JP4250627B2 - 潤滑装置用の分配エレメント - Google Patents

Description

本発明は、潤滑装置用のグリスのような潤滑剤を調量する分配エレメント、特に導入分配器に関する。

このような公知の潤滑剤分配器は、孔を備えた弁ピストンを有しており、この弁ピストンは、該弁ピストンにおける孔が、調量室から接続通路を介して分配室への接続を開放する出発位置から、潤滑剤入口における潤滑剤の圧力下で、ただ１つの戻しばねの作用に抗して調量位置まで移動可能であり、該調量位置においては弁ピストンが、潤滑剤入口から接続通路にひいては調量室に通じる貫通孔を開放するようになっている。この公知の潤滑剤分配器はさらに、分配ピストンを有しており、この分配ピストンは、調量室に流入する潤滑剤の作用下で前記ただ１つの戻しばねの作用に抗して移動可能である。調量室において形成される潤滑剤圧によって、弁ピストンと分配ピストンとの間の分配室における潤滑剤量は少なくとも１つの潤滑剤出口に押し退けられ、弁ピストンは、分配ピストンの圧力バランスポイントが得られるまで中間位置に移動させられ、この中間位置において弁ピストンは、潤滑剤入口から接続通路にひいては調量室通じる貫通孔を遮断するようになっている。次いで潤滑剤入口において放圧が行われると、弁ピストン及びその後で分配ピストンが、ただ１つの戻しばねによって出発位置へと戻される。このような形式の分配エレメントには、機能を保証するために、例えば２５０バールまでの弁入口における液体潤滑剤圧（作業圧）を、必要な放圧のために例えば約４５バールの比較的低い残留圧に降下させねばならないという欠点がある。公知の構成は、特に複数の潤滑剤分配器が相前後して接続されている場合に、潤滑剤管路を介して生じる圧力降下に基づいて、最後の潤滑剤分配器の機能が損なわれることがある。低すぎる放圧の問題は、従来技術において設けられているただ１つの戻しばねが強化されることによっては、解決することができない。それというのは、このただ１つの戻しばねは、弁ピストンとだけではなく、他方の方向において分配ピストンとも共働するからである。もし戻しばねを強くすると、このようなより強い戻しばねは、分配ピストンをその終端位置にもたらそうとする圧力を、上昇させることになる。

本発明の課題は、冒頭に述べた形式の分配エレメントを改良して、放圧圧力（残留圧）が、公知の弁エレメントにおけるよりも、かなり、例えば約２倍高く、しかしながら最小の作業圧、つまり分配ピストンがその終端ポジションを占めている時の圧力を高めることがないようにすることである。

この課題を解決するために本発明の構成では、潤滑装置用のグリスのような潤滑剤を調量する分配エレメント、特に導入分配器において、孔を有する弁ピストンが設けられていて、この弁ピストンが、該弁ピストンにおける孔が接続通路を介した分配室と調量室との間における接続を開放する出発位置から、潤滑剤入口における潤滑剤の圧力下で、第１の戻しばねの作用に抗して調量位置まで移動可能であり、該調量位置においては弁ピストンが、潤滑剤入口から接続通路にひいては調量室に通じる貫通孔を開放するようになっており、本発明ではさらに分配ピストンが設けられていて、この分配ピストンが、調量室に流入する潤滑剤の作用下で第２の戻しばねの作用に抗して出発位置から移動可能であり、これによって弁ピストンと分配ピストンとの間の分配室における潤滑剤量が、少なくとも１つの潤滑剤出口に押し退けられ、この際に場合によっては弁ピストンが、圧力バランスポイントが得られるまで中間位置に移動可能であり、該中間位置においては弁ピストンが、潤滑剤入口から接続通路にひいては調量室通じる貫通孔を遮断するようになっており、さらに潤滑剤入口における放圧時に弁ピストンが、第１の戻しばねによってその出発位置に、分配ピストンが第２の戻しばねによってその出発位置に戻り移動させられるようになっている。

残留圧が本発明のように高められていることに基づいて、より短い切換え時間が達成され、より大きな長さ及び／又はより小さな直径の管路を使用することが可能になり、これによってコストの節減が可能である。それにも拘わらず、最小の作業圧を低く保つことができる。両方の戻しばねのばね強さ及びばね特性は、ピストン横断面、孔横断面及び通路横断面を考慮して、それぞれ別個に設計することができる。

つまり本発明によれば、従来技術とは異なり、ただ１つの戻しばねが、２つの個別に作用する戻しばねに分けられており、第１の戻しばねだけが弁ピストンと共働し、これに対して第２の戻しばねは単に分配ピストンを戻すためにだけ働く。両方の戻しばねは、存在する所与性に応じて、例えば存在する管路長さ、管路横断面、調量容積、作業圧、残留圧及びこれに類したことに関連して、設計されることができる。これによって簡単に、残留圧の上昇にも拘わらず最小の作業圧を高められることなく、低く保つことができる。

本発明による解決策を構造上特に簡単な形式で実現することができる実施態様では、第１の戻しばねと第２の戻しばねとの間に、両戻しばねを支持するためのほぼ中空円筒形の支持体が配置されている。支持体に場合によっては設けられている貫通孔は、分配ピストンの、弁ピストンに向けられた延長部の貫通を可能にしており、その結果、調量室内に形成された圧力による分配ピストンの操作時に、弁体はその出発位置に向かって分配ピストンによって、まず初めに中間位置にまで移動可能であり、この中間位置において潤滑剤入口は接続通路から切り離されている。

本発明の別の構成では、製造を簡単化するため及び機能を改善するために、弁ピストン、分配ピストン、支持体及び両戻しばねが、弁ハウジングの共通の真っ直ぐな貫通通路内に、軸方向において互いに整合されて配置されている。

本発明の別の有利な構成では、スペースの節減及び確実な支持のために、第２の戻しばねがコイルばねとして形成されていて、分配ピストンを取り囲んでいる。

本発明の別の構成では、コイルばねとして形成された第２の戻しばねが、弁ピストンに向けられた端部で、同様にコイルばねとして形成された第１の戻しばねを取り囲んでおり、このように構成されていると、戻しばねの長さが所定の場合、分配エレメントの全長を短くすることが可能である。

このような構成において、コイルばねとして形成された第１の戻しばねの、分配ピストンに向けられた端部が、スリーブ状の支持体に受容されていて、該支持体が、コイルばねとして形成された第２の戻しばねによって取り囲まれていると、有利である。この場合第１の戻しばねは有利には、スリーブ状の支持体の、弁体とは反対の側の端部における半径方向内側に向かって張り出した縁曲げ部に支持されており、スリーブ状の支持体内において案内されている。これに対して第２の戻しばねは、スリーブ状の支持体の外側に接触していて、支持体の半径方向外側に張り出した基部フランジに支持されていると、有利である。

支持体自体は弁ハウジングの、弁体とは反対側の支持肩部に支持されていることができる。

本発明のその他の目的、特徴、利点及び使用可能性については、以下において図面を参照しながら詳説する。

図面に示された、導入潤滑装置用のグリスのような潤滑剤を調量する導入分配器は、分配器ハウジング１４を有しており、この分配器ハウジング１４はその長さにわたって延在する貫通通路１３を備えている。弁ハウジング１４の下端部には、潤滑剤入口６を備えた下側の閉鎖体１６がねじ込まれている。潤滑剤入口６は、軸方向の入口通路６′に開口しており、この入口通路６′は、貫通通路１３内に軸方向摺動可能に受容されている弁ピストン１に通じており、この弁ピストン１は、潤滑剤入口６とは反対の側において貫通通路１３内に同軸的に配置されていて、かつ第１の戻しばね７を支持している。この第１の戻しばね７は弁ピストン１とは反対側に位置する端部で、中空円筒形の支持体１２に支持されており、この支持体１２はねじ山付結合部１７及び支持肩部２２を用いて、貫通通路１３における規定されたポジションにおいて軸方向で固定されている。

図１において弁ピストン１は、潤滑サイクルの始めにおける出発位置を占めており、この出発位置に、弁ピストン１はその都度行われる潤滑サイクルの終了後に、かつ場合によってはそれに続く潤滑休止時に、達する。弁ピストン１は、図示の実施例では、斜めに延びる孔２を有しており、この孔２は一方では、軸方向に延びる孔区分を介して、貫通通路１３において弁ピストン１の前に形成された分配室３と接続されていて、かつ他方では、半径方向に延びる孔区分を介して、弁ハウジング１４において半径方向に接続する貫通孔８と接続されており、この貫通孔８は、貫通通路１３に対して平行に長手方向に延びている接続通路５に開口している。

接続通路５は、上端部、つまり弁ピストン１とは反対側の端部で、調量室４に通じており、この調量室４は貫通通路１３の内部において弁ピストン１に対して、外周部シール部材１７を備えた分配ピストン９によって区切られている。分配ピストン９は弁ピストン１に向かって第２の戻しばね１０を介して、支持体１２の、弁ピストン１とは反対の側において支持されている。

分配ピストン９は、図１に示された出発位置において調整ピン区分１８で、視覚的な機能表示のための側部が開放した上側の閉鎖体１９内に進入している。弁ピストン１に向かって分配ピストン９は延長部２０を有しており、この延長部２０は、潤滑サイクルの終了前に、弁ピストン１をその出発位置に向かって、まず初めに中間位置に戻し移動させるために働く。これについては後で詳しく説明する。弁ハウジング１４は少なくとも１つの潤滑剤出口１１を有しており、この潤滑剤出口１１は図１に示された弁ピストン１の出発位置では、場合によっては該弁ピストン１の分配ピストン側の端面の直前に位置している。閉鎖ねじ２１を備えた潤滑剤貫通孔１１′は、例えば分配エレメントに潤滑剤を充てんするために働く。

本発明による分配エレメントの作用形式は以下の通りである：
図に示された潤滑段階において、分配エレメントの潤滑剤入口６における圧力は、残留圧にまで放圧されている。両方の戻しばね７，１０は、それぞれ所望の相応に設計された予負荷力に弛緩されている。分配室３は、潤滑剤貫通孔１１′を介しての第１の充てん後に、先行する潤滑サイクルによって潤滑剤を満たされている。斜めに延びる孔２はなお分配室３を、接続通路５を介して調量室４に接続している。

圧力形成兼潤滑段階の開始時に、例えば中央潤滑ポンプは、主管路及び潤滑剤入口６，６′における潤滑剤圧を作業圧にまで高める。弁ピストン１は作業圧によって第１の戻しばね７の作用に抗して前進させられ、この前進運動は、弁ピストン１が弁ハウジング１４における貫通孔８を、接続通路５を介して調量室４に向かって開放するまで続く。潤滑剤入口６から供給される潤滑剤は、接続通路５を通して調量室４に達する。分配ピストン９は、調量室４において生じている潤滑剤圧によって負荷され、第２の戻しばね１０の作用に抗して操作される。この際同時に、場合によっては設けられている調整ピン区分１８もまた引き込まれる。分配ピストン９の片側において調量室４が充てんされる間、分配ピストン９は他方の側において第２の戻しばね１０の作用に抗して、調量された潤滑剤量を分配室３から、潤滑剤圧下で、開放した潤滑剤出口１１に押し退ける。潤滑剤出口１１には、潤滑箇所管路（図示せず）が接続されている。潤滑剤ポンプの液体作業圧は、潤滑段階において例えば２５０バールまでの所定の最小値を有している。

潤滑段階の終了時に分配ピストン９は、調量すべき潤滑剤量を分配室３から潤滑剤出口１１（もしくは１１′）に向かって押し退け、場合によっては設けられている分配ピストン９の延長部２０は、圧力バランスポイントの到達時に弁ピストン１を中間ポジションに移動させ、この中間ポジションにおいて、接続通路５に通じる貫通孔８は弁ピストン１の後方区分によって遮断されている。潤滑剤ポンプの放圧弁が操作されるまで、弁エレメントはこのポジションに留まる。

分配エレメントが切換え制御できるようにするために、各潤滑動作の終了後に次いで行われる放圧段階において、潤滑剤ポンプと分配エレメントの潤滑剤入口６との間における潤滑剤管路が放圧される。第１の戻しばね７が相応に設計されていると、汎用の分配器に比べて、（汎用の分配エレメントでは４５バールであるのに）例えば９０バールの所望の残留圧への小さな圧力降下で十分である。第１の戻しばね７はこの場合弁ピストン１を、まず初めに占められた中間位置から（下方に向かって）、図１に示された終端位置（これは後続の潤滑サイクルのための開始位置である）にまで、移動させる。いまや調量室４は接続通路５と、再び開放された貫通孔８と孔２とを介して、分配室３に接続されている。

そして第２の戻しばね１０は、調量室４における潤滑剤を、前記接続路を介して分配室３に移動させ、そしてこの分配室３を満たすことができる。分配ピストン９が第２の戻しばね１０の作用に基づいて、図１に示された上方の終端位置に達すると、分配器は全体としてこの循環サイクルにおいてその出発位置へと戻されており、新たな循環サイクルを開始することができる。第１の戻しばね７とは無関係に第２の戻しばね１０を設計することは、所望の低い最小の作業圧を保証する。

図２及び図２Ａに示された本発明による分配エレメントの実施例は、その基本的な機能において、図１〜図１Ｂ_２に示された分配エレメントと異なっていない。しかしながら図２及び図２Ａに示された分配エレメントは構造的に下記の点において幾分異なっている。すなわちこの分配エレメントでは、支持体１２が、２つの戻しばね７，１０に対して同軸的な長く延びたスリーブ体として形成されており、このスリーブ体内に第１の戻しばね７の上側区分が受容されている。この場合第１の戻しばね７は、支持体１２の上端部に設けられた、つまり支持体１２の、弁体１とは反対側の端部に設けられた、半径方向内側に張り出した縁曲げ部２４に支持されている。これに対して第２の戻しばね１０はスリーブ状の支持体１２を、弁体１に向けられた端部で取り囲んでいて、支持体１２の、半径方向外側に向かって張り出した基部フランジ２３に支持されている。このように構成されていることによって、両方の戻しばね７，１０は、分配エレメントの長さが同じであるにもかかわらず、相応なばね特性を備えた比較的大きな長さを有することができる。

導入分配器として形成された弁エレメントの１実施例を、長手方向中心平面で断面して示す図である。 図１に示された分配ピストンを示す側面図である。 図１に示された支持体を示す側面図である。 図１に示された支持体を示す平面図である。 本発明による分配エレメントの別の実施例を、長手方向中心平面で断面して示す図である。 図２のＩＩＡで示された領域を拡大して示す図である。

符号の説明

１ 弁ピストン、 ２ 孔、 ３ 分配室、 ４ 調量室、 ５ 接続通路、 ６ 潤滑剤入口、 ６′ 入口通路、 ７ 第１の戻しばね、 ８ 貫通孔、 ９ 分配ピストン、 １０ 第２の戻しばね、 １１ 潤滑剤出口、 １１′ 潤滑剤貫通孔、 １２ 支持体、 １３ 貫通通路、 １４ 分配器ハウジング、 １５ ねじ山付結合部、 １６ 下側の閉鎖体、 １７ 外周部シール部材、 １８ 調整ピン区分、 １９ 上側の閉鎖体、 ２０ 延長部、 ２１ 閉鎖ねじ、 ２２ 支持肩部、 ２３ 基部フランジ、 ２４ 縁曲げ部

Claims (9)

1. 潤滑装置用の潤滑剤を調量する分配エレメント、特に導入分配器であって、
   孔（２）を有する弁ピストン（１）が設けられていて、この弁ピストン（１）が、該弁ピストン（１）における孔（２）が接続通路（５）を介した分配室（３）と調量室（４）との間における接続を開放する出発位置から、潤滑剤入口（６）における潤滑剤の圧力下で、第１の戻しばね（７）の作用に抗して調量位置まで移動可能であり、該調量位置においては弁ピストン（１）が、潤滑剤入口（６）から接続通路（５）にひいては調量室（４）に通じる貫通孔（８）を開放するようになっており、
   分配ピストン（９）が設けられていて、この分配ピストン（９）が、調量室（４）に流入する潤滑剤の作用下で第２の戻しばね（１０）の作用に抗して出発位置から移動可能であり、これによって弁ピストン（１）と分配ピストン（９）との間の分配室（３）における潤滑剤量が、潤滑剤出口（１１）に押し退けられるようになっており、
   さらに潤滑剤入口（６）における放圧時に弁ピストン（１）が、第１の戻しばね（７）によってその出発位置に、分配ピストン（９）が第２の戻しばね（１０）によってその出発位置に戻り移動可能であることを特徴とする、潤滑装置用の分配エレメント。
2. 第１の戻しばね（７）と第２の戻しばね（１０）との間に、両戻しばね（７，１０）を支持するためのほぼ中空円筒形の支持体（１２）が配置されている、請求項１記載の分配エレメント。
3. 弁ピストン（１）、分配ピストン（９）、支持体（１２）及び両戻しばね（７，１０）が、弁ハウジング（１４）の共通の貫通通路（１３）内に、軸方向において互いに整合されて配置されている、請求項１又は２記載の分配エレメント。
4. 第２の戻しばね（１０）がコイルばねとして分配ピストン（９）を取り囲んでいる、請求項１から３までのいずれか１項記載の分配エレメント。
5. コイルばねとして形成された第２の戻しばね（１０）が、弁ピストン（１）に向けられた端部で、同様にコイルばねとして形成された第１の戻しばね（７）を取り囲んでいる、請求項１から４までのいずれか１項記載の分配エレメント。
6. コイルばねとして形成された第１の戻しばね（７）の、分配ピストン（９）に向けられた端部が、スリーブ状の支持体（１２）に受容されていて、該支持体（１２）が、コイルばねとして形成された第２の戻しばね（１０）によって取り囲まれている、請求項１から５までのいずれか１項記載の分配エレメント。
7. 第２の戻しばね（１０）が、支持体（１２）の基部フランジ（２３）に支持されている、請求項６記載の分配エレメント。
8. 支持体（１２）が、弁ハウジング（１４）において弁ピストン（１）とは反対の側に設けられた支持肩部（２２）に支持されている、請求項１から３までのいずれか１項記載の分配エレメント。
9. 潤滑剤出口（１１）への分配室（３）における潤滑剤量の押し退け時に、弁ピストン（１）が、圧力バランスポイントが得られるまで中間位置に移動可能であり、該中間位置においては弁ピストン（１）が、潤滑剤入口（６）から接続通路（５）にひいては調量室（４）に通じる貫通孔（８）を遮断する、請求項１記載の分配エレメント。

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