JP4251571B2 - ピストンとコンロッドとの球面連結構造 - Google Patents
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図10は従来のピストンとコンロッドとの球面連結構造を示す第1断面図であり、ピストン200の冠部201の裏面に突出部としてのカップ状支持部202を形成し、このカップ状支持部202に下向き凹部203、凹状半球面204及びめねじ206を形成し、凹状半球面204にコンロッド207の小端部208の上半部を滑り可能に嵌合させ、小端部208の下半部にホルダ211に形成した凹状の球面212,212を滑り可能に嵌合させ、締結部材213に形成したおねじ214を上記しためねじ206にねじ結合することで、カップ状支持部202にホルダ211を固定してピストン200とコンロッド207とを連結したことを示す。
図11は従来のピストンとコンロッドとの球面連結構造を示す第2断面図であり、ピストン220の冠部裏面に半球状の凹部221を形成し、この凹部221にロッド222の略球状とした小端部223を当て、凹部221の周囲の面に小端部223を保持するフランジ224を複数のボルト226で取付けることでピストン220とロッド222とを連結したことを示す。
爆発力は、内燃機関の燃焼室内圧力に基づいて算出した力であり、燃焼室内圧力が最大となるクランク角0°(爆発上死点)直後に最大となり、常に正の値をとるから、ピストンに常に上死点側から下死点側への方向(この方向を下向きとする。以下同じ。)の力Pを作用させる。
例えば、番号(1)の行程では、ピストンの移動方向は下向き、合力の方向は上向き、慣性力の方向は上向きとなる。
(A)例えば、ピストン200の番号(1)及び番号(8)の行程では、ピストン200にそれぞれ上向きの合力R1,R2が作用する、詳しくは、おねじ214とめねじ206とのねじ結合部に上記の上向きの合力R1又は合力R2が作用し、引張応力が発生する。このとき、合力R1又は合力R2の大部分は慣性力であり、この慣性力の大部分は、おねじ214とめねじ206とのねじ結合部よりも上方のピストン200の質量によるものであるから、このような大きな質量によってねじ結合部には大きな引張応力が発生する。
ピストンが小端部を中心として首振りしたときに、ピストンの慣性モーメントが小さくなり、ピストンが首振りによりシリンダ壁に衝突したときの衝撃が小さくなる。
通常のピストンでは、スラスト側及び反スラスト側にそれぞれスカート部を備え、ピストンのスラスト−反スラスト方向に直交する部分にはスカート部が無いため、ピストンのスラスト−反スラスト方向に直交する方向のピストン移動によってピストンの剛性の高い部分がシリンダ壁と衝突し、大きなピストン打音が発生し易い構造であった。これに対して、本発明では、全周にスカート部を設け、スラスト−反スラスト方向に直交する方向へのピストンの移動によってピストンがシリンダ壁と衝突したときに、その衝撃を剛性の小さいスカート部で緩和させ、ピストン打音を低減する。
図1は本発明に係るピストンとコンロッドとの球面連結構造を採用した内燃機関の断面図であり、内燃機関10は、シリンダブロック11と、このシリンダブロック11に設けたシリンダボア12に移動自在に挿入したピストン13と、このピストン13に球面継手14を介して連結したコンロッド16と、シリンダブロック11の下部に回転自在に取付けるとともに中空のクランクピン17でコンロッド16をスイング自在に支持する組立式のクランクシャフト18とを備える。
コンロッド16としては、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、又はチタン合金製が好適である。
ランド部61は、冠面64側から順に、トップランド66、トップリング溝67、セカンドランド68、セカンドリング溝71、サードランド72及びオイルリング溝73を設けた部分であり、トップリング溝67にトップリング(不図示)を嵌め、セカンドリング溝71にセカンドリング(不図示)を嵌め、オイルリング溝73にオイルリング(不図示)を嵌める。
上記の窒化ケイ素系セラミックスとしては、Si3N4(窒化ケイ素)、BN(窒化ホウ素)、AlN(窒化アルミニウム)、TiN(窒化チタン)が好適である。
上記した上部ピストン51のおねじ78及び下部ピストン58のめねじ103とは、ねじ結合部104を構成する部分である。
117は球状の小端部24の中心を示す中心点であり、ピストン13の重心でもあるが、中心点117をピストン13の重心にほぼ一致させてもよい。
118はピストン13の軸線である。119は中心点117を通り且つ軸線118に直交する平面に含まれる直線である。
図5(a),(b)は本発明に係るピストンとコンロッドとの組立要領を示す第1作用図である。
(a)において、下部ピストン58の穴部98にコンロッド16の小端部24が入るように下部ピストン58を矢印の向きに移動させ、(b)に示すように、下部ピストン58を小端部24から離した状態で、下部保持部材57の各分割体57a〜57d(57a,57bのみ示す。)の各第2球面91が小端部24の下半球部24bに密着するように矢印の向きに移動させる。
(a)において、下部保持部材57の各分割体57a〜57d(57a,57bのみ示す。)を小端部24に密着させた状態で、下部ピストン58を矢印の向きに移動させ、下部ピストン58の内周面102及びめすテーパ部101を、それぞれ下部保持部材57の外周面92及びおすテーパ部93に嵌合させる。
(b)において、矢印で示すように、上部保持部材56を小端部24に被せ、小端部24の上半球部24aと上部保持部材56の第1球面85とを密着させる。
(a)において、上部ピストン51の凹部75に上部保持部材56が入るように上部ピストン51を矢印の向きに移動させ、上部ピストン51のおねじ78を下部ピストン58のめねじ103にねじ結合する。
燃焼室37内の混合気の爆発によって、上部ピストン51の冠部50の温度が上昇すると、冠部50の熱は、矢印で示すように、突出部54に伝わるが、上部保持部材56は冠部50とは別部材であり、しかも、冠部50と上部保持部材56との間には油膜が存在するために、冠部50から上部保持部材56には熱が伝わり難い。従って、上部保持部材56の第1球面85とコンロッド16の小端部24との摺動部の温度を低くすることができ、摺動部の熱変形を小さくでき、油膜切れを発生し難くすることができる。
(a)の実施例は、図13に示した番号(7)の行程でのピストン13に作用する力を示す。即ち、ピストン13が上向きに移動中に、下部ピストン58及び下部保持部材57からなる下部ピストン半体105B(太線で輪郭を描いた部分である。)に下向きの慣性力F61が作用し、この慣性力F61がおねじとめねじとのねじ結合部104に引張力として作用する。
ここで、ほぼ合致するとは、上部ピストン51と下部ピストン58との質量差が上部ピストン51の質量又は下部ピストン58の質量の10%以内のことをいう。
球状の小端部24の中心点117を、ピストン13の重心とほぼ一致させたので、コンロッド16の小端部24回りのピストン13の慣性モーメントを小さくすることができ、ピストン13が首振りによりシリンダボア12に衝突したときの衝撃を小さくすることができる。従って、スラップ音等のピストン打音を低減することができる。
下部ピストン58に、全周に形成した下部スカート部97を備えるので、スラスト−反スラスト方向に直交する方向のピストン13の移動によるシリンダボア12との衝突時の衝撃を剛性の小さい下部スカート部97で緩和することができ、ピストン打音を低減することができる。また、下部スカート部97の熱変形を均一にすることができ、下部スカート部97とシリンダボア12との当たりを全周に亘って均一にすることができ、焼き付き防止、フリクション低減を図ることができる。
Claims (3)
- 内燃機関に組み込むピストンの冠部裏面に突出部を設け、この突出部の底に凹状の第1球面を設け、この第1球面にコンロッドに設けた球状の小端部の先端側を滑り可能に嵌合させ、前記小端部の大端部側に、保持部材に設けた凹状の第2球面を滑り可能に嵌合させ、
前記突出部に第1ねじを形成し、前記保持部材を保持する保持締結部に第2ねじを形成し、これらの第1ねじと第2ねじとをねじ結合することで前記小端部を前記第1球面と前記第2球面とで保持するピストンとコンロッドとの球面連結構造であって、
前記ピストンは、前記突出部を含む上部ピストンと、前記保持締結部を含む下部ピストンとからなり、
前記上部ピストンと前記下部ピストンとの質量差が、上部ピストンの質量又は下部ピストンの質量の10%以内であることを特徴とするピストンとコンロッドとの球面連結構造。 - 前記小端部の中心は、前記ピストンの重心と一致することを特徴とする請求項1記載のピストンとコンロッドとの球面連結構造。
- 前記下部ピストンは、全周に形成したスカート部を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のピストンとコンロッドとの球面連結構造。
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