JP4250318B2 - 使い捨て吸収性物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は乳幼児用、大人用あるいは失禁用などの使い捨て吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の失禁用などの吸収性物品は、透液性表面シートと、不透液性裏面シートおよびこの透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に配設された吸収体とにて吸収性物品本体を構成し、この吸収性物品本体が股間部分に密着されるように、例えば、吸収性物品本体の吸収体の上に、この吸収体より表面積が小さい吸収体を重ね合わせ、股間部分に対応する部分の吸収体の厚みを厚くしたものが知られている。
【0003】
また、例えば特開2000−24028号公報に記載されているように、吸収性物品本体の不透液性裏面シートと吸収体との間にパッドを配設するとともに幅方向に収縮する弾性体を設け、吸収体の断面が股間に密着するように、中央部が透液性表面シート側に向って膨出するようにした構成の使い捨て吸収性物品が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の吸収体の上に表面積の小さい吸収体を重ね合わせた使い捨て吸収性物品では、吸収体が重ね合された部分が厚くなって股間との密着性が向上するが、吸収体の厚みが増すため、装着者に違和感が生じ、また、吸収体の使用量が多くなり、コストアップとなる問題を有している。
【0005】
また、特開2000−24028号公報に記載されているように、不透液性裏面シートと吸収体との間にパッドを介在させるとともに幅方向に配設した弾性体により吸収体の中央部が膨出させた構成の吸収性物品は、不透液性裏面シートと吸収体との間に配設するパッドを硬くし弾性体の収縮引っ張り弾性力を強くすると、吸収体は中央部が膨出する断面略凸状になり易いが、吸収性物品本体が硬くなり、装着感が悪くなり、また、不透液性裏面シートと吸収体との間に配設するパッドを柔らかくすると、吸収体と股間との密着性が低くなり、また、パッドを使用するためコストアップとなる問題を有している。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、吸収体の中央部が断面略凸状に膨出し、股間に確実に密着して装着されるようにして尿漏れを防止でき、装着の違和感がなく、装着感が良好で安価に得られる使い捨て吸収性物品を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の使い捨て吸収性物品は、透液性表面シートと、不透液性裏面シートおよびこの透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に配設された吸収体とを有し、前記吸収体の外側に位置してフラップ部を形成した吸収性物品本体を備え、前記吸収性物品本体は長手方向に沿って前側区域、中央区域及び後側区域とし、この前側区域と中央区域との境界部に対応して前記吸収体に幅方向の第1切り込み部を形成するとともに中央区域と後側区域との境界部に対応して前記吸収体に幅方向の第2切り込み部を形成し、前記吸収体に形成した第1及び第2の切り込み部の幅方向の両端部はこの吸収体の両側縁部より内側に位置し、前記吸収体には第1の切り込み部の両端部から吸収性物品本体の前側区域に向って長手方向に条溝を形成するとともに第2の切り込み部の両端部から吸収性物品本体の後側区域に向って長手方向に条溝を形成し、前記吸収性物品本体の中央区域に位置しかつ前記吸収体の下面側と不透液性裏面シートの上面側との間に幅方向に沿って弾性体を配設し、この弾性体は、少なくとも吸収体の下面側と接着されているものである。
【0008】
そして、吸収性物品本体の吸収体には、吸収性物品本体の前側区域と中央区域との境界部に対応して幅方向の第1切り込み部と、中央区域と後側区域との境界部に対応して幅方向の第2切り込み部を形成し、吸収体の下面側と不透液性裏面シートの上面側との間に幅方向に沿って弾性体を配設したため、吸収体の中央部が断面凸状に膨出し、吸収性物品本体の厚みを厚くすることなく、装着状態で股間に密着して尿の漏れを確実に防止でき、また、吸収体は、第1及び第2の切り込み部により、前側区域と後側区域においては、膨出した中央区域の影響を受けることなく平面状に保持され、吸収性物品本体の全体が凸状に反り返ることがなく、腹側から股間部に沿って背側まで肌に密着され、装着違和感が生じない。
【0009】
また、吸収性物品本体の吸収体に流入した尿などが第1及び第2の切り込み部に流れ込んだとき、吸収体の第1及び第2の切り込み部の両端部は吸収体の両側縁部より内側に位置しているので、第1及び第2の切り込み部に沿って吸収体の両側縁部から流れて漏れることが確実に防止される。
【0010】
さらに、吸収性物品本体の吸収体に流入した尿などが第1及び第2の切り込み部に流れ込んだとき、吸収体の第1及び第2の切り込み部の両端部は吸収体の両側縁部より内側に位置しているので、第1及び第2の切り込み部に沿って吸収体の両側縁部から流れて漏れること防止できるとともに、多量の尿などが切り込み部に流れ込んだときには前側区域と後側区域に向って形成した長手方向に条溝に沿って尿などの拡散が円滑に行われ、確実に幅方向への尿などの漏れを防止できる。
【0011】
また、弾性体が吸収体の下面と接着することにより、弾性体によって吸収体が型崩れし難く、弾性体が抜け外れ難くなる。
【0012】
請求項2記載の発明の使い捨て吸収性物品は、透液性表面シートと、不透液性裏面シートおよびこの透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に配設された吸収体とを有し、前記吸収体の外側に位置してフラップ部を形成した吸収性物品本体を備え、前記吸収性物品本体は長手方向に沿って前側区域、中央区域及び後側区域とし、この前側区域と中央区域との境界部に対応して前記吸収体に幅方向の第1切り込み部を形成するとともに中央区域と後側区域との境界部に対応して前記吸収体に幅方向の第2切り込み部を形成し、前記吸収体に形成した第1及び第2の切り込み部の幅方向の両端部はこの吸収体の両側縁部より内側に位置し、前記吸収体には第1の切り込み部の両端部から吸収性物品本体の前側区域に向って長手方向に条溝を形成するとともに第2の切り込み部の両端部から吸収性物品本体の後側区域に向って長手方向に条溝を形成し、前記吸収性物品本体の中央区域に位置しかつ前記吸収体の下面側と不透液性裏面シートの上面側との間に幅方向に沿って弾性体を配設し、この弾性体は、少なくとも不透液性裏面シートの上面側と接着されているものである。
【0013】
そして、弾性体が不透液性裏面シートの上面側と接着することにより、弾性体が不透液 性裏面シートに強固に固着でき、また、吸収体の中央部は凸状に膨出した凸部が形成され易くなる。
【0014】
請求項3記載の発明の使い捨て吸収性物品は、請求項1または2記載の使い捨て吸収性物品において、吸収性物品本体の中央区域に位置して吸収体の下面側と不透液性裏面シートの上面側との間に幅方向に沿って配設した弾性体は複数本を前後方向に間隔を置いて並設し、この弾性体の両端部は前記吸収体に形成した第1及び第2の切り込み部の両側端部より外側に位置させたものである。
【0015】
そして、吸収性物品本体の吸収体は、前後に間隔を置いて配設した複数本の弾性体の両端部は吸収体の第1及び第2の切り込み部の側端部より外側に位置しているため、確実に中央部が凸状に膨出されて突出し、装着位置に保持されて尿漏れが防止される。
【0016】
請求項4記載の発明の使い捨て吸収性物品は、請求項1ないし3のいずれかに記載の使い捨て吸収性物品において、吸収体は中央区域に位置して少なくともこの吸収体の下面側に1本ないし複数本の条溝をこの吸収体の長手方向に沿って形成したものである。
【0017】
そして、尿などは吸収体の中央区域に位置して少なくともこの吸収体の下面側に形成した1本ないし複数本の条溝に沿って吸収体の長手方向に拡散されて尿漏れが防止され、さらに、吸収体は条溝により断面凸条形状に良好に膨出され、股間部の密着性を向上できる。
【0018】
請求項5記載の発明の使い捨て吸収性物品は、請求項1ないし4のいずれかに記載の使い捨て吸収性物品において、フラップ部は、吸収体の外側に位置した吸収性物品本体の両側部に形成されている第1フラップ部とこの吸収性物品本体の両側部の上面側に長手方向に沿って形成された第2フラップ部とから形成され、前記第2フラップ部の外側の自由縁部には長手方向に沿って弾性体を配設し、この弾性体の長手方向の両端部は前記吸収性物品本体の前側区域と中央区域との境界部及び中央区域と後側区域との境界部より長手方向の外側に位置させたものである。
【0019】
そして、第2フラップ部の内側の自由縁部には長手方向に沿って弾性体を配設し、この弾性体の長手方向の両端部は吸収性物品本体の前側区域と中央区域との境界部及び中央区域と後側区域との境界部より長手方向の外側に位置させたため、弾性体の収縮性と吸収体の第1及び第2の切り込み部により吸収性物品本体の前側区域と後側区域が上方に傾き、吸収性物品本体が股間に合致する形状となり、装着感が良好で、尿などの横漏れが防止される。
【0020】
請求項6記載の発明の使い捨て吸収性物品は、請求項1ないし5のいずれかに記載の使い捨て吸収性物品において、透液性表面シートと吸収体との間に拡散シートを配設し、この拡散シートの幅方向の両側縁は前記吸収体の幅方向両側縁より内側に位置するとともに長手方向の両端部は吸収性物品本体の前側区域と中央区域との境界部及び中央区域と後側区域との境界部より内側に位置させたものである。
【0021】
そして、透液性表面シートと吸収体との間に、幅方向の両側縁は吸収体の幅方向両側縁より内側に位置する拡散シートを配設したため、尿などが拡散シートによって迅速に拡散し、幅方向に尿などが漏れることがなく、拡散シートは長手方向の両端部が吸収性物品本体の前側区域と中央区域との境界部及び中央区域と後側区域との境界部より内側に位置するため、拡散シートは吸収体の第1及び第2の切り込み部にかかることなく中央区域にのみ存在するため、吸収体は拡散シートに妨げられることなく中央部が確実に膨出する凸状形状に形成される。
【0022】
請求項7記載の発明の使い捨て吸収性物品は、請求項1ないし6のいずれかに記載の使い捨て吸収性物品において、吸収性物品本体の不透液性裏面シートの下面側に装着ずれ防止接合テープを設け、この装着ずれ防止接合テープは、吸収体の第1切り込み部と第2切り込み部とよりそれぞれ前記吸収性物品本体の長手方向外側位置でかつこの第1及び第2の切り込み部の両端部より幅方向外側位置に設けたものである。
【0023】
そして、吸収体が凸状形状に膨出する第1及び第2の切り込み部とこの第1及び第2の切り込み部の両端を結ぶ線で囲まれる部分より外側に装着ずれ防止接合テープを設けたので、吸収性物品本体を確実に下着またはおむつに固定することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の使い捨て吸収性物品の前提となる構成を図1ないし図5に基いて説明する。
【0025】
図1ないし図4において、1は吸収性物品本体で、この吸収性物品本体1は、液透過性の透液性表面シート2と、液不透過性の不透液性裏面シート3と、この透液性表面シート2と不透液性裏面シート3との間に配設された液吸収性を有する吸収体4とを有し、この吸収性物品本体1は、展開状態で長手方向の中央部を中心として略線対称に形成するとともに、幅方向の中央部を中心として線対称の左右対称に形成されて略細長矩形状となっている。
【0026】
また、前記吸収体4は、長手方向の中央部を中心として略線対称に形成するとともに、幅方向の中央部を中心として線対称の形状で細長矩形形状に形成されている。
【0027】
そして、前記透液性表面シート2は、尿などの排泄液を前記吸収体4へ透過できるように液透過性を有し、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム、合成繊維などにて吸収性物品本体1の全表面を覆う形状に成形されている。
【0028】
また、前記不透液性裏面シート3は、上面周縁部が前記透液性表面シート2の下面周辺部に接着剤などで接合されている。この不透液性裏面シート3は、尿などの排泄液が透過できない液不透過性を有し、例えばポリエチレン樹脂のようなポリオレフィンなどの合成樹脂フィルムにて成形されている。
【0029】
また、前記吸収体4は、前記透液性表面シート2の下面中央部と前記不透液性裏面シート3の上面中央部との間に扁平状で、吸収性物品本体1の少なくとも長手方向中央域を含む位置に配設し、この吸収体4は、尿などの排泄液を吸収できる、例えばパルプを主材料として一部に高分子吸収体などの物質を含んだ材料にて形成されている。
【0030】
そして、前記透液性表面シート2と前記不透液性裏面シート3との前記吸収体4の幅方向における両側縁の外側に位置する部分は接着剤などにて接合されて前記吸収体4の両外側縁から延出するフラップ部5が前記吸収性物品本体1の長手方向に沿ってそれぞれ形成されている。
【0031】
また、前記吸収性物品本体は長手方向に沿って前側区域6、中央区域7及び後側区域8とし、前記中央区域7が長手方向に後側区域8より長く、前記後側区域8は前側区域6より長手方向に長く形成されている。
【0032】
さらに、この前側区域6と中央区域7との境界部10に対応して前記吸収体に幅方向の第1切り込み部11が上下面に貫通して溝状に形成され、中央区域7と後側区域8との境界部12に対応して前記吸収体4に幅方向の第2切り込み部13が上下面に貫通して溝状に形成されている。この吸収体4に形成した第1及び第2の切り込み部11,13の幅方向の両端部はこの吸収体4の両側縁部より内側に位置している。
【0033】
また、前記吸収性物品本体1の中央区域7に位置し、かつ前記吸収体4の下面側と不透液性裏面シート3の上面側との間に幅方向に沿って紐状または帯状の弾性体14が配設され、この各弾性体14の両端部は前記吸収体4に形成した第1及び第2の切り込み部11,13の側端部より外側に位置されている。この弾性体14は伸張した状態で図2に示すように、吸収体4の下面側と不透液性裏面シート3の上面側とに接着剤15にて接着されている。
【0034】
さらに、図5に示すように、吸収性物品本体1の不透液性裏面シート3の下面側に装着ずれ防止接合テープ16が設けられている。この装着ずれ防止接合テープ16は、前記吸収体4の第1切り込み部11及び第2切り込み部13よりそれぞれ前記吸収性物品本体1の長手方向の外側位置でかつこの第1及び第2の切り込み部11,13の両端部より幅方向の外側位置に設けられている。すなわち、この装着ずれ防止接合テープ16は、前記吸収体4の第1切り込み部11及び第2切り込み部13よりそれぞれ前記吸収性物品本体1の長手方向の内側位置でかつこの第1及び第2の切り込み部11,13の両端部より幅方向の内側位置の除外区域17を除いた区域、例えば前側区域6に、または、中央区域7の側部に、或いは前側区域6と中央区域7の側部とに、または、後側区域9に、さらには、中央区域7の両側部など前記除外区域17を除いた適宜の位置に設ける。
【0035】
次に、上記前提となる構成の作用について説明する。
【0036】
吸収性物品本体1の吸収体4には、吸収性物品本体1の前側区域6と中央区域7との境界部10に対応して幅方向の第1切り込み部11と、中央区域7と後側区域8との境界部12に対応して幅方向の第2切り込み部13を形成し、さらに、吸収体4の下面側と不透液性裏面シート3の上面側との間に幅方向に沿って弾性体14を配設したため、この弾性体14の収縮力で吸収体4の中央部が図4に示すように断面凸円弧の凸状形状に膨出した凸部18が形成される。
【0037】
したがって、吸収性物品本体1の厚みを厚くすることなく、吸収性物品本体1の装着状態で股間に密着して尿の漏れを確実にでき、また、吸収体4は、第1及び第2の切り込み部11,13により、前側区域6と後側区域8においては、膨出した中央区域7の凸部18の影響を受けることなく平面状に保持され、吸収性物品本体1の全体が凸状に反り返ることがなく、腹側から股間部に沿って背側まで肌に全面的に密着され、装着違和感が生じない。
【0038】
また、吸収性物品本体1の吸収体4に流入した尿などの排泄液が第1または第2の切り込み部11,13に流れ込んだとき、吸収体4の第1及び第2の切り込み部11,13の両端部は吸収体の両側縁部より内側に位置しているので、第1及び第2の切り込み部11,13に沿って吸収体4から流れて吸収体4の両側縁から漏れることがない。
【0039】
さらに、吸収体4が凸状形状に膨出する第1及び第2の切り込み部11,13とこの第1及び第2の切り込み部11,13の両側端を結ぶ線で囲まれる除外区域17を除いた区域に装着ずれ防止接合テープ16を設けたので、吸収体4の凸部18に影響なく吸収性物品本体1を確実に下着またはおむつに固定することができる。
【0040】
次に他の本発明の前提となる構成を図6に基いて説明する。
【0041】
この前提となる構成は、図1ないし図4に示す前提となる構成において、吸収性物品本体1の中央区域7に位置して吸収体4の下面側と不透液性裏面シート3の上面側との間に幅方向に沿って配設した弾性体14を、複数本を前後方向に間隔を置いて並設した構成で、この各弾性体14の両端部は前記吸収体4に形成した第1及び第2の切り込み部11,13の側端部より外側に位置されている。そして、他の構成は前記前提となる構成と同一である。
【0042】
そして、この前提となる構成の作用を説明すると、吸収性物品本体1の吸収体4は、前後に間隔を置いて配設した複数本の弾性体14の両端部は吸収体4の第1及び第2の切り込み部11,13の側端部より外側に位置しているため、確実に中央部が凸状に膨出された凸部18が突出形成され、装着位置に密着保持されて尿などの排泄液の漏れを防止できる。
【0043】
次に他の本発明の前提となる形態を図7に基づいて説明する。
【0044】
この前提となる形態では、前記本発明の前提となる形態において、吸収体4は中央区域7に位置してこの吸収体4の上下面に貫通した1本ないし平行の複数本の条溝20をこの吸収体4の長手方向に沿って形成した構成で他の構成は前記各前提となる形態と同一である。
【0045】
次に本発明の他の前提となる形態の作用を説明する。
【0046】
吸収体4の中央区域に位置してこの吸収体4の上下面に貫通形成した1本ないし複数本の条溝20に沿って尿などの排泄液は流れ、排泄液は条溝20に沿って吸収体4の長手方向に拡散されて排泄液の漏れが防止される。さらに、吸収体4は条溝20によって断面凸条形状に確実に膨出された凸部18により装着時の股間部の密着性を良好にできる。
【0047】
さらに、他の本発明の前提となる形態を図8及び図9に基いて説明する。
【0048】
前記図7に示す前提となる形態では、吸収体4に形成した1本ないし平行の複数本の条溝20はこの吸収体4の上下面に貫通して形成した構成としたが、この前提となる形態では、吸収体4に形成したは1本ないし平行の複数本の条溝20は図8及び図9に示すように、吸収体4には中央区域7に位置してこの吸収体4の下面に1本ないし平行の複数本の凹溝状に条溝21をこの吸収体4の長手方向に沿って形成した構成で、他の構成は前記各前提となる形態と同一である。
【0049】
この前提となる形態でも、吸収体4の中央区域に位置してこの吸収体4の下面に形成した1本ないし複数本の凹溝状の条溝21に沿って尿などの排泄液は流れ、吸収体4の長手方向に拡散されて排泄液の漏れが防止される。さらに、吸収体4は条溝21によって断面凸条形状に確実に膨出された凸部18により装着時の股間部の密着性を良好にできる。
【0050】
次に本発明の前提となる使い捨て吸収性物品の他の構成を図10及び図11に基いて説明する。
【0051】
前記各使い捨て吸収性物品の形態において、吸収性物品本体1に形成したフラップ部は、この吸収性物品本体1の吸収体4の外側に位置して両側縁に形成した第1のフラップ部5と、この吸収性物品本体1の両側縁部の上面側に形成された第2フラップ部22とを有し、前記第2フラップ部22の外側の自由縁部23の内側面には長手方向に沿って弾性体24を伸張した状態で接着して配設し、この弾性体24の長手方向の両端部は前記吸収性物品本体1の前側区域6と中央区域7との境界部10及び中央区域7と後側区域8との境界部12より長手方向の外側に位置させた構成で、他の構成は前記各前提となる使い捨て吸収性物品と同一構成である。
【0052】
この前提となる使い捨て吸収性物品の作用を説明する。
【0053】
この前提となる使い捨て吸収性物品では、吸収性物品本体1に形成した第2フラップ部22の外側の自由縁部23には長手方向に沿って弾性体24を配設し、この弾性体24の長手方向の両端部は吸収性物品本体1の前側区域6と中央区域7との境界部10及び中央区域7と後側区域8との境界部12より長手方向の外側に位置させたため、弾性体24の収縮性と吸収体4の第1及び第2の切り込み部11,12により吸収性物品本体1の前側区域6と後側区域8とが上方に傾き、吸収性物品本体1が股間に合致する形状となり、装着感が良好で、尿などの排泄液の横漏れを防止できる。
【0054】
また、他の前提となる使い捨て吸収性物品の構成を図12及び図13に基いて説明する。
【0055】
この前提となる構成では、前記各前提となる構成において、透液性表面シート2と吸収体4との間に織布または不織布などの拡散シート25を配設した構成で、この拡散シート25の幅方向の両側縁は前記吸収体4の幅方向両側縁より内側に位置するとともに長手方向の両端部は吸収性物品本体1の前側区域6と中央区域7との境界部10及び中央区域7と後側区域8との境界部12より内側に位置させている。そして、他の構成は前記各前提となる使い捨て吸収性物品と同一である。
【0056】
この前提となる構成では、透液性表面シート2と吸収体4との間に、幅方向の両側縁は吸収体4の幅方向両側縁より内側に位置する拡散シート25を配設したため、尿などの排泄液が拡散シート25によって迅速に拡散し、幅方向に尿などが漏れることがなく、拡散シート25は長手方向の両端部が吸収性物品本体1の前側区域6と中央区域7との境界部10及び中央区域7と後側区域8との境界部12より内側に位置するため、拡散シート25は吸収体4の第1及び第2の切り込み部11,13にかかることなく中央区域7にのみ存在するため、吸収体4は拡散シート25に妨げられることがなく、中央部が確実に膨出する凸状形状の凸部18が形成される。
【0057】
前記各前提となる使い捨て吸収性物品において、前記吸収体4の下面側と不透液性裏面シート3の上面側との間に幅方向に沿って配設した弾性体14は伸張した状態で図2に示すように、吸収体4の下面側と不透液性裏面シート3の上面側とに全体を接着剤15にて接着した構成とし、弾性体14によって吸収体4が型崩れし難く、また、弾性体14が抜け外れ難い構成としたが、例えば、図14に示すように、弾性体14の全体を伸張させたと状態で吸収体4の下面にのみ接着剤15で接着し、弾性体14と不透液性裏面シート3とは非接着とする構成とすることもできる。
【0058】
また、図15に示すように、弾性体14の全体を伸張させた状態で不透液性裏面シート3の上面にのみ接着剤15で接着し、弾性体14と吸収体4とは非接着とする構成とすることもできる。この構成では、弾性体14が不透液性裏面シート3に強固に固着でき、また、吸収体4の中央部は凸状に膨出した凸部18が形成され易くなる。
【0059】
さらに、図16に示すように、弾性体14の両端部のみを伸張させた状態で吸収体4の下面側と不透液性裏面シート3の上面側とに接着剤15にて接着した構成とすることもできる。この構成では、弾性体14の収縮力が作用し易く、吸収体4の中央部は凸状に膨出した凸部18が形成され易くなる。
【0060】
次に本発明の一実施の形態を示す使い捨て吸収性物品を図17に基いて説明する。
【0061】
この実施の形態は、前記各前提となる形態において、吸収体4の下面には第1切り込み部11の両端部から吸収性物品本体1の前側区域6に向かって、また、第2の切り込み部 13 の両端部から吸収性物品本体1の後側区域8に向ってそれぞれ長手方向に互いに交差するように傾斜して凹溝状の条溝27を形成したものである。他の構成は前記各前提となる形態と同一構成である。
【0062】
この実施の形態では、吸収性物品本体1の吸収体4に流入した尿などが第1及び第2の切り込み部11,13に流れ込んだとき、吸収体4の第1及び第2の切り込み部11,13の両端部は吸収体4の両側縁部より内側に位置しているので、第1及び第2の切り込み部11,13に沿って吸収体4の両側縁部から流れて漏れること防止できるとともに、多量の尿などが切り込み部11,13に流れ込んだときには前側区域6と後側区域8に向って形成した長手方向に条溝27に沿って尿などの拡散が円滑に行われ、確実に幅方向への尿などの漏れを防止できる。
【0063】
また、図17に示す実施の形態では、吸収体4の第1及び第2の切り込み部11,13のそれぞれ両端部から吸収性物品本体1の前側区域6と後側区域8に向って長手方向に互いに交差するように傾斜して凹溝状の条溝27を形成した構成としたが、図18に示す実施の形態では、吸収体4の第1及び第2の切り込み部11,13のそれぞれ両端部を結ぶように第1及び第2の切り込み部11,13の両端部から吸収性物品本体1の前側区域6と後側区域8に長手方向に向って凸弧状に凹溝状の条溝27を形成した構成とすることもできる。
【0064】
この実施の形態でも、第1及び第2の切り込み部11,13に沿って吸収体4の両側縁部から流れて漏れること防止できるとともに、多量の尿などが第1及び第2の切り込み部11,13に流れ込んだときには前側区域6と後側区域8に向って形成した長手方向に条溝27に沿って尿などの拡散が円滑に行われ、確実に幅方向への尿などの漏れを防止できる。
【0065】
さらに、他の実施の形態として図 19 に示すように、吸収体4の第1及び第2の切り込み部11,13のそれぞれ両端部から吸収性物品本体1の前側区域6と後側区域8に向って長手方向に沿って形成した条溝27は直線状とした構成とすることもできる。
【0066】
この実施の形態でも、第1及び第2の切り込み部11,13に沿って吸収体4の両側縁部から流れて漏れることを防止できるとともに、多量の尿などが切り込み部11,13に流れ込んだときには前側区域6と後側区域8に向って形成した長手方向に条溝27に沿って尿などの拡散が円滑に行われ、確実に幅方向への尿などの漏れを防止できる。
【0067】
【発明の効果】
請求項1記載の発明及び請求項2記載の発明によれば、吸収体の中央部が断面凸状に膨出し、吸収性物品本体の厚みを厚くすることなく、装着状態で股間部に密着して尿の漏れを確実にでき、また、吸収体は、第1及び第2の切り込み部により、前側区域域と後側区域においては、膨出した中央区域の影響を受けることなく平面状に保持され、吸収性物品本体の全体が凸状に反り返ることがなく、腹側から股間部に沿って背側の肌に密着され、装着違和感が生じない。
【0068】
また、吸収性物品本体の吸収体に形成した第1及び第2の切り込み部に尿などが流れ込んだとき、吸収体の両側縁から外方に流出することがなく、尿などの排泄液の漏れることを確実に防止できる。
【0069】
さらに、吸収性物品本体の吸収体に流入した尿などが第1及び第2の切り込み部に多量に流れ込んだときには前側区域と後側区域に向って形成した長手方向に条溝に沿って尿などの拡散が円滑に行われ、確実に幅方向への尿などの漏れを防止できる。
【0070】
さらに、請求項1記載の発明によれば、弾性体が吸収体の下面と接着することにより、弾性体によって吸収体が型崩れし難く、弾性体が抜け外れ難くなる。
【0071】
また、請求項2に係る発明によれば、弾性体が不透液性裏面シートの上面側と接着することにより、弾性体が不透液性裏面シートに強固に固着でき、また、吸収体の中央部は凸状に膨出した凸部が形成され易くなる。
【0072】
請求項3記載の発明によれば、吸収性物品本体の吸収体は確実に中央部が凸状に膨出されて突出し、装着位置に密着性良く保持されて尿などの排泄液の漏れを防止できる。
【0073】
請求項4記載の発明によれば、尿などの排泄液は条溝に沿って吸収体の長手方向に拡散されて尿漏れが防止され、さらに、吸収体は条溝により断面凸条形状に確実に膨出され、股間部の密着性を良好にできる。
【0074】
請求項5記載の発明によれば、弾性体の収縮性と吸収体の第1及び第2の切り込み部により吸収性物品本体の前側区域と後側区域が上方に傾き、吸収性物品本体が股間に合致する形状となり、装着感が良好で、尿などの横漏れが防止される。
【0075】
請求項6記載の発明によれば、尿などが拡散シートによって迅速に拡散し、幅方向に尿などが漏れることがなく、また、吸収体は拡散シートに妨げられることなく中央部が確実に膨出する凸状形状に形成される。
【0076】
請求項7記載の発明によれば、装着ずれ防止接合テープは吸収体が凸状形状に膨出する第1及び第2の切り込み部とこの第1及び第2の切り込み部の両端を結ぶ線で囲まれる部分より外側に設けたので、装着ずれ防止接合テープによって吸収性物品本体を確実に下着またはおむつに固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の前提となる使い捨て吸収性物品の平面図である。
【図2】 同上ii-ii線部の縦断正面図である。
【図3】 同上iii-iii線部の縦断正面図である。
【図4】 同上使い捨て吸収性物品の斜視図である。
【図5】 同上使い捨て吸収性物品の底面図である。
【図6】 本発明の他の前提となる使い捨て吸収性物品の平面図である。
【図7】 本発明の他の前提となる使い捨て吸収性物品の平面図である。
【図8】 本発明の他の前提となる使い捨て吸収性物品の平面図である。
【図9】 同上使い捨て吸収性物品のix-ix線部の縦断正面図である。
【図10】 本発明の他の前提となる使い捨て吸収性物品の平面図である。
【図11】 同上使い捨て吸収性物品の縦断正面図である。
【図12】 本発明の他の前提となる使い捨て吸収性物品の平面図である。
【図13】 同上使い捨て吸収性物品の縦断正面図である。
【図14】 本発明の他の前提となる使い捨て吸収性物品の縦断正面図である。
【図15】 本発明の他の前提となる使い捨て吸収性物品の縦断正面図である。
【図16】 本発明の他の前提となる使い捨て吸収性物品の縦断正面図である。
【図17】 本発明の使い捨て吸収性物品の一実施の形態を示す平面図である。
【図18】 本発明の使い捨て吸収性物品の他の実施の形態を示す平面図である。
【図19】 本発明の使い捨て吸収性物品の他の実施の形態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 吸収性物品本体
2 透液性表面シート
3 不透液性裏面シート
4 吸収体
5 フラップ部
6 前側区域
7 中央区域
8 後側区域
10,12 境界部
11,13 第1及び第2の切り込み部
14 弾性体
16 装着ずれ防止接合テープ
20,21 条溝
22 第2フラップ部
23 自由縁部
24 弾性体
25 拡散シート
27 条溝
Claims (7)
- 透液性表面シートと、不透液性裏面シートおよびこの透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に配設された吸収体とを有し、前記吸収体の外側に位置してフラップ部を形成した吸収性物品本体を備え、
前記吸収性物品本体は長手方向に沿って前側区域、中央区域及び後側区域とし、この前側区域と中央区域との境界部に対応して前記吸収体に幅方向の第1切り込み部を形成するとともに中央区域と後側区域との境界部に対応して前記吸収体に幅方向の第2切り込み部を形成し、
前記吸収体に形成した第1及び第2の切り込み部の幅方向の両端部はこの吸収体の両側縁部より内側に位置し、
前記吸収体には第1の切り込み部の両端部から吸収性物品本体の前側区域に向って長手方向に条溝を形成するとともに第2の切り込み部の両端部から吸収性物品本体の後側区域に向って長手方向に条溝を形成し、
前記吸収性物品本体の中央区域に位置しかつ前記吸収体の下面側と不透液性裏面シートの上面側との間に幅方向に沿って弾性体を配設し、
この弾性体は、少なくとも吸収体の下面側と接着されている
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。 - 透液性表面シートと、不透液性裏面シートおよびこの透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に配設された吸収体とを有し、前記吸収体の外側に位置してフラップ部を形成した吸収性物品本体を備え、
前記吸収性物品本体は長手方向に沿って前側区域、中央区域及び後側区域とし、この前側区域と中央区域との境界部に対応して前記吸収体に幅方向の第1切り込み部を形成するとともに中央区域と後側区域との境界部に対応して前記吸収体に幅方向の第2切り込み部を形成し、
前記吸収体に形成した第1及び第2の切り込み部の幅方向の両端部はこの吸収体の両側縁部より内側に位置し、
前記吸収体には第1の切り込み部の両端部から吸収性物品本体の前側区域に向って長手方向に条溝を形成するとともに第2の切り込み部の両端部から吸収性物品本体の後側区域に向って長手方向に条溝を形成し、
前記吸収性物品本体の中央区域に位置しかつ前記吸収体の下面側と不透液性裏面シートの上面側との間に幅方向に沿って弾性体を配設し、
この弾性体は、少なくとも不透液性裏面シートの上面側と接着されている
ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。 - 吸収性物品本体の中央区域に位置して吸収体の下面側と不透液性裏面シートの上面側との間に幅方向に沿って配設した弾性体は複数本を前後方向に間隔を置いて並設し、この弾性体の両端部は前記吸収体に形成した第1及び第2の切り込み部の両側端部より外側に位置させたことを特徴とする請求項1または2記載の使い捨て吸収性物品。
- 吸収体は中央区域に位置して少なくともこの吸収体の下面側に1本ないし複数本の条溝をこの吸収体の長手方向に沿って形成したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の使い捨て吸収性物品。
- フラップ部は、吸収体の外側に位置した吸収性物品本体の両側部に形成されている第1フラップ部とこの吸収性物品本体の両側部の上面側に長手方向に沿って形成された第2フラップ部とから形成され、
前記第2フラップ部の外側の自由縁部には長手方向に沿って弾性体を配設し、この弾性体の長手方向の両端部は前記吸収性物品本体の前側区域と中央区域との境界部及び中央区域と後側区域との境界部より長手方向の外側に位置させたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の使い捨て吸収性物品。 - 透液性表面シートと吸収体との間に拡散シートを配設し、
この拡散シートの幅方向の両側縁は前記吸収体の幅方向両側縁より内側に位置するとともに長手方向の両端部は吸収性物品本体の前側区域と中央区域との境界部及び中央区域と後側区域との境界部より内側に位置させたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の使い捨て吸収性物品。 - 吸収性物品本体の不透液性裏面シートの下面側に装着ずれ防止接合テープを設け、
この装着ずれ防止接合テープは、吸収体の第1切り込み部と第2切り込み部とよりそれぞれ前記吸収性物品本体の長手方向外側位置でかつこの第1及び第2の切り込み部の両端部より幅方向外側位置に設けたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の使い捨て吸収性物品。
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