粘性体貯留槽66内には、炭素系高分子化合物、シリコーンオイル等の粘性体またはアスファルトゴム質からなるゲルのような粘弾性体68が貯溜されている。
【0069】
また、制震装置62は構造物の上側梁部20から粘性体貯留槽66に向けて垂設されたサポート部材70を備えており、このサポート部材70の下端には、面内振動抑制板72が支柱部材74、フランジ板76、履歴型振動減衰体26、フランジ板78および支柱部材80を介して水平に保持されている。この面内振動抑制板72は鋼板等から形成され、前記した粘性体または粘弾性体68中に浸漬されている。
【0070】
履歴型振動減衰体26は、図3に示されるように、上面と下面が長方形状に形成された直方体形の振動エネルギ吸収体28と、この振動エネルギ吸収体28の上面と下面に固定された長方形状の取付板30及び32とから構成されている。
【0071】
振動エネルギ吸収体28は、図4に示されるように、ゴム等の振動吸収層と金属層とを上下方向に交互に積層して形成された積層体34と、この積層体34の上面と下面に加硫接着された二枚の金属板36,38とを備えており、これらの金属板36,38はそれぞれ複数本のボルト40によって前記した取付板30,32に固定されている。さらに、振動エネルギ吸収体28は円柱形状の鉛プラグ42,44を備えており、これらの鉛プラグ42,44はその両端面を金属板36,38の表面から露出させて振動エネルギ吸収体34内に埋設されている。
【0072】
取付板30,32は減衰器本体28よりも一回り大きい大きさに形成されており、取付板30,32の外縁部には、取付板30,32を図示しないボルトにより前記した前記したフランジ板78,76に固定するために複数の取付孔46(図3参照)が穿設されている。
【0073】
履歴型振動減衰体26は、粘性体貯留槽66および面内振動抑制板72等からなる粘性型振動減衰機構と協働して、マックスウェル型の振動減衰機構を構成している。
【0074】
このように構成される本発明の第10の実施形態に係る制震装置62では、たとえば下側梁部16と上側梁部20との間に地震力による層間変形が生じ、これにより上側梁部20が水平方向に相対変位しようとすると、面内振動抑制板72に粘性体68の粘性抵抗が作用し、この粘性抵抗によって上側梁部20の水平方向変位が抑制される。また、このとき履歴型振動減衰体26の振動エネルギ吸収体28の鉛プラグ42,44が面内振動抑制板72の反力に応じてせん断変形を起こすことによって振動エネルギが吸収される。
【0075】
したがって、前記した第10の実施形態においては、面内振動抑制板72の表面積を大きくしなくても制震性能を高めることができ、これにより装置の大型化を招くことなく制震性能の向上を図ることができる。
【0076】
なお、上述した第10実施形態では、面内振動抑制板72と支柱部材80との間に履歴型振動減衰体26を介在させてマックスウェル型振動減衰機構を構成したが、図24に示される第11実施形態のように、面内振動抑制板72を支柱部材80の下端に直接的に取り付け、履歴型振動減衰体26を支柱部材80に固定された上側水平板82と粘性体貯留槽66に固定された下側水平板84との間に介在させてフォークト型振動減衰機構を構成しても同様の効果を得ることができる。
【0077】
また、上述した第1乃至第11の各実施形態では履歴型振動減衰器26の振動エネルギ吸収体28がゴム等の振動吸収層と金属層とを交互に積層して形成されていると説明したが、履歴型振動減衰器26の振動エネルギ吸収体28を図25に示すように単層ゴム体で形成しても良いし、あるいは軟鋼もしくはハニカム構造材等で形成しても良い。
【0078】
また、本発明はビルのような建築構造物のみに適用されるものではなく、鉄道高架橋や工作物等の土木構造物あるいは自動ラック倉庫のようなラーメン構造物に適用することも耐震的に有効であることは明白である。さらに、本発明は一層の架構のみに適用されるものではなく、1階から数階離れた階間(例えば4階)に設置することも有効な手段であることは言うまでもない。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、装置の大型化を招くことなく制震性能の向上を図ることのできる制震装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る制震装置の正面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図1及び図2に示した履歴型振動減衰体の分解斜視図である。
【図4】図1及び図2に示した履歴型振動減衰体の縦断面図である。
【図5】図1に示した制震装置を模式的に示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る制震装置の正面図である。
【図7】図6のB−B線に沿う断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る制震装置の正面図である。
【図9】図8のC−C線に沿う断面図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る制震装置の正面図である。
【図11】図10のD−D線に沿う断面図である。
【図12】本発明の第5の実施形態に係る制震装置の正面図である。
【図13】図12のE−E線に沿う断面図である。
【図14】図12及び図13に示した制震装置を模式的に示す図である。
【図15】本発明の第6の実施形態に係る制震装置の正面図である。
【図16】図15のF−F線に沿う断面図である。
【図17】本発明の第7の実施形態に係る制震装置の正面図である。
【図18】図17に示す粘性型振動減衰器の断面図である。
【図19】本発明の第8の実施形態に係る制震装置の正面図である。
【図20】図19に示す粘性型振動減衰器の断面図である。
【図21】本発明の第9の実施形態に係る制震装置の正面図である。
【図22】本発明の第10の実施形態に係る制震装置の正面図である。
【図23】図22に示したG部の詳細構成を示す図である。
【図24】本発明の第11の実施形態に係る制震装置の正面図である。
【図25】履歴型振動減衰器の他の実施例を示す図である。
【図26】従来の制震装置の正面図である。
【図27】図26に示す制震装置の縦断面図である。
【符号の説明】
12,68 粘性体
14,66 粘性体貯溜槽
16 下側梁部
18,72 面内振動抑制板
20 上側梁部
26 履歴型振動減衰器
28 振動エネルギ吸収体
30,32 取付板
34,36 金属板
42,44 鉛プラグ
50,100,118 粘性型振動減衰器
50a シリンダ
50b ピストン
50c ピストンロッド
76,78 フランジ板

Claims (3)

  1. 構造物の下側梁部上に設置された粘性体貯溜槽と、前記構造物の上側梁部から垂下されて前記粘性体貯溜槽に貯えられた粘性体または粘弾性体中に浸漬された面内振動抑制板とを備えた制震装置であって、前記上側梁部と前記面内振動抑制板との間もしくは前記下側梁部と前記粘性体貯溜槽との間に履歴型振動減衰体を設け、この履歴型振動減衰体の上面を前記上側梁部の下面もしくは前記粘性体貯溜槽の下面に固定するとともに、前記履歴型振動減衰体の下面を前記面内振動抑制板の上面もしくは前記下側梁部の上面に固定してマックスウェル型振動減衰機構を形成する制震装置において、
    前記上側梁部と前記面内振動抑制板との間もしくは前記下側梁部と前記粘性体貯溜槽との間に、前記面内振動抑制板または前記粘性体貯溜槽の変位を前記上側梁部および前記下側梁部の長手方向のみに許容する変位方向規制手段を設けたことを特徴とする制震装置。
  2. 前記変位方向規制手段は、前記上側梁部の下面もしくは前記粘性体貯溜槽の下面に固定された上側ガイドと、前記面内振動抑制板の上面もしくは前記下側梁部の上面に固定された下側ガイドとからなり、前記上側ガイドの下面にはガイド凹部もしくはガイド凸部が前記上側梁部および前記下側梁部の長手方向に沿って設けられ、前記下側ガイドの上面には前記ガイド凹部もしくはガイド凸部とスライド可能に係合する係合凸部もしくは係合凹部が設けられていることを特徴とする制震装置。
  3. 構造物の架構に入力する振動エネルギを吸収する手段として、請求項1または2に記載の制震装置を用いたことを特徴とする制震構造物。
JP2000059534A 2000-03-03 2000-03-03 制震装置および制震構造物 Expired - Fee Related JP4252185B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000059534A JP4252185B2 (ja) 2000-03-03 2000-03-03 制震装置および制震構造物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000059534A JP4252185B2 (ja) 2000-03-03 2000-03-03 制震装置および制震構造物

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008105195A Division JP2008215071A (ja) 2008-04-14 2008-04-14 制震装置および制震構造物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001248326A JP2001248326A (ja) 2001-09-14
JP4252185B2 true JP4252185B2 (ja) 2009-04-08

Family

ID=18579970

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000059534A Expired - Fee Related JP4252185B2 (ja) 2000-03-03 2000-03-03 制震装置および制震構造物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4252185B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5586982B2 (ja) * 2010-02-17 2014-09-10 株式会社熊谷組 建物
JP6854116B2 (ja) * 2016-12-06 2021-04-07 株式会社免制震ディバイス 制振壁
CN109914641B (zh) * 2019-03-22 2024-01-26 西安建筑科技大学 一种可更换耗能墙趾构件及带有该构件的正交胶合木墙体
CN111005474A (zh) * 2019-12-27 2020-04-14 袁涌 高耗能粘弹性阻尼墙及其制造方法
WO2022217401A1 (zh) * 2021-04-12 2022-10-20 广东石油化工学院 一种支撑球罐的环梁滚动耗能隔震基础

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001248326A (ja) 2001-09-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101321224B1 (ko) 전단벽형 제진장치
JP2008215071A (ja) 制震装置および制震構造物
JP2006234049A (ja) 免震構造物の粘性体ダンパー
JP4252185B2 (ja) 制震装置および制震構造物
KR101321416B1 (ko) 구조물용 제진 장치
JP2006257688A (ja) 制振形のボルト接合構造
JP3248684B2 (ja) 制震構造物
JPH07259379A (ja) 三次元免震装置
JPS629045A (ja) 振動減衰装置
JP2011080486A (ja) 制振構造
JP2001182361A (ja) 建物用制振装置及びそれを用いた建物の制振構造
JP5053554B2 (ja) 制振装置
JP6148911B2 (ja) 減震ストッパ構造並びに当該減震ストッパ構造を備えた防振架台
JP5447974B2 (ja) 制振床梁
JP2964281B2 (ja) 制振人工地盤
JP2519949B2 (ja) 耐震壁
JP3690440B2 (ja) 建築物の制振構造
JP2810927B2 (ja) 制振梁
JP3020089B2 (ja) 制震構造梁
KR102480668B1 (ko) 제진 댐퍼 시스템
JP3245445U (ja) 制振構造
JP2804465B2 (ja) 免震装置
JP2001227191A (ja) 制振ダンパ装置
JP2004218798A (ja) 免震装置
JPH0510659U (ja) 建物骨組体に取り付けられる振動エネルギー吸収装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060822

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080213

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080414

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080414

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090107

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090121

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4252185

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120130

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120130

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150130

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees