JP4247309B2 - プリント配線板用銅箔複合品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板製造に用いられるプリント配線板用銅箔複合品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板の銅箔積層工程は、ガラス繊維を織った布にエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグシートと、銅箔とを重ね合わせて熱と圧力をかけてプレス成型し、その後、不必要な部分の銅箔をエッチング除去して、銅箔回路を形成している。上記手法における実際のプレス成型は、図5に示すようにプリント回路基板8と銅箔2の間にプリプレグシート7を配し、これを厚さ1〜2mm程度のステンレススチール(SUS)製の支持板(内プレート)12 と合わせたものを1セットとし、これを複数セット、厚さ2〜3mm程度のステンレススチール(SUS)製外プレート9、9の間に配置して一度に成型する。しかし、このプレス成型準備作業でプリプレグシート7を取り扱う際、端面切り口より樹脂の粉やガラス繊維等の異物が飛散して銅箔2の表面に付着し、後のエッチングによる銅回路形成工程において、回路ショートや断線の問題を引き起こすことがある。特に、最近では回路幅が狭くなってきており、この問題解決が大きな課題となっている。
【0003】
この課題を解決する一つの手段として、予めアルミニウム製シートからなる支持板の片面又は両面に、銅箔をエポキシ系接着剤により接着一体化した製品としてCAC(Copper Aluminum Copper)が市販されている。
【0004】
しかしながら、上記CACは、ある程度取り扱い上の便宜さはあるものの、支持板として強度が低いアルミニウム製シートを用いているために変形し易いという欠点があり、CACは必ずしも最適なものではなく、品質やコスト面からも満足するものではなかった。
【0005】
また、上記課題を解決する目的で、銅箔を強度の高い金属製支持板に接着し、この支持板付き銅箔複合品を使用してプリプレグシートと銅箔を張合せてプリプレグシート付き積層体を作製し、これをプリント回路基板への積層に用いることで取扱いを容易にし、しかも銅箔表面に樹脂の粉やガラス繊維等の異物が付着しないように四辺を接着剤で接着した形の支持板付き銅箔複合品が提案され(特開平2001―96666、USP6,129,998)ている。この複合品は、銅箔と支持板とを接着剤等で貼り合わせているため、プレス成形前のセッティング作業時に樹脂粉やガラス繊維粉末等の異物が銅箔光沢面へ付着するのが防止され、上記問題の解決には有効に機能している。
【0006】
【発明が解決しょうとする課題】
しかしながら、上記複合品では、銅箔と支持板とを接着剤等で接着しているため、プレス成形における加熱時に、銅箔と支持板との熱膨張係数の差による伸びの違いから銅箔にうねりやシワが発生することがありプレス成形時の歩留りが低下する。
このため、接着剤として、加熱で接着力がなくなるタイプの接着剤を使用するが、接着力がなくなる前に伸びの違いが発生して同様の問題が生じ、銅箔積層作業には相当の熟練と時間を要していた。
また、銅箔の間に配置されるアルミ板等の支持板に銅箔を接着剤で接着するため、一度使用した支持板に接着剤の痕跡が残り支持板の再使用が不可能となる欠陥があった。
【0007】
本発明者は、このような欠陥を解消すべく先に、支持板自体に接着剤を塗布せず、従って、支持板を繰り返し使用することが可能となり、また、銅箔の光沢面がプレス作業時に汚染されるようなことがなく、更に、銅箔と支持板とを接着しないので伸びの差により銅箔に生じるうねりやシワの発生を未然に防止した次のようなプリント配線板用銅箔複合品を特許出願した(特願2,002−188200号)。
即ち先の発明は、プリント配線板用銅箔を、該銅箔の光沢面を中にして袋状とし、該袋の中に、金属板あるいはプラスチック板からなる支持板が挿入されていることを特徴とするプリント配線板用銅箔複合品である。
【0008】
しかしながら、かかるプリント配線板用銅箔複合品は支持板の両面に銅箔を設けているために、クッション材13と接する側に位置する銅箔はプリント回路板には関係なく、従って、プレス後は廃却されてしまうこととなり、高価な銅箔が無駄に使用されることとなる。
本発明は、かかる無駄を最小限に抑えたものである。
【0009】
【問題を解決する手段】
本発明は、プリント配線板用銅箔と任意のシートとを、前記銅箔の光沢面を中にして袋状とし、該袋の中に、金属板あるいはプラスチック板からなる支持板が封入されていることを特徴とするプリント配線板用銅箔複合品である。
【0010】
本発明は銅箔と任意のシートとを袋状とし、該袋の中に支持板を封入することにより支持板自体に接着剤を塗布する必要がなく、従って、支持板を繰り返し使用することができると共に、銅箔と支持板とは接着していないので伸びの差により銅箔にうねりやシワが発生する恐れがないのでプレス成形作業が容易となり、取り扱いが簡単で作業に熟練を要さない。また、銅箔の光沢面は内側に位置するために汚染されるようなことがない。
更に、銅箔は支持板の片面にしか存在しないので、片面のみに銅箔が必要な所に本発明プリント配線板用銅箔複合品を使用することで、無駄に高価な銅箔を消費することなく、経済的にも大きな効果を有するものである。。
【0011】
なお、上記プリント配線板用銅箔複合品の袋内の少なくとも折り曲げ部分に、少なくとも一端を袋の外に露出せしめた袋切断用補助具を配置すると、プレス工程(銅箔積層工程)終了時に袋切断用補助具を利用して袋の折り曲げ部分を容易に切断、切り離すことができ、銅箔と支持板とを容易に分離することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明のプリント配線板用銅箔複合品1の断面図で、2は銅箔、3は任意のシート、4は支持板、5は袋切断用補助具である。本実施形態においては銅箔2、任意のシート3は支持板4の幅よりやや広い幅で、該銅箔2の光沢面を内側にし、シート3を重ね合わせてその周辺を貼着して袋状とし、該袋の中に支持板4を封入した構造となっている。
【0013】
任意のシート3としては、プレス時の圧力と温度に耐える素材であれば何でも使用でき、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、テフロン、フッ素樹脂等のプラスチックシート、或いは紙等が好ましい。特にB−ステージの樹脂と金型との接着を防ぐ離型シートとして使用されているセルローズトリアセテート、テフロン、フッ素樹脂等のシートを採用するとよい。
【0014】
支持板4はアルミ板、アルミ合金板、スチール板、メッキ処理を施されたスチール板、メッキ処理を施されたステンレススチール板等の金属板、或いはポリエチレンテレフタレート(以下PETという)フィルム又はポリカーボネイト等のプラスチック板が適用でき、プラスチック板としては160℃以上の耐熱性を持つものが好適である。
【0015】
袋切断用補助具5は、金属ワイヤ、耐熱性繊維からなる紐状体、テープ状体等が好適てあり、図示する実施形態では袋切断用補助具5を袋の貼着部に配置し、該袋切断用補助具5の両端は(図示しないが)袋から露出させてある。
【0016】
本発明プリント配線板用銅箔複合品1の製造は、所定の大きさに切断された銅箔2の光沢面に支持板4をその周囲に糊代6ができるように載置し、該糊代6に接着剤を塗布し、その上に任意のシート3を被せ、貼り合わせて袋状とし、支持板4を袋の中に封入し保持することで完成する。
【0017】
前記銅箔2とシート3との周面を接着する接着剤としては、銅箔積層作業のプレスによる加熱・成形工程の熱で接着力が著しく低下する接着剤を使用し、積層作業終了後に接着面を容易に剥がすことができる接着剤を使用する。なお、接着方法としては、上記接着剤による方法の他に、超音波溶接、粘着テープ、ギアシール等を採用することも可能である。また、貼着は全周面をあるいはスポット状に貼着しても良い。
接着剤を採用するときは、該接着剤として、銅箔上にプリプレグシートを接着する工程でプリプレグシートと反応しないもの、またはプリプレグシートに用いられている樹脂と同じ樹脂系のもので接着することが望ましい。通常エポキシ樹脂系接着剤を用いるが、この外にポリイミド系接着剤、フエノール樹脂系接着剤等を使用することもできる。
【0018】
また、袋切断用補助具5を上記実施形態では袋からその両端を露出させて配置したが、その一端を袋の接着面に綴じ合わせて固定し、他端のみを袋の外に露出させておいてもよく、或いは支持板4の外周を一周させてもよく、袋を二分できる構成であればその位置、配置方法は任意である。
なお、袋切断用補助具5を支持板4の外周を一周させて銅箔と任意のシートとを二分できる構成とすることで、銅箔周面を接着する接着剤は接着力が熱で劣化しないようなものも採用でき、また、超音波溶接等でもよく接着技術選択の範囲が広がる。
【0019】
図2は本発明の他の実施形態を示すもので、図1と相違するところは、銅箔2の大きさをプリント配線板の大きさに合わせ、或いはプリント配線板で要求する大きさに合わせた大きさとした点で、高価な銅箔を必要最小限に使用した実施形態である。図示するように、本実施形態においては、支持板4の大きさより大きい任意のシート3を用意し、該シート上に支持板4を載せ、支持板の上に必要な大きさに切断した銅箔2を載置し、シート3の周囲を支持板4を覆うように折り曲げ、折り曲げた部分を糊代6として銅箔2と貼着し、袋状としたものである。その他の点は上記実施形態と同様なので詳細な説明は省略する。
なお、銅箔2とシート3との貼着は熱劣化する接着剤を採用することにより、銅箔2とシート3とを容易に剥離することができるが、粘着テープ等を使用した場合にはシート3をナイフ等で切断しても良い。
【0020】
図3は本発明の第三の実施形態を示すもので、図2と相違するところは、シート3の大きさをプリント配線板の大きさに合わせ、或いはそれよりやや小さめにし、図示するように、銅箔2を支持板4の大きさよりも大きくし、該銅箔2上に支持板4を載せ、支持板4の上にシート3を載置し、銅箔2の周囲を支持板4を覆うように折り曲げ、折り曲げた部分を糊代6としてシート3と貼着し、袋状としたものである。その他の点は上記実施形態と同様なので詳細な説明は省略する。
なお、銅箔2とシート3との貼着は熱劣化する接着剤を採用することにより、銅箔2とシート3とを容易に剥離することができる。
【0021】
次に、具体的実施例につき説明する。
18μm厚さの銅箔2と、セルローズトリアセテートシート3をエポキシ樹脂接着剤により袋状に貼り合わせ、その中に支持板4として250μm厚さのPETフィルムを封入し、プリント配線用銅箔複合品1を作成した。このように、銅箔2とセルローズトリアセテートシート3で支持板4を包み込むことにより、支持板4は銅箔1に密着し、取扱い作業時に袋の中の支持板4と銅箔2とがずれる心配がなく、取り扱いが極めて良好となる。なお、袋切断補助具5としてステンレスワイヤを支持板4の周囲を一周させて両端を露出するようにして挿入した。
【0022】
次に、製作したプリント配線用銅箔複合品1のシート面がクッション材13に、銅箔面がプリプレグシート7に接合するように配置する。プリント配線用銅箔複合品1の銅箔2にプリプレグシートを接着するには、図4に示すようにプリント回路基板8−プリプレグシート7−両面に銅箔を配置したプリント配線用銅箔複合品10−プリプレグシート7−プリント回路基板8をこの順にセットし、このセットを所要セット数積層し、クッション材13に接する最外層に本発明プリント配線用銅箔複合品1のシート面をクッション材13側に、銅箔2面をプリプレグシート7側に向けてホットプレスにセットし、ホットプレス熱盤11により加熱・加圧して銅箔2・プリプレグシート7・プリント回路基板8を貼り合わせ、最後に袋切断用補助具5により銅箔2を分離して多層プリント回路基板を作製する。
【0023】
なお、プリント配線用銅箔複合品1にプレス時の位置決め用の穴をあける必要がある場合は、本実施例のように支持板としてPETフィルムを使用すると、穴あけ時に支持板に割れが発生せず、樹脂粉の飛散もなく、好適である。
【0024】
【発明の効果】
本発明はプリント配線板用銅箔2と任意のシート3とを、該銅箔の光沢面を中にして袋状とし、該袋の中に、金属板あるいはプラスチック板からなる支持板4を封入してなることを特徴とするプリント配線板用銅箔複合品1であり、銅箔2の光沢面を中にして袋状とし、その中に支持板4を封入したことにより、プリント配線板に貼着しない面を任意のシート3で構成することにより高価な銅箔の使用量を最小限に抑えることができる。
【0025】
また、支持板4に接着剤を塗布しないので、支持板4を繰り返し使用することが可能となり、銅箔2の光沢面は袋の内側に位置するために汚染されるようなことはなく、更に、銅箔2と支持板4とは接着していないので熱による伸びの差で銅箔2にうねりやシワが発生する恐れがなくプレス作業が容易となり、取り扱いが簡単となって作業に熟練を要さない等の工業的に優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明の第三の実施形態を示す断面図である。
【図4】プリント基板のプレス工程を示す説明図である。
【図5】従来のプリント基板のプレス工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1 プリント配線板用銅箔複合品
2 銅箔
3 シート
4 支持板
5 袋切断用補助具
Claims (1)
- プリント配線板用銅箔と任意のシートとを、前記銅箔の光沢面を中にして袋状とし、該袋の中に、金属板あるいはプラスチック板からなる支持板が封入されていることを特徴とするプリント配線板用銅箔複合品。
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JP2002285339A JP4247309B2 (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | プリント配線板用銅箔複合品 |
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JP2004127954A JP2004127954A (ja) | 2004-04-22 |
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