JP4338415B2 - 2つの金属部品のフラッシュ溶接での溶接制御方法および装置 - Google Patents

2つの金属部品のフラッシュ溶接での溶接制御方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は2つの金属部品、特に長手方向軸線に沿って互いに前後して走行する2枚の帯状鋼板の突合せ溶接の制御方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属製造設備、特に金属ストリップの製造設備では、互いに前後して走行する2枚のストリップを結合することが必要になることが多い。例えば小さい鋼板コイルから長い鋼板コイルを作ったり、種々のコイルから来るシートを酸洗ライン、圧延ライン、亜鉛めっきライン等の連続冶金加工設備で処理する場合に必要になる。これらの用途で使用される溶接機は所望の目的に合ったものでなければならない。この溶接は、例えば互いに前後する2枚のストリップの前後端部を互いに上下に重ね、横断方向に移動する2つのローレットロール間に電流を流して行うことができるが、この場合には厚さが過剰になり、多くの場合、この過剰な厚さは避けなければならない。
【0003】
従って、多くの場合、両方のストリップを突合せ溶接する必要がある。そのためには先ず2枚のストリップの前後端部を完全に平行な2本の線に沿って剪断し、次いで、互いに対向する端部を近づけ、両端部の部間にフラッシュ溶接機とよばれる装置を用いて低電圧の電圧を印加する。
【0004】
しかし、実際には両部品の剪断端部に沿って必然的に凸凹ができるため、この凸凹によって、剪断端部を互いに近づけた時に接合ラインに沿って一連のミクロ接点が分布し、各ミクロ接点にはミクロ短絡が生じ、強い電流が流れる。このミクロ短絡領域では短絡ブリッジが形成され、金属が液体になる。こうしてできた溶融金属の液滴は電磁力の作用で除去され、火花が散るが、短絡ブリッジ場所を取り囲んだ領域は強く加熱される。短絡ブリッジは接触端縁に沿って広い範囲に広がるため、両方のストリップの端部はその幅方向全体にわたって高温に加熱される。
【0005】
両方の部品が十分な温度まで加熱されたときに、両方の部品に高圧を加えて接触端縁を互いに溶込ませ、接合ラインの各側で一種の鍛造によって溶接を行う。この方法はフラッシュ溶接とよばれ、広く知られているので詳細には説明しない。
【0006】
フラッシュ溶接機は種々の機能を有していなければならない。すなわち、2つの固定クランプの間に両方のストリップ端部を位置決めし、2つの端縁を平行に剪断し、両方の端縁を接触させ、電流を流して両方のストリップ端縁を所望温度に加熱し、一方の端縁を他方の端縁に強く当接させて所望の鍛造効果を与えるという一連の操作を続けて行わなければならない。一般にはこの鍛造操作によってフランジができるので、冷却後にこのフランジを削って製品の厚さを一定にする必要がある。
【0007】
一般に、フラッシュ溶接機は両方の溶接される部品(以下、溶接部品という)の端部を固定するために固定フレームと可動フレームにそれぞれ取付けられた2対の固定クランプと、これら2対の固定クランプにそれぞれ接続された二つの極性の電流源を有する電気溶接回路と、被溶接端縁を互いに接近させ、接触させるために固定フレームへ向って可動フレームをさせる、一般に液圧ジャッキを備えた指令手段とを有している。このような溶接機は例えば下記文献に詳細に記載されている。この文献には溶接ビードの剪断、溶接および切削操作を単一の機械で行うことができる装置が記載されている。
【0008】
【特許文献1】
フランス国特許第2,756,504号明細書
他の形式の機械も公知である。例えば、可動チャックおよび固定チャックと、片持ち距離の調節手段と、剪断された端縁を互いに接近させる手段とを有する装置が知られている。固定チャックはストリップの各側に配置された一対のクランプを有し、大きな熱慣性を有し、フラッシュ溶接で生じた熱を吸収する。
【0009】
ストリップの各端部を所望温度へ加熱するためには、剪断端縁とそれに対応するチャックの端部との間には「片持距離」とよばれるフリーな空間(自由距離という)を残す必要がある。この自由距離は互いに矛盾した基準に従って決定しなければならない。
【0010】
既に述べたように、加熱強度を決める短絡ブリッジによって金属の液滴が除去されるため、フラッシュ溶接中に一定量の金属が消費される。従って、上記の片持距離の長さはこのような金属の消費を可能にする長さにしなければならない。しかし、溶接されるストリップは薄いため、必要な片持距離の長さを考慮に入れると端部が湾曲、変形して溶接の質が悪くなる危険がある。従って、片持距離はできるだけ正確に計算しなければならない。
【0011】
一方、稼動チャックの運動は正確に制御する必要がある。すなわち、加熱初期には両方の部品を互いに少しずつ接近させて両者の端部を接触させることによって火花になって失われる金属を補償する必要がある。従って、温度上昇につれて接近速度を増加させるのが望ましいが、あまり急に接近させると火花現象を停止させる短絡になるため、そうしたことは避ける必要がある。
さらに、鍛造時の急速な接近は片持部分が湾曲することが多いため避ける必要があり、また、加熱され片持距離の部分を超えて鍛造がされないようにストッパーで運動を止める必要がある。しかし、ストッパーで運動を急に止めると、終わったばかりの溶接部に短時間の間に張力が生じ、溶接の品質が損なわれる。
【0012】
これら全ての現象は溶接部品の特性、特に厚さと金属組成に依存するので、この種の機械の運転は実際の溶接状況をモニターしながら機械の運転を制御できる熟練者が行わなければならない。
可動フレームの移動は一般に一つまたは複数の液圧ジャッキによって制御されるので、下記文献では溶接プロセスの少なくともいくつかの段階で鍛造に必要な速度に達するまで可動クランプの速度を徐々に上げることができる放物線断面形状を有するカムによって制御された分配器を用いて半自動的に液圧ジャッキの動作を制御することが提案されている。
【0013】
【特許文献2】
米国特許第3,528,340号明細書
【0014】
しかし、あまりに急速に接近させるとフラッシュ溶接現象を抑制するおそれのある大きな短絡を生じるので過度に急速にしてはならない。従って、カムの断面形状は被溶接部品の種類と寸法、特に厚さに合せなければならず、例えば複数の試験によって決定する。そのため製造計画を変更したときには新しい製品の特性に適した断面形状の別のカムを使用しなければならない。
【0015】
しかし、顧客の要求はますます多様になっており、全ての需要に応じるのに十分な数のカムを用いることは容易ではない。さらに、カムは所定の溶接条件に合わせて作られているので、部品が加熱および鍛造される実際の条件を各部品毎かつ各瞬間毎に考慮することはできない。従って、要望を満たすことができるのは運転者自身の経験と新しい試験であるが、そのためにはかなり長い時間が必要になる。
【0016】
「連続接近段階」とよばれる他の方法は例えば下記文献に記載されている。
【0017】
【特許文献3】
欧州特許第EP-A-0,413,821号明細書
この文献に記載の方法では、フラッシュ溶接プロセス中に溶接電流を測定し、この電流の測定値を所定の2つの値の間に維持してフラッシュ溶接プロセスの中断および短絡を避けるように可動フレームの移動を制御する。移動は測定した電流が所定値に達しかつ溶接部品が10〜50Hzの周波数で振動する時に停止する。
しかし、この方法では溶接プロセスで起こる全ての物理的現象を考慮することができない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、溶接部品の構造上および寸法上の特徴だけでなく電気溶接パラメータの各瞬間での実測値を考慮した最高の条件で溶接を行えるように、可動フレームの移動を自動制御する新規な方法によって上記の全ての問題を解決することにある。
本発明ではフラッシュ溶接段階だけでなく、鍛造段階、さらには鍛造後も溶接部品の位置と相対移動を制御することができる。
実際には、クランプの位置を制御することによって溶接部の凝固、溶接部のトリミングおよび溶接部のアニールに最適な条件を管理することができる。
【0019】
本発明方法は製造プログラムに応じて変化する特性を有するコイル状ストリップを突合せ溶接する必要のある金属ストリップの連続ライン製造設備で特に有利である。すなわち、そのような設備では溶接を中断すると(例えば、圧延中に溶接が中断されると)製造が中断され、経済的に大きな損失が生じる。従って、溶接条件を被溶接金属シートの特性に自動的に合わせて溶接の品質を向上させることが特に重要である。
【0020】
さらに、前後に連続した2つのストリップを溶接する時にはストリップの走行を停止しなければならないので、連続ライン設備では溶接に必要な時間の間、ラインの他の区間でストリップの走行を可能にする大きなアキュムレータを設ける必要があるが、本発明の構成を採用することによって溶接サイクルの時間を短縮することができ、従って、必要なアキュムレータの数を減らすことができる。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は一般に、固定フレームと長手方向に移動する可動フレームとを有し、各フレームは2つの溶接部品のそれぞれに対する一対の固定クランプを支持し、さらに、両方のフレームを互いに相対移動させる手段を有し、2対のクランプは電源に接続されて溶接部品の両端部が互いに接触した後に溶接電流を流すようになっているフラッシュ溶接機に適用される。
【0022】
本発明では、溶接電流の少なくとも電圧および強度を含めた一組の電気パラメータと固定フレームに対する可動フレームの相対位置とが各瞬間で求められ、各瞬間値の少なくとも1つの値から可動フレームの移動位置が調整され、両方の溶接部品の端部の接近速度を少なくとも溶接プロセスの一つの期間に溶接プロセスの進行度に応じて制御する。
【0023】
【発明の実施の形態】
一般に溶接は、端部に沿って火花を発生させながら一連のミクロ電気接触を生じさせて接触状態の端部を溶接温度に加熱する第1フラッシュ溶接段階と、加熱された端部を鍛造長さの所で互いに係合させる第2鍛造段階との2つの連続した段階で行われる。
本発明では、第1フラッシュ溶接段階で、溶接部品の構造上および寸法上の特徴に関する動的法則に従って可動フレームの移動速度を制御することによって固定フレームに対する可動フレームの移動位置を電気溶接パラメータの少なくとも1つの測定値に従属させ(slaved)、また、接近速度を徐々に上げながら温度上昇とともに溶接電流強度を増加させ、短絡を回避するために接近速度を制限する。
【0024】
そのためには可動フレームの移動速度を3つの項の和を求める数学的法則に従って制御するのが有利である。この3つの項は溶接電圧に比例する可動フレームの基本速度に対応する第1項と、溶接電圧の変化の関数である短絡を回避するために移動速度を制限する第2項と、温度上昇とともに移動を加速しながら溶接電流強度を上げるために、溶接電流強度の各瞬間の測定値と溶接部品の特徴に依存する基準強度とを比較して得る第3項である。
【0025】
好ましい実施例での移動速度の制御法則は下記の式を有する:
v(t)=VKUs+S(KUs−Up)+Γ∫(Iref- Is)dt (1)
(ここで、
v(t)は可動クランプの瞬間速度、
VKUsは溶接電圧に比例する基本速度、
Sは速度修正値を変調するための感度係数、
Kは一次給電回路と二次溶接回路との変圧比、
Usは各瞬間で測定される二次電圧回路、
Upは一次給電電圧、
Isは溶接電流強度の各瞬間での測定値、
Irefは溶接部品に依存する溶接電流強度の基準値、
Γは加速度の調整利得である)
【0026】
本発明の別の有利な特徴は、第2鍛造段階での可動フレームの移動位置が液圧によってリバウンド無しに制御するように調整され、クランプが鍛造長さだけ接近した後に可動フレームを停止することにある。
鍛造段階では固定クランプに対する可動クランプの接近を連続変化則(この連続変化則では急加速後に少しづつ減速し、所定の鍛造長さに対応する位置で可動クランプを停止する)に従って制御される移動速度(v)で極めて短時間で行うのが好ましい。
【0027】
本発明はさらに、下記(1)〜(3)を有するフラッシュ溶接機の運転を制御する装置に関するものである:
(1) 2対のクランプの間に流れる溶接電流の少なくとも電圧および強度を含めた一組の電気溶接パラメータを連続的に測定する手段、
(2) 固定フレームに対する可動フレームの各瞬間での相対位置を測定する手段、
(3) 両方の部品の端部の接近速度をリアルタイムで制御し、測定された電気溶接パラメータの測定値の少なくとも1つの値から可動フレームの移動位置を制御する位置調整手段。
【0028】
固定フレームに対する可動フレームの移動手段は電源回路と組合された少なくとも1つの液圧ジャッキを備え、このジャッキの運転は液圧式の流量調節部材によって制御され、この調節部材は位置調整手段によって溶接プロセスの進行度に応じて少なくとも1つの動的法則に従って制御される。
位置調整器は溶接部品の構造上および寸法上の特徴を考慮した少なくとも1つの相対移動則が記憶された計算ユニットを備え、この計算ユニットは固定フレームに対する可動フレームの各瞬間での位置を表す信号と、電気溶接パラメータの少なくとも1つのパラメータのリアルタイムの進行度を表す信号とを受けるのが特に有利である。
【0029】
好ましい実施例では、位置調整器が閉じた2つのカスケード制御ループ(すなわち可動フレームの相対位置の一次制御ループと、計算ユニットに記憶された少なくとも1つの動的移動則に従って電気溶接パラメータの少なくとも1つのパラメータの進行度を考慮して基準位置を設定するための主ループ)と組合される。
本発明による可動フレームの移動位置の制御手段は、溶接部の凝固条件を制御してトリミングに最適な温度を得ることができ、必要な場合にはさらに、切削操作の完了後にクランプ間でアニールを行って溶接部の後処理を行うこともできる。
本発明の上記以外の有利な特徴は添付図面を参照した例示としての下記の本発明実施例の説明から理解されよう。
【0030】
[図1]はフラッシュバット溶接機の全体を概念的に示したもので、この溶接機は固定フレーム1と可動フレーム1'とを有し、これらのフレーム1、1'の間ほぼ水平な走行平面を規定するローラテーブル(図示せず)上に支持された金属ストリップが走行する。
連続走行を維持するためには第1ストリップAの走行方向後端部を第2ストリップA'の前端部に突合せ溶接しなければならない。この目的のために両ストリップの走行を止め、[図1]に示す位置に位置決めする。
【0031】
図示した実施例では、可動フレーム1'が前後方向に移動可能である。そのため可動フレーム1'は水平軸線を有する懸架ローラ11によって支持され、垂直軸線を有するローラ11'によってその横方向が案内され、2つの液圧ジャッキ12の作用でストリップA、A’の長手方向走行軸線に対して平行に摺動する。ジャッキ12の本体は固定フレーム1に取付けられ、ジャッキ12のステムは可動フレーム1'と当接する。ジャッキ12はストリップの各側に配置されかつ互いに同期して動作する。機械の中間面に単一のジャッキを配置することもできるということは明らかである。
【0032】
固定フレーム1には下側クランプ2aと上側クランプ2bからなる一対のクランプを有するクランプチャックが取付けられている。下側クランプ2aの上側部分はほぼストリップA、A’の水平走行面P内に配置され、上側クランプ2bは少なくとも1つのクランプジャッキ13の作用で垂直方向に移動することができる。このジャッキ13は単一ストロークのジャッキにすることができる。上側クランプ2bはストリップAの通過および位置決めのためにチャック2を開口状態に維持するための1つまたは2つのジャッキ14によって持上げることができる。
【0033】
同様に、可動フレーム1'はクランプジャッキ13'とリフトジャッキ14'とによって駆動される2つの固定クランプで構成されるチャック2'を支持している。
上記の機械は一般に両方のチャック2,2'のクランプの間を平面Pに沿って走行する金属ストリップを処理する設備に組み込むことができる。通常の運転時にはチャックはジャッキ14,14'によって開口状態に維持される。
前後に連続した2つのストリップを溶接する場合には、先ず最初に、第1ストリップAの走行を停止し、その後に端部(a)にチャック2を締め付けた後、後端縁3を剪断機(図示せず)で完全な直線に切断する。
【0034】
同様に、第2ストリップA'が送られ、その前端部(a')を可動チャック2'のクランプの間で締付けた後、その前端部3'を第1ストリップAの後端部3に対して完全に平行に切断する。
両ストリップA、A’は、片持距離(各剪断端縁3,3'とそれに対応するチャック2,2'のクランプの端部との間の距離e、e')を調節するために正確に位置決めされる。その後、両方のチャック2,2'を両ストリップA、A’の一部a、a’の上から締め付ける。
【0035】
片持距離の長さは剪断後に較正されたくさびによって調節することができるが、上記のフランス国特許第2,756,504号に記載の方法で、両方のストリップの剪断と片持距離の調節とを同時に行うこともできる。両方のチャック2,2'を調節し、締め付けた後に、ジャッキ12を作動して可動フレーム1'を前進させてチャック2,2'の間に締付けられた両方のストリップA、A’の対向端縁3,3'を互いに接触させる。
【0036】
両方のチャック2,2'のクランプは導電性銅で作られ、電流源5の両極に接続される。従って、両方のストリップA、A’にはフラッシュ溶接段階で電流が流れ、既に述べたように、両方の接触端縁3,3'に近い両ストリップの片持距離の端部30,30'が高温に加熱される。
一般に、電流源は配電網に接続された一次コイル41と、二次コイル42とを有する変圧器4を備え、二次コイル42は両方のチャック2,2'のクランプに一組のバー16,16'を介して接続されている。
【0037】
本発明は交流または直流で給電できる任意形式のフラッシュ溶接機に適用できるが、以下に述べるように、本発明の用途では下記文献に記載の非変調直流で給電するのが有利である。
【特許文献4】
米国特許第6,429,398号明細書
この場合、変圧器は整流器と組合され、さらに、チャック2,2'の間に印加される電圧を被溶接部品の金属の種類および寸法を考慮して連続的に変調する手段と組合される。このようなフラッシュ溶接の構造および運転法は上記フランス国特許第2,756,504号に詳細に説明されているので、必要に応じて参照されたい。
【0038】
本発明では可動フレームの移動位置が[図2]および[図3]に示す閉ループによって制御される。図示した実施例では、固定チャック2に対する可動チャック2'の移動が液圧回路5によって液圧設備51から油圧が供給される2つの複動式の液圧ジャッキ12a、12bによって制御される。この液圧回路5は両法のジャッキ12a,12bの移動を確実に同期させるために、ジャッキの供給速度を調節するための部材、例えば各ジャッキ12a,12bの2つの室に同じ長さの配管部分52,53を介して接続されたサーボ弁50を有している。
【0039】
両方のジャッキ12a,12bは各瞬間の固定クランプ2に対する可動クランプ2'の相対位置を表す信号を出す2つの位置変換器15a,15bとそれぞれ組合されている。既に述べたように、2対のクランプ2,2'は一次回路41と二次回路42とを有する変圧器4のような電圧発生器の両端子に導電性バー16,16'を介してそれぞれ接続されている。
【0040】
変換器6は溶接プロセス中の電気的パラメータ、特にクランプ2,2'の間を流れる電流の強度Isおよび電圧Usと、電圧発生器4の電源電圧Upとを測定する。溶接電流の電圧Usは電源電圧の導電性バー16,16'ではなく、クランプ2,2'の端部に固定された溶接クランプ2,2'のソケットで直接測定するのが好ましい。公知のように、クランプの電源電圧回路の電流強度Isは電流強度の変成器43を用いて測定することができる。
【0041】
変換器6が出す対応した測定信号は調整器7を形成する電気制御組立体に表示される。この調整器7は2つのカスケード調整ループ(すなわち位置制御用の一次閉ループ61および溶接プロセスの運転を考慮して基準位置を設定するための主閉ループ62)と組合された計算ユニット70を有する。
この計算ユニット70は、受けた測定信号から溶接部品の特徴の関数で速度基準を設定するようにプログラムされており、この速度基準を積分して基準位置を出力する。この基準位置を一次ループ61が出力した瞬間位置測定値と比較し、可動クランプ2'の移動位置を制御するためのサーボ弁50の制御信号を調整器の出力71で生成する。
【0042】
この速度基準は、溶接プロセスの前にキーボードまたはその他の操作者が利用可能な任意の手段を用いて調整器の入力72へ手動で入れるか、金属ストリップの連続処理設備の場合には別の生産管理計算機から入力して、表示される、両方の溶接部品A、A’の構造上および寸法上の特徴を考慮して、本発明方法の各段階(加熱段階および鍛造段階)で2つの異なる方法で作られる。
【0043】
調整器7の調整技術、特にデジタル技術は周知であり、詳細な説明は必要としない。[図3]は本発明を実施するための調整器7のアナログ等価回路の一例を示ししいる。
固定クランプ2および可動クランプ2'の電源は一般に一次回路41と二次回路42とを有する変圧比がKの変圧器4から供給される。
【0044】
既に述べたように、本発明は交流または直流が給電される機械に適用できるが、電気パラメータを測定して調整を行うことを考えると、上記米国特許第6,429,398号に記載のような変調した直流を給電するのが特に有利であろう。それによって回路網の周波数からくる自己誘導部分を除いて、フラッシング現象に関連した変化のみを考慮に入れることができ、給電網の周波数に関する誘導現象に起因する測定への影響を避けることができる。
【0045】
フラッシュ溶接段階では両部品の端部30,30'が加熱され、この段階中に一次給電電圧Up、溶接電流の二次電圧Us、電流強度Isが一組の電気変換器6で測定され、対応する信号が主調整ループ62を介して調整器7へ導入される。この調整器7には溶接部品の構造上および寸法上の特徴が表示される。
計算ユニット70はこの一組のデータから移動則の各項を生成して、一次位置調整ループ61のための基準命令を設定できるようにプログラムされている。
【0046】
既に述べたように、先ず最初に両方のストリップA、A’の片持部分30,30'の長さe,e'を周知の方法で調節し、次いで、両ストリップ上にクランプを締付け、クランプに電圧を印加する。サーボ弁50はジャッキ12の供給力を制御する。可動フレームが固定フレーム1へ向かって移動を開始する。この速度は一般に二次電圧に比例し、従って、VKUsで表すことができる。
【0047】
移動則の第1項(1)は増幅器73で作られる。この増幅器73には二次電圧Usに対応する信号が印加され、増幅器73が可動フレームの移動の基本速度VKUsを決定する。
一般に、二次電圧Usの瞬間値の範囲は常に真空(empty)電圧Uvと短絡電圧U0の間にある。すなわち、始動時にクランプ2,2'が互いに当接すると、両方のストリップの対向端縁3,3'が離反し、二次電圧Usは真空電圧Uvに等しくなる。逆に、シートメタルの端縁3,3'の全長に電圧を印加すると短絡が起きる。
【0048】
従って、常に下記の式が成り立つ:
Uv≧Us≧U0 (2)
【0049】
既に述べたように、フラッシュ溶接の原理では、シートメタルの剪断端縁3,3'の凸凹は不可避であることを考慮して、シートメタルを互いに接近させて一連の短絡ブリッジを発生させ、火花を出させて端部30,30'を加熱する。
接触領域の外側へ放出された火花は金属の一部を引き抜く。加熱に必要な短絡の形成を維持するために端縁3,3'が十分に接触するようにこの部分を補償しなければならない。フラッシュ溶接段階中は固定フレーム1に対する可動フレーム1'の接近速度を一定に維持しなければならない。
【0050】
しかし、この速度は両方の端縁3,3'がその全長で互いに当接すると大きな短絡が生じるため、両端縁3,3'が当接しないように制限しなければならない。
本発明では、固定クランプ2に対する可動クランプ2'の接近を調整器7が移動則(加熱するのに過不足なく十分な接触を維持することができ、しかも完全な短絡を避けるという移動則)に従って制御する。
【0051】
これは溶接電圧を主要パラメータとして用いることで得られる。実際には、対向する端縁3,3'が離れ過ぎた場合には、二次電圧Us値が真空電圧Uvに近づき、加熱が不十分または非加熱になる。従って、ミクロ接点の十分な広がりを維持するためには接近速度を加速しなければならない。逆に、両端縁3,3'が接近し過ぎた場合には、二次電圧Usが短絡電圧U0に近づき、端縁が完全に接触する前に可動クランプ2'を制動しなければならない。
【0052】
そのため、[図3]では二次電圧Usの値に例えば増幅器74を用いて変圧比Kを掛けたものを比較器74'で一次電圧Upと比較し、移動速度の修正信号を生成する。その際に、感度係数Sを考慮に入れてこの修正値を変調させて不規則な移動を防止するることができる。
このように一次電圧Up値を基準とし、電源網の電圧値の変化が調整に影響を与えないという点は注目すべきである。
【0053】
固定クランプ2,2'の熱的慣性によって、短絡ブリッジによって生じるカロリーの一部は互いに接触した端縁の後方で排熱される。この熱損失は温度に比例する。フラッシュ溶接プロセス中の接近速度が一定である場合は、シートメタルが互いに接触した状態にある端縁3,3'に沿ってのみ加熱され、片持部分30,30'は所望の鍛造効果を得るのに十分な温度には達しない。
従って、温度上昇につれて発熱量(従って電流強度)を上げ、しかも、電流強度を短絡値以下に保ちながら、これらの損失を補償する必要がある。
【0054】
しかし、強度に抵抗を掛けて得られる積に等しい二次電圧Usは加熱中にほぼ一定に保たなければならない。従って、本発明では接触状態にある端縁3,3'の接近速度を上げ(従って、火花生成点の数を増やし)ながら、強度(従って、発熱量)を増加させることができ、それによって両方のシートメタルの見掛け接触抵抗を低下させることができる。
【0055】
一般に、接触抵抗は溶接部品の種類および寸法に依存するので、例えば予備テスト後に、基準強度Irefと変化比とによって規定されるフラッシュ溶接プロセス中の電流強度の変化範囲を設定することができる。電流強度の瞬間値Isとの差から、各瞬間に達成すべき電流に近づくことができる加速度項を計算することができる。
【0056】
[図3]に示す等価回路の実施例ではこのようにして求めた差(Iref-Is)を演算増幅器75で積分(利得Γ)することで溶接部品の種類を考慮に入れ且つ移動速度の全体的な変化で得られた加速度の項の作用を変調することができる。
すなわち、フラッシュ溶接段階中に調整器7は移動則の3つの項を生成し、下記の式に従って瞬間速度v(t)を変えることができる:
【0057】
v(t)=VKUs+S(KUs−Up)+Γ∫(Iref- Is)dt (1)
(ここで、
v(t)は可動クランプの瞬間速度、
VKUsは溶接電圧に比例する基本速度、
Sは速度修正値を変調することができる感度係数、
Kは一次給電回路と二次溶接回路との変圧比、
Usは各瞬間に測定される二次電圧回路、
Upは一次給電電圧、
Isは溶接電流強度の各瞬間での測定値、
Irefは溶接部品に依存する溶接電流強度の基準値、
Γは調整利得である)
【0058】
既に述べたように、[図3]は調整原理を分析するためのアナログ均等回路を示しているが、同じ機能を有するデジタル調整装置を用い上記の動的移動則(1)に従って調整するのが好ましい。
始動時に両方のシートメタルの対向端部3,3'が離反すると、二次電圧Usが真空電圧Uvに等しくなり、真空電圧Uv自身は一次電圧Upに変圧比Kで比例する。
【0059】
次に、調整器7が基本速度VKUsを決定し、この基本速度VKUsは式の第3項に従って徐々に加速され、加熱エネルギーが増大するが、二次電圧Usは式の第2項によって少なくとも所定の時間ほぼ一定に保たれる。加速度項はストリップが全幅で均一に加熱される始動段階後にのみ作用するのが好ましい。
[図3]の等価回路図からわかるように、上記のようにして生成された式(1)の3つの項に対応する信号は加算器76で処理される。この加算器76は速度の制御信号v(t)を送り出す。
【0060】
積分器77は、このようにして計算された瞬間速度v(t)と可動チャック2'の初期位置y0の関数で可動チャック2'の基準位置を下記の式に従って計算し、生成する:
y=y0+∫v(t) (3)
【0061】
この基準位置は比較器71に表示される。この比較器71は変換器15が送信した瞬間位置信号を一次調整ループ61で受信し、動的移動則(1)に従ってサーボ弁50の制御信号を生成し、可動クランプ2'の移動を所定速度に制御する。
既に述べたように、調整器7の各部材の利得V,K,S、および基準強度Irefは例えば種々のテストによって溶接部品ごとに決定される。
本発明の調整システムはシートメタルの他のフォーマットや他の形式の鋼の調節を容易に最適化することができるので、製造範囲をカバーするのに必要なテストの数は制限される。
【0062】
実際には、調整制御パラメータは電気的な値であるので、一定の形式のシートメタルに対して行った調節を基にして溶接材料の電気的特徴に応じて新しい基準値を求めることになる。寸法変更の場合も同じである。
加熱プロセスを決定する電気パラメータは常に制御されるので、溶接は最高の条件で行なわれ、うかも、個々のケースで接近速度(従って、溶接電流強度)の最適変化範囲を求めることができる。従って、溶接性を損なわずにフラッシュ溶接時間を最短時間に短縮することができる。
【0063】
[図4]はフラッシュ溶接時間が約10秒間の溶接の一実施例を示している。この[図4]は電圧(左の目盛にボルトで示す)および溶接電流強度(右目盛にアンペアで表す)の変化を横座標の時間の関数で表した2つのグラフである。
曲線(p)は一次電圧Upの変化を表し、この値はフラッシュ溶接段階全体を通じてほぼ一定であり、シートメタルを鍛造するために互いに当接した時(すなわち約12秒後に短絡が生じた時)に急激に下がる。
曲線(s)は変圧係数を考慮に入れた二次電圧値KUsの経時変化を表す。この値はフラッシュ溶接現象がかなり不安定なためにある程度変動するが、フラッシュ溶接段階全体を通じて(すなわち11秒まで)ほぼ一定で、平均値に近い値で変動する。
【0064】
[図4]に点線で示した曲線(i)から二次強度Isはフラッシュ溶接ストロークの半分以上で急速に増加することがわかる。一方で、既に述べたように二次電圧はほぼ一定である。このことは可動クランプの移動を加速して発熱量を増加させても短絡を避けることができたことを意味している。
鍛造時(すなわち12秒後)には短絡によって電流強度は急激に上り、その後下がり、電圧と一緒に消える。
【0065】
しかし、鍛造ストロークを実施した後は金属が凝固するまで熱的影響を受けた領域の冷却速度を制御するために2つのクランプの間に小さい電圧を維持するのが好ましい。
本発明では可動フレームの位置を制御できるので鍛造プロセスを制御することもできる点に注目すべきである。すなわち、フラッシュ溶接段階で加熱を完全に制御できるので、この段階で用いられる金属の量と鍛造に必要な片持長さ(すなわち固定クランプ2に対する可動クランプ2'の相対位置)とを決定することができ、シートメタルがその加熱部分で互いに係合するのに必要な鍛造ストロークでその位置から固定クランプの急速な接近を開始することができる。
【0066】
積分器77の上流に配置されたスイッチ63は位置変換器15によって制御される。この位置変換器15はフラッシュ溶接プロセスに予定されたストロークの終わりに、鍛造のために、可動フレーム1'を信号発生器64によって決定される速度変化プロフィルに従って急加速を開始させる。
【0067】
[図5]はこの基速度変化プロフィルの一例を示している。この[図5]は可動クランプ2'の位置(縦座標に示す)の変化を時間(横座標に示す)の関数で表したものである。
既に述べたように、調整器7を用いて可動フレーム2'を従動させることによってフラッシュ溶接段階で金属が消費された後に残る片持長さが必要な鍛造ストロークに少なくとも等しくなるような可動フレームの位置(y1)および瞬間(t1)にフラッシュ溶接プロセスを停止することができる。この瞬間(t1)から信号発生器64に記憶されたプログラムによって可動フレームの移動が急加速され、その後、徐々に制動され、移動速度がゼロになる位置(y2)で可動フレームは停止する。
【0068】
すなわち、可動クランプ2'の移動は差(y1−y2)に等しい鍛造ストローク全体で[図5]に示すような空間/時間軌道に従うように基準位置のリアルタイム計算によって管理される。
従って、先ず第1に、重量が50〜100tにもなる可動フレーム1'の慣性が極めて高くても、ジャッキ12に最高の動力を送って可動クランプ2'の移動を最大限に加速することができ、極めて短時間(t2−t1)、例えば150ミル/秒に鍛造を実施でき、徐々に移動を制動して所望の鍛造ストローク(y1−y2)を正確に実行することができる。
【0069】
このような正確で精密な制動操作によって、公知の機械の欠点、すなわち可動フレームの移動は機械的ストッパーで停止しなければならず、従って、リバウンド(跳ね返り)によって可動クランプがわずかに後退し、凝固中の溶接部の品質が損なわれるという欠点を避けることができる。
本発明では可動フレームの移動の位置制御が衝撃吸収効果を有する液圧式ストッパーの役目をするのでリバウンドは避けられる。
【0070】
また、本発明では可動クランプの位置の制御と電気パラメータの変化の制御を同時に行うことによって溶接部の凝固に必要な時間の間、可動クランプおよび固定クランプ2,2'の間の距離を制御することができ、また、この間に部品A、A’の間に短絡電流を流して溶接による熱的影響を受けた領域をジュール効果によって制御下に冷却することができる。従って、本発明では溶接材料のグレードに合った条件で最適な品質を有する溶接部を得ることができる。
【0071】
必要な場合には、空気噴射で冷却することによって次断の操作に最適な温度にすることもできる。すなわち、この形式の溶接では上記フランス国特許第2,756,504号に記載のようにフランジが形成され、このフランジは除去しなければならないため、溶接部を制御下に冷却して、切削操作が容易かつ迅速に行われるような温度にするのが有利である。
本発明の装置を用いることによって、機械のサイクルの特定の操作段階を行うために可動クランプが占めるべき位置に典型的な基準位置を適用して、可動フレームの全ての移動を容易に制御することができ、プログラムされた移動速度を上記の式(3)に従って制御して可動フレームを前回の位置から各位置へ到達させることができる。
【0072】
本発明は主としてフラッシュ溶接段階および鍛造段階で可動フレームの移動を制御するためのものであるが、前後した2つのストリップのその他の結合プロセス段階、例えばストリップの端部を剪断するためのクランプ2,2'および両ストリップの正確な位置決め、片持長さの調節および溶接フランジの切削操作でも上記の位置制御をするのが有利であるという点に注目すべきである。
【0073】
既に述べたように、片持距離e,e'はフラッシュ溶接と鍛造操作を可能にするのに必要なだけの距離に制限しなければならない。可動フレームの位置制御によって、いわゆる溶接サイクルの最後に可動クランプを切削工具が通過できるだけの距離だけ戻すことができる。この切削工具は上記フランス国特許第2,756,504号に記載のように固定フレームを案内するのが好ましい。
【0074】
本発明に従って固定クランプの相対移動を制御することによってさらに他の利点もある。すなわち、前後した2つのストリップを溶接後、熱的影響を受けた領域を熱処理、例えばアニールするのが好ましいことは知られている。特に、脆性を有するある種の合金、例えば炭素、ケイ素、マグネシウム等の含有率が高い鋼の場合に当てはまる。弾性が極めて高い鋼、特に「TRIP」鋼とよばれる鋼は上記の熱処理を必要とする。
【0075】
従来の溶接機では溶接部をアニールするために例えば誘導電気炉等の付属装置と組み合せる必要があった。このような設備には大きな投資を必要とし、しかも溶接後に溶接部分を溶接機の下流で溶接機から離れた所のストリップ走行路上に配置された誘導電気炉中を移動させる必要がある。
【0076】
ライン処理設備の場合には、溶接および切削操作後のストリップの走行を制御する手段を用いて溶接領域を誘導炉に向かって前へ送った後、走行を止めて熱処理を行なわなければならない。実際にはアニール時間が溶接操作に必要な時間と同じぐらいであるため、ストリップの全停止時間がかなり長くなり、約2倍になる。
【0077】
これに対して、本発明では溶接機の内部でアニール処理を行うことによって誘導炉を使用しないで済ますことができ、さらに、ストリップの停止時間を大幅に短縮することができるので、上記のようなストリップの移動を避けることができ、従って、設備の処理量を増大させることができる。
実際には、溶接操作用の機械で利用可能な電力と、上記の冷却を制御する手段とによって溶接領域を効率的にアニール処理でき、しかも、クランプを介してストリップに短絡時に電力を流してジュール効果によって必要な加熱を行うことができるということは理解できよう。
【0078】
しかし、溶接領域の温度を十分に高くかつ急速に上昇させるためには両方のクランプ(電流を流すために用いるが、発生した熱の大部分を吸収する受領の大きな部品でもある)をできるだけ離反させる必要がある。本発明の位置制御を用いることによってこの操作は溶接金属の種類に応じたアニール後処理が必要な時に毎回行うことができる。従って、本発明は既に述べたフラッシュ溶接段階、鍛造段階および切削段階にアニール段階を追加するものである。
【0079】
上記フランス国特許第2,756,504号に記載のように、切削操作中は2対のクランプが溶接領域を保持するように締付けるが、溶接部が固定クランプの直ぐ近くにくるように切削工具を固定フレーム上で案内するのが有利である。従って、切削終了後、固定クランプを解放するが、可動クランプは締付けたままにし、機械の最大開口値の約半分に対応する距離だけ可動クランプを戻す。可動クランプによって後方へ後退された溶接部はこの距離だけ固定クランプから離れる。
【0080】
次に、固定クランプ2a,2bをこの位置の上流でストリップAに締付け、可動クランプ2'a、2'bは解放する。次いで、可動フレーム1'をさらに後方移動して機械を最大限に開口し、可動クランプ2'a、2'bを下流でストリップA'に締付ける。従って、溶接部は最大限に離反した2対のクランプ2,2'の間の距離のほぼ中間に配置される。そうすることによって電流を流すためにクランプに給電したときのクランプへの導通による熱損失を少なくすることができる。
【0081】
このようにして、クランプ間を流れる電流のジュール効果で溶接領域を加熱し、アニールすることができ、この電流はフラッシュ溶接プロセスを制御するために溶接機に必ず備えられている電力制御装置で変調することができる。従って、供給された強度と時間で、溶接金属の種類を考慮しながら電流作用を変調して、所望のアニール効果を得るための十分に迅速で、満足のいく加熱をすることができ、次いで制御下に冷却を行うことによってことができる。
【0082】
従って本発明は、機械を改造したり、誘導炉を追加したりせずに、溶接金属の種類によってアニール後処理が必要となるときに毎回、溶接部のアニール後処理を行うことができ、一方で、従来の機械で行われているフラッシュ溶接、鍛造および切削段階にこのアニールサイクルを簡単に追加することができる。
この追加のアニール工程は上記米国特許第6429398号に記載のように溶接機に種々の直流を給電することで効率的かつより容易に制御できるということに注目すべきである。実際には、この従来技術に記載されているようなサイリスターによって直流電源からより高くかつ可変な瞬時電力を送り出すことができるので、溶接領域をほぼ一瞬に加熱することができさらに、冷却速度を制御することができる。
【0083】
本発明は次段の全ての操作に最適な特徴を有する溶接部を得ることができ、溶接機に連続圧延ラインが設けられている場合には圧延操作を含めて互いに結合されたストリップを正確に巻き出すことができる。
【0084】
本発明は単なる例として説明した上記実施例の詳細に限定されるものではなく、請求の範囲の全ての変形または改良を含むということは明らかである。
例えば、上記の移動則に従ったデジタル調整装置を用いるのが有利であるが、例えばある種の材料に適した他の移動則を定義することができるということは明らかである。さらに、上記以外の調整手段、例えば[図3]に示した等価回路のような形式のアナログ調整手段を用いることもでき、溶接に使用する機械の形式に最も適した電子部品または液圧式部品を選択することができる。
【0085】
以上、本発明を金属ストリップおよび上記フランス国特許第2,756,504号に記載の形式の溶接機の場合について説明してきたが、その他の溶接部品および前後する2つの溶接部品の端部が相対移動するその他の任意形式のフラッシュ溶接機にも適用できるということは明らかである。
請求の範囲の請求項に記載の技術的特徴の後に挿入された参照符号はこの技術的特徴の理解を助けるためもので、その範囲をなんら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 フラッシュ溶接機の概念的縦断面図。
【図2】 可動クランプの移動を制御するためのデジタル調整装置の概念図。
【図3】 均等なアナログ装置の概念図。
【図4】 フラッシュ溶接段階の主要電気溶接パラメータを記録したグラフ。
【図5】 鍛造段階での可動クランプの移動を示す空間/時間グラフ。
【符号の説明】
A、A’ 金属ストリップ
1, 固定フレーム
1' 可動フレーム
2,2' 固定クランプ
3 後端部
3' 前端部
4 電源
13,13' クランプジャッキ

Claims (15)

  1. 固定フレーム(1)と、この固定フレームに対して移動可能な可動フレーム(1')とにそれぞれ取付けられた2対の固定クランプ(2,2')を備える形式の溶接機で長手方向走行軸線に沿って前後に配置された2つの金属部品(A、A')をフラッシュ溶接で突合せ溶接するプロセスの制御方法であって、
    電気溶接手段が2対の固定クランプのそれぞれに接続された両極の電源(4)と、第1部品(A)の走行方向後端部(3)の近傍と第2部品(A'・の前端部(3')の近傍の2対のクランプ(2,2')の締付け度を制御する手段(13,13')と、固定フレーム(1)に対する可動フレームの長手方向に移動させて両方の部品(A、A')の後端部(3)および前端部(3')を互いに接触させて、溶接電圧(U)および強度(I)の電流を流す手段とを備え、少なくともフラッシュ溶接プロセス中は可動フレームの移動が自動制御される方法において、
    連続測定手段を用いて、少なくとも溶接電流の電圧(Us)および強度(Is)を含む一組の電気パラメータと、固定フレーム(1)に対する可動フレーム(1')の相対位置とを各瞬間で決定し、
    こうして決定された値の少なくとも1つの値から可動フレーム(1')の移動位置を、位置閉ループ(61)によって制御しつつ、両方の部品(A、A')の端部(3,3')の相対位置および接近速度v(t)を溶接プロセスの進行度の関数で、少なくとも溶接プロセスの一期間中に制御し、
    (a)フラッシュ溶接段階で、溶接電圧(U s )に比例する可動フレームの基本速度に対応する第1項、
    (b)短絡を回避するために溶接電圧(U s )の変化の関数である移動速度(v)を制限する第2項、
    (c)温度の上昇にともなって移動を加速しながら溶接電流の強度(I s )を上げるために溶接電流の強度(I s )の各瞬間の測定値と、被溶接部品(A、A’)の特徴に依存する基準強度(I ref )とを比較して得た第3項、
    上記3つの項の和を求める数学的法則に従って可動フレーム(1')の移動速度(v)を制御する
    ことを特徴とする制御方法。
  2. 溶接が上記端部に沿って火花を発生させながら一連のミクロ電気接触を生じさせて接触状態の端部(3,3')を溶接温度に加熱する第1フラッシュ溶接段階と、
    加熱された端部が鍛造長さに沿って互いに溶け込む第2鍛造段階との2つの連続した段階で行われ、第1フラッシュ溶接段階で、被溶接部品(A、A’)の構造上および寸法上の特徴に関する前記数学的法則に従って可動フレーム(1')の移動速度(v)を制御して固定フレーム(1)に対する可動フレーム(1')の移動位置を電気溶接パラメータの少なくとも1つの測定値に従属させ(slaved)て、接近速度(v)を徐々に上げながら温度上昇とともに溶接電流強度(Is)を増大させ、短絡を回避するために接近速度(v)を制限する請求項1に記載の制御方法。
  3. 移動速度を制御する法則が下記の式で表される請求項に記載の方法:v(t)=VKUs+S(KUs−Up)+Γ∫(Iref- Is)dt(1)
    ここで、v(t)は可動クランプの瞬間速度、VKUsは溶接電圧に比例する基本速度、Sは速度修正値を変調するための感度係数、Kは一次給電回路と二次溶接回路との変圧比、Usは各瞬間で測定される二次溶接電圧、Upは一次供給電圧、Isは溶接電流強度の各瞬間での測定値、Irefは被溶接部品に依存する溶接電流強度の基準値、Γは加速度の調整利得である。
  4. 端部に沿って火花を発生させながら一連のミクロ電気接触をさせて接触状態の端部(3,3')を溶接温度に加熱する第1フラッシュ溶接段階と、加熱された端部を鍛造長さに沿って互いに係合する第2鍛造段階と2つの連続した段階で溶接を行い、第2鍛造段階で、反発なしに液圧によって、クランプ(2,2')を鍛造長さに沿って近づけた後に可動フレーム(1')が停止するように可動フレーム(1')の移動位置を調整する請求項1に記載の制御方法。
  5. 第2鍛造段階で固定クランプ(2)に対する可動クランプ(2')の接近を連続変化則に従って制御された移動速度(v)で所定ストロークで極めて短時間行い、上記連続変化則は急加速後に少しづつ減速し、所定鍛造長さに対応する位置で可動クランプ(2')を停止させることからなる請求項に記載の方法。
  6. 鍛造段階後に溶接部に応力が加わらないようにするためにクランプ(2,2')間の距離を制御し、それと同時に、溶接された部品(A、A’)の両方に締付けたクランプすなわち固定クランプ(2)と可動クランプ(2')との間に電流を流し、この電流は熱的影響を受けた領域の冷却速度をこの領域域が完全凝固するまでジュール熱効果によって制御する請求項に記載の方法。
  7. 熱的影響を受けた領域が凝固した後に、この熱的影響を受けた領域を空気噴射で冷却して溶接部の切削に最適な温度にする請求項に記載の方法。
  8. 切削後に溶接部を2対のクランプからほぼ等距離の所に位置させて可動クランプ(2')を固定クランプ(2)から最大距離だけ離し、これらのクランプの間に変調電流を流し、ジュール効果によって溶接領域をアニールした後、制御下に冷却する請求項に記載の方法。
  9. 溶接部の切削後に、可動クランプ(2')の締付け力を維持したまま固定クランプ(2)を開放し、溶接領域を駆動させるとともに可動フレーム(1')を固定フレーム(1)から最大距離の約半分の距離だけ離し、固定クランプ(2)を締付け、可動クランプを解放し、可動フレーム(1')を固定フレーム(1)から最大距離だけ離し、可動クランプ(2')を締付け、溶接部品(A、A’)上に締付けられた2対のクランプ(2,2')の間に変調電流を流して溶接領域のアニールを開始する請求項に記載の方法。
  10. 2対のクランプ(2,2')に連続的に変調電圧下に直流を流す請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  11. 固定フレーム(1)およびこの固定フレーム(1)に対して長手方向に移動可能な可動フレーム(1')にそれぞれ取付けられた2対の固定クランプ(2,2')を有する形式の溶接機で長手方向走行軸線に沿って前後して走行する2つの金属部品(A、A’)のフラッシュバット溶接の制御装置であって、
    電気溶接手段が2対の固定クランプにそれぞれ接続された二極電源(4)と、第1部品(A)の走行方向後端部(3)に近い所および第2部品(A')の前端部(3')に近い所での2対のクランプ(2,2')の締付け力を制御する手段(13,13')と、両方の部品(A、A’)の後端部(3)および前端部(3')を互いに接近させ、接触させ、これらの端部(3,3')の間に接触状態にある上記端部を加熱および溶接することができる所定の溶接電圧(U)および強度(I)の電流を流すために固定フレーム(1)に対する可動フレームの長手方向の移動を制御する手段(12)とを有する制御装置において、
    下記の(1)〜(3)の手段を有することを特徴とする制御装置:
    (1) 2対のクランプ(2,2')の間に流れる溶接電流の少なくとも電圧(Us)および強度(Is)を含めた一組の電気溶接パラメータを連続的に測定する手段(8)、
    (2) 固定フレーム(1)に対する可動フレームの各瞬間での相対位置を測定する手段(15)、
    (3) 両方の部品(A、A’)の固定クランプ(2,2')の接近速度v(t)をリアルタイムで制御しながら、上記電気溶接パラメータ(Us、Is)の測定値の少なくとも1つの値から、位置閉ループ(61)によって、可動フレーム(1')の移動位置を下記(a)、(b)、(c)に基づき制御する位置調整手段(50,7)
    (a)フラッシュ溶接段階で、溶接電圧(U s )に比例する可動フレームの基本速度に対応する第1項、
    (b)短絡を回避するために溶接電圧(U s )の変化の関数である移動速度(v)を制限する第2項、
    (c)温度の上昇にともなって移動を加速しながら溶接電流の強度(I s )を上げるために溶接電流の強度(I s )の各瞬間の測定値と、被溶接部品(A、A’)の特徴に依存する基準強度(I ref )とを比較して得た第3項、
    上記3つの項の和を求める数学的法則に従って可動フレーム(1')の移動速度(v)を制御する
  12. 固定フレーム(1)に対する可動フレーム(1')の移動を制御する手段が電源回路(5)と組合された少なくとも1つの液圧ジャッキ(12)を含み、上記の位置調整手段が可動フレーム(1')の移動を制御する手段(12)の液圧の供給を制御するための少なくとも1つの液圧サーボ弁(50)と、可動フレーム(1')の移動を少なくとも1つの前記数学的法則に従って溶接プロセスの進行度に応じて制御するサーボ弁(50)の制御調整器(7)とを備えている請求項11に記載の制御装置。
  13. 位置調整手段(7)が溶接部品(A、A’)の構造上および寸法上の特徴を考慮した少なくとも1つの相対移動法則を記憶した計算ユニット(70)を備え、この計算ユニット(70)が固定フレーム(1)に対する可動フレーム(1')の各瞬間での位置を表す信号と、電気溶接パラメータ(Us、Is)の少なくとも1つのパラメータのリアルタイムでの進行度を表す信号とを受ける請求項12に記載の制御装置。
  14. 位置調整手段(7)が、可動フレーム(1')の相対位置の前記位置閉ループ(61)と、計算ユニット(70)に記憶された少なくとも1つの動的移動則に従って電気溶接パラメータ(Us、Is)の少なくとも1つのパラメータの進行度を考慮して基準位置を設定するための主ループ(62)との2つの閉じたカスケード制御ループと組み合わされている請求項13に記載の制御装置。
  15. 整流器と組合された変圧器(4)と、2対のクランプ(2,2')の間に印加される電圧を溶接ストリップ(A、A’)の金属の種類および寸法を考慮して連続的に変調する手段を介して溶接機に直流が流される請求項11〜14のいずれか一項に記載の制御装置。
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