JP4243784B2 - アルミニウム及びアルミニウム合金の防錆剤 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、純アルミニウムならびにアルミニウム合金表面の保護及び防錆を目的とした防錆剤に関するものである。
【従来の技術】
【０００２】
現在、純アルミニウム及びアルミニウム合金の線、板、箔、また種々の部品、構造物の防錆にはアルキルリン酸エステル、リン酸アルカノールアミン塩などのリン系化合物や、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ、ケイ酸リチウム等のケイ酸塩が使用されているが、純アルミニウム又は多種にわたるアルミニウム合金に対して防錆性能が不十分であり、更にケイ酸塩は溶解安定性に欠陥がある。又近年の環境問題、特に排水処理においてリン系化合物は使用上難点がある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明は、環境問題、特に廃水処理における問題の解決に寄与し、かつ経済性に優れた、アルミニウム及びアルミニウム合金に対し優れた防錆能を有する防錆剤を提供するものである。
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するポリアルキル｛（Ｎ−アミノアルキル）イミノアルキル｝シロキサンを溶剤に溶解してなる防錆剤を塗布することにより、純アルミニウム並びにアルミニウム合金の線、板、箔、及び種々の部品、構造物に対し優れた防錆効果を付与する事が出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は次の一般式（Ａ）：
【０００５】
【化２】
【０００６】
（ここでＲ、Ｒ’はＣ２〜Ｃ４のアルキル基、ｎは４０〜５００までの整数、ｍは１〜１５までの整数）で示されるポリアルキル｛（Ｎ−アミノアルキル）イミノアルキル｝シロキサンを主成分とするアルミニウム及びアルミニウム合金の防錆剤を提供するものである。
さらにまた本発明は、上記のポリアルキル｛（Ｎ−アミノアルキル）イミノアルキル｝シロキサン（Ａ）１００重量部と溶剤（Ｂ）１００〜１,０００,０００重量部からなるアルミニウム及びアルミニウム合金の防錆剤を提供するものである。
【０００７】
【発明の実施の形態】
本発明の防錆剤としての対象金属は、純アルミニウム、ならびにアルミニウムと亜鉛、銅、マグネシウム、マンガン、およびマグネシウムマンガンとの各合金であり形状としては線、板、箔、又は種々の部品、構造物がある。
【０００８】
本発明の成分（Ａ）のポリアルキル｛（Ｎ−アミノアルキル）イミノアルキル｝シロキサンにおいてＲ、Ｒ’はＣ２〜Ｃ４のアルキル基、ｎは４０〜５００の整数、ｍは１〜１５までの整数である。なお、これらの化合物は、アミノ基を持ったアルコキシシランの加水分解物とジメチルシロキサンのオリゴマーを共重合させることによって得られる。
【０００９】
本発明の成分（Ｂ）の溶剤は、成分（Ａ）のポリアルキル｛（Ｎ−アミノアルキル）イミノアルキル｝シロキサンを溶解する物であれば特に制限を受けず、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ｎ−ヘキサン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類が使用出来るが、有効成分（Ａ）を均一に溶解し、塗布、乾燥後金属表面に均一な防錆膜を形成するものであれば種類を選ばない。
【００１０】
本発明の防錆剤を用いる場合、その有効成分（Ａ）の濃度を通常０.０１〜５０重量％、好ましくは０.０５〜５重量％として使用すると良好な結果が得られる。
本発明の防錆防食剤の塗布方法は、ディッピング、スプレー、ロール塗り等いずれの方法でも良い。
乾燥は自然乾燥、熱風乾燥、真空乾燥等いずれの方法でも良いが、温度は３００℃以下、望ましくは１００℃以下が良い。
【００１１】
本発明の防錆剤は、アルミ電線、板、箔、及び種々の部品、構造物等広い分野に適応可能であり、例えば各種機械、装置のアルミニウム及びアルミニウム合金部分にコーティングしたり、アルミニウム及びアルミニウム合金部分の加工した後にコーティングし、次の段階の加工又は使用までの期間防錆する事も可能である。
又、各種潤滑油、作動油に添加すれば、それが接触する機械装置のアルミニウム及びアルミニウム合金部分の防錆にも有効である。
又、塗料の一成分として添加する事により、該塗料を塗装したアルミニウム及びアルミニウム合金の防錆力を、著しく改善する事が出来る。
【００１２】
【実施例】
（実施例１及び比較例１）
《塩水噴霧試験方法》
表１のＮｏ.１から６までは、それぞれ表１に特定される構造の本発明品のポリアルキル｛（Ｎ−アミノアルキル）イミノアルキル｝シロキサンを５重量％イソプロピルアルコールに溶解し、その溶液に純アルミニウム並びに各種アルミニウム合金線（直径２.８ｍｍ、長さ１５０ｍｍ）を溶剤洗浄、乾燥し１０秒間ディップ後引き上げ７０℃の熱風で５分間乾燥しこれを試験サンプルとした。このサンプルを用いて塩水噴霧試験（ＪＩＳＺ２３７に準拠）を行い、線上にサビ又は腐食が１点でも発生するまでの時間（２４時間に１回観察）で効果の判定を行った。表１にその発生までの時間を示す。
表１、表２に示した合金番号はＪＩＳＨ４０４０によるアルミ線の材質を示す。
表２のＮｏ.１から６までは、表２にそれぞれ特定される本発明品以外のポリアルキル｛（Ｎ−アミノアルキル）イミノアルキル｝シロキサンを５％イソプロピルアルコールに溶解した溶液、Ｎｏ.７，８はイソプロパノールのみ、Ｎｏ.９、１０はリン酸トリエタノールアミンの５％水溶液Ｎｏ.１１、１２はメタケイ酸ナトリウムの５％水溶液で表１と同様の操作を行って塩水噴霧試験を効果の判定を行った。
【００１３】
【表１】
【００１４】
【表２】
【００１５】
（実施例２及び比較例２）
《半浸漬試験》
縦、横、厚みが５０ｍｍ、２５ｍｍ、３ｍｍの各アルミニウム合金試験片を溶剤洗浄し乾燥した後、実施例１並びに比較例１と同様の溶液に１０秒間ディップした後、引き上げて７０℃の熱風で５分間乾燥し、合成腐食水（Ｃ１−、ＳＯ４２−、ＨＣＯ３−各１００ｐｐｍ含有）２５ｍｌの入った高さ、直径、が１２０ｍｍ、４０ｍｍの透明ガラス瓶に入れ、蓋をして４０℃の恒温槽中に置いた。試験片の界面部にサビ又は腐食が１点でも発生するまでの時間（２４時間に１回観察）で効果の判定を行なった。結果を表３にまとめて示す。
表１、表２に示した合金番号はＪＩＳＨ４０００によるアルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条の材質を表す。
【００１６】
【表３】
【００１７】
【発明の効果】
以上の様に、本発明のアルミニウム及びアルミニウム合金用防錆剤は、アルミニウム及びアルミニウム合金に対し優れた防錆能を発揮する。従って経済性はもとより環境問題、特に廃水処理における問題の解決に寄与する事ができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、純アルミニウムならびにアルミニウム合金表面の保護及び防錆を目的とした防錆剤に関するものである。
【従来の技術】
【０００２】
現在、純アルミニウム及びアルミニウム合金の線、板、箔、また種々の部品、構造物の防錆にはアルキルリン酸エステル、リン酸アルカノールアミン塩などのリン系化合物や、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ、ケイ酸リチウム等のケイ酸塩が使用されているが、純アルミニウム又は多種にわたるアルミニウム合金に対して防錆性能が不十分であり、更にケイ酸塩は溶解安定性に欠陥がある。又近年の環境問題、特に排水処理においてリン系化合物は使用上難点がある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明は、環境問題、特に廃水処理における問題の解決に寄与し、かつ経済性に優れた、アルミニウム及びアルミニウム合金に対し優れた防錆能を有する防錆剤を提供するものである。
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するポリアルキル｛（Ｎ−アミノアルキル）イミノアルキル｝シロキサンを溶剤に溶解してなる防錆剤を塗布することにより、純アルミニウム並びにアルミニウム合金の線、板、箔、及び種々の部品、構造物に対し優れた防錆効果を付与する事が出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は次の一般式（Ａ）：
【０００５】
【化２】
（ここでＲ、Ｒ’はＣ２〜Ｃ４のアルキル基、ｎは４０〜５００までの整数、ｍは１〜１５までの整数）で示されるポリアルキル｛（Ｎ−アミノアルキル）イミノアルキル｝シロキサンを主成分とするアルミニウム及びアルミニウム合金の防錆剤を提供するものである。
さらにまた本発明は、上記のポリアルキル｛（Ｎ−アミノアルキル）イミノアルキル｝シロキサン（Ａ）１００重量部と溶剤（Ｂ）１００〜１,０００,０００重量部からなるアルミニウム及びアルミニウム合金の防錆剤を提供するものである。
【０００７】
【発明の実施の形態】
本発明の防錆剤としての対象金属は、純アルミニウム、ならびにアルミニウムと亜鉛、銅、マグネシウム、マンガン、およびマグネシウムマンガンとの各合金であり形状としては線、板、箔、又は種々の部品、構造物がある。
【０００８】
本発明の成分（Ａ）のポリアルキル｛（Ｎ−アミノアルキル）イミノアルキル｝シロキサンにおいてＲ、Ｒ’はＣ２〜Ｃ４のアルキル基、ｎは４０〜５００の整数、ｍは１〜１５までの整数である。なお、これらの化合物は、アミノ基を持ったアルコキシシランの加水分解物とジメチルシロキサンのオリゴマーを共重合させることによって得られる。
【０００９】
本発明の成分（Ｂ）の溶剤は、成分（Ａ）のポリアルキル｛（Ｎ−アミノアルキル）イミノアルキル｝シロキサンを溶解する物であれば特に制限を受けず、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ｎ−ヘキサン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類が使用出来るが、有効成分（Ａ）を均一に溶解し、塗布、乾燥後金属表面に均一な防錆膜を形成するものであれば種類を選ばない。
【００１０】
本発明の防錆剤を用いる場合、その有効成分（Ａ）の濃度を通常０.０１〜５０重量％、好ましくは０.０５〜５重量％として使用すると良好な結果が得られる。
本発明の防錆防食剤の塗布方法は、ディッピング、スプレー、ロール塗り等いずれの方法でも良い。
乾燥は自然乾燥、熱風乾燥、真空乾燥等いずれの方法でも良いが、温度は３００℃以下、望ましくは１００℃以下が良い。
【００１１】
本発明の防錆剤は、アルミ電線、板、箔、及び種々の部品、構造物等広い分野に適応可能であり、例えば各種機械、装置のアルミニウム及びアルミニウム合金部分にコーティングしたり、アルミニウム及びアルミニウム合金部分の加工した後にコーティングし、次の段階の加工又は使用までの期間防錆する事も可能である。
又、各種潤滑油、作動油に添加すれば、それが接触する機械装置のアルミニウム及びアルミニウム合金部分の防錆にも有効である。
又、塗料の一成分として添加する事により、該塗料を塗装したアルミニウム及びアルミニウム合金の防錆力を、著しく改善する事が出来る。
【００１２】
【実施例】
（実施例１及び比較例１）
《塩水噴霧試験方法》
表１のＮｏ.１から６までは、それぞれ表１に特定される構造の本発明品のポリアルキル｛（Ｎ−アミノアルキル）イミノアルキル｝シロキサンを５重量％イソプロピルアルコールに溶解し、その溶液に純アルミニウム並びに各種アルミニウム合金線（直径２.８ｍｍ、長さ１５０ｍｍ）を溶剤洗浄、乾燥し１０秒間ディップ後引き上げ７０℃の熱風で５分間乾燥しこれを試験サンプルとした。このサンプルを用いて塩水噴霧試験（ＪＩＳＺ２３７に準拠）を行い、線上にサビ又は腐食が１点でも発生するまでの時間（２４時間に１回観察）で効果の判定を行った。表１にその発生までの時間を示す。
表１、表２に示した合金番号はＪＩＳＨ４０４０によるアルミ線の材質を示す。
表２のＮｏ.１から６までは、表２にそれぞれ特定される本発明品以外のポリアルキル｛（Ｎ−アミノアルキル）イミノアルキル｝シロキサンを５％イソプロピルアルコールに溶解した溶液、Ｎｏ.７，８はイソプロパノールのみ、Ｎｏ.９、１０はリン酸トリエタノールアミンの５％水溶液Ｎｏ.１１、１２はメタケイ酸ナトリウムの５％水溶液で表１と同様の操作を行って塩水噴霧試験を効果の判定を行った。
【００１３】
【表１】
【表２】
（実施例２及び比較例２）
《半浸漬試験》
縦、横、厚みが５０ｍｍ、２５ｍｍ、３ｍｍの各アルミニウム合金試験片を溶剤洗浄し乾燥した後、実施例１並びに比較例１と同様の溶液に１０秒間ディップした後、引き上げて７０℃の熱風で５分間乾燥し、合成腐食水（Ｃ１−、ＳＯ４２−、ＨＣＯ３−各１００ｐｐｍ含有）２５ｍｌの入った高さ、直径、が１２０ｍｍ、４０ｍｍの透明ガラス瓶に入れ、蓋をして４０℃の恒温槽中に置いた。試験片の界面部にサビ又は腐食が１点でも発生するまでの時間（２４時間に１回観察）で効果の判定を行なった。結果を表３にまとめて示す。
表１、表２に示した合金番号はＪＩＳＨ４０００によるアルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条の材質を表す。
【００１６】
【表３】
【発明の効果】
以上の様に、本発明のアルミニウム及びアルミニウム合金用防錆剤は、アルミニウム及びアルミニウム合金に対し優れた防錆能を発揮する。従って経済性はもとより環境問題、特に廃水処理における問題の解決に寄与する事ができる。
Claims (2)
- 次の一般式（Ａ）：
- 請求項１に記載のポリアルキル｛（Ｎ−アミノアルキル）イミノアルキル｝シロキサン（Ａ）１００重量部と溶剤（Ｂ）１００〜１,０００,０００重量部からなるアルミニウム及びアルミニウム合金の防錆剤。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP19322298A JP4243784B2 (ja) | 1998-07-08 | 1998-07-08 | アルミニウム及びアルミニウム合金の防錆剤 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP19322298A JP4243784B2 (ja) | 1998-07-08 | 1998-07-08 | アルミニウム及びアルミニウム合金の防錆剤 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000026802A JP2000026802A (ja) | 2000-01-25 |
| JP4243784B2 true JP4243784B2 (ja) | 2009-03-25 |
Family
ID=16304356
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP19322298A Expired - Fee Related JP4243784B2 (ja) | 1998-07-08 | 1998-07-08 | アルミニウム及びアルミニウム合金の防錆剤 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP4243784B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP4203713B2 (ja) * | 2002-03-18 | 2009-01-07 | 信越化学工業株式会社 | 水系潤滑剤組成物及びそれを用いた金属腐食防止方法 |
-
1998
- 1998-07-08 JP JP19322298A patent/JP4243784B2/ja not_active Expired - Fee Related
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|---|---|
| JP2000026802A (ja) | 2000-01-25 |
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