JP4251571B2 - ピストンとコンロッドとの球面連結構造 - Google Patents

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本発明は、ピストンとコンロッドとの球面連結構造の改良に関するものである。
従来のピストンとコンロッドとの球面連結構造として、本出願人は、特願2003−381416で、ピストン側とコンロッド側とを締結部材でねじ結合することで球面継手を構成するものを提案した。また他に、ピストンとコンロッドとの球面連結構造に球面継手を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
実開平3−17369号公報
上記特願2003−381416の図4(ここでは、図の下部は省いた。)を図10で説明する。なお、符号は振り直した。
図10は従来のピストンとコンロッドとの球面連結構造を示す第1断面図であり、ピストン200の冠部201の裏面に突出部としてのカップ状支持部202を形成し、このカップ状支持部202に下向き凹部203、凹状半球面204及びめねじ206を形成し、凹状半球面204にコンロッド207の小端部208の上半部を滑り可能に嵌合させ、小端部208の下半部にホルダ211に形成した凹状の球面212,212を滑り可能に嵌合させ、締結部材213に形成したおねじ214を上記しためねじ206にねじ結合することで、カップ状支持部202にホルダ211を固定してピストン200とコンロッド207とを連結したことを示す。
また、特許文献1の第1図を以下の図11で説明する。なお、符号は振り直した。
図11は従来のピストンとコンロッドとの球面連結構造を示す第2断面図であり、ピストン220の冠部裏面に半球状の凹部221を形成し、この凹部221にロッド222の略球状とした小端部223を当て、凹部221の周囲の面に小端部223を保持するフランジ224を複数のボルト226で取付けることでピストン220とロッド222とを連結したことを示す。
図12は内燃機関におけるクランク角とピストンに作用する力との関係を示す第1グラフであり、縦軸はピストンに作用する力としての爆発力及び慣性力、横軸はクランク角(−360°〜360°)を示す。
爆発力は、内燃機関の燃焼室内圧力に基づいて算出した力であり、燃焼室内圧力が最大となるクランク角0°(爆発上死点)直後に最大となり、常に正の値をとるから、ピストンに常に上死点側から下死点側への方向(この方向を下向きとする。以下同じ。)の力Pを作用させる。
慣性力は、ピストン質量、エンジン回転数、ピストンストローク長、コンロッド長さから算出した力であり、クランク角0°(及び±360°)付近では負の値をとるから、ピストンには下死点側から上死点側への方向(この方向を上向きとする。以下同じ。)の慣性力F1が作用し、また、クランク角±180°(下死点)付近では、正の値をとるから、ピストンには下向きの慣性力F2が作用する。
図13は内燃機関におけるクランク角とピストンに作用する力との関係を示す第2グラフであり、縦軸はピストンに作用する力として、図12に示した慣性力と、図12に示した爆発力と図12に示した慣性力との合力とを示し、横軸はクランク角(−360°〜360°)を示す。
爆発力と慣性力との合力が正の値となるのは、クランク角でほぼ−300°〜300°の間であり、この間でピストンには合力が下向きに作用する。また、合力が負の値となるのは、クランク角でほぼ−360〜300°の間と、ほぼ300°〜360°の間であり、これらの間でピストンには合力が上向きに作用する。この範囲で合力が最小となるのは、±360°である。
以上に述べた爆発力と慣性力との合力の方向に加えて、ピストンの移動方向及び慣性力の方向を、ピストンの各行程(クランク角でほぼ90°の範囲)毎に番号(1)〜番号(8)を付してグラフの下部に示した。合力及び慣性力の正負が入れ替わる場合は、そのクランク角を境にして別の番号を付けた。
例えば、番号(1)の行程では、ピストンの移動方向は下向き、合力の方向は上向き、慣性力の方向は上向きとなる。
図10及び図13において、ピストン200がシリンダ内を移動する場合、ピストン200、ホルダ211及び締結部材213にそれぞれ慣性力が加わる。
(A)例えば、ピストン200の番号(1)及び番号(8)の行程では、ピストン200にそれぞれ上向きの合力R1,R2が作用する、詳しくは、おねじ214とめねじ206とのねじ結合部に上記の上向きの合力R1又は合力R2が作用し、引張応力が発生する。このとき、合力R1又は合力R2の大部分は慣性力であり、この慣性力の大部分は、おねじ214とめねじ206とのねじ結合部よりも上方のピストン200の質量によるものであるから、このような大きな質量によってねじ結合部には大きな引張応力が発生する。
また、(B)例えば、ピストン200の番号(2),(3),(6),(7)の各行程では、ピストン200、詳しくは、おねじ214とめねじ206とのねじ結合部にそれぞれ下向きの慣性力F3,F4,F5,F6が作用する。これらの慣性力F3,F4,F5,F6は、ホルダ211及び締結部材213の質量によるものであるが、ホルダ211及び締結部材213の質量は小さいため、ねじ結合部に発生する引張応力は小さい。
以上より、おねじ214とめねじ206とのねじ結合部には、上記の(A)及び(B)の引張応力が繰り返し作用するために、ねじ結合部の平均応力は高くなり、ねじ結合部の耐久性が低くなるという点で課題が残る。
図11においても、(C)ピストン220の質量による慣性力、又は、(D)フランジ224及びボルト226の一部の質量による慣性力によって、ボルト226とめねじ227とのねじ結合部に応力が繰り返し発生する。ピストン220の質量はフランジ224の質量よりも大きいので、(C)により発生する応力が、(D)により発生する応力よりも大きくなり、平均応力が高くなって、ボルト226とめねじ227とのねじ結合部の耐久性が低くなる。
本発明の目的は、ピストンとコンロッドとの球面連結構造を改良することで、ピストンとコンロッドとを連結する連結部、即ち、ねじ結合部の疲労に対する耐久性を向上させることにある。
請求項1に係る発明は、内燃機関に組み込むピストンの冠部裏面に突出部を設け、この突出部の底に凹状の第1球面を設け、この第1球面にコンロッドに設けた球状の小端部の先端側を滑り可能に嵌合させ、小端部の大端部側に、保持部材に設けた凹状の第2球面を滑り可能に嵌合させ、突出部に第1ねじを形成し、保持部材を保持する保持締結部に第2ねじを形成し、これらの第1ねじと第2ねじとをねじ結合することで小端部を第1球面と第2球面とで保持するピストンとコンロッドとの球面連結構造であって、ピストンを、突出部を含む上部ピストンと、保持締結部を含む下部ピストンとから構成し、上部ピストンと下部ピストンとの質量差を、上部ピストンの質量又は下部ピストンの質量の10%以内にしたことを特徴とする。
ピストンを構成する、突出部を含む上部ピストンと、保持締結部を含む下部ピストンとのそれぞれの質量をほぼ合致するように配分し、上部ピストンと下部ピストンとのそれぞれに作用する慣性力の差をより小さくして、第1ねじと第2ねじとのねじ結合部に発生する平均応力を下げる。
請求項2に係る発明は、小端部の中心を、ピストンの重心と一致させたことを特徴とする。
ピストンが小端部を中心として首振りしたときに、ピストンの慣性モーメントが小さくなり、ピストンが首振りによりシリンダ壁に衝突したときの衝撃が小さくなる。
請求項3に係る発明は、下部ピストンに、全周に形成したスカート部を備えることを特徴とする。
通常のピストンでは、スラスト側及び反スラスト側にそれぞれスカート部を備え、ピストンのスラスト−反スラスト方向に直交する部分にはスカート部が無いため、ピストンのスラスト−反スラスト方向に直交する方向のピストン移動によってピストンの剛性の高い部分がシリンダ壁と衝突し、大きなピストン打音が発生し易い構造であった。これに対して、本発明では、全周にスカート部を設け、スラスト−反スラスト方向に直交する方向へのピストンの移動によってピストンがシリンダ壁と衝突したときに、その衝撃を剛性の小さいスカート部で緩和させ、ピストン打音を低減する。
請求項1に係る発明では、ピストンを、上部ピストンと下部ピストンとから構成し、上部ピストンと下部ピストンとの質量差を、上部ピストンの質量又は下部ピストンの質量の10%以内にしたので、上部ピストンと下部ピストンのそれぞれに作用する慣性力の差を小さくすることができ、第1ねじと第2ねじとのねじ結合部に発生する平均応力を小さくすることができる。従って、ねじ結合部の疲労による耐久性を向上させることができる。
請求項2に係る発明では、球状の小端部の中心を、ピストンの重心と一致させたので、コンロッド小端部回りのピストンの慣性モーメントを小さくすることができ、ピストンが首振りによりシリンダ壁に衝突したときの衝撃を小さくすることができる。従って、スラップ音等のピストン打音を低減することができる。
請求項3に係る発明では、下部ピストンに、全周に形成したスカート部を備えるので、スラスト−反スラスト方向に直交する方向のピストン移動によるシリンダ壁との衝突時の衝撃を剛性の小さいスカート部で緩和することができ、ピストン打音を低減することができる。また、スカート部が全周にあるためにピストン冠部側からスカート部各部に熱が均等に伝わり、スカート部の熱変形を均一にすることができる。従って、スカート部とシリンダ壁との当たりを全周に亘って均一にすることができ、焼き付き防止、フリクション低減を図ることができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るピストンとコンロッドとの球面連結構造を採用した内燃機関の断面図であり、内燃機関10は、シリンダブロック11と、このシリンダブロック11に設けたシリンダボア12に移動自在に挿入したピストン13と、このピストン13に球面継手14を介して連結したコンロッド16と、シリンダブロック11の下部に回転自在に取付けるとともに中空のクランクピン17でコンロッド16をスイング自在に支持する組立式のクランクシャフト18とを備える。
シリンダブロック11は、上部に設けたシリンダ部21と、このシリンダ部21の内側に嵌合させるとともにシリンダボア12を形成した筒状のスリーブ22と、シリンダ部21の下部に取付けたアッパークランクケース23とからなる。
コンロッド16は、ピストン13に連結した球形状の小端部24と、クランクピン17に連結した大端部25と、これらの小端部24及び大端部25のそれぞれを連結するロッド部26とを一体成形した部材であり、大端部25をクランクピン17に滑り軸受31を介して連結したものである。
ここで、32はクランクシャフト18に設けたカウンタウエイト、33はシリンダブロック11の上部にヘッドガスケット(不図示)を介して取付けたシリンダヘッド、34は吸気バルブ、36は排気バルブ、37は燃焼室、38はアッパークランクケース23とでクランクケースを形成するためにアッパークランクケース23の下部に複数のボルト41で取付けたロワークランクケース、42はロワークランクケース38の下部に複数のボルト44で取付けたオイルパンである。
図2は本発明に係るピストン、コンロッド及びクランクシャフトの組立状態を示す斜視図であり、ピストン13にコンロッド16をスイング自在に取付け、クランクシャフト18にコンロッド16をスイング自在に取付けたことを示す。
ピストン16は、例えば、材質AC8A[JIS H 5202]の素材を鋳造にて製造し、熱処理としてT6処理を施した後に機械加工を施した部材である。
コンロッド16としては、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、又はチタン合金製が好適である。
図3は本発明に係るピストン及びコンロッドの断面図であり、ピストン13は、燃焼室37(図1参照)を形成する冠部50を備える上部ピストン51と、コンロッド16の小端部24の上半球部24aを滑り可能に保持するために上部ピストン51の冠部50の裏面53から突出させた突出部54内に配置した上部保持部材56と、コンロッド16の小端部24の下半球部24bを滑り可能に保持する下部保持部材57と、この下部保持部材57を保持するために上部ピストン51にねじ結合した下部ピストン58とからなる。
上部ピストン51は、円板状とした冠部50と、この冠部50の縁から下方に延ばした筒状で厚肉としたランド部61と、このランド部61から更に下方に延ばした筒状でランド部61よりも薄肉とした上部スカート部62と、前述の突出部54とを一体成形した部材である。
冠部50は、燃焼室37(図1参照)に臨む冠面64を備える。
ランド部61は、冠面64側から順に、トップランド66、トップリング溝67、セカンドランド68、セカンドリング溝71、サードランド72及びオイルリング溝73を設けた部分であり、トップリング溝67にトップリング(不図示)を嵌め、セカンドリング溝71にセカンドリング(不図示)を嵌め、オイルリング溝73にオイルリング(不図示)を嵌める。
突出部54は、上部保持部材56をピストン13の半径方向に移動可能に収納する凹部75と、この凹部75の開口部76側の外周面77に形成したおねじ78とを備え、凹部75は、底部81に小凹部82を形成した部分である。
上部保持部材56は、耐熱性、耐摩耗性に優れた窒化ケイ素系セラミックス製であり、コンロッド16の小端部24の上半球部24aに滑り可能に嵌合する凹状の球面としての第1球面85と、上部ピストン51の小凹部82内に位置する小凸部86とを備え、凹部75の内周面87と上部保持部材56の外周面88とは片側にそれぞれ隙間Cを有し、同様に、小凹部82と小凸部86との間にも片側にそれぞれ隙間C(不図示)を有する。この隙間Cは凹部75の内周面87とコンロッド16の小端部24との間にも片側にそれぞれ有する。
上記の窒化ケイ素系セラミックスとしては、Si(窒化ケイ素)、BN(窒化ホウ素)、AlN(窒化アルミニウム)、TiN(窒化チタン)が好適である。
下部保持部材57は、コンロッド16の小端部24の下半球部24bに滑り可能に嵌合する凹状の球面としての第2球面91と、下部ピストン58に嵌合する外周面92及びおすテーパ部93と、上部ピストン51の突出部54の端面54aに当接する当接面94とを備える4分割とした窒化ケイ素系セラミックス(上に上げた材料が好適である。)製の部材であり、回り止め用ピン(不図示)で上部ピストン51の突出部54に対して回転しないようにするとともに、コンロッド16のロッド部26に当てる被案内面を設けることでピストン13をコンロッド16に対して回転しないようにする部材でもある。なお、57a〜57d(57c,57dは不図示)は、下部保持部材57を構成する4つの分割体である。
下部ピストン58は、上部ピストン51の突出部54の下部及び下部保持部材57を囲むように配置した筒部95と、この筒部95から放射状に延ばした複数のリブ96と、これらのリブ96の各先端に連結した円筒状の下部スカート部97とを一体成形した部材であり、全周に備える下部スカート部97の上端面97aを上部ピストン51の上部スカート部62の下端面62aに当てた部材である。
筒部95は、穴部98に、下部保持部材57のおすテーパ部93に密着させためすテーパ部101と、下部保持部材57の外周面92に所定の隙間を有して嵌合する内周面102と、上部ピストン51のおねじ78にねじ結合するために内周面102の上部に形成しためねじ103とを備える。
おすテーパ部93とめすテーパ部101とは、嵌合させることにより筒部95の軸線に対して下部保持部材57の軸線を一致させることが可能な部分である。
上記した上部ピストン51のおねじ78及び下部ピストン58のめねじ103とは、ねじ結合部104を構成する部分である。
上部ピストン51と下部ピストン58とは、それらの質量をほぼ同一とした部材であり、上部保持部材56と下部保持部材57との質量をほぼ同一としているから、上部ピストン51及び上部保持部材56からなる上部ピストン半体105Aの質量と、下部ピストン58及び下部保持部材57からなる下部ピストン半体105Bの質量とはほぼ同一となる。
コンロッド16は、ロッド部26の内部に軽量化のための中空部106,107,108,110を設け、小端部24の内部に軽量のための中空部110を設けた部材であり、大端部25(図1参照)側から球面継手14の滑り面にオイルを供給するためにオイル穴114,115を設けたものである。
上記した突出部54、上部保持部材56、下部保持部材57、筒部95及び小端部24は、上記した球面継手14を構成する部分である。
117は球状の小端部24の中心を示す中心点であり、ピストン13の重心でもあるが、中心点117をピストン13の重心にほぼ一致させてもよい。
118はピストン13の軸線である。119は中心点117を通り且つ軸線118に直交する平面に含まれる直線である。
図4は本発明に係るピストン及びコンロッドを示す底面図(一部断面図)であり、下部ピストン58は、筒部95と下部スカート部97とを連結する複数のリブ96を備える。ここでは、隣り合うリブ96のなす角度θを皆等しくしたが、これに限らず、隣り合うリブ96のなす角度を、スラスト側と反スラスト側とで異ならせてもよいし、あるいは、スラスト−反スラスト方向に直交する方向、例えば、クランクシャフトを車両前後方向に延ばした内燃機関ではフロント−リヤ方向のフロント側とリヤ側とで異ならせてもよい。また、このようなリブ96に相当するものを上部ピストン51(図3参照)に設けてもよく、これにより、上部ピストン51の冠部50(図3参照)に発生する応力を各リブへ均等に分散することができ、上部ピストン51に発生する応力の最大値を低くすることができる。
コンロッド16は、小端部24(図3参照)に近いロッド部26の側面26a,26aに、平坦で且つコンロッド16がスイング(揺動)する方向(図の左右方向である。)に平行な案内面26b、26bをそれぞれ形成したものであり、下部保持部材57(形状の理解を容易にするために太線で示した部分である。)は、コンロッド16を通すために設けた矩形状開口部57eに各分割体57a〜57d毎に、上記の案内面26b,26bに当たりながら案内される被案内面57fを設けたものである。
上記したように、コンロッド16に案内面26b、26bを設け、下部保持部材57に案内面26b,26bに案内される被案内面57f、57fを設けたことで、コンロッド16に対してピストン13のシリンダ軸回りの回転を防ぐことができる。
以上に述べたピストン13とコンロッド16との組立要領を図5〜図7で説明する。
図5(a),(b)は本発明に係るピストンとコンロッドとの組立要領を示す第1作用図である。
(a)において、下部ピストン58の穴部98にコンロッド16の小端部24が入るように下部ピストン58を矢印の向きに移動させ、(b)に示すように、下部ピストン58を小端部24から離した状態で、下部保持部材57の各分割体57a〜57d(57a,57bのみ示す。)の各第2球面91が小端部24の下半球部24bに密着するように矢印の向きに移動させる。
図6(a),(b)は本発明に係るピストンとコンロッドとの組立要領を示す第2作用図である。
(a)において、下部保持部材57の各分割体57a〜57d(57a,57bのみ示す。)を小端部24に密着させた状態で、下部ピストン58を矢印の向きに移動させ、下部ピストン58の内周面102及びめすテーパ部101を、それぞれ下部保持部材57の外周面92及びおすテーパ部93に嵌合させる。
(b)において、矢印で示すように、上部保持部材56を小端部24に被せ、小端部24の上半球部24aと上部保持部材56の第1球面85とを密着させる。
図7(a),(b)は本発明に係るピストンとコンロッドとの組立要領を示す第3作用図である。
(a)において、上部ピストン51の凹部75に上部保持部材56が入るように上部ピストン51を矢印の向きに移動させ、上部ピストン51のおねじ78を下部ピストン58のめねじ103にねじ結合する。
このとき、(b)に示すように、例えば、おねじ78(又はめねじ103((a)参照))の軸線120と、コンロッド16の小端部24の中心点117を通る中心線121(この中心線121は、(a)に示した第1球面85及び第2球面91の中心も通る。)とにずれ量δがあっても、上部ピストン51の凹部75内を上部保持部材56及び小端部24が矢印の向きに一体的に移動することで軸線120に対して中心線121が自動調心され(即ち、軸線120と中心線121とが一致し)、おねじ78とめねじ103とのねじ結合を容易に行うことができるとともに、小端部24と、第1球面85及び第2球面91との隙間をより均一に保つことができる。
図8は本発明に係るピストンの作用を示す第1作用図である。
燃焼室37内の混合気の爆発によって、上部ピストン51の冠部50の温度が上昇すると、冠部50の熱は、矢印で示すように、突出部54に伝わるが、上部保持部材56は冠部50とは別部材であり、しかも、冠部50と上部保持部材56との間には油膜が存在するために、冠部50から上部保持部材56には熱が伝わり難い。従って、上部保持部材56の第1球面85とコンロッド16の小端部24との摺動部の温度を低くすることができ、摺動部の熱変形を小さくでき、油膜切れを発生し難くすることができる。
また、上部ピストン51と下部ピストン58とを別体としたので、上部ピストン51から下部ピストン58へ熱が伝わり難くなり、下部ピストン58の温度、詳しくは、下部スカート部97の温度を低くすることができるから、シリンダボア12と下部スカート部97との隙間を小さく設定することができ、ピストン13の首振り(小端部24を中心とした揺動運動)、並進(スラスト−反スラスト方向の移動)等のスラップ運動時のシリンダボア12への衝突エネルギーを小さくすることができて、ピストン打音を発生し難くすることができる。
図9(a)〜(d)は本発明に係るピストンの作用を示す第2作用図であり、(a),(b)は実施例(本実施形態)、(c),(d)は比較例を示す。
(a)の実施例は、図13に示した番号(7)の行程でのピストン13に作用する力を示す。即ち、ピストン13が上向きに移動中に、下部ピストン58及び下部保持部材57からなる下部ピストン半体105B(太線で輪郭を描いた部分である。)に下向きの慣性力F61が作用し、この慣性力F61がおねじとめねじとのねじ結合部104に引張力として作用する。
(b)の実施例は、図13に示した番号(8)の行程でのピストン13に作用する力を示す。即ち、ピストン13が上向きに移動中に、上部ピストン51及び上部保持部材56からなる上部ピストン半体105A(太線で輪郭を描いた部分である。)に上向きの合力R21が作用し、この合力R21がおねじとめねじとのねじ結合部104に引張力として作用する。
図13において、番号(7)の行程における慣性力の最大値(クランク角−360°〜360°の範囲の最大値でもある。)をF、番号(8)の行程における合力の絶対値の最大値(クランク角−360°〜360°の負側の絶対値の最大値でもある。)をRとすると、ここでは、FとRとの比は、F:R=7:10となる。この比は、図12に示した内燃機関のピストンに作用する燃焼室内圧力と慣性力とによって定まる。
このことより、図9(a),(b)において、本発明のピストン13では、上部ピストン半体105Aの質量MUと下部ピストン半体105Bの質量MLとの比を概ね1:1としたので、F61とR21との比は、F61:R21=7:10となり、下部ピストン半体105Bによりねじ結合部104に発生する応力と、上部ピストン半体105Aによりねじ結合部104に発生する応力との比も7:10となる。
(c)の比較例は、図13に示した番号(7)の行程でのピストン230(図10に示したピストン200に相当するものである。)に作用する力を示す。即ち、ピストン230が上向きに移動中に、下部ピストン半体230B(太線で輪郭を描いた部分である。)に下向きの慣性力F62が作用し、この慣性力F62がおねじとめねじとのねじ結合部231に引張力として作用する。
(d)の比較例は、図13に示した番号(8)の行程でのピストン230に作用する力を示す。即ち、ピストン230が上向きに移動中に、上部ピストン半体230A(太線で輪郭を描いた部分である。)に上向きの合力R22が作用し、この合力R22がおねじとめねじとのねじ結合部231に引張力として作用する。
上記の図9(c),(d)に示した上部ピストン半体230Aの質量CMUと下部ピストン半体230Bの質量CMLの比を、例えば、CMU:CML=8:2とすると、慣性力Fと合力Rとの比が、F:R=7:10であるから、F62:R22=7:40となり、下部ピストン半体230Bによりねじ結合部231に発生する応力と、上部ピストン半体230Aによりねじ結合部231に発生する応力との比も7:40となる。従って、ねじ結合部231には、上部ピストン半体230Aによって、(a),(b)に示した実施例のピストン13のねじ結合部104よりも大きな平均応力が発生する。
本発明では、図3に戻って、ピストン13の首振り時の慣性モーメントをより小さくするために、ピストン13の重心とピストン13の揺動中心であるコンロッド16の小端部24とをほぼ合致させるため、上部ピストン51の質量M1と下部ピストン58の質量M2とをほぼ同一にするとともに、上部ピストン51と下部ピストン52との分割位置を、小端部24の中心点117を通り且つピストン13の軸線118に直交する直線119を含む平面に近い位置とした。
以上の図3に示したように、本発明は第1に、内燃機関10(図1参照)に組み込むピストン13の冠部50の裏面53に突出部54を設け、この突出部54の底に凹状の第1球面85を設け、この第1球面85にコンロッド16に設けた球状の小端部24の先端側(即ち、上半球部24a)を滑り可能に嵌合させ、小端部24の大端部25側(即ち、下半球部24b)に、保持部材としての下部保持部材57に設けた凹状の第2球面91を滑り可能に嵌合させ、突出部54に第1ねじとしてのおねじ78を形成し、下部保持部材57を保持する保持締結部としての筒部95に第2ねじとしてのめねじ103を形成し、これらのおねじ78とめねじ103とをねじ結合することで小端部24を第1球面85と第2球面91とで保持するピストン13とコンロッド16との球面連結構造であって、ピストン13を、突出部54を含む上部ピストン51と、筒部95を含む下部ピストン58とから構成し、上部ピストン51と下部ピストン58のそれぞれの質量をほぼ合致するように配分したことを特徴とする。
ここで、ほぼ合致するとは、上部ピストン51と下部ピストン58との質量差が上部ピストン51の質量又は下部ピストン58の質量の10%以内のことをいう。
ピストン13を、上部ピストン51と下部ピストン58とから構成し、上部ピストン51と下部ピストン58のそれぞれの質量M1,M2をほぼ合致するように配分したので、上部ピストン51と下部ピストン58のそれぞれに作用する慣性力の差を小さくすることができ、第1ねじ78と第2ねじ103とのねじ結合部104に発生する平均応力を小さくすることができる。従って、ねじ結合部104の疲労による耐久性を向上させることができる。
特に、高回転が可能な内燃機関10では、ピストン13に作用する慣性力が非常に大きくなるため、上部ピストン51と下部ピストン58とを分割してねじ結合する形式のものでは、上部ピストン51の質量M1が下部ピストン58の質量M2に対して大きいと、上部ピストン51と下部ピストン58とのねじ結合部104の平均応力が大きくなるため、上部ピストン51と下部ピストン58との質量比を1:1により近づける、好ましくは、上部ピストン51と下部ピストン58との質量比を7:10により近づけることで、平均応力を低減することが望ましい。
本発明は第2に、小端部24の中心となる中心点117を、ピストン13の重心とほぼ一致させたことを特徴とする。
球状の小端部24の中心点117を、ピストン13の重心とほぼ一致させたので、コンロッド16の小端部24回りのピストン13の慣性モーメントを小さくすることができ、ピストン13が首振りによりシリンダボア12に衝突したときの衝撃を小さくすることができる。従って、スラップ音等のピストン打音を低減することができる。
本発明は第3に、下部ピストン58に、全周に形成したスカート部としての下部スカート部97を備えることを特徴とする。
下部ピストン58に、全周に形成した下部スカート部97を備えるので、スラスト−反スラスト方向に直交する方向のピストン13の移動によるシリンダボア12との衝突時の衝撃を剛性の小さい下部スカート部97で緩和することができ、ピストン打音を低減することができる。また、下部スカート部97の熱変形を均一にすることができ、下部スカート部97とシリンダボア12との当たりを全周に亘って均一にすることができ、焼き付き防止、フリクション低減を図ることができる。
尚、本発明では、上部ピストンと下部ピストンのそれぞれの質量をほぼ合致するように配分したが、これに限らず、上部ピストン及び図3に示した上部保持部材56の質量の和と、下部ピストン及び保持部材(即ち、図3に示した下部保持部材57)の質量の和とをほぼ合致するようにしてもよい。
本発明のピストンとコンロッドとの球面連結構造は、二輪車、四輪車の内燃機関に好適である。
本発明に係るピストンとコンロッドとの球面連結構造を採用した内燃機関の断面図である。 本発明に係るピストン、コンロッド及びクランクシャフトの組立状態を示す斜視図である。 本発明に係るピストン及びコンロッドの断面図である。 本発明に係るピストン及びコンロッドを示す底面図である。 本発明に係るピストンとコンロッドとの組立要領を示す第1作用図である。 本発明に係るピストンとコンロッドとの組立要領を示す第2作用図である。 本発明に係るピストンとコンロッドとの組立要領を示す第3作用図である。 本発明に係るピストンの作用を示す第1作用図である。 本発明に係るピストンの作用を示す第2作用図である。 従来のピストンとコンロッドとの球面連結構造を示す第1断面図である。 従来のピストンとコンロッドとの球面連結構造を示す第2断面図である。 内燃機関におけるクランク角とピストンに作用する力との関係を示す第1グラフである。 内燃機関におけるクランク角とピストンに作用する力との関係を示す第2グラフである。
符号の説明
10…内燃機関、13…ピストン、14…球面継手、16…コンロッド、24…小端部、24a…上半球部、24b…下半球部、50…冠部、53…裏面、54…突出部、57…保持部材(下部保持部材)、78…第1ねじ(おねじ)、85…第1球面、91…第2球面、95…保持締結部(筒部)、97…スカート部(下部スカート部)、103…第2ねじ(めねじ)、117…小端部の中心(中心点)、M1…上部ピストンの質量、M2…下部ピストンの質量。

Claims (3)

  1. 内燃機関に組み込むピストンの冠部裏面に突出部を設け、この突出部の底に凹状の第1球面を設け、この第1球面にコンロッドに設けた球状の小端部の先端側を滑り可能に嵌合させ、前記小端部の大端部側に、保持部材に設けた凹状の第2球面を滑り可能に嵌合させ、
    前記突出部に第1ねじを形成し、前記保持部材を保持する保持締結部に第2ねじを形成し、これらの第1ねじと第2ねじとをねじ結合することで前記小端部を前記第1球面と前記第2球面とで保持するピストンとコンロッドとの球面連結構造であって、
    前記ピストンは、前記突出部を含む上部ピストンと、前記保持締結部を含む下部ピストンとからなり、
    前記上部ピストンと前記下部ピストンとの質量差が、上部ピストンの質量又は下部ピストンの質量の10%以内であることを特徴とするピストンとコンロッドとの球面連結構造。
  2. 前記小端部の中心は、前記ピストンの重心と一致することを特徴とする請求項1記載のピストンとコンロッドとの球面連結構造。
  3. 前記下部ピストンは、全周に形成したスカート部を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のピストンとコンロッドとの球面連結構造。
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