JP2010053760A - 組立式ピストン構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構造でより冷却性の向上が図れる組立式ピストン構造を提供する。
【解決手段】第1球面85を含む上部ピストン51と、第2球面91を含む下部ピストン58とがねじ結合されることで組立てられ、これらの第1球面85と第2球面91とがコンロッド16の球状の小端部24に滑り自在に嵌合された球面連結構造を有する組立式ピストン構造において、上部ピストン51における冠部50の裏面53の下側に且つ第1球面85の周囲に下方が開放された環状の上部空間63が形成され、下部ピストン58の上部に、第2球面91側から半径方向外側に位置する下部スカート部97に至る円板状の天井部99と、この天井部99の上側に且つ第2球面91よりも外周側に上方が開放された環状の下部空間90とが形成され、上部空間63と下部空間90とで、潤滑油によりピストン13を冷却するためのクーリングチャンネル100が形成される。
【選択図】図3
【解決手段】第1球面85を含む上部ピストン51と、第2球面91を含む下部ピストン58とがねじ結合されることで組立てられ、これらの第1球面85と第2球面91とがコンロッド16の球状の小端部24に滑り自在に嵌合された球面連結構造を有する組立式ピストン構造において、上部ピストン51における冠部50の裏面53の下側に且つ第1球面85の周囲に下方が開放された環状の上部空間63が形成され、下部ピストン58の上部に、第2球面91側から半径方向外側に位置する下部スカート部97に至る円板状の天井部99と、この天井部99の上側に且つ第2球面91よりも外周側に上方が開放された環状の下部空間90とが形成され、上部空間63と下部空間90とで、潤滑油によりピストン13を冷却するためのクーリングチャンネル100が形成される。
【選択図】図3
Description
本発明は、組立式ピストン構造に関するものである。
従来の組立式ピストン構造として、ピストン上部とピストン下部とがねじで結合されているもの(例えば、特許文献1参照。)、ピストン上部とピストン下部がピストンピンで結合されているもの(例えば、特許文献2参照。)が知られている。
特許文献1の図1を以下の図7で説明する。なお、符号は振り直した。
図7は従来の組立式ピストン構造を示す第1断面図であり、組立式ピストン200は、ピストン上方部分201と、ピストン下方部分202とが複数本のねじ203で締結されている。
図7は従来の組立式ピストン構造を示す第1断面図であり、組立式ピストン200は、ピストン上方部分201と、ピストン下方部分202とが複数本のねじ203で締結されている。
上記の組立式ピストン200では、ねじ203が複数本使用されているため、各ねじ203の軸力にばらつきが生じやすく、ねじ203の全数を一定の軸力に管理するのが難しく、耐久性に影響を及ぼすことがある。
特許文献2の図1を以下の図8で説明する。なお、符号は振り直した。
図8は従来の組立式ピストン構造を示す第2断面図であり、組立式ピストン205は、ピストン上部206とピストン下部207とが、ピストン上部206側に開けられた第1ピン穴211,211及びピストン下部207側に開けられた第2ピン穴212,212に共に挿入された図示せぬピストンピンを介して結合される。
図8は従来の組立式ピストン構造を示す第2断面図であり、組立式ピストン205は、ピストン上部206とピストン下部207とが、ピストン上部206側に開けられた第1ピン穴211,211及びピストン下部207側に開けられた第2ピン穴212,212に共に挿入された図示せぬピストンピンを介して結合される。
上記の組立式ピストン205では、第1ピン穴211,211と第2ピン穴212,212とでピン穴径を同一にすることが難しく、各ピン穴径の差によってピストン上部206とピストン下部207とにがたつきが生じ、耐久性を低下させる原因となる。
また、第1ピン穴211,211はピストン内側に配置され、第2ピン穴212,212は第1ピン穴211,211よりもピストン外側に配置されるため、ピン穴表面の温度に差が生じるためにピストンピンとのクリアランスが異なってくる。この結果、上記と同様に、ピストン上部206とピストン下部207とにがたつきが生じるようになる。
そこで、本出願人は、上記組立式ピストン200,205の課題を解決するために、上部ピストンにおねじを一体成形し、下部ピストンにめねじを一体成形して、これらのおねじとめねじをねじ結合する組立式ピストンを提案した(特許文献3参照)。
特許文献3の図3を以下の図9で説明する。なお、符号は振り直した。
図9は従来の組立式ピストン構造を示す第3断面図であり、ピストン220は、上部ピストン221と、この上部ピストン221の下部に1ヶ所でねじ結合される下部ピストン222とを備え、コンロッド226に球面継手を介して連結されている。
図9は従来の組立式ピストン構造を示す第3断面図であり、ピストン220は、上部ピストン221と、この上部ピストン221の下部に1ヶ所でねじ結合される下部ピストン222とを備え、コンロッド226に球面継手を介して連結されている。
詳細には、上部ピストン221は、中央部の裏面に突出部223が設けられ、この突出部223の下部におねじ224が形成されるとともに、突出部223の内側に上部保持部材225を介してコンロッド226の球状の小端部227が当てられている。
下部ピストン222は、中央部に筒部231が設けられ、この筒部231の上部内周面に、上部ピストン221のおねじ224にねじ結合されるめねじ232が形成されるとともに、筒部231の内側に下部保持部材233を介してコンロッド226の小端部227が当てられている。
また、下部ピストン222には、シリンダ穴に接する下部スカート部234と筒部231との間を放射状に連結する複数のリブ236が形成され、これらのリブ236によって下部ピストン222の補強と放熱が行われる。
このような単一のねじ結合部が設けられるとともにコンロッドと球面継手を介して連結された組立式のピストン220の構造によって、特許文献1のような、複数のねじ結合部の軸力がばらつく、という課題が解消し、また、特許文献2のような、ピストン上部とピストン下部とでピストンピンが挿入されるピン穴内径の寸法差が生じる、という課題も解消された。
特開平8−68358号公報
特開平5−312103号公報
特開2006−274861公報
しかし、上記特許文献3のピストン220では、下部ピストン222に放射状のリブ236が形成されて放熱が促進されているが、内燃機関の出力アップなどによるピストン温度の上昇に対しては、更なる冷却性の向上が望まれる。また、冷却性を向上するにあたって、コストアップが抑えられるより簡単な構造で対応することが望ましい。
本発明の目的は、簡単な構造でより冷却性の向上が図れる組立式ピストン構造を提供することにある。
本発明の目的は、簡単な構造でより冷却性の向上が図れる組立式ピストン構造を提供することにある。
請求項1に係る発明は、第1凹球面部を含む上部ピストンと、第2凹球面部を含む下部ピストンとがねじ結合されることで組立てられ、これらの第1凹球面部と第2凹球面部とがコンロッドの球状の小端部に滑り自在に嵌合された球面連結構造を有する組立式ピストン構造において、上部ピストンの冠部裏面の下側に且つ第1凹球面部の周囲に下方が開放された環状の上部空間が形成され、下部ピストンの上部に、第2凹球面部側から半径方向外側に位置するスカート部に至る円板状部と、この円板状部の上側に且つ第2凹球面部よりも外周側に上方が開放された環状の下部空間とが形成され、上部空間と下部空間とで、内燃機関の潤滑油によりピストンを冷却するための冷却油流路が形成されることを特徴とする。
作用として、冷却油流路に潤滑油を流し、上部空間に面する冠部裏面や下部ピストンのスカート部などを強制的に冷却する。
冷却油流路は、上部ピストンと下部ピストンとをねじ結合にて組み立てることで形成されるため、予め、上部ピストンに環状の上部空間を形成し、下部ピストンに環状の下部空間を形成しておけば、冷却油流路を特別に中子などで形成する必要がなく、冷却油流路が容易に形成される。
冷却油流路は、上部ピストンと下部ピストンとをねじ結合にて組み立てることで形成されるため、予め、上部ピストンに環状の上部空間を形成し、下部ピストンに環状の下部空間を形成しておけば、冷却油流路を特別に中子などで形成する必要がなく、冷却油流路が容易に形成される。
請求項2に係る発明は、上部ピストンでは、コンロッド内油路と冷却油流路とを連通させる内側連通路が形成され、コンロッド内油路に供給された潤滑油が冷却油流路に導かれることで上部ピストンの冠部裏面が冷却されることを特徴とする。
作用として、潤滑油を、コンロッド内油路から内側連通路を通じて冷却油流路へ導き、上部ピストンの、特に高温となる冠部裏面を冷却する。
例えば、ピストンに形成された冷却油流路へシリンダブロック側に設けられたオイルジェットによって潤滑油を供給する場合には、往復動するピストンの冷却油流路へ潤滑油を効率良く供給するのは難しいが、本発明では、潤滑油がコンロッド内油路から冷却油流路へ内側連通路を介して確実に供給されるから、冠部裏面が効率良く冷却される。
請求項3に係る発明は、下部ピストンでは、外周部に形成されたスカート部に、冷却油流路とスカート部外周面とを連通させる外側連通路が形成され、冷却油流路内の潤滑油を外側連通路を介してスカート外周面に供給することでシリンダ穴とスカート部との摺動部を潤滑することを特徴とする。
作用として、潤滑油は、冷却油流路からスカート部に形成された外側連通路を介してスカート外周面に供給され、潤滑油でシリンダ穴とスカート部との摺動部が潤滑される。
このように、冷却油流路に供給されてピストンを冷却する潤滑油の一部がスカート部の潤滑に利用される。
このように、冷却油流路に供給されてピストンを冷却する潤滑油の一部がスカート部の潤滑に利用される。
請求項1に係る発明では、上部ピストンの冠部裏面の下側に且つ第1凹球面部の周囲に下方が開放された環状の上部空間が形成され、下部ピストンの上部に、第2凹球面部側から半径方向外側に位置するスカート部に至る円板状部と、この円板状部の上側に且つ第2凹球面部よりも外周側に上方が開放された環状の下部空間とが形成され、上部空間と下部空間とで、内燃機関の潤滑油によりピストンを冷却するための冷却油流路が形成されるので、上部ピストンと下部ピストンとをねじ結合して組み立てたときに、例えば、中子等を用いて冷却用通路を形成するのに比べて容易に冷却油流路を形成することができ、しかも、冷却油流路によってピストンの冷却性を向上させることができる。
請求項2に係る発明では、上部ピストンでは、コンロッド内油路と冷却油流路とを連通させる内側連通路が形成され、コンロッド内油路に供給された潤滑油が冷却油流路に導かれることで上部ピストンの冠部裏面が冷却されるので、ピストンの冠部裏面を冷却する従来のようなオイルジェットが不要であり、部品数が少なくなるとともに、内燃機関重量を軽減することができる。
また、従来のオイルジェットによるピストンの冷却油流路への潤滑油供給に比較して、内側連通路による冷却油流路への潤滑油供給をより効率良く行うことができ、冷却効果を高めることができ、また、冷却効果を従来と同様に確保した場合には、冷却油流路への潤滑油供給量を少なくすることができる。
請求項3に係る発明では、下部ピストンでは、外周部に形成されたスカート部に、冷却油流路とスカート部外周面とを連通させる外側連通路が形成され、冷却油流路内の潤滑油を外側連通路を介してスカート外周面に供給することでシリンダ穴とスカート部との摺動部を潤滑するので、冷却のための潤滑油の一部を利用して、ピストンスカート部を潤滑することができ、潤滑油を効率良く使用することができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る組立式ピストン構造を採用した内燃機関の断面図であり、内燃機関10は、シリンダブロック11と、このシリンダブロック11に設けられたシリンダボア12に移動自在に挿入されたピストン13と、このピストン13に球面継手14を介して連結されたコンロッド16と、シリンダブロック11の下部に回転自在に取付けられるとともに中空のクランクピン17でコンロッド16をスイング自在に支持する組立式のクランクシャフト18とを備える。
図1は本発明に係る組立式ピストン構造を採用した内燃機関の断面図であり、内燃機関10は、シリンダブロック11と、このシリンダブロック11に設けられたシリンダボア12に移動自在に挿入されたピストン13と、このピストン13に球面継手14を介して連結されたコンロッド16と、シリンダブロック11の下部に回転自在に取付けられるとともに中空のクランクピン17でコンロッド16をスイング自在に支持する組立式のクランクシャフト18とを備える。
シリンダブロック11は、上部に設けられたシリンダ部21と、このシリンダ部21の内側に嵌合されるとともにシリンダボア12が形成された筒状のスリーブ22と、シリンダ部21の下部に取付けられたアッパークランクケース23とからなる。
コンロッド16は、ピストン13に連結された球形状の小端部24と、クランクピン17に連結された大端部25と、これらの小端部24及び大端部25のそれぞれを連結するロッド部26とが一体成形された部材であり、大端部25がクランクピン17に滑り軸受31を介して連結されたものである。
ここで、符号32はクランクシャフト18に設けられたカウンタウエイト、33はシリンダブロック11の上部にヘッドガスケット(不図示)を介して取付けられたシリンダヘッド、34は吸気バルブ、36は排気バルブ、37は燃焼室、38はアッパークランクケース23とでクランクケースを形成するためにアッパークランクケース23の下部に複数のボルト41で取付けられたロアクランクケース、42はロアクランクケース38の下部に複数のボルト44で取付けられたオイルパンである。
図2は本発明に係るピストン、コンロッド及びクランクシャフトの組立状態を示す斜視図であり、ピストン13にコンロッド16がスイング自在に取付けられ、クランクシャフト18にコンロッド16がスイング自在に取付けられたことを示す。
ピストン16は、例えば、材質AC8A[JIS H 5202]の素材が鋳造にて製造され、熱処理としてT6処理が施された後に機械加工が施された部材である。
コンロッド16としては、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、又はチタン合金製が好適である。
コンロッド16としては、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、又はチタン合金製が好適である。
図3は本発明に係るピストン及びコンロッドの断面図であり、ピストン13は、燃焼室37(図1参照)を形成するための冠部50を備える上部ピストン51と、コンロッド16の小端部24の上半球部24aを滑り可能に保持するために上部ピストン51の冠部50の裏面53から下方に突出形成された突出部54内に配置された上部保持部材56と、コンロッド16の小端部24の下半球部24bを滑り可能に保持する下部保持部材57と、この下部保持部材57を保持するために上部ピストン51にねじ結合された下部ピストン58とからなる。
上部ピストン51は、円板状に形成された冠部50と、この冠部50の周縁から下方に延ばされた筒状で厚肉とされたランド部61と、このランド部61から更に下方に延ばされた筒状でランド部61よりも薄肉とされた上部スカート部62と、前述の突出部54とが一体成形され、これらの冠部50、ランド部61、上部スカート部62及び突出部54で囲まれた下方に開放される環状の上部空間63が形成された部材である。
冠部50は、燃焼室37(図1参照)に臨む冠面64を備える。
ランド部61は、冠面64側から順に、トップランド66、トップリング溝67、セカンドランド68、セカンドリング溝71、サードランド72及びオイルリング溝73が設けられた部分であり、トップリング溝67にトップリング(不図示)が嵌められ、セカンドリング溝71にセカンドリング(不図示)が嵌められ、オイルリング溝73にオイルリング(不図示)が嵌められる。
ランド部61は、冠面64側から順に、トップランド66、トップリング溝67、セカンドランド68、セカンドリング溝71、サードランド72及びオイルリング溝73が設けられた部分であり、トップリング溝67にトップリング(不図示)が嵌められ、セカンドリング溝71にセカンドリング(不図示)が嵌められ、オイルリング溝73にオイルリング(不図示)が嵌められる。
突出部54は、上部保持部材56をピストン13の半径方向に移動可能に収納する凹部75と、この凹部75の開口部76側の外周面77に形成されたおねじ78とを備え、凹部75は、底部81に小凹部82が形成された部分である。
上部保持部材56は、耐熱性、耐摩耗性に優れた窒化ケイ素系セラミックス製であり、コンロッド16の小端部24の上半球部24aに滑り可能に嵌合する凹状の球面としての第1球面85と、上部ピストン51の小凹部82内に位置する小凸部86とを備え、凹部75の内周面87と上部保持部材56の外周面88とは片側にそれぞれ隙間Cを有し、同様に、小凹部82と小凸部86との間にも片側にそれぞれ隙間C(不図示)を有する。
この隙間Cは、凹部75の内周面87とコンロッド16の小端部24との間にも片側にそれぞれ有する。
上記の窒化ケイ素系セラミックスとしては、Si3N4(窒化ケイ素)、BN(窒化ホウ素)、AlN(窒化アルミニウム)、TiN(窒化チタン)が好適である。また、例えば、リン青銅、鉛青銅などの軸受材の適用も可能である。
この隙間Cは、凹部75の内周面87とコンロッド16の小端部24との間にも片側にそれぞれ有する。
上記の窒化ケイ素系セラミックスとしては、Si3N4(窒化ケイ素)、BN(窒化ホウ素)、AlN(窒化アルミニウム)、TiN(窒化チタン)が好適である。また、例えば、リン青銅、鉛青銅などの軸受材の適用も可能である。
下部保持部材57は、コンロッド16の小端部24の下半球部24bに滑り可能に嵌合する凹状の球面としての第2球面91と、下部ピストン58の中央に形成された筒部95の内周面102に嵌合する外周面92と、筒部95の下部に形成されためすテーパ部101に嵌合するおすテーパ部93と、上部ピストン51の突出部54の端面54aに当接する当接面94とを備える4分割とした窒化ケイ素系セラミックス(上に挙げた材料が好適である。)製の部材であり、回り止め用ピン(不図示)で上部ピストン51の突出部54に対して回転しないようにされるとともに、コンロッド16のロッド部26に当てられる被案内面が設けられることでピストン13をコンロッド16に対して回転しないようにする部材でもある。なお、符号57a〜57d(57c,57dは不図示)は、下部保持部材57を構成する4つの分割体である。
下部ピストン58は、上部ピストン51の突出部54の下部、及び下部保持部材57を囲むように配置された筒部95と、この筒部95から放射状に延ばされた複数のリブ96と、これらのリブ96の各先端に連結された円筒状の下部スカート部97と、筒部95及び下部スカート部97のそれぞれの上部を連結する傘状の天井部99とが一体成形された部材であり、下部スカート部97及び天井部99で囲まれる上方に開放する環状の下部空間90が形成され、全周に備える下部スカート部97の上端面97aが上部ピストン51の上部スカート部62の下端面62aに当てられた部材である。なお、複数の符号99aは天井部99を上下に貫通する天井部貫通穴であり、下部空間90に溜まった潤滑油をピストン13の下方に排出する。
筒部95は、その穴部98に、下部保持部材57のおすテーパ部93に密着するめすテーパ部101と、下部保持部材57の外周面92に所定の隙間を有して嵌合する内周面102と、上部ピストン51のおねじ78にねじ結合されるように内周面102の上部に形成されためねじ103とを備える。
おすテーパ部93とめすテーパ部101とが嵌合することにより、筒部95の軸線に対して下部保持部材57の軸線が一致するように調心される。
上記した上部ピストン51のおねじ78及び下部ピストン58のめねじ103とは、ねじ結合部104を構成する部分である。
上記した上部ピストン51のおねじ78及び下部ピストン58のめねじ103とは、ねじ結合部104を構成する部分である。
上記した上部ピストン51の上部空間63と下部ピストン58の下部空間90とは、コンロッド16側から供給される潤滑油を利用してピストン13を冷却するためのクーリングチャンネル100を形成している。
図中の符号109Aは上部ピストン51の凹部75と上部空間63とを連通させる複数の内側連通路であり、潤滑油が凹部75内から内側連通路109Aを通じてクーリングチャンネル100内に供給される。
また、図中の符号109Bは下部ピストン58の下部空間90と下部スカート部97の外周面97bとを連通させる貫通穴としての外側連通路であり、クーリングチャンネル100内の潤滑油が外側連通路109Bを通じて下部スカート部97とシリンダボア12(図1参照)との摺動部に供給される。
上部ピストン51と下部ピストン58とは、それらの質量がほぼ同一とされた部材であり、上部保持部材56と下部保持部材57との質量もほぼ同一とされているから、上部ピストン51及び上部保持部材56からなる上部ピストン半体105Aの質量と、下部ピストン58及び下部保持部材57からなる下部ピストン半体105Bの質量とはほぼ同一となる。
コンロッド16は、ロッド部26の内部に軽量化のための中空部106,107,108が設けられ、小端部24の内部に軽量のための中空部110が設けられた部材であり、大端部25(図1参照)側から、球面継手14の滑り面と、上記のクーリングチャンネル100とに潤滑用のオイルを供給するためにオイル穴111〜115が設けられている。
上記の中空部107、オイル穴111、中空部110及びオイル穴112〜115は、コンロッド16内の油路、即ち、コンロッド内油路116を形成している。
上記の中空部107、オイル穴111、中空部110及びオイル穴112〜115は、コンロッド16内の油路、即ち、コンロッド内油路116を形成している。
また、上記した突出部54、上部保持部材56、下部保持部材57、筒部95及び小端部24は、上記した球面継手14を構成する部分である。
符号117は球状の小端部24の中心を示す中心点であり、ピストン13の重心でもあるが、中心点117をピストン13の重心にほぼ一致させてもよい。
符号117は球状の小端部24の中心を示す中心点であり、ピストン13の重心でもあるが、中心点117をピストン13の重心にほぼ一致させてもよい。
図4は本発明に係るピストン及びコンロッドを示す底面図(一部断面図)であり、下部ピストン58は、筒部95と下部スカート部97とを連結する複数のリブ96を備える。
ここでは、隣り合うリブ96のなす角度θを皆等しくしたが、これに限らず、隣り合うリブ96のなす角度を、スラスト側(例えば、図ではピストン13の左側(又は右側))と反スラスト側(例えば、図ではピストン13の右側(又は左側))とで異ならせてもよいし、あるいは、スラスト−反スラスト方向に直交する方向(例えば、図ではピストン13の上下方向であり、クランクシャフトを車両前後方向に延ばした内燃機関ではフロント−リヤ方向)のフロント側とリヤ側とで異ならせてもよい。
ここでは、隣り合うリブ96のなす角度θを皆等しくしたが、これに限らず、隣り合うリブ96のなす角度を、スラスト側(例えば、図ではピストン13の左側(又は右側))と反スラスト側(例えば、図ではピストン13の右側(又は左側))とで異ならせてもよいし、あるいは、スラスト−反スラスト方向に直交する方向(例えば、図ではピストン13の上下方向であり、クランクシャフトを車両前後方向に延ばした内燃機関ではフロント−リヤ方向)のフロント側とリヤ側とで異ならせてもよい。
また、このようなリブ96に相当するものを上部ピストン51(図3参照)に設けてもよく、これにより、上部ピストン51の冠部50(図3参照)に発生する応力を各リブへ均等に分散することができ、上部ピストン51に発生する応力の最大値を低くすることができる。
コンロッド16は、小端部24(図3参照)に近いロッド部26の側面26a,26aに、平坦で且つコンロッド16がスイング(揺動)する方向(図の左右方向である。)に平行な案内面26b、26bをそれぞれ形成したものであり、下部保持部材57(形状の理解を容易にするために太線で示した部分である。)は、コンロッド16を通すために設けた矩形状開口部57eに各分割体57a〜57d毎に、上記の案内面26b,26bに当たりながら案内される被案内面57fを設けたものである。
上記したように、コンロッド16に案内面26b、26bを設け、下部保持部材57に案内面26b,26bに案内される被案内面57f、57fを設けたことで、コンロッド16に対してピストン13のシリンダ軸回りの回転を防ぐことができる。
図5は本発明に係る下部ピストンの断面図であり、下部ピストン58は、筒部95と下部スカート部97とを連結するとともに天井部99から下方に延びる複数のリブ96が形成されている。
このように、下部ピストン58に、天井部99と複数のリブ96とを一体に設けることで、複数のリブ96が天井部99の補強リブの役目をし、下部ピストン58の強度・剛性を向上させることができる。
以上に述べたコンロッド16からピストン13への潤滑油供給の作用を次に説明する。
図6は本発明に係るコンロッドからピストンへの潤滑油供給の作用を示す作用図である。
矢印で示すように、潤滑用のオイルは、コンロッド16の大端部25側(図1参照)からオイル穴111を介して小端部24内の中空部110へ供給される。
図6は本発明に係るコンロッドからピストンへの潤滑油供給の作用を示す作用図である。
矢印で示すように、潤滑用のオイルは、コンロッド16の大端部25側(図1参照)からオイル穴111を介して小端部24内の中空部110へ供給される。
更に、オイルは、中空部110からオイル穴112,112、オイル穴114,114及びオイル穴115を介して球面継手14の滑り面、即ち、小端部24と下部保持部材57との間の摺動面、小端部24と上部保持部材56との摺動面に供給される。
また更に、オイルは、中空部110からオイル穴113,113、突出部54の凹部75、突出部54の内側連通路109A,109Aを通じてクーリングチャンネル100内に供給され、冠部50の裏面53に当てられる。
この結果、オイルは、矢印で示すように、冠部50を冷却し、更にランド部61の内面に移動し、ランド部61の各リング溝を冷却して落下し、クーリングチャンネル100の底部に溜まる。
このオイルは、更に、矢印で示すように、外側連通路109B,109Bを通ってシリンダボア12とピストン13(詳しくは、上部スカート部62、下部スカート部97)との間の摺動部に至り、この摺動部を潤滑する。
また、クーリングチャンネル100内のオイルは、天井部99の天井部貫通穴99a,99aを通ってピストン13の下方に落下する。
また、クーリングチャンネル100内のオイルは、天井部99の天井部貫通穴99a,99aを通ってピストン13の下方に落下する。
以上の図3、図6に示したように、第1凹球面部としての第1球面85を含む上部ピストン51と、第2凹球面部としての第2球面91を含む下部ピストン58とがねじ結合されることで組立てられ、これらの第1球面85と第2球面91とがコンロッド16の球状の小端部24に滑り自在に嵌合された球面連結構造を有する組立式ピストン構造において、上部ピストン51における冠部50の裏面53の下側に且つ第1球面85の周囲に下方が開放された環状の上部空間63が形成され、下部ピストン58の上部に、第2球面91側から半径方向外側に位置するスカート部としての下部スカート部97に至る円板状部としての天井部99と、この天井部99の上側に且つ第2球面91よりも外周側に上方が開放された環状の下部空間90とが形成され、上部空間63と下部空間90とで、内燃機関10(図1参照)の潤滑油によりピストン13を冷却するための冷却油流路としてのクーリングチャンネル100が形成されるので、上部ピストン51と下部ピストン58とをねじ結合して組み立てたときに、例えば、中子等を用いて冷却油流路を形成するのに比べて本発明では容易にクーリングチャンネル100を形成することができ、しかも、クーリングチャンネル100によってピストン13の冷却性を向上させることができる。
また、上部ピストン51では、コンロッド内油路116とクーリングチャンネル100とを連通させる内側連通路109Aが形成され、コンロッド内油路116に供給された潤滑油がクーリングチャンネル100に導かれることで上部ピストン51の冠部50の裏面53が冷却されるので、ピストン13の冠部50の裏面53を冷却する従来のようなオイルジェットが不要であり、部品数が少なくなるとともに、内燃機関10の重量を軽減することができる。
また、従来のオイルジェットによるピストンの冷却油流路への潤滑油供給に比較して、本発明では、内側連通路109Aによるクーリングチャンネル100への潤滑油供給をより効率良く行うことができ、冷却効果を高めることができ、また、冷却効果を従来と同様に確保した場合には、クーリングチャンネル100への潤滑油供給量を少なくすることができる。
更に、下部ピストン58では、外周部に形成された下部スカート部97に、クーリングチャンネル100と下部スカート部97の外周面97bとを連通させる外側連通路109Bが形成され、クーリングチャンネル100内の潤滑油を外側連通路109Bを介して下部スカート部97の外周面97bに供給することでシリンダボア12(図1参照)と下部スカート部97との摺動部を潤滑するので、冷却のための潤滑油の一部を利用して、ピストン13の下部スカート部97を潤滑することができ、潤滑油を効率良く使用することができる。
尚、本実施形態では、図3に示したように、下部ピストン58の天井部99の上側に下部空間90を設けたが、下部ピストン58に下部空間90を設けなくてもよく、この場合には、上部空間63と天井部99とでクーリングチャンネル100が形成される。
更に、図3に示したように、上部ピストン51の上部スカート部62に、クーリングチャンネル100と上部スカート部62の外周面とを連通する外側連通路を形成してもよい。
本発明の組立式ピストン構造は、高出力または高熱負荷の内燃機関に好適である。
10… 内燃機関、12…シリンダ穴(シリンダボア)、13…組立式ピストン(ピストン)、16…コンロッド、24…小端部、50…冠部、51…上部ピストン、53…裏面、58…下部ピストン、63…上部空間、85…第1凹球面部(第1球面)、90…下部空間、91…第2凹球面部(第2球面)、97…スカート部(下部スカート部)、97b…下部スカート部の外周面、99…円板状部(天井部)、100…冷却油流路(クーリングチャンネル)、109A…内側連通路、109B…外側連通路、116…コンロッド内油路。
Claims (3)
- 第1凹球面部を含む上部ピストンと、第2凹球面部を含む下部ピストンとがねじ結合されることで組立てられ、これらの第1凹球面部と第2凹球面部とがコンロッドの球状の小端部に滑り自在に嵌合された球面連結構造を有する組立式ピストン構造において、
前記上部ピストンの冠部裏面の下側に且つ前記第1凹球面部の周囲に下方が開放された環状の上部空間が形成され、
前記下部ピストンの上部に、前記第2凹球面部側から半径方向外側に位置するスカート部に至る円板状部と、この円板状部の上側に且つ前記第2凹球面部よりも外周側に上方が開放された環状の下部空間とが形成され、
前記上部空間と前記下部空間とで、内燃機関の潤滑油によりピストンを冷却するための冷却油流路が形成されることを特徴とする組立式ピストン構造。 - 前記上部ピストンは、コンロッド内油路と前記冷却油流路とを連通させる内側連通路が形成され、コンロッド内油路に供給された潤滑油が冷却油流路に導かれることで上部ピストンの冠部裏面が冷却されることを特徴とする請求項1記載の組立式ピストン構造。
- 前記下部ピストンは、外周部に形成された前記スカート部に、前記冷却油流路とスカート部外周面とを連通させる外側連通路が形成され、冷却油流路内の潤滑油を外側連通路を介してスカート外周面に供給することでシリンダ穴とスカート部との摺動部を潤滑することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の組立式ピストン構造。
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DE102011012685A1 (de) * | 2011-03-01 | 2012-09-06 | Mahle International Gmbh | Kolben für einen Verbrennungsmotor |
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-
2008
- 2008-08-27 JP JP2008218817A patent/JP2010053760A/ja active Pending
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