JP4246985B2 - 電気アプセッタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属棒状素材を加熱電源装置の電極間で加熱しながら、加圧機構で素材を軸方向に圧縮して据え込み加工する電気アプセッタに係り、特に電極を介して通電加熱する加熱電源装置を直流インバータ加熱方式とした電気アプセッタに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気アプセッタは、金属棒状素材を電極間で通電加熱し軟化させながら、加圧機構で素材を軸方向に圧縮して素材先端に半径方向外方膨出部を形成する装置で、例えば、膨出部に傘部を鍛造プレスする前工程として、素材の端部を据え込み加工するエンジンバルブの製造ライン等において用いられる。
【0003】
特許文献1には、従来の電気アプセッタが開示されており、これは図9に示すように、上下に対向配置された加圧機構である一対の駆動シリンダ5,7と、前記一対の駆動シリンダ5,7間に設けられて、棒状素材1を通電加熱して軟化させる一対の電極3,6と、電極3,6に加熱電流を供給する加熱電源装置10を備えている。符号4は、電極3のチャック開閉用シリンダである。
【0004】
加熱電源装置10は、一次側が交流電源12に接続され、二次側が電極3,6に接続されたトランス回路14と、トランス回路14の一次側に設けられた電力調整用のサイリスタ回路16と、サイリスタ回路16の動作を制御するサイリスタ制御装置18とを備える。トランス回路14の一次側には、電圧計15a、電流計15b、電力計15cが設けられ、サイリスタ制御装置18は、検出されたトランス回路14の一次側の電圧(電流,電力)と設定値との間に偏差があった場合に、サイリスタ回路16におけるサイリスタの位相を制御(サイリスタの点弧時間を調整)して、それぞれの偏差を減少させるように構成されている。
【特許文献1】
特開昭62−151238号公報、第1図、第2図、第2頁下段右欄第4行〜第3頁上段右欄第7行参照)
図10は、図9に示す交流サイリスタ式電気アプセッタを、鍛造プレスの前工程である据え込み加工に用いる場合で、据え込み加工により棒状素材1の先端に団子部2が成形される様子を示し、図5符号B1,B2は同据え込み加工の際の加熱電流特性(電流計15bで検出される値)とそれに伴う加熱温度の変化(図9符号19で示す非接触式温度計で検出した値)の様子を示しており、加熱電源装置10により加熱されて軟化した棒状素材1の先端部には、シリンダ5,7に圧接する棒状素材1が軸方向に圧縮されて行くにしたがって徐々に団子部2が成形されていく(図10参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記した従来技術では、以下の問題があった。
【0006】
第1に、従来の電気アプセッタでは、例えば、任意の軸径,任意の長さの棒状素材を据え込み加工(先端に団子部を成形)する処理速度が、傘部を成形する後続の鍛造プレスの処理速度(例えば4秒/本)に比べて非常に遅い。したがって、バルブの自動製造ラインでは、1台の鍛造プレスに複数台(例えば4台)の電気アプセッタを対応させて設けているのが現状で、それだけ製造設備の配設スペースがとられるし、プレスの休止待ち時間担当のロスが発生するという問題があった。
【0007】
第2に、従来の電気アプセッタでは、サイリスタ回路16の交流定電圧制御により加熱電流を調整するように構成されているが、サイリスタ回路16の位相調整では最大制御速度が0.2秒と遅く応答性に限界があるため、目標電圧(電流)値への追随性が悪く、図10に示す団子部2を表面の滑らかな球形状に成形できない上に、団子部形状がばらつく。
【0008】
また、据え込み比(素材の縮んだ長さ/素材軸径)の大きい据え込み製品を据え込み加工するためには、団子部2の形状を大きく外方に膨らむ形状に成形することが好ましいが、従来のアプセッタで成形できる団子部は、図10符号2で示すように、外方への膨出量の少ない、しかも段付き形状しか成形できなかった。特に、アプセッタの処理速度を上げるべく、電極に供給する電力を上げると、団子部表面層の局所にオーバーヒート異常が生じたり、団子部の形状が一定とならない(ばらつく)。
【0009】
発明者が検討したところ、電気アプセッタの処理速度を上げられない第1の原因は、加熱電源装置が交流加熱方式であるために、図5符号B2で示す加熱電流特性曲線に示されるように、素材が据え込み加工可能な所要最適温度に到達するまでに時間がかかりすぎることである。即ち、図11(a),(b)は交流の出力特性および素材内部における加熱電流(交流)の電流密度分布を示しており、交流のもつ表皮効果現象(主に素材の表層部ほど電流密度が高く、中心部ほど電流密度が低いという特性)のために、加熱電流が供給される素材の表層部では速く軟化可能な高温となるが、中心部ではなかなか温度が上がらず、素材中心部まで熱が伝播されて全体が軟化するまでに時間がかかる。また、素材中心部が十分に軟化していない状態で圧縮力を作用させると、それだけ圧縮のためのエネルギー消費も多く、しかも表層部には段差が形成されて、表面の滑らかな球形状の団子部とならない為、品質不良の要因となっていた。
【0010】
そこで発明者は、加熱電源装置を直流加熱方式にすることを考えた。即ち、図3(a),(b)は、直流の出力特性および素材内部における加熱電流(直流)の電流密度分布を示しており、加熱電流(直流)の電流密度は、素材の表層部から中心部に至る全体においてほぼ一定の大きさとなり、交流の場合のように表層部に偏る(図11(b)参照)ことがない。したがって、素材内部における直流の電流密度の平均値は交流の場合と比べて大きく、素材全体の表層部から中心部にかけてほぼ均一に加熱されるため、素材全体が軟化するまでに要す時間も短い。
【0011】
また、サイリスタ回路(サイリスタ)の位相調整では、制御の応答速度が速くても0.2秒(制御パルスの周期が最短でも0.2秒)と遅く、制御の応答性に限界があるため、「目標値(設定値)への追随性が悪く、加熱電流や加熱温度が大きく変動し団子部をばらつきのない適正な団子形状に成形できないという」第2の問題(品質の不良)に対しては、制御の応答速度が遅いサイリスタ回路を用いた定電圧制御に代えて、インバータ回路を用いた定電流制御を採用し、制御パルスの周期を数千分の一秒以下にまで高めることで制御の応答性を改善して、加熱電流が目標加熱電流に対し大きく変動せず、団子部を表面の滑らかなばらつきのない所望の膨出形状に成形できる。
【0012】
しかし、特許文献2には「加熱電流の実行値を所定の方法で増大させて、加熱効率の向上と据え込み時間の短縮を図る電気アプセッタの通電制御方法」が開示されているが、この明細書の従来技術の説明の中で、「加熱電源装置の一次側開閉装置に電子制御開閉器を使用して、その制御回路に定電流制御機構を付加し、加熱電流の実行値が素材の据え込み加工全行程にわたってほぼ一定となるように自動的に制御する方法が試みられている。この方法は、加熱電流が最小となるP点において最適の加熱電流値を与えるに十分な二次電圧を設定しておき、P点前後に見られる電流の自然増大部分についでは、いわゆるヒートコントロールによって加熱電流実効値を強制的に自動的に絞って、常時ほぼ一定の電流値に抑えようという制御方法である。しかし、この定電流制御方法も、前途の据え込み行程の進行状況から見て必要とされる加熱エネルギー量が行程の進行とともに変化していること、特に据え込み行程の後半においては据え込み速度、従ってクランプ電極部から送り込まれる素材の送り速度が加速されるべきであるから、この段階では送り込まれる低温素材の加熱エネルギーと、既に据え込まれた部分の保温エネルギーが加算されることなどを勘案すれば、電機鍛縮機(電気アプセッタ)に関する限り、定電流制御方式は最良の策といえず、従って定電流制御方式によっては、それほど顕著な据え込み時間の短縮は期待できないである。」と説明されているように、電気アプセッタ業界においては、定電流制御は全く注目されていなかった。
【特許文献2】
特公平2−7571号公報、第6頁右欄第24行〜第7頁左欄第4行、第2図参照)
このように、電気アプセッタの加熱電源装置を定電流制御することは有効ではないという通説に対し、発明者は、あえて直流インバータ式定電流加熱制御方式を採用した。すなわち、電気アプセッタの加熱電源装置を、交流を全波整流するコンバータ回路と、コンバータ回路から出力される直流を高い周波数の交流に交換するインバータ回路と、インバータ回路から出力される高い周波数の交流である一次電流を変成して二次電流を生成するトランス回路と、トランス回路で生成した二次電流を整流して加熱電流として電極に供給する整流回路と、前記加熱電流を予め設定した目標電流値に制御するべくインバータ回路に出力するインバータ制御回路とを備えて構成し、長年にわたる実験と考察を繰り返した結果、据え込み時間の短縮に非常に有効であることが確認されたので、この度の提案に至ったものである。
【0013】
本発明は、前記した従来技術の問題点と、前記した発明者の知見に基づいてなされたもので、その目的は、据え込工程に要す時間の短縮に非常に有効な電気アプセッタを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に係る電気アプセッタにおいては、金属棒状素材を加熱電源装置の電極間で通電加熱しながら、加圧機構で素材を軸方向に圧縮して据え込み加工する電気アプセッタにおいて、前記加熱電源装置は、交流電源から供給される交流を全波整流するコンバータ回路と、前記コンバータ回路から出力される直流を商用周波数より高い周波数の交流に交換するインバータ回路と、前記インバータ回路から出力される一次電流を変成して二次増幅電流を生成するトランス回路と、前記トランス回路で生成された二次電流を整流し加熱電流として前記電極に供給する整流回路と、前記整流回路と電極間に設けられて前記加熱電流を検出する電流計と、前記電流計で検出した電流値が予め設定した目標加熱電流値に追随するように前記加熱電流を制御するべく前記インバータ回路に出力するインバータ制御回路と、を備えるように構成した。
【0015】
(作用)電流計で検出した電流値が予め設定した目標加熱電流値となるように、インバータ回路から出力される周波数の高い交流(トランス回路の一次電流)をインバータ制御回路が制御することで、目標加熱電流に伴った加熱電流が電極を介して素材に供給される。
【0016】
図3(a),(b)は、直流の出力特性および素材内部を流れる加熱電流(直流)の電流密度分布を示しており、加熱電流(直流)の電流密度は、交流の場合のように電流密度が表層部に偏る表皮効果現象(図11(b)参照)がなく、素材の表層部から中心部に至る全体においてほぼ一定の大きさとなる。このため、素材内部での加熱電流(直流)の電流密度の平均値は交流の場合に比べて大きく、熱伝達効率に優れて素材の表層部から中心部までがほぼ均一に加熱されて軟化する。即ち、素材全体の温度がそれだけ速く上昇し、素材全体が短時間で軟化可能(据え込み可能)な温度に達する。
【0017】
また、インバータ制御回路からの出力は、商用周波数より高い周波数(例えば数KHzの周波数)の交流であるため、インバータ制御回路からインバータ回路を付勢し加熱電流(直流)を制御する制御パルスの周波数は高く(制御パルスの周期は短く)、それだけ制御の応答性が例えば数千分の一秒にまで高められて、加熱電流を予め設定した目標値に迅速に追随させることができ、短時間で膨出団子部の表面をばらつきのない滑らかな最適形状に成形できる。
【0018】
請求項2においては、請求項1に記載の電気アプセッタにおいて、前記インバータ制御回路は、金属棒状素材の加熱温度が通電開始と同時に据え込み最適温度に急上昇した後ほぼこの最適温度のまま据え込み工程終了まで推移する目標加熱温度特性を呈するように、予め設定した目標加熱電流波形パターンに基づいて前記加熱電流を制御するように構成され、前記目標加熱電流波形パターンは、金属棒状素材への通電開始と同時に所定の許容最大加熱電流を通電するための第1段の波形パターン部と、前記第1段の波形パターン部に続く、第1段の波形パターン部に対応する電流値よりも低い加熱電流を通電する第2段の波形パターン部とを少なくとも備えた多段波形パターンで構成した。
【0019】
(作用)金属棒状素材への通電開始と同時に、金属棒状素材には第1段の波形パターン部に対応する許容最大加熱電流が通電されて、金属棒状素材の加熱温度は急速上昇して据え込み最適温度となる。即ち、通電開始後の短時間の内に金属棒状素材の温度が据え込み最適温度となる。そして、第2段の波形パターン部に対応する加熱電流(第1段の波形パターン部に対応する電流値よりも低い加熱電流)が例えば据え込み工程終了まで通電されて、金属棒状素材の温度は、据え込み最適温度のまま(据え込み行程終了まで)保持されるという目標加熱温度特性を呈する。
【0020】
請求項3においては、請求項2に記載の電気アプセッタにおいて、前記目標加熱電流波形パターンは、前記第2段の波形パターン部の後に、第2段の波形パターン部に対応する電流値とは異なる加熱電流を通電するための第3段の波形パターン部を少なくとも備えた構成とした。
【0021】
(作用)第3段の波形パターン部(に対応する目標加熱電流)は、第1段の波形パターン部と第2段の波形パターン部(に対応する目標加熱電流)による電流制御による加熱温度の変動を補って、加熱温度を据え込み可能な所定温度により近く保持するべく作用する。
【0022】
即ち、目標加熱電流を異にする3段以上の波形パターン部を設定することで、目標加熱温度特性への追随性が向上する。
【0023】
また、第2段の波形パターン部(に対応する目標加熱電流)を低めに設定し、これに続く第3段の波形パターン部(に対応する目標加熱電流)を高めに設定したり、第2段の波形パターン部(に対応する目標加熱電流)を高めに設定し、これに続く第3段及び多段の波形パターン部(に対応する目標加熱電流)を低めに設定するなど、多段である程、素材に対して目標加熱電流波形パターンを決定する上での選択の幅が広がる。
【0024】
請求項4においては、請求項2または3に記載の電気アプセッタにおいて、前記目標加熱電流波形パターンを構成する前後段の波形パターン部間では、電流波形パターンが滑らかに連続するように構成した。
【0025】
(作用)前段の電流波形パターン部から後段の電流波形パターン部間で電流波形パターンが滑らかに連続するため、前段の電流制御から後段の電流制御に移行する際の加熱電流は急変することなく徐々に変化する。このため、素材の加熱温度は急変することなく徐々に変化する。
【0026】
請求項5においては、請求項1〜4のいずかに記載の電気アプセッタにおいて、前記インバータ制御回路は、目標加熱電流波形パターンを記憶する加熱電流波形パターン記憶手段と、前記目標加熱電流波形パターンを微分して絶対値をもとめる微分絶対値演算手段と、三角波を生成する三角波生成手段と、前記目標加熱電流波形パターンに対応するアナログ信号を出力するアナログ信号出力手段と、前記絶対値と直前の絶対値とを比較し、比較結果に基づいて前記生成された三角波の周波数を演算する周波数演算手段と、前記アナログ信号が前記生成された三角波より大であるときに、前記インバータ回路を付勢するための制御パルスを生成する制御パルス生成手段と、を備えるように構成した。
【0027】
(作用)微分絶対値演算手段が目標加熱電流波形パターンを微分して絶対値をも求め、周波数演算手段が前記絶対値と直前の絶対値とを比較し、比較結果に基づいて三角波の周波数を演算し、三角波生成手段に出力する。三角波生成手段は、演算された周波数に基づいて三角波を生成して制御パルス生成手段に出力する。また、アナログ信号出力手段は、目標加熱電流波形パターンに対応するアナログ信号を制御パルス生成手段に出力する。制御パルス生成手段は、生成された三角波とアナログ信号とを比較し、アナログ信号が前記三角波より大であるときに、前記インバータ回路を付勢するための制御パルスを生成する。そして、インバータ回路は、この制御パルスに基づいた高周波交流をトランス回路の一次側に出力する。 即ち、目標加熱電流波形の変化が急峻であれば、高い周波数の制御パルスが出力され、目標加熱電流波形が緩やかであれば、低い周波数の制御パルスが出力されるというように、目標加熱電流波形の変化に対応した周波数の制御パルスが出力される。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1〜8は、本発明の一実施例である電気アプセッタを示し、図1は一実施例である電気アプセッタのブロック構成図、図2はインバータ回路制御装置であるインバータコントローラ(インバータ制御回路)のブロック構成図、図3(a)は加熱電流(直流)の出力特性図、図3(b)は素材内部における加熱電流(直流)の電流密度の分布を示す図、図4は本実施例の電気アプセッタの加熱電源装置の動作を説明するフローチャート、図5は電極を介して素材に供給される加熱電流(直流)の目標加熱電流波形パターンと同パターンに対応する目標加熱温度特性を従来の交流サイリスタ式電気アプセッタの場合と比較して示す図、図6は目標加熱電流波形パターンの詳細を説明する図、図7は本実施例のアプセッタを用いた据え込み工程(素材先端に団子部を成形する工程)を説明する図、図8は本実施例のアプセッタを用いた製品1〜4の据え込み工程(団子部成形工程)時間を従来の電気アプセッタの場合と比較して示す図である。
【0030】
図1において、電気アプセッタは、上下に対向配置された加圧機構である一対の駆動シリンダ25,27と、前記一対の駆動シリンダ25,27間に設けられて、金属棒状素材(丸棒)1を通電加熱して軟化させる一対の電極23,26と、電極23,26に加熱電流を供給する加熱電源装置30を備えている。符号24は、電極23のチャック開閉用シリンダである。
【0031】
加熱電源装置30は、交流(三相)電源32から供給される交流を全波整流するコンバータ回路34と、コンバータ回路34から出力される直流を例えば数KHzの高い周波数交流に交換するインバータ回路36と、インバータ回路36から出力される高い周波数交流である一次電流を変成して二次増幅電流を生成するトランス回路38と、トランス回路38で生成した二次電流(高い周波数交流)を整流して電極23,26に加熱電流(直流)として供給する整流回路39と、整流回路39と電極23,26間に設けられた加熱電流検出用の電流計40と、前記電流計40の検出値が目標加熱電流波形パターンに追随するように、素材1に供給される加熱電流を制御するべくインバータ回路36に出力するインバータ回路制御装置(インバータ制御回路)であるインバータコントローラ50と、を備えて構成されている。
【0032】
インバータコントローラ50は、図2に示すように、電流計40で検出された加熱電流を整流して出力する整流回路51と、この出力をデジタル値に変換するA/D変換回路52と、予め設定された目標加熱電流波形パターンを記憶する記憶回路53と、この目標加熱電流波形パターンとA/D変換器52から出力される加熱電流とを比較する比較回路54と、比較回路54の出力を読みとる制御回路55とを備え、制御回路55は中央処理装置(以下、CPUという)56と、クイックアップ制御、スローアップ制御、スローダウン制御等を行うためのプログラムを記憶するROM57と、CPU56が演算結果を一時的に記憶するRAM58と、図示しない入力手段としてのキーボード、およびディスプレイとしてのCRTなどが接続されるインターフェース59とから構成されている。
【0033】
目標加熱電流波形パターンは、図5,6における符号A1で示されているが、短時間で素材1の据え込み可能な最適温度Tbestとなった後、据え込み完了までこの据え込み可能な最適温度Tbestが維持されるという、加熱温度特性A2を呈するに最適な波形パターンで、発明者が素材に作用する軸方向加圧力をほぼ一定として長期間にわたる実験を重ねた末に求めたもので、目標加熱電流がそれぞれ異なる三段階の波形パターン部P1,P2,P3で構成されている。即ち、目標加熱電流波形パターンA1は、素材への通電開始と同時に所定の許容最大加熱電流I10を通電するための第1段の波形パターン部P1と、第1段の波形パターン部P1に続く、第1段の波形パターン部P1の目標加熱電流よりも低い加熱電流I20を通電するための第2段の波形パターン部P2と、第2段の波形パターン部P2に続く、第2段の波形パターン部P2の目標加熱電流よりも低い加熱電流I30を通電するための第3段の波形パターン部P3で構成されている。
【0034】
第1段の波形パターン部P1は、金属棒状素材への通電開始と同時に、金属棒状素材に許容最大加熱電流I10を通電させ、金属棒状素材の加熱温度を急速上昇させて最短時間で据え込み最適温度Tbestにするための部位である。続く第2段の波形パターン部P2は、許容最大加熱電流I10よりかなり低い加熱電流I20を通電させて、金属棒状素材の温度を据え込み最適温度Tbestに維持するための部位であり、さらに続く第3段の波形パターン部P3は、さらに低い加熱電流I30を通電させ、据え込み最適温度Tbestを据え込み工程終了まで維持するための部位である。なお、第3段の波形パターン部P3では、パターン終端部に至った段階で加熱電流が0となる(加熱電流が供給されない)ように設定されている。
【0035】
コントローラ50は、制御回路55の出力端子に接続されるD/A変換回路62と、このD/A変換回路62から出力されるアナログ電圧と三角波生成回路63から出力される三角波とを比較して、アナログ電圧が三角波より大である期間だけ「H」となるパルスを出力する比較回路64と、この比較回路64から出力されるパルスをドライブ回路65および66に分配するバルス制御回路67を備える。ドライブ回路65の出力端子はインバータ回路36を構成するトランジスタS1およびS4のベース端子と接続され、ドライブ回路66の出力端子はトランジスタS2およびS3のベース端子と接続される。
【0036】
さらに、コントローラ50は、加熱電流波形記憶回路53から出力される目標加熱電流波形をそれぞれ微分して、さらに絶対値を演算する微分絶対値演算回路68を備え、この微分絶対値演算回路68は、演算結果を制御回路55に出力するとともに、周波数演算回路69に対して出力し、周波数演算回路69は三角波生成回路63に出力する三角波の周波数を演算する。
【0037】
このように構成される直流インバータ式加熱電源装置30において、ROM57に記憶された所定のプログラム(図4参照)に従って、加熱電流(直流)が電極23,26を介して素材1に通電されて素材1が加熱軟化し、電気アプセッタの駆動シリンダ25,27が駆動して素材1が軸方向に圧縮されて、素材1の先端部に半径方向外方膨出部である団子部2Aが成形される(図7参照)。
【0038】
電極23,26で支持された金属棒状素材1には、トランス回路38の二次側電流(例えば数KHzの高い周波数交流)を整流回路39で整流した直流が加熱電流として供給されている。
【0039】
そして、加熱電流(直流)の電流密度は、交流の場合のように電流密度が表層部に偏る表皮効果現象(図11(b)参照)がなく、素材1の表層部から中心部に至る全体においてほぼ一定の大きさとなる(図3(b)参照)。このため、素材1内部での加熱電流(直流)の電流密度の平均値は交流の場合に比べて大きく、熱伝達効率に優れて素材の表層部から中心部までがほぼ均一に軟化する。即ち、素材1全体の温度がそれだけ速く上昇し、素材1全体が短時間で軟化可能(据え込み可能)な温度に達する。
【0040】
したがって、加熱電流(直流)の電流密度の平均値は加熱電流が交流の場合と比べて大きく、素材1の表層部から中心部までがほぼ均一に軟化し、効率良く加熱軟化できる。このため、後で詳しく説明するが、図5に示すように、通電開始後約2秒で目標加熱温度Tbestに到達する。
【0041】
次に、直流インバータ式加熱電源装置30において、ROM57に記憶されたプログラム(図4参照)に従って加熱電流が素材1に通電される様子(電流計40で検出した加熱電流をフィードバックデータとして、素材1に通電する加熱電流IW を目標加熱電流波形パターンに追随制御する作用)を、図1,2および6を参照して具体的に説明する。
【0042】
目標加熱電流波形記憶回路53には、例えば、図5に示す目標加熱電流波形パターンA1が記憶されており、この目標加熱電流波形ターンA1に従って、一定の変化率で加熱電流IW を急上昇させるクイックアップ通電期間(図6の(イ)参照)の据え込み工程が開始される。
【0043】
すなわち、時刻t1 における目標加熱電流波形記憶回路53に記憶された目標加熱電流IT1に基づいて、素材1に加熱電流IW が通電されると、この加熱電流IW は電流計40によって検出されて、整流回路51に出力され、整流回路51で整流され、さらに、A/D変換回路52によってデジタル値に変換されて、比較回路54に入力される。
【0044】
比較回路54はデジタル値に変換された加熱電流IW と、次なる時刻t2 における目標加熱電流IT2とを比較して偏差Eを求め、これを制御回路55に出力する。
【0045】
そしてステップ1では、、微分絶対値演算回路68が目標加熱電流波形記憶回路53から時刻t1 における目標加熱電流IT1を読み取り、ステップ2において、目標加熱電流IT1を微分し、さらに、微分値の絶対値を演算して微分絶対値|ΔIT1|を求め、この微分絶対値|ΔIT1|を制御回路55および周波数演算回路69に出力する。このクイックアップ通電期間における目標加熱電流波形は、図6の(イ)に示すように一定の変化率で直線的に急上昇するため、微分絶対値演算回路68の出力は一定の値となる。
【0046】
次いで、ステップ3において、制御回路55が、比較回路54から出力される偏差Eに基づいて時刻t2 における最適なパルス幅PW を下式(1)に従って演算し、このパルス幅PW のデジタル信号をD/A変換回路62に出力する。
この場合、D/A変換回路62に出力されるパルス幅をPW とし、直前、すなわち、時刻t1 に出力されたパルス幅をPWBとすると、
W =(E×G+PWB)×|ΔIT1| …(1)
となる。ここで、Gはゲインを示す。
次いで、ステップ4において、D/A変換回路62が、パルス幅PW のデジタル信号をアナログ信号に変換して比較回路64に出力する。
【0047】
次いで、ステップ5において、周波数演算回路69が微分絶対値演算回路68から出力された微分絶対値|ΔIT1|に基づいて、時刻t2 における三角波の周波数fを一般式(2)「f=K+(di/dt),但し、(di/dt):目標加熱電流波形の変化率、K:定数」によって演算し、さらに、この周波数fの周期T1 を一般式(3)「T=1/f」から求めて、この周期T1 を示す信号を三角波生成回路63に出力する。
【0048】
次いで、ステップ6において、三角波生成回路63が周波数演算回路69から出力された信号によって周期T1 の三角波を生成し、比較回路64に対して出力する。さらにステップ7では、周期T1 の三角波とD/A変換回路62から出力される時刻t2 におけるアナログ信号IA2とを比較回路64で比較し、アナログ信号IA2が三角波より大である期間だけ「H」となるパルスを出力する。比較回路64で生成されたパルスはパルス制御回路67でA相のパルスとB相のパルスに振り分けられ、ドライブ回路65,66に出力される。ドライブ回路65(66)は振り分けられたA相(B相)の制御パルスによってインバータ回路36を構成するトランジスタS1およびS4(S2およびS3)を付勢し、これによって、ステップ8に示すように素材1に加熱電流が通電される。
【0049】
即ち、付勢されたトランジスタS1〜S4によって、コンバータ回路34から出力される直流がパルス状の高い周波数交流に変換されてトランス回路38の一次巻線N1 に供給され、このパルス状の高い周波数交流によって一次巻線N1 に一次電流I1 が通電される。この一次電流I1 によってトランス回路58の二次巻線N2 には二次電圧V2 が誘起され、この二次電圧V2 によって通電される二次電流I2 がダイオードD5、D6で整流されて加熱電流(直流)IW が生成される。これにより、加熱電流IW が電極23,26で支持された素材1に通電されて、素材1が加熱軟化する。
【0050】
特に、図6の(イ)に示すクイックアップ通電期間Tqでは、目標電流の変化率(di/dt)は、数千A/秒であるから、周波数fは(K+数千)回/秒という非常に高い値で、その周期Tは1/(K+数千)秒と極めて短い。即ち、1秒間に(1/K+数千)回という非常に高い周波数の制御パルスによって加熱電流の制御が行われる。
【0051】
このようにして、目標加熱電流が一定の変化率で急上昇するクイックアップ通電期間Tqの通電が終了すると、定電流通電期間Tc1 の通電が目標加熱電流波形(図6の(ロ)参照)に従ってなされる。
この定電流通電期間Tc1において、微分絶対値演算回路68は前記クイックアップ通電期間Tqと同様に時刻tn における目標加熱電流波形を微分し、さらに絶対値を求める。この場合、定電流通電期間Tc1における目標加熱電流波形は一定であるため、微分絶対値演算回路68における微分演算の結果は「0」となる。
【0052】
そこで、周波数演算回路69は前記演算結果に基づいて、前述の(2)式における(di/dt)に「0」を代入してfn =Kを求め、さらに、前述の(3)式から周期Tn =1/Kを求めて、この周期Tn に関する信号を三角波生成回路63に対して出力する。
三角波生成回路63が周期Tn の三角波を生成して比較回路64に出力し、この周期Tn の三角波とD/A変換回路62から出力されるアナログ信号とを比較回路64が比較して制御パルスを生成し、この制御パルスに基づいて加熱電流IW が素材1に通電されるのは前述の通りである。
【0053】
この定電流通電期間Tc1における制御パルスの周期Tn =(1/K)秒は、クイックアップ通電期間Tqの制御パルスの周期T=1/(K+数千)秒に比べると非常に長く、非常に低い周波数の制御パルスによって加熱電流の制御が行われる。
【0054】
また、定電流通電期間Tc1の通電が終了すると、図6の(ハ)に示すスローダウン通電期間Ts1 の通電が目標加熱電流波形に従ってなされる。スローダウン通電期間Tc1 の通電制御についても、前記したクイックアップ通電期間Tqや定電流通電期間Tc1の通電制御の場合と同様の方法で生成された所定周波数(所定周期)の制御パルスに基づいて、加熱電流IW が素材1に通電される。このようにして、クイックアップ通電期間Tqと定電流通電期間Tc1とスローダウン通電期間Ts1からなる第1段の通電制御が終了する。
【0055】
さらに、第1段の通電制御が終了すると、図6の(ニ)に示す定電流通電期間Tc1と図6の(ホ)に示すスローダウン通電期間TS1からなる第2段の通電制御および図6の(ヘ)に示す定電流通電期間Tc3からなる第3段の通電制御が、第1段の通電制御の場合と同様の方法で行われる。
【0056】
このように、本実施例では、インバータコントローラ50による加熱電流(直流)の定電流制御は、目標加熱電流波形が急崚(目標加熱電流の変化が大きい)ときに数千分の一秒という非常に短い周期の制御パルスで行われるので、素材1に供給される加熱電流を予め設定した目標加熱電流波形パターンA1に高精度に追随させることができ、目標加熱電流波形パターンA1に対応した加熱電流特性A2に沿った据え込み温度特性が確保されて、短時間のうちに団子部2Aの表面をばらつきのない滑らかな球形状に成形できる。
【0057】
また、通電する加熱電流を示すパルス信号の周波数がトランス回路38の許容値を越えると、トランス回路38の巻線に表皮効果現象が発生し電圧が降下し発熱量が増えてトランス回路38の出力が低下し効率の低下するおそれがあるが、目標加熱電流波形が緩やかである時にはトランス回路38の許容値を越えない低い周波数の制御パルスが出力されるため、トランス回路38の巻線における表皮効果現象の発生が抑制されて、トランス回路38の効率が低下し出力が低下することがない。
また、前段の電流波形パターン部から後段の電流波形パターン部間では、図6の(ロ)〜(ハ)〜(ニ)と(ニ)〜(ホ)〜(ヘ)に示すように、電流波形パターンが滑らかに連続するため、前段の電流制御から後段の電流制御に移行する際の加熱電流は急変することなく徐々に変化し、素材1の加熱温度は急変することなく徐々に変化するので、皺や段差のない平滑な表面の団子部2を成形できる。
【0058】
したがって、素材1に通電する加熱電流(電流計40で検出される電流値)を図4に示す目標加熱電流波形パターンA1に追随するように制御することで、通電開始後2秒足らずで、素材1の先端部を素材1の据え込み可能な最適温度まで高めることができるとともに、据え込み加工終了まで確実に、この最適温度に保持することができる。
【0059】
即ち、まず通電開始直後は、加熱電流を一気に許容最大加熱電流I10まで上げ、通電開始2秒経過まで加熱電流を許容最大加熱電流I10に保持する(2秒間の第1段の定電流制御を行う)。そして、通電開始後2秒経過時点で、加熱電流を許容最大加熱電流I10から2秒かけてI20に下げた後、加熱電流をI20のまま4秒間保持する(4秒間の第2段の定電流制御を行う)。これにより、加熱温度は通電開始2秒経過時に据え込み可能な所要加熱温度を越え、以後は最適据え込み加熱温度Tbestに保持される。さらに、通電開始後8秒経過時点で、加熱電流をI20から2秒かけてI30に下げた後、加熱電流をI30に6秒間保持する(6秒間の第3段の定電流制御を行う)。
【0060】
また、図7には、同アプセッタを用いた据え込み加工により素材先端に団子部が膨出成形される工程が示されているが、(1)は通電開始直後で、まだ加圧されていない状態を示す。(2)は通電開始後2秒が経過して第1段の定電流制御が終了した時で、作用しはじめた加圧力によって素材1の先端部が僅かに外側に拡がった状態である。(3)は通電開始後4秒経過し、第2段の定電流制御開始直前で、加圧力が作用して素材1の先端部が僅かに丸みを持つように拡がった状態で、(4)は通電開始後8秒経過して第2段の定電流制御が行われている時で、素材1先端に軸方向に幾分厚い団子部2Aが形成されている。(5)は通電開始後12秒経過して第3段の定電流制御が行われている時で、素材1先端の団子部2Aはますます軸方向に厚くなっている。(6)は通電開始後16秒経過して第3段の定電流制御が終了した時(据え込み行程が終了した時)で、素材1の先端部には表面が平滑で外径の大きい膨出形状の団子部2Aが成形されている。なお、図5には、図7の(1)〜(6)に示す形態に対応する位置(時点)が示されている。
【0061】
そして、本実施例の電気アプセッタを用いた場合には、所定寸法の素材1を所定の据え込み比となるように据え込み加工(先端に団子部2Aを成形)する場合は、図5に示すように、従来のアプセッタによる加工速度(30秒/本)の倍近い高速処理(16秒/本)が可能となるので、1台の鍛造プレスに対応させて配設する電気アプセッタの設置台数を減らすことができ、製造ラインを構成する設備の配設スペースを大幅に削減できる。特に、高い周波数交流対応のトランス回路38が軽量かつ小形となるので、電気アプセッタの設置スペースを従来のものに比べて1/2に縮小できる。
【0062】
さらに、本実施例の電気アプセッタを用いた据え込み加工では、従来では据え込み加工が困難であった大きな据え込み比の膨出団子部の成形もできる。
【0063】
また、図8は、本実施例の電気アプセッタを用いてそれぞれ素材や寸法の異なる製品1,2,3を据え込み加工する(ただし、目標加熱電流波形パターンは素材の種類や寸法に応じて前記した波形パターンA1と異なる)のに要す時間を従来の電気アプセッタを用いた場合と比較して示す図であるが、製品1,2,3のいずれの場合においても、据え込み工程時間が従来の略1/2に短縮されている。
【0064】
なお、前記実施例の電気アプセッタを用いた据え込み加工では、後段側ほど目標電流値が小さい三段階の波形パターン部からなる目標加熱電流波形パターンA1を用いた定電流制御を行っているが、第2段の波形パターン部の目標加熱電流をもっと低めに設定し、これに続く第3段の波形パターン部の目標加熱電流を第2段の波形パターン部の目標加熱電流より高く設定した目標加熱電流波形パターンで定電流制御を行ってもよい。
【0065】
また、前記実施例では三段階の定電流制御を行っているが、素材1の種類や長さや直径の寸法や据え込み比等に応じて決定した、四段階以上の異なる目標電流値をもつ目標加熱電流波形パターンによる多段の定電流制御を行ってもよい。
【0066】
また、前記実施例では、目標加熱電流波形パターンA1に基づいて素材1に通電する加熱電流をフィードバック制御するように構成されているが、非接触式温度計を素材1の団子部2A近傍に設けるとともに、目標加熱温度波形パターンA2を記憶する目標加熱温度波形パターン記憶回路と、温度計で検出した加熱温度と目標加熱温度波形パターンA2とを比較する比較回路とをコントローラ50に設け、加熱温度が目標値から外れた場合にCPU56が電気アプセッタの作動を停止させるように構成することもできる。
【0067】
また、前記実施例では、自動車用エンジンバルブの傘部を成形する鍛造プレス加工の前工程の据え込み加工に用いる電気アプセッタについて説明したが、本発明の電気アプセッタは、車両用エンジンバルブバルブや舶用エンジンバルブの傘部のための団子部の成形加工にとどまらず、プロペラシャフト,リヤアクスルシャフト,メインドライブギヤ,軸付ギア等の自動車用トランスミッション構成部品の鍛造プレスや切削加工の前工程として、金属棒状素材の先端部や長手方向途中に所定の大きさの半径方向外方膨出部を成形するための装置として広く使用できる。
【0068】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1によれば、素材に通電される加熱電流が直流で表皮効果現象がないので、素材が軟化するまでの時間が短く、さらにインバータ式加熱電流制御の応答性が優れているので、短時間で表面の滑らかな膨出形状の団子部を成形できる。即ち、据え込み加工に要す時間を著しく短縮できるとともに、ばらつきのない一定の団子部の成形が常に可能となる。
【0069】
また、商用周波数より高い周波数交流に用いるトランス回路は従来の商用周波数の交流に用いるトランス回路に比べて軽量かつ小型となるので、電気アプセッタ全体を軽量かつコンパクトに構成できる。
【0070】
また、表皮効果現象がないので、電極から素材内部への通電密度が増加して電極表面における極度の温度上昇が抑制されて、電極の寿命も延びる。
【0071】
特に、本発明の電気アプセッタをエンジンバルブの傘部を製造する前工程に用いる場合は、第1に、従来では困難とされていた大きな据え込み比をもつ据え込み加工製品の成形が可能となり、ひいては従来では困難であった傘径/軸径の大きなエンジンバルブの製造が可能となる。
【0072】
第2に、1台の鍛造プレスに対応させて配設する電気アプセッタの台数を例えば従来の4台に対して3台で済むというように減らすことができるので、バルブ製造ラインを構成する設備の配設スペースを節約できる。
【0073】
なお、エンジンバルブ以外のプロペラシャフト等のトランスミッション構成部品の鍛造プレスや切削加工の前工程として電気アップセッタを用いる場合にも、大きな据え込み比をもつ据え込み加工製品の成形が可能となるとともに、電気アップセッタによる据え込み加工工程を備えたトランスミッション構成部品の製造ラインにおいても、エンジンバルブの製造ラインの場合と同様の理由で、製造ラインを構成する配設スペースを節約できる。
【0074】
請求項2によれば、金属棒状素材の温度は、通電開始後直ちに据え込み最適温度となった後はこの据え込み最適温度に保持される目標加熱温度特性を呈するように制御されて、エネルギーの消費効率に優れた短時間での据え込み加工が可能となる。
【0075】
請求項3によれば、許容最大加熱電流を通電する第1段の電流制御に続いて、互いに目標加熱電流値が異なる第2段,第3段といった多段階の電流制御を行うことで、目標加熱温度特性により近い制御が可能となるので、エネルギーの消費効率がより優れたより短時間での据え込み加工が可能となる。
【0076】
第1段の波形パターン部に対し第2段,第3段等の多段波形パターン部を自由に選択して素材に最適な目標加熱電流波形パターンを決定することで、素材に最適な据え込み工程を遂行できる。
【0077】
請求項4によれば、前段の電流制御から後段の電流制御に移行する際の加熱温度が急変することなく滑らかに徐変するので、皺や段差のない平滑な表面の団子部を成形できる。
【0078】
請求項5によれば、目標加熱電流波形の変化に対応した周波数の制御パルスが出力されるので、目標加熱電流波形の変化が急峻である時には高い周波数の制御パルスが出力されて目標加熱電流波形への追随性が向上する。また、通電する加熱電流を示すパルス信号の周波数がトランス回路の許容値を越えると、トランス回路の巻線に表皮効果現象が発生し電圧が降下し発熱量が増えてトランス回路の出力が低下し効率の低下するおそれがあるが、目標加熱電流波形が緩やかである時にはトランス回路の許容値を越えない低い周波数の制御パルスが出力されて、トランス回路の巻線における表皮効果現象の発生が抑制されて、トランス回路の効率が低下することがない。
【0079】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である電気アプセッタのブロック構成図である。
【図2】インバータ回路制御装置であるインバータコントローラのブロック構成図である。
【図3】(a)電極を介して素材に供給される加熱電流(直流)の出力特性図である。
(b)素材内部における加熱電流(直流)の電流密度の分布を示す図である。
【図4】本実施例の電気アプセッタの加熱電源装置の動作を説明するフローチャートである。
【図5】電極を介して素材に供給される加熱電流(直流)の目標加熱電流波形パターンと同パターンに対応する加熱温度特性を従来の交流サイリスタ式電気アプセッタの場合と比較して示す図である。
【図6】目標加熱電流パターンの詳細を説明する図である。
【図7】本実施例の電気アプセッタを用いた据え込み工程(素材先端に団子部を成形する工程)を説明する図である。
【図8】本実施例の電気アプセッタを用いた製品1〜4の据え込み工程(団子部成形工程)時間を従来の電気アプセッタの場合と比較して示す図である。
【図9】従来の交流サイリスタ式電気アプセッタのブロック構成図である。
【図10】交流サイリスタ式電気アプセッタを用いた据え込み加工により素材先端に団子部が成形される工程を説明する図である。
【図11】(a)電極を介して素材に供給される加熱電流(交流)の出力特性図である。
(b)素材内部における加熱電流(交流)の電流密度の分布を示す図である。
【符号の説明】
1 金属棒状素材
2A 団子部
30 加熱電源装置
23,26 電極
25,27 加圧機構であるシリンダ
32 交流電源
34 コンバータ回路
36 インバータ回路
38 トランス回路
39 整流回路
40 電流計
50 インバータ回路制御装置であるインバータコントローラ

Claims (5)

  1. 金属棒状素材を加熱電源装置の電極間で通電加熱しながら、加圧機構で素材を軸方向に圧縮して据え込み加工する電気アプセッタにおいて、前記加熱電源装置は、交流電源から供給される交流を全波整流するコンバータ回路と、前記コンバータ回路から出力される直流を商用周波数より高い周波数の交流に交換するインバータ回路と、前記インバータ回路から出力される一次電流を変成して二次増幅電流を生成するトランス回路と、前記トランス回路で生成された二次電流を整流し加熱電流として前記電極に供給する整流回路と、前記整流回路と電極間に設けられて前記加熱電流を検出する電流計と、前記電流計で検出した電流値が予め設定した目標加熱電流値に追随するように前記加熱電流を制御するべく前記インバータ回路に出力するインバータ制御回路と、を備えたことを特徴とする電気アプセッタ。
  2. 前記インバータ制御回路は、金属棒状素材の加熱温度が通電開始と同時に据え込み最適温度に急上昇した後ほぼこの最適温度のまま据え込み工程終了まで推移する目標加熱温度特性を呈するように、予め設定した目標加熱電流波形パターンに基づいて前記加熱電流を制御するように構成され、前記目標加熱電流波形パターンは、金属棒状素材への通電開始と同時に所定の許容最大加熱電流を通電するための第1段の波形パターン部と、前記第1段の波形パターン部に続く、第1段の波形パターン部に対応する電流値よりも低い加熱電流を通電する第2段の波形パターン部とを少なくとも備えた多段波形パターンで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の電気アプセッタ。
  3. 前記目標加熱電流波形パターンは、前記第2段の波形パターン部の後に、第2段の波形パターン部に対応する電流値とは異なる加熱電流を通電するための第3段の波形パターン部を少なくとも備えたことを特徴とする請求項2に記載の電気アプセッタ。
  4. 前記目標加熱電流波形パターンを構成する前後段の波形パターン部間では、電流波形パターンが滑らかに連続することを特徴とする請求項2または3に記載の電気アプセッタ。
  5. 前記インバータ制御回路は、目標加熱電流波形パターンを記憶する加熱電流波形パターン記憶手段と、前記目標加熱電流波形パターンを微分して絶対値をもとめる微分絶対値演算手段と、三角波を生成する三角波生成手段と、前記目標加熱電流波形パターンに対応するアナログ信号を出力するアナログ信号出力手段と、前記絶対値と直前の絶対値とを比較し、比較結果に基づいて前記生成された三角波の周波数を演算する周波数演算手段と、前記アナログ信号が前記生成された三角波より大であるときに、前記インバータ回路を付勢するための制御パルスを生成する制御パルス生成手段と、を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電気アプセッタ。
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