JP3770169B2 - 等温押出成形システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工が容易な金属材料、特に、アルミニウム又はその合金によるビレットを、ダイスにより押出して成形する際に、押出製品の温度が一定となるように制御する等温押出成形システムに関し、特に、ビレット温度の長手方向に加熱ムラがあった場合でも、押出製品の温度が一定となるように制御できる等温押出成形システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年において、例えば、構造物の軽量化構造材、熱伝導が良好なことから半導体製品の冷却用フィン、或いは窓枠用サッシュ等に、アルミニウム又はその合金(以下、単に、アルミ材という。)が使用されている。
【0003】
これらの製品に関する製造方法には、種々の方法があるが、多くの製品は、当該製品の所定断面形状に対応するスリットが開けられたダイスを用いて、連続的に加圧押出成形されるものであり、押出成形された長尺の形材を所定長にカットされて、個々の製品となる。
【0004】
そこで、一般的に用いられているダイスによるアルミ材押出成形システムについて、図4に、そのシステム構成の概要を示した。
【0005】
押出成形されるアルミ材は、製造しようとする製品に見合った所定の大きさを有する円筒形のビレットとして形成されており、そのビレットB1がコンテナ1に設けられたビレット収納部内に挿入される。
【0006】
コンテナ1の一端には、当該製品の断面形状を有するダイス2が配置されており、その他端からは、ビレットB1を押圧するステム3が挿入される。通常、ステム3の先端には、ダミーブロックが装着されている。ここでは、このブロックを含めてステムと称する。
【0007】
ステム3は、ビレットB1を押圧するために、油圧ポンプ5が吐出する油によって作動する油圧シリンダ4に接続されている。油圧シリンダ4のラム位置が油圧によって移動すると、ステム3も移動し、ビレットB1を押圧する。そうすると、ビレットB1は、ステム3によってコンテナ1内で加圧され、そのアルミ材がダイス2から当該製品の断面形状の押出形材Wとなり、連続的に押出される。
【0008】
また、押出成形システムの油圧シリンダ4と並んだ位置に、ビレットを押出に適した温度に加熱するためのビレット加熱装置6が設置されている。ビレット加熱装置6は、ビレットの長手方向に一定の温度、或いは、テーパを有する温度に加熱することが可能であり、コンテナ1のビレット収納部に挿入されたビレットB1を押出成形している間に、連続して押し出す予定のビレットB2に対して、所定のビレット温度に加熱するようになっている。加熱されたビレットB2は、ビレットB1が押出成形された後に、搬送装置7によってコンテナ1に搬入され、装填される。
【0009】
なお、一つのビレットの加熱時間は、次の押出サイクルに間に合うよう、図4に示されるように、押出中に加熱処理され、押出プレスのコンテナ1に搬送される。そして、ビレット加熱装置6内では、その次に押出成形するビレットを加熱するようにし、連続押出を可能にする。
【0010】
押出形材Wは、長尺のものが連続に押出されるため、曲がりが発生することのないように、図4には図示されていないが、一定の引張力で引っ張るプラー装置が押出形材Wの端部を把持し、押出形材Wの押出速度に合わせて走行するようになっている。
【0011】
押出成形される形材Wの制御及び品質管理を行うため、ステム3の移動、即ち、ラム位置又は速度を検出するラム位置・速度検出器8が設けられており、また、ダイス2の近傍には、形材Wの押出温度を測定する温度検出器9が配置されている。さらに、ビレット加熱装置6のビレット搬出口付近には、ビレットの温度を検出するビレット温度検出器10が配置されている。
【0012】
ここで、ステム3によるビレットB1へのラム圧力は、ラム速度の関数であり、さらに、このラム速度は、油圧ポンプ5の油吐出量の関数となっていることから、押出製品の等温押出を目指すラム速度プロフィールを実現するには、油圧ポンプ5の吐出量を制御することになる。図4に示される押出成形システムにおいて、押出製品が等温で押出成形できるように、設定された押出ラム速度に従って油圧ポンプを制御する吐出量制御システムのブロック構成を、図5に示す。
【0013】
この制御ブロック構成による吐出量制御システムでは、製品の押出温度が一定となる等温押出ができるように任意に入力設定でき、その入力設定できる条件として、初速区間の長さとラム速度、等速押出区間のラム速度、そして、終了区間の長さと終了ラム速度について、固定的なラム速度プロフィールを設定することもでき、さらに、ラム位置に対して、ラム速度を任意の位置で任意のラム速度の大きさを入力設定して多様なラム速度プロフィールに変更することもできる。
【0014】
図5の押出成形システムにおける油圧ポンプの吐出量制御システムでは、操作部14に備えられた押出成形スタートの指示ボタンが押されると、押出プレス制御部11は、ラム位置・速度検出器8が検出したラム位置に応じて、内部に格納されたラム速度プロフィールから順次ラム速度を読み出す。そして、等温押出制御部12は、製品の等温押出を目指して主としてラム速度を制御するものであり、その速度に対応した吐出量を演算して、ポンプ駆動制御部13に油圧ポンプ5の吐出量指令を送出する。ポンプ駆動制御部13は、この吐出量指令に従ってこの指令値に沿った駆動電力を油圧ポンプ5に供給する。そして、油圧ポンプ5は、この指令値に対応する油吐出量を出力して油圧シリンダ4を駆動する。このように、油圧シリンダ4は、ステム3を設定されたラム速度プロフィールに従って、ビレットB1のアルミ材に押出成形の圧力を加える。
【0015】
ここで、押出プレス制御部11に格納されるラム速度プロフィールは、オペレータが操作部14に備えられたタッチパネル15を使用し、押出の試行結果や、経験による収集データに基づいて入力設定されることや、ダイスから押出される製品の温度を製品温度検出器9で検出し、その温度が予め設定された温度に対して低い場合には、ラム速度を上昇させ、また、高い場合には、ラム速度を下降させる制御をすることも有り得る。ラム速度プロフィールは、ダイスの種類や、押出成形に合わせて、他に種々の変形を取り得るものであり、各種の条件に対する数値入力を、備え付けのテンキー等により入力してもよく、或いは、各種条件毎に複数の数値を予め用意し、これらの中から選択することにより入力するようにしてもよい。そこで、図5の吐出量制御システムでは、記憶部16が備えられており、押出成形時に操作部16から入力される設定ラム速度プロフィールを記憶部16に格納することができ、或いは、複数の基本パターンを有するラム速度プロフィールを予め記憶部16に格納しておくこともできる。
【0016】
図5の吐出量制御システムでは、押出プレス制御部11は、記憶部16に格納されたラム速度プロフィールに従って、油圧ポンプ5の吐出量を制御することによって、或いは、製品温度検出データによってラム速度を上記のように上昇・下降の変化をさせて製品の等温押出を実現しようとするものである。
【0017】
なお、ビレット加熱装置6のビレット搬出口付近に配置されたビレット温度検出器10によって、加熱されて搬出されたビレットB2の表面温度が検出されるが、この検出されたビレット温度は、タッチパネル15に表示され、この温度によって、ビレットへの加熱異常が監視される。そして、このビレット温度は、押出成形時のラム速度プロフィールを設定する際の参考情報としても利用される。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図5に示された押出成形システムにおける吐出量制御システムでは、ラム位置・速度検出器8によって検出されたラム位置に従って、設定されたラム速度プロフィールのラム速度でステム3を駆動している。従って、製品の押出温度は、ラム速度の調整によってのみ制御されていることになる。しかしながら、製品の押出温度は、ラム速度の大きさだけで決まるものでなく、ラム速度の他に、ダイスの種類、ビレットの加熱温度等が影響して変化するものである。
【0019】
ここで、ビレット温度に注目して、図6を参照しながら、押出成形されるビレットの長手方向温度と、製品として押出成形された形材Wの温度との関係を説明する。図6(a)のグラフは、ビレットの軸方向(長手方向)の長さLに対するビレット表面の温度Tbの状態を表し、(b)のグラフは、当該ビレットを押出成型するときのラム速度Vrのプロフィールを示し、また、(c)のグラフは、当該ビレットについて、(b)に示されるラム速度プロフィールで押出成型したときの押出形材Wの温度Tpの状態を表している。各グラフの横軸は、ビレット長Lに対応させて表示されている。
【0020】
ビレットは、誘導加熱によるビレット加熱装置6によって、予め設定されたビレット温度Tb0となるように加熱される。図6(a)では、ビレット端から他の端まで、直線的に変化するテーパ加熱された例を示している。図中において、ビレット実測温度Tb1を破線で示した。このようにテーパ加熱されたビレットについて、押出形材Wの押出温度Tpが製品全体にわたって等温押出が行えるように、ダイスの種類などに応じて、試行錯誤の結果として得られたラム速度Vr0、或いは、予め記憶されたラム速度Vr0のラム速度プロフィールが選択され、そのラム速度プロフィールに従って押出成形が行われる。押出成形された押出形材Wの温度Tpは、製品温度検出器9によって検出され、図6(c)に示されるように、ビレット温度Tb0のビレットをそのラム速度プロフィールに従って押出成形した結果、押出形材Wの温度Tpがビレット長Lにわたってほぼ等温となる。なお、図6(a)に示されるような温度勾配を有するテーパ加熱されたビレットに対する等温押出しのためのラム速度プロフィールとして、図6(b)に示されるように、ビレット長全体にわたってフラットなものが想定される。
【0021】
ところで、図6(a)に示すように、ビレット加熱装置6において、設定したビレット温度Tb0になるようにビレットをテーパ加熱しても、実際には、ビレット実測温度Tb1のように、設定温度からずれたものとなっている。このずれが、少ない場合には、図6(c)に示されるように、その変動が吸収されてほぼ等温の押出成形を実現できる。
【0022】
しかしながら、図7(a)に示すように、設定されたビレット温度Tb0に対して、実際に加熱されたビレット実測温度Tb1が、部分Aで現われているように、ビレット温度Tb0から大きくずれる場合があり、部分的に加熱不足となることがある。そこで、ラム速度プロフィールは、図6(c)に示される等温押出を想定して設定されているので、この加熱不足による温度Tb0より低い部分Aがあるビレットを、図6(b)に示されるラム速度プロフィールで押出成形してしまうと、図7(b)に示されるように、押出形材Wの温度Tpは、実測温度Tp1に見られるように、設定押出温度Tp0より低い部分Bが現われる。
【0023】
このように、設定押出温度Tp0より低い部分Bは、製品としての押出形材の品質へ大きく影響し、例えば、組織ムラが発生して、最終表面処理(例えば、アルマイト処理)において色ムラが発生したりしている。そのため、この温度低下部分の発生は、問題となっている。
【0024】
図7(a)に示されるように、この温度低下部分が一箇所である場合は、例えば、前の押出成形で残ったビレットに次のビレットの一部に継ぎ足して、一つのビレットを形成したビレットを加熱したときに発生する。これは、ビレットの継ぎ足し部分において磁束が乱れ、その部分で誘導加熱不足となり、その温度分布が直線にならないものと考えられる。
【0025】
この場合には、ビレット側に問題があって、ビレット温度が不均一になる例であるが、ビレット加熱装置の加熱特性に影響される場合もある。ビレット加熱装置は、誘導加熱でビレットを加熱するものの場合、通常、3相電力が供給される3つの誘導コイルを備えている。この並置された誘導コイルの中に、2つのビレットを長手方向に並べて挿入し、バッチ式で誘導加熱を行う。そして、次のビレットを挿入して、出口側のビレットを取り出すようにし、入口側のビレットが2度誘導加熱されるようにする。この手順によって、ビレットのテーパ加熱を行っている。
【0026】
しかし、この手順に従ってビレットを順次加熱したとき、ビレット加熱装置の3つの誘導コイルの配置間隔によっては、図8(a)に示されるように、ビレット実測温度Tb1において、設定ビレット温度Tb0より低い部分A1、A2が発生するときがある。このような温度低下部分A1、A2がビレット実測温度Tb1に存在すると、図7の場合と同様に、押出成形時に等温である設定押出温度Tp0が得られるべきところ、温度低下部分A1、A2に対応して押出温度低下した部分B1、B2が発生してしまう。この場合においても、図7の場合と同様に、製品の品質に与える影響が問題となる。
【0027】
そこで、本発明は、ビレットの形成加工を工夫し、或いは、ビレット加熱装置における加熱手順又は加熱手段を工夫して、ビレットの加熱温度を設定値にするのではなく、押出成形する前に、ビレット長手方向温度分布を検出し、検出したビレット温度の低下部分に対応してラム速度プロフィールを補正することにより、アルミ材等のビレットの等温押出成形を実現する等温押出成形システムを提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、本発明では、アルミ材等のビレットをダイスにより、ラム位置に対するラム速度プロフィールを含むビレット押出条件に従ってビレットを等温押出成形する等温押出成形システムにおいて、前記ビレットの長手方向の温度を検出する温度検出器と、前記ビレットに対する前記ビレット押出条件を設定し、該ビレットを前記ビレット押出条件により押出制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記温度検出器で検出された前記ビレットの長手方向温度分布を参照して、当該ビレットに対する前記ラム速度プロフィール補正するようにし、前記ビレットの長手方向温度分布は、当該ビレットが加熱処理された後であり、該ビレットの押出成形前に検出されることとした。
【0029】
そして、前記ビレット押出条件は、ラム位置に対するラム速度プロフィールを含むものであり、前記制御手段は、前記ビレットの長手方向温度分布において規定値からのずれを検出したとき、前記ラム速度プロフィールについて、該ずれ位置に対応するラム位置に係るラム速度を該ずれの変化量に応じた補正をすることとした。
【0030】
さらに、前記制御手段は、前記ビレットの長手方向温度分布において、前記規定値以下の前記変化量がある場合に、前記変化量に応じて前記ずれ位置に対応するラム位置に係るラム速度について上昇する補正をすることとし、前記規定値にとして、前記ビレットの長手方向温度分布の分布平均値を用い、或いは、前記ビレットの長手方向温度分布における複数範囲の各々の平均値を平均処理した分布値を用いることとした。
【0031】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による等温押出成形システムの実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0032】
図5に示した等温押出成形システムにおける吐出量制御では、ラム位置に対するラム速度を制御することにより、アルミ材等のビレットを等温押出しようとするものである。その吐出量制御システムには、製品温度検出器9と、ビレット温度検出器10と、形材Wのプラー速度を検出する製品速度検出器が備えられてはいるが、これらによる検出情報は、単に、製品の品質等を確認することに使用され、そして、次のビレットを押出成形する際における、オペレータによる押出条件の修正に対する参考情報に過ぎなかった。そのため、前述したように、ビレット長手方向に温度不均一部分があると、押出形材の等温押出成形を実現することができなかった。
【0033】
そこで、本実施形態による等温押出成形システムにおいては、押出成形する前に、ビレット長手方向温度を検出し、検出したビレット温度の低下部分に対応してラム速度プロフィールを補正することにより、アルミ材等のビレットの等温押出成形を実現するようにした。その手法について図1を参照して説明する。図1は、図6に対応するグラフを示しており、図1(a)では、ビレット加熱装置6でテーパ加熱されたビレットに関し、当該ビレットを押出成形する前にビレット長手方向で検出できたビレット実測温度Tb1において、温度低下部分Aが存在している場合を示している。
【0034】
図7において述べたように、ビレット長手方向に温度低下部分Aが存在すると、等温押出を予定しているラム速度Vr0で当該ビレットを押出成形する場合には、押出形材Wの等温Tp0をビレット長手方向の全てにわたって維持できない。図1(c)に示されるように、ビレット実測温度Tp1において、温度低下部分Aに対応してビレット実測温度Tp1に押出温度低下部分Bが発生することになる。
【0035】
そこで、本実施形態の等温押出成形システムでは、押出成形時において、ラム速度Vrを上昇させると、形材押出温度Tpも上昇することに着目して、ビレット実測温度Tp1に押出温度低下部分Bが発生する場合には、当該部分のビレット押出成形時のラム速度を上昇させることができるように、当該ビレットの押出成形時に設定されるラム速度プロフィールを補正することとした。
【0036】
ラム速度プロフィールを、ビレットの温度低下部分Aに対応して補正した状態を、図1(b)に示した。同(b)では、ビレット長手方向における温度低下部分Aに対応して、補正値Sをラム速度Vr0に加算し、補正ラム速度プロフィールVr1を作成する。この補正値Sによって押出温度低下部分Bについて設定押出温度Tp0の等温に修正することができる。
【0037】
ここで、ラム速度の補正値Sを求めるには、設定ビレット温度Tb0と、ビレット長手方向のビレット実測温度Tb1とを比較し、その変化量に基づいて演算する。このとき、ビレット温度の変化量に対する押出温度の変化係数kを予め求めておく。この変化係数kは、使用するダイスの種類や、押出条件によって異なった値となるので、種々のケースに従って取得しておく。この補正値Sの演算式は、次のように表される。
【0038】
S=k×(Tb0−Tb1)
この様にして、ビレットを押出成形する前に、ビレット加熱装置で加熱された当該ビレットの長手方向温度を検出し、変化量が等温押出温度Tp0となる許容範囲を超える場合について、上述の演算式に従い、ラム速度の補正値Sを求める。そして、変化量が等温押出温度Tp0となる許容範囲を超えるビレット温度の長手方向位置Lに対応するラム速度Vrに、求めた補正値Sを加算して、補正ラム速度Vr1を求める。
【0039】
ここで、この補正ラム速度Vr1に基づいて、図1(c)に示されるように、ビレットの長手方向の温度低下部分Aに対するラム速度を補正した補正ラム速度プロフィールが作成される。この補正ラム速度プロフィールに基づいて、当該ビレットの押出成形を実行すれば、当該ビレットに長手方向の温度分布にムラがあり、温度低下部分が存在していても、ラム速度が調整されて、ビレットの全長にわたって等温の設定押出温度Tp0を維持することができる。
【0040】
次に、図1に示した補正ラム速度プロフィールに基づいた本実施形態による等温押出成形システムを適用した吐出量制御システムに関するブロック構成を、図2に示した。この吐出量制御システムによるラム速度の制御は、基本的には、図5に示した吐出量制御システムと同様であり、押出プレス制御部11と、等温押出制御部12と、ポンプ駆動制御部13とにより、油圧ポンプ5の吐出量を調節することによって行われる。そして、この吐出量が調節されると、油圧ポンプ5に接続されたステム3が駆動され、ラム位置・速度検出器8の検出したラム位置に応じたラム速度が出力される。なお、製品温度検出器9によって、押出温度Tp1が検出される。
【0041】
ただ、本実施形態による吐出量制御システムでは、ビレット加熱装置6のビレット出口側にビレットの長手方向の表面温度を検出するビレット長手方向温度検出器17が配置されている。図5に示された吐出量制御システムでは、ビレット温度検出器10が備えられているが、本実施形態による吐出量制御システムでは、このビレット長手方向温度検出器17に置き換えられていることが異なっている。
【0042】
図2に示された本実施形態による吐出量制御システムの動作について説明すると、まず、ビレットB1が押出成形されている間に、ビレット長手方向温度検出器17は、これから押出成形されるビレットB2について、ビレット加熱装置6でテーパ加熱されたビレットB2の長手方向温度Tb1を検出し、等温押出制御部12に送信する。
【0043】
一方、ビレットB1、B2は、同じダイスを使用して押出成形されるものとすれば、これらのビレットの当該ダイスに係る押出条件が、予め、オペレータによって操作部14から入力され、設定されている。この押出条件には、ラム速度プロフィールが含まれている。この設定されるラム速度プロフィールは、図1(b)に示されるように、ビレット加熱装置6によってテーパ加熱された設定ビレット温度Tb0に対応したラム速度Vr0に基づいている。
【0044】
しかしながら、図1(a)に示されるように、ビレット加熱装置6で加熱されるビレットの長手方向温度Tb1は、ビレット毎に異なっている可能性があり、しかも、長手方向温度Tb1に大きな温度低下部分Aを含んでいる場合がある。そこで、押出プレス制御部11は、ビレットB2の押出成形開始前に、等温押出制御部12に入力された長手方向温度Tb1に対して、設定ビレット温度Tb0と比較する。そして、前述の演算式に従って、ラム速度への補正値Sを求める。さらに、この補正値Sが、ビレット長手方向において規定値より大きい場合について、そのラム位置に対するラム速度Vr0に該補正値Sを加算する。
【0045】
この様にして、図1(b)において実線で示される補正ラム速度プロフィールが作成され、設定される。ビレットB2がコンテナ1内に搬入されたとき、押出プレス制御部11は、ラム位置・速度検出器8からのラム位置情報に応じて、設定した補正ラム速度プロフィールに従い、そのラム位置に対応するラム速度を等温押出制御部12に当該ラム速度を指令する。そのため、補正ラム速度プロフィールに従って油圧ポンプ5が駆動され、ビレットB2の押出成形が進むにつれて、温度低下部分Aにおいても、ラム位置に対応する補正ラム速度が出力され、ビレット全体として等温押出を実現できる。
【0046】
以上では、設定ビレット温度Tp0とビレット実測温度Tp1との差分値に基づいて、温度低下部分Aの判定を行っていたが、ビレット実測温度Tp1を平均化処理した結果によって、温度低下部分Aの判定を行うこともできる。設定ビレット温度Tp0の勾配に沿って、ビレット実測温度Tb1を平均化して得た平均直線値により、ビレット実測温度Tb1をこの平均直線値と比較して、その差分値が規定値以上ずれた場合を温度低下部分として検出するようにしてもよい。
【0047】
しかし、加熱されたビレットの両端部の温度変化が大きく、平均化処理をどこからどこまで行うかが難しく、また、設定ビレット温度Tp0の勾配に沿って演算するには、演算量も大きくなるため、図3に示されるような平均化処理を行うと効率的である。同図では、ビレット長Lに対するビレット温度Tbの変化を表しており、設定ビレット温度Tb0が破線で、そして、ビレット実測温度Tb1が実線で示されている。ビレット実測温度Tb1には、温度低下部分Aが存在している。
【0048】
ここで、ビレットの長手方向の先頭部と後端部とにおいて、ビレット実測温度Tb1の実際をよく示していると見られる範囲aとbを決め、範囲aとbの各々でビレット実測温度Tb1の平均値を求める。そして、この2つの平均値から直線を求め、この直線をビレット実測温度の平均値とする。ビレット実測温度Tb1が該直線から規定値以上ずれている長手方向位置を異常温度部分と判定することができる。また、平均化処理の範囲を2箇所に限られず、複数箇所として、折れ線を求めるようにしても、異常温度部分を簡単に判定することができる。異常温度部分が判定された後における補正ラム速度プロフィールの求め方は、前述の場合と同様である。
【0049】
なお、ビレット長手方向のビレット実測温度を、押出成形するビレット毎に等温押出制御部に入力し、当該ビレットを押出成形するときに温度低下部分を検出して演算によって補正ラム速度を求め、設定するようにしたが、変化係数kは、ダイス毎に経験的に得られるものであるので、温度低下部分の変化量に応じた補正値のテーブルを用意しておくこともできる。また、温度低下部分の発生箇所の傾向がある場合には、その変化量に応じた補正ラム速度プロフィールを格納しておき、温度低下部分の変化量に応じて補正ラム速度プロフィールを選択設定してもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、本発明の等温押出成形システムによれば、ビレットの押出成形前に、当該ビレットの長手方向温度を検出し、温度低下部分を検出することができ、当該ビレットを押出成形するときに、設定されているラム速度プロフィールに対し、温度低下部分に対応した補正ラム速度プロフィールに補正することができるので、ビレット長手方向温度を設定値にするために、ビレットの形成加工を工夫し、或いは、ビレット加熱装置における加熱手順又は加熱手段を変更する必要がなく、温度低下部分に対するラム速度補正というラム速度プロフィールの変更により、アルミ材等のビレットの等温押出成形を簡単に実現することができ、安定した製品の品質を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の等温押出成形システムにおいて、ビレット長手方向の温度変化、ラム位置に対するラム速度パターン及び押出温度を説明する図である。
【図2】本実施形態による等温押出成形システムの制御ブロック構成を示す図である。
【図3】ビレット長手方向温度の設定値と実測値との差分値を求める他の手法を説明する図である。
【図4】アルミ材等のビレットの押出成形に用いられる従来の押出成形装置の概略断面を示す図である。
【図5】従来技術による等温押出成形システムの制御ブロック構成を示す図である。
【図6】従来技術の等温押出成形システムにおいて、ビレット長手方向の温度変化、ラム位置に対するラム速度パターン及び押出温度を説明する図である。
【図7】ビレット長手方向温度と製品押出温度との関係についての一例を説明する図である。
【図8】ビレット長手方向温度と製品押出温度との関係についての他の例を説明する図である。
【符号の説明】
1…コンテナ
2…ダイス
3…ステム
4…油圧シリンダ
5…油圧ポンプ
6…ビレット加熱装置
7…ビレット搬送装置
8…ラム位置・速度検出器
9…製品温度検出器
10…ビレット温度検出器
11…押出プレス制御部
12…等温押出制御部
13…油圧ポンプ駆動制御部
14…操作部
15…タッチパネル
16…記憶部
17…ビレット長手方向温度検出器
B1、B2…ビレット
W…押出形材
Claims (6)
- ラム位置に対するラム速度プロフィールを含むビレット押出条件に従ってビレットを等温押出成形する等温押出成形システムであって、
前記ビレットの長手方向の温度を検出する温度検出器と、
前記ビレットに対する前記ビレット押出条件を設定し、該ビレットを前記ビレット押出条件により押出制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記温度検出器で検出された前記ビレットの長手方向温度分布を参照して、当該ビレットに対する前記ラム速度プロフィールを補正することを特徴とする等温押出成形システム。 - 前記ビレットの長手方向温度分布は、当該ビレットが加熱処理された後であり、該ビレットの押出成形前に検出されることを特徴とする請求項1に記載の等温押出成形システム。
- 前記制御手段は、前記ビレットの長手方向温度分布において規定値からのずれを検出したとき、前記ラム速度プロフィールについて、該ずれ位置に対応するラム位置に係るラム速度を該ずれの変化量に応じた補正をすることを特徴とする請求項1又は2に記載の等温押出成形システム。
- 前記制御手段は、前記ビレットの長手方向温度分布において、前記規定値以下の前記変化量がある場合に、前記変化量に応じて前記ずれ位置に対応するラム位置に係るラム速度について上昇する補正をすることを特徴とする請求項3に記載の等温押出成形システム。
- 前記制御手段は、前記ビレットの長手方向温度分布の分布平均値を前記規定値として、前記ずれを検出することを特徴とする請求項3又は4に記載の等温押出成形システム。
- 前記制御手段は、前記ビレットの長手方向温度分布における複数範囲の各々の平均値を平均処理した分布値を前記規定値として、前記ずれを検出することを特徴とする請求項3又は4に記載の等温押出成形システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002020637A JP3770169B2 (ja) | 2002-01-29 | 2002-01-29 | 等温押出成形システム |
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