JP4251679B2 - ロータ軸をシールする装置とその種の装置を備えたスクリュー型圧縮機 - Google Patents

ロータ軸をシールする装置とその種の装置を備えたスクリュー型圧縮機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体を圧縮又は膨張させる機器の、特にハウジングと少なくとも一本のロータを内部に備えたタイプの圧縮機又は管用エキスパンダのハウジングに組付けられた軸受に支持されたロータ軸をシールする装置に関し、それによって該シール装置は、ロータとロータ軸周りの軸受との間に配置され且つ少なくとも2つの空隙接触の、又は摩擦の無いシールを有している。
【0002】
【従来の技術】
ロータ軸における漏れは、機器の効率を低減することは明らかであるが、しかし、幾つかのケースでは、通常油となっているが、軸受の潤滑剤が、機器の流体中に最後は入ってしまったり、機器の流体が軸受の潤滑剤中に最後は入ってしまったりすることは、ともかく大きな不利益となる。
【0003】
このことは、例えば、油分の無い圧縮空気が必要とされているのに、軸受が油で潤滑されているような圧縮機に関するケースに相当する。
【0004】
液体噴射式圧縮機の場合、そのような油分の無い圧縮ガスを得るために、油でなく例えば水の潤滑剤がロータ上に噴霧される。更に、この潤滑剤は軸受やこれらの軸受を潤滑する油とは接触しないであろう。
【0005】
それは、次の理由による。即ち圧縮機の他のものの中には、ロータが休止している時も回転している時も、ロータとロータ軸用軸受との間で最適シールを行うのを保証するために幾つかのシールから構成されたロータ軸用シール装置が適用されているからである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
国際特許出願公開明細書(WO)の第94/15100号に記載されたスクリュー型圧縮機は、ロータ軸をシールする装置を備えており、それによって大部分の装置は、ロータを出力部に接続したものとして第1と第2のシール間のリング形状室と、圧縮空気ラインの接続された第2と第3のシール間のリング形状室とを備えた3つの空隙接触シールから構成されている。
【0007】
しかし、この公知シール装置は、完全なシールを行うものではない。
【0008】
本発明は、比較的簡単でコンパクトな設計で、安価であるが、しかし大きな圧力差の場合でも、ロータ軸が休止していてもまた回転していても、殆ど全てのものが、良好なシールを行うロータ軸用シール装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的は、シール装置が、ロータと軸受との間の第1の空隙接触シールと、2つのリップを備えた二重の逆向きリップシールと、第2の空隙接触シールとを連続して備えており、それら2つのリップは、それらの一部が互いに反対方向に向き且つそれらの裏側が上記ロータ軸に向けられており、またそれらのリップの間には圧力流体用入口が開口されており、それによってそれらリップは、それらの間の圧力に応じてロータ軸に接続されたり、又はロータ軸から持ち上げられるようになっている本発明によって達成される。
【0010】
負荷のかかっていないリップは弾力的にロータ軸に接続するが、しかし、ロータ軸の回転中は圧縮機からの流体によって裏側に他方側よりもより大きな総合圧が加えられて、結果的にリップが持ち上げられるようになっている逆向きリップシールが、ドイツ特許発明明細書(DE−C)の第3.616.689号に記載されている。
【0011】
リップは持ち上げられるので、ロータ軸に対するリップの摩擦は除去される。そこで、リップは、明らかに圧力流体が制約されつつも漏れを起こせるようにする。
【0012】
それ故、これは、正規のリップシールの反対となっており、それで、圧縮機の圧力は前方側に加えられることになり、またそれで、ロータ軸がより速く回転を始めて圧縮機の圧力が高まるに従って、リップはロータ軸に対してより強く押圧されることになり、結果的により大きな摩耗を起こすことになる。
【0013】
圧縮機では、好ましくは、この流体は圧縮機自体から到来し、次いで圧力流体の上記入口は、圧縮機の高圧側か、又は例えば圧縮機に接続された分離器等の、その出口に接続される。
【0014】
各空隙接触シールは、ラビリンスシールや、又は例えば螺旋シール等の粘性シールとすることができる。
【0015】
シール装置は、ロータの高圧側のロータ軸の周りに設けられ、その場合、それは、ロータの周囲から到来して第1シールを通って漏出する流体を排出する為に、第1空隙接触シールと二重の逆向きリップシールとの間においてハウジングに出口を備えることができる。
【0016】
シール装置は、ロータの低圧側のロータ軸の周りに設けられ、その場合、それは、ハウジング内で噴射される潤滑剤と同じか又は代替し得る流体を供給する為に、第1空隙接触シールと二重の逆向きリップシールの間においてハウジングに入口を備えることができる。
【0017】
本発明は、ハウジング内において第3シールと軸受との間に軸受用潤滑剤の供給部を備えることができるが、それは、リップシールと第3シールとの間において大気への接続部を備えることができる。
【0018】
本発明は、更に、ハウジング内に軸受を介して搭載されたロータ軸を両端で支持したスクリュー形状の2本のロータを有したスクリュー型圧縮機や、殆ど全てが、水又は油以外の他の潤滑剤がロータに噴霧されるスクリュー型圧縮機であって、それが、少なくとも、上記実施例のいずれか一つに係るロータ軸をシールする装置を有していることを特徴とするスクリュー型圧縮機に関する。
【0019】
【発明の実施の形態と実施例】
本発明の特徴をより良く説明する為に、本発明に係るロータ軸をシールする装置を備えたスクリュー型圧縮機について、次の好適な実施例によって、何ら制限的にでは無く、ただ一例として添付図面を参照にして説明する。
【0020】
図1は、内部に2本の協動螺旋ロータ2が軸受を介して搭載されているハウジング1から主として構成された水噴射を行うスクリュー型圧縮機を示している。この軸受の前方では、ロータ2の高圧側、即ち圧縮機の出口3側においてハウジング1内で二重ボールベアリング5に搭載され軸方向に向けられたロータ軸4が、2本のロータ2に各々設けられている。
【0021】
ロータ2とボールベアリング5との間において、シール装置6がロータ軸4の周りに設けられている。
【0022】
ロータ2の低圧側では、従って圧縮機の入口7の側では、各ロータ2には軸方向のロータ軸8又は9が更に設けられており、それによって、これらロータ8、9は、ハウジング1に設けられたローラ軸受10に搭載されている。
【0023】
ロータ2とローラ軸受10との間において、ロータ軸8又は9は、シール装置11によって囲まれている。
【0024】
ロータ軸9は、ロータ軸8よりも若干長くなっており、ハウジング1の一部分によって形成された歯車箱に組付けられ、駆動モータに接続された図示されていない歯車式トランスミッションの一部分のローラ軸受10の外側に突出した端に歯車12を有している。
【0025】
ロータ軸4の周りでシールを行う各装置6は、図2に詳細に示されているように、3つのシール13、14、15を有しており、それらの間には、出口18と大気圧への接続部19とが各々接続されているリング形状室16、17を備えているが、第3出口20は、この第3シール15側においてボールベアリング5に接続されている。
【0026】
ロータ2側のシール13は、図示の例では、螺旋シールから形成されており、ロータ軸4の外面に設けられ且つハウジング1の軸用開口22壁までほとんど達しそうなスパイラル螺糸21から成る空隙接触式ダイナミックシールである。この螺糸21の螺旋方向は、ロータ軸4の正規の回転方向において、螺糸21が流体をロータ2まで運ぶようなものとなっている。
【0027】
出口18は、噴射された流体の、即ち水や空気の出口であり、また、それはロータ軸4を取り囲んだ小室16を圧縮機の入口7に接続するダクトから構成されている。
【0028】
接続部19は、ロータ軸4の周りの小室17と大気との間の接続を行うダクトである。
【0029】
これら2つの小室16、17の間に設けられたリップシール14は、2つのリップ23と、これら2つのリップ23の間で開口した圧縮空気用入口24とを有した二重の逆向きリップシールである。
【0030】
軸用開口22内では、これら2つのリップ23は、それらの一部が互いに反対方向に向き、それらの裏側がロータ軸4の方に向けられている。運転の休止時には、これらのリップ23の可橈端は、それらの裏側でロータ軸4に接続されている。
【0031】
リップ23の前側は、各々小室16、17内に開いているが、圧縮空気の入口24は、一方で2つのリップ23間の空間内に開口し且つ他方で減圧弁25Aを介して圧縮機出口3に接続した分離器25に接続されたダクトと成っている。
【0032】
リップ23は、ゴムのような弾性変形可能な素材から造られ且つ支持体に固定されており、結果的に上記の可橈端の湾曲が妨げられることはない。
【0033】
第3シール15は、動的な空隙接触シールであり、図示の例では、それはロータ軸4の周りに設けられた螺旋溝26から成る螺旋シールであり、その螺旋方向は、螺糸21の螺旋方向とは反対になっており、即ち、結果的にロータ軸4が正規方向に回転すると、流体はボールベアリング10へ押し戻されることになる。シール装置6の作動は、次のようになっている。
【0034】
圧縮機の正規の作動条件の下では、ロータ2に接続された各ロータ軸4の端には大きな圧力が存在しており、その結果、このロータ2上に噴射された潤滑剤、即ち水は、加圧下でロータ軸4を経て漏出する。
【0035】
空隙接触シール13によって、漏出水は、大部分ロータ2に運ばれ戻される。漏出の残りの部分は、出口18を経て圧縮機の入口7に流れ戻る。
【0036】
二重のリップシール14は、ボールベアリング5を潤滑する油と水を実際に分離するために設けられている。
【0037】
分離器25から到来し且つ入口24を介してリップ23間に供給される境界空気は、油の圧力や水の圧力よりも大きな圧力を有しており、その結果、リップ23の可橈端は持上げられ、従って最早ロータ軸4とは何ら接触しない。ボールベアリング5側では、小室17は大気に接続しているために、圧力は大気圧に事実上等しくなっている。
【0038】
結果的に、ロータ軸4に対するリップ23の摩擦が無くなるが、しかし、境界空気は若干漏れを起こす。
【0039】
この漏れている境界空気は、出口18を介して圧縮機の入口7へ部分的に排除され、出口19を介して大気へ部分的に排除される。
【0040】
リップシール14のボールベアリング5側では、小室17が出口19を経て大気圧に接続しているので大気圧がかかっている。リップシール14の他方側は、圧縮機の入口7に接続されており、その場合も大気圧がかかることになる。
【0041】
第3シール15は、ボールベアリング5からロータ軸4を経て漏れ出る油が確実にこのボールベアリング5に運ばれ戻されるようにしている。
【0042】
シール15を多分通過してしまったような油は、シール13を通過した水のように、リップシール14の位置で漏れている圧縮空気によっていかなる場合も止められる。
【0043】
圧縮機がアイドリング運転している時、分離器25における圧力は、実際には大気圧に等しく、更に境界空気の過大圧力も低下する。リップ23間のこの圧縮空気の過大圧力が低下し、その結果、これらリップ23はロータ軸4に接続されることになり、それで二重の逆向きリップシール14は、従来の逆向きリップシールとして静的に作用する。
【0044】
圧縮機が無負荷状態にされると、大きな負圧が圧縮機の入口7に発生される。この負圧が装置6まで出口18を経て伝達されるのを防ぐために、圧縮機の零負荷で閉じられるこの出口18にシール27を設けなければならない。
【0045】
図3に詳細に示されているロータ軸8、9の周りでシールする装置11は、シール13、14間の小室16に接続された水の出口18が、水の入口28で代替されており、従って圧縮機の入口7の圧力に対して例えば0.1バールの若干の過大圧力の下で水源に接続されている点で上記シール装置6と異なっているだけである。
【0046】
このシール装置11の作用は、シール装置6の作用に類似しているが、この場合の相違は、水は何らロータ2側から漏出せず、また空隙接触シール13のために、入口28を経て供給される水は、若干の過大圧力を受けてロータ2に運ばれる点である。
【0047】
水の圧力は、シール14に供給される境界空気の圧力よりもかなり低いので、入口28を介して若干過大な圧力の下で供給される水は、シール14の作用に何ら影響しないものである。
【0048】
上述したシール装置6、11は、ロータ2の潤滑剤と軸受5、10のそれとの間で優れたシールを行い且つ完全な分離を行うものである。
【0049】
これらのシール装置6、11では、上述のものとは別の他の粘性シールやラビリンスシール等の空隙接触シールが使用され得る。
【0050】
更に、水とは別の潤滑剤も圧縮機に噴射されよう。
【0051】
シール14の入口24は、必ずしも圧力のかかった境界空気源に接続される必要がない。境界空気に代わって、他の圧力流体も使用されよう。
【0052】
シール装置6又は11は、更に他のタイプの圧縮機や、管用エキスパンダやポンプのような流体を圧縮したり、又は膨張させたりする他の機器にさえ適用され得る。
【0053】
本発明は、添付図面に示されている上記実施例に決して限定されるものではなく、反対にその種のシール装置やその種の圧縮機は、本発明の技術的範囲に依然入っている限りあらゆる種類の変形例で造られ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスクリュー型圧縮機の断面を概略示している。
【図2】図1において拡大スケールでF2で示された部分を示している。
【図3】図1において拡大スケールでF3で示された部分を示している。
【符号の説明】
1 ハウジング
2 ロータ
4 ロータ軸
5 軸受(ボールベアリング)
7 圧縮機入口
8 ロータ軸
9 ロータ軸
10 軸受
13 第1シール(空隙接触シール)
14 二重の逆向きリップシール
15 第3シール(空隙接触シール)
16 リング形状室(小室)
17 リング形状室(小室)
18 出口
19 接続部
23 リップ
24 圧力流体用入口
25A 減圧装置
28 入口

Claims (6)

  1. ハウジング(1)と、両端にロータ軸(4、8、9)を有するスクリュー形状の2本のロータ(2)と、当該ハウジング(1)において当該ロータ軸を支持する少なくとも4個の軸受と、少なくとも2個の、ロータ軸をシールするためのシール装置と、を含むスクリュー型圧縮機であって、当該ロータ(2)と当該軸受(5、10)とをシールするために、当該ロータ(2)とこれに対応する軸受との間にロータ軸(4、8、9)のまわりに設けられた、少なくとも2つの空隙接触(ブランクコンタクト)又は摩擦の無いシール(13、15)を各シール装置が有するスクリュー型圧縮機において、
    各シール装置は二重逆向きリップシール(14)を有し、当該二重逆向きリップシールは第1の空隙接触シール(13)と第2の空隙接触シール(15)との間に位置し、当該二重逆向きリップシール(14)は、互いに反対方向を部分的に向き、かつ、それらの裏側が当該ロータ軸(4、8、9)の方向を部分的に向く、2個のリップ(23)を有するとともに、これらのリップ(23)の間の隙間に圧力流体用入口(24)を有すること、
    各シール装置の圧力流体用入口(24)は、減圧装置(25A)を介して、圧縮機の高圧側に又はその出口に繋がる配管に接続されていること、
    各シール装置は当該リップシール(14)と第3シール(15)との間に大気への接続部(19)を有していること、
    第1シール装置は当該ロータ(2)の高圧側のロータ軸(4)のまわりに位置し、かつ、第1空隙接触シール(13)と当該二重逆向きリップシール(14)との間に、当該ロータ(2)のまわりから第1シール(13)を通って漏れる流体を排出するための出口(18)がハウジング(1)内に設けられていること、
    第2シール装置は当該ロータ(2)の低圧側のロータ軸(8、9)のまわりに位置し、かつ、第1空隙接触シール(13)と当該二重逆向きリップシール(14)との間に、第1空隙接触シール(13)と当該二重逆向きリップシール(14)との間に流体を供給するための入口(28)が設けられていること、
    そして、
    第1シール装置及び第2シール装置のハウジング(1)は、当該第3シール(15)と当該軸受(5、10)との間に、軸受(5、10)の潤滑剤のための出口(20)を有していること、
    を特徴とするスクリュー型圧縮機
  2. 空隙接触シール(13、15)の少なくとも一方は、ラビリンスシールか又は例えば螺旋シール等の粘性シールであることを特徴とする請求項1に記載のスクリュー型圧縮機
  3. シール装置は、出口(18)又は入口(28)又は大気への接続部(19)が接続されているシール(13、14、15)のうち少なくとも2つの間においてロータ軸(4、8、9)のまわりにリング形状室(16、17)を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のスクリュー型圧縮機
  4. 高圧側又は出口側に設けられたロータ軸(8、9)の少なくとも一方をシールする装置は、第1シール(13)と、圧縮機入口(7)に接続されたリップシール(14)との間に出口(18)を有していることを特徴とする請求項に記載のスクリュー型圧縮機。
  5. 低圧側又は入口側に設けられたロータ軸(4)の少なくとも一方をシールする装置は、第1シール(13)と、流体源に接続されたリップシール(14)との間に入口(28)を有していることを特徴とする請求項に記載のスクリュー型圧縮機。
  6. シール装置は、液体が噴射される圧縮機であることを特徴とする請求項に記載のスクリュー型圧縮機。
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