JP4243109B2 - ポリエステルチップの製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステルチップの製造方法に関し、更に詳しくは、溶融成形時の再生環状ダイマーの生成量が少なく、溶融紡糸時の工程が安定し、染色工程での品質管理に優れた性能を有する、ポリエステルチップの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルは、その機械的、物理的、化学的性能が優れているため、繊維、フィルム、その他の成形物に広く利用されている。
【0003】
中でもポリトリメチレンテレフタレート繊維は近年、従来のポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル繊維にはなかったソフトな風合い、優れた弾性回復性、易染性といった特性から注目されている。
【0004】
しかしながら、このポリトリメチレンテレフタレートは重縮合時にオリゴマーである環状ダイマーが生成しやすいが、この環状ダイマーは製糸工程で紡糸口金付近に異物として付着し、糸切れを引き起こしたりする他、製織、製編時にオリゴマーが析出して加工安定性を低下させる問題を有している。このような問題を解決する為に、ポリトリメチレンテレフタレートを減圧下で固相重合を行なうことにより、オリゴマー含有量を1重量%以下にしたポリトリメチレンテレフタレート樹脂が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法を用いれば、確かにポリトリメチレンテレフタレートチップ中の環状ダイマー量は大幅に低減できるが、溶融成形の為の再溶融時に環状ダイマーが再生してくる為、根本的な改質には至っていない。
【0005】
一方、固相重合されたポリエチレンテレフタレートのペレットをリン酸水溶液と接触させることによって、再生する環状オリゴマー量を低減させることが提案されているが(例えば、特許文献2参照。)、この技術においてはポリトリメチレンテレフタレートについて言及されていない。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−311177号公報
【0007】
【特許文献2】
特許第3056563号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、溶融成形時の再生環状ダイマーの生成量が少なく、溶融紡糸時の工程が安定し、また、製織、製編時のオリゴマー析出量が少なく安定した繊維の生産が出来、更に染色工程での品質管理に優れた性能を有する、ポリエステルチップの製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、上記のポリエステルチップのより好ましい製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記従来技術が有していた問題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明の目的は、
【0012】
主たる繰り返し単位をトリメチレンテレフタレート単位とし、重縮合反応触媒としてチタン化合物を用いて得られたポリエステルポリマーチップを、アルカリ金属塩としてカリウムの酢酸塩、カリウムの炭酸塩、ナトリウムの酢酸塩、ナトリウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも1種の塩のみを含む水溶液と接触させ、該溶液のアルカリ金属塩濃度が0.05〜0.1重量%の範囲にあり、窒素雰囲気下260℃における再生環状ダイマー生成速度が0.015重量%/分以下のポリエステルチップの製造方法によって達成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明に用いるポリエステルは、トリメチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルである。このポリエステルは、トリメチレンテレフタレート単位を構成する成分以外の第3成分を共重合した、共重合ポリトリメチレンテレフタレートであってもよい。上記第3成分(共重合成分)は、ジカルボン酸成分またはグリコール成分のいずれでもよい。
【0014】
第3成分として好ましく用いられる成分としては、ジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等、グリコール成分としてエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン等が例示され、これらは単独または二種以上を使用することができる。
【0015】
本発明に用いるポリエステルの製造方法については特に限定はなく、テレフタル酸をトリメチレングリコールと直接エステル化させた後、重合させる方法、テレフタル酸のエステル形成性誘導体をトリメチレングリコールとエステル交換反応させた後、重合させる方法のいずれを採用しても良い。
【0016】
本発明のポリエステルチップは、ポリマー中に可溶なチタン化合物を重合触媒として用いて重縮合されている必要がある。該チタン化合物の含有量としては特に制限はないが、重縮合反応性、得られるポリエステルの色相、耐熱性の観点から、全ジカルボン酸成分に対し、チタン金属元素として2〜150ミリモル%程度含有されていることが好ましい。
【0017】
ここで、テレフタル酸のエステル形成性誘導体をトリメチレングリコールとエステル交換反応させた後、重合させる方法を採用する場合、エステル交換反応触媒として、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物等、通常ポリエステルのエステル交換反応触媒として用いられる触媒を併用してもよいが、通常は上述のチタン化合物をエステル交換反応触媒及び重合触媒の両方の役割で用いる方法が好ましく採用される。
【0018】
本発明に用いられるチタン化合物は、触媒起因の異物低減の点で、ポリマー中に可溶なチタン化合物を使用することが必要である。チタン化合物としては、特に限定されず、ポリエステルの重縮合触媒として一般的なチタン化合物、例えば、酢酸チタン、テトラ−n−ブトキシチタン等のアルコキシチタンなどが挙げられる他、これらチタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物とを反応させた生成物等が好ましく挙げられる。
【0019】
本発明の製造方法においては、主たる繰り返し単位をトリメチレンテレフタレート単位とするポリエステルポリマーチップを、アルカリ金属塩としてカリウムの酢酸塩、カリウムの炭酸塩、ナトリウムの酢酸塩、ナトリウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも1種の塩のみを含む水溶液と接触させ、かつ該水溶液のアルカリ金属塩濃度が0.05〜0.1重量%の範囲にあるアルカリ金属塩水溶液と接触させる必要がある。
【0020】
ここでアルカリ金属塩溶液としては、カリウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩、ルビジウム塩が例示されるが、これらの中でもカリウム塩、ナトリウム塩が好ましく例示される。具体的には塩化カリウム、カリウムみょうばん、ぎ酸カリウム、くえん酸三カリウム、くえん酸水素二カリウム、くえん酸二水素カリウム、グルコン酸カリウム、こはく酸カリウム、酪酸カリウム、しゅう酸二カリウム、しゅう酸水素カリウム、ステアリン酸カリウム、フタル酸カリウム、フタル酸水素カリウム、メタりん酸カリウム、りんご酸カリウム、りん酸三カリウム、りん酸水素二カリウム、りん酸二水素カリウム、亜硝酸カリウム、安息香酸カリウム、酒石酸水素カリウム、重しゅう酸カリウム、重フタル酸カリウム、重酒石酸カリウム、重硫酸カリウム、硝酸カリウム、酢酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸カリウムナトリウム、炭酸水素カリウム、乳酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、塩化ナトリウム、ぎ酸ナトリウム、くえん酸三ナトリウム、くえん酸水素二ナトリウム、くえん酸二水素ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、こはく酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、しゅう酸二ナトリウム、しゅう酸水素ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸水素ナトリウム、メタりん酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、りん酸三ナトリウム、りん酸水素二ナトリウム、りん酸二水素ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酒石酸水素ナトリウム、重しゅう酸ナトリウム、重フタル酸ナトリウム、重酒石酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、乳酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム等が例示され、その中でも、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムが特に好ましく例示される。また使用されるアルカリ金属塩は一種もしくは二種以上の混合物でもよい。
【0021】
これらアルカリ金属塩の溶液としては水溶液、メタノールやエタノールなどのアルコール溶液、エチレングリコールなどのグリコール溶液が挙げられるが、取扱性や安全性の点から水溶液とすることが最も好ましい。
【0022】
本発明の製造方法において用いるアルカリ金属塩溶液は濃度が100ppm〜20重量%の範囲にあることが必要である。該濃度が100ppm未満であるとポリエステルの再溶融時の再生環状ダイマー量低減効果が小さすぎ、また、20重量%を越えると、コスト面で不利なものとなる。該アルカリ金属濃度の好ましい範囲は100ppm〜10重量%であり、更に好ましい濃度は100ppm〜5重量%である。
【0023】
また、ポリエステルチップとアルカリ金属塩溶液との接触方法としてはバッチ式、連続式のいずれでもよく、バッチ式の場合処理装置にアルカリ金属塩溶液とポリエステルチップを入れて撹拌しつつ接触させる方法などが例示できる。また連続式の場合は連続的にアルカリ金属塩溶液を向流あるいは並流で供給し、ペレットと接触させる方法などが例示できる。
【0024】
更には重合反応によって得られたポリエステルポリマーをチップ化する際に、アルカリ金属塩溶液中に溶融状態にあるポリマーを接触させて冷却固化する方法を用いても良い。
【0025】
なお、アルカリ金属塩溶液とポリエステルチップを接触させる時の温度としては特に制限はないが、通常は10℃程度の室温から60℃程度に加温された状態で接触させることが好ましい。
【0026】
これらの方法により処理されたチップは乾燥させることが好ましいが、通常用いられるポリエステルの乾燥処理方法を用いることができる他、真空吸引装置付きの紡糸機を用いて乾燥すること無しに製糸しても良い。
【0027】
本発明のポリエステルチップは、上述のポリエステルチップの処理方法によって製造することができ、その窒素雰囲気下260℃での再生環状ダイマー生成速度が0.015重量%/分以下である。該再生環状ダイマー生成速度が0.015重量%/分より大きい場合、溶融紡糸時における環状ダイマー再生量が多くなり、惹いては紡糸工程やその後の製織、製編工程での工程が不安定となる要因になりうる為好ましくない。該再生環状ダイマー生成速度は0.013重量%/分以下であることが好ましい。
【0028】
本発明のポリエステル繊維は上述のポリエステルチップを溶融紡糸して得られた環状ダイマーの増加量が40%以下であるポリエステル繊維である。ここで、環状ダイマー増加量とは溶融紡糸前のポリエステルチップ中の環状ダイマー量を基準とする、溶融紡糸後の繊維中の環状ダイマーの増加量であるが、該増加量が40%より大きい場合、その後の製織、製編工程での工程が不安定となる要因になりうる為好ましくない。該環状ダイマー増加量は35%以下であることが好ましい。
【0029】
本発明のポリエステル繊維を製造する時の製造方法としては特に限定はなく、従来公知のポリエステルを溶融紡糸する方法を用いることができるが、例えばポリエステルを240℃〜280℃の範囲で溶融紡糸して製造することが好ましく、溶融紡糸の速度は400〜5000m/分で紡糸することが好ましい。紡糸速度がこの範囲にあると、得られる繊維の強度も十分なものであると共に、安定して巻き取りを行うこともできる。また延伸はポリエステル繊維を巻き取ってから、あるいは一旦巻き取ることなく連続的に延伸処理することによって、延伸糸を得ることができる。更に本発明のポリエステル繊維には風合いを高める為に、アルカリ減量処理も好ましく実施される。
【0030】
本発明のポリエステル繊維を製造する際において、紡糸時に使用する口金の形状について制限は無く、円形、異形、中実、中空等のいずれも採用することができる。
【0031】
さらに、本発明のポリエステルチップ及び繊維は、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重縮合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、艶消剤等を含んでいてもよい。特に艶消剤としての酸化チタン、安定剤としての酸化防止剤は好ましく添加され、酸化チタンとしては、平均粒径が0.01〜2μmの酸化チタンを最終的に得られるポリエステル組成物中に0.01〜10重量%含有させるよう添加することが好ましい。
【0032】
また、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系の酸化防止剤が好ましい。具体的にはペンタエリスリトール−テトラエキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゼン)イソフタル酸、トリエチルグリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。これらヒンダードフェノール系酸化防止剤の添加量は1重量%以下であることが好ましい。1重量%を超えると製糸時のスカムの原因となり得る他、1重量%を超えて添加しても溶融安定性向上の効果が飽和してしまう為好ましくない。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の添加量は0.005〜0.5重量%の範囲が更に好ましい。またこれらヒンダードフェノール系酸化防止とチオエーテル系二次酸化防止剤を併用して用いることも好ましく実施される。
【0033】
該酸化防止剤のポリエステルポリマーへの添加方法は特に制限はないが、好ましくはエステル交換反応、またはエステル化反応終了後、重縮合反応が完了するまでの間の任意の段階で添加する方法が挙げられる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各値は下記記載の方法により測定した。
【0035】
(1)固有粘度:
ポリエステルポリマーの固有粘度は、オルトクロロフェノール溶液中、35℃において測定した粘度の値から求めた。
【0036】
(2)環状ダイマー量
Waters社製486型液体クロマトグラフにWaters社製GPCカラム TSKgel G2000H8を2本接続した装置を用い、展開溶剤としてクロロホルムを使用し、サンプル1mgをヘキサフルオロイソプロパノール1mlに溶解してクロロホルムで10mlに希釈したサンプルを注入して、標準の環状ダイマーの検量線からポリマー中の重量百分率を求めた。
【0037】
(3)ポリエステルチップの環状ダイマー生成速度
ポリエステルチップを窒素雰囲気下中、260℃で再溶融させ、20分間保持した後、再溶融前後での環状ダイマー量を分析し、生成速度を求めた。
【0038】
(4)環状ダイマー増加量
ポリエステルチップを溶融紡糸し、ポリエステルチップ中の環状ダイマー量と、該ポリエステルチップから得られた繊維中の環状ダイマー量とを分析し、溶融紡糸時の環状ダイマー増加量の百分率を求めた。
【0039】
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100部とトリメチレングリコール70.5部との混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート0.053部を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。反応開始後3時間で内温は210℃に達した。
【0040】
次いで、得られた反応生成物を撹拌機及びグリコール留出コンデンサーを設けた別の反応器に移し、210℃から265℃に徐々に昇温すると共に、常圧から70Paの高真空に圧力を下げながら重合反応を行った。反応系の溶融粘度をトレースしつつ、固有粘度が0.65となる時点で重合反応を打ち切った。
【0041】
溶融ポリマーを反応器底部よりストランド状に冷却水中に押し出し、ストランドカッターを用いて切断してチップ化した。
【0042】
得られたチップは、120℃で4時間予備結晶化後、タンブラー型固相重合装置に仕込み、窒素雰囲気下中、200℃に昇温させた後、70Paの高真空下で約14時間固相重合反応させて、固有粘度0.93のポリエステルチップを得た。
【0043】
得られたポリエステルチップは、0.05重量%酢酸カリウム水溶液に重量比1:1の割合でチップを浸漬し、25℃で30分間撹拌後濾過し、24時間60℃で乾燥した。
【0044】
得られたチップは更に120℃で4時間乾燥した後、得られたチップを孔径0.27mmの円形紡糸孔を36個備えた紡糸口金を有する押出紡糸機を用いて260℃で溶融し、吐出量34g/分、引取速度2400m/分で紡糸し、得られた未延伸糸を、60℃の加熱ローラーと160℃のプレートヒーターとを有する延伸処理機に供し、延伸倍率1.7倍で延伸処理し83dtex/36フィラメントの延伸糸を得た。得られたポリエステルチップ及び繊維の結果を表1に示す。
【0045】
[実施例2]
実施例1において、酢酸カリウム水溶液から代えて炭酸カリウム水溶液を用いたこと以外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0046】
[比較例1]
実施例1において、アルカリ金属塩水溶液処理することなしに繊維を製造したこと以外は、同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0047】
[比較例2]
実施例1において、アルカリ金属塩水溶液から代えて蒸留水を用いたこと以外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0048】
[実施例4〜5、参考例3、6並びに比較例3〜4]
実施例1において、アルカリ金属塩水溶液を表1に示す化合物及び濃度に変更したこと以外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表1からも明らかなように、本発明のポリエステルチップの製造方法により得たポリエステルチップ及び繊維は環状ダイマー生成速度、生成量が少なく、良好なものであった。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、溶融成形時の再生環状ダイマーの生成量が少なく、溶融紡糸時の工程が安定し、染色工程での品質管理に優れた性能を有する、ポリエステルチップの製造方法を提供することができる。
Claims (1)
- 主たる繰り返し単位をトリメチレンテレフタレート単位とし、重縮合反応触媒としてチタン化合物を用いて得られたポリエステルポリマーチップを、アルカリ金属塩としてカリウムの酢酸塩、カリウムの炭酸塩、ナトリウムの酢酸塩、ナトリウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも1種の塩のみを含む水溶液と接触させ、該溶液のアルカリ金属塩濃度が0.05〜0.1重量%の範囲にあり、窒素雰囲気下260℃における再生環状ダイマー生成速度が0.015重量%/分以下のポリエステルチップの製造方法。
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