JP4248778B2 - 永久磁石形電動機の回転子 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業用機器、事務用機器、家電用機器、車両用で使用される永久磁石形電動機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、永久磁石形電動機においては回転子内部に永久磁石を埋め込む、埋め込み磁石構造の回転子が用いられている。このような構造においては、電動機の固定子巻線に通電する電流と鎖交する回転子に埋め込まれた磁石によって得られる主磁束トルクと、固定子と回転子の位置関係による磁気抵抗の相違で得られるリラクタンストルクを効率よく利用しインバータ等の制御装置により通電制御されている。
【0003】
このような永久磁石形回転子の構造について図7で説明する。図7は回転子鉄心1の中心に軸孔4が設けられ、磁石収容孔2a、2bの凹形状の底部が軸孔4に面するように配置され、凹部の両端部が回転子鉄心1の外周まで伸びている。磁極は4極を形成しており磁石収容孔2a、2bの2層が平行に並べられ配置されている。この回転子鉄心1を軸方向に多数積層することにより回転子5を構成している。積層方法としては、例えば、図示していないが周知のオートクランプ方式により各回転子鉄心1に打ち出し突起凹凸部を形成し、これにより隣接する回転子鉄心1の凹凸部を軸方向にカシメ固定する。このように構成された回転子5の磁石収容孔2a、2bには隙間がないように永久磁石3a、3bが其々埋め込まれている。
【0004】
また、図7の回転子5は所定のエアーギャップを介し、固定子6に設けられたスロット9の三相に巻線された巻線7に通電する電流と、これと鎖交する回転子5の各極に埋め込まれた永久磁石3a、3bの磁束により主磁束トルクを得ている。また、固定子6の歯部8と回転子鉄心1との磁気抵抗の相違で得られるリラクタンストルクとを得ている。この主磁束トルクとリラクタンストルクを運転状況に応じて効率よく足し合わせてインバータ等の制御装置により通電制御されている。
【0005】
インバータ等の制御装置としては、スイッチング回路内のトランジスタを制御し固定子6の巻線7のU相、V相、W相の内の隣接する2相分の巻線7に120°づつ位相をずらして電流を通電させる周知の120°通電制御をしている。また、回転子5の回転位置に応じた電動機の駆動信号を得るために回転子の回転により固定子6の巻線7の各相に誘起される誘起電圧を検出できるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、このような永久磁石形電動機においては、制御回路の制御方式の関係から電動機に通電する通電区間として電気角で120°の区間となり、電動機が発生する各極の磁束は電気角で120°区間しか有効に利用されていないことになる。つまり、この場合各極に埋め込まれた永久磁石の電気角0°〜30°及び150°〜180°の区間は、非通電区間となっていることになる。従って、この非通電区間の永久磁石の磁束は電動機を駆動するためのトルクとしては有効に利用されていないことになる。
【0007】
また、永久磁石電動機の性能向上及び小型化に伴い回転子内部に埋め込まれる永久磁石においても安価なフェライトから高価な希土類等の高性能磁石を用いるようになってきている。これにより永久磁石電動機の性能向上及び小型化が達成できるものの製品コストが上がってしまっている。
【0008】
また、従来例に示した図7の永久磁石電動機においては、回転子内部の磁石収容孔2a及び2bに永久磁石3a及び3bが埋め込まれている2層構造の永久磁石電動機であるが、この場合、回転子外径側の外周層の永久磁石3aと回転子内径側の内周層の永久磁石3bの大きさ及び形状が異なっている。このことにより永久磁石を加工する際の、型及び加工治具が2種類必要となっている。また、永久磁石の発注及び在庫の管理における手間も2倍となっている。
【0009】
従って、図7のような構成の永久磁石形回転子においては、磁石収容孔に永久磁石を埋め込む層数が増えれば増えるほど永久磁石の型、加工治具及び発注、在庫の管理等が増えることとなる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
回転子鉄心の各極に複数層の凹形状の磁石収容孔を有し、この凹形状の磁石収容孔は凹形状の底部が回転子軸孔に面し、両側端部が回転子外周まで伸びており、この凹形状の磁石収容孔に永久磁石が埋め込まれた多層埋め込み形の永久磁石形回転子において、
前記凹形状の磁石収容孔の少なくとも最外周層に埋め込まれた永久磁石は、磁石収容孔より若干小さい大きさの永久磁石が磁石収容孔の内周側を沿うように隙間無く埋められており、前記回転子軸孔を中心に回転子外径から見てインバータ等の制御装置による通電区間の開角(例えば、120°通電の場合は、電気角で120°区間)となるように埋め込み、
前記凹形状の磁石収容孔の最外周層以外の各層の回転子外周部近傍には、磁石収容孔とは別の空隙、または回転子外周より切り欠いた切り欠き溝、または磁石より大きな磁石収容孔を施し、
前記凹形状の磁石収容孔に埋め込まれた永久磁石の形状が全ての層において同じ大きさの形状としている。
【0011】
これにより最外周層の磁石収容孔に埋め込まれた永久磁石の大きさと他の層に埋め込まれる永久磁石の大きさを同じにすることにより、永久磁石の型及び加工治具を共用化することができ型費及治具費を低減することができる。また、永久磁石の発注及び在庫の管理等も減らすことができる。
【0012】
また、少なくとも最外周層の凹形状の磁石収容孔に埋め込まれた永久磁石において、回転子軸孔を中心に回転子外径から見た有効磁極開角θは、磁極数P=2n(nは自然数)とした場合、θ=4π/3Pとし、インバータ等で制御する通電区間(例えば、120°通電の場合は、電気角で120°区間)とすることにより電動機の性能をほぼ維持しながら各層の永久磁石の使用量を減らすことができる。
【0013】
また、凹形状の磁石収容孔に埋め込まれた永久磁石の少なくとも最外周層以外の各層の回転子外周部近傍には、磁石収容孔とは別の空隙、または回転子外周より切り欠いた切り欠き溝、または磁石より大きな磁石収容孔とすることにより、永久磁石が埋め込まれた各層の回転子外周部付近の磁気短絡を防止することができ、インバータ等で制御する通電区間(120°通電の場合は、電気角で120°区間)において電動機の性能をほぼ維持しながら永久磁石の使用量を減らすことができる。
【0014】
また、前記回転子とともに、固定子の巻線が装着されるスロット数が3n(nは自然数)であり、磁極数がP=2n(nは自然数)である固定子において、特に固定子の歯部に磁束が集中するため、この固定子の歯部からの磁束の流出入により固定子の歯部と対向配置する回転子外周部付近における永久磁石の減磁が起こり易いため、回転子外周部近傍の磁石収容孔の両端部に空隙を設けることにより、永久磁石の減磁を防ぐことができる。尚、この場合、永久磁石形回転子の主磁束トルクを低下させないように、回転子の最外周層の永久磁石の大きさは、適宜決定される。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例について図面を用いて説明する。図1の回転子51は、回転子鉄心11の中心には軸孔41が設けられ、磁石収容孔21a、21bの凹形状の底部が、軸孔41に面するように1極あたり2層に形成されている。凹形状の両端部は、回転子鉄心11の外周まで伸びている。埋め込まれた永久磁石は隣り合う磁極が異極となるように着磁され、本実施例では4極が形成されている。
【0016】
回転子外周側の磁石収容孔21aには、磁石収容孔21aより若干小さい大きさの永久磁石31aが磁石収容孔21aの内周側を沿うように隙間無く埋められている。また、磁石収容孔21bには、磁石収容孔21bの回転子外周近傍の両端部まで達していない大きさの永久磁石31bが埋め込められている。これにより回転子51の軸孔41側に面した最内周層の磁石収容孔21bに埋め込められた永久磁石31bの両端部に空隙を有することになる。
【0017】
ここで、インバータ等による通電制御を図2のタイミングチャート図で説明する。図2のタイミングチャート図は、三相永久磁石形電動機の巻線のU相、V相、W相の内の隣接する2相分の巻線を任意の位相分ずらし電流を通電させ制御している。この場合、例えば周知の120°通電制御で説明すると区間(イ)においては、インバータ等の制御装置のスイッチング素子U+とV−が通電状態とり、三相永久磁石形電動機のU相からV相へと2相通電される。また区間(ロ)においては、インバータ等の制御装置のスイッチング素子U+とW−が通電状態とり、三相永久磁石形電動機のU相からW相へと2相通電される。また区間(ハ)以降も同様に三相永久磁石形電動機の三相巻線のうち2相通電される。このように電気角60°を1パターンの通電幅とし2相通電を繰り返し行い三相永久磁石形電動機を制御し運転している。従って、三相永久磁石電動機をインバータ等により120°通電する場合、通電幅は電気角で120°となる。
【0018】
また、従来例の図7に示した三相永久磁石電動機の回転子における磁束密度の分布図を図3に示す。横軸に電気角を示し、縦軸に磁束密度を示している。図3には、前述した三相永久磁石電動機の固定子の巻線に通電される通電区間に対応した部分、即ち、1極分の電気角として30°〜150°区間の120°に相当する部分を同時に示している。この電気角で120°区間においてインバータ等により三相永久磁石形電動機が通電制御されている。ここで図3の実線部分は従来例の図7に記載した永久磁石形回転子の磁束密度を表している。
【0019】
従って、図3よりわかる様に、通電区間120°の場合インバータ等の制御装置側においては、1極分の電気角で0°から30°及び150°から180°において永久磁石形回転子からの磁束量はほとんど有効的に利用されていないことがわかる。尚、図3の一点差線部分は、図1の実施形態における永久磁石形回転子の磁束密度であり、最外周層の有効磁極開角がインバータ等の制御装置の通電区間とし、最内周層には磁石収容孔の回転子外周近傍まで達していない永久磁石が埋め込まれた永久磁石形回転子による磁束密度を示している。これからわかる様に斜線部分で示した磁束密度が低下するがインバータ等の制御装置として最低限必要な通電区間の磁束密度を確保することにより電動機の性能をほぼ維持しながら永久磁石の使用量を低減することができる。
【0020】
図1の実施形態の永久磁石形回転子においては、インバータ等の制御装置における通電区間が電気角で120°である場合、これに対応した通電区間の磁束を有効に利用していることになり、図1のような4極の三相永久磁石形電動機の場合は、永久磁石形回転子の軸孔を中心とした最外周層の有効磁極開角θは、機械角で60°(電気角で120°)の範囲の永久磁石が有効に利用されることになる。逆を言えば、機械角で60°以外の永久磁石の磁束は有効に利用されていないことになる。
【0021】
従って、図1の4極に構成された永久磁石形回転子の1極2層に埋め込まれている永久磁石の回転子外周側に位置する最外周層の磁石収容孔21aの永久磁石31aは、主磁束トルクを得るために回転子軸孔41を中心として有効磁極開角を60°(機械角)とし磁石収容孔21aに隙間の無いように永久磁石31aが埋められている。また、回転子軸孔41に面した最内周層の磁石収容孔21bに埋め込まれた永久磁石31bは主磁束トルクをほぼ維持できる大きさを確保すればよいため磁石収容孔21bの端部まで永久磁石31bで埋め込む必要が無いため回転子外周に向かう両端部を小さくでき永久磁石31bの使用量を低減することができる。特に、近年の電動機の高性能化に伴い高性能磁石である希土類磁石等を使用する場合、この効果は非常に大きい。
【0022】
尚、回転子軸孔41に面した最内周層の磁石収容孔21bに埋め込まれた永久磁石31bは回転子外周に向かう両端部を小さくして永久磁石31bの使用量を低減することにより、磁石収容孔21bの回転子外周部近傍には空隙が生じるが、この空隙を回転子鉄心11で埋めてしまうと回転子外周近傍で短絡磁路が形成され磁束が洩れてしまい電動機の性能が低下してしまう。このため磁石収容孔21bと永久磁石31bの両端部の間の空隙は、そのまま空隙とすることにより磁束の洩れを防ぐことができる。
【0023】
また、この磁石収容孔21bに埋め込まれた永久磁石31bの両端部にできる空隙は、必ずしも空隙でなくても良い。空隙に樹脂等の非磁性材料を埋め込んでも良い。また、永久磁石31bを固定するために回転子鉄心11の磁石収容孔21bの内周側の一部を突出したり、磁石収容孔21bの内周側の鉄心の一部を塑性変形させ永久磁石31bを固定してもよい。
【0024】
このことから、磁石収容孔21bに埋め込まれた永久磁石31bの大きさは、永久磁石形電動機の性能に貢献する有効的な磁束を最低限確保できる大きさとし電動機の性能に影響しない程度に小さくすることができる。また、回転子の最外周層の磁石収容孔21aに埋め込まれる永久磁石31aの大きさと同じ形状にすることにより永久磁石の型及び治具が共用化でき費用を低減することができる。更に、回転子に埋め込まれる永久磁石の種類を減らすことができるため在庫の管理及び発注も共用化することができる。
【0025】
これにより、インバータ等の通電区間に対応した回転子の磁束を有効に利用し磁石収容孔21a、21bに埋め込まれた永久磁石31a、31bによる主磁束トルクをほぼ維持しながら、回転子鉄心11の最外周層の磁石収容孔21aの回転子外周部及び磁石収容孔21a、21bの各層の間に発生するリラクタンストルクとを効率よく足し合わせて通電制御することができ永久磁石の使用量を極力低減でき、尚且つ、回転子の各磁石収容孔に埋められる永久磁石を共用化することができるため、型及び治具の共用化ができ費用を低減することができる。更に、永久磁石の在庫管理及び発注の業務も容易にすることができる。
【0026】
また、図1の実施例では、三相4極の永久磁石形電動機について説明したが、少なくとも最外周層の凹形状の磁石収容孔21aに埋め込まれた永久磁石31aの回転子軸孔を中心とした有効磁極開角θは、回転子の極数をPとした場合、極数Pが2極、4極、6極、8極・・・・と変化した場合、有効磁極開角θは、120°、60°、40°、30°・・・・と変化することになる。これを次式で表すことができる。
P=2n(nは自然数)・・・・・(1)
θ=4π/3P ・・・・・(2)
【0027】
従って、永久磁石形回転子の極数が変化しても前記式(1)、(2)における全ての永久磁石形回転子において、インバータ等の通電区間に対応した回転子の磁束が得られる様な有効磁極開角θとすることにより主磁束トルクをほぼ維持することができ、主磁束トルクとリラクタンストルクを効率よく足し合わせ通電制御することができ永久磁石の使用量を極力低減でき、尚且つ、回転子の各磁石収容孔に埋められる永久磁石を共用化することができるため、型及び治具の共用化を可能にし、更に、永久磁石の在庫管理及び発注の業務も容易にすることができる。
【0028】
図1の別の実施の形態を説明する。図4は図1と同様の永久磁石形回転子である。回転子52の軸中心には軸孔42が設けられている。4極の永久磁石形回転子である。回転子52の回転子外周側の磁石収容孔22aへ永久磁石32aが隙間なく挿入されている。回転子52の最外周層の磁石収容孔22aには、磁石収容孔22aより若干小さい大きさの永久磁石32aが磁石収容孔22aの内側を沿うように埋め込まれている。
【0029】
また、回転子軸孔42に面した最外周層以外の層の磁石収容孔22bは、回転子52の回転子外周まで達していない磁石収容孔22bに永久磁石32bが埋め込まれている。この磁石収容孔22bの回転子外周に面した両端部には、連結部200aを隔てて回転子外周まで伸びた空隙部100を設けている。また、空隙部100を隔てて回転子外周部の連結部200bが設けられている。この場合の空隙は、図1で述べたように必ずしも空隙でなくてもよく、空隙に樹脂等の非磁性材料を埋め込んでも良い。
【0030】
また、連結部200a及び200bの幅は、回転子鉄心の磁束が飽和する領域である2.0(T)以上とし、尚且つ、回転子52の使用環境における耐遠心力によって決定される。好ましくは0.2mm〜1.0mm程度とすることにより良好な性能を得ることができる。
【0031】
このように図1と同様に、磁石収容孔22a、22bに埋め込まれた永久磁石32a、32bとし、磁石収容孔22bと回転子外周との間に空隙100を設けることによりインバータ等の通電区間に対応した回転子の主磁束トルクをほぼ維持しながら、主磁束トルクとリラクタンストルクを効率よく足し合わせ通電制御することができ永久磁石の使用量を極力低減でき、尚且つ、回転子の各磁石収容孔に埋められる永久磁石を共用化することができるため、型及び治具の共用化を可能にし、更に、永久磁石の在庫管理及び発注の業務も容易にすることができる。
【0032】
また、別の実施の形態を図5で説明する。図5と図4との相違点は、図4の回転子52の回転子外周部の連結部200bがないものである。回転子53の回転子外周部から溝を切り欠いた形状の4極永久磁石形回転子である。回転子53の回転子外周側の磁石収容孔23aへ永久磁石33aが隙間なく挿入されている。回転子外周側の磁石収容孔23aには、磁石収容孔23aより若干小さい大きさの永久磁石33aが磁石収容孔23aの内側を沿うように埋め込まれている。
【0033】
また、回転子軸孔43に面した最外周層以外の層の磁石収容孔23bは、回転子53の回転子外周まで達していない磁石収容孔23bに永久磁石33bが埋め込まれている。この磁石収容孔23bの回転子外周に面した両端部には、連結部201を隔てて回転子外周より溝を切り欠いた切り欠き部101を設けている。
【0034】
また、図4と同様であるが連結部201の幅は、回転子鉄心13の磁束が飽和する領域である2.0(T)以上とし、尚且つ、回転子53の使用環境における耐遠心力によって決定される。好ましくは0.2mm〜1.0mm程度とすることにより良好な性能を得る事ができる。
【0035】
また、図6の実施の形態では、中央で屈曲した磁石収容孔内に2つの永久磁石が埋め込まれた4極の永久磁石形回転子である。回転子54の回転子外周側の磁石収容孔24aには、磁石収容孔24aより若干小さい大きさの平板の永久磁石34a及び34bが挿入されている。磁石収容孔24aの中央で向かい合い磁石収容孔24aの内周側を沿うように永久磁石34a及び34bが埋め込まれている。
【0036】
また、回転子54の軸孔44に面した回転子内周側の中央で屈曲した磁石収容孔24bには、磁石収容孔24bの回転子外周両端部まで達していない平板の永久磁石34c及び34dが埋め込まれている。これにより回転子54の軸孔44側に面した最外周層以外の層の磁石収容孔24bに埋め込まれ永久磁石34c及び34dの両端部に空隙を有することになる。
【0037】
これにより、インバータ等の通電区間に対応した回転子の主磁束トルクをほぼ維持しながら、主磁束トルクとリラクタンストルクを効率よく足し合わせ通電制御することができ永久磁石の使用量を極力低減でき、尚且つ、永久磁石34a〜34dの大きさ及び形状は全て同じにすることにより磁石収容孔24a、24bに埋め込まれた永久磁石34a〜34dが共用化することができるため、型及び治具の共用化を可能にし、更に、永久磁石の在庫管理及び発注の業務も容易にすることができる。
【0038】
尚、図6の実施の形態においては、永久磁石より大きな磁石収容孔に永久磁石を埋め込んだ実施形態で説明したが、図4の実施の形態のように磁石収容孔の回転子外周に面した両端部に空隙部を設けてもよい。説明を要さないが、この場合の空隙は、空隙でなくて良く、空隙に樹脂等の非磁性材料を埋め込んでも良い。また、図5の実施の形態のように磁石収容孔の回転子外周に面した両端部に回転子外周より溝を切り欠いて設けてもよい。
【0039】
また、本実施形態での永久磁石形回転子の構造は、極数が4極の永久磁石形回転子であって、磁石収容孔が1極当たり2層に設けられているが、本発明を逸脱しない範囲で極数を増減させたり、1極当たりの磁石収容孔の層数を変更することは可能である。また、本実施形態ではインバータ等の制御装置による通電区間を120°としているが、これに限定しているものではなく任意決定されるものである。
【0040】
また、特に永久磁石形電動機の固定子の巻線が1つの歯部に直接巻きつけられ集中巻されたスロット数が3n(nは自然数)で磁極数がP=2n(nは自然数)である永久磁石形電動機においては、1極当たり1つの歯部となる構成になるため固定子の1つの歯部に磁束が集中しやすく大きな磁界が発生するため、回転子の外周近傍に埋め込まれている永久磁石は減磁され易く電動機の性能が低下され易い。特に、回転子の極間寄りの内周層においては、減磁力の経路となる層数が減っているので減磁に対する耐力が段階的に低下する。
【0041】
従って、この場合も、少なくとも最外周層以外の層において磁石収容孔に埋め込まれた永久磁石と回転子外周部近傍の間に空隙を設けることにより、回転子の外周部近傍において大きな磁界が発生しても永久磁石の減磁に対する影響を少なくすることができる。
【0042】
尚、この場合、回転子外周部近傍の各層の磁石収容孔に埋め込まれた永久磁石において減磁の影響を其々受けることになるため、永久磁石形電動機の性能を維持しながらインバータ等による制御装置の通電区間に対応した回転子の主磁束トルクが得られる様に、適宜各層の永久磁石の使用量を決定することになる。
【0043】
【発明の効果】
回転子鉄心の各極に複数層の凹形状の磁石収容孔を有し、この凹形状の磁石収容孔は凹形状の底部が回転子軸孔に面し、両側端部が回転子外周まで伸びており、この凹形状の磁石収容孔に永久磁石が埋め込まれた多層埋め込み形の永久磁石形回転子において、前記凹形状の磁石収容孔の少なくとも最外周層に埋め込まれた永久磁石は、磁石収容孔より若干小さい大きさの永久磁石が磁石収容孔の内周側を沿うように隙間無く埋められており、
凹形状の磁石収容孔に埋め込まれた永久磁石の有効磁極開角を、回転子軸孔を中心に回転子外周から見てインバータ等の制御する通電区間に対応した回転子の主磁束トルク部分が得られる様に埋め込むことにより、インバータ等の通電区間(例えば、120°通電の場合は、電気角で120°区間)に対応した回転子の主磁束トルクをほぼ維持しながら、主磁束トルクとリラクタンストルクを効率よく足し合わせ通電制御することができる。
【0044】
また、前記凹形状の磁石収容孔の最外周層以外の各層の回転子外周部近傍には、磁石収容孔とは別の空隙、または回転子外周より切り欠いた切り欠き溝、または磁石より大きな磁石収容孔を施し、
前記凹形状の磁石収容孔に埋め込まれた永久磁石の形状が全ての層において同じ大きさの形状としている。
この結果、永久磁石の使用量を極力低減することができる。また、最外周層以外の層の永久磁石の大きさを適切な大きさにすることによって磁石収容孔の永久磁石の両端部に空隙ができるが、この空隙を回転子鉄心で埋めることなく空隙とすることにより回転子外周部付近の洩れ磁束を防ぐことができる。この空隙は、空隙でなくても良く、空隙に樹脂等の非磁性材料を埋め込んでも良い。
【0045】
これにより最外周層の磁石収容孔に埋め込まれた永久磁石の大きさと他の層に埋め込まれる永久磁石の大きさを同じにすることによりインバータ等で制御する通電区間に対応した回転子の主磁束トルク部分をほぼ維持しながら永久磁石の使用量を減らすこともできる。また、1つの回転子に複数種類使用していた永久磁石の型及び加工治具を共用化することができ型費及治具費を低減することができる。さらに永久磁石の在庫の管理及び発注等の業務も減らすことができる。
【0046】
また、凹形状の磁石収容孔に埋め込まれた永久磁石の少なくとも最外周層以外の層における回転子外周部近傍の空隙は、磁石収容孔とは別の空隙、または回転子外周より切り欠いた切り欠き溝、または磁石より大きな磁石収容孔とすることにより、回転子に永久磁石が埋め込まれた最外周層以外の層の回転子外周部付近の磁気短絡を防止し洩れ磁束を防止することができる。また、最外周層以外の層において磁石収容孔に埋め込まれた永久磁石と回転子外周部近傍の間に空隙を設けることにより、回転子の外周部近傍において大きな磁界が発生しても永久磁石の減磁に対する影響を少なくできる。
【0047】
また、前記した最外周層の凹形状の磁石収容孔に埋め込まれた永久磁石において、回転子軸孔を中心に回転子外径から見た有効磁極開角θを、磁極数P=2n(nは自然数)とした場合、θ=4π/3Pとすることによりインバータ等で制御する通電区間に対応した回転子の主磁束トルク部分をほぼ維持することができるため、各層の磁石収容孔に埋め込まれた永久磁石の使用量を適宜減らすことができる。
【0048】
また、前記回転子とともに、固定子の巻線が装着されるスロット数が3n(nは自然数)であり、磁極数がP=2n(nは自然数)である固定子において、特に固定子の歯部に磁束が集中するため、この固定子の歯部からの磁束の流出入により固定子の歯部と対向配置する回転子外周部付近の永久磁石の減磁が起こり易いため、回転子外周部近傍の磁石収容孔の両端部に空隙を設けることにより、永久磁石の減磁を防ぐことができる。尚、この場合、少なくとも最外周層以外の層に埋め込まれた永久磁石に適用することができるが、永久磁石形回転子の主磁束トルクが低下しないように回転子の最外周層においても有効磁極開角を確保できるように適宜、永久磁石の大きさが決定されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を示す永久磁石形回転子の横断面図。
【図2】 120°通電制御を行った場合のタイミングチャート図。
【図3】 従来例と図1の実施形態による磁束密度の分布。
【図4】 本発明の別の実施形態を示す永久磁石形回転子の横断面図。
【図5】 本発明の別の実施形態を示す永久磁石形回転子の横断面図。
【図6】 本発明の別の実施形態を示す永久磁石形回転子の横断面図。
【図7】 従来例を示す永久磁石形回転子の横断面図。
【符号の説明】
1,11〜14・・・回転子鉄心、2a,2b,21a,21b,22a,22b,23a,23b,24a,24b・・・磁石収容孔、3a,3b,31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b,34c,34d・・・永久磁石、4,41〜44・・・軸孔、5,51〜54・・・回転子、6・・・固定子,7・・・巻線,8・・・歯部,9・・・スロット、100・・・空隙、101・・・切り欠き部、200a,200b,201・・・連結部。

Claims (3)

  1. 回転子鉄心の各極に複数層の凹形状の磁石収容孔を有し、前記凹形状の磁石収容孔は前記凹形状の底部が回転子軸孔に面し、両側端部が回転子外周まで伸びており、前記凹形状の磁石収容孔に永久磁石が埋め込まれた永久磁石形回転子であって、
    前記凹形状の磁石収容孔の少なくとも最外周層に埋め込まれた永久磁石は、磁石収容孔より若干小さい大きさの永久磁石が磁石収容孔の内周側を沿うように隙間無く埋められており、前記最外周層の有効磁極開角がインバータ等の制御装置による通電区間に対応した開角とし、
    前記凹形状の磁石収容孔の前記最外周層以外の各層の回転子外周部近傍には、磁石収容孔とは別の空隙、または回転子外周より切り欠いた切り欠き溝、または磁石より大きな磁石収容孔を施し、
    前記凹形状の磁石収容孔に埋め込まれた永久磁石の形状が全ての層において同じ大きさの形状であることを特徴とする永久磁石形電動機の回転子。
  2. 前記凹形状の磁石収容孔に埋め込まれた永久磁石の少なくとも最外周層における磁石収容孔の開角θは、磁極数P=2n(nは自然数)とした場合、回転子軸孔を中心としてθ=4π/3Pであることを特徴とする請求項1項に記載の永久磁石形電動機の回転子。
  3. 前記永久磁石形電動機の回転子と対向配置される固定子において、前記固定子に巻線を装着するスロット数が3n(nは自然数)であり、磁極数がP=2n(nは自然数)であることを特徴とする請求項1項または2項に記載の永久磁石形電動機。
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