JP4246481B2 - 研掃材循環使用システムにおける異物分離装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネルのリブ形成などの精密加工に使用されるブラスト装置等において研掃材を循環使用する場合に好適な、研掃材循環使用システムにおける異物分離装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の研掃材循環使用システムにおける異物分離装置に関しては、従来から例えば多数段の拡散板を設置した空間に使用済みの研掃材と異物とを含んだ被処理気体を給送して、各拡散板に被処理気体を衝突させながら、粒子の比重差を利用して質量の小さい塵埃を上方へ排出するとともに、再利用可能な研掃材を下方に分離するもの(特許文献1)や、使用済みの研掃材と異物とを含んだ被処理気体をケーシング内に給送し、そのケーシング内の下方から供給される上昇気流によって被処理気体を上昇させながら、フィルタにより分離して異物を下方へ落下させるというもの(特許文献2)などが知られている。しかしながら、前者のように粒子の比重差を利用した従来技術の場合には、きめ細かい分離作用を的確かつ効率的に行うことは困難であった。また、後者のようにフィルタを用いる従来技術の場合には、精密加工の場合などに必要とされる微細な研掃材を分離するためにフィルタの網目を小さくすると、目詰りが生じやすくなり、本来の分離機能を維持できなくなるといった問題があった。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−25223号公報
【特許文献2】
特許第2923464号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような従来の技術的状況に鑑みて開発したものであり、フィルタによる場合の利点である的確かつ効率的な分離作用を維持しながら、目詰りを防ぐことにより長時間良好な分離機能を維持し得る研掃材循環使用システムにおける異物分離装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、接線方向から研掃材と異物とを含んだ被処理気体を流入する流入口と処理済気体を流出する流出口を有し、内部で旋回流を発生させるケーシングと、前記旋回流の中心部に設けられた筒状のフィルタとを具備し、前記フィルタによって被処理気体から異物を分離する研掃材循環使用システムにおける異物分離装置において、前記フィルタ内に外方に指向した噴射口を有する気体噴射ノズルを該フィルタに沿って回転するように前記フィルタに対して同心的に回転可能に設け、かつその気体噴射ノズルの回転方向を被処理気体の旋回流が回転する向きと同じ向きにするという技術手段を採用した。本発明によれば、以上の技術手段の採用により、フィルタの表面には気体噴射ノズルからのエア等の噴流が吹付けられるため、その噴流によってフィルタ表面への粒子の付着が防止され、目詰りの発生が的確に防がれる。しかも、気体噴射ノズルを被処理気体の旋回流の方向と同一方向、すなわち被処理気体の旋回流が回転する向きと同じ向きに回転するように構成したので、被処理気体の旋回流を乱すことなく目詰りを防止することが可能である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、プラズマディスプレイパネルのリブ形成などの精密加工に使用されるブラスト装置等の研掃材循環使用システムに好適であるが、例えば研掃材を使用する洗浄装置などの他の形態の研掃材循環使用システムにおける異物分離装置としても有効である。なお、前記気体噴射ノズルの具体的形状や設置数、あるいはその気体噴射ノズルに形成される噴射口の具体的形状や設置数に関しては、必要に応じて自由な選定が可能である。例えば、以下の実施例のようにパイプ状の気体噴射ノズルの所定位置に単に孔を形成することにより噴射口としたものや、同様の気体噴射ノズルの所定位置に形成した噴射口をスリット状に形成したものなどが可能である。また、気体噴射ノズルの回転駆動手段は、電動モータでもよいし、流体アクチュエータでもよい。さらに、気体噴射ノズルに形成される噴射口の近傍にブラシを付設してフィルタ表面の異物を除去するように構成することも可能である。
【0007】
【実施例】
以下、本発明の実施例に関して説明する。図1は本発明を適用したブラスト装置における研掃材循環使用システムを例示した概略構成図である。図中1はブラスト装置で、内部のブラスト加工室2には、ワーク3に対して研掃材を吹付けるための噴射ノズル4を配設している。噴射ノズル4には、使用済みの研掃材と異物を含んだ被処理気体を分離処理して得た研掃材を送給する研掃材送給管5と加圧エアを送給する加圧エア送給管6とを接続し、加圧エアの高速流により研掃材を吸引しながら、エアと研掃材の混合流をワーク3へ向けて噴射するように構成した。ワーク3の下方にはホッパ7を設けて使用済みの研掃材を回収するようにしている。ホッパ7の底部の排出部8に溜った研掃材は、回収管9を介して途中に配設された本発明に係るフィルタを備えた異物分離装置10により比較的大きな異物を除去した上、サイクロン11の入口12を介して吸引する。そして、サイクロン11内に吸引された使用済みの研掃材を含んだ被処理気体は、サイクロンの分離作用により、上方の異物除去口13より比較的小さな異物を排除するとともに目的の研掃材を下方の研掃材回収口14より回収し、前記研掃材送給管5を介して循環使用するように構成している。なお、上方の異物除去口13より排除された比較的小さな異物は、本実施例では集塵機15により除去した上、残りの気体を排気するように構成した。この集塵機15の吸引作用によって、サイクロン11の内部及び異物分離装置10の内部は若干の負圧状態となり、被処理気体は、ホッパ7の排出部8から異物分離装置10を経由してサイクロン11へ送給されることになる。
【0008】
図2は異物分離装置10に関する実施例を示した縦断面図であり、図3はそのA−A断面図、図4及び図5は要部に関する部分拡大図である。本実施例に係る異物分離装置10では、前記ホッパ7の排出部8に連なる回収管9を接続する流入側の配管接続部16は、図3に示したように中央から偏心した位置に形成した。回収された研掃材を含む被処理気体は、筒状のケーシング17とフィルタ18との間に形成される環状の通路19を旋回しながら、フィルタ18を通過し得ない比較的大きな異物を残して内部20へ流れ込み、図2に示した上方の流出口から配管接続部21を介して前記サイクロン11に送給される。フィルタ18により流通を阻止された比較的大きな異物は、自重により落下してケーシング17の下部に形成した異物溜り22に貯留される。なお、図中23はフィルタ18の枠体であり、この枠体23の外周面にフィルタを構成する網部材を張り、開口部24を介してその網目より小さい研掃材を含んだ粒子が内部20へ流通し得るように構成した。また、図中25は前記通路19に連なる被処理気体の流入口、26は前記フィルタ18の内部20に連なり該フィルタ18によって異物が除去された処理済気体の流出口である。
【0009】
次に、本発明の特徴部分に関して説明する。図示のように、前記フィルタ18の内側には、本実施例では2本のエア吹出し用の気体噴射ノズル27,28をフィルタ18の内面に沿って回転するように前記フィルタ18に対して同心的に回転可能に配設した。前述のように、この噴射ノズル27,28の設置数に関しては必要に応じて増減し得る。それらの気体噴射ノズル27,28には、図4及び図5に示したように、それぞれフィルタ18の内面に向けて外方に指向した多数の噴射口29,30を形成した。気体噴射ノズル27,28は、それらの下方を回転可能に配設した取付アーム31によって支持するとともに、下端部に連通管32,33を接続して、前記取付アーム31を回転可能に支持する回転軸34の中空部を利用して形成したエア送給路35を介して外部の圧力エア供給源36に接続している。回転軸34の下方にはプーリ37を固着し、スピードコントロール可能な駆動モータ38の出力軸39に固着したプーリ40とベルト41により連係することにより、回転軸34を介して取付アーム31に支持した気体噴射ノズル27,28を、図3に示したように、被処理気体の旋回流の方向と同一方向、すなわち被処理気体の旋回流が回転する向きと同じ向きに回転駆動し得るように構成した。なお、図中42,43は回転軸34支持用のベアリング、44はロータリ継手、45は流量調整弁、46は異物排出部を示したものである。
【0010】
しかして、前記異物分離装置10の運転時には、気体噴射ノズル27,28が回転軸34を介して駆動モータ38により被処理気体の旋回流が回転する向きと同じ向きに回転される。したがって、フィルタ18の内面には、回転移動する気体噴射ノズル27,28に形成した外方に指向した多数の噴射口29,30から噴射される圧力エアが吹付けられ、フィルタ18の網目を通って外側に吹出す。この網目を通ってフィルタ18の外側に吹出す圧力エアによって、フィルタ18の外面に残留する粒子は吹飛ばされて落下し目詰りが防止されることから、長時間に渡る安定した異物の分離作用が可能である。しかも、気体噴射ノズル27,28は被処理気体の旋回流が回転する向きと同じ向きに回転されることから、噴射口29,30から噴射される圧力エアによって生じる被処理気体の旋回流の乱れは小さく抑えられる。
【0011】
【発明の効果】
本発明によれば、フィルタ内に外方に指向した噴射口を有する気体噴射ノズルを該フィルタの表面に沿って回転するように前記フィルタに対して同心的に回転可能に設けたので、前記気体噴射ノズルからフィルタの網目を通って外側に吹出す気体によってフィルタの外面に残留する粒子が落下して目詰りが防止され、フィルタによる的確かつ効率的な分離作用を長時間に渡り安定的に維持することが可能である。しかも、気体噴射ノズルの回転方向を被処理気体の旋回流が回転する向きと同じ向き、すなわち被処理気体の旋回流の方向と同一方向にしたことから、気体噴射ノズルの噴射口から噴射される圧力エアによって生じる被処理気体の旋回流の乱れも小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用したブラスト装置における研掃材循環使用システムを例示した概略構成図である。
【図2】 異物分離装置に関する実施例を示した縦断面図である。
【図3】 図2中のA−A断面図である。
【図4】 要部に関する部分拡大図である。
【図5】 要部に関する部分拡大図である。
【符号の説明】
1…ブラスト装置、2…ブラスト加工室、3…ワーク、4…噴射ノズル、5…研掃材送給管、6…加圧エア送給管、7…ホッパ、8…排出部、9…回収管、10…異物分離装置、11…サイクロン、12…入口、13…異物除去口、14…研掃材回収口、15…集塵機、16…配管接続部、17…ケーシング、18…フィルタ、19…通路、20…内部、21…配管接続部、22…異物溜り、23…枠体、24…開口部、25…被処理気体の流入口、26…処理済気体の流出口、27,28…気体噴射ノズル、29,30…噴射口、31…取付アーム、32,33…連通管、34…回転軸、35…エア送給路、36…圧力エア供給源、37…プーリ、38…駆動モータ、39…出力軸、40…プーリ、41…ベルト、42,43…ベアリング、44…ロータリ継手、45…流量調整弁、46…異物排出部
Claims (1)
- 接線方向から研掃材と異物とを含んだ被処理気体を流入する流入口と処理済気体を流出する流出口を有し、内部で旋回流を発生させるケーシングと、前記旋回流の中心部に設けられた筒状のフィルタとを具備し、前記フィルタによって被処理気体から異物を分離する研掃材循環使用システムにおける異物分離装置において、前記フィルタ内に外方に指向した噴射口を有する気体噴射ノズルを該フィルタに沿って回転するように前記フィルタに対して同心的に回転可能に設け、かつその気体噴射ノズルの回転方向を被処理気体の旋回流が回転する向きと同じ向きにしたことを特徴とする研掃材循環使用システムにおける異物分離装置。
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