JP4243504B2 - 金属蒸着ウレタンフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、金属蒸着ウレタンフィルムに関するものであり、詳しくはウレタンフィルムと蒸着金属との密着性にすぐれ、柔軟で弾力性を有し、かつ耐熱性、耐摩耗性が良好であるなどの幅広い性質を有していることから、車輌用エンブレム、バンパーからサンバイザー、衣料用などに用いることのできる金属蒸着ウレタンフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属蒸着フィルムは、水分不透過性、可視・紫外光線の遮蔽性、熱線反射性などにすぐれるため、近年食品や工業部品の包装材料、装飾用材料、各種保護皮膜用材料として使用されている。
【0003】
これまで金属蒸着フィルムは、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂などを基材としたフィルムにコロナ放電処理や樹脂コーティングなどの表面処理を施し、その上に金属を蒸着して得られている。しかしながら、これらの基材としての樹脂は、何れも比較的軟化温度の高い熱可塑性の樹脂ではあるが、樹脂の軟化温度近くでは蒸着面の金属光沢が低下する問題点を有しており、蒸着皮膜は加熱等を必要とする後加工で光沢が低下するという問題があった。
【0004】
その結果、柔軟で弾性を有する合成樹脂のフィルムを用いて、金属光沢の低下温度が150℃以上の金属蒸着フィルムが、各方面から強く求められ、熱可塑性樹脂であって、特に良好な弾性を有するウレタン樹脂のフィルムを用いることも検討されているが、ウレタンフィルムに対する金属蒸着膜の密着性が悪いことが問題とされている。
【0005】
叙上から、本出願人は、蒸着金属との密着性のよいウレタンフィルムとして、ポリウレタン樹脂を主材料とし、これと特殊な官能基を有するアクリル共重合体および架橋剤とからなる樹脂溶液を用いた架橋ウレタンフィルムを提案した(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】
特公平4−8505号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、そのような架橋ウレタンフィルムと金属蒸着膜との密着性は、その蒸着面がセロハンテープ等による剥離試験によって剥離しない場合であっても、蒸着面を指で擦ると容易に傷がつき蒸着膜が剥離してしまうという問題があった。また、この架橋ウレタンフィルムは、その他面側が表面層となるが、架橋タイプであるため、柔軟性が求められる衣料やテント、装飾目的のステッカーやラベル、耐傷性や耐汚染性が求められる車輌用などの多様な物性に対応することができないという問題もあった。
【0008】
本発明者らは、上記に鑑みてウレタン樹脂フィルムを用いて、その上に施した金属蒸着膜との密着性が良好で傷がつきにくく、さらに加熱により金属蒸着膜の有する金属光沢が低下しない金属蒸着ウレタンフィルムを得るべく、使用するウレタン樹脂の組成および構成について検討した結果、本発明に至ったものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、ウレタン樹脂フィルム層を2層構成とし、その上層の架橋型ウレタン樹脂よりなるフィルム層表面に金属蒸着膜を形成した金属蒸着ウレタンフィルムであって、上記架橋型フィルム層の100%モジュラスが、5〜30MPaであることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の金属蒸着ウレタンフィルムにおいて、架橋型ウレタン樹脂を得るに用いる架橋剤が、アミノプラスト、ポリイソシアネートあるいはブロックイソシアネートから選んだ1種であって、ウレタン樹脂100重量部に対して1〜20重量部配合したものであることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の金属蒸着ウレタンフィルムにおいて、2層構成とするウレタン樹脂フィルム層における下層のフィルム層が、非架橋型ウレタン樹脂あるいは架橋型ウレタン樹脂を用いて形成したフィルム層であることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を詳細に説明する。まず、この発明の金属蒸着ウレタンフィルムAの構成を図1にて説明すると、ウレタンフィルム層2は、金属蒸着膜を表面に形成するウレタンフィルム層4と、使用時に金属蒸着ウレタンフィルムの表面層となるウレタンフィルム層6との2層構成であり、ウレタンフィルム層4の表面に金属蒸着膜8が形成される。10はこの金属蒸着ウレタンフィルムの作製に際して用いる離型性基材である。
【0013】
次に、その製造手順について述べると、透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETという)、シリコーン処理PET、シリコーン離型紙などの離型性基材10上に非架橋型または架橋型のウレタン樹脂溶液を塗工し、加熱乾燥することでウレタンフィルム層6を形成する。次いで、このウレタンフィルム層6上に架橋型ウレタン樹脂溶液を塗工し、加熱することによって架橋ウレタンフィルム層4を形成する。その後、架橋ウレタンフィルム層4上にアルミニウム、錫、クロム等の金属を真空蒸着することによって金属蒸着膜8が形成され、金属蒸着ウレタンフィルムAが得られる。そして、この金属蒸着ウレタンフィルムAは、実際には金属蒸着膜8表面に粘着剤あるいは接着剤を介して目的の基材に積層したのち、離型性基材10を剥離することで、上記の非架橋型または架橋型のウレタン樹脂溶液よりなるウレタンフィルム層6を最表面層とするものであり、得られた蒸着フィルムAは、金属蒸着膜8と架橋ウレタンフィルム層4との密着性が良好で金属光沢もよく、しかも耐熱性があって、フィルムを高温に加熱しても金属光沢の低下がみられないのである。
【0014】
上述のように、この発明の金属蒸着ウレタンフィルムは、ウレタンフィルム層2を、その表面に金属蒸着膜8を形成するウレタンフィルム層4と、表面層となるウレタンフィルム層6との2層構成とし、金属蒸着膜を表面に形成するウレタンフィルム層4が架橋ウレタン樹脂からなり、その100%モジュラスが5〜30MPa(好ましくは10〜20MPa)であるフィルムとすることによって、その表面に形成する金属蒸着膜との密着性を良好になし得るに至ったものである。
【0015】
上記の金属蒸着膜を表面に形成する架橋ウレタンフィルム層4の100%モジュラスを5〜30MPaとするのは、30MPa以上に硬くすると、その表面に形成した金属蒸着膜を指で擦るだけで簡単に剥離してしまう。また、5MPa以下に軟らかくすると、表面に形成した蒸着膜は光沢が悪く、かつ粘着が残り、傷が付きやすいためである。特に、上記のウレタンフィルム層4の100%モジュラスが、10〜20MPaのものでは、蒸着膜の密着性が良好で指で擦っても傷が付かず、金属光沢も良好に保持することができる。
【0016】
このような金属蒸着ウレタンフィルムを使用する用途によっては、例えば自動車用エンブレムの型に熱溶断したり、加熱成形する工程など、加熱を必要とする後加工で耐熱性の問題から金属光沢が失われたり、蛍光を発したりして商品価値が低下することがある。この耐熱性の向上のためには、メラミン樹脂、尿素樹脂等のアミノプラスト、ポリイソシアネート、ブロックイソシアネートなどの架橋剤が用いられるが、この架橋剤のウレタン樹脂溶液に対する配合量と金属蒸着膜のウレタンフィルムに対する密着性との間に関連があることが知見された。
【0017】
即ち、図1の架橋ウレタンフィルム層4を形成する場合に、架橋剤の配合量を多くしたウレタン樹脂を用いて架橋密度を高くしたフィルムでは、たとえフィルム物性で100%モジュラスが5〜30MPaの範囲であっても、蒸着膜のフィルムに対する密着性が劣り、傷付きやすくなる。このことから、架橋ウレタンフィルム層4を形成するに用いるウレタン樹脂100重量部に対する架橋剤の量は1〜20重量部(好ましくは3〜10重量部)が最適であることを見いだした。
【0018】
架橋剤を上記の範囲内の量とし、塗工後の加熱、架橋を充分に行えば、金属蒸着時の蒸着膜とウレタンフィルムとの密着性は良好で、しかも耐熱性がよく、180℃×10分の加熱を行っても蒸着膜の金属光沢は低下しない。このように、真空蒸着で金属蒸着を行う場合、ウレタンフィルム層4は上記のように特定の物性を有するフィルムでないと、蒸着密着性、金属光沢、かつ耐熱性のよいフィルムとはならないのである。
【0019】
ところが、金属蒸着ウレタンフィルムの用途は、広範囲であり、従って要求されるフィルムの性質も異なってくる。このようなことから、この発明では、ウレタンフィルム層2を、その表面に金属蒸着膜8を形成する架橋ウレタンフィルム層4と、この金属蒸着ウレタンフィルムを種々の用途に使用する際に表面層となるウレタンフィルム層6の2層構成とすることで、適応できるようにしたものである。
【0020】
即ち、この金属蒸着ウレタンフィルムを種々の用途に使用する際に表面層となるフィルム層6は、目的、用途に応じて非架橋あるいは架橋のウレタン樹脂を用いるようにすればよい。例えば、衣料用やテント用などの断熱や保温を目的とする場合には、フィルム層6は柔軟性が求められ、屈曲によって割れないことも必要である。また、ステッカーやラベルなどの装飾を目的とする場合には、フィルム層6に粘着加工を施して所要基材に貼り付けるのであるが、フィルム層6は貼り合わせ適正のよい適度の硬さと、表面の滑性が必要である。
【0021】
また、この金属蒸着ウレタンフィルムを車輌用の保護(耐チッピング性)と装飾を目的として用いる場合は、フィルム層6は表面の耐傷性、耐汚染性などが要求されることから、強靱でしかも硬いものが求められるので、そのような場合には、フィルム層6も架橋したフィルムとすることが望ましい。このような物性が求められる表面フィルム層において、上記した従来の架橋タイプの単層(1層)構造のウレタンフィルムでは達成不可能であったものを、この発明は、ウレタンフィルム層を2層構造とすることによって解決したのである。
【0022】
上記したこの発明の金属蒸着ウレタンフィルムにおいて、2層からなるウレタンフィルム層、金属蒸着層のそれぞれの膜厚については、特に制限はなく、金属蒸着ウレタンフィルムの使用目的あるいは用途に応じて適宜に決めればよい。
【0023】
この発明で用いるウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン尿素樹脂に代表される、一般的にウレタン樹脂といわれるものであればよく、ポリオール、ジイソシアネート、多官能性鎖伸長剤などからなる一般的な製法によるものが用いられる。ポリオールとしては、分子内に2個の水酸基を有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトンなど、ジイソシアネートとしては、ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートが単独あるいは併用して用いられる。多官能性鎖伸長剤としては、分子内に少なくとも2個の活性水素基を有する化合物で、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどのトリオール、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミンなどのジアミン等を用いればよい。
【0024】
上記の材料より製造したポリウレタン樹脂を用いてフィルムを得る際、架橋フィルムとする場合には、架橋剤として、メラミン樹脂、尿素樹脂等のアミノプラストあるいはポリイソシアネートやブロックイソシアネートが使用できる。
【0025】
ウレタンフィルム上に蒸着させる金属としては、アルミニウムが最も一般的であるが、金、銀、クロム、錫、ニッケルなどが挙げられる。そして、これら金属のウレタンフィルム上への蒸着は、スパッタリング法、イオンプレーティング法、あるいは抵抗加熱蒸着などの公知の一般的な真空蒸着法によればよい。
【0026】
この発明の金属蒸着ウレタンフィルムを得る際に用いる離型性基材としては、ポリエステルフィルム、シリコーン処理したポリエステルフィルム、シリコーン離型紙などを用いればよい。
【0027】
【実施例】
以下、この発明を樹脂の合成例および実施例により詳細にするが、この発明はこれらの合成例および実施例によって何ら限定されるものではない。なお、部数はすべて重量部である。
【0028】
合成例1(ポリウレタン樹脂溶液の製造)
両末端にヒドロキシル基を有する平均分子量1000のポリブチレンアジペート80部、1,4−ブタンジオール37.8部、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)125部を用い、常法に従ってジメチルホルムアミド(DMF)397部、メチルエチルケトン(MEK)170部の混合溶液中で加熱し、30%濃度で30℃の粘度が20Pa・sのポリウレタン樹脂溶液を得た。この溶液を用いて作製したフィルムの100%モジュラスは33MPaであった。
【0029】
合成例2(ポリウレタン樹脂溶液の製造)
平均分子量2000のポリカーボネートジオール300部、1,6−ヘキサンジオール100部およびイソホロンジイソシアネート(IPDI)444部を反応容器に秤取し、窒素ガス雰囲気下で100℃で3時間加熱した。その後、DMF 1295部、トルエン710部を加えて40℃に冷却してプレポリマー溶液を得た。次に、このプレポリマー溶液を撹拌しながら、イソホロンジアミン(IPDA)170部を少量ずつ添加して、30%濃度で30℃の粘度が25Pa・sのポリウレタン樹脂溶液を得た。この溶液を用いて作製したフィルムの100%モジュラスは33MPaであった。
【0030】
合成例3(ポリウレタン樹脂溶液の製造)
平均分子量2000のポリカーボネートジオール600部、1,6−ヘキサンジオール106部および4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)524部、DMF 527部を反応容器に秤取し、窒素ガス雰囲気下で100℃で3時間加熱した。その後、DMF 1662部、トルエン938部を加えて40℃に冷却してプレポリマー溶液を得た。次に、このプレポリマー溶液を撹拌しながら、IPDA 68部、N−βアミノエチルエタノールアミン42部の混合液を少量ずつ添加し、30%濃度で30℃の粘度が20Pa・sのポリウレタン樹脂溶液を得た。この溶液を用いて作製したフィルムの100%モジュラスは20MPaであった。
【0031】
合成例4(ポリウレタン樹脂溶液の製造)
平均分子量2000のポリカーボネートジオール600部、1,4−ブタンジオール45部、H12MDI 524部とDMF 501部を反応容器に秤取し、窒素ガス雰囲気下で100℃で3時間加熱した。その後、DMF 1549部、トルエン878部を加えて40℃に冷却してプレポリマー溶液を得た。次に、このプレポリマー溶液を撹拌しながら、無水ピペラジン86部を少量ずつ添加し、30%濃度で30℃の粘度が25Pa・sのポリウレタン樹脂溶液を得た。この溶液を用いて作製したフィルムの100%モジュラスは14MPaであった。
【0032】
合成例5(ポリウレタン樹脂溶液の製造)
平均分子量2000のポリカーボネートジオール1400部、1,6−ヘキサンジオール35部、IPDI 444部、およびDMF 805部を反応容器に秤取し、窒素ガス雰囲気下で100℃で3時間加熱した。その後、DMF 2362部、トルエン1357部を加えて40℃に冷却してプレポリマー溶液を得た。次に、この溶液を撹拌しながら、エチレンジアミン60部を少量ずつ添加し、30%濃度で30℃の粘度が25Pa・sのポリウレタン樹脂溶液を得た。この溶液を用いて作製したフィルムの100%モジュラスは7MPaであった。
【0033】
合成例6(ポリウレタン樹脂溶液の製造)
両末端にヒドロキシル基を有する平均分子量2000のポリカプトラクトン開環ポリオール800部、エチレングリコール99部、MDI 500部を用い、常法に従ってDMF 1958部、トルエン1306部の混合溶剤中で加熱し、30%濃度で30℃の粘度が30Pa・sのポリウレタン樹脂溶液を得た。この溶液を用いて作製したフィルムの100%モジュラスは8MPaであった。
【0034】
実施例1
離型性基材10として75μm厚さの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、このフィルム上に、合成例2で得たウレタン樹脂溶液をロールコータによって均一に塗工し、120℃で5分乾燥して20μm厚さのウレタンフィルム6を得た。次に、合成例4で得たウレタン樹脂溶液100重量部に、架橋剤としてメラミン樹脂(スミテックスMC、住友化学工業社製)3.75部(樹脂/架橋剤の固形分比、100/10)を加え、撹拌して均一な混合溶液を得た。この溶液を上記のウレタンフィルム6上にロールコータによって均一に塗工し、100℃で2分乾燥したのち、さらに140℃で4分加熱することで20μm厚さの架橋ウレタンフィルム4を得、総膜厚40μmのウレタンフィルム2を得た。別途、この20μm厚さの架橋ウレタンフィルム4のみを上記と同条件で作製して、100%モジュラスを測定したところ、18MPaの値を得、用いたウレタン樹脂溶液(合成例4)よりなるフィルムの100%モジュラス値14MPaより高い値で、架橋していることが確認できた。
【0035】
次に、上記で得た架橋ウレタンフィルム4上に2×10-4Torrの真空下で錫の蒸着を行って、20nmの厚さの蒸着膜8を形成させて、金属蒸着ウレタンフィルムAを得た。この金属蒸着ウレタンフィルムの蒸着膜の密着性、光沢、耐熱性などの物性は、表3に示すように何れも良好であった。そして、この金属蒸着ウレタンフィルムは、表面層となるフィルム6の形成に硬いウレタン樹脂(合成例2で得た樹脂で、そのフィルムの100%モジュラス値が33MPa)を用いているので、離型性基材として用いた透明ポリエチレンテレフタレートフィルムからの離型性がよく、表面の耐汚染性も良好であり、自動車のエンブレムやマーキングフィルムとして最適であった。
【0036】
なお、表3に示す物性テストは、下記の方法で行ったものである。
蒸着膜の密着性:蒸着面を指で5回擦り、剥離、傷つきを目視で判定し、
○・・優れる、△・・やや劣る、×・・劣る、で評価した。
金属光沢:蒸着面の艶、面荒れ、曇りなどについて目視で判定し、
○・・優れる、△・・やや劣る、×・・劣る、で評価した。
耐熱性:蒸着フィルムを180℃×10分加熱したのちの光沢、曇りを目視で判定し、
○・・良好、△・・やや劣る、×・・劣る、で評価した。
表面の汚染性:蒸着面を粘着剤を介して塗装金属板に貼り合わせた試料を6ケ月間屋外暴露し、その表面の汚れの程度を目視で判定し、
○・・汚染全くなし、△・・やや汚染あり、×・・汚染大、で評価した。
総合評価:○・・蒸着フィルムとして非常に優れている、△・・蒸着フィルムとしてやや劣る、×・・蒸着フィルムとして実用に供し難い、として判定した。
【0037】
実施例2〜5、比較例1〜4
上記した合成例1〜6で得たポリウレタン樹脂溶液を用い、表1および表2に示すような組合せで、実施例1と同じ手順、条件で金属蒸着ウレタンフィルムを作製し、同じ物性テストを行った。その結果は表3の通りである。
【0038】
【表1】
Figure 0004243504
【0039】
なお、上記表1において、ブロックイソシアネートとしては、ドイツ国、ヒュルス社製、商品名B−1370を、また、ポリイソシアネートとしては、日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHLを用いた。
【0040】
【表2】
Figure 0004243504
【0041】
【表3】
Figure 0004243504
【0042】
上記表3の結果を考察すると、実施例2、3の蒸着フィルムは、実施例1と類似の構成であるが、表面層となるウレタンフィルム層6も架橋剤を用いた架橋フィルム層として強靱にしたので、表面の耐摩耗性が良好であり、自動車のバンパーやサンバイザー等に使用しても傷付きが少なく、耐久性が認められた。
【0043】
実施例4の蒸着フィルムは、実施例1と類似の構成であるが、金属蒸着を施す架橋ウレタンフィルム層4を形成する樹脂として、合成例5で得た軟らかい樹脂を用いているため、蒸着フィルムは軟らかい感触を呈し、折り畳みなど取扱いのし易さからテント等に好適である。
【0044】
比較例1の蒸着フィルムは、金属蒸着を施すウレタンフィルム層4のみで構成し、かつ非架橋タイプであるが、この樹脂フィルムの100%モジュラスが33MPaと高いため、金属蒸着膜との密着性が不良であった。また、非架橋であるために耐熱性も悪かった。さらに、比較例2で得た蒸着フィルムは、金属蒸着を施すウレタンフィルム層4および表面層となるウレタンフィルム層6の何れもフィルムとしての100%モジュラスが高い樹脂を用いたもので、しかも金属蒸着を施すウレタンフィルム層4が架橋フィルムであるため、金属蒸着膜との密着性が不良であった。
【0045】
比較例3で得た蒸着フィルムは、実施例1の蒸着フィルムにおける表面層であるウレタンフィルム層6を欠落し、金属蒸着を施すウレタンフィルム層4のみとしたものであるが、このフィルムが架橋フィルムであっても、その表面は軟らかく、汚れやすく、しかもフィルム形成する際の離型性基材として離型処理を施した基材を用いないと、基材からの剥離性が悪かった。
【0046】
実施例5および比較例4は、同じ樹脂を用いた2層構成のウレタンフィルム層を有していて、金属蒸着を施すウレタンフィルム層4が架橋タイプか、非架橋タイプかの比較を行ったものであるが、非架橋タイプのウレタンフィルム層4とした比較例4では、金属蒸着膜の密着性がやや劣り、かつ蒸着膜の光沢が悪く、耐熱性にも劣るものであった。これに対し、実施例5にて得られた蒸着フィルムは、金属蒸着膜との密着性にすぐれ、非常に軟らかい風合いであって、衣料用に用いて軟らかく、保温性にすぐれた製品を得ることができた。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の金属蒸着ウレタンフィルムによれば、ウレタンフィルム層を金属蒸着膜を形成するウレタンフィルム層と、表面層を形成するウレタンフィルム層との2層構成としたことによって、金属蒸着膜との密着性が良好で金属光沢にもすぐれ、かつ耐熱性、耐摩耗性をも具備して弾力性で軟らかい風合いの金属蒸着ウレタンフィルムを得ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の金属蒸着ウレタンフィルムの構成を示す説明図である。
【符号の説明】
2 ウレタンフィルム層
4 金属蒸着膜を形成する架橋ウレタンフィルム層
6 表面層となるウレタンフィルム層
8 金属蒸着膜
10 離型性基材

Claims (3)

  1. ウレタン樹脂フィルム層を2層構成とし、その上層の架橋型ウレタン樹脂よりなるフィルム層表面に金属蒸着膜を形成した金属蒸着ウレタンフィルムであって、上記架橋型フィルム層の100%モジュラスが、5〜30MPaであることを特徴とする金属蒸着ウレタンフィルム。
  2. 架橋型ウレタン樹脂を得るに用いる架橋剤が、アミノプラスト、ポリイソシアネートあるいはブロックイソシアネートから選んだ1種であって、ウレタン樹脂100重量部に対して1〜20重量部配合したものであることを特徴とする請求項1に記載の金属蒸着ウレタンフィルム。
  3. 2層構成のウレタン樹脂フィルム層において、その下層のフィルム層が、非架橋型ウレタン樹脂あるいは架橋型ウレタン樹脂を用いて形成したフィルム層であることを特徴とする請求項1に記載の金属蒸着ウレタンフィルム。
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