JP4244284B2 - 排ガスの白煙化防止装置 - Google Patents

排ガスの白煙化防止装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガスの白煙化防止装置に関する技術分野に属し、詳細には、排ガスの大気中への排出の際の白煙化を防止する装置に関する技術分野に属するものであり、特には、酸洗処理の際に排出される排ガスの白煙化を防止する装置に関する技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、線材や板材の脱スケールに際し塩酸や硫酸等の酸性溶液を使用した酸洗処理が行われているが、このとき酸性溶液の加熱や金属との反応熱により、気液界面から高湿度かつ高濃度のヒュームが発生する。このヒュームは、周囲に設置されている装置、機器類や建屋構造物の鋼材等を腐食させること、及び、刺激臭があり作業者への悪影響があること等の理由から、通常はフード等を介して周囲の空気とともに吸引され、湿式スクラバーによって洗浄・除去する処理が施され、これにより酸濃度を規制基準値以下にして大気中へ放出されている。
【0003】
しかし、湿式スクラバー内での水またはその他水溶液でのヒュームの洗浄処理により排ガスは関係湿度で100%近くまで上昇し、際立った白煙(実質は水蒸気)となって大気中に放出されることになる。排ガスの酸濃度は規制基準値以下であっても、このような白煙が大気中に放出されることは、住民感情や周囲の環境を悪化させる問題がある。
【0004】
このような白煙は、酸洗処理の際に排出される排ガスに限らず、ごみ焼却炉等の排ガスの処理においても発生する。そこで、これら白煙の防止策として、いくつかの方法や装置が提案されている。
【0005】
例えば、特公平6-22652 号公報においては、吸湿性物質もしくは潮解性物質等の水溶液とエアロゾル状白煙を同伴する酸性の排ガスを気液接触させることにより白煙を除去する方法(以下、気液接触法ともいう)が提案されており、また、特開平2-56212 号公報や特開平10-156126 号公報においては、複数の複層円筒フィルターやセラミックス粒子を使用した排ガス処理装置(以下、濾過/吸着法ともいう)が提案されている。また、特開平5-288333号公報や特開平7-119951号公報等においては、ごみ焼却炉から排出される排ガス自体あるいはガスタービン排ガス等を熱源として利用し、洗浄処理後大気中への排出前の排ガスを加熱し、これにより排ガスの湿度を下げて白煙化を防止する方法や装置(以下、加熱法ともいう)が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記気液接触法においては、気液接触に一般的な湿式スクラバーが用いられるため、エアロゾル状の白煙は除去し得ても、排ガスの湿度は高くなり水蒸気による白煙の発生は抑制されないという問題点がある。
【0007】
前記濾過/吸着法は、複層円筒フィルターやセラミックス粒子間を排ガスを通過させる方法であり、この方法においては特に酸洗処理における排ガスを処理する場合に下記の如き問題点がある。即ち、酸洗処理における排ガス量は、設備規模にもよるが概ね1000Nm3/min 以上と大容量となることが多く、前記複層円筒フィルターやセラミックス粒子間を通過させる方法では装置が大きくなり、また、圧損が高くなるために静圧の高い排風機が必要となること等から、設備費が増大する問題がある。
【0008】
前記加熱法においては、酸洗処理における排ガスを処理する場合、排ガスを加熱するための熱源及び設備が別途必要であり、前述の如き大容量の排ガスを加熱するにはエネルギーコスト及び設備費が多大となる問題がある。
【0009】
しかし、前記加熱法は、排ガスを冷却して水分を凝縮して湿度を下げる方法や前述の気液接触法及び濾過/吸着法に比べて、装置の構造が簡単であり、メンテナンスも容易であるなど、装置面での優位性があるため、白煙化を防止し得る排ガスの諸条件を明らかにすることができれば排ガスの加熱装置及び加熱エネルギーを最小限にすることができ、酸洗処理における排ガスの白煙化防止に有益である。
【0010】
即ち、白煙を発生させない排ガスの温度や湿度および排ガスを加熱するための温風の温度や量等は、大気温度や湿度等の大気条件により異なるため、大気条件に応じて決定することができれば、排ガスの加熱エネルギーを必要最小限にすることができ、また、想定される最悪の大気条件に応じた加熱能力を有する装置を備えればよく、設備面においても必要最小限化を図ることができる。
【0011】
本発明は、このような事情に着目してなされたものであって、その目的は、排ガスの加熱エネルギーを必要最小限にすることができるか、または、排ガスの加熱用装置での消費エネルギーを低減することができ、これらにより実質的なエネルギー経済性を向上することが可能な排ガスの白煙化防止装置を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る排ガスの白煙化防止装置は、請求項1〜2記載の排ガスの白煙化防止装置としており、それは次のような構成としたものである。
【0013】
【0014】
即ち、請求項1記載の排ガスの白煙化防止装置は、酸洗処理する酸洗槽と、該酸洗槽で酸洗処理された物を洗浄処理し或いは更に乾燥処理する手段と、該手段で処理された物を皮膜形成処理する皮膜形成槽と、前記酸洗槽からの排ガスを洗浄処理する排ガス洗浄手段とを有する酸洗処理設備から排出される排ガスの白煙化防止装置であって、前記排ガス洗浄手段で洗浄処理された排ガスと前記皮膜形成槽からの排ガスとを混合する排ガス混合部と、この排ガス混合部で混合された排ガスを排出するダクトとを有することを特徴とする排ガスの白煙化防止装置である(第発明)。
【0015】
請求項記載の排ガスの白煙化防止装置は、空気を加熱して温風を前記排ガス混合部に送り込む手段を有する請求項2記載の排ガスの白煙化防止装置である(第発明)。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は、例えば次のような形態で実施する
【0017】
【0018】
【0019】
酸洗処理する酸洗槽と、この酸洗槽で酸洗処理された物を洗浄処理し或いは更に乾燥処理する手段と、この手段で処理された物を皮膜形成処理する皮膜形成槽と、前記酸洗槽からの排ガスを洗浄処理する排ガス洗浄手段とを有する酸洗処理設備において、前記排ガス洗浄手段で洗浄処理された排ガスと前記皮膜形成槽からの排ガスとを混合する排ガス混合部と、この排ガス混合部で混合された排ガスを排出するダクト(導管)とを有するようにする。
【0020】
より具体的には、例えば、前記排ガス洗浄手段で洗浄処理された後の排ガスの導管(即ち、前記排ガス洗浄手段に接続されたダクト)と、前記皮膜形成槽からの排ガスの導管とを、両排ガスが合流して混合するように接続し、この個所に両排ガスの混合部(排ガス混合部)を形成させる。更に、この個所に前記排ガス混合部で混合された排ガスを排出するダクトを接続する。
【0021】
このようにして得られた装置は、例えば次のようにして用いられる。
被処理物(例えば熱処理された線材)を前記酸洗槽で酸洗処理し、洗浄処理し或いは更に乾燥処理し、次に、これを前記皮膜形成槽で皮膜形成処理(例えば、りん酸塩処理)する。これと共に、前記酸洗槽から発生する排ガスを排ガス洗浄手段で洗浄処理し、この洗浄処理された排ガスと前記皮膜形成槽で発生した排ガスとを前記排ガス混合部で混合し、この排ガス混合部で混合された排ガスを前記ダクトから排出する。
【0022】
このような形態で本発明が実施される。以下、本発明について主にその作用効果を説明する。
【0023】
本発明者らは、酸洗処理における排ガス(湿式スクラバーによる洗浄処理後の排ガス)に温風を吹き込み、排ガス(温風吹き込み後のガス)の温度Tg及び関係湿度RHgを変え、そして、この排ガスを排出速度を変えて大気中へ排出し、その時々の大気の温度Ta及び関係湿度RHaと白煙の発生の程度との関係について、種々実験により検討した。その結果、次のようなことがわかつた。
【0024】
従来より排ガスの温度は高いほど、また、湿度は低いほど白煙化し難いとされていたが、排ガスの関係湿度RHg(%)を大気の関係湿度RHa(%)との関係で、RHg≦90−0.3RHaとすると共に、排ガスの温度Tg(℃)を大気の温度Ta(℃)との関係で、Ta+5≦Tg≦Ta+20とすれば、白煙化を抑制し得る。
【0025】
即ち、排ガス(温風の吹き込み後のガス:大気中への排出前の排ガス)の関係湿度RHgは、大気の関係湿度RHaが高いほど低くする必要があり、RHg≦90−0.3RHaを満たすようにすると、白煙化を抑制し得る。ただし、この排ガスと大気との温度差が5℃未満と少ない場合には、白煙化することがあるため、この排ガスの温度Tgを大気の温度Taよりも少なくとも5℃以上高くする必要がある。この排ガスの温度Tgは高い方がより確実に白煙化を抑制し得る点ではよいが、20℃超では白煙化の抑制の効果は飽和し、加熱エネルギーが無駄になる。従って、排ガスの関係湿度RHgをRHg≦90−0.3RHaとすると共に排ガスの温度TgをTa+5≦Tg≦Ta+20とすれば、加熱エネルギーの無駄がなく(加熱エネルギーを必要最小限にした条件下で)、排ガスの白煙化を抑制し得る。
【0026】
さらに、上記排ガスを大気中へ排出する際、その排出速度を8m/s以上とすれば、確実に白煙化を防止し得る。即ち、従来の排ガスの排出速度は通常3〜6m/s程度であるが、上記排ガス(RHg≦90−0.3RHa、Ta+5≦Tg≦Ta+20)の排出速度を8m/s以上とすることにより、排ガスの排出の際の温度低下が抑制され、白煙化を確実に防止し得る。上記排ガスの排出速度を8m/s未満とした場合には、白煙化することがある。
【0027】
以上の如き知見に基づき下記の排ガスの白煙化防止方法が完成された。即ち、この排ガスの白煙化防止方法は、排ガスを大気中へ排出する前に大気の関係湿度(RHa)及び温度(Ta)に応じて該排ガスを下記(1) 式を満たす関係湿度(RHg)に調整すると共に下記(2) 式を満たす温度(Tg)に調整し、しかる後、この排ガスを排出速度:8m/s以上にして大気中へ排出することを特徴とする排ガスの白煙化防止方法である(この排ガスの白煙化防止方法を、以下、新規排ガスの白煙化防止方法という)
RHg≦90−0.3RHa ------ (1)
Ta+5≦Tg≦Ta+20 ------ (2)
但し、上記(1) 式において、RHgは排ガスの関係湿度(%)、RHaは大気の関係湿度(%)であり、上記(2) 式において、Tgは排ガスの温度(℃)、Taは大気の温度(℃)である。
【0028】
この新規排ガスの白煙化防止方法によれば、加熱エネルギーの無駄がなく、排ガスの白煙化を確実に防止し得る。即ち、この新規排ガスの白煙化防止方法は、排ガスの加熱エネルギーを過不足なく必要最小限にすることができて熱効率に極めて優れた排ガスの白煙化防止方法であり、加熱エネルギーを過不足なく必要最小限にした条件下で排ガスの白煙化を確実に防止し得るものである。
【0029】
また、排ガスの温度、湿度や量の変化範囲および大気の温度及び湿度等の条件の変化範囲における最悪の条件を設定し、この最悪条件において上記(1) 式及び(2) 式を満たすための排ガスの加熱エネルギーを算出し、これに基づいて加熱装置を設計すれば必要最小限の加熱能力を有する装置とすることができ、設備面において必要最小限化をはかることができる。
【0030】
上記の新規排ガスの白煙化防止方法において、RHg≦90−0.3RHaとしているのは、RHg>90−0.3RHaとすると、排ガス白煙化の確実な防止をはかることができなくなるからである。Ta+5≦Tg≦Ta+20としているのは、Ta+5>Tgとすると、排ガス白煙化の確実な防止がはかれなくなり、Tg>Ta+20とすると、白煙化の抑制の効果は飽和し、加熱エネルギーが無駄になるからである。排ガスの大気中への排出速度を8m/s以上としているのは、8m/s未満にすると、確実な排ガス白煙化防止がはかれなくなるからである。
【0031】
本発明に係る排ガスの白煙化防止装置は、酸洗処理する酸洗槽と、該酸洗槽で酸洗処理された物を洗浄処理し或いは更に乾燥処理する手段と、該手段で処理された物を皮膜形成処理する皮膜形成槽と、前記酸洗槽からの排ガスを洗浄処理する排ガス洗浄手段とを有する酸洗処理設備から排出される排ガスの白煙化防止装置であって、前記排ガス洗浄手段で洗浄処理された排ガスと前記皮膜形成槽からの排ガスとを混合する排ガス混合部と、この排ガス混合部で混合された排ガスを排出するダクトとを有することを特徴とする排ガスの白煙化防止装置である。
【0032】
本発明に係る排ガスの白煙化防止装置によれば、前記排ガス洗浄手段で洗浄処理された排ガスと前記皮膜形成槽からの排ガスとを前記排ガス混合部において混合し、この排ガス混合部で混合された排ガスを前記ダクトから排出することができる。この排ガス混合部で混合された排ガスは、前記排ガス洗浄手段で洗浄処理された排ガスに比較して温度が高く、湿度が低いので、白煙化し難い。従って、排ガスの白煙化を軽減もしくは防止することができる。
【0033】
即ち、前記排ガス洗浄手段で洗浄処理された排ガスは、温度が低く(通常20℃以下)、湿度が極めて高い(関係湿度で通常100%程度)ので、このまま大気中に放出すると際立った白煙となってしまう。ところが、前記皮膜形成槽からの排ガスは、温度が極めて高く(通常30〜50℃)、湿度が著しく低く(関係湿度で通常50〜60%)、この排ガスを前記排ガス洗浄手段で洗浄処理された排ガスに対して前記排ガス混合部において混合し、この排ガス混合部で混合された排ガスを前記ダクトから大気中に排出することができる。そうすると、前記排ガス混合部において混合された排ガスは、前記排ガス洗浄手段で洗浄処理された排ガスに比較して、温度が高く、湿度が低いので、その排出に際して白煙化し難い。従って、排ガスの白煙化を軽減もしくは防止することができる。
【0034】
本発明に係る排ガスの白煙化防止装置は、排ガス洗浄手段で洗浄処理された排ガスを加熱し、その温度を高め、その湿度を下げて白煙化を防止するに際し、皮膜形成槽からの排ガスを有効利用すると共に該排ガスの特長点(高温・低湿度)を活用し、これを排ガス洗浄手段で洗浄処理された排ガスに混合して排ガスの白煙化を軽減もしくは防止する方式を採用したものであるということができる。
【0035】
このとき、排ガスの白煙化を防止するために、排ガスの加熱用装置は必ずしも必要ではなく、特別の場合〔排ガスの白煙化が極めて起こりやすい気象条件の場合(即ち、大気温度が極めて低く、大気湿度が著しく高い場合)等〕を除き、多くの場合において、排ガスの加熱用装置がなくても排ガスの白煙化を防止することができる。例えば、前述の新規排ガスの白煙化防止方法を遂行することができ、それにより排ガスの白煙化を防止することができる。この場合、排ガスの加熱用装置は不要である。排ガスの加熱用装置が設けられている場合でも、この加熱用装置での消費エネルギーは無く、実質的なエネルギー経済性を向上することができる。
【0036】
上記の皮膜形成槽からの排ガスの混合という方式によるだけでは排ガスの白煙化の防止が充分にはできず、白煙化の防止をより充分にする場合、例えば、前述の新規排ガスの白煙化防止方法を遂行し、それにより排ガスの白煙化を防止する場合には、排ガスの加熱用装置を設けることが必要である。このように排ガスの加熱用装置を設けた場合でも、排ガスの加熱用装置での消費エネルギーは少なくてすむので、排ガスの加熱用装置だけによる場合に比較して、排ガスの加熱用装置での消費エネルギーを大幅に低減することができ、これらにより実質的なエネルギー経済性を著しく向上することが可能となる。
【0037】
本発明に係る排ガスの白煙化防止装置によれば、特別の場合(排ガスの白煙化が極めて起こりやすい気象条件の場合等)を除き、多くの場合において、前述の新規排ガスの白煙化防止方法を遂行することができる。従って、排ガスの加熱エネルギーを過不足なく必要最小限にした条件下で排ガスの白煙化を確実に防止することが可能となる。
【0038】
本発明に係る排ガスの白煙化防止装置において、更に排ガスの加熱用装置を設けるようにすると、全ての場合において前述の新規排ガスの白煙化防止方法を遂行することができ、従って、全ての場合において排ガスの加熱エネルギーを過不足なく必要最小限にした条件下で排ガスの白煙化を確実に防止することが可能となる。
【0039】
前記排ガスの加熱用装置としては、その種類は特には限定されず、種々のものを使用することができ、例えば、空気を加熱して温風を前記排ガス混合部に送り込む手段を有するものを使用することができる。
【0040】
本発明において、皮膜形成槽は皮膜形成をするための槽である。皮膜形成処理とは、被処理材の表面に化学的あるいは物理的に皮膜を生成あるいは付着させる処理のことであり、皮膜剤を建浴した皮膜形成槽に被処理材を浸漬することによって行われる。また、皮膜形成処理に先立ち、酸洗・洗浄後の被処理材を中和することを目的とする処理も皮膜形成処理に含む。この皮膜形成処理には、例えば、りん酸塩、蓚酸塩、硼酸塩、石灰石鹸、金属石鹸、亜硝酸塩、メタ珪酸塩等の1種または2種以上が用いられる。
【0041】
【実施例】
本発明の実施例および比較例ならびに参考例を以下説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0042】
例1(参考例1)
参考例1に係る実験装置を図1に示す。この実験装置は、酸洗処理で発生する排ガスを洗浄処理する通常の湿式スクラバー1の出口から洗浄処理後の排ガスの一部をファン2で吸引し、この吸引された排ガスに、ファン4で吸引した空気を電気加熱式ヒータ5で加熱した温風を混合し、この混合後の排ガス6を煙突3から排出する方式のものである。
【0043】
上記実験装置を用いて、温風混合後の排ガス(大気中への排出前の排ガス)6の温度Tg、関係湿度RHg及び大気中への排出速度Vgを種々変えて大気中に排出し、大気の温度Ta、関係湿度RHaと白煙の発生の程度との関係について調査した。
【0044】
ここで、排ガス6のTg及びRHgは、湿式スクラバー1から吸引する排ガスの温度や流量、及び、排ガスに混合する温風の温度や流量等を変えることによって変化させた。また、排ガス6の排出速度Vgは、排ガスの流量及び煙突3の排出面積を変えることによって変化させた。Tg及びRHgは煙突3の先端付近に計器を挿入して測定し、Ta及びRHaは煙突3の先端から1〜5mm離れた個所で測定した。
【0045】
Ta+10≦Tg≦Ta+15(℃)、及び、Vg=8〜10m/sの場合の結果を図2に示す。図2から明らかなとおり、排ガスの白煙化を防止するには、大気の関係湿度RHaが高いほど排ガスの関係湿度RHgを下げる必要があり、RHg≦90−0.3RHaの関係を満足させればよいことがわかる。
【0046】
表1に、排ガスの条件を種々変えた場合の結果を示す。表1から明らかなとおり、排ガス6の関係湿度RHgをRHg≦90−0.3RHaを満足するようにすると共に、排ガス6の温度Tgを大気の温度Taより5℃以上高める(Ta+5≦Tgを満足する)ようにし、かつ、排ガス6の排出速度Vgを8m/s以上とすることによって、排ガス6の白煙化を防止し得ることがわかる。
【0047】
例2(実施例1および比較例1)
本発明の実施例に係る装置の要部の概要を図3に示す。この装置は、鋼材を酸洗処理する酸洗槽(図示していない)と、この酸洗槽で酸洗処理された鋼材を洗浄処理し更に乾燥処理する洗浄乾燥手段(図示していない)と、この洗浄乾燥手段で処理された鋼材を皮膜形成処理する皮膜形成槽(図示していない)と、前記酸洗槽からの排ガスを洗浄処理する排ガス洗浄手段8とを有する酸洗処理設備において、前記排ガス洗浄手段8で洗浄処理された排ガスと前記皮膜形成槽からの排ガスとを混合する排ガス混合部9と、この排ガス混合部9で混合された排ガスを排出するダクト(導管)11とを有するようにしたものである。即ち、上記酸洗処理設備において、前記排ガス洗浄手段8で洗浄処理された後の排ガスの導管(前記排ガス洗浄手段8の上部に接続されたダクト)と、前記皮膜形成槽からの排ガスの導管10とを、両排ガスが合流して混合するように接続し、この個所に両排ガスの混合部(排ガス混合部)9を形成させ、更に、この個所に前記排ガス混合部9で混合された排ガスを排出するダクト11を接続したものである。なお、図3において、付番7は前記酸洗槽から排ガス洗浄手段8への排ガスの導管を示すものである。
【0048】
上記装置を用いて、熱処理後の条鋼材について酸洗処理・皮膜形成処理を行った。即ち、熱処理されて表面にスケールが形成された状態の条鋼材を酸洗槽(酸洗液:塩酸,20〜30℃、槽数:3槽)で酸洗処理した後、水洗槽で洗浄し、次に、これを皮膜形成槽(皮膜処理液:りん酸亜鉛,80℃、槽数:1槽)で皮膜形成処理した後、中和槽(中和液:亜硝酸ソーダ,85℃、槽数:1槽)で中和処理し、更に皮膜形成槽(皮膜処理液:ステアリン酸ナトリウム,85℃、槽数:1槽)で皮膜形成処理を行った。
【0049】
上記処理の遂行と共に、前記酸洗槽から発生する排ガスをファンにより導管7から排ガス洗浄手段8に導入し、この手段8により洗浄処理し、この洗浄処理された排ガスを排ガス混合部9に導入し、一方、前記皮膜形成槽で発生した排ガスをファンにより導管10から前記排ガス混合部9に導入し、この排ガス混合部9で両排ガス(前者の排ガスと後者の排ガス)を混合し、この排ガス混合部9で混合された排ガスをダクト11から大気中へ排出した。
【0050】
上記実施例に係る装置による場合と比較するために、比較例に係る装置を用いて上記と同様の酸洗処理・皮膜形成処理を行った。ただし、排ガスの処理方法については、上記実施例に係る装置による場合とは装置構成の相違に起因して異なる。
【0051】
即ち、比較例に係る装置としては、上記実施例に係る装置の場合と同様に酸洗槽、洗浄乾燥手段、皮膜形成槽、及び、前記酸洗槽からの排ガスを洗浄処理する排ガス洗浄手段8を有するが、この排ガス洗浄手段8には該手段8で洗浄処理された排ガスを大気中へ排出するためのダクト(導管)が接続され、前記皮膜形成槽には該槽で発生した排ガスを大気中へ排出するためのダクトが接続されており、前記排ガス洗浄手段8で洗浄処理された排ガスと前記皮膜形成槽からの排ガスとを混合する排ガス混合部9を有していないものを用いた。このため、前記排ガス洗浄手段8で洗浄処理された排ガスと前記皮膜形成槽からの排ガスとは、混合されることなく、それぞれが各々のダクトから大気中へ排出される。
【0052】
上記比較例に係る装置による場合には、皮膜形成槽からの排ガスは大気中への排出に際して白煙化が起こらなかったが、排ガス洗浄手段8で洗浄処理された排ガスは大気中への排出に際して著しい白煙化が起こり、際立った白煙となって大気中に放出されてしまった。
【0053】
これに対し、前記実施例に係る装置による場合には、排ガス混合部9で混合された排ガスが大気中へ排出され、排ガスの白煙化が極めて起こりやすい気象条件の場合(即ち、大気温度が極めて低く、大気湿度が著しく高い場合)を除き、前述の新規排ガスの白煙化防止方法での条件を満足させることができ、このため、大気中への排出に際して排ガスの白煙化が全く起こらなかった。排ガスの白煙化が極めて起こりやすい気象条件の場合には、白煙化が起こったが、それは極めて軽微なものであった。
【0054】
例3(実施例2)
本発明の実施例に係る装置の要部の概要を図4に示す。この装置は、前記実施例に係る装置の排ガス混合部9に、空気を加熱して温風を送り込む手段(以下、空気加熱温風送込み手段という)20を設けたものであり、この点を除き前記実施例に係る装置と同様の構成を有するものである。
【0055】
上記空気加熱温風送込み手段20は、導管21から導入された空気を熱媒等の加熱手段22により加熱し、温風として導管23から排ガス混合部9に送り込むように構成されている。
【0056】
上記実施例に係る装置を用いて、実施例の場合と同様の酸洗処理・皮膜形成処理を行った。ただし、空気加熱温風送込み手段20については、必要に応じて使用し、使用する場合と使用しない場合とがある。
【0057】
空気加熱温風送込み手段20を使用しない場合は、前記実施例に係る装置による場合と同様の結果(排ガスの白煙化の防止性に関する結果)が得られた。
【0058】
空気加熱温風送込み手段20を使用した場合は、排ガスの白煙化が極めて起こりやすい気象条件の場合(即ち、大気温度が極めて低く、大気湿度が著しく高い場合)でも、前述の新規排ガスの白煙化防止方法での条件を満足させることができ、このため、排ガスの白煙化が全く起こらないようにすることができた。
【0059】
【表1】
Figure 0004244284
【0060】
【発明の効果】
【0061】
本発明に係る排ガスの白煙化防止装置によれば、排ガスの加熱用装置は不要となるか、もしくは、排ガスの加熱用装置での消費エネルギーを低減することができ、これらにより実質的なエネルギー経済性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1に用いた実験装置の概要を示す模式図である。
【図2】 大気関係湿度RHa(%)と排ガス関係湿度RHg(%)との関係を示す図である。
【図3】 本発明の実施例に係る装置の概要を示す模式図である。
【図4】 本発明の実施例に係る装置の概要を示す模式図である。
【符号の説明】
1----湿式スクラバー、2----ファン、3----煙突、4----ファン、5----ヒータ、6----温風混合後の排ガス、7----酸洗槽からの排ガスの導管、8----排ガス洗浄手段、9----排ガス混合部、10----皮膜形成槽からの排ガスの導管、11----排ガスを排出するダクト、20----空気加熱温風送込み手段、21--空気の導管、22----空気の加熱手段、23----温風の導管。

Claims (2)

  1. 酸洗処理する酸洗槽と、該酸洗槽で酸洗処理された物を洗浄処理し或いは更に乾燥処理する手段と、該手段で処理された物を皮膜形成処理する皮膜形成槽と、前記酸洗槽からの排ガスを洗浄処理する排ガス洗浄手段とを有する酸洗処理設備から排出される排ガスの白煙化防止装置であって、前記排ガス洗浄手段で洗浄処理された排ガスと前記皮膜形成槽からの排ガスとを混合する排ガス混合部と、この排ガス混合部で混合された排ガスを排出するダクトとを有することを特徴とする排ガスの白煙化防止装置。
  2. 空気を加熱して温風を前記排ガス混合部に送り込む手段を有する請求項1記載の排ガスの白煙化防止装置。
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