JP4245472B2 - 塩化ビニル系重合体組成物から成形された成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、高い弾性率を維持し、引張り伸び特性を損ねることなく、優れた破壊靭性値を有する成形品に関する。
塩化ビニル系重合体及びその組成物は、剛性、耐候性、難燃性等に優れ、又、安価で生産性が高い等の理由より、これまで、押出成形などにより、パイプ、窓枠、平板、シートなどの分野で広く用いられている。この中で、パイプの用途等においては、使用時や施工時に生じる亀裂等に伴う長時間使用時での亀裂進展性といったパイプの長期耐久性が問題となってきている。長期耐久性を向上させるには成形体の強靭性を向上させること、つまり破壊靭性値を向上させることが有効であることが知られている。
破壊靭性値とは、長時間にわたって成形品に負荷が加わった場合のノッチ近傍の応力集中に伴う亀裂進展性のしにくさを評価するものであり、例えば3点曲げ試験で評価する場合においては、破断する最大応力から破壊靭性値Kcが算出される。またクリープ試験で評価する場合は、一定時間で破断するのに必要な荷重の大きさより破壊靭性値Kcが算出される。したがって、破壊靭性値の向上には亀裂進展させるのに必要な応力の大きさが重要となり、単に延性的な材料よりも、延性と剛性を兼ね備えた材料が要求されている。
特許文献1では、塩化ビニル系プラスチックパイプの破壊靱性値の改良手法として、塩化ビニル系重合体中に少量の塩素化ポリエチレン等の破壊性能作用剤(延伸性付与剤)を添加する技術が開示されている。これらの技術では、塩化ビニル系重合体の破壊靭性値の向上を促すが、塩化ビニル系重合体に少量の破壊性能作用剤を均一に分散させる必要があり、均一に分散させる為には混練を長くするあるいは強くするなどの対策が必要となる。その為、成形物のコストの増加や、破壊靱性値を改善したにも関わらず、成形外観の悪化や弾性率低下等、他の性能が引き出せないという技術ネックが懸念され、必ずしも満足できる技術とは言えない。
一方、塩化ビニル系重合体の剛性付与には、塩化ビニル系重合体に炭酸カルシウムやタルク、マイカ等の無機充填剤を添加する方法が一般になされている。この場合、無機充填剤がより微細に分散される程、弾性率が向上する。例えば、層状膨潤性ケイ酸塩は、厚さが約1nmの非常に微細な薄片状結晶がイオン結合により層状に凝集してなる無機鉱物であるが、この層状構造を化学的または物理的な手段により剥離させ、高分子材料中に薄片状結晶をナノメーターレベルの大きさで分散させることで、従来の無機充填剤の添加と比べ、弾性率のみならず耐熱性、ガスバリヤー性が著しく向上することが、近年知られてきた。
特許文献2では、塩化ビニル系重合体に特定のアミノ化合物で有機化された層状膨潤性ケイ酸塩をナノメーターレベルの大きさで微分散化させることによる弾性率と耐熱性の向上技術が開示されている。しかしながら、これら開示されている技術では、剛性が向上する反面、延性が著しく低下し、又、塩化ビニル系重合体と層状膨潤性ケイ酸塩の親和性改良剤として使用されるアミノ化合物が塩化ビニル系重合体の熱分解を促進させ、工業用材料として使用するには未だ不十分である。
特許文献3では、塩化ビニル系重合体に、層間に存在する交換性無機イオンの一部が陽イオンに置換された層状膨潤性ケイ酸塩を特定量、ナノメーターレベルの大きさで微分散化させることによる破壊靭性値の向上技術が開示されている。しかしながら、使用される有機陽イオンが得られる成形品の色相を悪化させる欠点を有し、その改良が望まれている。
特許文献4では、塩化ビニル系単量体を、重合開始剤の存在下に水性媒体中で重合するのに際し、層状膨潤性ケイ酸塩を特定量添加して行い、塩化ビニル系樹脂中にナノメーターレベルの大きさで層状膨潤性ケイ酸塩を分散させ、破壊靭性値を向上させる技術が開示されている。しかしながら、これらの技術では、製造プロセスが複雑となり、製造コストが上昇する欠点を有し、工業材料として使用するには未だ不十分である。
特表平4−500402号公報 特開2000−159962号公報 特開2003−231786号公報 特開2003−231787号公報
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、塩化ビニル系重合体特有の高い弾性率を維持しつつ、引張り伸び特性を損ねることなく、長時間使用時での亀裂進展性といった破壊モードにおける強靱性に優れた塩化ビニル系重合体組成物より得られる成形品を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明は以下の事項により特定される。
(1)塩化ビニル系重合体に層状膨潤性ケイ酸塩と酢酸ビニル−エチレン系共重合体を分散してなる塩化ビニル系重合体組成物から成形された成形品であって
(A)塩化ビニル系重合体が、平均重合度600以上であり、
(B)成形品中に分散した層状膨潤性ケイ酸塩が、電子顕微鏡で測定した平均層厚さ0.5〜100nmで、平均アスペクト比(層長さと層厚さの比)5以上であり、
(C)成形品中に分散した酢酸ビニル−エチレン系共重合体が、電子顕微鏡で測定した平均直径10〜1000nmの粒子形状であり、かつ、
(D)該層状膨潤性ケイ酸塩の一部又は全てが、該酢酸ビニル−エチレン系共重合体粒子中に分散した形態を有する
ことを特徴とする成形品
(2)酢酸ビニル−エチレン系共重合体が、酢酸ビニルを質量比率で2〜60質量%含有していることを特徴とする(1)記載の成形品
(3)酢酸ビニル−エチレン系共重合体が、酢酸ビニルの部分鹸化により、ビニルアルコールを質量比率で1〜40質量%含有していることを特徴とする(1)または(2)記載の成形品。
(4)酢酸ビニル−エチレン系共重合体が、マレイン酸変性されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の成形品
(5)該成形品中の層状膨潤性ケイ酸塩と酢酸ビニル−エチレン系共重合体の含有比率が質量比率で80:20〜20:80であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の成形品
(6)層状膨潤性ケイ酸塩が、成形品を950℃で完全燃焼させたときの残滓として、成形品の0.05〜10質量%を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の成形品
(7)ASTM D5045―99に準じて測定した破壊靱性値が3.1MPa・m1/2以上となる(1)〜(6)のいずれかに記載の成形品
(8)成形品がパイプである(1)〜(7)のいずれかに記載の成形品。
本発明によれば、高い弾性率を維持し、引張り伸び特性を損ねることなく、優れた破壊靭性値を有する成形品を得ることができる。
本発明は、特定粒子形状の層状膨潤性ケイ酸塩及び酢酸ビニル−エチレン系共重合体を分散してなる塩化ビニル系重合体組成物から成形された成形品に関するものであり、破壊靭性値(ASTM D5045−99に準じて測定)という指標を用いて、組成と分散形態の最適化を図ることにより、得られる成形品の長期耐久性と剛性を両立させている。
すなわち、本発明の塩化ビニル系重合体組成物から成形された成形品は、塩化ビニル系重合体と層状膨潤性ケイ酸塩の親和性改良剤として酢酸ビニル−エチレン系共重合体が含有されることにより、塩化ビニル系重合体中に、層状膨潤性ケイ酸塩が平均層厚さとして0.5〜100nm、平均アスペクト比5以上の大きさで微分散され、かつ、これら層状膨潤性ケイ酸塩の一部または全てが、つまり、含有している層状膨潤性ケイ酸塩の50〜100質量%、好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは80〜100質量%が、塩化ビニル系重合体中に平均直径10〜1000nmの大きさで微分散された酢酸ビニル−エチレン系共重合体粒子中に分散された階層構造が形成されていることを特徴とするものである。このような構造形成により、高い弾性率を維持した上で、伸び特性を損ねることなく、破壊靭性値を著しく向上させ、成形体の長期耐久性、具体的には長時間使用時での亀裂進展性といった破壊モードにおける強靱性を向上させることができる。
この理由は必ずしも明らかではないが、本発明で得られた成形品の構造は、透過型電子顕微鏡で観察した場合、ナノメーターオーダーレベルの大きさに微分散した薄片状の層状膨潤性ケイ酸塩及び、これらの一部又は全てを内部に含有する酢酸ビニル−エチレン系共重合体粒子が、重なり合うことなく、塩化ビニル系重合体の残存粒子構造の界面を覆うように、網目状に分散した多層構造となっていることから、成形品に膨張応力が生じた際に、残存粒子構造界面自身の剛性を損ねることなく、残存粒子構造界面での応力集中点の分散化によるクレーズやミクロボイドの多数形成を伴った界面の局所的な塑性変形が可能となり、破壊靱性値が向上するものと考えられる。
この場合、層状膨潤性ケイ酸塩や酢酸ビニル−エチレン系共重合体が分散不良、つまり、塩化ビニル系重合体と層状膨潤性ケイ酸塩、酢酸ビニル−エチレン系共重合体の3成分の親和性のバランスが不十分で、層状膨潤性ケイ酸塩が酢酸ビニル−エチレン系共重合体中に全く内包されずに、塩化ビニル系重合体中に層状膨潤性ケイ酸塩の薄片結晶同士が凝集した大きな構造単位で分散したり、または、層状膨潤性ケイ酸塩が酢酸ビニル−エチレン系共重合体中で分散され、内包されても、酢酸ビニル−エチレン系共重合体が塩化ビニル系重合体中に大きな粒子形状で分散したりしていると、これら大きな凝集構造体が構造欠陥として振る舞い、亀裂進展を促進してしまい、破壊靭性値が低下する。その為、破壊靭性値の高い成形品を得るには、層状膨潤性ケイ酸塩や、その一部又は全てを含有する酢酸ビニル−エチレン系共重合体が上述のナノオーダーレベルの大きさにまで微分散させる必要がある。
本発明は上述した手段により破壊靭性値の向上を図っているが、破壊靭性値は、好ましくは3.1MPa・m1/2以上、さらに好ましくは3.7MPa・m1/2以上、最も好ましくは3.9MPa・m1/2以上とする。ここで破壊靭性値の測定は、ASTM D−5045−95に準じて、片側に切り欠きを挿入した平板による3点曲げ試験により求めることができる。破壊靭性値を上記のような値とすることによって長期耐久性に優れた成形品を得ることができる。破壊靭性値の上限は特に無いが、たとえば6MPa・m1/2程度もあれば充分である。後に実施例等において説明するように、本発明によれば、成形品の弾性率を損ねることなく、高い破壊靭性値Kcが得られ、高品質な塩化ビニル系重合体組成物が提供される。
本発明における塩化ビニル系重合体とは、塩化ビニルの単独重合体または、塩化ビニルと塩化ビニルと共重合可能な他のビニル系単量体との共重合体、さらには、塩化ビニル、必要により共重合可能な他のビニル系単量体および多官能性モノマーとの共重合による部分架橋された塩化ビニル系重合体などが挙げられる。
ここで用いる塩化ビニルと共重合可能な他のビニル系単量体としては、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのα−モノオレフィン系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド等のN−置換マレイミド;塩化ビニリデンなどのビニリデン類等であり、これらのうち少なくとも1種以上を塩化ビニルと共重合させる。
又、部分架橋させる多官能性モノマーとしては、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルアジペート、トリアリルシアヌレート等の多官能アリル化合物;エチレングリコールジビニルエーテル、オクタデカンジビニルエーテル等の多官能ビニルエーテル類;1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート類等があげられる。これらのうち少なくとも1種以上を塩化ビニルと共重合させ、部分的に架橋構造を有する塩化ビニル系重合体とする。
塩化ビニル系重合体の平均重合度は、600以上である。この範囲とすることにより得られる成形品の破壊靭性値を良好にすることができる。塩化ビニル系重合体の平均重合度が600未満では破壊靱性値の改良効果が得られない。ここで塩化ビニル系重合体の平均重合度が600〜3000、好ましくは700〜2000であると、破壊靭性値と成形性のバランスがさらに良好となり、成形時の流動性が良好で、成形機の混練トルクが小さくて、かつ破壊靱性値の高い成形品が得られ好ましい。
塩化ビニル系重合体は、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法などのいずれの方法で製造されたものでも良く、特に制限はないが、懸濁重合法で製造されたものが、残存モノマーが少なく、好ましい。
塩化ビニル系重合体の懸濁重合法はよく知られており、公知の方法を用いればよく、特に制限は無い。
本発明における層状膨潤性ケイ酸塩とは、主として酸化ケイ素の四面体シートと、主として金属水酸化物の八面体シートからなる薄片状結晶が層状に重なった構造を有し、層間にナトリウムイオン、カルシウムイオン等の交換性陽イオンを有する水溶性のケイ酸塩鉱物である。層状膨潤性ケイ酸塩の種類は特に限定されるものではないが、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、ノントリロナイト、ソーコナイト、ベントナイト等のスメクタイト系粘土鉱物及び、バーミキュライト、ハロイサイト、又は膨潤性マイカなどが挙げられ、天然のものでも合成されたものでも構わない。その中で、モンモリロナイト、ベントナイト、膨潤性雲母の使用が、入手の容易さ、物性改良の点から好ましい。
本発明における酢酸ビニル−エチレン系共重合体とは、エチレンと酢酸ビニルを必須成分とし、必要によりエチレン又は酢酸ビニルと共重合可能な他のビニル系単量体との多元的なランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などが挙げられる。
ここで用いるエチレン又は酢酸ビニルと共重合可能な他のビニル系単量体としては、プロピレン、ブチレンなどのα−モノオレフィン系単量体;プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド等のN−置換マレイミド;塩化ビニリデンなどのビニリデン類、塩化ビニル等であり、これらのうち少なくとも1種以上をエチレン又は酢酸ビニルと共重合させる。
本発明に用いられるエチレン−酢酸ビニル系共重合体の分子量については特に制限はないが、重量平均分子量1000〜5000000の範囲であると、成形性が良好で、かつ破壊靱性値の高い成形品が得られ好ましい。
又、エチレン−酢酸ビニル系共重合体の製造方法についても特に制限は無く、公知の方法を用いてよい。
上述したように、本発明に用いられる酢酸ビニル−エチレン系共重合体の組成は、酢酸ビニル及びエチレンを必須成分とする以外何ら制約されないが、好ましくは、酢酸ビニル含有率として、質量比率で、2〜60質量%、更に好ましくは、3〜40質量%である。酢酸ビニル含有率が上述の範囲であると、塩化ビニル系重合体と層状膨潤性ケイ酸塩、酢酸ビニル−エチレン系共重合体の3成分の親和性のバランスが良好となり、層状膨潤性ケイ酸塩及び酢酸ビニル−エチレン系共重合体の分散性が良好となり、破壊靱性値が高い成形体が得られ好ましい。
さらに、本発明に用いられる酢酸ビニル−エチレン系共重合体が、酢酸ビニルの部分鹸化により置換されたビニルアルコールを質量比率で1〜40質量%、好ましくは5〜30%含有すると、層状膨潤性ケイ酸塩及び酢酸ビニル−エチレン系共重合体の分散性がさらに良好となり、破壊靱性値が高い成形体が得られ、より好ましい。
上述の部分鹸化された酢酸ビニル−エチレン系共重合体の製造方法は特に制限されず、公知の方法でよい。例えば、酢酸ビニル−エチレン系共重合体を水酸化ナトリウムを溶解させたメタノール中に浸漬させ、酢酸ビニルを加水分解させる方法が挙げられる。
また、本発明に用いられる酢酸ビニル−エチレン系共重合体が、マレイン酸変性された酢酸ビニル−エチレン系共重合体であると、層状膨潤性ケイ酸塩及び酢酸ビニル−エチレン系共重合体の分散性がさらに向上し、破壊靱性値が高い成形体が得られ、より好ましい。
上述のマレイン酸変性された酢酸ビニル−エチレン系共重合体の製造方法は特に制限されず、公知の方法でよい。例えば、酢酸ビニル−エチレン系共重合体を、有機過酸化物の存在下、無水マレイン酸と溶融混練させ、ラジカル反応により、エチレン又は酢酸ビニルをマレイン酸変性させる方法が挙げられる。
本発明では、成形品中で層状膨潤性ケイ酸塩の層間が剥離し、薄片状結晶単位にできる限り分散された形態を有しており、かつ、これら層状膨潤性ケイ酸塩の一部又は全てが、成形体中で微分散された酢酸ビニル−エチレン系共重合体粒子中に分散された階層的構造の形態を有することが必要である。
従って、本発明に用いられる層状膨潤性ケイ酸塩の成形品中で分散した状態での形状としては、平均層厚さが0.5〜100nm、かつ平均アスペクト比(層長さと層厚さの比)が5以上である。好ましくは、平均層厚さが0.5〜80nm、かつ平均アスペクト比が7〜300である。更に好ましくは、平均層厚さが0.5〜60nm、かつ平均アスペクト比が10〜300である。
成形品に分散した状態での層状膨潤性ケイ酸塩の平均層厚さが100nmを越えたり、または平均アスペクト比が5未満であると、層状膨潤性ケイ酸塩は、その層間剥離が不十分で、薄片状結晶が多数凝集した形態になり易く、それが構造欠陥となり、高い破壊靭性値が得られず好ましくない。
さらに、本発明に用いられる酢酸ビニル−エチレン系共重合体の成形品中で分散した形態は、平均直径が10〜1000nm、好ましくは、10〜700nmの粒子形状であり、かつ、上述の大きさや形状で分散した層状膨潤性ケイ酸塩の一部又は全てが、酢酸ビニル−エチレン系共重合体粒子中に分散した形態を有する。
成形品に分散した状態での酢酸ビニル−エチレン系共重合体の平均直径が1000nmを越えると、構造欠陥となり、高い破壊靭性値が得られず、好ましくない。又、酢酸ビニル−エチレン系共重合体粒子中に層状膨潤性ケイ酸塩が全く分散されていないと、塩化ビニル系重合体と層状膨潤性ケイ酸塩との親和性が欠如し、また、分散された酢酸ビニル−エチレン系共重合体粒子自身の弾性率低下により、高い破壊靭性値が得られず、好ましくない。
本発明の塩化ビニル系重合体組成物中の層状膨潤性ケイ酸塩と酢酸ビニル−エチレン系共重合体の含有比率は、特に制約されるものではないが、好ましくは、質量比率で80:20〜20:80、さらに好ましくは、70:30〜30:70である。上述した含有比率の範囲であると、成形体中での層状膨潤性ケイ酸塩及び酢酸ビニル−エチレン系共重合体の分散性が良好となり、高い破壊靭性値が得られ、より好ましい。
本発明の塩化ビニル系重合体組成物中の層状膨潤性ケイ酸塩の含有率もまた、特に制約されるものではないが、好ましくは、無機成分の重量分率として、0.05〜10質量%、さらに好ましくは、0.1〜3質量である。
ちなみに、層状膨潤性ケイ酸塩の含有率は、得られた塩化ビニル系重合体組成物の成形品を950℃で完全燃焼させ、灰分の質量測定より、規定されるものであり、無機成分の質量分率として規定される。
本発明の製造方法については、特に制限されるものではなく、例えば、塩化ビニル系重合体と層状膨潤性ケイ酸塩及び酢酸ビニル−エチレン系共重合体を所定量配合し、必要に応じ各種添加剤を配合したものをヘンシェルミキサー、らいかい機、プラネタリーミキサー、その他各種ミキサーなどを用いて均一に混合することによって得られ、常温下でのいわゆるコールドブレンドで行っても、又、60〜140℃の範囲でのいわゆるホットブレンドで行ってもかまわない。上記の方法で製造した塩化ビニル系重合体組成物を、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、バンバリーミキサー等の混練機により、所定の剪断応力場で溶融混練させて成形品を製造することにより、成形品中に層状膨潤性ケイ酸塩及び酢酸ビニル−エチレン系共重合体がナノメーターオーダーレベルの大きさに微分散された構造を形成させることができる。
この場合、予め、層状膨潤性ケイ酸塩と酢酸ビニル−エチレン系共重合体のみを所定量配合し、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、バンバリーミキサー等の混練機により、所定の剪断応力場で溶融混練させた後に、塩化ビニル系重合体及び必要に応じ各種添加剤を配合し、再溶融混練させて成形品を製造することにより、層状膨潤性ケイ酸塩が予め酢酸ビニル−エチレン系共重合体に覆われ、薄片状結晶単位まで剥離、分散された状態で、塩化ビニル系重合体と溶融混練される為、成形品中で層状膨潤性ケイ酸塩及び酢酸ビニル−エチレン系共重合体を、効率よく均一にナノメーターオーダーレベルの大きさに微分散させることができ、より好ましい。
本発明の塩化ビニル系重合体組成物には、目的に応じて、顔料や染料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、加工助剤、耐衝撃改良剤、耐電防止剤等の添加剤を添加しても良い。
また、本発明の塩化ビニル系重合体組成物からなる成形品は、公知の樹脂の成形方法、例えば、プレス成形、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形等によって、溶融混練、賦形加工されることにより得られる。溶融混練時の温度については特に制限は無いが、140〜200℃の温度範囲で成形加工することにより、高い弾性率と高い破壊靭性値を有する成形品が得られ好ましい。特に、本発明の組成物からなる成形品としては、パイプ、継ぎ手、雨樋、窓枠、サイジング材等、建築資材への使用が好ましい。その中で、押出成形により、パイプを成形した場合、高い剛性を有し、且つ破壊靭性値が高く、長期耐久性に優れたパイプが得られ、より好ましい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。下記の実施例及び比較例で得られた塩化ビニル系重合体組成物からなる成形品の評価は、以下に示す方法によって行った。
(平均重合度の測定方法)
JIS−K6721に準じて、ニトロベンゼンを溶媒とした塩化ビニル系重合体溶液の粘度測定により、算出した。尚、塩化ビニル系重合体が完全に溶解しない場合は、不溶分を濾過し、可溶分の粘度測定により、算出した。
(成形品の作製方法)
得られた塩化ビニル系重合体組成物を165℃の温度のロールで5分間混練し、ロール混練シートを作製し、このロール混練シートを、175℃にて、圧力15MPaの条件で20分間プレス成形し、成形品を作製した。
(成形品中の層状膨潤性ケイ酸塩の平均層厚さ及び平均アスペクト比の測定方法)
上記で作成した成形品をウルトラミクロトームで厚さ1μmの薄片に切削し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEM−2000FX)で50万倍に拡大して観察し、0.1mm角中に分散している層状膨潤性ケイ酸塩の層厚さと層長さを計測し、平均層厚さ及び平均アスペクト比を算出した。
(成形品中の酢酸ビニル−エチレン系共重合体粒子の平均直径及び該粒子中の層状膨潤性珪酸塩含有の有無の測定方法)
上記と同様の方法にて顕微鏡観察を行い、酢酸ビニル−エチレン系共重合体粒子の平均直径の計測及び該粒子中の層状膨潤性珪酸塩含有の有無の観察を行った。
(成形品中の層状膨潤性ケイ酸塩の含有率の測定方法)
上記で作成した成形品から1gを切削し、950℃で1時間燃焼させ、灰分の質量測定より、層状膨潤性ケイ酸塩の含有率を算出した。
(破壊靭性試験方法)
上記で作成した成形品を用いて、ASTM D−5045−95に準じる試験機(エーアンドデイ社製、テンシロン)にて、片側に切り欠きを挿入した平板による3点曲げ試験により、最大応力より破壊靭性値(Kc)を算出した。なお、非線形破壊を示した成形品については、最大応力到達時が、成形品のクラック成長開始点とみなし、最大応力より破壊靭性値(Kc)を算出した。
(引張り弾性率及び伸びの測定方法)
上記で作成した成形品を用いて、JIS K 7113に準じる試験機(エーアンドデイ社製。テンシロン)にて、引張り弾性率及び伸びを測定した。
実施例1
塩化ビニル系重合体として、平均重合度1020の懸濁重合法で製造した塩化ビニル重合体(大洋塩ビ(株)製:商品名:TH−1000)を300g、層状膨潤性ケイ酸塩として、天然のベントナイト鉱石から精製されたモンモリロナイト(クニミネ工業(株)製、商品名:クニピアF)を1.506g、酢酸ビニル−エチレン系共重合体として、酢酸ビニル含有率が5質量%、エチレン含有率が95質量%である酢酸ビニル−エチレン共重合体(東ソー(株)製:商品名:ペトロセン291R)を0.645g、安定剤として、ジオクチル錫メルカプト系安定剤(三共有機(株)製:商品名:ONZ−82BF)を3gとり、これらをヘンシェルミキサーで混合し、ロール混練及びプレス成形して塩化ビニル系重合体組成物を作製した。
得られた成形品の灰分率から定量したモンモリロナイトの含有率は0.50質量%であり、モンモリロナイトは平均層厚さが28nm、平均アスペクト比が12の大きさで分散されており、かつ、その一部が、平均直径が420nmの大きさで分散された酢酸ビニル−エチレン共重合体粒子内部で分散されていた。
また、得られた成形品の破壊靭性値は高く、引張り弾性率、引張り伸びも高く、良好であった。
実施例2
実施例1において、酢酸ビニル−エチレン共重合体(東ソー(株)製:商品名:ペトロセン291R)を1.506gと変更した以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系重合体組成物を作製した。
得られた成形品の灰分率から定量したモンモリロナイトの含有率は0.49質量%であり、モンモリロナイトは平均層厚さが18nm、平均アスペクト比が20の大きさで分散されており、かつ、その一部が、平均直径が380nmの大きさで分散された酢酸ビニル−エチレン共重合体粒子内部で分散されていた。
また、得られた成形品の破壊靭性値は高く、引張り弾性率、引張り伸びも高く、良好であった。
実施例3
実施例1において、酢酸ビニル−エチレン共重合体(東ソー(株)製:ペトロセン291R)を3.519gと変更した以外は、実施例1と同様にして塩化ビニル系重合体組成物を作製した。
得られた成形品の灰分率から定量したモンモリロナイトの含有率は0.51質量%であり、モンモリロナイトは平均層厚さが16nm、平均アスペクト比が18の大きさで分散されており、かつ、その一部が、平均直径が320nmの大きさで分散された酢酸ビニル−エチレン共重合体粒子内部で分散されていた。
また、得られた成形品の破壊靭性値は高く、引張り弾性率、引張り伸びも高く、良好であった。
実施例4
実施例2において、酢酸ビニル−エチレン系共重合体を、酢酸ビニル含有率が20質量%、エチレン含有率が80質量%である酢酸ビニル−エチレン共重合体(東ソー(株)製:商品名:ウルトラセン631)に更した以外は、実施例2と同様にして塩化ビニル系重合体組成物を作製した。
得られた成形品の灰分率から定量したモンモリロナイトの含有率は0.48質量%であり、モンモリロナイトは平均層厚さが30nm、平均アスペクト比が13の大きさで分散されており、かつ、その一部が、平均直径が510nmの大きさで分散された酢酸ビニル−エチレン共重合体粒子内部で分散されていた。
また、得られた成形品の破壊靭性値は高く、引張り弾性率、引張り伸びも高く、良好であった。
実施例5
実施例2において、モンモリロナイト(クニミネ工業(株):クニピアF)を9.036gとし、酢酸ビニル−エチレン共重合体(東ソー(株)製:ペトロセン291R)を21.084gと変更した以外は、実施例2と同様にして塩化ビニル系重合体組成物を作製した。
得られた成形品の灰分率から定量したモンモリロナイトの含有率は3.02質量%であり、モンモリロナイトは平均層厚さが31nm、平均アスペクト比が12の大きさで分散されており、かつ、その一部が、平均直径が430nmの大きさで分散された酢酸ビニル−エチレン共重合体粒子内部で分散されていた。
また、得られた成形品の破壊靭性値は高く、引張り弾性率、引張り伸びも高く、良好であった。
実施例6
実施例2において、酢酸ビニル−エチレン系共重合体を、酢酸ビニル含有率が17質量%、エチレン含有率が73質量%、ビニルアルコール含有率が10質量%である部分鹸化処理された酢酸ビニル−エチレン共重合体(東ソー(株)製:商品名:メルセンH)に変更した以外は、実施例2と同様にして塩化ビニル系重合体組成物を作製した。
得られた成形品の灰分率から定量したモンモリロナイトの含有率は0.49質量%であり、モンモリロナイトは平均層厚さが21nm、平均アスペクト比が17の大きさで分散されており、かつ、その一部が、平均直径が410nmの大きさで分散された部分鹸化酢酸ビニル−エチレン共重合体粒子内部で分散されていた。
また、得られた成形品の破壊靭性値は高く、引張り弾性率、引張り伸びも高く、良好であった。
実施例7
実施例2において、酢酸ビニル−エチレン系共重合体を、酢酸ビニル含有率が30質量%、エチレン含有率が70質量%である酢酸ビニル−エチレン共重合体を、有機過酸化物の存在下、無水マレイン酸と溶融混練させ、変性処理させて得られたマレイン酸変性の酢酸ビニル−エチレン共重合体に変更した以外は、実施例2と同様にして塩化ビニル系重合体組成物を作製した。
得られた成形品の灰分率から定量したモンモリロナイトの含有率は0.49質量%であり、モンモリロナイトは平均層厚さが20nm、平均アスペクト比が16の大きさで分散されており、かつ、その一部が、平均直径が370nmの大きさで分散されたマレイン酸変性酢酸ビニル−エチレン共重合体粒子内部で分散されていた。
また、得られた成形品の破壊靭性値は高く、引張り弾性率、引張り伸びも高く、良好であった。
実施例8
実施例2において、層状膨潤性ケイ酸塩を、天然のベントナイト鉱石を平均直径1μmの大きさの粒子状に分級粉砕させた微粉砕ベントナイト(クニミネ工業(株)製:試作品)に変更し、その添加量を2.154gとした以外は、実施例2と同様にして塩化ビニル系重合体組成物を作製した。
得られた成形品の灰分率から定量したベントナイトの含有率は0.70質量%であり、ベントナイトは平均層厚さが40nm、平均アスペクト比が12の大きさで分散されており、かつ、その一部が、平均直径が520nmの大きさで分散された酢酸ビニル−エチレン共重合体粒子内部で分散されていた。
また、得られた成形品の破壊靭性値は高く、引張り弾性率、引張り伸びも高く、良好であった。
実施例9
実施例2において、塩化ビニル系重合体を、平均重合度1710の懸濁重合法で製造した塩化ビニル重合体(大洋塩ビ(株)製:TH−1700)に変更した以外は、実施例2と同様にして塩化ビニル系重合体組成物を作製した。
得られた成形品の灰分率から定量したモンモリロナイトの含有率は0.48質量%であり、ベントナイトは平均層厚さが18nm、平均アスペクト比が21の大きさで分散されており、かつ、その一部が、平均直径が460nmの大きさで分散された酢酸ビニル−エチレン共重合体粒子内部で分散されていた。
また、得られた成形品の破壊靭性値は高く、引張り弾性率、引張り伸びも高く、良好であった。
実施例10
層状膨潤性珪酸塩として、天然のベントナイト鉱石から精製されたモンモリロナイト(クニミネ工業(株)製:クニピアF)を30g、酢酸ビニル−エチレン系共重合体として、酢酸ビニル含有率が5質量%、エチレン含有率が95質量%である酢酸ビニル−エチレン共重合体(東ソー(株)製:ペトロセン291R)を30g、140℃の温度下にて、プラストミキサー(東洋精機社製:ラボプラストミル)にて5分間、溶融混練させ、得られた酢酸ビニル−エチレン共重合体とモンモリロナイトの溶融混合物の破砕物を3.012g、塩化ビニル系重合体として、平均重合度1020の懸濁重合法で製造した塩化ビニル重合体(大洋塩ビ(株)製:TH−1000)を300g、安定剤として、ジオクチル錫メルカプト系安定剤(三共有機(株)製:ONZ−82BF)を3g、ヘンシェルミキサーで混合し、ロール混練及びプレス成形して塩化ビニル系重合体組成物を作製した。
得られた成形品の灰分率から定量したモンモリロナイトの含有率は0.49質量%であり、モンモリロナイトは平均層厚さが15nm、平均アスペクト比が16の大きさで分散されており、かつ、その一部が、平均直径が250nmの大きさで分散された酢酸ビニル−エチレン共重合体粒子内部で分散されていた。
また、得られた成形品の破壊靭性値は高く、引張り弾性率、引張り伸びも高く、良好であった。
実施例11
実施例2において、酢酸ビニル−エチレン系共重合体を、酢酸ビニル含有率が70質量%、エチレン含有率が30質量%である酢酸ビニル−エチレン共重合体(日本合成化学工業(株)製:商品名:ソアプレン)に変更した以外は、実施例2と同様にして塩化ビニル系重合体組成物を作成した。
得られた成形品の灰分率から定量したモンモリロナイトの含有率は0.49質量%であり、モンモリロナイトは平均層厚さが60nm、平均アスペクト比が8の大きさで分散されており、かつ、その一部が、平均直径が520nmの大きさで分散された酢酸ビニル−エチレン共重合体粒子内部で分散されていた。
また、得られた成形品の破壊靭性値は高く、引張り弾性率、引張り伸びも高く、良好であった。
比較例1
実施例2において、塩化ビニル重合体(大洋塩ビ(株)製:TH−1000)を300gとし、モンモリロナイト(クニミネ工業(株):クニピアF)及び酢酸ビニル−エチレン共重合体(東ソー(株)製:ペトロセン291R)を全く添加せずに実施例2と同様にして塩化ビニル系重合体組成物を作製した。
得られた成形品の灰分率から定量したモンモリロナイトの含有率は0質量%であった。また、得られた成形品の引張り伸びは高かったが、破壊靭性値は低く、引張り弾性率も低く、好ましくなかった。
比較例2
実施例2において、塩化ビニル重合体(大洋塩ビ(株)製:TH−1000)を300gとし、酢酸ビニル−エチレン共重合体(東ソー(株)製:ペトロセン291R)を全く添加せずに実施例2と同様にして塩化ビニル系重合体組成物を作製した。
得られた成形品の灰分率から定量したモンモリロナイトの含有率は0.50質量%であり、モンモリロナイトは平均層厚さが160μm、平均アスペクト比が2.1の大きさで、凝集状に分散されていた。得られた成形品の引張り弾性率、引張り伸びは高かったが、破壊靭性値は低く、好ましくなかった。
比較例3
実施例2において、塩化ビニル重合体(大洋塩ビ(株)製:TH−1000)を300gとし、モンモリロナイト(クニミネ工業(株):クニピアF)を全く添加せずに実施例2と同様にして塩化ビニル系重合体組成物を作製した。
得られた成形品の灰分率から定量したモンモリロナイトの含有率は0質量%であったが、酢酸ビニル−エチレン共重合体は、平均直径360nmの大きさで分散されていた。
しかしながら、得られた成形品の引張り伸びは高かったが、破壊靭性値は低く、引張り弾性率も低く、好ましくなかった。
比較例4
実施例2において、酢酸ビニル−エチレン系共重合体を、酢酸ビニル含有率が0質量%、エチレン含有率が100質量%であるポリエチレン(東ソー(株)製:商品名:ニポロンL)に変更した以外は、実施例2と同様にして塩化ビニル系重合体組成物を作製した。
得られた成形品では、ポリエチレンが平均直径820nmの大きさで分散されていた。一方、得られた成形品の灰分率から定量したモンモリロナイトの含有率は0.49質量%であり、モンモリロナイトは平均層厚さが72μm、平均アスペクト比が3.2の大きさで、凝集状に分散されており、かつ、ポリエチレン粒子内部には分散されてはいなかった。
得られた成形品の引張り弾性率、引張り伸び共に高かったが、破壊靭性値は低く、好ましくなかった。
比較例5
実施例2において、酢酸ビニル−エチレン系共重合体を、酢酸ビニル含有率が100質量%、エチレン含有率が0質量%であるポリ酢酸ビニル(日本合成化学(株)製:商品名:ゴーセニール)に変更した以外は、実施例2と同様にして塩化ビニル系重合体組成物を作製した。
得られた成形品の灰分率から定量したモンモリロナイトの含有率は0.50質量%であり、モンモリロナイトは平均層厚さが80nm、平均アスペクト比が5.0の大きさで分散され、かつ、ポリ酢酸ビニル粒子内部に内包、分散されていたが、ポリ酢酸ビニル自身は、得られた成形品中で、平均直径15μmの大きさに、凝集されて分散されていた。
得られた成形品の引張り弾性率、引張り伸び共に高かったが、破壊靭性値は低く、好ましくなかった。
比較例6
実施例2において、塩化ビニル系重合体を、平均重合度510の懸濁重合法で製造した塩化ビニル重合体(大洋塩ビ(株)製:商品名:TH−500)に変更した以外は、実施例2と同様にして塩化ビニル系重合体組成物を作製した。
得られた成形品の灰分率から定量したモンモリロナイトの含有率は0.49質量%であり、モンモリロナイトは平均層厚さが15nm、平均アスペクト比が30の大きさで分散されており、かつ、その一部が、平均直径が560nmの大きさで分散された酢酸ビニル−エチレン共重合体粒子内部で分散されていた。
しかしながら、得られた成形品の引張り弾性率、引張り伸び、壊靭性値ともに低く、好ましくなかった。
実施例、比較例の結果を表1、2にまとめた。
Figure 0004245472
Figure 0004245472

Claims (8)

  1. 塩化ビニル系重合体に層状膨潤性ケイ酸塩と酢酸ビニル−エチレン系共重合体を分散してなる塩化ビニル系重合体組成物から形成された成形品であって
    (A)塩化ビニル系重合体が、平均重合度600以上であり、
    (B)成形品中に分散した層状膨潤性ケイ酸塩が、電子顕微鏡で測定した平均層厚さ0.5〜100nmで、平均アスペクト比(層長さと層厚さの比)5以上であり、
    (C)成形品中に分散した酢酸ビニル−エチレン系共重合体が、電子顕微鏡で測定した平均直径10〜1000nmの粒子形状であり、かつ、
    (D)該層状膨潤性ケイ酸塩の一部又は全てが、該酢酸ビニル−エチレン系共重合体粒子中に分散した形態を有する
    ことを特徴とする成形品
  2. 酢酸ビニル−エチレン系共重合体が、酢酸ビニルを質量比率で2〜60質量%含有していることを特徴とする請求項1記載の成形品
  3. 酢酸ビニル−エチレン系共重合体が、酢酸ビニルの部分鹸化により、ビニルアルコールを質量比率で1〜40質量%含有していることを特徴とする請求項1又は2記載の成形品
  4. 酢酸ビニル−エチレン系共重合体が、マレイン酸変性されていることを特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載の成形品
  5. 成形品中の層状膨潤性ケイ酸塩と酢酸ビニル−エチレン系共重合体の含有比率が質量比率で80:20〜20:80であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成形品。
  6. 層状膨潤性ケイ酸塩が、成形品を950℃で完全燃焼させたときの残滓として、成形品の0.05〜10質量%を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の成形品
  7. ASTM D5045―99に準じて測定した破壊靱性値が3.1MPa・m1/2以上となる請求項1〜6のいずれかに記載の成形品
  8. 成形品がパイプである請求項1〜7のいずれかに記載の成形品。
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